まつたけ秘帖

徒然なるままmy daily & cinema,TV drama,カープ日記

大迷惑!パパは心配性

2018-11-30 | ドイツ、オーストリア映画
 「ありがとう、トニ・エルドマン」
 ブカレスト在住のドイツ人女性イネスは、ワーカホリック気味のキャリアウーマン。そんな娘を心配するイタズラ好きの父ヴィンフリートは、トニ・エルドマンという別人に扮してイネスにつきまとい始める。そんな父に困惑し、ストレスを募らせるイネスだったが…
 世界中で高く評価されたドイツ映画。コメディなのですが、かなり独特の味わいです。大爆笑とか、クスクス笑うとか、そんなんじゃないんですよ。ハリウッドのコメディや日本のお笑いバラエティとは、まったく笑いの性質が違うというか。おかしなシーンや台詞ではなく、父娘のやりとりが生み出す空気感が笑いの源になっています。心配性のパパが、娘の身を案じるあまりにストーカーじみた奇行暴走、という設定は、岡田あーみん先生の漫画「お父さんは心配性」と同じなのですが、あの狂気的なまでにハチャメチャハイテンション炸裂とは真逆で、終始淡々とテンションが低く、何だかわびしささえ漂ってるので、ちらっと観ただけではコメディと受け取れない、でもしっかり観るとじわじわ可笑しい、そんな笑いです。

 ハリウッド映画だと、おバカでノーテンキな笑い+ほのぼのしんみり、なパターン通りの喜劇になってたでしょう。まったくそうしなかったところが、この映画の特異さ、魅力と言えるでしょうか。とにかくヴィンフリートもイネスも、やることなすことすべてが痛々しいんですよ。娘や周囲を何とか笑わせ和ませようとするヴィンフリートのジョークやパフォーマンスが、ことごとく骨折級のスベリまくりで、そのイタさに笑うよりもあちゃちゃ~…と観客も困惑し気まずくなる、その繰り返しなのです。ハリウッド映画だと絶対に、善人だけど空気を読まない自由奔放な天然おじさん、みたいな言動で周囲を振り回して迷惑をかける、みたいなキャラになってたでしょうけど、ヴィンフリートはそんなんじゃないんですよ。単なる迷惑な構ってちゃん爺なら、ただウザくて不愉快なだけですが、彼のいつもゼーゼー言いながら苦しそうな、必死で一生懸命で真剣そのものなスベリ芸は、なぜそこまでしてと心配になるほど悲壮感があります。フツーだとあんな人、怒られたり嘲笑われたりするけど、イネスも周囲もほとんど腹を立てず不快感もあらわにせず、ただもう当惑、狼狽するだけな様子が、大笑いじゃないけどジワっとくる滑稽さ。とにかく、ヴィンフリートが実は余命いくばくもないとか、イネスに何か心の傷やトラウマがあるとか、そんな陳腐なお涙ちょうだいを狙った内容ではないので、感動したい方はご注意を。

 ヴィンフリート以上にイタいイネスの、深刻なメンタル崩壊っぷりもヤバい笑いを誘います。仕事をバリバリこなすキャリアウーマンという表面をギリギリ保ったまま、今にもブッコワレそうなイタい言動をしまくり、何かやらかすイヤな予感を抱かせ、その何かが楽しみになります。劇中、え?ん?は?な言動を、さりげなくチョコチョコやってたイネスが、ラスト近くになってついに!誕生パーティーでの奇行は、かなり衝撃的(笑撃的?)です。特に服を着替えるシーン、あれお茶吹いたわ~。

 ↑ なかなか服が脱げなくて、もがく姿がかなり衝撃的!
 ヴィンフリート役のペーター・ジモニシェックは、ゴツいお爺さんだけど顔はかなりカッコいいです。年老いて太った伊藤英明、みたいな。イネス役のザンドラ・ヒュラーの、近年稀な珍演に瞠目させられました。あれ、アカデミー賞級ですよ。ハリウッドでこの映画がリメイクされるそうですが、ハリウッド女優にはザンドラみたいな静かなる捨て身の演技、無理でしょ。大熱演!な気合いや気負いが全然なく、シレっとトンデモないことをする演技は、ちょっとイザベル・ユペールを彷彿とさせて、さすがヨーロッパ女優だな~と感嘆。
 父と娘の関係について、あらためて考えさせられました。ヴィンフリートはちょっと特殊ですが、ほとんどのお父さんは愛する娘のことを死ぬほど心配してるんでしょうね。私やM子は、今も昔もほぼネグレクトなので、今さら愛情たっぷりに心配されたら、ウザいし気持ち悪いだけです
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愛と死のオートクチュール

2018-11-28 | 北米映画 15~21
 寒くなりましたね~。皆さまも冬の準備は抜かりないことでしょうか。
 職場では、プランターで慎ましく野菜を育ててます。この夏は、災害でそれどころではなくなり、せっかくのトマトやキュウリもほとんど収穫できなかったのですが、この秋はダメモトで植えたキャベツの苗が想定外に立派になって、みんなで驚喜してます。

