クリムト展(東京都美術館)

2019-06-30 00:00:00 | 美術館・博物館・工芸品
今年、さまざまな展覧会のうち最大の衝撃が、クリムト展かもしれない。19世紀末のウィーンを代表する画家グスタフ・クリムト(1862‐1918)の作品が大量にやってきた。東京都美術館と豊田美術館を回る。



少しだけ時代背景だが、1873年にウィーンで万博が開かれる。それを機に一気にバブルが起きたわけだ。そして、五輪も万博もいつものことだが、開催されるときにはすべての工事が終わっているためバブルがはじける。そして大不況に突入したわけだ。クリムトが画家として立つときは、もはや経済が崩壊感覚だった。
ところが、そういうときに限って、クリムトのような耽美的で金色に拘る画家が現れる。哲学なのか耽美なのか。そもそもクリムトはモデルを中心とした女性たちとハーレム生活を送っていて、こどもの数は14人と言われる。一方、妻はいない。何が魅力なのかわからない。たいした風貌ではなく、加藤ヒフミンに似ている。横70%に縮小するとそっくりだ。



『女の三世代』『ユディットⅠ』など有名作が来ている。

また『ベートーヴェン・フリーズ』という壁画だが、ようするにベートーヴェン記念館の壁画なのだ。サイズ感もよくわからなかったが、今回、模造品で再現されている。

しかし、この金色の氾濫。一枚欲しいな。絵葉書を拡大コピーすればいい。

解けてうれしい7手詰(上)

2019-06-29 00:00:01 | しょうぎ
将棋を孫に伝える会の発行の『解けてうれしい7手詰(上)』を解く。(上)ということは、(中)か(下)が次に出版されるとは思うが・・・



以前から思っているのだが7手詰というのは作るのが苦手なのだ。5手詰なら好手2つ、9手詰なら好手3つというのが決まりのようなものだが、7手詰で好手2つは少ないし3つ入れるのは難しい。さらに持ち駒の枚数から手順を推定されることもある。持駒3枚だと、途中で駒を取る手はない。持駒4枚だと、駒を打つ手だけである。

以前、どこかのテレビで羽生さんが詰将棋の解き方として、持駒の枚数とか、意味が簡単に分からない駒の配置とかから推測すればいいという主旨の発言をしていたが、そういう鬼解答者を惑わせるような技を使うと「せこい」と言われる。歩で事足るのに香車の直打ちとか、一見して駒が多い場所と違う場所に王様を無筋で追う順を作ったりする。

本問題集には、そういう怪しい手はないので、安心して解けるはずだ。


さて、6月15日出題作の解答。

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少し解説すると、2手目に△2二玉には▲2一桂成 △1三玉 ▲3三飛成。これに対して△2三歩(香桂角)は▲2二竜 △2四玉 ▲3三馬まで。△2三金は▲同竜△同玉▲3三馬△1三玉▲2三金まで11手詰。

5手目▲4四馬に対し、中合いなしは早詰め。△3三角(金銀)は、▲同馬△2二飛▲3二角(金銀)以下。ということで△3三桂合となる。

動く将棋盤は、こちら


今週の問題。

0629mm


素朴な手や見えにくい手など。やや常識的な終焉。

わかったと思われた方は、コメント欄に最終手と総手数とご意見をいただければ、正誤判定します。




トマトでカラフル

2019-06-28 00:00:47 | あじ
令和1号ともいえる台風3号が近づいたので、あわててミニトマト(と一部のブルーベリー)の収穫をした。品種は『アイコ』。現在の皇女さまと同じ名称だ。

春のJAまつりで、事実上無料で赤トマトと黄トマトの2本を入手。プランターに植えて、いたら次々に結実している。このアイコだが、通常のミニトマトや大きなトマトと異なるのは果実がやや固いこと。逆に言うと水っぽくないわけだ。トマトは普段はよく噛んで食べるものではないが、これはよく噛むことができる。歯のない人には辛いが、歯がしっかりしている人には食感がいいということだろうか。



トマトは脇芽をもぎ取らないといけないが、ミニトマトはそもそも上に成長させるものではないので、どうでも良いらしい。まったくシロート向きなのだ。台風の後、どうなっているのだろう。

