まつたけ秘帖

徒然なるままmy daily & cinema,TV drama,カープ日記

Ciné d'été

2019-06-30 | 映画雑記
 梅雨が明けると、夏が来る~♪by 大黒摩季 いやー!!大嫌いな季節の到来に、今から戦々恐々してます。災害に襲われた悪夢から一年…またあの恐怖と辛苦を繰り返すことになったらどうしようと、夜も眠れぬ不安に陥ります。そんな暗い重い気持ちを和らげてくれる、忘れさせてくれるのが映画です。この夏も観たい映画がたくさんあります。気になる作品をピックアップしてみました~。

 よこがお

 傑作と絶賛された「淵に立つ」の深田晃司監督の新作。ヒロイン役の筒井真理子は、CM女優にうんざりしてる私にとってはまさに邦画の女神女優。これまた邦画の至宝である池松壮亮との共演、観逃すはずがないでしょ!二人の濡れ場にも期待😊

 ワイルド・スピード スーパーコンボ

 ネタギレ気味のワイスピシリーズ、ホブス&デッカードのコンビでスピンオフ。もう飽きたと言いつつ、ぜったい観に行く私です

 ゴールデン・リバー

 フランスの名匠ジャック・オディアール監督の英語作品。シブいキャストの中では、お気にのリズ・アーメッドに熱視線

 ロケットマン
 クイーンの次はエルトン・ジョン!エルトン姐さんを熱演してるタロン・エガートンは、第二のラミ・マレックになれるでしょうか?


 おっさんずラブ LOVE OR DEAD
 
 ぶっちゃけ、あんまし待望じゃない映画版なのですがやっぱ春たんや牧くん、部長やマロと再会したいので観に行きますどうでもいいけど、田中圭はドラマとCMに出過ぎ!

 ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド

 クエンティン・タランティーノ監督、レオナルド・ディカプリオ&ブラッド・ピット競演とくれば、映画ファンとしては無視できません。

 王宮の夜鬼

 チャン・ドンゴンとヒョンビンが競演した怪奇ファンタジー時代劇。ビニは大好きな俳優なのですが、今のところ出演映画はどれも凡作なんですよね~。DA・KA・RA by 大黒摩季 過度な期待はしないでおこう…

 サマーフィーリング

 フランス映画祭で好評だった「アマンダと僕」のミカエル・アース監督作品。瑞々しくもホロ苦い恋愛映画って、今いちばん私が観たいジャンルの映画かも。

 こんなん出ましたけどぉ~?
 皆さまはどんな映画を楽しみにしてらっしゃいますでしょうか?過酷な夏も、佳い映画や楽しい映画で乗り切りたいですね(^^♪
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闘争の鼓動

2019-06-23 | フランス、ベルギー映画
 「BPM ビート・パー・ミニット」
 90年代始めのパリ。エイズ患者支援団体アクトアップは、政府や大企業への抗議活動を精力的に続けていた。アクトアップの中心メンバーであるショーンは、新しく加入した青年ナタンと恋に落ちるが…
 2017年のカンヌ映画祭グランプリやセザール賞作品賞を受賞するなど、高く評価されたフランス映画。エイズと闘った人々を描いた映画といえば、「ロングタイム・コンパニオン」や「ノーマル・ハート」といった名作を思い出しますが、この作品も心揺さぶる秀作でした。ともすればお涙ちょうだいになりがちな話ですが、ベタベタしい人間ドラマよりもアクトアップの情熱的な活動をドキュメンタリータッチに描くことに焦点を置いていたことが、この映画の特色でしょうか。

 それにしても。フランス人ってほんとデモが好きですね~。アクトアップの抗議運動とか、一歩間違えればテロ行為ですよ。不法侵入や器物破損など大暴れするアクトアップの過激さに、羊のようにおとなしい私などはドン引き。無関心で無知な世間にエイズの悲惨さを訴えるためとはいえ、もうちょっと穏やかな方法もあるのでは。あれでは、自暴自棄になって暴れてるだけのヤバい集団、と差別偏見を助長するのでは。真っ赤な偽血の液体をぶちまけたり、授業中の高校に乱入してコンドーム配ったり、日本では考えられない行動の数々に驚かされました。

 テロみたいな迷惑行為だけではなく、会議中のアクトアップの真剣で白熱した様子など、若者たちの強い信念とエネルギッシュな行動力に圧倒され、感嘆せずにはいられませんでした。まさに全身全霊、身を投じるといった感じ。今のユルいヌルい若者には見習ってほしいぐらい。LGBTに理解が深い国というイメージのフランスですが、生き辛い社会であることには変わりなく、若い女の子が私ホモじゃないから!と冷笑するシーンにそれを強く印象付けられました。

 保険会社や製薬会社、そして政府を鬼のように糾弾してたアクトアップでしたが。エイズになった大きな要因のひとつである、無軌道で放埓な不特定多数との性交に及んでしまった自責や後悔にも、激しい活動から離れたところで苛まれている暗い様子も悲痛でした。エイズになったのは自業自得!なんて思うのも、非道い差別偏見なのです。

