まつたけ秘帖

徒然なるままmy daily & cinema,TV drama,カープ日記

ボーイズ LOVE LETTER

2022-07-29 | オセアニア、アフリカ、中東、その他のアジア映画
 夏のBL映画祭②
 「Snails in the Rain」
 80年代のイスラエル、テルアビブ。恋人と同棲中の大学生ボアズは、彼への恋心をつづった手紙を受け取る。それは同性からのもので、送られてくる愛の手紙はボアズの心を激しく乱すが…
 イスラエルも最近はLGBTに優しい国のようですが、かつては厳しく不寛容だったようです。この作品はBL映画というよりゲイ映画って感じ。中東の暑さの中でくすぶる男たちの情愛と肉欲が、こっちまで汗ばみそうになるほど濃密にねっとりと描かれています。
 男から男へのラブレターといえば。思い出すのは「三島由紀夫レター教室」です。小説の中でノンケ青年が人気ブサイク芸人からラブレターをもらい、その内容に心揺れるエピソード。自分自身のことはほとんど触れず、控え目ながらも真摯に情熱的に、ひたすら青年のことを賛美する愛の手紙に、キモい!と嫌悪を抱かない自分に戸惑う青年の心理が興味深いのです。青年をひそかに愛している熟女の、男色家のほうが女よりも男の弱みと泣きどころを掴んでいる、そして男はみんな自惚れ屋である、という分析には思わず膝を打ちました。この映画でも、同性からの詩的な愛の賛美にボアズは心揺さぶられ、周囲の男がみんな自分に熱い視線を向けているように見えてしまう彼の自意識過剰さは、まさに三島由紀夫の言う通りな男のメンタリティでした。

 同性からの愛の告白に揺れる想い。でも三島由紀夫レター教室の青年とこの映画のボアズのそれはかなり違います。青年は完全なるノンケでしたが、ボアズは同性愛者。でもそれを認めず否定し、必死にノンケとして生きようとしてるけど、ラブレターをきっかけに真の欲望が抑えきれなくなり苦悩、煩悶する姿が痛まくも哀れ。LGBTの権利が広く認知されたとはいえ、まだまだ社会的には同性愛は罪、害悪と見なされることが多いのが現実。自分の性嗜好をまるで臭いものに蓋をするように抑えたり隠したり、ビクビク怯えたりするボアズはイライラするほどチキンなのですが、だからといって堂々とカミングアウトすることが正しいとも思えなくて。本当の自分を生きることで得られる解放感や自由の代償の大きさ、失うものも多いことを考えると、ボアズの躊躇も偽りの人生も理解できます。LGBTに対して偏見を持ち差別してる人たちの狭量さのほうが、よっぽど恥ずべき罪、害悪だと思わない人のほうがまだ多い、という現実が悲しい。

 それにしてこの映画、まったく腐向けじゃないんですよ。ボアズをはじめ、男たちが意味もなく必要以上に裸になるシーンや演出が多く、かなりゲイ向け。中東の濃ゆい男たちの全裸やキス、自慰などに乙女な腐が求める美しさはなく、むせそうになるほどの肉欲の臭いで充満してます。ゲイゲイしいエロティックさよりも、ボアズの葛藤や恋人、家族との関係を繊細に深掘りしてほしかったかも。終盤に判明するラブレターの送り主は、そんなに意外ではなかったです。
 ボアズ役のヨアヴ・レウヴェニは、すごいイケメン、ていうか美男!ルックスが非一般人すぎて、フツーの大学生に見えん!端麗な超小顔、細マッチョな長身、性的フェロモンも濃厚で、女にも男にもモテモテな色男役にピッタリな風貌。脱ぎっぷりもハンパなかったです。彼女とのセックスシーンがエロかった。男とはキスどまりでしたが。ゲイゲイしいけど、男同士のキワどいR18的な性交シーンは皆無でした。

