まつたけ秘帖

徒然なるままmy daily & cinema,TV drama,カープ日記

ヴァルモン

2017-01-24 | イギリス、アイルランド映画
 「恋の掟」
 社交界の華であるメルトイユ侯爵夫人は、自分を捨て若い令嬢セシルと婚約した恋人への腹いせで、女たらしのヴァルモン子爵にセシルの処女を奪うようけしかける。ヴァルモンは貞淑なトゥールベル夫人を口説き落そうとしていたが…
 オスカーにもノミネートされ高く評価された、スティーヴン・フリアーズ監督の「危険な関係」が好きなので、同じラクロの原作、奇しくも同じ年に制作されたこの巨匠ミロス・フォアマン監督版も、前からずっと観たかったんですよね~。念願かなって、ようやく観ることができました 
 
 「危険な関係」との勝負では、評価も興行成績も完敗してしまいましたが、ワタシ的にはなかなかの佳作です。決して失敗作ではないと思うのだけど。何がいけなかったのかしらん?同じ内容ながらも、まったく違う味わいになってるので、観比べるのも一興ではないでしょうか。
 華やかでエゲツなく毒々しい「危険な関係」に比べると、かなり上品で軽やかな作風に仕上がっています。恋愛ゲームは背徳的だけど、「危険な関係」のような熾烈な心理バトルっぽさはなく、どちらかと言えばウフフ、ラララ♪なラブコメディ調になってます。

 フランス貴族の衣装も、ゴージャスでケバケバしい「危険な関係」と違い、白や薄いピンク、青などを基調とした清楚で爽やかな色合い、ゴテゴテしくなくシンプルなデザイン。見た目も言動もグロテスクで怖い「危険な関係」のメインキャラに比べると、優美で軽妙洒脱な感じになってます。セシルと音楽教師ダンスニーの出番が多く、役割も大きくなっているのも、「危険な関係」との大きな違いでしょうか。

 ↑撮影は和気あいあいだったみたいです
 キャストも比較せずにはいられません。強烈さ、濃厚さだと「危険な関係」が断然上ですが、美しさ、若々しさはこっちのほうが勝ってます。この映画は何と言ってもヴァルモン役、若き日のコリン・ファースですよ!ヴァルモン役は、やっぱ若いイケメンじゃないと!「危険な関係」のヴァルモンは、卑しいネズミ男にしか見えない中年のジョン・マルコヴィッチなので、いまだに納得できずにいます。

 当時29歳!当然ですが、わ、若い!つっても、まるで別人的な様変わりはしてませんが。今ほど恰幅はよくなく、ひたすらスラっとスマート!今でも「キングスマン」などでキレッキレでシャキっとしてるファース氏ですが、若者だけにある身のこなしの俊敏さ、躍動感、軽やかさ、表情の豊かさで魅せてくれるこの映画は、往年のファンにとっては宝物的作品のひとつと言えるでしょう。

 真面目な堅物紳士、というイメージのファース氏を見慣れてる目には、希代の女たらしを演じてるこの映画の彼は新鮮に映ります。色男というよりチャラ男なファースasヴァルモン、可愛いです。笑顔がso cute!軽~い演技だけど、おバカには全然見えず、知的で気品があるところがファース氏ならでは。でも、やっぱ彼って英国男なんですよね~。フランス貴族役には、ちょっと違和感を覚えました。華やかな衣装が似合わない。イケメンですが、地味なのは否めません。

 女たらし役なので、女とからむシーンも多いのですが、エロくはないです。見た目も演技もウェットじゃないというか、どこか乾いてて淡泊な感じがするからでしょうか。鍛えに鍛えた肉体美を誇るスターと違って、裸も全然セクシーじゃないです。今も昔も、彼は脱がないほうがいいかな。でも、トゥールベル夫人とのダンスシーンやラブシーンはすごく情感がこもっていて、演技とは思えぬ恋してる男なコリンでした。それもそのはず、トゥールベル夫人を演じてるメグ・ティリーとは、実際にも撮影中に恋に落ちて子どもまでもうけた仲になったのだから(結婚はせず)。

 メグ・ティリーは「マスカレード」同様、ガードの堅い生真面目な女が男に溺れる激情的で狂気的でもある一途さが怖い、ヤバいです。コリンとのお子さん、もう大きくなったんだろうな~。
 メルトイユ侯爵夫人役は、熟女一歩手前な頃のアネット・ベニング。「危険な関係」のグレン・クローズのような、他人を傷つけ弄ぶ邪悪な大年増毒婦ではなく、自由奔放な遊び好きのキレイなお姉さま、といった風情です。バスタブでの濡れてスケスケな姿や、ベッドで大股開きのお誘いポーズなど、セクシー演技頑張ってました。可愛いアホ娘セシルや、ボケ老人?なヴァルモンの伯母様も、かなり笑えるキャラでいい味だしてます。

 ↑さらに若い頃のコリン!「アナザー・カントリー」と同年のTVドラマ“Camille”(椿姫)の彼にも会いたい~
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イケメンスパイ 倫敦クライシス!