ところで、トマトに現存の皇室の方の名前をつける大胆さにならって皇室の話だが、先週、高輪プリンスホテルで開かれたANAの株主総会に行くのに、高輪台駅から歩いたのだが、途中に、いわゆる旧高松宮邸がある。この名称、正しいのだが、少し複雑。この場所に上皇さまが1年半仮住まいすることになっている。ようするに、上皇の住んでいる家と新天皇(前皇太子)が住んでいる家を交換するのだが、そのまえに、それぞれの家をリフレッシュする必要があり、そのために仮住まいが必要になるので、高輪の皇室邸に少し手を入れて利用しようということ。

実際には、戦後、この土地は高松宮個人所有になっていたそうで、その後、半分を生活費のため国に売却、さらに残りの9割を夫人が相続税として物納した。さらに夫人がなくなられた後、残り1割(1800㎡)を相続人が民間に売却。結局9割については国の資産になっている。

そして、この建物の改修としては、水回りや空調、電気設備ということだったそうだが、すでに工事は始まっていて、フェンス越しに覗くと、建物の解体が行われている。計画とちょっと違うような気もする。さらに、『埋蔵品発掘調査中』という掲示も見受けられる。旧細川家の屋敷ということなのでお宝があるのかな。ブルで踏みつぶしてなかったことにはできないだろう。いずれは誰か女性宮家の邸宅になるということだろうか。

ブラジル特報

2019-06-27 00:00:04 | 市民A
先日、神田周辺にいたのだが、『ブラジル特報』という雑誌を入手した。一般社団法人日本ブラジル中央協会が発行しているのだが、NO.1650号、2019年5月号となっている。通常の雑誌では信じられないほど大きな数字が号数に記載されている。5月号というのだから月刊誌だろうが、1650÷12=137.5。戦時中のことはわからないが、少なくても1881年以前からになる。つまり移民が本格的になった頃からということで、この協会もその時からなのだろう。

記事も興味深いものが多いのだが、2019年1月に就任したボルソナール大統領の支持が急落していることや、社会保障制度改革のことが驚くべき内容になっている。まず、ブラジルだが、少し前までは左翼政権だった。といっても社会主義国ではないので知れているのだが貧富の格差縮小策をたくさんやっていた。ところがボルソナール氏は政治的にはナショナリストの一方、経済的には自由貿易支持者ではないわけだ。つまりトランプチルドレンということ。このため、政策に一貫性がなく、社会保証では、年金制度に手を入れて人気凋落したらしい。



まず、年金の企業負担だが、企業がリストラを行うと、リストラした社員の年金分の4割を企業が払い続けることになっていたルールをやめるそうだ。確かに辞めた社員の分をずっと払うというのは日本以上と思うが、これでリストラしやすくなったそうだ。さらに受給開始が現在は、一般人の場合、男65、女60、公務員は男60、女55というものを一般人も公務員も男65、女62にする、というものだそうだ。いずれにしても日本に比べて大甘だったわけだし、女性と公務員に甘かったわけだ。当然ながら女性と公務員からは支持を得られない。

支持率は当選直後の1月が49%、2月は39%、3月は34%ということだそうだ。

それと日系人の日本語離れが進んでいるそうだ。良いことか悪いことか判断はつかない。また非日系人の日本語熱があるそうで、学習者の意見では「日本語は易しい。なんでも『〇〇は△△です』といえば通じる」ということだ。これも判断しかねる。



それと憲法のこと。現在は七つ目だそうだ。一つ目は明治憲法と同様に皇帝への権限集中型のもので、その後も政権が右の端と左の端を往復するものだから、憲法を変えないと政策に対応できないわけだ。

そもそも日本では野党が憲法を変えるなといい、与党が変えるという稀な国であることがわかるわけだ。それだけ政策の幅が少ないと言えるのだが、右端と左端を往復する国は、その都度、大量の強烈反対者が大騒ぎしてしまうということなのだろう。考えてみれば韓国式だ。さらに考えると、最近の米国の政権だが、韓国に似ているような気がする。韓国が米国に似たのではなく、その逆ではないだろうかと疑うわけだ。