 若くしてエイズで死んでしまうなんて、悲劇以外のなにものでもありませんが。志をひとつにして喜怒哀楽を共にできる仲間や、死が二人をわかつまでそばにいてくれる優しく献身的な恋人がいるショーン、私よりも幸せなのでは…と思えて仕方ありませんでした。生命を燃やすものが何もなく、独りで健康的に長生きする私が、ショーンより恵まれてるとは思えない…

 ショーン役は、「天国でまた会おう」での好演も記憶に新しいナウエル・ペレーズ・ビスカヤート。ラミ・マレック+ミヤネ屋の宮根みたいな顔?宮根に見えるシーンが多くて萎え~。痩せ衰えて死に向かう姿が悲痛で峻烈でした。ショーンと恋に落ちるナタル役のアーノード・ヴァロアが、なかなかイケメンでした。ちょっと伊原剛志+マット・デーモンみたいな顔?フランス人らしからぬ爽やかな男らしい風貌。細マッチョ筋肉質な肉体美も魅力的でした。

 アクトアップの女性メンバー役で、フランス映画界屈指の若手実力派女優アデル・エネルも力強い演技と存在感。男より男らしいキャラで、歩き方とか煙草の吸い方とか、何気なくレズの男役っぽい雰囲気をよく出してました。ア○ル挿入や射精など、ゲイ同士のセックスシーンが結構生々しく、ライトなBLが好きな腐女子は観ないほうがいい映画です。クラブやパレードで踊るシーン、音楽の使い方など、ディスコティックな演出もこの映画の特色です。

 ↑アーノード・ヴァロア、1983年生まれ現在36歳。新作はオリヴィエ・グルメや「2重螺旋の恋人」のマリーヌ・ヴァクト共演のTVドラマ“Moloch”です
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アホーニューワ~♬

2019-06-19 | 北米映画 15~21
 「アラジン」
 コソ泥の青年アラジンは、身分を隠して町にやって来たジャスミン王女と親しくなる。王国を支配しようと企む大臣ジャファーは、王女に会うため王宮に忍び込んだアラジンを捕らえ、彼に魔の洞窟から願い事が叶うとされている魔法のランプを盗ってくるよう命じるが…
 名作との誉れ高いアニメの実写版。オリジナルのアニメは未見。大ヒットした実写版「美女と野獣」をさほど面白いとは思えなかった私なので、やっぱヨゴレたおっさんにディズニー映画は向いてない…と期待薄で観に行ったのですが、どうしてどうして、すごく面白かったです!映画じたいよりも、楽しむことができた自分に感動
 日本人にも馴染み深いおとぎ話ですが、こんな内容だったっけ?と戸惑うほどに、何もかもがアメリカンなノリ。舞台が中東だろうがヨーロッパだろうが、どこであろうとコテコテのアメリカ風味にしてしまうディズニー、恐るべし!ほとんどアメリカ人のアラビアンコスプレ映画なのですが、中でも最もイマドキなアメリカキャラだったのが、ヒロインのジャスミン王女。その言動、そして歌までも、まるでMe,too運動でした。美人だけど、もう社会の理不尽さをイヤというほど味わって怒り心頭なアラサー女性って感じで、とても世間知らずなお姫さまには見えなかったです。

 まさにハリウッドの威信をかけたような、豪華絢爛なセットや衣装が目を驚かせ楽しませてくれます。美女と野獣ほどCG感、人間要らなくね?な感じが強くなかったのも良かったです。あまりにもゴージャスで、質素が好きな日本人の目には下品でケバケバしい悪趣味な成金に映ります。ジャスミン王女の部屋とか、あんなところで落ち着いて寝られんわ。日本人とは根本的に美的感覚が違うのですね。実際にも中東の王族や要人が感激し畏怖したという、日本の皇居のミニマリズムのほうに真の美、高貴さが感じられます。
 ミュージカルシーンが、いかにもアメリカンなノリで好き。特にアラジンがアリ王子として来城するシーンが、圧巻のド派手さで楽しかったです。魔法の絨毯でアラジンとジャスミン王女が夜空を飛ぶシーンで、あの有名な曲が流れてきてスウィート&ロマンティックな気分をアゲてくれます。

 アラジン役のメナ・スマードは、うう~ん、たまに錦戸亮に似て見えたり、私好みのイケメンじゃなかったのが残念。アラジンの見た目もキャラも、少年っぽすぎるというか、ジャスミン王女のほうがかなり年上に見えた。ジャスミン王女役のナオミ・スコットは美人!アラジンとは逆に、大人っぽすぎなような気がしないでもなかったけど。アラジンより、ジャファー役のマーワン・ケンザリのほうがイケメン♡

 アラジンより、ジャファーに抱かれたいと思いました顔が優しいのであまり極悪に見えなかったし、あの役にしては若すぎて貫禄とか面妖さ不足も否めなかったけど、いい男なのでノープロブレム(^^♪本国オランダではセクシー俳優として人気みたいなマーワン、ラスト近くの巨大な魔人に変身するシーンでは肉体美も披露。「オリエント急行殺人事件」など英語圏映画への出演も増えたマーワン、ハリウッドでも成功するといいですね。本国の出演作も観たい。
 アラジンといえばのキャラ、魔法のランプの魔人ジーニー役は、大物スターであるウィル・スミス。