2017-01-22 | イギリス、アイルランド映画
 「スプークス MI-5」
 国際テロリストのカシムが護送中、仲間によって奪還されてしまう。CIAに対してメンツを失った英国情報局保安部(MI-5)は、指揮官のハリーを解任する。ハリーは姿を消し、独自にカシムの行方を追う。MI-5はかつてハリーの部下だったウィルを呼び戻し、ハリーの捜索を命じる。ハリーと再会したウィルは、カシムがロンドンでテロを起こそうとしていることを知るが…
 最近やたらと気になる英国イケメン、「ゲーム・オブ・スローンズ」で人気のキット・ハリントン主演のスパイアクション。人気TVシリーズの劇場版だとか。オリジナルを全然知らないので、どうかなと思いつつ観ましたが、そんなにワケワカメでもありませんでした。ハリーのキャラとか彼のMI-5内での人間関係とか立ち位置など、TVシリーズつながりな部分も多々あるのですが、大して気になりませんでした。キット・ハリントンしか眼中になかったので(^^♪キット演じるウィルは劇場版のための新キャラみたいだったし、彼のファンなら観ても無問題な映画です。

 それにしてもキット、初めて彼を見た「戦場からのラブレター」では、そんなにイケてなかったのに、この映画の彼は別人のようにカッコカワイかったヒゲがあるほうがいいのかな。ちっこいのが可愛い。チビだけどしなやかで筋肉質な体躯が、優男とは違う力強さ。忍者役とかも似合いそう。お肌ツルツル、走ったり建物によじ登ったりする姿の躍動感ある俊敏さも、若々しくてチョベリグ(死語)。

 キットの遠い悲しげな瞳と、薄幸そうな雰囲気が好き。明るい役より不幸な役のほうが似合うキットです。ワイルドだけど、下品じゃないところもキットの魅力。彼、実際にも英国の由緒正しい名家出身だとか。道理で!すごくカッコカワイいんだけど、たまにブサイクに見えるところも、チョイブサ好きな私にはツボなキットです。彼もどことなく猿っぽいので、猿系男に弱い私が惹かれるのも当然の成り行きでしょうか。

 凄腕エージェントなんだけど、結構スキがあったり、冷酷になれない弱さもあったりするウィルのキャラも、何か母性本能をくすぐります。絶対だまされないぞ!今度だましたら殺す!とハリーに息巻いてはみても、何度もだまされて手玉にとられちゃう青二才っぷり、ハリーへのファザコンっぽさなど、思春期のナイーヴな少年みたいなウィル=キットが、すごく可愛かったです。

 カッコカワイいキットを楽しめる映画ですが、セクシーなキット、エロいキットは残念ながらなし。ぜんぜん脱いでませんし。でも、気になって仕方がなかったのが、キットのお尻!

 キュっと引き締まったピチピチな小尻なんですよ~。変態なケツフェチにはたまりませんお触りしたくなるおちり!私がウィルの上司だったら、確実にセクハラしてますわ
 実質の主役であるハリー役は、オリジナルのTVシリーズからの出演であるピーター・ファース。シブいおじさまですが、せっかくイケメンとの屈折した関係にある役なので、もうちょっとBLっぽさを醸せるおじさまだったらな、と思わないでもなかったです。MI-5上層部の中に、「高慢と偏見」でエリザベス役を好演してたジェニファー・イーリーがいました。上品で優しそうな彼女が冷徹で悪辣な役、というのが意外性あって良かったです。

 テロ組織の首領カシム役のエリス・ガベルが男前!あの役には無駄に思えるほどイケメンでした。どっかで見たことあるな~と思ったら、「アメリカン・ドリーマー」で事件を起こす従業員役を演じてた!わし的には、リズ・アーメッドと並ぶ要チェキの東アジア系英国イケメンになりそう。 
 内容、映像、演出など、ちょっとボーンシリーズっぽい映画です。007や「ロンドン・スパイ」などもそうでしたが、MI-5って何だか陰謀ばかりの悪い黒組織としか思えないんですけど…
 赤い二階建てバスが走る都心、歴史ある建築物、テムズ川にかかる橋etc.ウィルたちが奔走するロンドンの街並みも、相変わらず美しくて。ロンドン、また行きたいな~。

 ↑童顔、猿っぽい、ガッチビ、下品じゃない、という私の男ツボを突いてるキットに、今後も期待!「ゲーム・オブ・スローンズ」そろそろ手を出そっかな♪

 ↑やはりセクシーなキットに会いたいですね彼の最新作は、何と!若き天才グザヴィエ・ドラン監督の初英語作品“The Death and Life of John F. Donovan”!さすがドラ美、キットに目をつけるとはお目が高いわ~。ナタリー・ポートマンやジェシカ・チャステインなど、豪華な脇役を従えたキットが楽しみ!ヘンな女優なんかより、ドラ美と付き合ったほうが芸の肥やしになると思うよキット!ガイ・ピアース共演の“Brimstone ”も面白そうなので、日本公開を希望!
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囚われのイケメン!

2017-01-20 | フランス、ベルギー映画
 「運命の門」
 1971年のカンボジア。共産主義の武装勢力クメール・ルージュが台頭し、革命の名のもとに粛清を断行していた。民俗学者であるフランス人のビゾは、クメール・ルージュにCIAと疑われ囚われの身となるが…
 行ってみたい国のひとつであるカンボジアも、他のアジア諸国同様に暗黒の時代がありました。悪名高いポル・ポト派による独裁政権、そして大虐殺です。ニュース報道などで見聞きしたその残虐非道さには、暗澹とせずにはいられません。この映画でも、こんなことが本当に起こったのか、と俄かには信じられない、信じたくない理不尽で悲惨な悪夢が繰り広げられています。そんなに昔のことではない、そしてアフリカや中東では今でも同じような地獄が続いている、という事実にも愕然となってしまいます。こういう映画を観ると、現代の日本に生まれて本当に幸運だった、小さなことで不満ばかり言ってはバチが当たる、と安堵と罪悪感ないまぜな思いにかられてしまいます。

