アーサー王宮廷のヤンキー(マーク・トウェイン 小説)

2023-10-31 00:00:35 | 書評
結構な長さの本だ。角川文庫で573頁。しかも頁あたりの文字数が多い。縦が42文字、横が19文字。普通の角川文庫は縦が40文字、横が17文字だし、三島由紀夫の本のように文字が詰まっていて、隙間がない。



ある意味、アメリカ人の男が、タイムマシン効果で19世紀から6世紀の英国に出現してしまい、日食を予言したことから魔法使いとしてアーサー王に仕え、いわゆる首相になって教会と王権の犠牲になっていた英国民に民主主義を浸透させようと努力した男の話だ。奴隷制の廃止を実現したというのに、後の英国は国際奴隷売買を積極的に進めるようになった。



もっとも、後の時代の人が前の時代に行って兵器を作ったり学校を建てたり始めてよい訳はないので難しいことになる。

後半では、アーサー王が扮装して主人公とともに全国視察旅行を行う。王とバレないように旅をするのは難しい。珍道中になるが、英国各地で人権無視の裁判や死刑が行われていることが書かれている。

この小説は開高健の『夏の闇』の中ではベルリンのホテルで何日か閉じこもっていた開高が愛人とたわむれながら少しずつ読み進んでいたのだが、英語で読んでいたのか日本語訳で読んでいたのか、はっきりしない。

なお、マーク・トウェインだが、デビューしてから1、2年で一冊書き上げていたのだが、本作品は完成まで5年もかかっている。その間、トウェンは散財をし借金取に追われることになり、短編を書きまくることになる。

しかし、読むのに苦労した。

コン・エアー(1997年 映画)

2023-10-30 00:00:38 | 映画・演劇・Video
模範囚ポーが8年ぶりに妻子に会う仮釈放の日に、事件は起きた。囚人護送機“コン・エアー“が囚人たちに乗っ取られたのだ。機に乗りあわせたポーは孤独な闘いを強いられる。

主役のポーを演じるのは、ニコラス・ケイジ。名前がケイジでも囚人なのだが、模範囚で仮釈放になるはずが、囚人護送機コン・エアーに同乗したのは兇悪犯がほとんど。脱獄の名人がいるのに油断してハイジャックされる。

そして、凶悪犯VS模範囚VS連邦保安局の戦いが始まるのだが、あくまでも娯楽映画であるので、飛行機も車もラスベガスの街も大破壊されてしまう。日本ではありえない大散財だが、実は主演のニコラス・ケイジだが、次々に映画に出ている。だいたい2ヶ月毎に出演。忙しいのにはわけがあって、大散財家でフェラーリ全車種大人買いとか何軒も家を買い、古城まで手に入れ、結婚は5回。自分の墓用に米国内にピラミッドを建てたらしく、破産しないために働き続けている。それを実録映画にしてほしい。

そういえばフェラーリも自転車を作っているはずだ。ちなみにCOLNAGO by FERRARI ZERO(世界限定199台)は2,887,500円となっている。

魚学と幻人

2023-10-29 00:00:04 | 美術館・博物館・工芸品
東京駅前にあるKITTEビルにあるインターメディアテクは東京大学総合博物館の収蔵品の中からの展示となっていて、主に帝国大学の時の収蔵品のうち厳選して展示が行われているようだ。本郷の方には最近行っていないが、本家の方は入口から頭蓋骨が無数に並べられていて、それはそれで江戸時代の江戸っ子の顔がそろって丸顔(サザエさん一家)であることに驚くが、さすがに東京駅前にならべるにはふさわしくないということだろう。



常設展示の他で開催されていたのは、魚学といって日本近海の魚の解剖が行われていたということ。特にサバの研究が盛んだったようだ。


余計な話だが東京湾でサバがたくさんいたのだろうか。サバは足が早いといって、すぐに腐ってしまう。釣るところからはじめたのかな。もっとも脊椎動物の進化の歴史を調べるには魚からはじめないといけない。特に、鰓から肺に進化したのは大きなステップだったのだろう。動物の進化に「なぜ」は禁句なのだろうが、人間の体格と体重が微妙に水に浮くか浮かないかの範囲にあるというのも、先祖が魚だからなのだろう。