日産自動車株主総会

2019-06-26 00:00:48 | 企業抗争
昨年に続き、泡沫株主として横浜本社の近くにあるパシフィコ国際会議場での株主総会に出席。毎年ながらのマンモス株主総会だ。ただし、今年は主役が変わった。

直前まで、ルノーが棄権するだの様々な動きがあったようで、ルノーの首脳も、日産の首脳も、またルノー株主のフランス政府も、また突然合併を模索したフィアットクライスラーもそれぞれが秘密主義と疑心暗鬼の中で動くので、真実はわからないまま今日を迎えたということだろうか。



3週間ほど前に送られてきた議案書だが、議案が変わったらどうするのだろうと心配していたが、そういうことにはならなかった。また例年、総会開催中は撮影禁止なので、開催前に一枚撮影したのだが、実際には総会はインターネットで配信していたので、秘密性はなかったわけだ。

書面での議決権行使と総会出席者の合計議決権は総議決権の83%ということで、このうちルノーが43%と過半数を超えている。完全子会社にするためにプロキシファイトを始める可能性は捨てきれない。提示株価の高い方に味方するという人も多いだろう。



質疑は2時間にわたったのだが、約半分は「ルノーとの関係」。といっても日産の株主の大半も日産の取締役のほとんども合併は嫌なので、答えは決まっている。またルノーのCEO(日産の取締役でもある)も、合併は考えていないと発言したのだが、問題はルノーの取締役会で何と言っているかだろう。

収益面で急落しているのは北米市場で、レンタカー会社などに安売りしてそれが新古車市場に大量に流通してしまい、ブランド価値の喪失を起こしてしまい、さらに世界全体で、モデルの末期の車を売ることになってしまい、モデルチェンジが急務ということらしい。

その話の中で、もしかしたらと感じたのだが、そもそもモデルチェンジが遅れて一斉に古びるというのはわかっていたはず。ゴーン氏は意図的に日産の業績を悪化させ、ルノーとの合併に合理性をつけようとしていたのではないだろうか。

それと、現在のCEOの西川氏だが、ゴーン氏のようなカリスマ性はないのだが、早口と巧みな話術により、違う意味でワンマンのような気がする。

最後に、国際会議場らしく日英の同時通訳機があり、昨年まではゴーン氏が大演説をするので頻繁に使っていたのだが、今年は英語の時間はほんの少しだけだった。逆に英語への通訳を聞いてみると、昨年と同様にドラマティックに日本語から英語に翻訳していた。

あるサッカーファンから、「収益悪化によって横浜マリノスの支援を止めるのではないか」との質問があったが、まさに支援をやめることが、世界の終わりの日が来たというほどの悲劇であるような翻訳をするわけだ。早い話、試合に勝って観客が増えれば誰も文句はつけないわけだ。

『噂』(荻原浩著 ミステリー)

2019-06-25 00:00:14 | 書評
ミステリー作家ではない著者が書いたミステリー。

ということで、ミステリー的な伏線を広げるのではなく、淡々と連続殺人が続いていくわけだ。被害者は若い女性で靴のサイズが23センチ。両足が切断されて見つからない。足のない死体は主に目黒区内に放棄される。



刑事(男女)の捜査によって、事件の前に「殺されて足を切られないための香水がある」という噂が意図的に拡散されていたことがわかってくる。ようやく犯人捜しをすることができるようになる。

少し、ずるいのは「脚フェチ」が趣味の男が真犯人だったこと。少しホラーが入ってくる。実は、足首だけがなくなる意味だが、もしかしたら「羊たちの沈黙」の中の人皮スーツを作る話に似ているのではないかと気が付いていたのだが、その通りだった。

そして、いかにも犯人は、この女だ、と思わせて、実は違うのだが、小説の中でも犯人を勘違いして、勝手に濡れ衣を着せて復讐(殺した上、まだ生きたまま足を切断)が行われる。

なんとなく感じていたのだが、「この人物は、何のために小説に登場したのだろうか」というような人間がいて、周囲から少し浮いていた。まあ、意味のない人物は登場しないのだろうとなんとなく予測がつくわけだ。

バレル・コレクション展(海運王の夢)

