6月30日土曜日。
朝一番開店前の忙しい時にカシオ・ソーラー電波。
アナ・デジモデルのアナログの針だけが誤差が出るのはなぜ?という質問。
当然、お客さんは聞くだけなのでお金を支払う気はない。
ネット社会なのでこのような質問は無料サービス時代なのでしょう。
とにかく電波・ソーラーのモデルは心の闇が深くなるばかり。
時計修理工房にはご縁がない代物が電波ソーラー。
家電製品と同じ専門外のアイテムなので修理専門工房には持ち込まないほうがいい。
「国産時計から舶来時計にシフトチェンジしてください。国産時計では将来食えなくなりますよ~!」
20年前からバイヤー時代に各お店の修理技術者へ指導してきた。
また当時の中国製モデルはタイメックスくらいでまだ存在価値がなかった時代。
二極分化が進む!
20年ほどたった今でもタイメックスはアメリカ製だと信じている日本人が多い。
トライアスリートのネーミングの時計はトライアスロン競技に使うと水が入るクレームがあった。
ところがマイナーのトライアスロン競技人口が少ないのでクレームはなぜか販売本数に対して少数にかぎられる。
また最後のマラソン競技でボタン操作をすると当然内部に汗が入りゴール地点ではガラスが曇ってしまいます。
説明書には水中でのボタン操作は止めるように記載されているのがミソ!クレームは解決。
そんななんちゃってアメリカの香りがするタイメックスが爆発的に売れた。
時計に求められているものは機能よりムードだ。
そんな美味しい中国製品をアメリカ経済原理主義が見逃すはずがない。
トランプがどれだけ騒いでも時計業界の米中は切り離せないのです。
今やアメリカのデザイナーが時計を作る場合ほとんどが中国生産になる。
カシオがいち早く中国生産に移り北欧のスント、アメリカ・ハミルトン、テクノス、ウオルサムも続きました。
セイコーでもクレドールブランドだけはショップ制と言って販売店が限られていました。最近はグランドセイコーまでショップ制になったという。
町場の小さな時計店では取り扱い出来なくなったのです。
高額時計はショップ制、普及品は中国製ソーラー電波が主流の国産時計。
これでは地方の時計店は消えてなくなるのが眼に見えています。
これからの時代、高級品はスイス時計と普及品は中国時計が100%を占める。
日本の時計産業は深い闇の中をさまようことになるでしょう。
諏訪のセイコー・エプソンが高級時計を作っているとイメージ戦略がある。ところが現状程度の生産本数なら20名も職人が居ればいい。
ちゃんとした時計産業というには程遠いものです。
この現象は京都に似ています。
皇室が東京へ移り150年。
皇室関係者の縁組は東京都庁職員や東京本社社員など東京在住者に限られてきました。
一番晴れやかな行事が京都から消えました。
当然お互いの生活拠点が関東になるので仕方がないのでしょう。
つまり日本古来の目利き、審美眼者は自然と京都からいつの間にかいなくなることになる。
上賀茂太田神社のカキツバタ群落(天然記念物)の周辺など少し観光地から離れていると訪れる人も少なくなるのは仕方がない。
東京以外はみな「地方」という呼び方になっているのが残念!
先日、観光客のご夫婦「こんな地方の神社にカキツバタ群落があるなんて~!」と感動していました。合掌!
京都は主が抜けて150年。
京都の伝統産業も中国製品に押されっぱなしです。
琴や三味線までメイドインC。琴線、三味線の弦までC。琴の弦作り工房は京都で一軒だけ。
滋賀の琴の弦に必要な養蚕農家も苦しいでしょう。
趣味のチェロで使っているラーセン弦まで中国の偽物をつかまされた。
これから闇が広がる京都の時計業界です。
預かった時計を見てこれは中国製で修理対応用に作られていないのです!と断るつらい勇気が必要になる。
今日、明日は時計の夏の量販期。
大丸さん、高島屋は頑張って市場規模以上の品ぞろえをやってくれています。ありがたいね~。
市場規模なら伊勢丹。
今週末は百貨店へお出かけしてみましょうね~。
時計サイズ調整料金。国産時計・並品500円。カルティエ、Hermès1000円、ロレックス1500円。
時計師の技術はまだ高いレベルにあると思います。
今のうちに修理をやっておきましょうね~。