京都 洛北の時計師 修理日記

時計修理工房「ヌーベル・パスティーシュ」京都の洛北に展開する時計修理物語。
夜久野高原で営業再開しました。

時計師の京都時間「京の退却戦」

2021-06-22 09:34:06 | 時計修理

6月22日火曜日。ヌーベル・パスティシュ時計修理工房は今日で終わりの日。新店の出店より閉鎖作業のほうがつらいものです。戦国時代でも「しんがり」敗退戦が重要だったように敗退戦でその会社のカラーが出てくるので気が抜けない。盛岡、秋田、札幌、富山、愛知一宮、豊田など閉店の専門家?「でかいトイレットペーパー」穴拭きバイヤーと言われる日々、売れ残り在庫処理で必ず直面することになる。最後のたな卸しでは解雇される従業員は一食触発爆発寸前、「あんたは社長のゴマをすっていりゃ~いいのだから気が楽だな」などど華やかな仕入れの仕事の裏に凄惨な業務がある。また、最後まで残って閉店作業を手伝ってくれたひとがその後亡くなったり悔しくて涙も出ない。ヌーベル・パスティーシュ時計工房はそんな名前のない人たち記憶のオマージュでもあるので簡単につぶせない。

新型コロナの影響か?あちこちで閉店告知の張り紙が目立ちます。何処も大変なのだね~!「気楽に閉店できる業種はまだいい、借金で閉店もできない」と書店のオヤジが言う。それにしてもこのボーナスシーズンの6月に時計関連の本が売れなくなったそうだ。

明日から移転のための準備に入り28日に引越し。長崎南島原工房は8月までに開ける予定になっています。6月に入ると雑誌が売れていよいよ時計の繁忙期に入ります。タイミングよく京都大丸さんでは時計フェア開催、さすがにぬけめない。高額時計から売れていく夏の繁忙期です。

時計の修理部門は8月になると忙しくなるのでそれまで準備しないといけない。時計製作工房は床が命です。気がおかしくなるほど水平にこだわるので壁などはどうでもよいのだ。時計旋盤など重量物の補強のため床に入り込むので今からちょっとうんざりしています。

まぁ~受け入れ準備が出来たらこのブログでお知らせしますのでしばらくお待ちください。それではしばらくさようなら~。

 

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時計師の京都時間「京の都落ち時間」

2021-06-21 08:59:05 | 時計修理

6月21日月曜日。仏滅時間

工房も残り一日になりました。連日お客様からなぜなぜ~?のお問い合わせにおおろおろしています。確かに工房は繁盛店で黒字ではある。前職の「ウオッチマン」時計販売会社を辞めたときによく似ています。国内トップクラスの売上を誇る年間90億円超の大企業のバイヤーをあっさり辞めて京都に戻った。ましてトヨタグループの連結会社です。「この会社は3年持たない!」と大騒ぎして辞めたころに似ています。

今回もコロナの悪影響と言うよりコロナのせいにして経営方針の転換と言ったほうがわかりやすい。時代の流れで時計師は仕事に自信を持てない時代なのだ。

時計業界もグローバリズムの影響を受けた結果、国産時計、スイス時計というカテゴリーは消えた。ほとんど中国の部品を採用、また生産地まで中国に切り替えているのは今まで報告したところです。また中国企業がスイスブランドごと買い取る手法も目立ってきた。

つまり昭和時代の時計師の私、危ない不良品を何とかごまかしながら支えている仕事のが正直なところです。たとえばセイコー、シチズンの廉価版ではベルトのコマをコイルのバネに棒を通して繋いでいます。釣り、ゴルフなど塩水や汗に漬かるとあっさりと錆びて落ちる。「お前に調節してもらった時計が突然外れて海に落ちた!」こんなクレームが相次ぐので従来の松葉ピンに替えてお渡しするなど工夫が必要なのです。電池交換ひとつにしても旋盤くずを一つ一つ探しながら拾い上げる。昭和のセイコー、シチズンならこの時点で不良品なのだ。それをお客様は知らない、昔どおりのブランドへの信頼性が業界人としてうしろめたい。ドイツ製のモデルも同じ「これは中国製ですよ~!」と告げるのもつらいものです。