 1時間30分ぐらいのコンパクトな長さの映画で、サクサクと話が進んで終わるのがありがたかったけど、そのぶん重厚さやサスペンスが薄かったきらいも。ビゾが恐れてたほど非道い目に遭わず、思ってたより早く解放されたのも、ちょっと肩すかしでした。クメール・ルージュの蛮行は、あまり詳細には描いてなかったのは、そういうのが苦手な私には救いになりました。当時の情勢に無知な人が観たら、そんなに非道いことしてないじゃん?と思うかも。ビゾ視点の話なので、あまり深いところまでクメール・ルージュの実像が描かれていなかったのは、まあ構成上しごく当然かもしれません。カンボジアにいたフランス人たちの混乱、そして国外退去は、なかなかの臨場感がありました。タイとの国境で、クメール人であるビゾの妻とその友人が無事に検問パスしできるか、のシーンは結構ハラハラ。え!?な展開にもなって、あそこが映画のまさにハイライトでした。でも同じ国外脱出なら、同じレジス・ヴァルニエ監督の「イースト/ウェスト」のほうが、緊迫感ありかも。
 日本のフランス映画ファンの間でも人気のボーギャルソン、ラファエル・ペルソナがビゾ役を熱演しています。 

 彼ってまさに、美男でもなく男前でもなく、イケメンという形容詞が相応しい男です。おっさんでも若造でもない、大人のイケメン。フランス男にしてはスカしてなくて、優しそうなところも好きです。クメール・ルージュに捕まってから解放されるまでの彼は、ほとんど原始人。ずっと半裸で鎖に繋がれてます。まるでペットな状態でもあって、ファンはドSな気分で萌え~。飼い犬扱いされ小汚くなっても、まったくイケメン崩れしないラファエル。硬派な社会派映画のラファエルも素敵ですが、やっぱ彼みたいななイケメンは恋愛映画のほうが似合います。
 ビゾを拘束する部隊長ドッジが、謎キャラで興味深い存在でした。ナンダカンダでビゾを拷問や処刑から救い、不思議な友愛を示すドッジの真意を、いろいろ憶測してしまいました。ビゾがイケメンではなくブサイクだったら、たぶんドッジも知らん顔だったのではどうせならドッジもイケメンなカンボジア俳優にしてほしかったかも。フランス大使役で、ダルデンヌ監督作品の常連であるオリヴィエ・グルメも出演してます。
 無理やりでもよかったので、もうちょっとカンボジアの風景や遺跡など、旅心をそそるシーンがほしかったです。

 ↑最新作の“Dans les forêts de Sibérie ”では、極寒のシベリアでイケメンしてるラファエルです
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ジハーディスト潜入取材!

2017-01-19 | フランス、ベルギー映画
 「メイド・イン・フランス パリ爆破計画」
 ジャーナリストのサムは、取材のためイスラムテログループに身分を偽って潜入。爆弾テロ計画を警察に密告し、サムはグループを抜けようとするが、警察はサムに組織の上層部を探るよう強制する。しだいにサムの身にも危険が迫り…
 この映画が公開される直前、奇しくもパリで同時多発テロが発生。あまりにもタイムリーすぎる内容のせいで公開が延期になってしまった、いわくつきの問題作です。
 確かに被害者や遺族にとっては、つらすぎる悲しすぎる映画かもしれません。でも、決して興味本位の話題性を狙った軽薄な作品ではなく、リアルな描写とシビアな目線で、パリのジハーディストたちに迫った真面目な映画です。
 怖いな~とつくづく思ったのは、テロリストたちが何食わぬ顔をして、善良な市民としてカフェやデパートで働きながら、社会に溶け込んでいたこと。私たちとは縁のない人たち、では決してないかもしれない恐怖。ひょっとしたら、同僚が?隣人が?いや、家族が?!…本当に、恐ろしい時代になったものです。

 テロリストたちが決して一枚岩ではなく、それぞれの信仰心にも落差があり、それが亀裂の原因となっていたのが興味深かったです。皆殺しも辞さない派と、一般市民は巻き込みたくない派。ガチガチの狂信者と、カッコいいからみたいなノリでやってるミーハー派。いずれにしても、自分たちと考え方が相容れない奴らは死んでいい、殺すべき、という考え方は、どうやっても理解することはできません。

 あんな素人に近い少人数の末端信者でも、大規模なテロは実行できる、という事実にも戦慄。志が高いわりには、能力と団結力に欠けていたせいで、どんどん綻んで瓦解、やがて悲惨極まりない破局にまっしぐら、が息詰まる緊迫感に満ちていて、なかなかサスペンスフルでした。若い黒人、アラブ系のテロリスト二人は、信仰心よりも政府への恨み、不満に突き動かされての仲間入りだったようだけど、もっと他に方法なかったのかな~と、無残に命を散らす彼らが痛ましくも虚しかったです。
 サム役は、大好きなボーギャルソン、マリク・ジディ

 マリくん、頭髪はかなりヤバくなってるけど、やっぱ童顔で可愛いですね~。おじさん臭くなく、今でも青年っぽい爽やかさが。実際にも半分アラブ人である(両親のどっちかが確かアルジェリア人)マリくんなので、この役はまさに適役。知的なので、ジャーナリスト役も似合う。イスラム風ファッシンも可愛かったです。幼い息子がいる役なのですが、その優しそうなパパっぷりもトレビアンでした。マリくんみたいなカッコカワイいパパ、いいですね~。

 白人なのにテロに加担してるイスラムおたくなクリストフ役は、「Five」でもアホ可愛かったフランソワ・シヴィル。こんなアホが仲間で、大丈夫なの~?と心配になってしまうクリストフのキャラ、コメディリリーフ的な役割を担ってて、いい感じで緊迫感を和らげてくれてます。黒人青年ドリス役のナシム・シ・アフメドが、すごい美男でした。セクシーな肉体美も披露してます。

 ↑1975年生まれだから、マリくんももう41歳か~。可愛いおじさんですよね~
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夜のけものみち

