塾講師の検定を「国家検定」にする準備が進んでいる。指導力を保証して信頼性を高めたい塾業界と、サービス業の質を上げたい国の思惑が背景にある。2017年にも実現する見込みだが、受検はあくまで希望者のみ。どこまで普及するかは不透明だ。
(中略)
塾検は、08年に業界独自の検定として始まった。1~3級に分かれ、最もやさしい3級の試験は、担当教科の公立高校入試水準の学力やマナーをみる筆記。1~2級は模擬授業を録画し、協会が選んだベテラン講師らが審査する。受検料は3級が6200円。DVDは模擬授業の解説としてつくられた。
(中略)
一方、現行の塾検は、受検者数の低迷が課題。最多の2級でも昨年までの7年間で延べ924人、合格者708人にとどまっており、「国のお墨付きがあれば目標にする講師も増えるだろう」と協会は見込む。
塾講師を国家検定に云々とのことで、報道によると「塾業界と~国の思惑が背景にある」そうですが、どこまで本当なのでしょうかね。国の思惑云々は分からないでもありませんけれど、本当に塾業界が望んだことなのかどうか疑問を感じないでもありません。塾業界ではなく現行の「塾検」を運営している団体の思惑の間違いではないかと思われます。この辺、マスコミには突っ込んで取材をして欲しいと感じるところです。
実際のところ、国の思惑以前に塾業界側が始めた「塾検」が存在しているわけですが、しかるに受検者数の低迷が課題とも伝えられています。「最多の2級でも昨年までの7年間で延べ924人、合格者708人にとどまっており」とのことですから、実際の塾講師サイドからは全く必要とされていない代物と言っても過言ではないでしょう。これを国家認定化することで得をするのは、塾講師でも塾業界ですらない、塾検の運営側ぐらいではないかという気がしてきます。
まぁ、日本の基礎教育を支える塾業界の質の向上は望ましいことです。公立の小中学校が勉強を教える場所としての機能を果たせているとは言いがたく、勉強は専ら塾で教わった人も多いことでしょう。卒業後とは裏腹に大学までは結構なエリートコースを歩んできた私ですが、塾に通い始めるまでは勉強嫌い、そんなに勉強が得意な子ですらありませんでした。塾がなければ私は大学で勉強したいとすら思わなかったかも知れません。
しかし、国家検定にすることで塾講師の質は上がるのでしょうか。そもそも私が塾の社会的な必要性を強く感じる背景には、上述の通り学校教師がマトモに勉強を教えることができていないから、です。学校では勉強できない分を補うために塾が必要だと確信しているわけです。ところがろくに授業もできない学校教師もまた国家が公認する免許保有者だったりします。国に認められらた合格者かどうかは、今一つ当てになりません。
数年に1人程度のニセ医師を防ぐために、多くのコストをかけるのは得策ではありません。ニセ医師よりもたちの悪い、本物の医師免許証を持った医師はいくらでもいます。こちらのほうを先になんとかしたほうがいいと思います。
日頃はインチキ医療に否定的でも、部外者からの医療批判にはムキになって怒り出す医療従事者は多いので私がとやかく言うと波風が立ちそうですが、まぁ実際のところ本物の医師免許証を持った人でも、酷いのは本当に酷いですよね。「ニセ医師よりもたちの悪い、本物」をなんとかする必要はあると思います。結局、医師免許でも教員免許でも、ダメな人が通過してしまうケースは防げていません。塾講師の検定に国家のお墨付きを与えたところで、塾講師の質を確保できるかは微妙なところでしょう。国家検定の信頼性向上も、少なくとも同時並行で進めていく必要がありそうです。