まつたけ秘帖

徒然なるままmy daily & cinema,TV drama,カープ日記

別府♨温泉パラダイス 前編

2022-08-19 | 旅行、トレッキング
 大分の別府に行ってきました!MY 老母とM子、ジミーと4人で杉乃井ホテルに二泊三日♨(^^♪
 子どもの頃に家族旅行で泊まった杉乃井ホテル。この世の楽園とはかくや、とばかりの楽しい思い出が忘れられず、いつかまたと大人になってからも夢見てました。夏休み前にあんたも行く?と老母から誘われ、行く行く!と欣喜雀躍で即答!職場は忙しいのにKY有給とっていざ別府へ!
 小金持ちで子なしだった叔父(母の母の弟)夫妻の遺産を相続した老母は、死ぬ前にぜんぶ自分のために使う!と老後生活を豊かにエンジョイ中で、今回の旅ももちろん彼女がスポンサー。ありがとう母上!M子の息子ジミーも大喜びで、張り切って旅のしおりを作ってみんなに配ってくれました。

 広島から新幹線で小倉へ。1時間もかからず到着し、小倉で特急列車ソニックに乗り換え。ソニック、すごく揺れると聞いてたので、乗り物酔いするM子母子は戦々恐々してたけど、大して揺れなくて安堵。2時間ぐらいで別府に着きました。

 夏休みに入ったとはいえ平日だったせいか、駅は閑散としてました。何かの企業の広告で、ソフトバンクの今宮くんのポスターがあったのが九州って感じでしたが、カープだらけの広島と違いソフトバンク色はほとんどなかった。大分はそんなに野球熱が高くないのかな。福岡だとソフバンだらけなんかのお?

 ちょうどお昼だったので、駅内にあった店に入りました。知らなかったのですが、別府はとり天の発祥の地だったんですね。とり天大好き。さっそく4人ともとり天定食を注文。サクサクでボリューミーで美味しかったです。これも初耳でしたが、かぼすも別府の名物だとか。とり天につけるかぼす酢醤油もさっぱり味で気に入りました。大人3人はもう吐きそうなほどお腹いっぱいになりましたが、食いしん坊のジミーは物足りなさそうで、老母にデザートをねだってましたがM子に厳しく阻止されてました。可愛いジミーですが、会うたびにどんどん肥大化、12歳にしてまさかの60㎏今や立派なメタボ肥満児に。生活習慣病とか心配…
 駅内にある杉乃井ホテル専用の待合室前で送迎バスに乗り込みます。10分ほどでホテル前に到着。

 再び来ることができた杉乃井ホテル!海外よりも行きたかった楽園!久々の杉乃井ホテルは、子どもの頃の記憶よりこじんまりとして古びた感じがしました。映画やドラマで見る最高級ホテルとはやはり違う、庶民のホテルって感じ。家族やカップルで大盛況。コロナのことを忘れてしまいそうになります。現在改修中で、別館への移動はすべてホテルのミニバスで。宿泊する部屋からは、生活感ハンパない団地や車道、100均ショップなど、何とも庶民的な景色が広がってました。
 タダより高いものはない。旅費はいっさい払わなくていい代わりに、私はジミーの遊び相手、世話係を負わされました。M子はある深刻な家庭問題を抱えて心身ともに疲れてたので、その慰労を兼ねた旅行でもあったのです。ジミーはほんともう元気いっぱいで大興奮。ホテルにあるプール、アクアビートでトドの子どもみたいに大はしゃぎ。

 温泉でまったり旅疲れ、子守り疲れを癒した後、夕食はバイキング。これも子どもの頃の最高の思い出のひとつでした。洋食和食中華、なんでもアリな料理が食べ放題。とはいえ、私は小食なのでバイキングってあまりお得感がないんですよね~。それでも貧乏性の悲しさ、食べなきゃ損精神で無理してキャパ以上の飲食。スイーツが美味しくて、たくさん食べました。体重、旅の間は気にしないことにしました大食漢ジミー、まるで普段は食べさせてない子にような飢えた餓鬼っぷりで、見ていて怖くなりました。M子も息子の食欲には悩んでるようです。
 さすが子どもは疲れ知らず、夕食後は休む間もほとんど与えてくれず、今度はアクアガーデンという屋外温泉プールに連れて行かれました。その夜は肌寒い上に強風。美しいライトショーも、風のせいで形崩れしまくり。ジミーが遊び疲れるのを待って、アクアガーデンと隣接してる棚湯へ。見上げれば夜空、目の前に広がる夜の町、解放感があって気持ちのいい温泉でした。

 風呂上り、まだ元気なジミーはゲームセンターへ。私はお土産店でひやかし。部屋に戻った時の私、老母とM子に大丈夫?!と心配されるほど疲労困憊顔だったようです。布団に潜り込んで、その夜は死んだようにバタンキューだったのでした。
 to be continued


 

 
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BL告解!