2019-06-24 00:00:27 | 美術館・博物館・工芸品
Bunkamuraミュージアムで開催中の「バレル・コレクション展」に行った。何しろ門外不出となったバレル・コレクションである。たまたま現在、グラスゴー郊外にある美術館が改修中ということで日本各地を回るそうだ。

まずウィリアム・バレル氏だが、スコットランドの大都市グラスゴーで船の売買をしていたということになっている。しかし海運王と呼ばれるということは、ギリシア船主のように船を所有していたのではないかとも思える。売買だけで海運王とは呼ばれないような気がする。いずれにしても大金持ちになった彼は1910年頃、50歳でビジネスからリタイアして、グラスゴー郊外に古城を買って、そこに趣味である美術品集めで購入した作品を飾り始める。その数は数千と言われる。



さらに、困ったことに50歳で引退した彼は、97歳まで生きることになる。ということで第二次大戦終結の少し前の1944年にグラスゴー氏に寄付をしてしまう。その時は83歳なので、さらに14年生きるわけだ。

その時の条件が二つ。一つは「空気の汚れた場所での保管はNO!」。二つ目が「国外に持ち出さないこと!」だった。今回、日本にやってきたのは、その時のバレル氏との取り決めを一時的に変更することを女王が裁可したため、となっていたのだが、女王はそんな権利を持っているのだろうか。確かに、EU離脱についても女王が「NO!」というと、離脱できないかもしれないという声もあるそうだ。



今回の目玉は、エドガー・ドガの『リハーサル』。踊り子の楽屋裏である。光の扱いが柔らかくうまい。1874年の作ということは印象派の直前である。ブーダン、セザンヌ、クールベ。まさにフランスである。というのもスコットランドの文化はフランスの文化を反映しているそうだ。日本でいうと、グラスゴーは京都や鎌倉といった古都のようだ。


ところが、英国のEU離脱問題。スコットランドと北アイルランドは離脱反対しているわけだ。そしてスコットランドは大英帝国から離脱希望の国民投票を行いたいと表明しているらしい。そうなると、事実上、英国は終わりになるだろう。

しかも、この30年の英国経済を支えてきたものは北海油田なのだろう。油田の北側はスコットランドエリアに入っている。スコットランド独立は2年先ぐらいかな。結末が見えるまで、コレクションの日本巡回をしていたらどうだろうか。

逃亡者Kの散髪

2019-06-23 00:00:50 | 市民A
逃亡中のKのことを受刑者と報道しているが、実際にはまだ受刑していないのだから受刑予定者というべきかもしれない。なかなか所在が分からないこともあり、逃亡から5日後の24日からは近くの小中学校も閉鎖を解くようだ。

さまざまな憶測が飛び交い、ワイドショーでは元刑事たちが活躍しているが、いくつか話題になっていないポイントだが、当初、国道16号を横浜町田インターに向かって爆走して追尾を振り切ったのだが、なぜインター入口で待ち伏せしなかったのかという点。

この横浜町田インターというのは神奈川県と東京都(町田市)の県境にあって、相模原方面からはインターの少し前から東京都になっているわけだ。ところが料金所のところは神奈川県なのだ。料金所といってもETCゲートでは車は止まらない。つまり東京(警視庁)に連絡しないで神奈川県警だけで対応するのは難しい場所なのだ。

そして、なぜ散髪に行ったのか。変装のためと言われるが、もっと重要な目的があったのだろう。おそらく毛髪からの薬物検出を恐れたのだろうと推測する。尿検査と毛髪検査。これらが検査困難になるまでの期間、隠れこむことにしたのだろうと思う。といっても坊主刈りにしなかったのは目立ちすぎるからで、しばらくの間、潜伏先で全身の体毛を刈込み続けるのだろうと思われる。

つまり、最低一ヶ月から三ヶ月間はじっと潜むつもりなのだろう。

ということは、途中で立ち寄った散髪屋で、警察は切り落とした頭髪を回収したのだろうか。切った髪は、まとめてゴミということになるのだから、他人の髪と混じってしまうのだが、DNA鑑定と併用すればいいのだろう。回収していなければ、証拠を見逃してしまったということだろう。

