この夏、天然コケッコー

2007-07-24 00:00:17 | 映画・演劇・Video
248e530a.jpg7月28日から「全国順次ロードショー」の「天然コケッコー」の試写会に行く。大満足!!

もちろん、細かな部分のアラもあるのだが、全体として素晴らしい映画だ。日本海に面した島根県の農村が舞台。全校6人の中学校に、東京から転校生の大沢君(岡田将生)がやってくる。中学2年の夏。訳ありの母親と一緒にだ。もう一人の二年生、右田そよちゃん(夏帆)との中学生らしい交際が始まっていく。

そして、夏祭り、東京への修学旅行、さらに高校受験というさまざまなステップを通して、徐々に二人の気持ちが同じ方向に向かっていく。

実は、この映画は、一見、青春物語のようなのだが、古典ギリシア劇のような、いくつかの対立軸を内在させている。「都会と農村」、「生と死」、「家族の和と不倫」。そして、うっすらと感じる「若さと老い」なのかもしれない。小さな中学校もその下の小学校も、何年か先には、無人となり廃校となるだろうことが語られる。


しかし、この映画、農村が舞台であるため、空や海、そして田畑が美しい色彩でスクリーンを彩るのだが、実は、少し油断ならないところがある。冒頭で不吉なシーンがあるわけだ。以前、飛び降り自殺のあった橋が登場し、右田そよは霊にまとわりつかれてしまう。そのシーン自体は、プロットの中で一応完結するのだが、この映画の底の方に流れる深層海流のように、結末での「悲劇性」を予感させるわけだ。特に、修学旅行で東京に上京した時に、都庁前の広場(二階)と道路面(一階)との間の手摺が、一瞬、橋の欄干のように見えるシーンがあって、「はっ」としてしまう。

私自身も、この美しい映画が「悲劇」で終わるのではないか、と一抹の不安を感じていた。どうも、パヴェーゼの「美しい夏」のようなギリシア悲劇をベースにした西洋主義に毒されていたのかもしれない。結果は、まったく「心配無用」ということだった。最終的に、中学卒業と同時に東京の高校に逃走しようとしていた大沢君は右田そよさんのフェロモン攻撃の前に、くもの糸に巻き取られてしまうわけだ(書き過ぎかな)。


ところで、この映画のロケは、このたび、めでたく世界遺産に逆転指名された石見で行われていた(映画の中では石見の地名は出てこない)。何という商魂と言うべきか、『「天然コケッコー」ロケ地巡りツアー』が始まった。「ゆこゆこおしゃれ旅」で有名な(というか知らない)旅行計画株式会社の45800円のツアー(1泊2日)だ。

もちろん、ツアーに参加しても、中学二年生と恋愛ができるわけではない。そのオカネを東京で・・・・・・(以下省略)。


しかし、大沢広海君の役を演じる助演の岡田将生君は、いかにもカッコイイ過ぎだ。どうも「おかだ」とか「おおさわ」というのはそういうカッコイイ役によく登場する名前なのだが、同じような苗字でも「おおた」というのは、たいていは「犯人役」なのだ。

blog改善のため、再チャレンジ始めました。

↓GOODなブログと思われたら、プリーズ・クリック




↓BADなブログと思われたら、プリーズ・クリック