 セクシーで可愛かったウィル・スミスも、すっかりおっさんになりましたね~。でも、カッコいいおっさんです。イケメンなだけで無芸な俳優よりは、はるかに魅力的です。元々は人気ラッパーでコメディアンだった彼が、久々の本領発揮なはっちゃけ演技。シリアスな時より、やっぱコメディな彼のほうがイキイキしています。ちょっと張り切り過ぎてイタい、とも思ったけど。
 魔法のランプを手に入れたら、皆さまは何を願うでしょうか。私は3つなんて欲張りません。願い事ひとつだけ~♪by 小松未歩。でもめちゃくちゃ強欲な願いなので、ジーニーに嗤われることでしょう

 ↑ マーワン・ケンザリ、1983年オランダ生まれの現在36歳。嵐と同世代!本国の主演作日本公開をI wish!


 
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ニート探偵 ロス疑惑の怪

2019-06-17 | 北米映画 15~21
 今日6月17日は、大瀬良大地くんの誕生日!Happy birthday dear 大地~
 あの可愛かった、初々しかったルーキーも、早や28歳。わしも年をとるわけじゃのお。結婚もしたし、今やカープのエースにもなって、すっかり大人の男性。嬉しいけど寂しい気もする母親気分。それはそうと。明菜もビツクリな難破船状態に、再び陥ってるカープの再浮上を頼むわ大瀬良くん!この先ずっと大瀬良くんのことを応援するでしょうけど、そろそろ新たな赤い鯉人にも出会いたいとI wish!


 「アンダー・ザ・シルバーレイク」
 ロサンゼルスで暮らす無職の青年サムは、同じアパートに住む女性サラと親しくなる。だが、突然サラは失踪してしまう。彼女の行方を探るうちに、奇妙で不可解な出来事や人々と次々に遭遇するサムだったが…
 なかなかシュールで笑える迷宮映画でした。わけのわからない人々、わけのわからない出来事や状況に主人公だけでなく、観客も翻弄されつつ次に待ち受けてるものが楽しみになってしまします。サムは引き返せないほどドップリ謎のぬかるみにハマっていきますが、私だったら面倒くさいし怖いし途中で諦めるでしょうけど

 すごい行動力と気力体力ですが、そのエネルギーをもっと有益なことに使えよ~と呆れてしまいました。まず仕事しなさい。働きもせず家賃も滞納してるくせに、煙草や車に使うお金はあるなんて。日がな一日必死に真相を追う姿が、かなり世間的な常識とズレてます。真実を知ったからといって何のメリットもないのに、殺されそうになっても執拗に探り続けるサムもまた、どこかコワレてる異常者の一人にも思えました。現実?幻覚?妄想?な体験や光景など、どう考えても正常な精神状態じゃなかったし。

 サムが若くてイケメンなところも、残念すぎる笑いを誘います。ヘタレなニートなのに、そこで発揮するのか?!な勇気と努力も無駄すぎて滑稽。見た目も頭もいいし、別にコミュニケーション障害とかではなく友達もいるし、探りを入れる時の人好きのよさも魅力的だし、もったいなさすぎ。何が彼を社会からはみ出させたんだろう。夢見てたような人間になはれなかったと言ってたけど、若いんだから十分やり直せる!やり直せ!と、おやじな私は叱咤したくなりました。何やかや小賢しい屁理屈や言い訳を並べ、できるはずのことをやらない若者って、ほんと最近多くて嘆かわしいですよね~。
 サム役は、大好きなアンドリュー・ガーフィールド

 作品ごとに、どんどんいい男になっていってるガーくんですが。この映画でも、ニートなダメ男役なのにイケメン!顔の濃さがほどよい。脂肪無縁なほっそりスレンダーなスタイルも不変。顔、小っ!足、長っ!それよりも何も、イケメンなのに何やってんの?!な役と演技に驚かされます。かなり突き抜けてます。ちょっと変わったことしたぐらいで、俺ってスゴいだろ?演技うまいだろ?と言わんばかりな日本の若手俳優や某事務所タレントとは違う本物の役者魂の持ち主。気持ち悪いスレスレな珍妙さが絶妙。やたらとケツ出すシーンが多かったのもインパクトあり。GFと真昼間から下だけ脱いでバックからズコバコ、エロ本をオカズにシコシコ、貯水池からすっぽんぽんで逃げ帰るetc.日本のお笑い芸人でさえ二の足を踏むケツ出しっぷり。

 犬にションベンひっかけられてヒエー!とか、イタいほどにアホな愚姿。後年、黒歴史になるのではと心配になるほどでしたが、そんなリスクなどものともしない果敢さ、チャレンジ精神こそ役者にあるべき資質、ということを教えてくれるガーくんでした。同じような役ばかり、好感度UP狙いみえみえな俳優ほどつまんないものはないですし。

 パーティーやセックス、ファッションやドラッグなど、ロスのセレブやミュージシャンなど業界人の享楽に爛れた生活や文化が異様。いぬ殺しやホームレスの王さま、フクロウ女など、いったい何だったんだろう?な謎は未解決のまま?いろいろ経験して人間的に成長したサム、なんてありきたりなラストじゃないところも、ワタシ的には良かったです。「第七天国」、そしてジャネット・ゲイナーが意外な形で登場。

