非国民通信

ノーモア・コイズミ

仕事は真剣に選ぶものです

2010-02-14 22:54:24 | ニュース

未内定者4割も当たり前!厳冬就活戦線で八方塞がり(ダイヤモンド・オンライン)

 大学新卒者の採用戦線に明るい兆しが見られない。1月14日に発表された内定率は73・1%(12月1日時点)。つまり、未内定率が26・9%で約12万人が就職浪人やフリーターとなる瀬戸際に立たされている。いまだに就職活動を続けている現4年生(今年3月卒業予定)が山ほどいるわけだ。

 しかも、この内定率は大学発表の数字。就職率のアップダウンが新入生獲得に直結するだけに、大学側はともすれば“化粧”(内定率を実態より高く見せる)しがちだといわれている。

 ある私立大学理事によれば、「未内定者は中堅の大手校で3割、それ以下だと4割を超えているようだ」というから深刻だ。

 いまだに内定がもらえない4年生は、大学の就職部からも見放されつつある。すでに現3年生の就職活動がスタートしており、事務職員が総動員される入試もある。そこで大学側は、就職情報会社や派遣会社など人材系企業に4年生の就職指導をどんどん委託するようになっているのだとか。

 他人の心配をしている場合でもないのですが、新卒の就職も大変なようです。本文中でもサラッと触れられていますが、この時期にもなると現3年生が新卒採用の主たる対象でしょうから、まぁ現4年生は既に「いきおくれ」みたいなものです。アカデミックな価値が尊重される社会でもないだけに研究水準よりも就職率を誇りたい大学も多いと推測されますが、そんな大学の就職部もいき遅れの4年生は外部業者に任せる方向なのでしょうか。まぁ、大学の就職部/課なんてハローワーク並みに頼りにならない印象しかありませんので、業者の方がマシなのかも知れません。

 もっとも、2010年卒の大卒求人倍率は1・62倍(リクルートワークス研究所調べ)で、仕事がないわけではない。「今残っている求人の多くは、中堅・中小企業で募集1~2人という案件。これらの企業は宣伝予算がない」(就職情報会社)だけなのだ。つまり、就職先を選り好みせず、自ら探し出す意欲があるのなら、とっくの昔に就職は決まっているはずなのである。

 では、なぜそうしないのか。前出のパソナ関係者によれば、呆れたことに「母親の“無理をして就職することはない”という子どもかわいさのひと言が、未内定学生を増やす一因となっている」という。「親を教育してほしい」そんな依頼が本当に人材系企業に舞い込んでくるというから笑えない話である。

 さて厳しい就職事情を伝えるかに見える一方、結論は「就職先を選り好みせず、自ら探し出す意欲があるのなら、とっくの昔に就職は決まっているはず」とのことです。まぁ、この辺は週刊ダイヤモンドですから仕方ありません。産経新聞や日経新聞ですら例外的にマトモな主張を載せることもありますが、週刊ダイヤモンドの主張は100%ゴミです。週刊ダイヤモンドに掲載歴があるなら、そのライターは間違いなくカスであることが保証されます。ともあれ、ダイヤモンド社的に言えば就職難は学生の自己責任だそうです。

 引用した記事が「就職戦線」ではなく「採用戦線」という言葉で始まっていることに注目してください。つまり就職しようとする側ではなく、採用しようとする側にとって「明るい兆しが見られない」そういう記事なのです。総じて好況ですと売り手市場で求職者側が有利になる、それは雇用者側にとっては好ましくないので財界寄りの立場に立つ論者はこぞって「経済成長の時代は終わった(キリッ)」と語るものですが、反対に不況だと買い手市場になる、雇う側が圧倒的に有利になるわけです。だから不況の深刻化で空前の買い手市場、雇用者側はよりどりみどりの展開になるだろうと、そう期待していた人も多かったのかも知れません。しかるに、ロクな待遇も用意できない会社は相変わらず学生から敬遠され、人が集まらない。だから「明るい兆しが見られない」、そうした状況への苛立ちが、ここに引用したような記事を書かせているのでしょう。

 「我が社を志望した動機は何ですか」と聞かれて「求人があったからです、仕事なら選り好みしませんから」などと答えれば不採用確定ですが、会社側がどれだけ不採用を連発してもやっぱり「就職席を選り好みしなければ就職は決まっているはず」ということになってしまうのでしょう。むしろこの時期になっても採用を決められない雇用主に対して「まだ新卒者の26・9%が未内定、求職者を選り好みせず、(新卒者を)自ら探し出す意欲があるのなら、とっくの昔に採用は決まっているはず」とか「社長の“無理をして採用することはない”という無責任なひと言が、採用の決まらない一因となっている、社長を教育して欲しい」と論難することだって出来るわけですが、この国ではそういう習慣がありません。

 ちなみに中途採用の有効求人倍率は昨年12月の段階で0.46倍でした。こちらは選り好みしようがしまいが根本的にポストの数が足りません。優良企業ってのは離職率が低い=新卒一括採用のみで人員をまかなえる一方、離職率の高い中小ブラック企業は辞めた人の代わりを絶えず確保する必要性から中途採用にも積極的です。こうした中小企業の求人は新卒者には不人気で売れ残っているということですが、もし新卒者が「就職先を選り好みせず」こうした中小企業の求人に殺到したらどうなるでしょうか。会社は無垢な処女が好きです。トウの立った既卒者は新卒者に簡単に駆逐されてしまいます。だから新卒者は無理をしないでください。夢も希望もある新卒者まで中小ブラック企業に応募したら、中途求職者の就職先はますます減ってしまいます。

 

