京都 洛北の時計師 修理日記

時計修理工房「ヌーベル・パスティーシュ」京都の洛北に展開する時計修理物語。
夜久野高原で営業再開しました。

時計師の京都時間「京の高根の花」

2019-07-30 09:19:36 | 時計修理

7月30日火曜日。とうとう月末寸前まで来てしまった。
京都で時計は売れないものだ。全国チェーンのバイヤー時代にそんなことを嘆いていました。
特に7月は祇園祭の関係で客足が止まるので7月の売上予算は6月より低く設定します。

そんな7月の月末風景。明日は定休日にあたる水曜日ですが月末のため臨時営業の予定。
時計屋さんが月末の売り上げを作るためにあわててやってくるために休めない。
サイズ調整一つできない販売員がいるのも問題だが素人販売員にいきなり壊されるのも怖い。

昨日、閉店時間間際にタイメックの電池交換が来る。タイド(潮位)計付きのややこしいモデル。
まずバンドネジを緩めて取り外してから始めないと裏蓋が開けられない構造です。
どこの時計屋さんからも長年受付拒否されてやっと工房へたどり着いたようです。
リチウム電池のおかげで液漏れはしていないのが良かった。
それでも外見だけ立派な設計にはちょっと手こずりました。電池交換に20分もかかったのは久しぶりです。

「かかって来んかいぃ~!」最近元気よく気合を入れて仕事をしています。
京都より赤道近くの長崎県の炭鉱町でパンツ一枚とよれよれシャツ姿で育った私だ。夏は得意なのです。
そんな子供のころの写真が恥ずかしい。
「男の顔は不細工でよかとよ~!前に進むか後ろに進むかわかるために顔はあると!」長崎独特の美男子哲学がある。
男の顔は目立てばいいのだ。大きくて四角い顔は真っ暗な夜のイカ漁で目立つのがいい顔なのだ。

そんな下駄顔の田舎者が京都の「高嶺の花」にあこがれた。ところが絶対的な経済力・金がない!
そこでアルバイト帰りに香りだけ楽しみに祇園の町を歩き回っていました。

「涼風の 曲がりくねって きたりけり」一茶。
 台風の風でも貧乏長屋には優しく穏やかに変わって入ってくる。ましてお金は、、、。
学生時代こんな解釈をしていました。

写真はスイスの「高嶺の花」エーデルワイス。
明日は八坂神社・疫神社夏越祭り。大茅輪(おおちのわ)くぐりで厄払いの日。10時から開始。
祇園の芸舞妓さんたちが集まりますよ~。京の「高根の花」の皆さんです。
貧乏時計師は7回生まれ変わっても手に入らないでしょうね~。
そんな花があってもいいと思う。
上七軒の夏限定のビアガーデンで口をポカンと開けて見とれているだけで満足なのだ。

今日は「涼風」が期待できない暑さになりそうです。
京都の風は夏は大きく入って来れない、冬は小さいので隙間からでも自由に入れる貧乏工房。
お待ちしております。





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時計師の京都時間「京の立命時間」

2019-07-29 09:44:46 | 時計修理

7月29日月曜日。29日だから肉の日だそうです。
私は牛肉アレルギーなので今日は無関係な日。

昨日久々に立命館の校歌を聞きました。
あれ~どこかで聞いたことがある曲だ。半信半疑で聞いていると校歌じゃないか!
「あかきちしおぅ~むね~にみ~ちてぇ~♪」
「立命館宇治高校」が念願の甲子園出場を決めました。おめでとうございます。
体罰教育がない立命館です。ここまで来るのは大変だったことでしょう。
私が大学入学のころは学園闘争が激しかったころ、どこの大学でも体育会は右翼系の学生が主体になっての予算配分。
立命館大学は珍しい左翼系の学生が仕切っていた時代です。
すべて静かに話し合いで結論を出す。暴力的な指導はない。
体罰教育が当たり前のパワハラ指導の長崎から進学した。その文化の違いに天地がひっくり返るように驚いた。
京都の先生のなかで一番狂暴なのが茶道の先生でしたね~。