2017-01-15 | 北米映画 15~21
 「ノクターナル・アニマルズ」
 アートギャラリーを経営するスーザンのもとに、元夫エドワードから小説の原稿が届く。あるおぞましい事件を描いた小説に、スーザンの心は激しくかき乱されるが…
 世界的デザイナーであるトム・フォードの、映画監督デビュー作「シングルマン」に続く待望の第2作。今回はミステリアスなサスペンスドラマ。ジャンルは違えど、処女作同様に映像も演出もファッションも、他の監督とは一線を画したエレガンスやスタイリッシュさがあって、さすがトム・フォードな作品でした。ようやく日本での公開も決定したみたいで、めでたいめでたい。

 シングルマンは、良い意味でも悪い意味でも趣味が高いというか、トム・フォードの服とは無縁なユニクロ系庶民に用はない、と言わんばかりの高級志向というか、気取ったタカビーさが無きにしもあらず、中年ゲイの自己陶酔がグダグダ続くだけの退屈な雰囲気映画なので、好き嫌いがハッキリ別れてしまう、かなり観る人を選ぶものでしたが、この第2作目はミステリ仕立てでショッキングなシーンや展開もあったり、敷居が低くなってるというか、腐とファッション好き以外の人にも楽しめる映画になってます。
 現在のスーザン、スーザンが読む小説の物語、過去のスーザン、3つの物語が交錯する構成になってます。謎めいた不気味な雰囲気を醸す演出が、洗練した才気を感じさせます。スーザンを取り巻く世界はダークでスタイリッシュ、小説の物語は殺伐と荒々しい、というコントラストも独特でした。小説に動揺するスーザンの不穏すぎる様子から、ひょっとして書かれている悪夢はフィクションではなく事実で、スーザンとリンクしているのか?と観客も想像をかきたてられます。
 この映画、雰囲気映画で終わらずにすんだのは、集結した一流どころの俳優の怪演、熱演のおかげとも言えるでしょう。豪華キャストが濃ゆい演技と個性をぶつけ合ってます。

 ヒロインのスーザン役は、今や名女優としてハリウッドで不動の地位を築いているエイミー・アダムス。彼女もすっかり熟女の貫禄がついてきましたね~。濃ゆいメイクが、いろんな感情や秘密を隠した女の仮面のようでした。明るくて気丈な庶民派アメリカ女なイメージが強いエイミーさんですが、どこか病んだコワレた抑圧女の役してもお上手ですね。
 スーザンの元夫エドワードと、小説の主人公トニーの二役を演じてるジェイク・ギレンホールの熱演もインパクトあり。ジェイク、すっかり怪優になっちゃってますね~。何もしなくても何か怖いんですよ。何かやらかす感がハンパないです。エドワードは静、トニーは動の怖さ。どっちも巧みに演じ分けてるジェイクです。
 ハリウッドの怪優といえばこの人、マイケル・シャノン。彼もジェイクに負けず劣らずの怪演。小説の中の刑事役なのですが、はじめはシャノン氏にしてはフツーっぽいなと油断してたら、ジワジワとヤバい本性をあらわしていって、あ、やっぱシャノン氏だ♪とヘンな安堵を覚えてしまいました。
 スーザンの現夫役で、アーミー・ハマーも出演してます。そんなに出番はないけど、相変わらずカッコカワいいイケメン。若いので、エイミーとは年の差ありすぎ夫婦に見えて仕方なかった。実際、エイミー43歳、アーミー31歳でひと回りも違うし!

 ジェイクもシャノン氏も激ヤバでしたが、最もイカレた役を怪演して美味しいとこどり、見事ゴールデングローブ賞で助演男優賞をサプライズ受賞した、英国俳優のアーロン・テイラー・ジョンソン。不快指数MAXな彼の不潔なキ○ガイっぷり、これは相当の覚悟と役者魂がないとできない汚れ役です。早く死んで!と願わずにいられない有毒男なんだけど、よく見れば、いや、よく見なくてもやっぱイケメンなんですよね~。イケメン崩し、イケメン隠しって難しいんですよね~。彼の屋外排便シーンも強烈。それにしても。なぜあんなところにトイレが?!アメリカではフツーなの?!それはそうと。アーロンってまだ26歳だとか。日本の若手イケメン俳優も、こういう役して日本アカデミー賞とやらを獲ってほしいものです。
 スーザンのファッションや邸宅のインテリア、ギャラリーの作品など、趣味が高尚すぎてちっとも着たいとか住みたいとか飾りたいとか思わないけど、珍奇な魅力があって目には楽しいです。

 ↑アーロン、GG賞おめでと!トム・フォード先生は、イギリス男が好きなのかしらん?次回作も楽しみ。フォード先生のおめがねにかなうNEXT イケメンは誰?
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砂漠に血の雨が降る

2017-01-13 | 南米映画
 「ノー・エスケープ 自由への国境」
 アメリカへ向かうため、砂漠を渡るメキシコからの密入国者たち。しかし、人種差別主義者である国境警備員サムによって、彼らは次々とライフルで射殺され、猟犬に噛み殺されていく。生き残ったモーゼとアデラは、サムの執拗な魔手から逃げ惑うが…
 大好きなガエル・ガルシア・ベルナルの映画、久々に観ました。いや~やっぱ彼いいですね~。相変わらずちっこくて可愛い後姿だけだと、がっちりした子ども背が低くても、たくましくて男らしい。同じチビでも、某事務所のタレントは貧相ですもんね。少年っぽい男と老けた子どもみたいな男、の違いでしょうか。

 早いもので、ガエルっちもアラフォー。若い頃に比べたら、さすがに顔は年齢を重ねていますが、やっぱ端麗な美男!大きなグリーンアイズの美しいこと!そして、唇がエロすぎる!♂フェロモンも充満。なので、彼の色気をまったく活かさない映画はトホホすぎる。脱がないヤらないガエルの、何と味気ないこと。ただ砂漠を逃げ回るだけのガエルに、これって彼じゃなくてもいいじゃん!と、ファンは物足りないことこの上なし。
 