ということで、熊の冬眠のように出てこないなら安全という判断で小中学校を再開するというのだろう。一ヶ月間休んで、夏休みを「なし」にして授業をするということにはならないようだ。

聖の青春(映画 2016年)

2019-06-22 00:00:54 | しょうぎ
将棋界の神童と呼ばれた故村山聖九段のノンフィクション伝記を作家大崎善生が執筆した同名の小説の映画化作品。村山九段が病死したのが1998年。ノンフィクションは2年後の2000年に書かれ、長い期間の後、映画化された。


主演は松山ケンイチ。羽生善治役を東出昌大、師匠の森信雄役をリリー・フランキーが演じる。将棋界のことをよく知っている人の目で見ると、彼の人生に楽しいことがあったのだろうかと思うわけだ。先行する羽生善治に追いつくために、努力は必要だが腎臓病は重く、さらにガン化してしまうわけだ。故郷の広島から大阪に出て森信雄に師事し、さらに東京に出て勉強しようと上京するも悪い棋士により酒やマージャンに引き込まれる。

そして、病気の体を虐めながら、目標の名人挑戦とは遠い場所で戦わなければならない。

もちろん、彼とは異なり明るい場所を歩く棋士もいる。羽生世代といっても羽生氏が別格だが、森内、佐藤、郷田、丸山、屋敷。それなりにタイトルも獲っているし、村山聖が元気であれば、無冠ということにはならなかったろう。

悲劇的要素を一人で背負いこんでしまっているように思える。シェークスピアの四大悲劇でも最後は何か報われることが起こるのだが、本作には救いがない。かなり観るのも辛い。




映画にはでてこないが、彼が奨励会に入るときに、一もめあったようだ。テストに受かったものの森信雄の弟子になる前に、ある高段棋士の弟子になる話が漠然と存在したようで、その高段棋士が、彼の奨励会入りに反対して、1年間が無駄になったそうだ。つまりすべてが1年早く進んでいたら、いずれかのタイトルには手が届いた可能性はあると思われる。


さて、6月8日出題作の解答。





手数は長いが、分岐点が少ない問題。5手目の香不成がポイント。

動く将棋盤は、こちら


今週の問題。



実は、あまり好手はない。最後のとどめを刺すのは持駒の金であると、謎のヒント。

わかったと思われた方は、コメント欄に最終手と総手数とご意見をいただければ、正誤判定します。

第一回大抽選会!

2019-06-21 00:00:56 | スポーツ
五輪チケット第一回抽選会。結局、野球・〇〇〇・7人制ラグビーの3種目当選(具体的な日付や時間を書くと空き巣被害にあうので書かない)。

特徴としては、

1. 主に野外スポーツで暑い。
2. 自分的には、野球以外は、よく基本ルールを知らない。

ルールについては、
A. 野球は9イニングではなく、確か7回で打ち止めだったような気がする。
  それ以上のことは知らない。

B. 〇〇〇は、種目数が多い。
  それ以上のことは、知らない。

C. 7人制ラグビーは、時間が短く、基本的に走り回って、1日に何試合も行う。
  それ以上のことは、知らない。

五輪の前に、勉強のために五輪選考会とか見に行くべきだろう(行かないと思うが)。

ベルリン飛行指令(佐々木譲著 小説)

2019-06-20 00:00:02 | 書評
本著を勧めてくれた人の談では、「私には、あんな勇気はない」ということだったので、てっきり「翼よ!あれが巴里の灯だ」というような飛行機黎明期の小説かなと思っていたが違っていた。昭和15年、日独伊三国の軍事同盟が結ばれた頃、すでにドイツの英国空爆計画が挫折していた。爆撃機を守るべき戦闘機(ユンカース)の実力が英国のスピッツファイヤー機の能力に後れを取っていたからだ。


そのため、ドイツ帝国中枢部は、当時、中国戦線に登場した日本のゼロ戦をコピーしてドイツで作ろうと考え始める。そのため、実機を2機日本から取り寄せたいと言い出すわけだ。実力もわからず米国からF35を100機以上まとめ買いしようというのとは異なる。ドイツ人の考え方はいつでも合理的すぎる。