「安心立命」人事を尽くして心安らかに天命を待つ立命館OBのテーマ。
ほかの人たちから見ると感情を表に出さないので冷たい印象を受けるようです。

昨日の試合でも球場の半分は負けたチームの応援団です。
「負けた痛みを思え!」が鉄則。
「勝つことはもちろん目標ですがそれはサードチョイスそれ以上に大切な物がある。これをスポーツで学ぶのです。」と丁寧に指導されてきた。
はしゃぐことのないようにハラハラと祈る気分でラジオを聴いていましたが取り越し苦労で終わってほっとしました。
あと五回ほどこの校歌を聞きくと高校野球の世界も変わるのではないかと思う。

「女房に もってみれば すべて夢」一茶。
どんな美しい女性でも結婚してみれば、昔惚れていたころが夢のようだの意味。
再婚を繰り返した一茶の名言、名句。
「馬鹿オヤジ もってみれば すべて夢」うちの嫁さん。

同じように好きで憧れ買った高級時計。
無理して買った時計が失望に変わるのは当たり前。時間の問題です。
時計売り場のベテランはのぼせ上ったお客に冷や水をかけるように説得します。
売上が欲しいときにそばで聞いているとハラハラする。

「ロレックスは重いので肩は凝るし日本人向きではない。腕が細いので手の甲を傷めます。週に2分は進む自動巻き、秒単位のお仕事の人はこの時計はやめてクオーツ時計を勧めます。
とにかく使いずらい、金曜日において月曜日に使うと時計は止まっています。忙しい朝に時刻合わせが煩わしいものです。高額な時計を買ってしまった後悔の日が必ずやってきますよ~。これをやめると海外旅行に行けます。」
すべて悪口ばっかりネガティブな接客に呆れます。
ところがこの人が売る時計はクレームはゼロ。不思議な販売員でした。

「安心立命」
人事を尽くして心穏やかに天命を待つ。
貧乏時計師の月末は悲惨だ。
今月の支払いをすべて終えて、恨みつらみばかりのくよくよ時計師なのじゃ~。
この域に達成できるのはいつの日になるでしょうかね~?



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時計師の京都時間「京の休日」

2019-07-28 09:10:30 | 時計修理

7月28日日曜日。昨日は土用の丑。ウナギは食べられなかった。
賀茂川沿いに歩いているとミミズさんがぞろぞろと顔を出しています。なんとももったいない。
子供のころこのミミズを餌にするとウナギが釣り放題のようにかかった。
ミミズは畑の神様なので農家の人はミミズを探し回っている子供たちにいい顔をしない。ミミズは貴重品でした。

問題はウナギが高価な食品になってしまい貧乏時計師は食べられない。
「この門をくぐる者は経済的成功はあきらめよ!」会社の寮に入った直後に告げられた。
つまり薄給のうえ365日出勤を覚悟してほしいということ。
日本でもスイスでも年収は300万円程度が平均になるのでそれ以上の収入を狙うならすぐに辞めることです。

ただし一定の期間技術を取得すると世界中で尊敬されたうえ仕事が保証される。
何となく宗教染みた洗礼を受けるが環境はさらに悪化しています。

 日本製の時計は安物しか売れない。質は良くて安価な日本製時計が求められる。
さらにバジェット部門は中国製のマーケとゾーンになっているので出荷数でも勝負はできません。
時代は変わったが低賃金、長時間労働の習慣だけが残った形だ。

京の伝統工芸品は高級時計と同じ「一品もの」の世界。
マーケットはパースンTOパーソンゾーンになります。カルティエ、ブルガリなどと同じ富裕層がターゲットです。
ところが2000年以降このゾーンに参入する業種が急激に増えた。
「プレスティージ」というフランス語があらゆるところで聞かれます。平成時代に一番格落ちしたのがこの言葉。
たった50年でスラム化するマンション、レトルトパックのファスト食品、使い捨て家電製品がプレスティージかいなぁ~!と思う。
時計の仕事は「プレスティージ」ゾーンだったのだが一緒に格落ちして軽くなりました。