 エロ可愛いガエルを期待するとガッカリしますが、美男子でも超いい人っぽいガエルに好感を深めずにはいられません。自分も大変なのに、困ってる人、弱ってる人を助けたり、命がけで守ったりする人の善い役が、彼には似合うんですよね。あれがもし他のイケメンスターだったら、あんたなら見捨てて逃げるだろ~と鼻白んだでしょうし。

 若者が殺人鬼に追っかけまわさる、それだけ的な、よくある話。舞台が沙漠、という点が出色。ウニョウニョいる巨大ヘビ、痛そうなサボテン、過酷な荒野など、ぜったい迷い込みたくない地獄でした。
 殺人鬼サムも怖かったけど、いちばん恐怖だったのは、サムの愛犬。どこにいても嗅ぎ付け、マッハで追っかけてきてガブ!まさに殺人犬!なんだけど、サムには忠実なところは可愛かった。すごい賢いところも驚異。あんなに人間を噛み殺しまくった悪魔犬なのに、悲惨な方法で退治されて可哀想だった。人間が殺されるシーンは、見慣れてるせいか何とも思わないけど、犬が酷い目に遭うシーンにはショック。

 殺人鬼サム役のジェフリー・ディーン・モーガンも、なかなかシブい男前でした。淡々とした人間狩り、百発百中のスナイパーぶり(でも、なぜかモーゼには一発も命中しないのが笑えた)が怖かった。不法入国のメキシコ人など、虫けら同然に駆除しまくる非道な人種差別主義者サムは、トランプさんが放った刺客でしょうかトランプさん、国境に壁を築くより、殺すほうが良策とか思ってそうだし。
 この映画のジョナス・キュアロン監督は、「ゼロ・グラビティ」でオスカーを受賞し、ガエルとは「天国の口、終わりの楽園。」で組んだアルフォンソ・キュアロン監督の息子さん。新作の“Z”でも、ガエルを主演に迎えています。近未来版快傑ゾロの物語、楽しみ!パパのほうのキュアロン監督とも、またいい仕事してほしいな~

 ↑今も可愛いアラフォーのガエルっち。最新作の“Neruda”は、「NO」のパブロ・ラライン監督作で、アカデミー賞外国語映画賞のチリ代表作です。ラライン監督といえば、ガエルの元カノであるナタリー・ポートマンが絶賛されてる「ジャッキー」の監督でもありますね~。

 ↑この頃のガエルっちが、神ってるイケメンでしたわ~

 ↑スターウォーズ新作に出演するなど、ハリウッドでも活躍中の相方ルナちんとは、今も昔も恋人同士のような仲良しぶり
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砂漠のイケメン王子

2017-01-12 | フランス、ベルギー映画
 「Day of the Falcon」
 20世紀初頭のアラブ。部族間の対立を終わらせるため、ネシーブ王とアマール王は平和協定を結ぶ。その条件として、アマール王の幼い息子サリルとアウダが、人質としてネシーブ王のもとで養育されることに。アウダ王子が繊細な読書家の青年に成長した頃、ネシーブ王は国を近代化するため、アメリカ人の石油発掘を許可する。それは、平和協定を破ることを意味していた…
 日本では劇場未公開、DVDスルーもされていない歴史大作。「薔薇の名前」などの名匠ジャン・ジャック・アノー監督作品。
 砂漠が舞台のスペクタクル映画といえば、やはり何と言っても「アラビアのロレンス」ですが、この映画はロレンスほどの格調の高さやスケールの壮大さはないものの、なかなかドラマティックで美しい佳作に仕上がってます。そして、イケメン度、男前度に関して言えば、こっちのほうがロレンスより高くて濃密かも。
 まず、主人公のアウダ王子役のフランス俳優、タハール・ラヒムがイケメン!

 アラブ系のラヒムくんなので、砂漠やターバンが似合います。はじめの頃はナイーブな文系青年、後半は凛々しい英雄。可愛くてカッコいいラヒムくんに胸キュン胸ムズ♪でも彼、イケメンなんだけど、王子さまって感じではないんだよな~。ロイヤルな高貴さとか気品はないです。彼がいちばん似合うのは、やっぱパリの底辺社会でもがく移民青年役とかチンピラ役なんですよね台詞はすべて英語だったので、大変だっただろうな~。

 30過ぎてるのに、男くさい風貌なのに、すごく少年っぽいところもラヒムくんの魅力です。時おり見せる子どものような無垢な笑顔、ウルウルな瞳は、演技が巧いだけではできない天性のものです。すごい美男、すごい演技派でも、性格の悪さが祟ってキレイな笑顔ができない俳優って、多いですもんね~(誰とは言わんが)。実父、義父、異母兄、臣下や奴隷など、年上の男たちから可愛がられ愛される役も、ラヒムくんらしかった。父性本能をくすぐるんだろうな~。ラヒムくんを見てると、少年っぽい男と老けた子どもみたいな男の違いを思い知らされます。メガネ男子な彼も可愛かったです。
 アマール王役は、売れっ子の英国熟年俳優マーク・ストロング。

 激シブ!いい男ですね~。ぶっちゃけ、褥を共にするならラヒムくんよりストロング氏がいい、なんて思ってしまうほどに老父役なんて、まだ早いほど熟年男の色気にあふれてます。ストイックで悲劇的な雰囲気、遠いまなざしがいいんですよね~。私が若い男だったら、ストロング氏みたいな熟年になりたいな~と憧れてたことでしょう。英国俳優だけど、エキゾチックな風貌なので彼もアラブ人役が似合ってました。

