京都 洛北の時計師 修理日記

時計修理工房「ヌーベル・パスティーシュ」京都の洛北に展開する時計修理物語。
夜久野高原で営業再開しました。

時計師の京都時間「京の忘れ物時間」

2019-05-31 09:34:15 | 時計修理

5月31日金曜日。
明日から貴船まつり別名(いたどり祭り)が始まるよ~。そんなことを言われてピンと来なかった。
最近ぼけてきたかなぁ~と思う。
貴船神社へお参りに行った和泉式部さんは長崎県生まれといわれています。
神獣の鹿の化身の伝説もあって彼女は鹿の足。そこで日本独特の二本指の足袋が生まれた?
私も同じ長崎生まれ。別名「ヨーダ」と嫁さんからいわれる。
五月売り上げが悪いのでうつむき加減のヨーダなのじゃ~。
私はまだまだ喪中の身なので喪が明けるまでめでたいお祭りには参加できません。残念!
完全に京都のお祭りカレンダーを忘れていました。

写真はGUCCI・1500シリーズ。液漏れ事故。
夏になったのでバングルを使う季節。気が付いたら壊れていた。。
開けたらびっくり電池が塩を吹いていました。買ったばかりで初回の電池交換だという。
10万円超の時計が電池一個のためになんとも無残に壊れてた。
GUCCIのモニター電池は暑さに弱い海外製なので初回の電池交換は早めにやっておくことです。

GUCCIに限らずスイス製の時計が止まったら必ず電池を抜きましょう。指定電池が危ないのだ。
一時、スイス時計は不良品だろうわさがあったが時計は無実!電池が要因でした。
そこで一般のお客様の電池抜き取り無料なのでしばらく使わない時計はご利用ください。
電池液漏れ事故は圧倒的に女性が多い。普段時計を使わない生活パターンの結果でしょう。
この事故は今後ますます増える傾向にある。日本の気候を甘く見てはいけない。

常連のお客様は2年ごとに自宅すべての腕時計の電池交換を依頼されます。
「時計屋が使っている時計は壊れない!」これは正しい。
壊れた後の費用、時間のトラブルを考えると慎重に使うような習慣になってしまいます。
また電池交換後、3日以内に止まったら電池を抜いて返金しています。
その電池は使えないので自分の時計に入れ替える。結果、常に時計屋所有の電池は新しい。

雨の日はロレックス、暑い日はクレドールはお休み、新福菜館のそばを食べるときはセイコー5スポーツが一番おいしい。
待っている間にガラガラとゼンマイを巻き上げて遊ぶ。
私はアメオコト。飲食店で注文を忘れる、存在を忘れるのは当たり前だが新福菜館だけはいまだにうれしい無事故だ。
ありがたいね~。
国際アメオトコ大会でもあれば私は日本代表に選ばれると思う。

ただし時計業界にはアメオトコが多いことで有名です。
新幹線に乗ると途端に事故、故障は当たりまえ。東京で開催される時計の展示会で中央線が止まる。
私も新宿地下鉄脱線事故、東急ハンズ前のテロ、地下鉄サリン事件の当日には東京にいた。

6月10日時の記念日に近江神宮にアメオトコ時計師が集まるので参道ではつまずいてこける人が多い。
参拝者の記帳所で皆さんの汚れた靴を見るとその努力がわかる。

私はぬかるみ泥道で滑って転んだことがある。「失敗時計師のお前はこんでもいい!」ということじゃ~と思った。
松尾大社ではお賽銭が跳ね返ってきた。

死ぬほどの思いで長年身に着けた技術はあっという間に過去のものになる業界です。
先日工具箱から振り石取り付け工具を見つけて一瞬これは何?と思ったことを恥じた。
ローターですら樹脂で作る時代です。分解掃除なんて昔ばなしの世界でしょう。

今年は喪中なので近江神宮へのお参りもパスだ。残念!こけてもいいから行きたかったね~。
京都からのアプローチはJRが安くて速いおすすめ。おまけに京都駅で新福菜館本店に寄れる。
今年6月10日は月曜日さんりんぼう。ぬかるみに気を付けましょう。
明日からうれしい六月の始まり。
暑くなるので電池交換は早めに済ませましょうね~。





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時計師の京都時間「京の終わりの始まり時間」

2019-05-30 09:30:14 | 時計修理

5月30日木曜日。大安。
なんとなく大安の日より仏滅のほうが工房の売り上げが多い。
時計というものの本質はそんなものでしょう。
時計を動かす、時間を進める時には辛いエネルギーが必要。辛い事件が続く世の中、一歩前に進みましょう。

この時計業界は五月病が終わりさらに厳しい6月病が始まる。
「どうせおいらにゃ~未来はない、時計の神様はクロノス(死神)だからね~知ってた!」
「時計業界の門をくぐるものは経済的成功を忘れろ!親兄弟巻き込んだ不幸の始まりだよ~」
各地で時計店を作ってきたがその都度入社希望者にはもう一度よく考えるように説得した。
自分の人生をもっと深く考えましょうという説得は今では正解だったと思う!