23日からこんな言い訳もしなくていい。「3日以内に止まったら1100円お返ししますよ~」動き出して中に入っていた旋盤くずがローターに入リ込み止まる悲劇は頻繁に置きます。自分の仕事に自信が持てない。昭和時代にこんな時代が来るとは思いもしなかった、こんな事故にも免責だぁ~。とグダグダと言うよりあっさり都落ちを選択しました。

明日いっぱいがんばりますよ~。お待ちしております。

 

 

 

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時計師の京都時間「京の父の日時間」

2021-06-20 09:27:08 | 時計修理

6月20日日曜日。工房終了まで3日。

今日は父の日。日本から父親が消えた気がする。日曜日朝テレビに映る政治家の顔をいていると貧相な金の亡者か貧乏神の集合番組?オリンピックの票を億単位の裏金で買ったのがもったいなくてしがみつく貧相な姿がなんとも見苦しい。

今日は父の日。私もなんとも間が悪い日です。父親の功績、恩は死んでから解る。それまでオヤジは邪魔でしかない存在でしょう。粗大ゴミ扱い、あるときは銀行のCD機だ。二児の父親ですがなんとも居場所がない日なのだ。

たとえば母は仏教の慈愛にあふれる仏様なので母の日は大盛況、父親は神社の神様、厳父なのだ。「敬え!」と言われてもね~。毎日ご飯を作れるわけでもないし効果が見えない存在でしょう。ちなみに時計の神様は(ゼウスの父親)クロノス。大きなカマを持った死神の姿で有名。「お前も死ぬんだぞ~!」と時間が過ぎることを教える厳しさがあります。嫌われても人気あふれる存在ではない。「不要不急」の存在なのだ父親と時計は。

昨日、お客様から資料をいただいてオリエント時計「オリエント・スター」が70周年だと教えていただいた。工房を準備していた13年前、工具や電池関連の材料の調達先が馴染みのあるオリエント時計でした。「70年かぁ~?」機械式時計にこだわったメーカー、近年主要な海外輸出先の中東が政情不安なこともあって売上不振、とうとうセイコー・エプソンの傘下に入った。

なぜ中東で売れたのと時計の歴史講義編。クオーツ時計の電池は23度が適正気温、それが60度の高温にさらされる地域では電池は持たない。また極北の零下の地域も電圧が上がらないので持たない。そこでオリエント時計の機械式モデルの需要があります。廉価で故障が少ない日本製品は人気です。

昔、トルコイスタンブールのホテル、エアコンが効いているのに室温30度以上の中で私もオリエント・モンビジュを使っていました。とにかく70周年おめでとうございます!

クオーツ時計を車の中に放置しないでくださいね~。今日の気温でも車内の温度は70度近く上がります。電池が破裂することもあるので危険な日ですよ~。今日も6時まで営業しています。まもなく工房を閉めると言ってもお客様は相変わらず一定なのだ。だから閉店セールのやりようがないのも時計屋さんなの特長なのだね~。

 

 

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時計師の京都時間「京の都落ち時間」

2021-06-19 09:12:38 | 時計修理

6月19日土曜日。今日を入れて残り3日の営業日数になりました。

コロナ禍の影響で毎日閑古鳥の日々が続きます。時計が「不要不急」のアイテムに指定される時代が来るとは想像できませんでした。私の社会貢献できる唯一のお仕事として人生が失敗に終わったようです。洗浄材「トルクレン」「ベンジン」の影響か歯質が弱くなって奥歯にいつもなにか挟まったようで、眼は白内障、網膜はく離でお日様がまぶしすぎる。とうとう童話「おじいさんのランプ」の時計バージョン、賀茂川べりから時計を投げ捨てる時期が来ました!