 あまり馴染みのないイスラエルの庶民の生活風景が興味深かったです。中東でもあまりアラビアンな感じではなく、ちょっと西欧に近い感じ?特に宗教を感じさせる表現も場面もなかったです。ボアズの彼女が作ってる料理が、日本ではあまり見かけないもので珍しかったです。徴兵制のあるイスラエル、韓国もですが、軍隊生活ってゲイにとってはいろんな意味で過酷。男たちがふざけて公開自慰とか、ゲイに限らず繊細な心を持つ人には戯れの域を超えた地獄絵図なのでは。ああいうのが男らしいとか男の付き合いとかいう価値観が怖いです。
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週末のBL

2022-07-27 | イギリス、アイルランド映画
 夏のBL映画祭①
 「WEEKEND ウィークエンド」
 ラッセルはゲイバーでグレンと出会い、一夜を共にする。週末を一緒に過ごすうちに、二人の関係は体だけのもの以上になっていくが…
 秀作「さざなみ」のアンドリュー・ヘイ監督作。カミングアウトしてるヘイ監督のパーソナルなエッセンスを感じさせる、小粒ながらも珠玉のBL映画でした。近年すっかり市民権を得て人気ジャンルとなってるBLですが、そのほとんどは妄想好きの腐女子やイケメン好きの女性受けを狙った、非現実的なファンタジーっぽいものばかり。監督や脚本家など作り手がノンケ男性や女性だと、やはり味付けやデコレートが過剰なケーキみたいになってしまいます。その点、ゲイであるヘイ監督が描くBLは、変にドラマティックでもスウィートでもないゲイの日常生活や会話で成り立っていて、ああゲイの人たちってこんな風に関係を築いたり失ったりしてるんだな~と、その自然さ奇をてらわなさが腐には返って新鮮に映ります。リアルだけど決して生々しくはなく、フツーの男女の恋愛と変わらぬときめきや駆け引き、戸惑いもあるけど、やはり堂々ともスムーズにも進展させない葛藤や壁もある。そんなところも女性受けを狙った作り物めいたBLとは違う。きっとゲイの方々の共感も得られる映画です。

 同性愛を特別視しない人たちも増えてきてるけど、昔ながらの偏見や嫌悪を抱く人もまだ多い。そんな社会の中で絶望したり嘆いたりもしないけど、肩肘はって声高に反発したり抗ったりもしない、開き直りでも虚勢でもない、コソコソもしないけど堂々ともしない、ラッセルとグレンはイマドキの若いゲイって感じでした。ほぼ二人だけの会話劇で、特に小粋だったり心に刺さる映画的な台詞があるわけではないのですが、淡々と静かながらも二人の距離が近くなったり、価値観の違いで嚙み合わなくなったりする会話は、微笑ましくさりげなくも奥深かかったです。

 主演の俳優二人も魅力的でした。地味だけど腐にもゲイにも受けそうなイケメン。ラッセル役のトム・カレンは、キット・ハリントン主演の「ガンパウダー」では野性的で猛々しい感じでしたが、今回はすごく優しそうで可愛い!クマさんみたい!濃ゆく男らしい風貌だけど、一緒にいたら癒されそうなぬくもりが。シャイで無垢な笑顔、そしてヒゲ面だけど童顔、ツルツルな肌が若者らしかったです。グレン役のクリス・ニューは、カミングアウトしてるオープンゲイ俳優で、たまにポール・ウォーカー+ライアン・ゴスリングを地味にした顔に見えた。

 男性同士のラブシーンも、それでセックスしたことに?!な稚拙で雑な手抜きではなく、かつヘンに煽情的で生々しいものでもなく、全裸で絡み合うこともキスすることも性欲や愛があるならフツーでしょ?な自然さで好感。日本の俳優もBLやるならせめて、この作品の二人ぐらいはチャレンジしてほしいものです。ラッセルの住んでる団地?の生活感、質素だけどインテリアや食器がおしゃれなラッセルの部屋、ゲイバーでのナンパ、異性愛者の人たちとのやりとりなど、イギリスの庶民ゲイの生活風景も興味深かったです。
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永遠のロンリーボーイ