そして、もう一つが日本人の騎馬民族国家説と唱えた江上波夫教授の数万点のコレクションの中からの展示。江上教授は自らを幻人と名乗っていたそうだ。今回の展示は中近東の物産。騎馬民族は中近東ではなく東北アジアに実在した騎馬に乗って戦闘するのが得意な諸国家の一つが日本を統一したルーツという説で、当然ながら戦後現われて、一時は信奉者が多かった。それとは別に、多くの普通の日本人の来歴と支配者(王あるいは天皇とか帝とか呼ばれている)の来歴は同じなのか違うのかというのは全く不透明だ。イギリスはバイキングに征服されたわけだし、どちらの説もあるだろう。

今のところ江上コレクションの返還希望はどこの国からもないようだ。

王座戦第四局の122手銀打ちについて

2023-10-28 00:00:17 | しょうぎ
王座戦第四局の123手目については、2回調べてみたのだが、自分の考えでは、永瀬元王座が▲4二金と打って詰ませる以外には勝ちはないように思えた。2手目の王の逃げる変化と本筋(25手詰)の5手目の飛車打ちの位置など分岐が多いので、読みの筋が違うと秒読みでは辛い形といえる。

ところで、その前の122手目の△5五銀打だが、ABEMA解説陣は△5五金打を予測していた。こちらの方が馬取りになっているので普通だ。金でなく銀だったのはなぜ?ということを考えてみた。



実は△5五金打でも後手玉は詰んでいる。後手が持駒に金がある方が先手玉に受けがありそうだが、受けに回れば攻め駒不足で詰筋がなくなるだろうし、同じように思える。

この△5五金型の場合、初手▲4二金を後手が取ると、△5五銀型と同様の展開で早く詰む。5五の質駒の関係だ。5手目の飛車の位置もどちらでも詰む。そこで▲4二金には△2二玉となるが、ここで5五の金を取ると詰まない。3二金と追い1三玉の時に2四金と歩頭に金を打って詰コースに入っていく。

おそらく、自分が金を打つと元王座は自玉は受けなしと判断し、必ず4二金と打つだろうと勝負勘が働いて銀に換えたのではないだろうか。

10月14日出題作の解答。







今週の問題。



解ったと思われた方はコメント欄に最終手と総手数とご意見をいただければ正誤判定します。

ちょっと分からないBUSKER

2023-10-27 00:00:25 | あじ
Busker とは大道芸人のことらしい。アイルランドのウィスキーは世界5大ウィスキーと言われる一つ(スコットランド、カナダ、米国、日本)だそうだ。ウィスキーは(私にとって)最も好ましいドリンクなのだが、その中でもアイリッシュウィスキーのジェイムソンとタラモアデューは切らしてはいけない二種だ。単に水だけ足して飲んでいる。

ところが、最近静かな話題になっているのが、新しいブランドのBUSKER。



試しに一本買って飲んでみると、複雑系の味がする。アイリッシュウィスキーの味はそれぞれ特徴があるのだが、こんなに複雑なのは初めてだ。

半分飲んでから、少し調べてみると、やはり新しいブランドで、古い蒸留所を買い取った人たちが、いくつかのモルトやグレーンのブレンドとか使用済のワイン樽を作っているようだ。

いつでも流通しているのが40度の「バスカー・アイリッシュ・ウィスキー」で、限定発売品として、「シングルモルト」と「シングルグレーン」と「シングルポットスチル」の三種類がある。

このうち、シングルモルトはシェリー酒を醸造した樽を使用してシェリーの味をつけ、シングルグレーンはマルサラワインの樽を使い、シングルポットはバーボン樽およびシェリー樽を使用している。つまりすべて中古の樽のフレーバーを拝借しているわけだ。アルコールは三種類とも43度だ。

そして、その三種をブレンドしたのが、普通のバスカー・アイリッシュウイスキーということになる。

つまり、わずかな味や微かな香りが混じり合った玄妙な(ある意味漢方茶のような)ウィスキーであることの理由がわかった。

なんとなく中古の樽を使用と言うことで、中古人間となり果てた自分が飲むのにふさわしいとも言えるが、だからこそもっとシンプルな方がいいとも言える。

さて、一度再利用した樽はどうするのだろうか。今度はワイン樽として使ってウィスキーの香りのワインとして発売するのだろうか。

ところで、三種類の度数が43度なのに混ぜたら40度になるというのが、不思議だ。

殿、ご乱心

2023-10-26 00:00:29 | 市民A
秋田藩、別名久保田藩は代々佐竹氏が務めていた。その佐竹北家21代目が秋田県知事となり、失言を連発している。今年だけでも地元の比内地鶏は硬すぎるとか、フランスへ行くとみんなコロナに罹るとか。極め付きは秋田県内のパーティで四国の料理を酷評したこと。