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8 コメント

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その大学四年生ですから… (GX)
2010-02-15 11:28:43
 私って、見捨てられた存在だったんですね。
 まあ、それより本題ですが、本当にどこでもいいと言ったら面接に落とされるんですよね。私も面接時、少々苦手な場所でも…と思って面接に行くと、面接時からすでに「君には向いていない」と言われたこともありますし。(もちろん結果は不採用。)選ばなければと言うならば、選ばないから、適当に選んだその仕事について学ばせてほしいと思うのですが、たいてい何かしら選んだ理由とかを求められますからね。「選ばなければ」と言っている割に「選んだ理由」を聞いてきますから、矛盾してますよ。
Unknown (シトラス)
2010-02-15 11:45:50
たとえとして「就職活動は恋愛と同じ」と言うものがありますから、求職者に魅力がないのが悪いとされるのでしょう。
これって恋愛弱者には強烈なたとえですよね。
そういえば (コンポコ)
2010-02-15 20:10:04
私が大学を出た時も今と状況が近かったです。
求人はブラック企業が結構ありましたし、真面目に求職活動したにも関わらず無職のまま卒業した同級生もいました。
そして、ブラック企業に染まった奴は、週刊ダイヤモンドの論調のような思考に陥ってしまいました。

あと、新卒一括採用は企業側が無垢な新人を社蓄(奴隷)に染め上げたい意図が見え隠れしてる感じがします。
この世界的に見て異常な新卒一括採用は廃止すべきです。
Unknown (非国民通信管理人)
2010-02-15 21:45:15
>GXさん

 向き不向きってのはあるわけですから、人を選ぶこと自体は仕方ないのですが、その責任が求職者サイドに向けられるのは、何とも不条理な話ですよね。

>シトラスさん

 とりわけネット上では「処女厨」と呼ばれる人が増殖しているようですが、会社も同類ですからね。いやはや救いようがありません。

>コンポコさん

 ただ本文でも触れましたが、新卒採用だけで従業員をまかなえる会社は総じて離職率の低い優良企業で、中途採用に積極的な企業は離職率の高いブラックの傾向があるわけです。新卒一括採用には問題がある一方、新卒一括採用の会社よりも中途採用中心の会社の方が実は問題があったり、その辺も視野に入れて考えていかねばならないとも思います。
こんな状態では (最下層公務員)
2010-02-15 23:57:45
技術立国なんて過去のものになっちゃってますよね。秋葉原では今、メイドインジャパンを求めて中国人旅行者がクリスマス商戦なみの賑わいを見せてるのだそうです。まだまだ、良い製品を作ると言うイメージは国際的には根強い様ですけど。基本となる部分をないがしろにせず、真面目にもの作りをやって来たのを目先のコスト削減に走り、基礎技術が危うくなってます。
もの分かりのいい、上の命令に絶対服従ではモラルなんて鼻くそでしかなくなりますよ。
私の職場で使われる車両には、信じられない部分の故障が出てます。
シャーシの結合がはずれると言うものです。このリースはどうも二個一(にこいち)リースの疑いもありますが、シャーシなんてのは外装がさびて腐ってしまって廃車になるまで持たなくてはならない部分だと思います。
まったんの社員がきがついてなかったのでしょうか?むしろ、知ってても言わないでおこうと言う心理が働いたと思えます。
これって企業にとって、ひいては日本企業全体にとって、けして良い状態とは言えないと思うんですが。
こんな就職状況では、いい仕事につながるとは思えないのですが。
Unknown (非国民通信管理人)
2010-02-16 18:38:55
>最下層公務員さん

 電気屋で働いていたこともあるのですが、都心から遠い店舗でも中国人観光客に「日本製」が欲しいと言われることは割とありましたね。でも商品はmade in Chinaばっかり。かつて日本の製造業がアメリカの製造業を追いやったように、基本的に製造業は新興国へと主役が交代していくものだと思いますが、製造業から高付加価値産業へのシフトする代わりに、労働者を追い詰めることで製造業を維持しようと無理を続けてきた結果が出ているような気もします。
自分の過去も踏まえて (ヒイロ)
2010-02-16 23:06:16
私が就活を始めたときは、行き遅れ感炸裂状態でした。「公務員と民間企業の二兎追いはダメ」なんていう空気を読まずにそうしていけばと思うことが今でもあります。打ちのめされてばかりでいたので良い話を断ってしまい、流浪の日々になってしまいました。

そういうことがあるので、就活をしている学生には、思うところが多々あります。
他人から嘲笑われようが「反則」と言われようが「自分の尺度でブラック企業を避けて一人でも食べられる仕事を選んで欲しい」という気持ちがあります。それから「自己責任厨に毒されるな」ということも付け加えます。

大学の就職部が役に立たないことは、確かに実感していました。大企業に行かれない学生なので「姿勢がどうのこうの」という枝葉のことばかり言われて暴れたくなりました。
「大企業ばかり向いて中小企業に勤務しているOBに学生の斡旋ができない就職部は消えてしまえ」という感じです。当然、斡旋すべきでない企業を外して然るべきなのは言うまでもありません。

母親が「無理をして就職しなくていい」と言うことを「甘え」と見なすことに無理があります。「さっさと資格を取得して自立しろ」という選択肢を示していたり、良くも悪くも世間体を気にして「名前の知らない企業に就職させたくない」ということでそういう話になっていることでしょうから。
Unknown (非国民通信管理人)
2010-02-17 00:45:21
>ヒイロさん

 さらに言うなら「学業と就職活動の二兎追いはダメ」みたいなフシすらあると思えるだけに、まぁ明るい兆しは見えませんね。私の大学でも就職課は役立たずで、教授のコネなんかの方がよほど役に立つ(私の両親はともに大学教授のコネで就職しています)くらいです。大学なんですから、経済誌の言うことを真に受ける前にOBの人脈を使うとかありそうなものですが……

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