2022-07-24 | 北米映画 20s~50s
 「エデンの東」
 第二次世界大戦に参戦する直前のアメリカ、カリフォルニア。父親に愛されていないのではないかと悩むキャルは、彼が生まれてすぐに夫と子どもたちを捨て、今はいかがわしい酒場を営む実母に会いに行くが…
 伝説のスター、ジェームズ・ディーンの映画を恥ずかしながら初めて観ました!イケメンとか美男とかというより、可愛い男子って感じですね~。スカした反抗児っぽいイメージだったけど全然そんなことはなくて、ただもう孤独で薄幸そうでけなげな青年ジミーに、結構キュンときましたわ。あの悲しそうな上目づかいがいいですね~。そして、ちっちゃい!あんな小柄だとは知りませんでした。でも、大柄でバキバキムキムキな肉体美を誇る今のハリウッド俳優がキャルを演じたら、きっとすごい違和感。子どものようないたいけさがあるジミーだからこそ、今にも砕けそうなガラス細工のハートを抱えたキャルを、悲痛かつ魅力的に演じることができたのでしょう。どんなに演技が上手くて、どんなにルックスがよくても、今の俳優には演じてほしくない役かも。

 あらためて早世が惜しまれるジミーですが、生きてたらどんな俳優になってたことでしょうか。「理由なき反抗」と「ジャイアンツ」も観たいと存じます。ジミー、TV映画で彼を演じたジェームズ・フランコ、たまにブラピにもちょっと似て見えました。二人ほどイケメンではないけど、二人にはない繊細さがあります。ジミーのモゴモゴした声と喋り方、猫背気味の歩き方などが、内省的で不器用なキャルの性格をよく表していました。憂いはあるけど暗くはなく、若さであふれてるジミー。たまにアクションスターみたいな軽やかで俊敏な動きをして驚かされます。

 パパとの確執や家族間の相克、愛されない悲しみに苦しみ傷つくキャルですが。あのパパって、そんなに冷たくも厳しくもなかったような。むしろフツーに思えましたが。虐待やネグレクトしてるわけじゃないし。わしの親父のほうがよっぽど情なしですよ。でも、わしは今も昔もそんなに気にしたことないです。ベタベタと子どもを溺愛する父親のほうが、私には重苦しく気持ち悪く思えるけど。キャル、何でそこまでパパパパ言うの?パパなんかどうでもええやん!なんて叱りたくなった私、やはり冷血人間でしょうか。これが親にあまり愛されずに育った結果なのでしょうか

 キャルより兄のアーロンのほうが可哀想で不幸だったような。あのラストは悲惨すぎてインパクトあり。強すぎる愛は深い憎悪と、かなわぬ望みは絶望と表裏一体なのですね。愛も希望もほどほどにしておくのが最良かもしれません。それにしてもキャル、実母を尾行したり部屋に侵入したり、アーロンと恋人のイチャイチャをのぞいてたり、かなりストーカー気質でヤバい子だった。捨てられた子犬のようなジミーだから母性本能ズキュンバキュンだけど、あれがもしキモブサ男だったら通報されてしまうことでしょう。
 有名なテーマ曲がすごく好きで、いまピアノを猛練習中です🎹ピアノが弾ける人には簡単らしいけど、私にはかなりハードルが高い💦でも絶対弾けるようになるもんね!
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胸騒ぎの腰ふり

2022-07-20 | 北米映画22~
 「エルヴィス」
 1950年代のアメリカ。その歌声とパフォーマンスで若者たちの心を掴んだ若きエルヴィス・プレスリーは、またたく間にスターとなる。しかし保守的なアメリカ社会では激しい反発も買い…
 定期的に製作される超有名歌手の伝記映画。「ボヘミアン・ラプソディ」のフレディ・マーキュリー、「ロケットマン」のエルトン・ジョンに続いて、今度はエルヴィス・プレスリー。彼もネタの宝庫な人物のようですが、恥ずかしながら私プレスリーのことはあまり存じ上げなくて。歌も有名な「好きにならずにいられない」」ぐらいしか思いつかない。人気絶頂の若い頃より酒とクスリに溺れて体が膨張した晩年の姿のほうが、プレスリーと聞いてパっと思い浮かびます。さぞかし波乱万丈でスキャンダラスな人生だったんだろうなと思いきや、そんなでもなくてちょっと肩透かし。エルヴィスのキャラと言動も、フレディやエルトンに比べると非エキセントリックで、かなりまともだったのも以外でした。