特に(10年前、松山で)全国知事会のパーティの料理が、ステーキと思ったらじゃこ天で貧乏くさいとか、四国の酒はまずいとか、高知のどろめは食えないとか言ってしまい、あっという間に拡散し、四国方面からの苦情の前にあえなく持論を撤回し、謝罪を続けている。

大名なのだから、いつも豪華な食事をしていたのだろうが、貧乏というのは秋田の方ではないだろうか。秋田の代表料理は、きりたんぽとハタハタの干物だろうが、とても四国料理にはかなわないだろう。

しかも、愛媛県の調査では、10年前の県知事会の時にはじゃこ天は供されていないそうだ。そもそも四国で天ぷらというのは関東の天ぷらとは違うわけだ。


これが江戸時代だったら、次の全国知事会の時に四国の4人の知事に取り囲まれ、「おのれ、無礼者、成敗してやる」ということになるだろう。

なにしろ、じゃこ天を批判された伊予松山藩は、赤穂浪士のうち10人を江戸屋敷で預かり、切腹を執行している。

*じゃこ天は伊予松山藩ではなく宇和島藩の郷土料理だそうです。

ボブと言う名の猫(2016年 映画)

2023-10-25 00:00:29 | 映画・演劇・Video
ヘロイン中毒の禁断症状と戦うストリート・ミュージシャンのジェームズの前に、突然、茶トラの野良猫が現れ、いついてしまう。ボブはジャームズから離れることを嫌がり、ロンドン中心街のジェームズの実演場所にいって観客を喜ばせる。その結果、投げ銭が大量に集まるようになり、生活に余裕ができて、隣人の女性とも懇意になっていくが、とある事件ですべてを失いそうになる。

そして再び転落寸前となった彼を救ったのもボブ。

そして、その回復までの苦境を乗り越えた話を、ノンフィクションとして書籍化するわけなのだが、実は、これは2007年に起きた実話。

驚くのは、映画化される時に、ジェームズ役は俳優が演じたものの、ボブを演じたのは、ボブ本人だった。残念ながら助演男優賞を受賞できなかったのは、去勢手術を受けていたからだろうか。

ところが、この映画から4年後の2020年、ボブは交通事故によって亡くなったそうだ。ある意味で、野に生まれ、野に戻る。享年13歳以上。

2022年に続編の映画が公開されている。生前のボブが出演しているそうだ。

所得税、右手で増税、左手で減税

2023-10-24 00:00:43 | 市民A
月刊『経団連』を楽しみに読んでいる人は、あまりいないだろう。9月号の表紙は谷川岳だそうだ。表紙の絵は美しいアートだ。障碍者の方々と契約しているアート会社が提供している。

そもそも経団連の加盟会社というのは、それぞれが競争企業なので対立を内在している。同じ業界の中でも競争はあり、違う業界同士では、金利や円レートや長期的な温暖化問題の解決方法とかそれぞれまとまらない。ということでSDGsのような「大看板」を掲げても各論はほぼ進まない。読んでいても社長さん方の意見は、統一的じゃない。



たとえば、ガソリン税が問題になって石油会社が批判されるが、石油会社はもともとリッター54円のガソリン税の引き下げを要望している。一方で、主に輸送業者が使用する軽油はリッター32円。タクシー会社の90%以上が使っているオートガス(主成分は卓上コンロと同じブタン)はリッター17円(密度がガソリンの75%程度なので燃費換算すると、ガソリンなら23円程度)という不健全さがある。政治圧力の順になっているのだろう。

ところで、防衛費、こども手当、万博経費オーバーなど増税の種は尽きないが、困窮している人を救おうと減税が検討されている。

江戸時代から、お上(幕府や大名)は収入不足になると税率を上げていて、餓死者がでてくると、徳政米といって現物支給していた。つまり税率はあまり下げていない。

しかし、最大の問題は、今の政権が登場した時に言っていたフレーズだ。

所得倍増計画。

そのあと、倍増と言うのは二倍と言うことではないと値引き処理があったのだが、それにしても所得が上がるということになれば、所得も税収も増えるわけだから率としての増税や減税すら必要なくなる。企業サイドも特に何もしなくてもいい。