 ネシーブ王役は、かつては特濃の色男として名を馳せていたアントニオ・バンデラス。シブくなったな~。若い頃より好きかも。いい感じに枯れてきてるけど、現役男の濃さは残ってる、みたいな。ストロング氏VSバンちゃんの熟年対決も見ものですが、ネシーブ王が改進的すぎ、アマール王が保守的すぎ、二人の考え方が両極端すぎたのが、争いの原因なんですよね~。二人とも良き王さま、良き父親なのに、もうちょっと互いに妥協できてたら。やっぱ何事においても、意固地になりすぎるのは得策ではりませんね。
 アマール王の庶子で、アウダ王子の異母兄である医師のアリ役は、「ジェイソン・ボーン」でmy イケメンレーダーを反応させた、パキスタン系英国俳優のリズ・アーメッド。

 やっぱ彼、ピエール・ニネにちょっと似てますね~。ニネっちを濃ゆくした感じ。クールでひねくれてるけど、異母弟を命がけで守るお兄ちゃん役で、カッコよかった!イケメン兄弟同士、もうちょっと濃厚に親密な絡みがあれば、もっと萌えたのにな~。
 砂漠映画といえばの、決死の灼熱・渇き地獄横断。あんなの、ぜったい無理!私なら、一日ももたずに死んでますわ。砂漠での戦闘シーンも、なかなか迫力ありました。砂漠を疾走するシーンがカッコよかったです。

 ↑ 最近では英語圏の作品にも積極的なラヒムくん。黒沢清監督の「ダゲレオタイプの女」早く観たいんですけど…

 ↑ ピエール・ニネ似?の最近気になる男、スターウォーズのスピンオフ「ローグワン」にも出演してたリズ・アーメッド。俳優業のかたわら、ラッパーとしても活動してるとか。今年のGG賞ではTV部門の主演男優賞にノミネートされてましたね!彼の作品もいっぱい観たいです

 

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エルの勝利!

2017-01-10 | 映画雑記
 ゴールデングローブ賞が発表されました
 受賞結果は…

 作品賞(ドラマ) ムーンライト
    (ミュージカル・コメディ) ラ・ラ・ランド
 監督賞 デイミアン・チャゼル
 主演男優賞(ドラマ) ケイシー・アフレック
      (ミュージカル・コメディ) ライアン・ゴズリング
 主演女優賞(ドラマ) イザベル・ユペール
      (ミュージカル・コメディ) エマ・ストーン
 助演男優賞 アーロン・テイラー・ジョンソン
 助演女優賞 ヴィオラ・デイヴィス
 外国語映画賞 Elle

 大驚喜だったのは、もちろんイザベル・ユペールの受賞!大方の予想通り、「ジャッキー」のナタリー・ポートマンが無難に獲るんだろうな、つまんねぇ!と半ば諦めてたので、ユペりんの受賞に狂喜乱舞!ようやくハリウッドも、神女優イザベル・ユペールに敬意を払ってくれた感じです。まあ、フランス映画なんか観ない大半のアメリカ人、日本人にとっては、納得できない、ていうか、このおばさん誰?なんでしょうけど日本のニュースでもGG賞のことが伝えられてましたが、ナタポーを抑えてのユペりんの受賞は、まるで巨人がカープに負けた的なニュアンス。分かってない!何にも分かってないわ!

 昨年の受賞者、レオナルド・ディカプリオから授与されるユペりん。レオとユペりんの異色すぎるツーショットが実現するとは!壇上のユペりんは、興奮気味で喜びをあらわにしていて、すごく可愛らしかった!
 本命視されてたナタポーは、さぞやガッカリだったことでしょう。ナタポーの演技も、きっと受賞に値する素晴らしさなのでしょう。でも、緻密にリサーチしたの!一挙手一投足ご本人と同じ!的なモノマネ演技って、もう食傷気味なんですよね~…「Elle」のユペりんは、そんなソックリさん演技とはまったく別物、次元が違うんです。ナタポーの演技がElleのユペりんを凌駕してるとは、とても信じられなかった私としては、ユペりんの勝利に何か溜飲がさがった思いです。もちろん、ナタポーの「ジャッキー」も早く観たいです♪

 オスカーでは選外となってしまった「Elle」が、GG賞では見事外国語映画賞を受賞!オランダが生んだ天才変態、ポール・ヴァーホーヴェン監督がまたハリウッドで認められて、ファンとしては嬉しい。壇上から監督に讃えられ、ユペりん嬉しそうでした。大女優のユペりんが素直に喜びを爆発させてるのに、他の受賞者、若いエマ・ストーンやデイミアン・チャゼル監督とか、みんなクールというか、いい子ちゃんというか、はしゃぐのはダサい、カッコよくキメるぜ、みたいなスピーチでしたね~。それにしても今年のGG賞は、ララランド祭りでしたね!候補になった部門、コンプリート受賞!まさに完勝って感じでした。

 仲良く主演男優女優賞を受賞したライアン・ゴズリング&エマ・ストーン。二人とも、今後のハリウッドを牽引する存在になりそうですね。「ラ・ラ・ランド」早く観たい!デイミアン・チャゼル監督、可愛いですよね。
 
 ベン弟のケイシー・アフレックが主演男優賞。ケイシーよりも、プロデューサーのマット・デーモンが気になって♪プレゼンターとしても登壇したマット、えらい貫禄が出てきたな~。マット、トム・ハンクス化しそうですね。助演女優賞のヴィオラ・デイヴィスもスゴい貫禄。最大のサプライズ受賞だったのが、アーロン・テイラー・ジョンソンの助演男優賞。「野蛮な奴ら」や「ゴジラ」の彼が、まさか賞レースに参戦する俳優になるとは。23歳年上!の嫁がいるってのも驚き。