 エルヴィスの人物や人生よりも、それらをゴッテゴテにギラギラにデコレートして描いた、バズ・ラーマン監督の演出こそこの映画の見どころかもしれません。とにかくド派手!めくるめく華麗な展開やシーンは、視覚的にも聴覚的にも楽しいんだけど疲れます。ずっとお祭り騒ぎみたいな映画でした。エルヴィスのライヴシーンが華やかかつパワフル。エルヴィスといえば、保守的な当時のアメリカで社会問題となったパフォーマンス。激しく腰を振りながら熱唱するエルヴィスに、女子たちが発情発狂状態になる姿はイタコ的でホラー、でも笑えた。今ならあれぐらい誰も何とも思わないけど、わいせつ罪扱いして厳しく糾弾してた当時のアメリカ社会、ほんと偏狭で抑圧されてたんですね~。それにしても、アメリカのファンって熱狂的すぎて怖い。エルヴィス本人や車に体当たりしてくる危険で迷惑な命知らずさとか、殺す気かよ!と戦慄。

 ギンギラなジェットコースターのようにショービジネスの世界を駆け抜け、やがて没落していくというエルヴィスの栄枯盛衰物語は、スターの伝記ものとしては結構ありきたりで、特に目新しさも衝撃もありませんでした。欲深い連中や家族と金をめぐって争いとかほとんどなく、エルヴィスの遺族や関係者が安心する内容になってました。ほんとはもっと汚くて醜い人間関係やトラブルがあったはず。そういうダーティでディープな部分は端折られてました。演出は派手だけどドラマそのものは薄いです。エルヴィスの曲だけでなく、彼に影響を与えた黒人音楽もカッコよくてエモーショナル。当時の黒人差別や、次々と起こる要人暗殺など、今も昔もアメリカって暴力に満ちた物騒な国。

 エルヴィス役のオースティン・バトラーは、新人さん?大抜擢にこたえて大熱演してました。女の子みたいな優しい顔。すごく地味で薄いので、濃ゆいエルヴィス本人とは似てませんが、ライヴパフォーマンスの再現や、若き日の少年っぽさと晩年のおじさんの演じ分けが見事でした。メイクの力も驚異的。実際のエルヴィスの晩年はもっと醜悪ですが。エルヴィスの悪徳マネージャー役は、ハリウッドの大物俳優トム・ハンクス。すっかり爺さんになったな~と、大好きだった若かりし頃のトムに思いをはせ感慨。ショボくれて萎んだ老人ではなく、どっしりと元気いっぱいに老害をふりまく怪演で健在ぶりをアピールしてました。強欲で胡散臭いけど悪人ではなく、基本いい人で軽妙な演技がトム・ハンクスらしかったです。彼も悪役はできない俳優。

 私のお目当ては、エルヴィスと親しくなる有名歌手B・B・キング役のケルヴィン・ハリソン・ジュニア中盤にチョコっとしか出ないチョイ役でしたが、やっぱ彼イケメンですね~。すごい華があって、周囲の黒人たちはみんな彼の引き立て役になってしまう。50年代のファッションも小粋で伊達でした。エルヴィスとの仲良しぶりに、全然BLっぽさがなくて残念。BLといえば、「パワー・オブ・ザ・ドッグ」でカンバーバッチを虜にしたコディ・スミット・マクフィも出演してます。彼も前半だけのチョイ役。いてもいなくてもいいような役でしたが、特異な風貌なのですごい目立ってました。フレディやエルトンと違って、エルヴィスはノンケで非BL映画だったのが、何となく物足りなかった要因でしょうか。次に映画化される有名アーティストは誰かしらん?ジョン・レノンとか?ヨーコが生きてるうちは無理かな
 

コメント (5)
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38度線の色男

2022-07-14 | 韓国映画
 「プンサンケ」
 38度線を越え韓国と北朝鮮を往来する運び屋、通称プンサンケは、脱北した北朝鮮高官の愛人をピョンヤンからソウルに連れてくるよう依頼されるが…。
 「犯罪都市」を観て以来、すっかりサランヘヨ~な男になったユン・ゲサンまだ2作しか出演作を観てないのに、my best 5 of 韓流俳優には確実にランクインされてます(^^♪この作品のゲサンも、チョンマル男前でした!そして、いい役者!見た目と演技の両方で私を魅了する俳優って、よく考えてみたらそんなに多くない(どっちかでなら、星の数ほどいるけど)。その点ゲサンは、ルックスも演技力も韓流では屈指のハイレベルな俳優(私の中では、ですが)。この作品の彼もそのことを私に確信させてくれました。

