まつたけ秘帖

徒然なるままmy daily & cinema,TV drama,カープ日記

悲しきシングルライダー

2018-09-30 | 韓国映画
 またまた台風来襲!もうほんと、カンベンしてほしいですよね~…日曜日、広島でも恐怖の暴風雨。映画に行く予定だったのに、それどころではなくなってしまいました外はゴーゴー暴風が吹き荒れてるのに、老いた両親が急に肉まんが食べたいと言い始めました。土曜日は飲み会があって車を会社に置いてきてたし、不要不急の外出はダメとわかってはいたのですが、長年パラサイトしてるという負い目、弱みのある私は、これ以上親不孝してはいけないと思い、決死の覚悟で嵐の中、歩いて1分のコンビニへ向かったのでした。雨はそれほどではなかったのですが、風がスゴかった!当然ひとっこ一人歩いておらず、傘なんかまったく役に立たず、隣町まで飛ばされそうになりながら、命からがらの往復。命がけで買った肉まんを、父母は特に美味しそうな様子も見せずペロっと食べました。

 話はガラッと変わって。西武ライオンズ、優勝おめでとうございます!試合には負けての優勝は、ちょっと冴えない感じでしたが、ナニハトモアレめでたいめでたい源田くんがいっぱい見られてすごく嬉しかったです。セ・パのCSファイナルが楽しみですね!チケット抽選、当選しますように☆彡

 「エターナル」
 証券会社の支店長カン・ジェフンは、会社が起こした不良債権事件で全てを失う。事件後、妻子を住まわせていたオーストラリアに、ジェフンは姿を現すが…
 大好きなイ・ビョンホン主演作。別れた妻子への愛執にかられ、狂気のストーカーと化す男の役なのかなと楽しみにしてたら、ぜんぜん違ってましたコワレた人の役も得意なビョン吉さんなので、キモ怖い中年男の役を演じてほしかったです。尾行、のぞき、不法侵入するビョン吉さんですが、キモくはなく静かにそこはかとなくヤバい人、でも深い悲しみをまとっているミステリアスな男、といった感じです。

 台詞が少なく、表情も動きもかなり抑え気味な役なのですが、もし凡百な俳優だったらただ突っ立てるだけか、ぼんやりしてるだけかになってたところを、さすが韓流随一の千両役者ビョン吉さん、あの美しい瞳が1000の言葉よりも饒舌に喜怒哀楽を語ってるのです。観る者を惹きこむ力は、相変わらず強力です。でも、見た目も演技も、ひょっとしたらビョン吉史上もっとも地味かも。いつもの色っぽくて男くさくてカリスマなビョン吉を期待すると、かなりガッカリするのでご注意を。かなり窶れて老けて見えます。人生に疲れた孤独な中年男の役なので、カッコよさを封印してたのは当然だとしても、やっぱ男汁ダダ漏れな男前ビョン吉に会いたいんですよね~。

 なかなかジェフンが妻子と接触せず、妻子もジェフンに気づかず、まるで空気みたいな存在なジェフンに、ん?と思いつつ、よほど鈍い人でないかぎりは、あ!そーいうことか!と早い段階で真相を察知するでしょう。私もすぐに気づきました。最後まで解からないままでいるほうが、映画ファンとしては幸せです。え!うそ!衝撃!でラストを迎えるほうが、断然お得ですもんね~。

 英語を習得させるため、妻子だけ海外に住まわせるって、韓国ではよくあることなのでしょうか?仕事にかまけて、ずっと妻子をほったらかしにしてたジェフンも悪いけど、海外で現地男(寝たきりの妻がいる)といい仲になってる妻もどうなんでしょう。ジェフンと別れて現地男を選ぶのかと思いきや、ジェフンをオーストラリアに呼ぼうと計画してたとか、何か言動と思考回路が意味不明でした。ジェフンにも現地男にも、どう説明するつもりだったの。妻役は、「乾パン先生とこんぺいとう」でコン・ユに、「ありがとうございます」でチャン・ヒョクに、そして今回はイ・ビョンホンかよ!と、いい男たちから愛される分不相応なモテっぷりが納得できない許せない、阿部サダヲ似?の女優(名前忘れた!)でした。
 オーストラリアロケが、あまり活かされてなかったような。コアラもカンガルーも出てきませんでした。あと、韓国といえばのお馴染みの光景である、金を騙し盗られて錯乱する人々の浅ましい姿。まるでイタコ状態。怖い!半狂乱で嘆いてますが、ぜんぜん同情できないんですよね~。貧乏人が楽して儲けようとするからだよ。美味しい話に安易に飛びついたら、ろくなことにならないのです。