ところが、日本とドイツの間には敵国が展開している。特に英国である。当時の日本の制空権はベトナム北部までで、その先は、インドとイランとイラクという英国の牙城がある。北から行こうにもソ連を刺激するわけにはいかない。

この大役を果たそうというのが安藤啓一中尉と乾恭平一空曹の二人。両名とも腕は一級だが、そもそも海軍の方針に懐疑的だったため、干されていた。

本著は文庫で630ページもあるのだが、この乗員の決定とか途中のルートで2000マイルごとに必要な中継飛行場を現地の反政府勢力から確保したり、ゼロ戦の装備の追加とか、さまざまな困難を乗り越えるための事前準備や下工作に延々と惜しげもなくページを使っていく。三分の二を超え420ぺージを過ぎて、二人はやっと横須賀の基地を飛び立つわけだ。

そして小説としては予想通りに事前工作の時の様々な無理がほころびを始め、味方のはずのインドや中東の首長から無理難題を突き付けられ、徐々に悪い方向に進んでいく。結局、二機のうち一機は、そういうゴタゴタのつけによる整備不良の結果、英国機から逃げきれないこととなり、最終的にベルリンには一機だけが到着。実は、その後ドイツはミサイルを作って英国攻撃を始めることになり、ゼロ戦複製計画は極秘のうちに記録のすべてが抹消され、現代に残るのは尾翼に日の丸をつけた飛行機を見たことがあるという数名の元兵士の記憶だけなのだ。



本書を読んでいるうちに、うすうす感じていたのは、こんなフィクションのようにできた話が記録や記憶から消し去ることができるのだろうかという疑問だった。ところが、読後、色々と調べると、本書の内容というのは、ほとんどすべてが完璧なフィクションなのだ。調べようにも手掛かりすらない。いわゆる歴史IF小説だったわけだ。どうもまいった。

ミニトマトの名は

2019-06-19 00:00:47 | 市民A
一か月ほど前に、近くのJAが開いたJA祭りで買ってきた2本のミニトマトの苗が、プランターの中で成長して、予想よりも多くの果実をつけている。とりあえず赤くなって2個を収穫。



この品種の特徴として、皮が厚く、甘味と酸味を兼ね備えているということ。実は右側に植えたのが赤で左側に植えたのは黄色の果実。黄色の方はまだのようだ。



そして、このミニトマトを改良したのが「サカタのタネ」。自宅から近いところに本社がある。

そして品種名は、「アイコ」。そう、もしかしたらいずれ天皇になるかもしれない貴人の名である。確か、貴人の名にちなんだ命名をしたのが、バラのプリンセスアイコと思ったが、トマトにも付けたのだろうか。

実は、サカタのタネのHPに、アイコの名前の由来が。聞きもしないのに書かれている。

当社のミニトマトは女の子の名前が多かった(例:「キャロル」シリーズ)ので、今回も女の子の名前にする予定だったが、プラム形のユニークで特徴のある品種のため、新しい女の子の名前で、かつかわいらしい名前にしようと考えました。そこで、今度は日本の女性の名前で、かわいらしい「アイコ」にしました。ちなみに、「アイコ」は社内公募です。


何か表現がぎこちないのは、最初の原稿に複数の修正が入った結果だと思える。

貴人が生まれたのは2001年12月。一方、トマトの発売は2004年だった。逆ならば問題はないのだが、なんとなく食べにくい名前のような気がする。

年金についての報告書を「なかったこと」にして、「不都合な真実隠し」をしようという動きもあり、戦前の大本営発表を思い起こすのだが、このトマトが何年か後に消えてしまったりしたら、きっと危険な未来が近づいているサインだと思った方がいい。

ストロベリームーン

2019-06-18 00:00:08 | 市民A
6月の満月をストロベリームーンと呼ぶのは、月が赤いからではなく。インディアンが毎月の満月それぞれに季節の物にちなんだ名前を与えたからだそうだ。ちなみに1月は狼月、8月はチョウザメ月、10月はハンター月だそうだ。



月と雪と花は古来より日本の美の三要素だが、6月(梅雨)の季節の月を眺める句はあまりない。

和歌の世界を眺めると、幻想的な一首があった。

天の海に雲の波立ち月の船 星の林に漕ぎ隠る見ゆ (柿本人麻呂)