 お好み焼きにでも使おうと話し合ってます。小さく鈴なりになるというキャベツも育ててるのですが、こっちは虫食いだらけこないだの朝、でっかいナメクジがいて悲鳴を上げてしまいました。

 種から育てたハボタンやパンジーも、すくすくと育ってます。野菜作りやガーデニングって、素敵なコミュニケーションの手段になるんですね~。職場だけでなく、近隣のおばさまやおばあさまと楽しくお話する機会が増えたり。花咲く春が待ち遠しいです(^^♪

 「ファントム・スレッド」
 50年代のロンドン。オートクチュールの仕立て屋レイノルズは、ウェイトレスのアルマを見初め、彼女をモデルに新作を発表し続ける。レイノルズを愛するあまり、アルマは彼の規則正しい生活、そして心を乱し始めるが…
 「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド」などの鬼才ポール・トーマス・アンダーソン監督作。3度のオスカーに輝く現代最高の名優、ダニエル・デイ・ルイスの引退作です。この作品でもオスカーにノミネートされました。あらためて引退が惜しまれます。世の中には、引退してほしい、すべき老害がはびこっているというのに。まだまだ活躍してほしい、活躍できるのに、もったいない。でも、輝かしいキャリアも栄光も未練なく捨て去ってしまえるなんて、DDLらしいカッコよさではあります。

 若い頃から、すべてにおいて特別な存在、最高級の俳優だったDDLの多くない出演作には駄作がほとんどなく、彼の演技も心に残るものばかり。「眺めのいい部屋」「マイ・ビューティフル・ランドレット」「マイ・レフト・フット」そして何といってもmy best of DDLといえばの「存在の耐えられない軽さ」…どの作品のDDLも、本当に素晴らしかった。その美しさ、気高さ、神秘性、演技への厳しさで、生ける伝説となった不世出の名優DDLですが、最後の主演作でもその比類なき魅力を遺憾なく発揮していました。

 DDLももちろん年をとって、すっかり枯れた初老となりましたが、老いさらばえた爺臭は全然なし。かといっていつまでも若いつもりな若作りがイタい爺などではない。男って、いや、人間って、本当の魅力はいつかは褪せて衰える若さや見た目の美しさではなく、知性とか教養とかエレガンスといった内面の美しさなんだな~と、この映画のDDLを見てあらためて思いました。イギリスのロイヤルファミリーにもない高貴さ、優美さにうっとり。どんなに演技力が高くても、どんなに努力しても、DDLの持つ貴族的な雰囲気だけは、絶対にハリウッドスターが得られない魅力です。

 見た目と雰囲気だけでなく、声や細かい挙措まで美しく、ほんと神さまが人間に姿を変えて現れるならこんな感じ、な優雅さ、神々しさなのですが、優しそうで物静かなのに近寄りがたい威や厳しさを醸しているところもまた、凡百の俳優にはないDDLの魅力でしょうか。この映画のレイノルズも、内面が複雑すぎ、暗闇を抱えすぎで、観客からの気安い共感とか好感など冷たく拒絶しているかのようなキャラ、そして演技なのです。DDLじゃなかったら、単なるイヤ~なめんどくさい爺になってたところです。

 地位、名誉、才能、金、美貌、すべてに恵まれてるようで、いちばん大事なものが欠けてるようなレイノルズ、痛ましくもヤバい人でした。私はあんな人とは1時間も一緒にいられません。神経質すぎ、屈折しすぎでしょ。自己中心的すぎ、こだわりが強すぎて、ちょっと発達障害っぽかった。天才と呼ばれる人の多くがアスペルガーだとも言われるけど…よっぽど我慢強い人、もしくはドMな人でないと、レイノルズとは暮らせません。対するアルマも、かなり変人。どんなにはねつけられても、レイノルズを自分のものにしようと、彼の気持ちなど忖度なしで強引・無謀な手段に出るウザくてヤバい女。いやがらせ?と思えるほど、レイノルズの調和のとれた厳格な生活ペースをかき乱そうとするところが、レイノルズじゃなくてもイラっとします。めんどくさい者同士、悪い意味でお似合いのカップルでしたが。二人が行きついた愛の形は、私のような健全な凡人からすると気持ち悪いだけです。まあ、他人に迷惑かけないのならどう愛し合おうと自由、勝手にやってなさい!ですが

 アルマよりも、レイノルズの姉シリルのほうが魅力的でした。ありがちな意地悪小姑ではなく、冷たくて厳しいけど、ん?いい人?優しい?と思わせる言動が、カッコいい大人の女性って感じでした。めんどくさいレイノルズとアルマに振り回されることもなく、クールに淡々と、でも堂々と構えてる姿も素敵でした。演じてるレスリー・マンヴィルのクールでエレガントな美熟女ぶり、ああいう女性に憧れるわ~。アカデミー助演女優賞にノミネートされた彼女、授賞式でも印象的な美しさでした。彼女、ゲイリー・オールドマンの元嫁だとか。ゲイリーおじさんのオスカー主演男優賞受賞を目の前にして、どんな思いだったことでしょうか。オスカーといえば、この作品は衣装賞を受賞しました。ハリウッドセレブや韓国成金の悪趣味なファッションと違い、シンプルだけど洗練された高雅なドレスの数々も目に楽しいです。実際の英国王室の方々も、この映画みたいなファッションにすればいいのに。

 ↑世界一美しい、お似合いのカップルでしたわ~…DDLの後継者的俳優の登場が待たれます
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リターン⑨~⑰ 復讐法廷の女!