 ↑「天命の城」に続くビョン吉さんの日本公開映画は、兄弟愛を描いた「それだけが、僕の世界」です。久々のTVドラマ「ミスター・サンシャイン」の日本放送も楽しみですね
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てっぺんまでついて鯉!

2018-09-26 | カープ
 カープ、ついに三連覇!!!
 なかなか優勝のゴールテープが切れず、かなりヤキモキさせれましたが、やっと歓喜の瞬間を迎えることができました嬉しさに興奮、というより、何だかホっと大きな安堵を得た感じです。広島は今、お祭り騒ぎです。
 ホントなら今年はDeNAに胴上げを見せつけるはずだったのに。敵ながら見事にカープの優勝を阻止したベイスターズに、ヤクルトもまた続くのではなかろうか…という不安とヤな予感は、カープファンの誰もが抱いていたことでしょう。カープの先発は九里。大事なゲームで九里?!ポカスカ打たれるのが目に浮かぶ!序盤で10点ぐらい獲っとかんと勝てん!貧打になってる今の野手にそれは無理!こりゃまた優勝おあずけじゃわ~と、私の周囲では半ば諦めモード。しかし…

 ↑魂のピッチングを見せた九里。やればできる子じゃん!ダメ選手呼ばわりしてゴメン!
 仕事中だったので、前半はTV観戦できなかったのですが、九里の好投と一気に5点をもぎ獲った打線爆発の情報に職場は大興奮。でも、家路についてる途中で逆転されてるかも!何せ九里だし!と、どこまでも九里を信じてない私でしたが、驚くことに九里はヤクルトに得点を許さず、彼らしからぬ?あまりピンチを作らない快投を続け、ヤクルトのダメっぷりも手伝って、カープ打線も快音を響かせ続け、早くから今夜の優勝決定を確信させてくれました。

 ↑セイヤの気迫のこもったヘッドスライディング、カッコよかった~
 気づけばヤクルト無得点でカープ10点の大差。思えば今年は、巨人とヤクルトがカモになってくれたおかげで、カープは独走できたようなもの。特にヤクルトは、DeNAに負けても優勝、という盛り上がりに欠ける事態からカープを救うように中日に連勝し、カープにはきっちり負けてくれて、カープが勝利で優勝という最高の舞台をおぜん立てしてくれました。本当にありがとう!お礼に明日はミルミル買って飲みます!

 いつもは5回ぐらいでポカスカ打たれてトホホ!な九里が、何と8回まで無失点で投げ、ラストの中崎に運命を託しました。中崎もいつもは胃痛なピンチを招くのに、今夜はスパスパとヤクルト打線を斬り、ラストの山田哲人を三振に抑え、カープ優勝!

 おめでとう、本当におめでとう!そして、ありがとう!今年は広島にとっては、とても辛く悲しい年になったけど、カープの頑張る姿には本当に励まされました。
 優勝のビールかけ。監督や選手の普段見られないハイテンションなキャラ変が楽しい。みんなはしゃいでるけど、一昨年・去年に比べると、慣れたのか落ち着いた感じがしました。ビールかけされてる間のインタビューも、はしゃいでるけど浮かれてなくて、みんなかなり優等生コメントだったのが、ちょっと物足りなかったかも。

 最も注目されてたのは、やはりこの人。引退を発表した新井さん。みんなからの愛されっぷりがハンパない様子や、いちいち面白いコメントや表情にほっこり。CSと日本シリーズで、最高の花道を飾ってほしいですね。