雲の合間に月の船が星の林に漕ぎだして隠れるように見えることを詠んだ幻想的な和歌だ。


有明のつれなく見えし別れより曙ばかりうきものはなし(壬生忠岑)

百人一首にも登場。平安時代人は、何か有明の月を好んだ。貴族たちは愛人の家に潜入し、一晩を過ごし、さあ家に帰ろう、と思うときに空に残っているのは有明の月である。

その後、有明の月を見るたびにあなたのことを思い出しますという歌。有明の月を見るのは別の愛人宅のはずだから、何とも虫のいい歌ともいえる。

夏の祈りは(須賀しのぶ著 小説)

2019-06-17 00:00:13 | 書評
野球小説である。甲子園を目指す埼玉県立北園高校野球部の1988年から2017年までのクロニクル。

不思議なことに、著者は女性だ。しかも女子高出身のようなので、仮に女子野球部員だったしても甲子園にはいかないだろうし、男子野球部のマネージャーであるわけでもない。それなのに高校野球をテーマにした小説を何冊も書いているし、かなり高校野球に詳しくないと書けないような裏話も書き込まれている。


もともとはライトノベル(コバルト文庫)系作家であったそうで、10年ほど前に一般小説を書き始めて毎年のように秀作を並べているようだ。野球以外は様々な分野をテーマにしているようで、何冊か読んでみようかと楽しみに思っている。

さて、本書は5部形式になっているが1958年に県大会準優勝というのが最高成績で、その後は並みいる私立強豪校との差を詰めることができず、甲子園が遠い存在だった。といっても10年に一回程度、優秀生徒が集まることがあり、そのたびにOBをはじめ高校は盛り上がる。その都度、チーム内にはいろいろな問題がおきてくるわけだ。チームスポーツの特徴といってしまえば月並みだが、選手は、スタメン、レギュラー、ベンチ外と分かれてしまうわけだ。

そういった葛藤を乗り越えながらチームはもがき続け、何人かは悔しい気持ちを持ったまま監督になったり、種々のアドバイザーとして何十年の単位で応援を続ける。



そして、・・

一試合ごとに細かな逆転劇のストーリーが書かれている。私が書くなら、1回表に5人連続ホームランを打ち、相手チームは戦意喪失で5回裏まで連続三振を積み重ね、あっという間にコールド勝ちを続けたとか、手抜きして書くような気がする。

市ヶ尾おさかな広場の奇怪

2019-06-16 00:00:20 | 市ヶ尾彫刻プロムナード
東急田園都市線の市ヶ尾周辺の観光地を調べていたら、「市ヶ尾おさかな広場」という場所があるらしい。どうも、それ以上のことはネット上で調べても納得できないようなことが多い。一足伸ばして探しに行く。

市ヶ尾駅から国道246号線の上に架かる大歩道橋を渡り北方向に進むと、なぜかボクシングジムがあり、その裏に有名な「ふくろうカフェ」がある。さらに進むと「市ヶ尾おさかな広場」という交差点がある。




事前調査では青葉区の区役所が整備されるときに、同時に設置されたということなので、区役所の駐車場あたりに彫刻があるのではと思って向きを変えて歩き始めると、けっこう距離がある。なにかおかしいと、スマホのナビで確認すると、さきほどの「おさかな広場」交差点のそばのようだ。つまり前を通り過ぎていることがわかる。半信半疑で戻ると交差点のそばに小さな区画があって、広場風になっている。といって、公園的ではない。地面はコンクリートだし、敷地は傾いているし。後で調べると、156㎡(47坪)。あまり広くない家が一軒建つスペースといった感じだ。



よく見ると、広場の中央ではなく端の方に中空の魚の彫刻がある。かなり妙な彫刻だ。頭と尻尾があって、途中がない。頭部は鯉に似ているが、ひげがない。さらに、その彫刻の数メートルの場所にある壁に小さくくり抜いた四角い穴があり、約10センチほどの小動物のブロンズ像がある。ほとんど見過ごしそうなサイズだ。この動物が奇怪で、一角獣。色はともかく実在の動物なのか架空の動物なのか、どちらとも言い切れない。ネズミサイズだ。おさかなだけの広場ではないわけだ。魚とは造形がまるで違う。同一人の手とは思えない。