2018-11-25 | 韓国のドラマ
 韓国ドラマ「リターン 真相」の第9話から最終話まで観ました~。

☆韓国はモラハラ天国
 売るのを渋るディーラーに怒って、高級車をカギで傷つけて札束を足元にバラまくハクボム。こんなんもうモラハラじゃなくて犯罪でしょ。日本やアメリカだってモラハラやパワハラは当然ありますが、ここまで凶暴なのはいくらなんでもありえない、けど、女大統領を操ってたおばはん母娘や、ナッツ姫&水かけ姫姉妹、その暴力ママなど、韓国では人前で実際に堂々とやってるから怖いです。
☆激しすぎる韓国人
 妹を強姦したハクボムとジュニが無罪となり、裁判所の前で怒りの焼身自殺をしようとするジョンス。気持ちは解かるけど、怒りや悲しみで錯乱する姿は朝鮮半島独特というか、あまり他の国では見られませんよね~。

☆また警察署の前で
 19年前の事件に関わっていた女検視官を轢き殺すジョンス。ジュニの拉致に続いて、また警察署前での凶行!危険すぎる韓国のポリスステーション!
☆どこで壊れたのOHフレンズ
 13歳:酔っ払い運転で少女を轢き、まだ息があった彼女を生きたまま海に投げ捨てる 大学生:少女に性的暴行 現在:死体遺棄、殺人未遂、そして殺人…災いを振り撒き続ける御曹司4人。金と権力があると、人間ってあんなに歪んで腐ってしまうものなのでしょうか。早く死んで!と思わずにはいられない害虫みたいな4人の、チェ・ジャヘに追い詰められてじわじわと破滅に近づいていく過程、様子にそれぞれの個性が表われていて面白いです。

 互いへの疑心暗鬼、殺意や憎悪でグチャグチャになる4人の主導権争い、絶対に離れられない悪縁な依存関係が楽しいです。4人が私好みのイケメンだったら、さぞや腐な妄想で萌えることができたでしょうに。4人の中では、冷酷で狡猾なテソクがいちばん好き。みんなを操るテソクと、狂犬みたいな暴力男のハクボムが主に悪事をリードして、イノとジュニはイヤイヤ従ってるというのが基本なのですが、最もタチが悪いのはイノだと思います。はっきり凶悪なテソク、狂悪なハクボムは、ある意味潔い。ジュニは気が弱くすでに精神崩壊してるし。でもイノは、自分の罪を棚に上げて、善人ぶって自分だけ妻子と幸せになろうとしてる。何て厚顔無恥!思慮に欠いた行動で2回も逮捕されるとか、バカ過ぎるところも不愉快。あんなパパがいて、娘が可哀想!

☆テソク語録
 保身のためには殺人も辞さず、イノやハクボム、ジュニにも罠を仕掛けて陥れようとするテソクが、気持ち悪いニタニタ笑いを浮かべながら吐く毒台詞が好き。特にチェ・ジャヘに向かっての『償うのは底辺の人間のすること。僕は罪とは無縁』が非道すぎて笑えたわ~。
☆愛と哀しみのドンベ
 このドラマの中でいちばん気になるキャラは、やはりドンベですよ。見た目もブサカッコよくて(クォン・サンウをチョイブサにした顔?)、薄幸な境遇も切ない。チェ・ジャヒと幼い頃のドンベの出会い、そしてその後の絆が悲しい。
 
 ↑ドンベ、チョア~♡
☆貧乏人は虫ケラ同然
 あの手この手のモラハラ、パワハラシーンで視聴者を不愉快にさせるこのドラマ。中でも、イノの出所祝いの席でハクボムが、集めたギャルに音楽なしで踊れと命令し、金のために従う彼女たちを横目に貧乏人をバカにする、というのが最悪に不快でした。
☆血まみれ!惨劇の別荘
 ついに御曹司4人が悲惨な破局を迎えることに。別荘での地獄絵図!日本のTVドラマではありえない、韓流ならではのヴァイオレンスでした。それぞれに運命の鉄槌が下される4人ですが、イノがいちばん軽かったのが納得できん!

☆リターン 因果応報
 ライヴ放送で真相を語るチェ・ジャヘ。彼女が訴える少年法の矛盾、犯罪被害者遺族の悲しみ、韓国の格差社会の非情さが痛烈でした。韓国の下層階級の生活描写がリアルで、ホラーより怖い。日本よりもはるかに深刻。私も下層民なので、金持ちだけが得をする社会のシステムへの怒り、虚しさは日々痛感してます…
★総括
 面白かったです!珍しく夢中になって一気に観てしまい、生活に支障が
 乱暴で強引、都合の良い展開や設定も多々あるのですが、目に余る悪行で庶民を苦しめる韓国の富裕層を退治して溜飲をさげる、という勧善懲悪なドラマでもあったような気がします。善までも破滅を免れないので、痛快ではありませんが。復讐の代償は大きい…
 大好きな女優、コ・ヒョンジョンの降板がやはり惜しい。でも、後を引き継いだパク・ジニもなかなか好演してました。
 このドラマ、日本でリメイクされるとしたら?理想妄想イルボン版はこうだ!