 ガーくんの最新作は、「博士と彼女のセオリー」のジェームズ・マーシュ監督の“Instrumental”です。ピアニスト役だとか🎹
 
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マスカレード詐欺

2019-06-14 | フランス、ベルギー映画
 「天国でまた会おう」
 第一次世界大戦で顔に重傷を負ったエドゥアールは、戦友のアルベールの助けを借りて戦死を装いパリに戻る。国、そして確執のあった父親から大金を巻き上げる大がかりな詐欺を、お人よしのアルベールに協力を強いて実行するエドゥアールだったが…
 「その女アレックス」など、トリッキーでエグい犯罪小説で人気を博したピエール・ルメートルが、路線を変更して発表したピカレスクな歴史小説の映画化。原作小説も映画も本国フランスでは大絶賛され、多くの賞を受賞しました。ちょっと前に私もカミーユ・ヴェルーヴェン警部シリーズにハマってたので、この映画すごく楽しみにしてました。期待通り、すごく面白かったです。チャップリン映画を華やかに流麗にした印象を受けました。

 主人公はどちらかといえばアルベールのほうで、彼の風貌とキャラはかなりチャップリンを彷彿とさせます。他人や社会にバカにされ利用されても、優しさを失わず自分を犠牲にするアルベールの滑稽で悲しいピエロっぷりといい、サーカスのようなマジカル風味といい、非情かつ人情的なユーモアのある悲喜劇といい、まるでチャップリンへのオマージュみたいでした。

 顔の半分を失ったエドゥアールが(はっきり見せないのですが、正視できないほどの無残さであることが判るような演出)、お人よしのアルベールを操って大がかりな詐欺を計画し、国と父親に復讐するという話なのですが。復讐というより、顔同様精神も深刻なダメージを受けたエドゥアールが、周囲を巻きこんでの自暴自棄な憂さ晴らしに狂奔、みたいな感じでした。詐欺が成功しようが失敗しようがどうでもいい!みたいだったし。残酷な現実からの逃避、自分だけの楽しいサーカスの世界に耽溺してるエドゥアールでした。隠れ家でエドゥアールとアルベール、仲間の少女ルイーズの3人が踊るシーンや、エドゥアールがホテルで開いたパーティーのシーンなど、楽しそうだけど絶望と隣り合わせの虚無も濃厚で、ああ人生ってお祭りみたい…と悲しくなってしまいました。

 詐欺じたいは、ハリウッド映画みたいにトリッキーでもビッグスケールでもなく、日本でよく起きるオレオレ詐欺とそんなに変わりはないので、騙し騙されなスリリングなコンゲームを期待すると、あれれ?と拍子抜けします。お話よりも、エドゥアールの天才的なアーティストっぷりに感嘆。あの才能、彼にとっては幸であり不幸でした。地獄を経験して絶望の中で生きることを強いられ、正気でいることを拒絶したことが、彼の才能を開花させたみたいでした。平凡で平穏な人生だったら、きっとあそこまで情熱的になれなかったでしょうし。エドゥアールと父親の確執も、才能に磨きをかけていたようですが、そこまでパパを憎む?よくある父子関係だったので、もうちょっと二人の愛憎を深掘りしてほしかったかも。解かり合うこと、許し合うことが遅すぎたラストが切なかったです。

 エドゥアールが次々と作りだす仮面が、どれも美しく独創的!欲しい!口をVで笑顔、ヘで不機嫌な気持ちを表すマスクがオチャメだった。あのアイデアと技術があれば、詐欺なんかしなくても大金を稼げそうだったけど。戦争がなければ、きっと世界的な天才デザイナーとかになってたでしょうに。エドゥアールを熱演したのは、「BPM ビート・パー・ミニット」で脚光を浴びたアルゼンチン出身の若手俳優ナウエル・ペレーズ・ビスカヤート。ラミ・マレックをほっそりしなやかに、よりいっそう繊細にした感じ?顔見せと台詞はほとんどないけど、エキセントリックで躁鬱なほとばしるパワーに圧倒されました。躍動感あふれる動きも圧巻。ダンスシーンがカッコよかったです。

 アルベール役は、この映画の監督と脚本も兼ねた才人アルベール・デュポンテル。チャップリンな好演のみならず、めくるめく展開ながらも悲しみもにじむ演出が秀逸でした。「エル ELLE」のローラン・ラフィットが、卑劣な悪人プラデル中尉を快演。ひとでなし!クズ!最低最悪のゲス野郎役なのですが、どこか憎めない笑える演技が元々はコメディアンである彼の面目躍如。エドゥアールの父役は、「預言者」「真夜中のピアニスト」などの名優ニエル・アレストリュブ。重厚かつ悲哀あふれる存在感。ラストの息子との再会シーンでは、ほぼ無表情なのに喜びと痛みがヒリヒリと伝わる名演でした。
 20年代パリのファッションや街、車、エドゥアールの隠れ家や実家の内装など、製作費がかかってそうな衣装や美術も目を楽しませてくれます。原作小説は三部作らしく、第2部はエドゥアールの姉、第3部はルイーズが主役だとか。小説も読んでみよっかな。
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殺し方は憶えてる