金持ちや大企業から取り上げて底辺に配ろうというのは、どうしても経済が縮小していくだけで、経済効果は配ったお金の1.0倍以下に思える。

9月号で人材育成が語られているが、企業が人材投資をすると、ほぼことごとく転職していなくなるというのが現実。また研究員だって海外との給与格差は常に国外流出の誘惑が尽きない。

専門教育を大学で行うというのは無理も多いのだが、普通の大学生は大学に入ると急に学力が落ちてしまうわけで、小中学校のあたりから受験競争の問題は始まっていると思える。

安い学費の大学(国立)に入るためには高いお金をつかって学習塾から私立の中高に行かないといけないという大きな矛盾が長い間、放置されている。

『芝浜』・『だくだく』

2023-10-23 00:00:50 | 落語
今回の落語は二題。『芝浜』と『だくだく』。

『芝浜』(演:柳家権太楼)
働き者だが大酒飲みのため、貧乏な魚屋の勝五郎が主人公。魚屋といっても棒手振りといって、天秤棒の両側に籠をつなぎ、毎朝、魚問屋から仕入れた魚をなじみ客などに届けるのだが、なにしろ競争が激しいし、毎日きちんと歩かないと、ライバルに客を奪われるのだが、大酒飲んだ翌日は寝過ごしてしまう。

借金取りの要求も厳しくなり、とうとう女房はブチ切れて、酒を禁止し早朝から芝の浜にある魚問屋に追い出す。ところが2時間ほど時間を間違え早すぎたので、顔を洗おうと川に入ると、大金の入った財布をみつけてしまう。これが50両。財布に入れる金じゃないから訳ありだろうか。この川は田町のあたりで海に注いでいたようで、おそらく今も暗渠として流れていると思われる。

喜んだ勝五郎は、友だちを集めて大酒盛りのあげく寝てしまう。翌朝、女房に「財布などない、それは夢だ」といわれ、改心した魚勝は禁酒して商売に専念、生活に余裕ができる。3年経ったおおみそか、女房は夢といってだましたことをわび、改めてお上に届けたあと引き取り手が現れず、下げ渡された財布を出す。感激した勝五郎は、女房の勧める酒を口までもってゆくが「よそう、また夢になるといけねえ。」というところでサゲる。

芝浜は今でいう芝浦で、JRの新駅公募で人気第三位だったそうだ。落語、講談の世界では「芝」というと「いいところ」ということになり、その逆に語呂合わせで「千葉」というと笑いが起こることになっている。クールじゃないということだろう。同感だ。


『だくだく』(演:柳家さん喬)
この題目の「だくだく」だが意味がわかるのは最後の最後。なんとなく語感は酒とか川の水とか液体をイメージする。大量にあふれる様子が目に浮かぶ。

主人公は、貧乏人の八五郎。家賃の支払いにも苦労する男が、家財道具を全部換金して、新しい部屋に引越した。断捨離の極みだ。そこに近所の画家がやってきて、部屋に何も家財がないのに驚くと、八五郎は画家に頼みごとをする。

家に何も家財がないのは寂しいから、家具の絵を描いてほしいと頼む。壁画とか天井画ということだ。画家の名前がミケランジェロとかホクサイだったら、そのままタイムマシンで現代に来れば100億円の価値があるが、支払代金はゼロ。これが江戸時代人の人情だろうか。

それで、タンスどころか掛け軸やら眠りネコやら金庫まである。さらに槍を一本壁にかけた。いや、槍の絵を壁に掛けた絵を描いた。

そして、八五郎は多くの高額の家財道具と金庫の中に入った現金の山という絵に囲まれて、ウトウトと眠ってしまった。

そこに現れたのが盗賊1名。猫が眠っているのを見て部屋に入り、豪華なタンスに狂喜してさっそく開けようとするが、絵なので開かない。さらに金庫の中の巨額の現金も手に取れない。そのうち、住人が眠っていることに気付くが、無一文の男の哀愁に同情し、風呂敷包にお宝を詰め込む「つもり」のパフォーマンスを始めた。

実は、八五郎も目が覚めてきて、盗賊の一人芸を見て楽しんでいたが、金庫の中の大金を盗まれた「つもり」になると、急に腹が立ち、立ち上がって槍(の絵)をつかんで、盗賊の腹にブスリと刺したつもりになる。そして、盗賊は「無念。血がだくだくと出たつもり」とオチになる。