 チェ・ジャヘ … 松たか子 → 板谷由夏
 トッコ・ユン … 田中圭
 テソク … 向井理
 ハクボム … 市原隼人
 イノ … 町田啓太
 ジュニ … 林遣都
 ナラ … 比嘉愛未
 ドンベ … 太賀
 ドンベの兄 … 青柳翔
 ドンベの母 … キムラ緑子  
 ミジョン … 壇蜜
 ジョンス …丸山智己

 こんなん出ましたけどぉ~?
 テソクは絶対にムカイリーにやってほしい!似合うと思う!少女漫画ドラマの甘っちょろい悪役程度じゃ物足りない!テソクみたいなスマートで、徹底して卑劣で邪悪な悪役をぜひ!ムカイリーと田中圭、今は後者のほうが主役でクレジットが上、でOKですよね?御曹司4人は同い年ではなく、年の近い幼なじみに変更。松たか子も大女優ぶって脚本や演出にうるさそうなので、途中で降板予定(笑)
 

 

 
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トムハとベトベトしたい♡

2018-11-18 | 北米映画 15~21
 「ヴェノム」
 サンフランシスコの記者エディは、大富豪の天才科学者ドレイクがひそかに行っている人体実験を暴こうとするが、侵入した研究所で謎の宇宙生命体に寄生されてしまう。ヴェノムと名乗る生命体と組んで、エディはドレイクの恐るべき計画を阻止しようとするが…
 アメコミ映画は大好きなのですが、そろそろ食傷気味でもあります。でも、この新作はトム・ハーディ主演ということで、前から楽しみにしていました。トムハ、相変わらずカッコカワイかったです
 
 トムハとアメコミといえば、クリストファー・ノーラン監督の「ダークナイト ライジング」が思い出されますが、へヴィに暗くて凶暴で狂ってた敵役と違い、今回はかなりライトでコミカルなヒーローでした。イカレ男の役が多いけど、トムハご自身は明るくおちゃめな人柄みたいで、コメディに向いてるんじゃないかなと前から思ってたんですよね~。唯一のラブコメ「BLACK&WHITE」のトムハも、すごくチャーミングでしたし。今回もいつも通りに大暴れ、イカちーゴリマッチョ風貌なのですが、ヤバい男、イカレた男、といった感じは薄く、仕事も恋もうまくいかないショボくれたフツーの男なトムハが新鮮で、ヴェノムに憑かれてからのエキセントリックお笑い演技も冴えてて、しっくりくるトムハのおバカ演技でした。

 アメコミ映画は基本コメディ調なので、この映画も笑えるシーンがたくさんあるのですが、MRI百面相?や、レストランでのムシャムシャ&ドボン、隣室の騒音にブチ切れ寸前の我慢顔とか、コメディ演技でも圧倒されるほどパワフルなトムハです。ヴェノムに体を乗っ取られて、ハチャメチャに付き合わされてヤメテー!もうカンベンして!!な表情や声もアホ可愛くて、胸キュンキュンしちゃいましたわ。トムハ独特の、あのしわがれたモゴモゴ声、喋り方も可愛い。ちょっと猫背で、のしのししたガニ股歩きも好き。

 過激にヴァイオレンスだけど、瞳が優しくて悲しそうなので、トムハは真性の悪役は無理かも。恋人のアニーとイチャイチャ、アニーにフラれてイジイジ、未練がましい言動も可愛かった。むさくるしい風体でも、顔はやっぱ隠しようがないほどのイケメンなトムハ、屈強なゴリマッチョなトムハなので、ヘタレさも母性本能をくすぐる魅力になります。ほんとにヘタレそうな男だったら、ウザいキモいだけでしょう。

 ↑MRIシーンと騒音シーンが特に好き♡
 中にいるヴェノムとのおしゃべりも愉快でした。ケンカしながら仲良しになるバディ映画でもありました。おしゃべり中のリアクション、独りごとは、傍目からするとヤバい人ですが。エディみたいに独りでブツブツ言ってたり動いてたりしてる人たまに見かけますが、それってひょっとしたら…?コメディ演技同様、格闘シーンやワイルドスピードなバイク暴走など、「マッドマックス 怒りのデス・ロード」を彷彿とさせる体を張ったトムハのアクションもカッコよかったです。それはそうと。トムハって、ソフトバンクの柳田悠岐にちょっと似てませんでしょうか?
 トムハだけでなく、ドレイク役のリズ・アーメッドもイケメン美しい悪役でした

 「ジェイソン・ボーン」でmy イケメンレーダーをビビビとさせた彼。今回もスマートでエレガントな黒い貴公子って感じで、見とれちゃいましたわ~。浅黒い肌も色気があって。やっぱ彼ってちょっとピエール・ニネに似てますよ。悪魔の人体実験をする人でなし役なのですが、ぜんぜん悪人に見えません。研究所に見学に来たちびっこに優しいところが素敵でした。トムハとはもっと絡んでほしかったです。インド系イギリス人のリズですが、インドにはこんなイケメンがごまんといるのかしらん?と、彼の画像をインドに行ったことがあるM子に見せたら、こんなイケメン一人もいなかった!と回答されました