2019-06-12 | 韓国映画
 「殺人者の記憶法」
 アルツハイマーを発症した獣医のビョンスはかつて、世間にはびこるクズどもを抹殺する殺人鬼という裏の顔があった。新たに連続殺人事件が発生し、その犯人が警察官のテジュであることにビョンスは気づくが…
 認知症の殺人鬼VS新殺人鬼という、かつてないようなユニークな設定でした。記憶を失う主人公の犯罪映画といえば、クリストファー・ノーラン監督の「メメント」を思い出します。韓流ならではの猟奇殺人映画なのですが、陰惨悲惨な中に何かちょっと笑ってしまうユーモアもあったりして、そういうところも面白かったです。娘を狙うテジュを、先手を打って始末しようとするビョンスが、そのつど記憶を失って失敗、の繰り返しがコントみたいで笑えた。老体にムチ打って、殺人鬼との対決に張り切る姿も滑稽。娘とテジュのデート先である映画館に乗り込んだはいいが、目的を忘れていつの間にか席に座って隣の客のポップコーンを食べながら映画観て爆笑してるシーンが特に笑えた。テジュに陥れられ、しだいに過去も現実も?!!?なカオス状態になっていく展開も、先が読めず退屈させません。

 ボイスレコーダーが小道具として巧みに使われていました。ラストの血みどろな死闘とか、殺し方や死体の扱いなどの生々しさ酷さは、まさに韓流猟奇殺人ものならでは。韓流猟奇殺人映画を観て私がいつも怖いな~と戦慄してしまうのは、韓国の貧しい地域の夜道です。とても現代の光景とは思えないほど、深く濃ゆい闇。まさに冥界に引きずりこまれそうな暗さ。あんなところ、独りでは絶対に歩けません。鬼畜すぎる虐待や無能で杜撰な警察など、この国ならフツーのことなんだろうなと思ってしまう韓国、その民度の低さこそ猟奇的です。

 認知症、殺人鬼、どっちかだけでも怖いのに、その二つの合体という前代未聞な役を怪演したのは、「あいつの声」や「監視者たち」などの名優ソル・ギョング。基本、いぶし銀のシブい熟年であるギョング氏ですが、今回は骸骨みたいに痩せ細り涸れ果て、まさに死人のような風貌と雰囲気。

 しぼりだすような苦しげな声は、聞く者の胸ををザワザワさせます。焦点がさだまってない虚ろな目が、テジュへの殺意や殺人衝動でギラギラメラメラと燃える異常さ異様さときたら。大真面目に深刻に演じてる反面、イカレすぎて笑える、それを狙ってもいるギョング氏の名演でした。こんなにも鬼気迫る不吉さ、そして悲しさで観客を圧倒できる俳優、日本には今いません。
 テジュ役は、久々に見たキム・ナムギル。売れっ子になってからはすっかり二枚目路線でしたが、今回はサイコ役で新境地。

 もともと冷酷顔なので、異常者役がなかなかハマってました。役作りでちょっと太った彼、懐かしのドラマ「グッバイ・ソロ」のジアンを思い出させました。キム・ナムギルといえば、私にとっては今も昔もグッバイ・ソロのジアンです。ヌオオ~っと大柄なので、迫力や威圧感があって怖い。日本のイケメン俳優だと私でも戦ったら勝てそうだもんね。テジュが殺人鬼になった理由、そしておぞましい身体的秘密も激ヤバでした。警察署長役で、売れっ子オ・ダルスが出演してます。相変わらずのコメディリリーフ的存在。
 この映画、日本でリメイクしたら、理想妄想イルボンキャストはこうだ!
  ビョンス ・・・ 内野聖陽
  テジュ ・・・ 向井理
 ソル・ギョングとウッチーって、何となくカブるんですよね~。ビョンス役には若すぎるけど、老けメイクで熱演してほしい。優しそう、でも実は冷酷で悪賢い役、は向井理のオハコ。捨て身の狂気演技には期待できないけど…

 


 
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腐女コク⑥~⑧ BL星に行きたい

2019-06-10 | 日本のドラマ(連続)
 「腐女子、うっかりゲイに告る」第6話から最終話まで観ました(^^♪

☆ママ~ウウウウ~♫
 飛び降り自殺に失敗、重傷を負って入院する純。息子がゲイであることを知り、狼狽えるママ。男を好きになるなんて思春期にありがちな気の迷いよとか言うママに、純の鬱積していた憤懣が爆発!ふだんは寡黙で感情を表に出さない純の、激怒顔と声が新鮮でした。でも純ママ、立派な受け止め方してたと思います。
☆君がいない
 学校に来なくなる純に、クラスメートは複雑な思い。純との思い出の場所に行く三浦さんと亮平くん。話の内容とか話し方とか、まるで純が故人。