 いっちー可愛い!もう顔だけでいろいろ得してますよね~。顔だけでいろいろ損してるGのブサキング田口とかとはまさに真逆。3発連続HR打たれたりとか、おいおい~なこともあったけど、もう二度と繰り返したりはしないでしょう!インタビューに答えてるいっちー、すごい美声!いっちーに絡んできた菊池が、酔っ払いのおじさんみたいで笑えた。

 きゃー♡大瀬良くんズムスタでの優勝の歓喜の輪の中に、なかなか大瀬良くんの姿を見つけられず、目をかっぽじって彼の姿を探しました。いないわけないですよね。何せ最多勝投手、今やカープのエースの彼なのですから。当然のように、優勝記者会見メンバーにも選ばれ、相変わらず謙虚で優しい受けごたえに胸キュン♡

 ↑あ~わしも大瀬良くんにぶっかけられたい~♡
 ぜんぜん貢献してないのに、シレっと今年もビールかけに参加してた堂林。イケメンすぎて、悪い意味でも目だってしまうんですよね~。姿がなかった薮田とか福井とかが気になった。特に薮田、去年の大活躍を思うと今の転落ぶりが切ない。SNSでおかしな発言をして問題になったり、彼のメンタルも気がかり。
 勝利の美酒に酔うのは今夜だけ!明日からまた、再びの栄光に向けて死闘が始まります!CSはどこと闘うことになるでしょうか。ドベに沈んでたDeNAが、カープに連勝して勢いづき、再び浮上してきてるのが不気味。去年の悪夢再び、何てことになりませんように!どこが向かってきても、死力を尽くして戦うのみ!頑張れ!わしらのカープ!
 
 大瀬良くん、絶対に日本シリーズにわしらを連れてってや~!大瀬良くんVS西武の源田くんの対決が見たい!
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ハンサムポートレイト

2018-09-25 | 北米映画 15~21
 何かもうトホホを通り過ぎて苦笑いですわ~。カープ、今夜も優勝おあずけ!!
 今年もぶっちぎりで首位独走、他球団を大きく引き離したまま鮮やかに三連覇を決める、はずだったのですが。信じられない足踏み状態に陥ってます。思えば新井さんの引退発表を機に、あれよあれよと失速。こんなんじゃ優勝してもCSまた負ける…という不安は、DeNAに優勝を阻まれてどんどん増大していってますでもいったい、ほんとどーしちゃったのカープ。投手のダメダメぷりは目を覆いたくなるものがあるけど、野手にもそれが伝染しちゃったみたい。昨日、今日の失望は甚大で、広島は今ザワついてます。
 それにしても。カープの弱体化を嘆くと同時に、ここにきての他球団の、何としてもカープの優勝を阻む!遅らせる!という最後っ屁のような執念に感嘆せずにいられません。目の前優勝を阻止したベイスターズの意地も、連勝したヤクルトの強さも、そして中日の弱さも、まるで一致団結のようなカープへの報復みたい。カープファンを胃潰瘍にさせるほどヤキモキさせることで、せめてもの溜飲をさげているかのようです。
 昨日も今夜も、カープが負けてもヤクルトも負ければカープが優勝してたのですが、そんなのはやっぱ引っかかりが拭えず、盛り上がりに欠けるので、やっぱ一昨年や去年のように勝って優勝してほしい!ファンの気力も限界に近いので、明日!文字通り三度目の正直で、気持ちよく歓喜の瞬間を迎えたいです。今年はヤクルトに目前胴上げの屈辱、というおハチが回ってきました。ベイスターズとベイファンは、さぞかしホっとしてることでしょう。明日こそと信じてはいますが、ひょっとしたら…ズルズルと優勝できないヘビの生殺しが続くかも…カープよ、そんなじらし要らないから!明日こそお願い!!