ということで、後日じっくりと調べると、この奇妙な広場を調べた先人が何人かいることがわかってきた。しかし、真実にたどり着いた方はいないようだ。なにしろ役所仕事で担当者は、今はかなり退職しているようだし、そもそも奇妙すぎて謎が多すぎる。

まず、東急線の駅から5分ほどの土地だから、坪130万円としても6000万円を超える。さらに公園としては狭すぎるし、コンクリ床は暑いし転べばケガをする。彫刻は移動すればいいのだから、ここに広場がなぜあるのだろう。元々、市有地になったのは、何か特別の事情があるのだろうか(事件地とか?)。


先人たちの調べた内容に*印として若干情報を追加してまとめると、

1. 彫刻家は、フランス人のフランソワ=クザヴィエ・ラランヌ氏(*男性)で2008年に亡くなられている。

2. 彫刻のタイトルは、“Poisson-Paysage”「魚風景」。(一角獣は不明)

3. 元々(1991年以前)は、別の場所(*市ヶ尾駅から西にある鶴見川に近い場所で県税事務所と税務署の間と思われる)にあった緑区北支所(当時は青葉区はなく緑区の一部だった)の駐車場内にあった。

4. 1991年に、『市ヶ尾彫刻のプロムナード』として、青葉区の新区役所の近くに7つの彫刻を配置することで街づくりの一つの目玉にした。(*その後、彫刻は11体に増えている)

先人は区役所に問い合わせたものの、当時の人もいないし、資料もない(区がなかったので当然)とのこと。彫刻家もいまはいない。

ということで、そこから先を少し調べてみることにした。といっても土地を調べるとたぶん数百円かかりそうだし、それでわかった試しもないので、彫刻家について。特にフランス人ということで、少し閃くものがあった。

まず、ラランヌ氏はある程度有名な彫刻家だった。日本ではアサヒビールの大山崎山荘美術館の庭に二匹の羊の像がある。生年は1927年、没年は2008年81歳ということだろうか。奥様(クロード・ラランヌ)も芸術家で、夫妻で制作した作品とラランヌ氏だけが制作した作品がある(相続税対策かもしれないが)。「魚」のそばの「小動物」は女性的な作品と言えなくもないので本当は共作かもしれないが、調べようもない。奥様は大きな彫刻だけではなく、ディオールのジュエリーデザインも手掛けている。

このラランヌ氏に大きな影響を与えた彫刻界の大御所が、コンスタンティン・ブランクーシ。ルーマニア生まれで、パリで活躍し、多くの芸術家に影響を与えた。フランス領のアフリカで人間の原始的な芸術を吸収し、西洋芸術と融合させた。絵画の世界で印象派の後に登場した様々な流れの中のいくつかにはアフリカの影響があるのだがルーツはブランクーシでもある。また、日米の対立の中で揺れ動く青春を過ごしたイサム・ノグチが彫刻の世界で活躍できたのも、ブランクーシの下で働いて学んだからだ。

といって、ブランクーシは1876年生まれ、イサム・ノグチは1904年生まれ、ラランヌ氏は1927年生まれ。上下51歳の差である。方や世界最高峰、方や新人。

実は、ラランヌ氏はブランクーシの隣地に住んだそうで、ブランクーシ邸にやってくる人脈とわたりをつけたようだ。あるいはブランクーシ氏が面倒な仕事を回したのかもしれない。




そして、思うのだが、あの魚の顔だが鯉に似ていると感じたのだが、アフリカの大河を泳ぐ魚をイメージしているような気がする。しかも、元々設置されたのが鶴見川のそばということだが、鶴見川には大型の鯉がたくさん泳いでいるわけだ。ラランヌ氏は来日して現場を確認したのかもしれない。鯉のモデルとしてアフリカの川魚を使ったのではないだろうか。もちろん、鶴見川の鯉にあるヒゲは、見てみないふりをしたのだろう。作りにくいと思う。

ところで、



個人的には、おさかなよりも一角獣の方が好きだ。