☆BL星
 腐女子の三浦さんもゲイの純も、社会的には宇宙人。それを前向きにとらえようとする三浦さんと純の笑顔が素敵です。
☆高校大パニック
 絵のコンクールで賞を獲った三浦さんが、終業式のステージで受賞のあいさつ、かと思いきや、純とのなれそめや自分が腐女子であることを大々的にカミングアウト。腐女子でいることって、そんなに決死の覚悟がいるものなの?!三浦さんの終業式ジャックで、会場はカオスに。止めようとする教師を、飛び出してきた亮平くんが必死に阻止。普段はチャラい亮平くん、別人のような熱い男気。生徒たちも三浦さん応援で、昔の青春ドラマみたいな展開に。感動的ではあるけど衝撃的でもある終業式、あれってほとんど事件ですよ。夕方のニュースで取り上げられるレベル。

 周囲の喧騒をよそに、あふれそうな想いを必死に抑えてじっと佇んでる純。目つきが怖い。出て来て何か言えよ!という小野くんの熱いメッセ-ジに、ついに純もステージに駆け上がる。三浦さんとキスして大盛り上がり。まるでアメリカのTVドラマなノリです。

☆ゲイあるある
 以前にゲイのことをバカにする発言をしてた後輩が現れ、純に謝罪。実は後輩もゲイだった!隠れゲイはわざとゲイのことを貶めて、好きな男の反応をチェックする癖があるそうです。

☆中学性日記
 遺言通りミスターファーレンハイトの家を訪ねる純、そこで知ったミスターファーレンハイトの正体に衝撃を受ける。勇気を出して純と会ってたら、悲劇はなかったかもしれません。悲しい。
☆この世にゲイと腐女子が生まれる理由
 三浦さんの説に純も視聴者も苦笑。ノーマルもLGBTも、みんな同じく等しく神さまが生み出したもの。違いなんかないのですね。
☆決心
 大坂に引っ越した純、大学生に。教室で自己紹介を始める純の笑顔に、ゲイであることから逃げ隠れせず生きていくだろう彼の未来に幸あれ!と心から思いました。

★総括
 「おっさんずラブ」の二番煎じドラマかと思ってたのですが、ゲイの生き辛さや性的苦悩を丁寧に真摯に描いた秀作でした。ゲイであることもフツーなこと、な社会になってほしいです。
 三浦さん、腐女子にしては???なキャラながら、男にも女にも媚びてない強く爽やかな女子でした。ゲイの美少年と付き合ってフラれるなんて、BL漫画以上にファンタジーな経験!腐女子としては本望だったことでしょう(笑)。藤野涼子、初めて知りましたが素朴な見た目と演技に好感。亮平くんや小野くんが、イマドキ男子すぎる風貌だったのがちょっと残念。もっとフツーっぽい男らしい少年だったら萌えたのに。
 金子大地くんの好演を讃えたいです。演技うまい!な俳優ではないけど、わらわらいるただのイケメン俳優、変わった役やっただけで演技派なつもり俳優にはない独特さ、そして美しさに毎回ハっとさせられました。怖い役、ヤバい役が似合いそうな怖い目つき、冷たい表情も魅力。市橋達也とか山地悠紀夫の役とか、闇が深すぎる若い犯罪者役にドンピシャだわ。ぜひ挑戦してほしい!
 クイーンの曲がガンガン使われてたのもタイムリー。クイーンのメンバーは故フレディを含めすごい親日家で、他国ではありえないほど日本では映画やドラマやCMでの楽曲使用の許可が得られてるのだとか。

 最優秀賞 金子大地
 優秀賞 藤野涼子
 悪くなかったで賞 谷原章介、亮平くん、小野くん、純ママ、ミスターファーレンハイトの声
 ???賞 カフェの店長、三浦さんのBL友とその彼氏

 ↑ マロとの再会が楽しみ(^^♪
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うつ妻の家出

2019-06-05 | イギリス、アイルランド映画
 今日はカープは勝ーち勝ーち勝っち勝ちライオンズに快勝!昨夜の雪辱を晴らした!
 バティスタの豪快すぎるホームランには目がテンになってしまいました。そして、今夜のヒーロー田中コースケ!鬼のような覚醒でしたね!今までの不振いったい何だったのな、八面六臂の躍動でした。カッコよかった!

 そしてリョーマの27連続ヒット記録!すごい!打ったリョーマも千両役者ですが、彼まで打席を見事に回し、舞台のお膳立てをしたセイヤもあっぱれ!カープってほんと、ドラマティックじゃのお。大瀬良くんVS源田くんの勝負にも胸熱!源田くんの盗塁を阻止した大瀬良くんに軍配!源ちゃんの盗塁失敗もなかなか見られないので、貴重なシーンを見させていただきました。3タテ食らうことを覚悟してましたが、驚喜の1勝1敗。明日もきっと激戦じゃ!