 短髪になってクール&ストイックな風貌に。顔はやっぱソ・ジソブ+永山瑛太に見えたけど、ゲサンには二人にはない男の色気と役者魂があります。若造でもない、おっさんでもない、最も脂がのる30半ばの男の色気が濃密で、エロい役でも演技でもないのにエロいんですよね~。ゲサンみたいな30半ば(当時は)の男優、日本にはいませんよ。嵐とか40近いのにアレですよ
 韓国と北朝鮮、南北を命がけで往来して物や人を運ぶ運び屋、通称プンサンケ(豊山犬)と呼ばれる謎の男を演じてるゲサン。台詞なし!男は黙って…どころではない寡黙、いや、沈黙の男ですが、そんなミステリアスさが似合う翳りが魅力的です。軽薄なまでに明るい男より、ゲサンのように重苦しいまでに暗い男に心惹かれます。色気って基本的に暗い、隠微なものですよね~。性的なシーンがなくても色気ダダ漏れなゲサン、え!?と思わず画面をガン見してしまった、衝撃の全裸も披露!

 南へ向かう途中、川に入るシーンがあるのですが、そこで暗闇にまぎれるために全身に泥を塗るゲサンの全裸に目がクギづけ!すげーいいカラダ!ムキムキすぎない、ほどよく厚みのある引き締まった肉体!お尻もキュっと固く引き締まってて、だらしなく弛んだ緩んだところや、いかにも鍛えてます的な不自然ナルシーさもない、まさに私の理想形、完璧な肉体美でした必要なのに脱がない俳優、そんなカラダで脱ぐな!な俳優は、ゲサンを見習ってほしいものです。脱ぎ率が高く、拷問シーンでの肉体美も眼福。ヒロインにも泥を塗ってあげるシーン、ヒロインをおんぶして川を渡るシーンでの全裸ゲサン、そのハンパない色気ときたら!脱いでもセックスシーンしても全然エロくない俳優って、ほんとダメだと思います。

 裸や色気のことばっか言ってますがハードで生々しいゲサンの猛者っぷりにも目を奪われます。とにかく強い!不死身!ほぼ武器なし、己の肉体のみで任務遂行や敵と激闘するゲサンが、とにかくカッコいいです。走る姿が美しい!スマートなカッコよさではなく、泥臭く血みどろな鬼気迫る凄絶さが圧巻。人間とは思えぬ身体能力は、ちょっと笑えるありえなさ。南へ入るための鉄柵走り高跳びとか、ほとんどギャグでした。

 この映画、ゲサンの演技もですが大真面目なようでいて、実はかなり笑いを狙ってるのかな?と思える設定やシーンが多くて。プンサンケの南北往来も決死なんだけど何となく滑稽でもあったり、韓国の情報員と北の工作員がみんなそろいもそろってゲスクズブスばかりで、終盤にプンサンケがまるでハングマンみたいになって全員拉致監禁し、閉じ込められた彼らが殺し合いを始めるというトンデモ展開は、タランティーノ監督風のヴァイオレンスコメディだった。脱北した政府高官のおじさんの、いい歳しての好色さや嫉妬深さもクレイジーで笑えた。韓国の情報員が北で受ける拷問(お尻の穴に鋭い棒が…)も、残忍だけどオゲレツで笑えた。

 ちなみにプンサンケとは、北朝鮮の豊山犬、そして煙草のことだとか。プンサンケの本名や生い立ち、運び屋になった経緯や理由、なぜ喋らないのかなど、いっさい説明なし。台詞だけでなく表情もほとんど無だったゲサンですが、北から運んできた幼い少年に一瞬だけ見せた微笑みが可愛かった。血なまぐさい激烈なゲサンの次は、実像に近いスマートで優しい、そして色気は不変な彼に会いたいと思います。

 ↑最新作のドラマ「キスシックスセンス」でも、大人の色気を振りまいてるみたいなゲサン、ポゴシプター!
 