 アニー役のミシェル・ウィリアムズが、ちょっと…おばさんすぎて、トムハのほうが年下に見えた。おばさんなのに、キャラもファッションも若作りしすぎ。日本のJKみたいなスカートはいてたし。アメコミ映画って、ナタリー・ポートマンとかエイミー・アダムズとか、ムダに大物女優がヒロインを演じることが多いのはなぜ。オスカー狙いの演技ばかりだと疲れるので、アメコミで息抜き?
 ヴェノムがすごくいい奴で、エディの恋の相談や応援をしてくれるのが微笑ましかったです。エディが寄るたびに強盗が現れる店も笑えた。エンドクレジットの後、エディがインタビューする獄中の殺人鬼役で、有名怪優が登場しますが。あれって、パート2への布石?

 ↑トムハは新作“Fonzo”で、痴呆症になった晩年のアル・カポネを演じてるそうです

 ↑インド系美男のリズ・アーメッドは、新作で現代版ハムレットを演じるそうです。楽しみ(^^♪
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イギリスおっさんずゲス不倫!

2018-11-15 | 欧米のドラマ
 イギリスのTVドラマ「英国スキャンダル セックスと陰謀のソープ事件」を観ました~。
 60年代のイギリス。議員のジェレミー・ソープは、厩舎で出会った青年ノーマンを愛人として囲う。情緒不安定が悪化し、それに辟易したソープに捨てられたノーマンは、ソープの母親や警察に二人の同性愛関係を暴露しようとするが…
 ヒュー・グラントとベン・ウィショー共演のイギリス版おっさんずラブです。同じおっさん同士の同性愛でも、ピュアな日本のオリジナルと違い、こっちはゲス不倫。男たちが繰り広げる欲望、打算、保身、恨みつらみ、といった人間の醜さが、イギリスらしいブラックでシニカルな笑いで描かれてました。

 日本でもちょっと前に、政界でゲス不倫が流行?しましたが、こっちは男女ではなく男同士ですからね~。スキャンダル度は格段に上です。実話というのにも驚かされます。殺人計画や裁判沙汰など、みんなまるでネタを提供するために騒いでるとしか思えませんでした。みんな大真面目で必死なところが、皮肉な笑いを誘います。ソープとノーマンのキャラ立ちした強烈な個性と言動が、とにかく驚異で愉快です。とにかく二人が、まるで競ってるかのようなゲスっぷり!どっちもゲスなんだけど、塩と砂糖ぐらい種類が違うゲス、というのが面白かったです。

 まずは塩ゲスのソープ。これぞ英国のエリート!な、スノッブで裏表がありすぎる政治家。常に他人をなめくさってる不遜な言動と思考回路、何でも自分の思う通りになって当然、自分に従うのは当然と思ってる傲慢さや、邪魔者や必要でなくなった者は虫けら同然扱いな薄情さ非情さなど、まさに人でなしの鬼畜。こんな政治家ぜったいイヤ!なんだけど、不思議と不愉快さとか怒りはほとんど感じません。常にひょうひょうとしてて軽やかなので、悪人には全然見えません。それはもう、ソープ役のヒュー・グラントがいつも通りの演技をしてるからでしょう。

 ズルくてスケベで軽薄なんだけど憎めない男役、はグラント氏の専売特許ですもんね。アメリカ人俳優だと演技が巧くても不快になるだろう役を、こんなにも笑える楽しいヒールにしてしまうなんて、グラント氏にしかできない芸当かも。困惑顔で毒を吐く、というグラント氏ならではの演技が今回も冴えてました。軽薄だけど教養ある育ちの良さそうな雰囲気、慇懃無礼な物腰も、ハリウッドのコメディスターにはないグラント氏の武器でしょうか。でもグラント氏も、すっかり爺さんになったな~。顔はもうシワクチャ。「モーリス」の美青年が、年月を経て再びBL、でもおっさんずゲス不倫なんて。自己軽視なセルフパロディ演技で、往年のファンをおちょくってるかのようなグラント氏の皮肉な人柄が、これまた極めてイギリス的ですね。

 そして、砂糖ゲスのノーマン。こいつがね~。ほんまソープじゃなくても始末したくなりますよ。底抜けのアホ?いや、実はズル賢い?どっちの面もクルクル見せて、ソープも視聴者も翻弄、困惑させまくり。悪人ではないけど、悪人よりもっとタチが悪いんです。ピュアすぎて融通がきかず、自意識が過剰で常に悲観的で精神不安定。虚言と被害妄想がはなはだしく、自分が不運で不幸なのは全部ソープや社会のせい、と思い込んでウジウジメソメソ、だけならいいけど、イヤ~な方法で意趣返しをしてくる攻撃性も発揮しまくるなど、弱々しい見た目に猛毒を秘めた害虫みたいな男なんですよ。多くの人に嫌われる反面、愛してくれる人も同じぐらいたくさん現れて、彼らの親切や情につけこみながら迷惑やトラブルを撒き散らして生きてる調子のよさに呆れます。