巡幸中止祇園祭の山鉾建てをやると言う。いい判断でした!技術継承というより作業にかかわる人たちの生活を守る目的なのだ。がんばってコロナ期間をしのいでほしいものです。そもそも遊びのオリンピックをやって神事の祇園祭を中止する判断がおかしい。

「時計業界」も冬眠。スイス在住の商社の皆さんも帰国、昨年からさらにひどくなった状況で部品の手配はつかないままだ。コロナ禍騒ぎが終わったとしても再びヨーロッパの時計業界が起動に乗るまで3年かかるとの予想します。また、ドイツ、デンマークなどのスント、チェッペリンなどケーシングは中国。つまり中国製だ。代表的なドイツのメルケルおばさんはどっぷりチャイナマネー漬物状態、時計に限らずあらゆる分野で中国で大もうけ状態でしょう。メイド・イン・ドチャイナ製品を触るのが怖い。その中国からの貨物だけが流通しているのだ。注意したいのがドイツ製の顔をしてるのにうかつにウラブタをあけると再びうまくしまらない!

そんなわけで爺さん時計師が賀茂川べりから一つ一つ投げ捨てる姿を見かけることでしょう。よ~っくみると捨てているのはケーシング・チャイナの時計だけ!なのさ~。

22日で工房はさみしく終了!雲仙岳のふもとの南島原工房へ移動しますよ~。移転する前「居酒屋神馬」「京都ハナビ」など京の一人酒・居酒屋文化が廃れる前一度寄りたかったね~。政治家はひどいことをするな~と思う。

 

 

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時計師の京都時間「京の後始末」

2021-06-13 09:10:42 | 時計修理

6月13日日曜日。雨。

今週は雨の日でスタート。工房も残り1週間ほどになりました。

閉店の22日までしっかりと営業します。先日もお知らせしましたが今週の営業時間はイレギュラーになります。15日はコロナワクチン接種のため11時から休憩、また翌水曜日は歯科通院のため10時半からほぼ午前中はお休み。

13年間営業の後始末の時間が長く感じます。機械式時計の預かり修理の予約は2月から停止しています。また今までのお預かり品はなんとか全てお返ししました。

「お宅に預けていた時計はどうなったのかな~?」時折、認知症のお客様がやってきます。また「あそこの店に預けた時計がなくなった!」と悪口を言う人も多い。実際「預けてていたブレスレットのチェーンを短くされて返された!盗ったチェーンを返せ!」と認知症のおばあさんの激しいクレームで警察沙汰になったこともある。首も細かった娘時代のころには胸元まであった長さが今では牛の首状態で猫の首輪状態になっていました。預かった折に写真を撮っていたことが幸い、ヒヤッとした一瞬でした。その後ご家族から一言でもお詫びの言葉もない、残念に思う。

私の母親も認知症とギャンブル依存症が重なっていたので他人事ではない。毎月、介護施設、入院先病院からトンボ帰りのゼロ泊三日の旅。京都駅八条口の夜行バス乗り場からさらに9系統に乗り換え工房まで直行したことも昔話になりました。今ではなじみの「長崎オランダ号」夜行バスも現在コロナの影響で運休が続いています。いつ終わるかと長い介護生活を続けている皆さんの気持ちを思うと後ろめたい気持ちになるしこんなときにオリンピックか?とおもう。

移転理由に自分の娘たちにこのような思いをさせたくないこともある。工房を長く営業している間に突然ぽっくり逝ってしまったら後始末が大変です。即、月10万円以上の維持費が発生する。後始末で認知症のお客様やお金目当てに脅してくる人が多いのも事実。13年前、工房を開けたときにバイヤー時代の前職「ウオッチマン」で買ったと言ってコピー品を持ってくるなどあの手この手の詐欺まがいの人も来る、毎日工房に行くのがつらい日々が続きました。新しい工房の移転先で一般のお客様をお断りするのもこのような事情がある。家族に迷惑を掛けたくないのだ。

移転先の南島原では温泉に連泊するちょっと贅沢を予定しています。介護生活の合間に利用したビジネスホテル。窓から有明海の夕日が見える部屋をお願いした。母親の3回忌も済ませ今回この夕日を見てどのような気持ちになるか?楽しみではあります。

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