 ↑これ、キット・ハリントンですよね?めっちゃ可愛かったわ~
 ニコール・キッドマンやエイミー・アダムス、ジョン・トラヴォルタやライアン・レイノルズがノリノリ出演してた、オープニングのラ・ラ・ランドパロディも楽しかった。ハリウッドのスターって、ノリがいいから好きです。車の中で居眠りしてたイケメンは、ひょっとしてキット・ハリントン?エマ・ストーンが受賞した時、なぜかライアン・レイノルズと、エマの彼氏(元カレ?)であるアンドリュー・ガーフィールドとが、ブチューっとキスする衝撃映像も話題に。あれ、何?!やらせ?!ヒュー・グラントが、すっかりお爺さんになってたのも衝撃でした。ガエル・ガルシア・ベルナル&ディエゴ・ルナの仲良しコンビも可愛かった!
 テレビ部門では、トム・ヒドルストンが「ナイト・マネジャー」で受賞!トムヒもカッコよかったですね~

 ラ・ラ・ランドを筆頭に、ムーンライト、マンチェスター・バイ・ザ・シー、ジャッキー、メッセージ、ライオン、ラビング、Nocturnal Animals、そしてもちろんElleも映画館で!今年は例年以上に観たい映画だらけだわ!
 さあ、次はいよいよ頂上決戦!オスカーです!GG賞を制したとはいえ、いまだノミネートも危ういユペりん。オスカー会員はお堅い高齢者が多いらしいので、ユペりんのトンデモ演技が受け入れられるかどうか、心もとない。外国語映画賞に続いて彼女まで無視するようものなら、ハリウッドも所詮は狭量なトランプさんと同じじゃん、と失望するわ~。去年は黒人排除!と非難されたオスカー。有色人種だけでなく、国や演技に関しても多種多様性を受け入れる寛容さを、今年こそ示してほしいものですね。

 ↑ユペりん、おめでと!オスカーに、まずはノミネートされますやうに…
 
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ニート女が拾った男

2017-01-08 | 日本映画
 「ノン子36歳(家事手伝い)」
 売れないタレントだったノン子は、夢破れて田舎に戻り実家でニート生活を送っていた。そんな中、彼女はマサルという青年と出会う。祭りの屋台でヒヨコを売りたいというマサルの純真な人柄に、ノン子は心を許すようになるが…
 今をときめく星野源が、ブレイク前に出演した映画。彼が大胆な濡れ場に挑んでいると知り、さっそくDVDレンタルしてみました~
 「箱入り息子の恋」でも、意外とラブシーン頑張ってた源ちゃんですが、この映画ではさらに頑張ってました!逃げ恥の源ちゃんが好きな人は、あの津崎さんが~!とショックを受けるかも。濡れ場があるといっても一回だけで、ヤリまくってるわけではありません。それでも、性的なにおいが全然なかった草食童貞な津崎と違って、しっかり♂になってました。まあ、男になってたといっても、この映画のマサルがフツーの若者なのであって、津崎のほうが異常なんですけどね~

 この映画最大の目玉?源ちゃんのHシーンは、決して濃厚ではないけれど、結構しっかり撮られています。舌も絡み合うディープなキスに続いて、寝室でのセックス。源ちゃん、全裸になって(鏡に映るトランクスを脱ぐ源ちゃんのあそこ、ボカシ入り!)年上女を抱いてます。

 もちろん、韓流男優のような肉体美ではないけど、作り物ではない親しみのもてるリアルでもある男の裸です。ケツもちゃんと出してます。愛撫やキスは、なかなか巧者。明らかに草食童貞ではありません。女の要求に応えて、腰の動きを激しくする源ちゃんがエロかったです。ドラマでも人気者となり、シンガーとしても売れるようになった源ちゃんなので、もうこの映画みたいな濡れ場はやらないでしょう(たぶん)。そういう意味で、貴重な映画と言えます。
 
 源ちゃん、やっぱ演技巧いな~と感心。一見、ごくフツーの青年なんですけど、どこか不可解なところもあるマサル。いきなり縁もゆかりもない田舎町にやって来て、神社のお祭りでヒヨコを売りたいと意気込んでる無邪気な様子といい、いつの間にかノン子の実家に遠慮しつつも居候してたり。ニコニコいつも明るくて優しく、言動も特に不思議くんではなく至極フツーなんだけど、無害そうなんだけど何か変、ごくたまに不穏な表情を見せたり、そこはかとなくヤバい子のにおいもする、という妙な感じを、すごく可愛らしく出してる源ちゃんです。ハムスターみたいな笑顔が、ほんと可愛いです。

 ラスト近くになって、まるでホラー映画の殺人鬼みたいなプッツン狂態。やっぱヤバい子だった!大暴れする源ちゃんも可愛かったです。でも、いったいマサルって何者だったのでしょう。てっきり精神を病んで病院から抜け出した男の子?かと思ってたけど、彼の背景についてはほとんど説明がなかったので、想像するしかありません。逃げ恥の源ちゃんは都会的なオシャレさんでしたが、この映画の彼もフツーっぽいけど何かセンスいいです。劇中で着てたTシャツ、欲しい!
 ヒロインのノン子役、坂井真紀が痛々しいほど頑張ってました。若かりし頃は連ドラの主演も張ってた彼女も、今ではアラフォー熟女。ブラウン管ではあまりお見掛けしなくなってますが、この映画の彼女、確かに老けたけど、若い頃より可愛く見えました。いろんなことに疲れた女の倦怠感、もうどうでもいい、どうにでもなれ、みたいなフテブテしい虚無感も、なかなか堂に入ってました。大胆な完脱ぎにも仰天。細いながらも年相応に崩れたハリのない肉と肌がリアルでした。レーズンみたいな乳首も生々しいです。それにしてもノン子、大威張りなニートぶりに驚かされました。図太すぎ。私がニートだったら、もうちょっと遠慮がちにパラサイトするけどな~。両親が可哀想だった。