 
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バッドガイズ2①~⑧ 悪には悪を!

2022-07-10 | 韓国のドラマ
 「バッドガイズ2 悪の都市」第1話から8話まで観たニダ!マ・ドンソク主演のシリーズ1をすっ飛ばして観始めましたが、ほとんどつながってないようなので大丈夫みたいです。

☆イルジメのシワンが好き
 実質の主役、若手検事ノ・ジンピョン役はキム・ムヨル。「悪人伝」では気性の荒いマル暴刑事役だったけど、今回は正義感が強い生真面目な検事役。カメレオン俳優気どってヘンに姿形を変えることもなく、でもきっちりと自然にいろんな役をこなす彼のような俳優を、真の演技派というのではないでしょうか。顔は平田満似でイケメンじゃないけど、スラっとしつつ筋肉質な長身にスーツが似合ってカッコいい!

 チームを仕切るウ・ジェムン検事役は、ベテラン俳優パク・チュンフン。チョン・ジョンミョンと「強敵」でW主演だった人ですね。ベイスターズの山崎康晃に似てますね~。優しそうなので、激しいヴァイオレンスがちょっと似合わないけど。
☆ジンモ♡
 チームの一員、元やくざのホ社長役は、大好きなチュ・ジンモオモオモ!ジンモも久々ですが、やっぱチョンマルカッコいいですね~クマさんみたいなゴツい風貌で、優しそうだけどほんと強そう!寡黙で出しゃばらないけど、ジンピョンがピンチに陥ると現れて敵をバッタバッタと瞬殺する、頼もしい最強の男!

 ワイルド&ハードなジンモですが、顔は可愛い!彼ももう40代だけど、風貌に老化や劣化がなくて今でも若々しい、かつシブさも加わり色気も増して、理想的な形で熟成中です。若い時は顔がそっくりだったキムタクさんとか、梅干しみたいなシワシワ顔の貧相なチビおじさんになってるので、ジンモのきれいな年齢の重ね方はほんと見事です。

 着替えシーンで見せた肉体美も眼福!いかにも鍛えてますな不自然バキバキ筋肉ではない、がっちりむっちりマッチョはまさに私好み抱いてー!
☆ジンモ2
 検察上層部の検事正役もチュ・ジンモ。韓流ドラマではおなじみのバイプレイヤーさん。同姓同名の二人の共演って珍しい?
☆貧民街
 格差によって貧乏人が悲惨な生活。いつの時代?!な暮らしぶりや家、服装も韓流ではおなじみの光景。

☆ほぼ男のみ
 男だらけ、ほとんど男しか出てこないドラマです。女性キャラはチーム員の女刑事とホ社長の元恋人、野心家のエリート女検事の3人だけで、そんなに出番もなく、しょーもない恋愛要素がないところもいい感じ。マニッシュな女検事はちょっと平手友梨奈似?
☆素敵な上司
 ジンピョンの上司パン検事が、地味にカッコいい!長身のキム・ムヨルよりさらに背が高い!韓国俳優ってほんと体が大きく逞しいので、日本のイケメン俳優とかが見劣りしちゃう。

☆気になる脇役
 極悪人チョ会長や、その手下の暴力団組長も韓流映画やドラマでよく見る人たち。組長の右腕的な若頭が、すごいゴツくて強い!あんな巨体で超軽やかなハイキックやまわし蹴り!ほんとに俳優?格闘家かと思ったら、「屋根部屋のプリンス」のユチョンの護衛官役だった俳優!ずいぶんゴツくなりましたね。男前にもなりましたね。
☆男前食堂
 ホ社長の本職は小さな食堂の店長。オットケー!こんな男前が作ってくれる料理なら、毎日通うわ!キムチチゲが美味しそう。

