ある意味、アメリカ人の男が、タイムマシン効果で19世紀から6世紀の英国に出現してしまい、日食を予言したことから魔法使いとしてアーサー王に仕え、いわゆる首相になって教会と王権の犠牲になっていた英国民に民主主義を浸透させようと努力した男の話だ。奴隷制の廃止を実現したというのに、後の英国は国際奴隷売買を積極的に進めるようになった。
もっとも、後の時代の人が前の時代に行って兵器を作ったり学校を建てたり始めてよい訳はないので難しいことになる。
後半では、アーサー王が扮装して主人公とともに全国視察旅行を行う。王とバレないように旅をするのは難しい。珍道中になるが、英国各地で人権無視の裁判や死刑が行われていることが書かれている。
この小説は開高健の『夏の闇』の中ではベルリンのホテルで何日か閉じこもっていた開高が愛人とたわむれながら少しずつ読み進んでいたのだが、英語で読んでいたのか日本語訳で読んでいたのか、はっきりしない。
なお、マーク・トウェインだが、デビューしてから1、2年で一冊書き上げていたのだが、本作品は完成まで5年もかかっている。その間、トウェンは散財をし借金取に追われることになり、短編を書きまくることになる。
しかし、読むのに苦労した。