コロナ5類移行「賛成」46% 内閣支持率横ばい 毎日新聞世論調査(毎日新聞)
毎日新聞は21、22の両日、全国世論調査を実施した。政府が新型コロナウイルスを季節性インフルエンザと同等の扱いにする検討をしていることについては、「賛成」が46%で、「反対」の41%を上回った。
年代別で見ると、50代以下では「賛成」が「反対」を上回ったが、60代以上では逆転し「反対」が「賛成」を上回った。感染「第8波」が続いているさなかでもあり、高齢者層は扱いの変更に不安を感じているようだ。岸田文雄首相は20日、新型コロナの感染症法上の位置付けを今春、季節性インフルエンザと同等の「5類」に移行する方針を表明していた。
政府が新型コロナ対策として、中国本土からの入国者への水際対策を強化したことについては、「妥当だ」との回答が52%に上り、「さらに強化すべきだ」も37%あった。「強化しすぎだ」は7%、「わからない」は4%だった。中国での感染拡大を受け、日本政府は2022年12月、中国本土からの入国者らを対象に水際対策を強化した。中国政府は事実上の対抗措置として、日本人への査証(ビザ)の発給手続きを停止している。
新型コロナの感染症法上の位置づけを5月8日から5類に移行すると政府の方針が示されました。今なお感染者数は高水準にあり、医療機関からは悲鳴も聞こえるところですが、感染症対策を緩和していくことについては支持の方が多いようです。衛生で効率的な社会に適応する人もいれば、不衛生で非効率的な社会で幅を利かせていた人もいますので、こうした「コロナ前に戻そう」とする動きはいわばバックラッシュの勝利と考えられます。
この2年間あまりはインフルエンザが流行することはありませんでした。マトモな感染症対策さえ行われれば、インフルエンザの流行を防げることが証明されたわけです。そんなインフルエンザが再び流行の兆しを見せているのは、世の中の感染症対策が緩んでいること示す証拠と言えます。いずれ「精神的な」免疫を身につけるだろうと新型コロナの拡大当初に私は書きましたけれど、我々の社会は感染症のリスクに鈍感になってしまったのでしょう。
私の場合であれば、特に後遺症などがなかったとしても1週間も寝込むようなことがあれば大損害です。でも1週間ぐらい病気療養に費やしたところで痛くも痒くもない、そんな暇人も実は多いのかも知れません。あるいは行動制限緩和で、症状さえ軽ければ外出を控えずに済むと考えている人も多そうです。ウィルスをまき散らすことに罪悪感を覚えない、5類への移行はそんな人々にパスポートを渡すことにもなるに違いありません。
いずれはインフルエンザと同様に症状があっても満員電車に乗り込んで通勤する人が普通に出てくる、感染リスクの高い行動を取る人ほどマスクは付けないのが当たり前になると予想されます。本当はマスクを嫌がるような人ほどマスクを付けさせておく必要があるのですが、それが出来なくなる以上は個人単位での「自衛」だけが対抗手段になることでしょう。政府も回帰を目指す「コロナ前」は、周囲を憚らずゲヘゲへ咳き込む人と机を並べることを強いられてきましたけれど、そんな日々が「取り戻される」のかも知れません。
また国内において感染症対策の緩和が世論の支持を得ている一方、中国からの入国者に対する水際対策の強化については「妥当だ」との回答が52%に上り、「さらに強化すべきだ」も37%と伝えられています。多くの日本人はコロナウィルスを恐れていない一方、中国からの入国者に関しては強い警戒を抱いていることが窺えます。世論とはそういうものであるにせよ、日本人同士でコロナウィルスを感染させることには無頓着であるにも関わらず、中国人からの感染は嫌がっているとしたら、その意味するところは何なのでしょうか。
ウクライナを舞台にしたロシアとNATOの戦争が始まって以来、二重基準を隠さない国も増えてきた印象があります。全数把握を簡略化した日本はマシな方で、新型コロナの感染者数把握を止めてしまった国も少なくありませんが、そうした国でも中国にだけは正確な感染者報告を求め、中国からの入国者に限定して厳しい水際対策を取っているわけです。自国民同士の感染拡大や、欧米からの感染者流入は気にしない、しかし中国から来るものは脅威と見なす、それが当たり前のこととして受けいられていると言えます。
昔から、アメリカ側に立っている国こそが自由で民主的な国であり、アメリカが敵視している国を悪と見なす基準は日本を含む西側諸国に存在していました。ただ、それがこの1年でエスカレートしているところはないでしょうか。中国が相手であれば、公平性を欠く入国制限措置を執っても当然であり、もっと強化すべきであると疑問を持つことなく考えている人が多いことを世論調査結果は示しています。しかし、それは防疫の面だけではなく人間としても正しい選択ではありません。