 そんなノーマンを、ゲイ役をやらせれば世界一のベン・ウィショーが大熱演!これほどまでにガラス細工でギザギザハートなオカマ心を表現できる役者、ベン子さんしかいません。ナヨナヨとクネクネしたキャマキャマしい仕草や歩き方が、堂に入りすぎ。目つきや喋り方がメンヘラすぎて怖い、けど、かなり笑えます。ビクビクおびえてるくせに、自分の身だしなみやいい男の目を常に意識してるところとか、国民カードへの固執など、かなりズレてて滑稽。ラストの法廷シーンでの、赤裸々すぎるセックス暴露や、女優かよ!なドヤ顔&ポーズも、ノリノリなベン子さんに喝采!少年のような肢体のベン子さんが着こなす、60年代の英国ファッションも目に楽しいです。とにもかくにも、メンヘラのオカマほどヤバい生物はないと思わせるベン子さんの怪演に瞠目!ヤバいメンヘラおかま役ながらも、その可愛らしく痛々しい風情で、ユーミンじゃないけど守ってあげたい~♪なベン子さん、魔性っぷりもハンパじゃないです。
 
 グラント氏とベン子は、冒頭に濃厚なイチャイチャシーン(ソープがノーマンをウサギちゃん♡と呼んで可愛がるのがキモ笑!)はあるものの、すぐに決裂しちゃうので一緒のシーンは少ないです。これが実話だということ以上に、これをテレビで放送できるイギリスという国に驚嘆です。露骨なゲイセックスシーンこそないものの、内容がエグすぎる。日本では絶対に制作不可能。同性愛が法律で禁じられていた、というのも今となっては信じがたい史実です。LGBTが犯罪か病気扱いされていた当時のイギリスでのゲイの生き辛さは深刻で、ゲスであると同時に哀れでもあったソープとノーマンです。

 あと、ゲス恋愛中にラブレター(現代だとメールや写メ)を送るのは軽率で危険。そして、恋愛後のアフターケアも怠ってはいけません。ソープがノーマンの国民カードを何とかしてあげてたら、あんな面倒なことにならなかったでしょうし。きれいに別れるのが肝要、でも難しい、とソープの不注意や手ぬかりを見ていて痛感しました。

 ↑ベン子さんの新作は、名作の続編「メリー・ポピンズ リターンズ」です
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リターン①~⑧ 上流社会のゲス殺人!

2018-11-11 | 韓国のドラマ
 韓流ドラマ「リターン 真相」の第1話から8話まで観ました~。

☆韓国といえば下品で凶暴な金持ち
 財閥の御曹司、イノ、テソク、ハクボム、ジュノをめぐる不穏で背徳な人間関係。4人の言動がほんと下劣で傲慢で乱暴で、こんなのが社会で通用してるなんてありえない!と日本人は思うけど、実際に韓国では財閥による非道いパワハラやモラハラが頻発して問題になってますよね~。まるで漫画かコントみたいな破天荒さで怖いと同時に嗤えるけど、やられるほうにとってはたまったもんじゃありません。上も下も、実に民度が低い韓国の社会に戦慄。言動のみならず、悪趣味なファッションセンスも韓国の金持ちならでは。

☆好きな女優、男優
 TVの法廷番組で人気の弁護士、チャ・ジャヘ役のコ・ヒョンジョンは、ハ・ジウォンと同じぐらい好きな韓流女優。いい女優ですよね~。「キツネちゃん、何しているの?」や「善徳女王」の彼女も素晴らしかったけど、今回も好演してます。優しそうだけど冷酷にも見えて、美しいけど男より強そう。日本のあざといブリッコ女優にうんざりしてるので、おばさんとか熟女という言葉が似つかわしくない、冷ややかに凛として心身ともに強靭そうなコ・ヒョンジョンが、ほんとカッコよく見えます。決して正義のヒロインではなく、何か企んでるようなチャ・ジャヘの謎めいたダークなキャラも好き。人もなげな御曹司たちも、彼女の前では弱っちいガキ、小物に見えてしまうのも痛快。チャ・ジャヘの、彼らを蔑み嘲笑う冷たい微笑も魅力的。

 事件を追う刑事トッコ役は、人気イケメン俳優のイ・ジヌク。彼に会うのは「エアシティ」以来かも?超久びさ。セックススキャンダルを起こしてしばらく謹慎してたんでしたっけ?このドラマが復帰作とか。相変わらずカッコカワイイですね~。童顔だけど男くさく長身でスタイル抜群!ちょっとコミカルな彼の演技が、陰惨で暗いドラマの中でいい感じのリリーフになってます。
☆ゲスすぎる
 金と権力に守られ、少年時代からやりたい放題な御曹司4人。口答えをしたキャバクラ嬢の頭をビンで殴ったり、不倫相手の女を便器呼ばわりしたり。不愉快だけど、ポリティカルコレクトネスの風潮にウンザリしてるせいか、容赦ないエグい描写には感嘆もします。もう日本のドラマでは絶対にありえない台詞や暴力シーンは、韓流ならではの魅力。