2022-08-18 | イギリス、アイルランド映画
 夏のBL映画祭⑥
 「司祭」
 リヴァプールにある小さな村の教会に赴任した若き司祭グレッグは、誠実な人柄と熱心な仕事ぶりで村民に慕われる。グレッグには夜な夜なゲイバーに通い、セックスの相手を探すというもうひとつの顔があった…
 レンタルDVDで観た時はまだ汚れなき青少年だったので、神父さま?牧師さま?があろうことか男とチョメチョメ(死語)を!と強い衝撃を受けたことをよく覚えてます。この映画、28年も前の作品なんですね~。すっかり腐った老人と化した今あらためて観ると、スキャンダラスでショッキングな映画に狎れてしまってるせいか、あの頃のウブだった自分を懐かしく思うだけです。今やBLはそんなに禁断でも罪悪でもないので、グレッグ司祭の苦悩や苦境、周囲の人々の反応など、かなり時代錯誤に映りました。別に男同士じゃなくてもいいような、ハッピースウィートでライトなBLに物足りなさや違和感を覚えてる私なので、グレッグ司祭を襲う過酷な試練はこれぞBL!な醍醐味でした。

 それにしても。グレッグ司祭、苦悩してるわりには脇が甘いというか、ほんとにゲイであることを隠す気あるの?な大胆さ、不注意さに呆れてしまいます。こっそりゲイバーに通うのも危険だけど、男と浜辺でデート&キス、あげくは白昼の路上でカーセックス未遂、お巡りさんに現行犯逮捕されるとか、おいおい~な迂闊さじゃないですか。フツーの男女のカップルだってもっとわきまえてますよ。厚い信仰心でもっても性欲は抑えられないんですね。

 この映画、観たらBLに萌える代わりに宗教や信仰について考えさせられることになります。私はまったくの無神論者なので、ほんとこういう映画を観ると戸惑うばかりです。敬虔であることは、時に人間らしく生きることを否定してるようにも見えて。若くて真面目でイケメンなグレッグ司祭を、村人たちは大歓迎して親切にしてたのに、グレッグがゲイだと知ると冷たくなる手のひら返しが怖かったです。すべての人が平等ではなく、排除していい人もいるという冷厳さは、地下鉄サリン事件や同時多発テロなどキリスト教に限らず、宗教というものには不可欠なのでしょうか。
 神の教えに背く同性愛者は汚い存在として差別偏見OKみたいな考えだけでなく、告解の内容を他言してはいけないという守秘義務も何だか狂ってるとしか思えなかった。女の子が実の父親から性的虐待を受けてると知りながら黙ってるとか、ほとんど犯罪ですよ。苦しんでる人たちを救うどころかもっと苦しめる宗教って、ほんと何なん?狭量な村人たち、忌まわしい近親相姦親父、そして無力なグレッグにイライラムカムカするばかりでしたが、救えなかった少女にグレッグが逆に救われるラストは崇高で感動的でした。

 グレッグ司祭役は、「鳩の翼」での好演も忘れがたいライナス・ローチ。優しそう真面目そうなイケメンで、誰からも好感をもたれる司祭役にぴったり。司祭服?もよく似合ってて、それでいてイケメン俳優のコスプレっぽさがなく自然。現在はすっかり枯れた熟年となってるローチ氏は、ハリー・スタイルズがBL!と話題の新作「僕の巡査」に出演してるようです。グレッグと恋に落ちる若い男役は、後に「トレインスポッティング」や「フル・モンティ」で有名になるロバート・カーライル。イケメンではないけど可愛いです。二人のラブシーンは、エロくも過激でもないけど、人気俳優がBLやるならこれぐらいはと思う適度さです。グレッグの先輩司祭役の名バイプレイヤー、トム・ウィルキンソンがいぶし銀の存在感、そして最も人間味のある役でした。
 BL映画祭、これにて終了(^^♪お目汚しありがとうございました
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下宿人の誘惑

