ウクライナ避難民を受け入れへ 首相、ポーランドとの電話協議で表明(朝日新聞)
ロシアによるウクライナ侵攻をめぐり、岸田文雄首相は2日夜、ポーランドのモラビエツキ首相と電話で協議し、国外に避難したウクライナ国民を、日本が受け入れることを表明した。協議後、首相官邸で記者団に明らかにした。
先週はウクライナ避難民を日本が受け入れると岸田総理大臣が表明したそうです。なんでも新型コロナウイルス対応の水際対策からも別枠で入国を認める方針らしく、厚遇ぶりが目立ちます。これまで難民としての受け入れを認められず日本の入管で拘束されたまま死亡してしまった人が怨霊となって出てきそうな話に感じますけれど、世の中はそういうものなのでしょう。
焦点:ウクライナ脱出図る留学生、立ちはだかる人種差別や資金難(ロイター)
ロシアがウクライナに侵攻した2月24日以来、100万人以上の難民がウクライナを脱出したが、足止めを食らっている人々もまだ多い。特に目立つのが、脱出に必要な飛行機や資金、人のつてを自国政府や家族に頼れない外国人留学生だ。
人種差別によって出国がさらに難しくなっている、と語る学生もいる。ソーシャルメディアを見ると、アフリカやアジア、中東出身者が国境警備隊に暴行を受け、バスや列車で乗車を拒否される動画が目に入る。そのかたわらで白人は乗車を許されている。
アデビシさんは、トムソンロイター財団に対し「賄賂をゆすり取られるので、ぼくらが避難するには大金が必要だ」と語った。
「ウクライナ西部にたどり着くのに600ドル払わされた学生たちもいる。国境では人種差別もあると聞いた。それは戦闘が始まる前からぼくらが経験していたことだ。黒人への態度は違う」と述べた。
アデビシさんの送金アプリは機能しなくなり、クレジットカードは引き出し限度額に達してしまったという。
ウクライナ外務省はツイッターで、出国時の審査で差別は行われていないとし「全ての国籍の人々に対し、到着した順に対応するアプローチを適用している」とした。
しかし、インド人のタンメイさん(24)は、自身の兄弟がウクライナを出国しようとした時に、同国の国境警備隊から暴行を受けたと話す。
タンメイさんは、インドのデリーから取材に答え「ポーランド国境近くの警備員がぼくの兄弟を乱暴に押し、スーツケースを放り投げた。兄弟とその友達に『出ていけ』とわめきながらだ」と語った。
「兄弟によると、そのウクライナの警備員たちは(白人の)人々は通している。つまり『白人じゃないやつの命など価値が無い』というわけだ」──。
冒頭に引用した報道では「ウクライナ国民を、日本が受け入れる」と書いてあります。これが首相の発言なのか記者の補正によるものなのかは分かりませんが、こちらの報道で苦境を伝えられているアジアやアフリカ、中東からの留学生が視野に入っていないことは間違いないでしょう。ウクライナ「住民」が置かれている状況はウクライナ国籍の有無によって左右されるものではありません。しかし、白い肌のウクライナ人と、アジア人やアフリカ人の扱いの違いは歴然としています。
冷戦の終了後も軍事侵攻を受けた国は少なからずある中で、間違いなくウクライナは特別に扱われています。それは言うまでもなく侵攻する側が属している陣営の違いによるものですが、侵攻される側の地域に住む住人からすれば納得のいく理由ではないでしょう。シリアやパレスチナ、イラクやアフガニスタンの住民が今のウクライナを見て何を思うかは興味深いところです。
かつてNATOの空爆を受け民間人にも多数の犠牲を強いられたセルビア(当時はユーゴスラヴィア)に至ってはロシアを支持するデモまで起こっているそうです。理由は色々とあるでしょうけれど、自分たちが軍事侵攻を受けたときとウクライナが軍事侵攻を受けたときの、歴然たる扱いの差に憤るところは当然あるはずです。戦争支持はさておき、このような不公正への怒りの声は大いに頷けると言えます。
ロシア留学中のバレリーナSOS ウラジオストクで足止め(神奈川新聞)
先行きは不透明で不安は尽きない。買い物などでクレジットカードを利用しているが、米大手がロシアでの業務を相次いで停止。志賀さんは「カードもインターネットもいつまで利用できるかわらかない。家族とも連絡が取れなくなるのでは」と声を落とした。
ちなみに苦境に陥っているのはウクライナ住民だけではなく、民間人を標的に含めた経済制裁を受けるロシア「住民」でもあります。「西側」からの制裁は当然ながら、軍事施設を限定的に標的にすることもなければ、ロシア国籍の有無を条件とすることもない、ロシアに住んでいる人を遍く標的とするものです。その中には日本からの留学生もいる、日本人であっても制裁の影響を被るわけです。まぁ、こっちは公平な話なのかも知れませんね。