 「パリへの逃避行」
 ロンドン郊外で夫のマーク、二人の幼い子どもたちと暮らす主婦のタラは、育児と家事に埋没するだけの生活に疲れと虚しさを覚えていた。発作的に家を飛び出し、独りパリへと向かったタラは…
 妻、母親って、本当に大変だな~と、子育てと家事でいっぱいいっぱい、自分の時間、いや、自分の人生などないに等しいタラを見ていて、あらためて思いました。タラみたいに疲れ果て絶望に沈む主婦って、世の中いっぱいいるんだろうな~。自分を犠牲にして家族に仕えるのが妻、母の役目だという古来からの理不尽な不文律は、女性の権利が叫ばれ保障されていく中においても、まだまだ消えずに残ったままです。でもタラの場合は、女性の権利といったフェミニズムな問題提議ではなく、妻にも母親にも向いない女性が結婚して子どもを授かってしまった悲劇、みたいでした。妻って母親って、やはり覚悟と資質が必要なんですね。女性なら誰でもなれるものじゃない。タラは稼ぎのいい旦那のおかげで何不自由ない生活を送る専業主婦で、子どもは昼間は保育園に預けてるんだけど、もう地獄のような日々を送ってるような様子なんですよ。そりゃ育児も家事も大変だけど、あそこまで精神的に追い詰めらるほどではなかったような。うちの母ちゃん、3人+孫を仕事しながら育ててくれましたけど、タラみたいにノイローゼにはならなかったけど…あらためて心の底から、MY老母や世の中の気丈なお母さんたちを尊敬&感謝。

 タラももう少し周囲にヘルプを求めるとか、夫と虚心坦懐に話し合うとか、もっと戦う努力をしてほしかった。あんな風に殻に閉じこもって、独りで不満や不平を鬱積させてちゃ、うつになるわ。なので、タラのことはあまり気の毒とは思えなかった。夫がDV男とかアル中とか無職で貧困とか、子どもに障害があるとか、悲痛な境遇にある主婦が観たら怒るかもしれない映画です。マークは働き者で稼ぎもよく、ちょっと亭主関白っぽいところもあるけど、ぜんぜん許容できるレベル。毎朝起きがけに、排尿感覚で一発ヤろうとする性欲の強さは、さすがに私もイヤですが。イヤならイヤって断ればいいのに、黙ってマグロになって体を許すタラにイラっとしました。

 理想の夫なんかいないですよね~。マークも欠点はあるけど、私の目から見たら理想に近い旦那さんでしたよ。マークぐらいの鈍感さ、ちょうどいいと思うのだけど。神経のこまやかすぎる夫なんか、私はイヤだな~。タラにも優しい、子煩悩、そしてイケメン!なマーク、俺の何がいけないの?!と困惑し傷つく姿が、すごく哀れで同情せずにはいられませんでした。泣いて追いすがる夫と子供たちを振り捨てて、独りパリへと家出するタラ。のんきに観光旅行したり、あろうことか行きずりの妻子もちフランス人男と情交とか、何やってんの~と呆れてしまった。パリより先に心療内科に行きなさい!
 タラ役のジェマ・アタートンは、美人だけど顔も体つきも生活感たっぷりで、人工的なハリウッド美女や個性が強いフランス女優とは違うリアルさがイギリス女優らしかったです。脱いでないけど、薄着や下着姿で判る巨乳が圧巻でした。
 この映画を観たのは、もちろん大好きなドミニク・クーパー目当てです(^^♪

 ドミ公も、パパ役が似合う年齢になったのですね~。あんなカッコいい優しいパパ、いいですね~。スウィートなドミ公も素敵でしたが、キレて取り乱すドミ公の♂っぽさもたまらん。キレた後の後悔に沈む様子が切なくて胸キュン。夫、父親役でも、頭のてっぺんから爪先まで♂なところも、ドミ公の魅力です。顔は寝ぼけてても下半身はフルスロットルなシーンとか、ベッドで裸で寝てるだけのシーンでも、すごい♂フェロモンでまさに全身性器な男!無味無臭なイケメンよりも、やっぱドミ公みたいな♂臭い野郎のほうが好き!野郎っぽいけど、ぜんぜん下品でも野卑でもないところがさすがイギリス俳優なドミ公です。

 ↑ドミ公の新作は、TVドラマの“Peacock”です。トレーニングジムを舞台にしたコメディドラマだとか。共演の黒人俳優ルシアン・ラヴィスカウントもセクシーなイケメン(^^♪
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ヒデキ、ショーゲキ!

2019-06-02 | 日本映画
 本日の阪神とのデイゲームは、5-7でカープの負ーけ負ーけ負っけ負け序盤、一気に7点も失点しちゃあ勝てんわ~アドゥワさんちのまことくん この頃すこし変よ どうしたのかな~♪なんともはや…な、絶句させられる大炎上でしたね~。

 ↑ついに先発を剥奪されてしまったアドゥワ、輝きは一瞬だけでした…
 面白いほどボコボコ打たれるアドゥワ。今日はハイもう終了!一昨日昨日の連勝で勝ち越したし、今日はもうええわ!阪神さん頑張りんさい!梅ちゃんカッコいい!高山くんも復活だね!と好きな若虎を応援するなど、すっかり居直ってたのですが。中盤になって、カープが一気呵成の猛追!野間っちが!菊池が!バティが!リョーマが!磯村が!コースケが!気づけば5点ももぎ獲ってイケイケドンドン状態に。やっぱカープはこれですよね!ひょっとしたらの大逆転劇?!と俄然ドキドキワクワク心が躍る!アドゥワ以降の投手たちは、大ピンチを背負いながらも無失点で切り抜けて、ほんと踏ん張った!でもでも、結局反撃は5点どまりで試合終了。カープの連勝はストップしました。アドゥワもですが、セイヤが今日はトホホでしたね。珍しく鈴木ダメヤになってました。それにしても阪神さん、嬉しさよりも安堵でしょうね。あれで逆転なんかされたら、もうお先真っ暗でしたでしょうし。
 さあ、恐怖の交流戦が始まります。今日奇跡の大逆転してたら、ものすごい幸先のよさになってたでしょうね。でもまあ、どん底の最下位から激烈な捲土重来で一気に首位に昇った5月は、カープファンにとってはまさに奇跡と幸福の日々でした。交流戦でも予想を裏切る善戦をI wish!交流戦、怖いけど大好きなパリーグ選手の勇姿は楽しみ(^^♪ライオンズの源田くん、山川くん、秋山さん、ホークスの上林くん、オリックスの山岡たいちゃんを、つい応援しちゃうことでしょう