☆生きたまま火葬
 このドラマもTVで流して大丈夫なん?なエグい残虐なヴァイオレンスてんこ盛り。刺身包丁と鉄パイプ(またはバット)で乱闘、いや、殺し合いしてるのももう日常の風景化してます。ホ社長の元恋人が生きたまま棺桶に入れられて火葬場で燃やされるのもヒエー
★総括
 もう毎回男たちが入り乱れて血まみれ血みどろの乱闘、殺し合いで、もうナニガナンダカわかんない内容に。その血生臭さ、迫力、野蛮さはまさに韓国ならではで、日本のヤンキーものとかヤクザものとはまったく怖さが違います。
 チュ・ジンモがやっぱええわ~パン検事も好き。パン検事も鉄パイプもって血みどろの戦いに参戦してほしいわ~。
 でも調べてみたらこのドラマ、スキャンダルや不祥事を起こした出演者が多くてビツクリ。ジンモは携帯ハッキング事件、チーム最年少のガンジュ役の子も学生時代にいじめをしていたと告発され、さらに組長の男前右腕も薬物で逮捕!日本もだけど、芸能人なんてみんな叩けばホコリが出る人ばかりみたいですね~。
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怪奇!引きこもり老嬢

2022-07-06 | 北米映画 60s~70s
 「ふるえて眠れ」
 パーティーの最中に恋人が何者かに惨殺されて以来、富豪令嬢のシャーロットは屋敷から外に出ない生活を続け年老いる。シャーロットは唯一の身寄りである従妹のミリアムを手紙で呼び寄せるが…
 ハリウッドのレジェンド女優ベティ・デイヴィスは、そのキャリアといい人柄といい生涯といい、まさに全身映画女優と呼ぶにふさわしい大女優です。若い頃から他の女優がやらないような悪女役や因業な女役を積極的に演じ、強烈な個性と非凡な演技力でハリウッドに君臨したベティは、容色が衰える年齢になると今度はまた他の女優が選ばなかった道、おそろしい妖婆女優として活路を見出し、再び銀幕の第一線に返り咲いたのでした。その記念すべき怪作「ジェーンに何が起こったか?」で大女優としての健在ぶりをアピールしたベティが、二匹目のドジョウ狙いでロバート・アルドリッチ監督と再タッグを組んだ今作でも、ド迫力の怪婆っぷりで映画ファンの度肝を抜き、戦慄せしめたのでした。

 ベティが演じたのは、ある忌まわしい事件によって長年屋敷に引きこもり、世間を知らぬまま年老いた令嬢役。乙女な衣装や髪型と、老いさらばえた顔とのギャップの異様さときたら。まるで楳図かずお先生の怪奇漫画から出てきたような怖さです。中身はピュアな乙女言動もだけど、激怒した時の鬼婆顔とダミ声での罵倒など、子どもが見聞きしたらトラウマ必至なホラー。ヒロインを苦しめ追い詰める事件や怪現象よりも、ベティの顔や声のほうがはるかに恐ろしいです。

 妖怪のようなヒロインのイカレた風貌や言動、斧でぶった切られる手や首(60年代のモノクロ映画で、もうこんなエグいシーンあったんですね)!など、怪奇映画としてはなかなか見どころは多いのですが。事件の真相とか犯人、ヒロインの精神のバランスが崩れていく描写など、ミステリやニューロティックなサスペンスなどはかなり雑で、大女優出演作でなければB級怪奇映画になってたかもしれません。

 シャーロットのもとにやって来る従妹のミリアム役は、これまたハリウッドの大女優オリヴィア・デ・ハヴィランド。優しそうでエレガントな婦人風ですが、なにげない表情や声音などに冷酷さ、狡猾さが見え隠れする一筋縄ではいかない女。全盛期にもそういう役を得意にしていたオリヴィアも、ただ美しいだけのお人形ではなかった大女優です。ベティとは同じような怪演で火花を散らすのではなく、あくまでクールで怪しい女として優雅な胡散臭さを振り巻いていました。毒々しいベティが哀れな被害者で、優しそうなオリヴィアが腹黒い悪女、というキャスティングも面白かったです。冒頭で惨殺される恋人役は、若き日のブルース・ダーン(ローラ・ダーンのパパ)でした。
 この映画、日本でリメイクするなら誰がええじゃろ?現在50代半ばの大物女優。シャーロットは鈴木京香、ミリアムは鈴木保奈美のW鈴木とかいいんじゃね?今でもじゅうぶん美しく若さを保ってる二人ですが、ここは女優魂ムキ出しで醜悪な怪演に挑んでほしいな。
 
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