こんばんは。わたしがそういうと、こんばんはと返してくれる人がいれば? そりゃあいいさ。近くにいなくても? ん。聞こえていれば。じゃ遠くにいてもいいってこと? ん、遠くにいても。聞こえていれば。耳で聞いていなくともいいということ? ん。さぶろうは首を縦にふりました。文字を見ても音として聞くことは出来るからね。どちらも意思の伝達をするからね。ふーん、だったら。だったら?
さぶろうはちょっと考え込みました。死んだ弟とだって、やりとりができるかもしれないのです。こんばんはだとかおはようだとか。おやすみなさいだとか。耳の機能というのは耳がなくとも働いているかもしれないのではと、ちょっとそう思いました。
こんばんは。こんばんは。耳だったらたくさんあります。この世に耳はたくさんあるのですから。ブログを開いてよんでくださる人にも耳があります。だったら、さぶろうの耳にも、返ってくるのが聞けるはず。だったら寂しくないと思いました。柱時計の針がもうすぐ夜の11時をさそうとしていました。