 「ジャコメッティ 最後の肖像」
 1964年のパリ。アメリカ人美術評論家のジェームズは、高名な彫刻家ジャコメッティに頼まれ彼が描く肖像画のモデルとなる。ジャコメッティの遅々として進まない筆とエキセントリックな言動に振り回され、ジェームズは何度も帰国の延期を余儀なくされることになるが…

 「君の名前で僕を呼んで」での好演が高く評価されたアーミー・ハマーが、またまた男と深イイ関係になる役!今度はおっさんずラブだ!といっても、精神的な愛、友情+α程度のBLです。セックスやキスどころか、肉体的な接触はいっさいありません。男同士の友情を逸脱した言葉などもなし。BLとは言えない関係かもしれないけど、ジェームズをすっかり気に入ってモデルを強制、ベッタリ離さず帰国もさせないジャコメッティと、そんな義理はないのにジャコメッティの言いなりになって困惑しつつまんざらでもなさそうなジェームズは、世代を超えた男同士の友情と言うにはかなり異質な関係に映りました。仲良く散歩してる姿やカフェで飲んでる姿は、どう見ても爺のパトロンと若いツバメでしたし。

 そこはかとなくゲイの匂いを漂わせるアーミーasジェームズでしたが、それもそのはず、ジェームズはニューヨークで彼氏が待ってるゲイだった!君僕名や、レオナルド・ディカプリオのパートナー役を演じた「J・エドガー」など、実際には奥さん子どももいる異性愛者であるのに、ゲイの役を巧みに魅力的に演じることができるアーミーは、やはり美しいだけの俳優ではありません。すっかりゲイ役がオハコになってしまった感がありますが、今後もBL路線は続けてほしいものです

 ゲイの雰囲気だけでなく、アメリカ人俳優には珍しく育ちの良さそうな上品さも、アーミーの魅力でしょうか。今回は評論家役なのですが、どう見ても良家の子息。成金セレブではなく、かといってイギリスの貴族とも違う、アーミーのアメリカンなハイソさは、同じような持ち味の俳優がいない独特さを誇っています。ガツガツ仕事してる様子が全然なく、何となく悠然としてる感じとか、ドタバタしてる周囲の人々への優しさとか。ホテルでのくつろいでる姿、趣味のよいスーツやコートなど、どんな役でも生粋のお坊ちゃまの実態を隠せぬアーミー、もう貧乏人役はできないかも。アップに耐える端正な顔、どこにいてもガリバー状態な長身など、身体的にも恵まれすぎなアーミーです。なにげないポーズや仕草も、ナルシーじゃないのにカッコよかった。絵のモデルになってるシーンで、椅子に座ってるアーミーなのですが、あまりにも顔が小さくて足が長いせいか、何かちょっとフツーの人とは違う形態になっちゃってるように見えた。

 どんなにわけのわからんことをしても言っても、みんなに許してもらえるジャコメッティのわがまま爺ぶりや、彼とジャームズのちょっと噛み合ってない会話など、クスっと笑えるコメディタッチの映画になってます。ジャコメッティ役は、「シャイン」でオスカーに輝き、「パイレーツ・オブ・カリビアン」シリーズのバルボッサ船長役でお馴染みの名優ジェフリー・ラッシュ。ぜんぜん悪気はないけど超迷惑なマイペース、でも何か憎めないジャコメッティを、セカセカとチョコチョコと忙しそうに演じてました。ジャコメッティの自宅兼アトリエが、ボロ廃屋風だけど何かオシャレでした。街並みや墓地、カフェやレストランなど、パリが雰囲気よく撮られてました。「プラダを着た悪魔」や「スポットライト 世紀のスクープ」などで知られるバイプレイヤー、スタンリー・トゥッチの監督作品です。

 ↑イケメン白人って結構うろうろ歩いてますが、このレベルはまずお目にはかかれません。君僕名の続編が楽しみ!
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呪いの少年

