ワンダースター★航星記

写真を撮るとは、決して止まらない時間を止めること。旅や日常生活のインプレッシブな出来事を綴ったフォトエッセイ集です。

杭全神社・御田植神事 2015 Vol.2 ~「たーれたれ」のこころ

2015-04-17 | 平野の伝統行事
杭全神社・御田植神事 2015 Vol.2 ~「たーれたれ」のこころ

            

             

 鍬で耕したあと、シテは唐鋤を引く牛さんを連れて登場します。

            
 
 シテは「させい、ひょうせい、ひょうせい」と繰り返しながら、牛を引き、唐鋤で田を鋤きながら拝殿をゆっくりと廻ります。

            

 次に田均し棒を持って、再登場したシテは「やあえい、えい、えい、えい」と棒で田を均す所作をします。

            

              

 シテは籾桶(もみおけ)を持って、登場します。
 各地の長者の名を挙げ、あやかりたいと願いながら、「福の種を蒔こうよ」と籾種を四方八方に向かって蒔いたあと、「宮の前も蒔こうよ、当所も蒔こうよ」と近くに籾種を蒔き、幸せがこの地にやってくることを祈願します。

            

                   

 この神事で何度も繰り返される台詞があります。

 シテ    「世の中の良ければ、ほながの尉(じょう)も たーれたれ」
 地方(じかた)「大柑子(だいこうじ)を二つ並べて、福の種を蒔こうよ」

 世の中に疫病や飢饉がなければ、それで足ると願うというシテの言葉に対し、めでたいとされる大柑子(大きなみかん)を二つの太陽に例え、その下で稲を育てれば、豊作に違いないという地方の返しが心地良く耳に残ります。

 「たーれたれ」は、豊作で疫病や飢饉がなければ、世の中、事足りるという意味で、実に深い意味があるとシテの藤岡さんはおっしゃいます。

 「吾唯足知」・・・われ ただ たるを しる    
       
 京都・竜安寺にある蹲踞(つくばい=茶室の庭先にある石の手水鉢)に刻まれている言葉で「人は欲張らず、今の自分を大切にしなさい」という意味です。
 御田植神事を鑑賞しながら、今一度、豊作だけを祈った先人たちの想いを振り返るのも一興ではないでしょうか。


            

            

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