製品を作り出すためには技術の習得時間が10年以上の経験値が必要なのだ。
盆正月以外仕事に没頭して10年ということ。
私のようなサウスポーやら不器用な者はさらに時間がかかる。

ちなみにチェロ演奏者でN響の藤森亮一さん。(堀川高校主席卒)
彼はウエルナーの教本1,2を1年でこなしました。私が知る限り最速。私は3年かかって途中で挫折、20年後に何とかこなした。
実力の世界はこんなものです。

時計の業界への入門希望者があとを絶たないという。
ただし「年間休日」「「年収」の質問が多いのでがっかり。返答に困ることが多いという。
時計学校では卒業まで300万円ほどかかるのである意味こんな質問が来るのもしょうがないと思う。
ちなみに精密ドライバーを無駄なく研ぎあげるまで3年かかかります。
40年近くかかっても「プレスティージ」ゾーンへ登る途中の私です。
この世界はすべてを犠牲にしても面白い世界なのだと思う。土用のウナギはあきらめた。

「京アニ」の犠牲者が35名に増えたそうです。
物つくりの世界で長いチャレンジ時間の結果世界のトップクラスに上り詰めた。そんな人たちが亡くなりました。
犠牲者の数がただの数字として記憶から消えていくのかと思うとつらいものがある。
ここは京都なので悲しみは深い。
 工房でもバッハ「荘厳ミサ曲」で一日を終えています。

今日は上賀茂神社の「手造り市」開催日。
「ものつくり」は面白いのだ。





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時計師の京都時間「京の魔の刻」

2019-07-27 09:22:40 | 時計修理

7月27日土曜日。
台風一過の何となく晴れの日。
祇園祭の巡行も終わって夏バテで気合が入らない土曜日。
こんな時に魔が差します。
昨日危うく修理後の時間合わせで1時間セットを間違うところでした。
お客さんにそのまま渡すと不良品扱いになってしまいます。かなり怒ってくることが多い。
時刻合わは悪魔のように細心に秒単位作業を進めましょう。
客のクレームには天使のような大胆さで対応するとあっという間に客は逃げていきます。
やはり時計屋は悪魔を参考にしるお仕事です。

「魔」の時間。
最近は魔の仲間の「睡魔」が襲ってきます。お昼すぎ羊の刻ころあっという間にコックリコックリと居眠り、悪夢の失敗の夢を見てしまう。
やれやれぇ~分解掃除完成後に机を見るとネジは一本転がってハッとして目が覚める。

悪魔が出てくるのがウイッチアワー・魔女時間。これは世界共通の丑三つ刻の午前2~4時前後です。
この時間帯に近所のゲストハウスから中国人観光客の甲高い叫び声で目が覚める。
窓を開けて寝るので下京区の夏の夜は観光災害が起きます。中国人は一体何時間寝るのか?不思議だ。

京都では「牛の刻参り」も伝統的に行われているようで神社の関係者は夏は早起きをして一般の参拝客が来ないうちに見回りをする。
4時前に回るとうっかり出会ってしまうこともあるそうで日ノ出後の5時過ぎに見回るのがコツらしい。
そんなことでどうしても羊の刻には睡魔がやってくる。
恨みつらみの世界は恐ろしい。

韓国の文政権、自国の不満を外敵に向かわせる発展途上国の常道手法で返り討ちに遭って失敗。さらにおバカな「東京オリンピック」ボイコットで脅してきた。
逆恨みはあかんよ~。韓国国民がかわいそうでしょうがない。「ホワイト国」から「ブラック国」になってしまう。
これは悪魔のような失敗じゃ~!