「店で時計を買う常連客は貴族社会で自分は社会から取り残された貧乏人!」ということを入社直後のリテーラー研修から思い知らされる。
また先輩の技術や知識ははるか遠く生涯追いつけないほどの差があるのがアホでもわかる。
新人は人間扱いされないし金も技術もない落ちこぼれだ。
そのような事情で入社直後にすぐに辞める人が多いので周辺は深くかかわらないような姿勢です。
お昼のお弁当もぽつんと一人で食べるのが5月6月の風景。

野球でいうといきなりメジャーリーグに入ったようなもので、日本の時計業界が世界のトップレベルだったことを実感させられます。
 周囲は秒単位の生産性が求められるのでいきなり邪魔者扱いになってしまう。
疲れ果ててスーツを着たまま寝てしまうし、食事を食べながら気が付くとうとうととしている。
給料日は雀の涙の日。大学生時代のほうがはるかに豊かだ。
おまけに一人前になる30歳まで3000万円の経費が掛かる会社のお荷物、無駄飯くらいだ!といわれて何のために大学まで出たのかと悩む。

それでも何とか人生やって来たが一番つらいのが64歳になった今でも毎年五月病、六月病、金欠病にかかってしまうことだ。
人生を棒に振ったかいなぁ~と思うがそれでも悔いはないと思い直します。思い切り失敗したほうが回避するよりましだ。
明日で五月はおしまい。

五月、ジプシー占い呪いのお告げの日が過ぎた直後から無駄使いが始まりました。
今まで仕入れを抑えていたのに電池、材料はいっぱい仕入れた。カップ麺は棚に入りきらないほど買ってしまう。
卵は10個入、パスタは業務用を買った。
海外でうかつに占い師にはかかわらないようにしましょうね~。
今年一年いつもの貧乏神様とお友達の日が続きますよ~。

それでも時計のお仕事は人に役に立つものだと1%の希望をもって頑張ります!
6月10日は時の記念日。
一歩前に進みましょう。










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時計師の京都時間「京の保証」

2019-05-28 09:08:40 | 時計修理

5月28日㈫先負。
昨日はスウオッチの集中日になりました。なぜかやたらとスウォッチが来た。
使用電池が特殊なものが多く電池交換の作業は簡単だが費用はかかる。
希少な電池を補充するのでスウォッチの電池交換を嫌がるお店は多い。

基本使い捨ての設計です。電池を入れて動かないものはあきらめてもらう「はかない時計」です。
開けたとたん電池から塩を噴いているものが多いのも敬遠される理由でしょう。
とりあえず端子を磨いて電池を入れてみるが無駄な作業になる。

時計が止まったら早めに電池交換をやっておきましょう。
スウォッチのモニター電池は液漏れが多いレナータ社。
あらかじめソニー、マクセル、セイコーの電池の替えておくことをお勧めします。
レナータ社は世界的にみるとましなほうです。時計が動いている間には液漏れは起きない。
これがアメリカ製なら目をつぶってしまう。「もっといいものを造れ~!」とトランプにクレームを言いたい。

特に時計電池の老舗マクセルは優秀。液漏れ保証をするほど製品に自信があるし実際液漏れを見たことがない。
ただし漏れていたら新しい電池を無料でくれるだけだ。時計修理費用の保証はないのでかしこく交換しましょう。

スウォッチはスキン以外の裏ブタは一般の人でも500円玉でかんたんに開けることができます。
中に入っている電池はレナータ社企画の3桁。377,364と書いてある。これは国産電池ならSR626SW、SR621SWの事です。
ヨドバシ、ビックカメラには判りやすいようにダブル表記で品揃えしています。
見つからない場合工房では電池の小売も500円からやっていますのでご利用ください。

時計を購入した際には保証書がついています。
これは即捨ててもいいのか?ちょうど保証期限の1年間が過ぎたころに壊れる。
お客は怒りを抑えて戻っていきます。中国製品にはこのパターンが多い。
また、時計の電池は工場でキャリバーを組んだ時点であらかじめ入れる。その後中国などケーシング先へ送って商品化します。
 数か月後、各国の販売店へ送るので当然その期間電池は消耗しています。
また初期のクオーツの精度は一定期間稼動させて安定化させるので電池を入れたほうがより精確になる特徴がある。

時計の中で高額な回転率の低い高級時計や長期間売れ残ったものは購入後早めに止まる。
時計は都会で買え!という残酷な事実もある。
私は量販店のバイヤーだったので「売れ残りかぁ~!」などとあらぬ疑いをかけられた経験が数多くある。
そこで一回目の電池交換は無料サービスをしていました。こんな店もあるのでやはりついている保証書は捨てないほうがいいでしょう。