 「傷だらけの勲章」
 東京で弁護士が二人組の男に襲われ殺害される。犯人の目的は、エジプトで殺された大企業社長の倉田の遺言状強奪だった。事件を追う刑事の都築はベテランの大貫と組み、倉田の未亡人である喜枝に捜査協力を求めるが…
 去年亡くなった西城秀樹主演のサスペンスアクション映画。当時30歳のヒデキ、わ、若い!カッコいい!ワイルドだけどアイドルの名残っぽい甘さもあって、歌手な彼しか知らなかった私の目にはとても新鮮に映りました。明るく健康的で正義感が強い熱血漢という役も、演技派を目指した無謀な挑戦ではなく、ファンが抱くイメージを裏切らないものでした。

 ヒデキさん、お世辞にも演技が巧いとは言えないのですが、最近のアイドルや俳優も学芸会同然なので、特にヒデキが大根とは思わなかったです。むしろ、織田裕二やキムタクよりも役者魂があるところを見せてくれてるかも。冒頭、なかなかエロい濡れ場があるんですよ。あのヒデキが性交シーン!薄闇の寝室、全裸で女とねっとり肌を重ね合うヒデキ、褐色の肌がセクシー。女の乳首を口に含んだり、女のおっぱいを揉んだり、すごく頑張ってました。濡れ場だけでなく、すっぽんぽんで銃を構えたり、シャワーシーンもあったり、やたらと脱いでたのはファンサービス?

 前半は濡れ場以外特に見せ場はなく、これといって個性的でも有能でもない、フツーの若い刑事って感じのヒデキで物足りません。どちらかといえば、悪徳に墜ちて道を踏み外す大貫役の中村嘉葎雄のほうが主役っぽいかも。後半、独自の捜査を始めた頃からようやく主役になるヒデキ。無精ひげが似合って男前。いちおうカーアクションとか銃撃戦とかアクションシーンも頑張ってたのですが、もうちょっと目を驚かすほど派手に破天荒に大暴れしてほしかったかも。某事務所タレントでも全然できるレベルでしたし。

 ヒデキさんはカッコよかったのですが、かんじんのお話が雑すぎ。事件の謎も弱いしありえなさすぎる。日本の警察、そこまで無能じゃないやろ。エジプトとシンガポールで大がかりな海外ロケを敢行しているのですが、その必然性が感じらなかった。北海道とか九州でもいいじゃん?みたいな。せっかくの海外ロケなので、そのスケールに見合った壮大なサスペンス、ミステリーにしてほしかったです。ピラミッドやスフィンクス、サハラ砂漠などが必要以上にたっぷり撮られていて、エジプトにも行ってみたいな~と旅心をそそられました。
 脇役が特濃!主役のヒデキだけでなく、もう2度と会えない名優たちがたくさん出演しています。あらためて彼らの、今のCM俳優にはない強烈な個性と存在感、特異な演技に感銘を受けました。

 まずはやはりこの人、喜枝役のちあきなおみ!表舞台から姿を消して久しい彼女ですが、見た目といい雰囲気といい演技といい、周囲を圧倒する濃密さ。大ヒットした「喝采」は大好きな曲ですが、リアルタイムでは歌手の彼女は知らない私。ワタシ世代ではやはり、タンスにゴンのCMと、2時間ドラマなどでの妖しくユニークな女優、というイメージ。

 今回の魔性の未亡人役も、見るからに怪しくて笑えるほど。熟女の色香も毒々しい。ほんと、女優としても唯一無二。80年代のマダムファッション、髪型もインパクトあり。ちあきなおみ、カムバックはもうないんだろうな~。今の彼女、見たいような見るのは怖いような。
 ほぼ主役だった中村嘉葎雄をはじめ、成田三樹夫や仲谷昇、小林昭二、鈴木瑞穂、そして高橋幸治!(彼も引退状態?ご存命みたいだけど)など、シブくて強烈な名優たちの顔ぶれが嬉しい。ちょっと若い小林稔侍がザコい悪党役。今の善人おじさんキャラより、外道キャラだった昔のほうが素敵。悲惨すぎる最期が笑えた。スナイパー役の萩原流行が妖しい美男。都築の恋人役の朝加真由美が、ヒデキとの濡れ場ではおっぱいも堂々と出して、激しく悦楽に悶えていました。
コメント (4)
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