京都で怖いのが「逢魔が刻の使い」でしょう。夕方5時~7時前後の一瞬でこれにやられる。
やぶ蚊が悪魔の使いなのだ。
時計の電池交換最中に指先をちゅうちゅう吸っているのがルーペで見える。お腹が膨らんでくるのが悔しい。
またマブタをさすやつもいる。
仕事が終わって鏡を見るとお岩さん状態です。かゆみ止めのキンカンをマブタに塗るとさらに悲劇が起きます。
梅雨が長かったせいかやぶ蚊の被害は先日の梅雨明けから始まりましたが例年よりかなり遅い気がします。

「魔」の仲間で「魔性の京おんな」は怖い!
時折高級時計の電池交換を持ち込む豪華キラキラの女性客はお得意です。
お客からプレゼントでもらった換金率の高いモデル。これで最近のリセールバリューの情報がわかります。
「電池交換して動かしてないと買取価格が違ってくる」そうです。
工房ではブルガリ、カルティエ、エルメスを電池交換料金は1000円だがそれ以上の価格になるので元が取れる。
やはり魔性の「京おんな」は悪魔のように細心な金銭感覚の持ち主なのだ。

今日も明日も通常通りの営業時間です。
お待ちしております。




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時計師の京都時間「京のそこそこ時間」

2019-07-26 09:22:32 | 時計修理

7月26日金曜日。明日は土用の丑の日だとNHKが言う。NHKから国民を守ってほしい。
ウナギは高いし鱧はもっと高い。昨日運送費や来月分の定期代を払ってしまったので貧乏生活が戻ってきました。
土用の丑の日は聞かなかったことにする。聴かなかったらなんとなく忘れる。

この時期、掛時計の修理依頼が多い。「遅れる」という。
こんな時にはエアコンの風にご注意ください。冷風は高いところへ向かうよう設定されています。
直接冷風が当たると掛時計の電池の電圧は下がって止まってしまいます。真冬にクオーツ時計が使えなくなる理論と同じ。
時計修理工房にもうんざり問い合わせが増える頃です。
おかしいと思ったら一度床に置いてみてください。また電池を取り換えるのもいいと思います。

祇園祭の行事もあとは31日の夏越祭りだけになりました。
次は「京の七夕」「五山の送り火」とイベントが続きます。
そのたびに財布が軽くなる。なんとなくお祭りのためだけに仕事をしてるような気分になる。

京産大出身の友人は夏が主役になる。京産大というと物理学部の天文学が有名。
阪神タイガース元監督の星野さんの話まで星が付く分野なら得意だ。

夏の立命館というと土木だ。この暑い京都でU字管掘りの実習があります。熱波の京都で道路の側溝用のU菅が掘れたら一人前なのだ。
京大の夏は農学部、卒業後には祇園祭やらをテーマに小説を書いたベストセラー作家の卒業生がいるほど夏の実習林が好き。

同志社は近所に住む宗旦狐が経営相談をやっていたという歴史がある経済学部でしょう。
「開運の神様」と「キリスト」がセットの大学なんてめったにない。近所の御所お化けの話で夏は涼しい。

それぞれ京都の大学の中でも夕焼けが見事な名所の京産大。学部すべてが京都市内にあるので連絡には便利。
時折校舎がある神山から降りてくる。三条河原でモアイ像のように星を見つめるポーズなら京産大の学生さんなのだ。そのうち鴨川に落ちる。

「そこそこ」京都時間。
そこそこに引き上げるのが京都人の得意技です。
私は長崎人なので何年たってもこれがまねをできない。居酒屋でも最後の最後までへばりついてしまいます。
仲間が飲み残した日本酒、ビール、水割りを集めて「バッカス酒」を造り神様に感謝して最後の一滴を飲み干すのが長崎人。
なぜか長崎地方ではお酒を残さないのだ。
おかげで小学生のころから宴会残りの日本酒を使う鯛茶漬けで育ちます。
おかげで昨日はフラフラめまいが止まらない。これを熱中症にしてごまかしてしまいます。

工房の名前は「ヌーベル・パスティーシュ」時計修理工房。
「パスティーシュ」は本来音楽用語でリメイクの意味です。
もう一つ「とても飲めないような三番絞りの安ワインにウイキョウを入れた酒パスティス」の意味がある。
夏は後者が店の名前になるほど飲み会が多い。

今日も6時半受付7時まで営業になります。
6時半までに来なかったらとっとと居酒屋へ向かいますので時間厳守でお願いいたします。







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