最後に、盗賊が「もはや、これまでのつもり」と付けたり、「画家が駆け付けたつもり」と付けることもあるそうだ。


非現実性を語るというのは、難しい。これも笑いの総てが、オチに集約されるため噺家はドキドキしながら最後の瞬間を迎えることになる。

その石はどこから来たのか

2023-10-22 00:00:51 | 美術館・博物館・工芸品

早稲田大学構内にある「早稲田大学会會津八一記念博物館」で開催中の「早稲田大学を訪れた旧石器人」展を覗く。

*會津八一記念館というのは新潟にあり、そちらの方は、どちらかというと彼の人物を中心としていて、早稲田にある方は所蔵品を中心にしているように感じる。

あまり旧石器時代のことは詳しくないが、都区内の早稲田の敷地や、他県にある学舎やグラウンドなどの敷地から、多くの石器が出土しているそうだ。比較的高台に学舎があるのだろう。そして、建物の建て替えとかの土木工事の時などに発見されるのだろう。

旧石器時代は相当古い時代なので、石器は動物を捕獲したり釣り針をつくったり、あるいは敵と戦ったり、捕まえた捕虜の体の一部分を切り離したりしたのだろうか。もちろん丸木舟を削といった平和利用が中心だったのだろう。

展示会のタイトルは、「その石はどこから来たのか」となっていて、発掘された石器の原料の石がどこから来たのかという重要な研究の成果が展示されている。

柏峠(伊豆)、和田峠(相模原)、八ヶ岳(長野)、有間川(新潟県)、神津島(伊豆諸島)となると、関東一円というには広すぎる。原石で移動したのか、石器に加工されてから移動したのかだろうか。

ところで、副題の「早稲田大学を訪れた旧石器人」だが、誰が決めたのかはわからないが、奢りまくった現代人の上から目線だ。本来は、「旧石器人の貴重な文化遺跡の上を土足で歩き回る野蛮人たち」ということだろう。

世界で起きている危険な地域紛争がそれぞれ連結して第三次大戦になり、世界中で核兵器が炸裂しすれば、生き残った人は石器時代に逆戻りし、再び洗浄機能付きトイレのある快適な文化を取り戻すまでには10万年かかるはずだ。


王座戦第四局123手目

2023-10-21 00:00:30 | しょうぎ
先週の記事で永瀬元王座が123手目で詰めを発見できず▲5三馬と王手を指して負けた場面を解説したが、その後、何カ所かのカルチャー等で使用して、一週間分のテキストに使ったのだが、その後、さらに考えると▲4二金打から詰めるしか勝ちはないのではないかというように思えてきた。受けは難しいわけだ。



受けがないというなら、詰みそうな王手は▲4二金打しかなく、その次の手の選択が二択で読みにくいため、金を打ってしまい、おそらく次の選択は10秒程度で△同金なると思われる。そこで▲同成銀の一手で1分稼ぎ、さらにもう一回1分獲得し、▲6二飛ではなく玉に近い▲5二飛に到達したはず。さらに5五馬とか2五歩は「この一手」なのでさらに数分を得たはずだ。

もっとも、それで勝ってももう一局勝たないといけないので、やはり・・・









今週の問題。



解ったと思われた方はコメント欄に最終手と総手数とご意見をいただければ正誤判定します。

シュラスコのチェーン店発見

2023-10-20 00:00:27 | あじ
横浜でお昼時をむかえ、さあ、どこでランチにするかという時に、いつもはヨドバシカメラの地下に行って、肉料理店に行くのだが、ちょっと歩くのが億劫で横浜駅直結エリアを彷徨っていて、ここが本当のどん詰まりのような場所を見つけた。CIALの地下3階。物置のような場所に防空壕というか横穴式古墳のように十数軒の飲食店がまとまった場所があった。

「バル&キッチン ハマチカ」という場所で、ネーミングはいたって雑な感じがある。立ち食い寿司や地ビール専門店、鉄板焼きステーキ店、つけ麺とかあって、この横穴の一番奥にあるのが「RIO GRANDE GRILL」というシュラスコ店。確か世界各地にあるのかな。



シュラスコはブラジル料理で、六本木や青山に何回か行ったことがあるが、横浜では初めて。確か、ブラジルでは大きな皿に肉料理でも寿司でも様々な料理を一緒盛りにして、混ぜて食べるという噂を聞いたことがあるが、見たわけではないし、ブラジル人サッカー選手がシュラスコ店で大家族で食事をしているのを見ても、そういうことはしていない。

