非国民通信

ノーモア・コイズミ

与野党賛成多数

2024-05-19 21:20:09 | 政治・国際

共同親権法が成立 選択可、26年にも開始(時事通信)

 離婚後も父母双方が子の親権を持つ「共同親権」を導入する民法などの改正法が17日の参院本会議で、自民、公明、立憲民主、日本維新の会、国民民主各党の賛成多数で可決、成立した。離婚後は父母どちらか一方の「単独親権」に限る現行制度を77年ぶりに見直す。新制度は2026年までに始まる見通しだ。

 施行前に離婚が成立した人も、家庭裁判所に親権者変更の申し立てをして、認められれば共同親権に変更できる。

 

 さて選択的「共同親権」の導入が可決したそうです。主要メディアの報道からは選択肢が増えるだけに見える反面、弊害となる要素を指摘し懸念を露にしている人も見受けられますが、結果はいかがなものでしょうか。いずれにせよ両民主や維新など野党からの賛成も得られたとのことで民法の改正はスムーズに進みました。77年ぶりの見直しとのことですけれど、政府がその気になれば制度は変えることが出来ることが分かります。

 一方で政府にその気がないために変わることがないものとしては、選択的「夫婦別姓」が挙げられるでしょうか。これも以前から問われている議論であり、むしろ共同親権よりも世間の扱いは大きかったように思うのですが、長らく棚上げの状態が続いています。自民党の中にも賛成の議員はいるものの党全体としては否定的、そして野党第一党である立憲民主党は選択的夫婦別姓の導入を公約に掲げているわけですが──

 ただ過去を振り返ると、党が分裂する前の故・民主党もまた選択的夫婦別姓を公約に掲げており、何度は国会にも法案を提出していました──野党時代に。では民主党が政権交代を成し遂げた当時はどうだったのかというと、次期衆院選の勝利が確実視された段階になって夫婦別姓案を民主党は公約から削除しています。「これまでは野党だから(否決前提に)提出できた」と党幹部が語ったとも伝えられるところで、ある意味で民主党の性質が最も良く表れた一幕だったのではないでしょうか。

 その後は事前の予想通りに民主党が自民党を下して政権を奪取したわけですが、議会で多数派を構成し時には強行採決も行われた中でも夫婦別姓を認める民法改正が俎上に載せられることはありませんでした。そしてめでたく民主党が下野、分裂した現在、立憲民主党は選択的夫婦別姓を恥ずかしげもなく公約に掲げています。もしそれが民主党の本当に望んでいたことであったなら、なぜ政権交代前夜に公約から下ろしたのか、与党であったときに封印してきたのか、そこは問われるべきもののはずです。

 与党が政策を改める、あるいは政策の異なる野党が政権を奪取することで政治は変わります。しかし、与党と政策を同じくする野党が政権を奪取した場合にはどうなるでしょう? 「小泉構造改革路線を忠実にやっているのは民主党だ」とは小泉純一郎本人の言葉です。自民党からの闇雲なダメ出しや民主党支持層からの無理筋の擁護が相容れる民主党政権ですけれど、この小泉純一郎の評価こそ民主党政権を最も客観的に表しているように私は思います。悪夢の民主党政権とは、小泉構造改革路線という誤った政治を継承したものであった、と。

 岸田政権は倒れて欲しいですが、同じ親米保守で緊縮財政の志を共有する立憲民主党がそれに成り代わるだけでは、まさに悪夢の民主党政権の再来でしかありません。当面のところ政権交代を成し遂げる最短距離に位置しているのは野党第一党である立憲民主党だとしても、政権交代は政策の異なる政党によって行われて初めて意味があるのがあって、単に政治資金の問題を責め立てる側と誤魔化そうとする側の違いでしかない政党間の政権交代では何の意味ないと言えます。

 故に私は以前より、立憲民主党は故・民主党政権時代の党幹部を除名して当時の過ちを謝罪することから始めるべきだと主張してきました。「今」、選択的夫婦別姓を掲げるのは結構ですが、では何故前回の政権交代前夜に公約から取り下げたのか、自身が政権の座にあったときに封印してきたのか、そこは有権者に説明すべきです。まぁ大多数の国民は10年前のことなんて覚えてもいない、党の政策なんて色眼鏡でしか見ておらず実際に何をやってきたかなど気にしていない、民主党の熱心な支持層ほど自己正当化を図るばかりで過去の反省など興味がないのが実態なのかも知れません。ただ、今のままでは仮に自民党が国民の信を失って民主の残党が政権の座に返り咲いたところで、日本の政治ひいては国民の暮らしが良くなることはあり得ないでしょう。

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