2018-09-23 | イギリス、アイルランド映画
 「聖なる鹿殺し キリング・オブ・ア・セイクリッド・ディア」
 医師のスティーヴンは、自分のミスで死なせた患者の息子である16歳の少年マーティンを気にかけ親身に接していた。しかし、自分と家族に近づきすぎるマーティンを、しだいにスティーヴンは疎んじるように。そんなスティーヴンに、マーティンは不吉で不気味な予言を告げる。それは現実のものとなり…
 奇妙でユニークな佳作「ロブスター」のヨルゴス・ランティモス監督作品。カンヌ映画祭で脚本賞を受賞するなど、前作に続いて高く評価されました。この作品もロブスター同様、なかなか面妖で珍奇でした。意味不明、不可解なシーンや展開なのですが、何でこーなるの?!どうなっちゃうの?と、予測不可能さととんでもないことが起きそうな期待で惹きこまれてしまいました。私のような低能で感性が鈍い者には解からない意味やメッセージが、きっと隠されているのでしょうけど、ゲージュツ映画を気取った鼻につく高尚さはなく、面白いワケワカメさが魅力になってます。

 静かで淡々とした中、うっすらと神経に障る不気味さ、不穏さが不協和音のように漂っていて、落ち着かない気持ちにさせる。そんなイヤミスな感じは、ぜんぜん作風は違うけど何となくミヒャエル・ハネケ監督の作品とカブります。冷たく息苦しく鬱々しいハネケ監督と違って、この映画は病院やスティーヴンの邸宅など、白々しいまでに明るく清潔な空間と色彩で、それによって返って不気味さや不安感、違和感が浮き彫りに。

 マーティンの予言(呪い?)が、まるで真っ白なシーツに落とされた血がシミになってじわじわと広がっていくように、静かにゆっくりとスティーヴン一家を浸食していく展開は、ほんと???の嵐なのですが、こうなのかな?ああなのかな?と想像をかきたてられ、判断を委ねられる面白さが。こんなのおかしいだろ!なんてツッコミを入れるような映画ではありません。とにかく、マーティンが怖い!キモい!ヤバい!

 まさに呪いの少年マーティン。顔を見ただけで呪われそう。呪いもだけど、呪う前のスティーヴンへのストーカーみたいな言動も、かなり不快指数が高くて気持ち悪かった。なぜかコソコソと密会でもしてるみたいに会うスティーヴンとマーティン、まるで援助交際カップルみたいな怪しさも薄気味悪かったです。二人が美形だったら、さぞや腐を反応させたでしょうけど。オーメンの悪魔の子ダミアンみたいな存在なのに、ずっと礼儀正しく人懐っこい良い子キャラなところも、マーティンの不気味さ、怖さ。マーティンの呪いは、父を殺された恨みからというより、慕っていたスティーヴンに冷たく拒絶されての愛憎から?マーティンのいきなりの自傷行為とか、ラストのスティーヴンの悲惨すぎる決断と決行とか、うげげ?!何で?!と、恐怖とか絶望を通り越して、お口ポカ~ン、そして笑ってしまうシュールさでした。ロブスターと同じく、この映画もシュールなコメディと言えるでしょうか。
 スティーヴン役は、大好きなコリン・ファレル「ロブスター」に続いてのランティモス監督作主演です。

 ロブスターほどではないけど、今回のコリンもかなりでっぷりと恰幅がいいおっさん風貌です。でも、よく見ると肌とかまだ若くて、おなじみの悲しそうな表情とか、美しい瞳とか、どんな役、どんな見た目になっても魅力は不変。コリンはもうハリウッドの大作よりも、ヨーロッパの鬼才、俊英監督の個性的な小品のほうが魅力と実力を発揮できることが明白。これからもユニークな映画に出演して、味わい深い役者に成熟してほしいです。
 スティーヴンの妻役は、コリンとは「ビガイルド 欲望のめざめ」でも共演してたニコール・キッドマン。相変わらず美しいけど、コリンよりは明らかに年上。異常とか奇怪といった言葉が似合うニコキさん、この映画でももうそこにいるだけで怖い、フツーじゃないです。大胆すぎるヘアヌードとか、色気とかエロさなどは微塵もなく、そこはかとなくグロテスク。きれいなだけの女優は絶対やらない、できない演技を平然とクールにしてのける怪女優ニコキさんが好きです。
 この映画はやはり何と言っても、マーティン役のバリー・コーガンの怪演。「ダンケルク」でも、何この子?!顔がヤバい!と思ったけど、今回はそれがよく活かされた役で、もうハンパないインパクトです。ほんと気持ち悪いです。たまに森三中の大島に似て見えたのは私だけ?観客まで毒されそうになるほど、関わる人をみんな不幸にする猛毒カルマでした。ほんとなら演技も上手なイケメン、美少年俳優が理想なんだけど、独特すぎる世界観にはやはり、それに相応しい独特すぎる俳優が必要なんです。

