徒然なか話

誰も聞いてくれないおやじのしょうもない話

かつて名優たちがいた

2021-10-22 22:53:42 | 映画
 「男はつらいよ」シリーズの第6作に「男はつらいよ 純情編」というのがある。全48作の中でいくつかある好きな作品の一つだ。
 寅さんが、長崎港から五島に渡る船の最終便に乗り遅れ、一晩港近くの宿に泊まることにする。すると、同じように乗り遅れた、赤ん坊を背負った若い女(宮本信子)に気付く。女は一晩泊まる金がなく、寅さんに金を貸してほしいと頼む。寅さんは「一緒に来な」といって女と赤ん坊を自分と同じ宿に泊めてやる。金を返すあてのない女は、夜中、寅さんの前で服を脱ごうとする。その時の寅さんのセリフが秀逸。

 オレの故郷にな、ちょうどあんたと同じ年頃の妹がいるんだよ。
 もし、もしもだよ、その妹が行きずりの旅の男にたかだか二千円
 くらいの宿賃でよ、その男がもし、妹の体をなんとかしてえなんて
 気持ちを起こしたとしたら、オレはその男を殺すよ。
 五島とかいう…あんたの故郷で待っているおとっつあんだってオレと
 同じ気持ちだよ。それに決まってらぁな!

何度見てもこのシーンは泣ける。
その五島のおとっつあんを演じるのが、なんと森繁久彌。
森繁久彌は役者としてコメディアンとして渥美清の大先輩。二人の絡みのシーンを見ていると渥美の森繁に対する尊敬の念がにじみ出ている。それは山田洋次監督も知っていたのだろう。実に味のある二人の絡みだった。この二人、実は共通点が多い。軽妙洒脱な芸風や滑舌の良さもそうだが歌も上手い。既に二人とも鬼籍に入られたが、二人の後を継ぐような役者がいまだ見当たらない。



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2 コメント

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Unknown (juraku-5th)
2021-10-23 16:13:12
最近、寅さんの特集番組で
森繁久彌さんとのからみのシーン見ました。
コメディアンを超えた、名優という枠さえ超えたシーンだっと思います。
Re:juraku-5thさま (FUSA)
2021-10-23 18:12:48
特集番組は見ていませんが、やってましたか!
この二人には大まかな設定を与えて自由にやらせればいいシーンになりそうですね。!(^^)!

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