もっとも横浜の店ではブラジル人はみかけないので真偽を確かめる術もない。

注文したのは、ビーフとポークの合盛り。シュラスコは肉を切るだけだと思っていたが、少し時間がかかった。そのあたりの事情はよく分からない。既に焼いてある肉を温めるのかな。



シュラスコを食べたいと思っているので、その気持ちも含めて、予想と同じ程度の味だ。80点主義といったところだ。

ところで、この横穴地区だが災害があった時に脱出が難しそうだ。念のため食後に突き当たりの壁のあたりを見回すと、やはり出口はない。あえて言うと、奥の方に「つけ麺」「鉄板焼き」「焼売」そして「シュラスコ」と少しずつ火力の強い方が並んでいるのは消極的な被害縮小対策なのだろうか。なんとなく「GRILL」という単語が怖い。

あとで調べると、横浜駅の反対側のベイサイドには海抜0mのガラス張りの同店がある。こちらは、別の意味で心配。

まったく陰険なインボイス税

2023-10-19 00:00:03 | 市民A

10月1日からインボイス課税が始まる。簡単に言うと年商1000万円以下の小規模事業者が免れている消費税を一網打尽にしようというもの。

おおもとは、消費税を導入した時に特例を作ったものを、長い時間をかけ消費税が3%から10%まで上がってから、そこに手を入れようというもの。

これが、小規模商店や飲食店で年商が900万円で仕入れが400万円とすると、今までは900-400=500万円が課税所得(経費等控除前)というだけだったが、これからは900万円の売り上げを818万円の売上と82万円の消費税に分解し、仕入れの400万円を364万円と36万円の消費税にして、課税所得(経費等控除前)は818-364=454万円、消費税納付額=82-36=46万円ということになる。今までは例えば経費倒れで赤字で所得税ゼロであっても、実態が変わらないのに消費税46万円を払わないといけない。

スクールとかカルチャーの先生などで会社に所属していない場合で年収が1000万円以下(ほとんど全員)は、例えば月30万円稼いでいたとしても、そのうち3万円は消費税の扱いとなり、講師業の特徴として頭脳や特技を使う産業なので仕入れがほとんどないわけでその約2.7万円を消費税として納付しないといけない。つまり収入の少ない人の収入がさらに約9%減るわけだ。

そして陰険なのは、「支払額の中に消費税が入っている」ということを宣告するのは、税務署のような国家権力ではなく講師料を払っているスクールやカルチャーの経理担当からになる。

もちろん今までは自民党に投票していたそういう小企業の方々が違う政党に投票することは目に見えているため、事業者及び支払者には数年間の特例(たとえば80%免除)とかあるのだが、数年後には全部回収されてしまう。

こんな話が話題にならない理由として言われているのは、10%に増税になった時に8%の軽減対象の拡張によって減収になった分を徴税強化することが既に決まっていたということらしい。

そのため、軽減範囲を広げる時に大声を上げた小さい方の与党がダンマリ。さらに、その時に軽減対象に潜り込んだ(あるいは篭絡された)のが新聞社だから話題にされないという説がある。

ところで、小規模農家とかどうするのだろうと調べると、農協への売上については農協を会社に見立て、農家は疑似社員ということにしてインボイス対象外ということになるらしい。一方で、『これからの農業は、第六次産業』といって先進的に直販している分は課税対象になる。


翔べイカロスの翼(1980年 映画)

2023-10-18 00:00:30 | 映画・演劇・Video
歌手のさだまさしが主演のインディーズ映画。とはいえ、原田美枝子、倍賞美津子、ハナ肇ら豪華キャストだ。

主役は栗原徹という青年。大学卒業後、カメラマンを目指し、全国撮影放浪中にキグレサーカスに出会う。そしてサーカスの日常を撮影しているうちに、サーカスに入団することになる。

とはいえ、技術や体力の必要な職場で訓練は厳しい。一方で退団するものもあり、ついにステージに上がる日も来る。そして全国縦断中にはサーカスに関連していくつもの出会いと別れがあり、それらの経験から、サーカスにも笑いが必要ということで、ピエロをショーに導入し、自らピエロスターになっていく。