明日は水曜日。工房は5時まで営業。ブログはお休みです。
水曜日だけがお休みと言う人が多い京都。お天気が晴れますようにお祈りしておりますね~。









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時計師の京都時間「京の無理時間」

2019-05-27 09:37:54 | 時計修理

5月27日月曜日。
五月から酷暑になってしまいました。
客数も少なく何となく損した気分でいっぱいな日曜日でした。
写真のシチズン・シャルマンも無事に電池交換を終えてお渡し済。結局シチズンから戻って工房で電池交換を済ませた。
ユーザーは電池交換料金1000円の出費で済んだのがせめてもの救い。時間をかけてしまい申し訳なかった。

次回から工房で済ませてしまいたい。
ただし電池交換だけでもメーカー修理を希望する人も結構多いのが現実です。
今回のようなぼったくり見積もりに思えるようなことにも素直に応じるのが日本人の特徴か?
ダイバーウオッチの電池交換にしてもいきなりケース交換しますというパターンが多い。
「PL法」の悪影響で消費者迷惑な時代なのだ。
T・HEUERの電池交換も防水テストができないだけで工房では1000円でやっています。
止まったままで電池から液漏れで使えなくなるよりまだましでしょう。
一度液漏れが始まると防水性が高いだけに液が入ったまま、悪さやり放題なのだ。

ところがクレームが怖いので一般の時計店ではお店での電池交換すら回避傾向。
世界的にクレームが厳しいのがイギリス人とドイツ人ケチな双璧。
グローバル社会です。
依頼されたことだけをやって後は知らん顔しましょう。
18金ケースをきれいに磨いたら目方が減る!とクレーム。リューズが錆びていたので替えたら「想い出のリューズだ。元に戻せ!」と言われた。
「電池交換の際に時計の中に入っていたスイスの空気が抜けた!」こんなクレームにうんざりなのだ。
日本人の善意が誤解される。余計なことはしないのに限る。

昨日閉店まじか木製の時計が来た。この手の木造時計はハワイ土産が多い。割れ易く要注意です。
ところが国内で使うとハワイより高温多湿の熱帯性気候。
すぐに木が湿気にやられてしまいます。今回も文字盤の木片が剥離して針と接触して止まっていました。

裏ブタのネジも1本欠落。他のネジもバカになっていました。裏ブタを開けるとケースが割れるので断念!
ハワイ土産はチョコかコーヒーだけにしましょう!という警告でした。

「亀の腹筋運動」「猫の猫背矯正」「大富豪の時計師」
所詮無理な夢なのだ。
 仲良くノンクレームで電池交換1000円をご利用くだされ~!



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時計師の京都時間「京のゆとり」

2019-05-26 09:52:23 | 時計修理

5月26日日曜日。三隣亡。
三隣亡の影響か今朝いきなりFAXが壊れた。予備の機械でバックアップして継続する。
メーカー代理店などいまだにFAXでの連絡に頼っているので常時電話機は二台準備しています。
ゆとりを持っていて成功。ただし今夜、営業後に電話機を買いに行くのが面倒だ。

この暑さでプチ熱中症にかかってしまう。
夕方チェロの練習中にいきなりぐったりと虚脱状態になった。
急に気温が高くなって調弦に余計に時間がかかった。C線からA線まで全部巻き直す。
おまけにスケールの練習中に弾いている最中に音が狂う。
音階の練習だけで1時間かかった。うんざりです。
チェロ、コントラバス、ハープ弦が長い楽器にとって地獄の季節が始まる。
ぐったりしながら知人のハープのお姉さまは大変だろうなぁ~と心配になる。チェロでこれだからね~。

こんな熱中症対策で常時ゆで卵とお茶を準備していたがこれが失敗!食べすぎてお腹が痛くなってしまう。
なんとか自宅へ戻りエビスビールを飲むとあっという間に回復した。
私にとってエビスビールは風邪にも効くようです。飲んで寝ると翌朝は元気になっています。魔法のビールだ。
京都で一番美味しいのは祇園祭の夏!一杯目のエビスビール。
昨夜は土曜日だったので祇園祭コンチキチンの練習日。これが聞こえる帰宅途中に暑さを忘れる耳福!の瞬間です。

夏になるとこれから時計のサイズ調整依頼が増えてきます。
残酷なほどの京の暑さで時計も痛む。腕周りプラス2センチでセットします。指が一本入る程度です。
男性用は6時側を多くとる、女性用は真中に時計が来るように調整。意外と難しいのだ。

中にはぴったりサイズが気持ちいい人もいるが時計にはよくない。頑固なロレックスと言えどもコマとコマの間が緩んできます。
時計がほしかったらニューヨーク五番街を歩け!道べたに時計が落ちている。
アメリカの時計職人への皮肉だ。それにしても五本とも全部太い親指のような手先の不器用なアメリカ人。
技術解説書には部品を指で触らずピンセットを使うことと書いてあった。なるほどと納得。

時計にも人にもゆとりは必要なのだ。
ロレックス、カルティエなど高級品のサイズ調整1000円、一般品500円です。
今日は三隣亡。ころばないようにお越しくだされ~。
夕方は6時半まで受け付けます。









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