2022-08-12 | オセアニア、アフリカ、中東、その他のアジア映画
 夏のBL映画祭⑤
 「コバルトブルー」
 90年代のインド、ケーララ州。家族と暮らす作家志望の大学生タナイは、下宿人の男と恋に落ち彼との情事に溺れる。しかし男は、親が決めた結婚を嫌う妹アヌジャーを連れて姿を消してしまい…
 いっとき人気があったインド映画。恥ずかしながら、初めて観ました。インド人、やっぱ濃ゆいですね~。イケメンも美女も濃すぎて、胃に重い料理みたい。淡白な私には受けつけがたいものがあります。インド系でも、リズ・アーメッドとかコスティア・ウルマンぐらいの濃さなら丁度いいのですが。それはそうと。インドもちょっと前までは、LGBTに厳しい国だったようですね。90年代になっても同性愛は差別偏見の対象どころか正式に犯罪だった、とか信じがたい事実です。インドの人口を考えれば、当時もものすごい数の同性愛者がいたはずなので、彼らがすさまじい辛酸をなめたことは想像に難くないです。でもこの映画の主人公タナイは、そんなに深刻に苦悩してる様子もなく、何だか夢見る夢子ちゃんっぽくフワフワしてるんですよ。大学教授は彼に気があり、新しい下宿人の若い男とは恋愛関係に、とかゲイ遭遇率が高くない?そんなに出会えるもんなの?禁断の関係なのに、タナイと下宿人は結構おおっぴらにセックスしたりイチャイチャしたり、フツーならすぐバレるようなことばっかしてるので、表向きは厳しいけど意外と見て見ぬフリしてるユルさがインド社会にはあったのかな、とも思いました。

 しかしこの映画、ゲイの兄の恋人を妹が奪い家庭崩壊、という「想い出にかわるまで」も真っ青な結構なドロドロっぷり。タナイがさしずめ今井美樹で、アヌジャーが松下由樹、といったところでしょうかアヌジャーは見た目もキャラもボーイッシュ、美人だけどかなり男っぽく、いつも女の子とばかり仲良くしてて異性に興味がなさそう、結婚を死ぬほど嫌がってたこともあり、てっきり彼女も?と思い込んでしまってたので、唐突すぎる男との駆け落ちは腑に落ちないものが。下宿人の男とそんな感じ全然なかったし。兄と妹、両方を食った挙句に姿を消す下宿人の男、何者だったの?どういうつもりだったの?ただの無責任すぎるヤリチンバイセクシャル?とんだゲス野郎を下宿させちゃったものです。でも、彼に捨てられたことを機にタナイとアヌジャーは自由に生きる人生を選ぶことになるので、あの下宿人は古いものから解放される新しいインドを象徴する存在だったのかな。

 BLよりも、インドの風習や社会が興味深かったです。厳格で根強いカースト制度や家父長制、著しく軽視されてる女性の権利。とても近代社会とは思えません。古い因習に加え、同性愛は犯罪とするイギリスの植民地だった時代の悪しき名残など、インドの複雑さと歪みも垣間見えました。ファッションや食事など、これぞインド!でした。男性は涼やかで、女性は華やか。サリー着てみたい。料理が美味しそうでした。タナイ一家はわりと裕福だったこともあり、インドといえばの極貧風景はほとんどなく、舞台となったケーララはかなりトロピカルな南国風で、これもインドに抱いてるイメージとは異なってました。

 タナイ役の俳優はブサイクではないのですが、もうちょっと可愛いイケメンだったらと思わないでもなかった。名前不明の下宿人役の俳優は、英国俳優のエドワード・ホルクロフトを超濃ゆくした感じの男前で、肉体美をこれでもか!と見せまくってました。下宿人の職業は芸術家だったけど、芸術家が何であんなマッチョなの?男同士のラブシーンはソフト。湖のほとりでアオカンしてると象が現れるとか、インドでは当たり前のことなの?!まあ、熊が出てくるよりはいいのかな、でも象も怖いわ🐘
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僕を抱いた兵隊さん