ところが、・・

ピエロでもあり曲芸師だった彼は、鉄線渡りの大技を演じている時に、めまい事故が起こり、墜落してしまう。

ここで、タイトルのイカロスの翼に繋がる。ギリシア神話のイカロスは、美しい羽根をロウで体に接着して太陽に近付こうとし、ロウが太陽の熱で溶けてしまい、墜落した。

なかなかうまくできた話だと思って、後で調べてみると、ほとんどが映画の数年前に起きた実際の事故と同じ。同名のノンフィクション小説(草鹿宏著)が原作だった。

実際の事故は、危険な鉄線の上に椅子を乗せてさらにその上に立つという最難関の技が終わった段階で安全ネットの取り外しが始まり、その時に天井の空気孔から突風が吹き込みバランスが崩れたともいわれる。

映画の中に短時間登場し、さだまさしを指導する役を演じる三木のり平、パントマイムのヨネヤマ・ママコの二人は実際の栗山徹に指導を行っていたそうだ。ノンフィクションを超えている。

大工調べ・試し酒

2023-10-17 00:00:08 | 落語
今週は、二つ落語を聴く。横浜市の図書館のオーディオブックのライブラリーから聞いているが、短い物から聴いていたら長い方が残る。

『大工調べ』(柳家権太楼)
江戸の長屋の家賃の問題。本質的には大工でなくてもいいのだが。腕は良くても頭の回転が遅い与太郎は母親と長屋で二人暮らし。不景気で大工仕事がなく家賃滞納が続いていた。ところが景気は循環するものだから、新築住宅が建ち始め棟梁は与太郎に仕事に戻るように話に行くと、「無理。家賃のかたに道具箱を大家が持っていった。」と泣き言を言う。きけば滞納家賃は一両二分八百文。12万8000円と言ったところだろうか。

棟梁は与太郎に一両二分を持たせ、滞納金返済で道具箱を返してもらうように仕向けるが、大家は800文足りないといって一両二分を巻き上げたにもかかわらず道具箱を返さない。

かくして、棟梁は大家にところにいって交渉するが、下手に出ていると大家が強気になり、それに対して棟梁も大家の素性を明かしたりして、言葉の喧嘩になる。つまり江戸っ子の巻き舌の喧嘩を観客に聞かせるというのが本題目の主眼と言うことになる。これを二人でやると漫才になるが、落語家は一人二役で両者の口になり切って言い合いをする。

根が江戸っ子ではない落語家にとっては難解な芸かもしれない。

このあたりまでが「上」で、引き続き「下」に移ると、争いは奉行所に持ち込まれ民事調停が行われる。今回の収録作からは「下」は聞かなかったが、「下」だけやる噺家は、たぶんないだろうと思っている。

『試し酒』(柳家権太楼)
商家、尾張屋の元へ、なじみの近江屋の主人が下男の久蔵と共に訪問する。談合の打ち合わせなのだろうか。手土産は上等な酒。酒の話になると近江屋は、久蔵は大酒のみで軽く五升飲めるという。升というのは「ます」ではなく「しょう」。数量単位だ。一升瓶5本分。よく大酒飲みの判定のことを一升飲めるかどうかで決めるが、その5倍ということ(注:高知県では、一升以下は酒飲みとは言わない)。

そこで尾張屋と近江屋が久蔵に五升飲ませる賭けを始める。まったくのパワハラだ。もし飲酒事故になったらだれが責任を取るのだろう。尾張屋が賭けたのは、久蔵への「お小遣い」で、近江屋が賭けたのは湯河原温泉への二泊三日の宿泊招待。

そして久蔵は、チャレンジの前に準備のため、一旦外出。そして戻ってくると、快調に杯を重ねる。途中で噺家は久蔵に仕事の愚痴を言わせたり一身上の悩みをボヤかせたりする。講座で酒を飲むわけにはいかないから、芸が必要だ。そして、課題をコンプリート。お小遣いをせしめることができた。金額は不詳だが、温泉招待とのバランスだから10万円か20万円ぐらいかな。

主人たちは、チャレンジ前に久蔵が外出した時に、何か薬物でも飲んだのではないかと問い詰めるのだが、「五升飲めるかどうか、酒屋で試してきた」というオチ。


温泉に行くというのは関東では「湯河原」だった時代があるわけだ。上方の場合は、昔も今も「有馬温泉」として演じられるそうだ。

パワハラきつ過ぎて、現代では修正困難かな。下男に飲ませようとしたら、パワハラと言われて自分でチャレンジすることになったという筋ならいけるかな。