経済なんでも研究会

激動する経済を斬新な視点で斬るブログ。学生さんの就職準備に最適、若手の営業マンが読めば、周囲の人と差が付きます。

超・金融緩和時代の 終わり

2022-03-18 07:40:11 | 金利
◇ FRBが0.25%の利上げを発表 = アメリカの中央銀行であるFRBは16日のFOMC(公開市場委員会)で、政策金利を0.25%に引き上げることを決めた。これにより2年前から続いたゼロ金利は終了、超・金融緩和時代は幕を閉じた。同時にFRBは「ことし中に7回の利上げが予想されること。金融の量的な引き締めは次回の会合で決定する方向であること」を明らかにしている。

FOMCというのは、FRBの政策決定会合。ことしはあと5、6、7、9、11、12月に開催される予定。したがって、すべての会合で0.25%ずつ利上げを決定すると、年末の政策金利は1.75%になる計算だ。また量的引き締めは5月の会合で決定されることになる。ただ国債や住宅ローン債券をどんな規模で売り戻すかは未定だ。その規模が大きくなれば、市中からの資金の引き揚げが加速する。

ニューヨーク市場では16日、ダウ平均が519ドルも値上がりした。朝方からウクライナの停戦交渉が進展しそうなこと、原油価格が急落したことなどを材料に買われたが、FRBが午後2時に利上げを発表すると、株価は横ばいとなった。つまり市場は利上げの発表に対して、上げも下げもしなかったことになる。

市場が判断に苦しんだのは、まず今回の引き締めでインフレを阻止できるのかという疑問。また利上げで、景気の回復が中断してしまわないかという疑問。さらに量的引き締めの規模が不明なこと。投資家はこうした点を解明できなかったと言えるだろう。東京市場では17日、日経平均が大幅高となった。ニューヨークに追随した形だが、やや乗り過ぎの感じもなくはない。

       ≪17日の日経平均 = 上げ +890.88円≫

       ≪18日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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プーチンの思惑 数多くのハズレ

2022-03-17 08:04:45 | なし
◇ 「こんなハズでは」の連続 = プーチン大統領は、思惑ハズレの連続で苦しんでいるようだ。ウクライナへの侵攻を決断したときは、アメリカやEU諸国がこんなに結束するとは夢にも考えなかったのではないか。まずアメリカは国内の分断で、指導力を発揮できない。EUもイギリスの離脱、ドイツの政権交代などで、一枚岩にはなれない。そう判断したのだが、アメリカとEUは予想外に結束した。特にドイツがロシア産LNG(液化天然ガス)の輸送管を凍結するとは、考えられなかった。

結果的にアメリカ・EU・日本などによる経済制裁網が早期に組み上がったことも、想定外だったに違いない。ルーブル相場が急落し、物価が急騰し始めた。早くも国民の生活は苦しくなってきている。放っておけば、反戦や厭戦の機運が広がりかねない。それが反プーチン運動にまで発展したら、一大事だ。こんなことになるハズではなかった。

それもウクライナ軍の抵抗力を見誤ったことから始まる。当初は1週間もあれば、十分にウクライナを征服できると計算した。ところがキエフはまだ陥落しない。ぐずぐずしているうちに、世界の大半がウクライナ支持に回ってしまった。こんなに時間がかかるのは、大きな誤算。ロシア軍の弱さも、大きな誤算だった。

唯一、思惑が当たったこともある。それは‟核による脅し”。アメリカやNATO(北大西洋条約機構)は核戦争になることを恐れて、ウクライナ上空に飛行禁止空域を設定することや、戦闘機の供給を断念した。ここまでは予想通りだったが、結果的に「ロシアは核兵器を使いかねない国」という印象を、世界中に与えてしまったことは誤算だろう。。

        ≪16日の日経平均 = 上げ +415.53円≫

        ≪17日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
         
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‟円安”が教える 危険信号 (下)

2022-03-16 08:16:48 | 円相場
◇ 三流国への道? = 円相場の下落は、米ドルに対してだけではない。BIS(国際決済銀行)が2月に発表した各国通貨の実質実効レートによると、日本円の実効レートは50年ぶりの低水準に落ち込んだ。実効レートというのは、貿易相手国の通貨に対する相場を加重平均した数値。つまり最近の日本円は、かなり多くの通貨に対して下落していることを示している。その原因は、どこにあるのか。

最大の原因は、日本の貿易収支が大赤字を続けていること。財務省が発表した1月の貿易統計をみると、赤字は2兆2000億円。原油などの急騰で、鉱物性燃料の輸入額が前年比83%も増えたことが響いている。貿易収支の赤字は昨年8月から続いており、この6か月間の赤字総額は5兆1000億円に達した。もちろん日本は十分な外貨準備を保有しているから、支払いに困るようなことはない。