2022-08-10 | その他のヨーロッパ映画
 夏のBL映画祭④
 「Voor een verloren soldaat」
 第二次世界大戦中のオランダ。11歳のイェロンは両親と離れ、食糧難のアムステルダムから農村に疎開する。やがて終戦を迎え、村人たちが連合軍のカナダ兵を歓迎する中、イェロンはウォルトという青年兵士と親しくなるが…
 ロリコンならぬショタコン!3度のメシよりBL好きな私ですが、年端もゆかぬ少年のBL、いわゆるショタコンは苦手。淡い恋ぐらいならいいけど、いたいけな少年たちが性的なことをしたりされたりするのは見たくないです。相手が少年だろうと少女だろうと、子どもと性行為はやはり許されざる蛮行だと思うので。この作品も、内容は完全にアウトです。コンプライアンスが厳しい今だと映像化は不可能。ガッツリあからさまにセックスしてるシーンはないのですが、それでも大人の男と幼い少年が裸体を重ねてるだけのシーン、結ばれたという設定だけでも、居心地が悪くなってしまいます。

 でもこのショタコンBL、禁断とか罪悪感とかいった湿った暗さが全然ないんですよ。返ってそれっていいのかな、と思うほどに。大人の男と少年でなければ、フツーに爽やかで優しい、ちょっと切ない初恋物語なんですよね~。イェロンとウォルトが出会って仲良くなっていく過程は、微笑ましくロマンティック。お互いの母国語は全然わからないのに、フィーリングで意思疎通はできてしまうというのも恋のマジック。もしイェロンが17、8の女の子だったら、よくある話ながらもビタースウィートなラブストーリーになってたでしょう。

 ウォルトに出会う前から イェロンは同性に興味があるっぽい様子で、ゲイの萌芽は見せてました。性の目覚め、初体験は誰もが通る青春の道で、自分の意志で好きな男とそうなったイェロンは幸せ者なはずなのですが、社会的には彼らの恋は犯罪、悲劇なんですよね。周りから厳しく糾弾されたり仲を裂かれたりしなかったのは、二人にとっては幸運だったのか、それとも不幸だったのか。せめてイェロンが高校生ぐらいだったら、アンモラルさも薄くなったと思うけど…

 出会った頃は、イェロンはウォルトのことを優しいお兄さんみたいに見てたけど、ウォルトのほうは初めて会った瞬間からイェロンを恋する男の目でロックオンしてたよな~。仲良くなるとイェロンを可愛い弟ではなく、愛する恋人扱い。イェロンへの愛の言葉などには、とても11歳の男の子へのものとは思えぬ真摯さ、情熱が。ウォルトは小児愛者だったのかな。愛する人を抱きたいという自然な欲求も、相手が子どもだとそこは自制をと思う。異国の、立場的に何をしても許される状況だったのも、何だかひっかかるものがありました。もしイェロンが単に優しいお兄さんとして慕ってるだけだけで性的関係を拒んだら、ウォルトはそれを受け入れたでしょうか。

 周囲の人たちは二人の関係に気づいてるはずなのに、知らんぷり状態なのが不思議でした。戦争が終わった解放感、多幸感のせい?疎開先の家のお父さんだけは気にしてたみたいでしたが、口出しとか引き離そうとしたりとかはなし。性的、風紀的にちょっとユルかった時代ゆえ?
 イェロン役の子は、聡明そうで可愛い男の子でした。ウォルト役の俳優は優しそうな地味イケメン。疎開先の一家や、アムステルダムから一緒に疎開した悪ガキなど、サブキャラがいい味だしてました。貧しいけど飢えや死の恐怖とは無縁な田舎のシンプルライフは、戦争中とは思えぬほど静かで平和だったのが興味深かったです。
 

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初秋

2022-08-07 | 映画雑記
 BL映画祭、ちょっと休憩。
 皆さま、ご息災ですか?生命にかかわるような酷暑が続きますね!もう毎日が虫の息、道端に転がってるセミの死骸が自分自身と重なって…秋の虫の音が聞こえる涼しい夜を心待ちにしながら、今夜も寝苦しさに耐えます…
 秋も面白そうな映画、たくさん公開されますね!特に観たい作品をピックアップしてみたわいや~。

 地下室のヘンな穴

 珍妙な作風で注目のカンタン・デュピュー監督の新作。メインキャストの中に、すっかり貫禄も恰幅も備えたブノワ・マジメルもいます。

 ブレット・トレイン

 日本の人気作家の小説をハリウッドで映画化。ブラッド・ピットが新幹線内でオチャメに大暴れ!真田広之さんも出てるみたいです。

 スペンサー ダイアナの決意

 クリステン・スチュワートが故ダイアナ妃を演じ、アカデミー賞にノミネートされた作品。注目の英国美青年俳優が出てないか楽しみ。

 犯罪都市 THE ROUNDUP

 マ・ドンソク主演のシリーズ第2作。韓国では大ヒット。悪役のソン・ソックが怖い&すごいカラダ!日本の孤狼の血とかアイドル映画に思える!
 