☆動く死体
 イノの愛人の死体を埋めるテソク、ハクボム、ジュノ。だが、死体は何者かによって掘り出され…あちこちに動かされ、それぞれの場所でずっとじっとしなきゃいけない死体演技、大変そう!
☆朝鮮の得意技といえば
 怖気づいて自首を決意、出頭しようとするジュノですが、テソクとハクボムの回し者によって白昼堂々、警察署の前で拉致されちゃいます。拉致なんて日常茶飯事なのか、大して騒がない韓国人。日本であれやったら、大事件ですよ。
☆警察も裁判所も人権無視
 大学時代に未成年の少女をレイプし捕まるハクボムとジュノ。警察署で性犯罪加害者と被害者が並んで取り調べなんて、ありえない~!さらに、レイプも無罪放免。司法も無法な韓国です。

☆神学校の教授!?
 ほとんど働いてないイノとテソクはまだしも、ハクボムが大学教授!ジュノが外科医!というのがビツクリです。あの暴力バカ男のハクボムが、いったい何を教えてくれるの?!学校でもパワハラ、モラハラしまくりで、あんな教授ぜったいイヤ!トンデモすぎて笑えるけど。
☆警察も変
 トッコの後輩刑事、ドンベがイモカワいい。結構好きなタイプかも。ドンベも挙動不審で、犯人に操られて捜査かく乱を手伝わされていた。あんなことしておいて、反省しただけでもうトッコと一緒に捜査してる。ええ~!?フツーならクビどころか逮捕されるでしょ。ドンベの実家の貧しさ、若い男の独り暮らし部屋がリアルでわびしすぎる。

☆降板!
 第8話で突然、チェ・ジャヘ役がコ・ヒョンジョンからパク・ジニに交代!撮影現場で女王さま化した大女優のコ・ヒョンジョンが、スタッフと大げんかしたのが降板の原因と噂されてますが…芸能界でもパワハラ、モラハラが横行してるみたいですね。いくらなんでも、ヒロインの途中降板は尋常じゃない。橋田スガ子センセイに耐えられなくなって朝ドラのヒロインを途中降板した安田成美とは、逆パターンのトラブルですね。役同様、性格もキツそうなところもコ・ヒョンジョンの魅力なので、すごく残念…
★総括
 すごく面白いです!今まで観た韓流ドラマの中でも屈指かも。強引すぎる荒っぽい展開も、あまり気にさせないほどの怒涛のストーリー展開に流されてしまいます。これほど次回が待ち遠しいドラマも久しぶり。ゲスすぎるシーンや台詞も魅力。日本でもこんなドラマ、作ってほしい!
 御曹司4人が私好みのイケメンじゃないのが最初は難でしたが、見慣れてくるとみんなチャーミングに。特にクールで狡猾なテソクが好き。4人の微妙な力関係も話を複雑に面白くしてます。
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ステキな鯉の忘れかた

2018-11-07 | カープ
 日本シリーズ惨敗に続いて、カープファンはまた悲しみに見舞われています。そう、丸のFA宣言です。ショックというより、やっぱり、とうとう、といった暗澹とした諦めを抱いてるカープファンがほとんどではないでしょうか。FAは選手の権利だし、丸の人生なのでトヤカクは言えない、前途を祝って明るく送り出したい、なんて偽善者のキレイごとです。活躍するようになるとホイホイと金満球団へ乗り換える選手たちを見送るたびに、ルーキーの時からあんなに一生懸命応援したのに…と悲しさと虚しさでやりきれなくなります。FAで人気選手流出はカープの宿命、ファンも慣れっこになってるとはいえ、やっぱ寂しいし、選手のカープ愛を信じるファンの純真な心も傷つきます。

 それにしても丸。日本シリーズでまったく仕事をしなかったのは、やはりFAのことで頭がいっぱいだったから?噂だと、もう家族は関東に引っ越してるとか。うう~ん…すでに心はカープから離れていたのですね。そんな選手、どこにでも行けばいいです。どこの球団に行くかなんて、もうどうでもいいです。でも、弱くなったくせに金だけはあるので、またFA選手を金にあかせてかき集めようとしてるGなんかに行って、大丈夫なの?これまでFAでGに行って、古巣にいた時より活躍した選手っていましたっけ?ほとんどがダメになってみじめな末路を迎えたような。丸はよっぽど自信があるみたいですね。監督復帰した原おじさんお得意の強欲FA強奪、手口が相変わらずですね。Gが弱くなったのは、育成を怠ったあんたのせいなのに。
 
 使えない選手、ダメになった選手へのGの冷酷さを考えると、カープで野球人生をまっとうしたほうが得だし幸せなのでは、と思うけれども、もうそんなことはどうでもいい。さよなら丸!もう未練がましく君のことを引きずったりしません。カープが弱くなる?それも上等!再び雌伏の時代が来ようとも、カープファンのために戦ってくれる選手を、これからも応援します!これからのカープを背負う有能な若鯉は、いっぱいいるし!ネクスト誠也として嘱望されている坂倉くんや、去年のドラ1で“広島県民の息子”中村奨成くん、そして今年のドラ1、甲子園で大活躍した報徳学園の小園くんは、かなりできる子らしいので大期待!ブサカワいい顔も魅力です。来季に想いをはせつつ、すっかりカープ疲れしたので、しばらくはカープから距離を置いて心を休めることにします♪