だが巨額の貿易赤字は、国内の購買力がそれだけ海外に流出したことを意味する。しかもエネルギーや資源の値上がりは、今後も続きそうだ。すると日本の景気は、なかなか上向かないだろう。要するに「日本はエネルギー危機に最も弱い国」だと、世界中の人が感じ始めた。だから有事でも、日本円は買われなくなった。

そんな日本なのに、肝要なエネルギー対策を確立できない。さらに政府の政策には対症療法的なものが多く、将来を見据えた成長戦略に乏しい。したがって、日本はしだいに国力を落として行く--世界的なインフレとウクライナ戦争のなかで、日本円の相場が下落する。そのことは、ある種の警告だと捉えた方がいい。

       ≪15日の日経平均 = 上げ +38.63円≫

       ≪16日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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‟円安”が教える 危険信号 (上)

2022-03-15 07:32:36 | 円相場
◇ 消えた‟有事の円買い” = 円相場がじりじりと下落している。昨日は1ドル=118円台にまで値下がり、2017年1月以来5年2か月ぶりの安値水準を記録した。過去1年間をとってみても、円の対ドル相場は9円ほど下落している。円安の主たる原因は、日米の金利差。アメリカはいま利上げの直前、対して日本はゼロ金利を死守。おカネは金利の高い方へ流れ、その過程で円が売られ、ドルが買われる。

日本人の頭には「円安はプラス」の考え方が、染みついている。円安になれば、輸出製品の価格を引き下げられるから数量を拡大できる。利益を円に換えれば、金額が増える。だから株式市場でも「円安は買い」が常識だった。しかし現在は多くの企業が海外に進出、状況は大きく変わった。日銀の試算によると「00年代の後半には、円が10%下落すると輸出が3%伸びた。それが17年以降は、ほとんど伸びなくなった」という。

その半面、円安は輸入物価を上昇させてしまう。日本はエネルギーや資源、食糧などを大量に輸入しているから、これはきつい。いまウクライナ戦争の影響で、主要な物資の国際価格が急上昇。そこへ円安の効果が加わって、負担が急激に重くなった。その負担は、企業や家計が「物価高に耐える」という形で引き受けている。

国際緊張が高まると、おカネは安全資産に流れる。日米の国債やドル・円などの通貨、あるいは金などが、その対象だ。ところが今回のウクライナ戦争に際しては、日本円が買われない。これまでの「有事の際の円高」という現象が、はじめて表われなかった。したがって、円安が止まらない。これは、きわめて重大な変化である。なぜなのか?

                           (続きは明日)

       ≪14日の日経平均 = 上げ +145.07円≫

       ≪15日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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今週のポイント

2022-03-14 08:18:21 | 株価
◇ 目線を下げる個人投資家 = ダウ平均は先週671ドルの値下がり。アラブ首長国連合が石油の増産を主張すると伝えられた9日は650ドル上げたが、あとの営業日ははすべて下落した。これで5週間の続落となり、この間の下げ幅は2146ドルになっている。終り値は3万3000ドルを割り込んだ。ウクライナの戦況は、あまり影響していない。

日経平均は先週823円の値下がり。ダウ平均と同様、10日だけ大幅に上げ、あとは下げた。これで4週連続の下落、この間の下げ幅は2533円となっている。週央には20年11月以来1年4か月ぶりの安値を記録したが、終り値では2万5000円台をなんとか死守した。しかし円安もじわりと進行しており、市場の先行き見通しは必ずしも明るくない。

株価を動かす主たる要因は、原油価格になっている。「原油高→インフレ→景気後退」という方程式が、市場に染みついた。このため長期投資家は模様眺めを余儀なくされている。一方、個人投資家は活発に下値を拾うが、その目線はだんだん下がってきたようだ。今週は16日にFRBが利上げを発表するが、株価にはあまり影響しないだろう。それよりもキエフが陥落したとき、市場はどんな反応をみせるのか。

今週は16日に、2月の貿易統計。17日に、1月の機械受注。18日に、2月の消費者物価、1月の第3次産業活動指数。アメリカでは15日に、2月の生産者物価。16日に、2月の小売り売上高、3月のNAHB住宅市場指数。17日に、2月の工業生産、住宅着工戸数。18日に、2月の中古住宅販売。また中国が15日に、2月の鉱工業生産、小売り売上高、固定資産投資額を発表する。なお16日に、パウエルFRB議長が政策金利の引き上げを発表する予定。

        ≪14日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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