 ノン子の元情夫役の鶴見辰吾の好演、そしてエロさもインパクトあり。業界ゴロのうさん臭さが珍妙。そして、坂井真紀との安宿での情痴シーンは、まるでにっかつロマンポルノ!○ェラにク○ニと、AV男優も真っ青な痴態。お尻の穴も見えそうな脱ぎっぷりといい、TVドラマでは絶対お目にかかれないベテラン俳優の役者魂です。基本的にはほのぼのした物語、雰囲気の映画なのですが、そこに別の映画みたいな濡れ場が挿入されてるのが異物混入的というか、プリンにカレーかけて食べたみたいな違和感、そして不思議な美味しさというか…
 あと、ノン子の友人役で、元おニャン子クラブの新田恵利も出てました。まだ芸能活動してたんですね~。すっかりどこにでもいるおばさんになってます。
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美少年詩人レオ BL痴情のもつれ!

2017-01-06 | イギリス、アイルランド映画
 「太陽と月に背いて」
 1871年のパリ。高名な詩人ヴェルレーヌは、16歳の天才詩人アルチュール・ランボーと出会い、自由奔放で激情的な彼に魅了される。やがて彼らは、不毛で破滅的な愛に溺れるようになるが…
 昨年めでたく「レヴェナント 蘇えりし者」でオスカーを受賞したレオナルド・ディカプリオ。どの出演作のレオも印象的ですが、とりわけ強烈で、なおかつ私がいちばん好きなレオと言えば、夭折したフランスの天才詩人を演じたの映画の彼なんですよね~。初めてオスカーにノミネートされた「ギルバート・グレイプ」と、歴史的大ヒット作となった「タイタニック」の中間、当時21歳!のレオの少年美が、ひたすらまぶしく鮮烈。彼の蒼い激情に圧倒され魅了されます。

 今ではすっかり貫禄も恰幅もあるハリウッド随一の大スターとなっているレオですが、この映画ではまだ甘酸っぱい青い果実!威圧感あるイカツい体格の今のレオと同一人物とは信じがたいほど、強く抱けば折れそうなほどヒョロっとしたポッキー少年。ヒゲもシワもなく、ツルツルな白い肌。サラッサラの髪。背は高いけど、体つきも顔も子ども!そんな少年レオが、おっさんとアンなことコンなことやりまくってるんですよ~。犯罪ちっくで、いいのかなこれ、マズいんじゃないかな、と萌える前に気まずい思いにかられます。

 ディープキス、そして全裸セックスシーン。美少年がハゲおやじに抱かれてるのかと思いきや、レオのほうがバックからおっさんをガンガン攻めてるじゃありませんか!唖然ボーゼンなのは、同性愛シーンだけではありません。とにかくレオasランボー、天衣無縫というか、傍若無人!まさに天才と何とかは紙一重。彼の行く所、迷惑当惑の嵐。大ヒンシュクを買いまくりな奇行のオンパレード。特に目がテンだったのは、詩人の会で、ランボーがテーブルの上に飛び乗って放尿!すっぽんぽんになって、窓から姿をさらしたり(レオの全裸は珍しくないけど、オチン○ン丸だしはこの映画だけ?)。まことちゃんも真っ青な、レオのイっちゃてるエキセントリック演技が、ファンにはかなりジョイフルです。

 現在のレオと21歳のレオ、見た目はかなり様変わりしてますが、激情ほとばしる狂気的な演技は今も昔も同じです。中年男を誘惑したり翻弄したり甘えたり嘲ったりする小悪魔なレオ、その笑顔も絶叫も涙もすべてがキラキラしてます。フランスの詩人というより、アメリカの悪ガキに見えなくもないレオですが、ファンにとって宝石のような映画であることは間違いありません。レオご本人にとっては、若気のいたりでやっちまった的な、触れてほしくない黒歴史映画らしいけど

 それにしても。この映画、詩人同士の耽美的で退廃的なBLというより、少年と中年男のドロドロした痴情のもつれ話なんですよね~。くっついたり離れたりを繰り返す二人。彼らのやりとりは、ちょっと三島由紀夫の「禁色」の悠一と鏑木伯爵を彷彿とさせます。ヴェルレーヌが、最低最悪な情けないゲス男でイラッとします。冷たくされても愚弄されても、恥も外聞もなく美少年に執着する姿が、あさましくて醜い!身重の奥さんがいるのに、同性愛ゲス不倫!それだけでも許しがたいのに、とんでもないアル中、そしてDV野郎ときてるんだから、もう救いようがない。奥さんを殴る蹴る、髪に火をつける!バカにするにもほどがある仕打ちとか、肉体的精神的虐待が非道すぎる。立派な犯罪者、いや、異常者です。

 ヴェルレーヌ役は、当時気鋭の英国男優だったデヴィッド・シューリス。顔だけだと、そんなにおっさんでもないし、イケメンでもあります。ハゲ&崩れた体でおっさんに巧く化けてる感じ。ヴェルレーヌの可哀想な若妻マチルド役は、フランスの名優リシャール・ボーランジェの娘ロマーヌ・ボーランジェ。パパとクリソツな顔です。すごい巨乳に目がクギヅケ!ランボーの妹イザベル役は、フランスの名女優ドミニク・ブラン。彼女がレオの妹って、めちゃくちゃ無理がありました。
 「危険な関係」や「キャリントン」などの名脚本家、クリストファー・ハンプトンが自作の戯曲を映画用に脚色。彼のオリジナル戯曲は、日本でも岡田将生主演で舞台化されました。岡マのランボーも面白そうですね。
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