 ↑日本シリーズ惨敗、丸FAよりも衝撃的なことが、年内に起きそうな予感に怯えてる私です…
コメント (4)
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邪恋のイケメン神父

2018-11-04 | イギリス、アイルランド映画
 「ローズの秘密の頁」
 西アイルランドにある精神病院で、グリーン医師は40年以上も入院している老女ローズを診ることになる。戦時中に産んだばかりの赤ん坊を殺したという罪を否認し続けているローズは、グリーン医師に事件の真相について語り始めるが… 
 ダニエル・デイ・ルイスが最初のオスカーを受賞した佳作「マイ・レフト・フット」等の名匠ジム・シェリダン監督作品です。舞台も同じアイルランド。アイルランドといえば、やはり宗教問題と反イギリスを抜きには語れません。そのキ◯ガイじみた憎悪や混沌が、悲しいロマンスを通して描かれています。アイルランドの悲劇を映画で知るたびに、ああ今の日本に生まれてよかったと心の底から思ってしまいます。宗教問題や国際紛争とはあまり縁がない日本人からすると、何でそこまで激しく憎み合ったり傷つけあったりするのだろう、と理解できず暗澹となってしまいます。この作品でも、とても近代の話とは思えぬど無法でアナーキーなんですよ。村八分とかリンチ殺人が日常茶飯事みたいで、それに血道をあげてる様子が狂気的。そのエネルギー、もっと違うことに活かせれば、アイルランドも豊かな国になれたのでは…と思わずにいられませんでした。美しい自然以外何もない、金も学もない、ので差別や偏見で争うしかやることが他になかった、みたいな悲劇でしょうか。

 宗教って、人間を本当に救うのものなのかな~と、あらためて疑問を抱いてしまいました。この映画でも、宗教の名のもとで非道、極悪が横行。信仰を利用して、偉い人や教会が反抗的な者、都合の悪い者、気に食わないものを地獄送り。ローズも、不道徳な色情狂のヤリマンと見なされて、精神病院にブチこまれて制裁、拷問みたいな治療を強いられたりと、人権なんてないに等しいし。アイルランドの闇、深すぎます。自然はあんなにも清らかで優しいのに、住んでる人々のどす黒さ、狭量さときたら。ローズとマイケル、さっさと外国にでも逃げればよかったのに。

 事件は長い時を経て意外な展開、結末を迎えるのですが。ラスト近くはかなり急展開というか強引というか、トントン拍子すぎてご都合主義な感じが否めませんでした。グリーン医師の亡父が手紙を遺していたことを知らず、ちょっと探したらそれがひょっこり出てくるとか。40年以上も入院してたローズが、あっさり退院するとか。脚本、もうちょっと練られなかったの?

 ローズ役は、「ドラゴン・タトゥーの女」と「キャロル」で2度もオスカー候補になったルーニー・マーラ。一見おとなしそうだけど過激で大胆な役や演技で魅せる彼女ですが、今回は別に彼女じゃなくてもいいようなヒロインでした。日本の女優でもできそうな役は、彼女にはもったいないです。でも、今まで見た彼女の中でいちばん美人だったかも。それにしても。ローズみたいに、その気は全然ないのに勝手に男たちが寄ってくるモテ女って、ある意味不幸で気の毒。
 この映画を観たのは、ゴーント神父役のテオ・ジェームズ目当てです(^^♪

 ローズに邪恋し、ストーカーのようにつきまとい、彼女を陥れる卑劣なイカレ神父役なのですが、これがもしブサイク男優だったらもう気持ち悪くて不愉快なだけになるところを、テオみたいなイケメンだと狂おしい片想いにもがく可哀想な男、に見えちゃって萌え萌え♡好きだけど信仰と男尊女卑思考のせいで、素直になれず上から目線な態度をとってしまう、でも気遣いたい、優しくもしたい、という不器用なツンデレ神父なテオが、めっちゃ可愛かったです。ローズを監視するテオの鋭くもジト~っとした嫉妬の目が素敵でした。あの役には、無駄にイケメンすぎるテオでした。

 老ローズ役は、英国の大女優ヴァネッサ・レッドグレイヴ。ルーニー・マーラとは似ても似つかないのが気になったが。ローズと恋に落ちるマイケル役のジャック・レイナーも、テオほどのイケメンではないけど私が好きなタイプの風貌。ちょっとクリス・プラットっぽくてイケてました。ローズに恋する村の青年役は、TVドラマ「ポルダーク」でファンも多いエイダン・ターナ。なかなかの美形ですね。グリーン医師役は、久々に見たエリック・バナ。彼もいい男。精神科医にしてはガタイがよすぎですが。テオを筆頭に、メインキャラがみんな男前なイケメン映画でした。

 ↑ テオの新作「バグダッド・スキャンダル」が近日日本公開

 ↑HUGO BOSSのモデルも務めているテオ、セクシイすぎてジュンときます♡
コメント (2)
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