 愛する人に伝える言葉

 ブノワ・マジメルがセザール賞主演男優賞を受賞。病魔におかされ余命いくばくもない男役で入魂の演技。母役は大女優カトリーヌ・ドヌーヴ。

 アフター・ヤン

 注目の独創派コゴナダ監督の新作。近未来を舞台にしたSFだとか。父親役のコリン・ファレルが男前♡
 
 ミセス・ハリス、パリへ行く

 英国の名女優レスリー・マンヴィルが、夢見る熟女をチャーミングに好演。共演はフランスの大女優イザベル・ユペール!注目のフレンチイケメン、リュカ・ブラヴォーも出てます。
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男ふたり洞窟で…

2022-08-04 | ドイツ、オーストリア映画
 夏のBL映画祭③
 「Orpheus' Song」
 ジムで知り合い親しくなったフィリップとエニスは、旅行先のギリシアで森の中に迷い込んでしまう。ヘラクレスと名乗る不思議な男に、二人は洞窟へと導かれるが…
 ちょっとおとぎ話的なBL、いや、これもゲイ映画でした。BL映画とゲイ映画の違いは、肌露出と性愛シーンの比重でしょうか。男同士のセックスなんてほとんど存在しない扱いな、ライトでファンタジーなBLでは物足りなさを覚えますが、かといって必要以上に裸になって肉体を貪るような生々しいゲイ映画だと、胸やけ食当たり気分になってしまう。このドイツ映画は、男が裸になるシーンがやたらと多い点でゲイ寄りですが、セックスシーンじたいは一回だけで、それも大胆だけどソフトタッチだったので、ゲイにも腐女子にもちょうどいい塩梅になってます。

 フィリップとエニス、はじめは仲良しなだけ、とはいえ、そのイチャイチャ仲良すぎな姿には、友情以上の匂いも濃厚。彼女や嫁といるより親友といる時のほうが楽しく安らぎ、自分らしくいられる。そんな男の友情って、セックスなしの恋愛関係に近いですよね。何かのきっかけ、何かのスイッチが入ると、ノンケでも同性とセックスできるみたいです。すべての男性は潜在的に同性愛者でもあるのだとか。ただそれに気づかない、目覚めない人のほうが多いだけ。気づいて目覚めてしまったフィリップとエニスは、不運で不幸な男たちだったのでしょうか。私にはそう思えません。どっちかが女だったら、なんて思うほうが時代錯誤で狭量。異性愛が健常で正常、同性愛は病的で異常、なんて風呂場のカビのような価値観だけど、こびりついたカビはなかなかとれないのが現実。

 謎の男ヘラクレスの魔法?洞窟で禁断の果実と酒を食べて飲んだフィリップとエニスは、誰もいない海辺で愛し合うのですが。それも衝動的とか魔術にかけられた状態でといった感じではなく、今までそうしなかったのが不思議なほど自然に、体でも愛を確かめ合っているように見えました。魔法は二人をいきなりホモにしたのではなく、本当の彼らへと解放してくれたように思えました。それにしても、ヘラクレスはいったい何者だったのでしょう。ゲイの妖精?二人が本当にただの友人同士だったら、おそらく現れなかったかも。

 エッチした後は、魔法が解けたかのように動揺し、ぎこちなくなる二人。特にエニスは露骨にフィリップを避け始め、そんなエニスにフィリップは傷つくという旅の終わりがホロ苦い。苦悩や葛藤を経て二人が選んだ道、その過程をもっと丹念に描けてれば、ラストはもっと感動的になったはず。
 主演俳優二人は全然知らない人たちでしたが、どっちもなかなかイケメンでした。フィリップはポール・ウォーカー、エニスはジェラルド・バトラーにちょこっと似てる感じ。二人とも脱ぎっぷりがよすぎ。バキバキ筋肉ではないけど、ドイツ人らしく体が大きく骨太なソフトマッチョでした。趣ある町の風情や美しい海!ギリシアにも行ってみたいな~。
 
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