↑この頃のコリン、神ってるカッコカワイさでしたわ~。おじさんになった今も、もちろん素敵です。アンソニー・ホプキンス共演の「ブレイン・ゲーム」が近日日本公開。デンゼル・ワシントンがオスカーにノミネートされた「ローマンという名の男 信念の行方」は、日本では劇場公開されずDVDスルー。ダンボの実写版や、スティーヴ・マックイーン監督の新作“Widows”、メル・ギブソン共演作品など、新作目白押しな働き者コリンです

 ↑ギリシャ人のヨルゴス・ランティモス監督、なかなかの男前さんではないか。エマ・ストーンを主演に迎えた最新作の時代劇「女王陛下のお気に入り」は、ヴェネチア映画祭で大絶賛され、来年のオスカー最有力との呼び声も高い傑作だとか。日本公開は来年2月!早く観たい!
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私、女優なんだから!

2018-09-21 | 日本映画
 「Wの悲劇」
 劇団員の静香は、舞台「Wの悲劇」で看板女優の羽鳥翔が演じるヒロインの娘役のオーディションに落ちるが、ホテルで愛人が急死という事態に陥ったた翔に、スキャンダルの身代わりになってほしいと頼まれる。その見返りに、娘役をやらせてあげると言われた静香は…
 薬師丸ひろ子が最後に主演した角川映画。ひろ子の演技はアイドルを脱皮したと高く評価され、彼女が歌う主題歌「WOMAN ~Wの悲劇より~」もヒットし、女優としても歌手としても代表作となりました。
 
 初めてこの映画を観た時は幼かったせいか、そんなに面白いとは思えなかったのですが、年老いた今あらためて観ると、カルト的な人気がある理由が理解できるように。ひろ子のアイドル映画であると同時に、女という怪物を魅力的に楽しく描いてるんですよ。とりわけゲイの人たちから支持されているそうですが、それは男に媚びた気持ち悪い可愛さや、女に媚びたインチキくさいカッコよさではなく、ヒロインたちの女のイヤらしさや怖さやズルさ、そして強さが、これぞ女の真実!やっぱ女はこうでなきゃ!な魅力となって、彼らにアピールしてるからではないでしょうか。そして、女優といえば女の中でもとりわけ強烈な業を秘めた生き物として、古くから映画やドラマ、小説や漫画で人気を誇っています。この映画が人気なのも、そんな女優の大暴れが楽しいからではないでしょうか。

 女優って、やっぱ鋼のメンタルと燃える野心、ズル賢さがないと大成しない職業なんだろうな~と、静香と翔を見ていて思いました。お人よしには絶対ムリな仕事でしょう。いま人気のあの女優たちも、清純ぶったてり善い人ぶってたりするけど、ホントは静香や翔みたいなんだろうな~。静香なんか、20そこそこの小娘なのに、かなり冷酷で打算的な野心家の食わせ者ですもん。フツーの精神、常識の持ち主なら、いくら舞台で大役がもらえるとはいえ、あんな取引に応じることなどできないでしょうし。腹上死したおっさんの死体の前で身代わり役になりきる準備してる姿とか、とても嘘八百とは思えぬ記者会見での大熱演など、肝が座りすぎでしょ。静香、北島マヤも真っ青な天性の女優ですよ。

 普段は大物女優らしからぬ気さくな善い人なのに、おのれの女優生命がかかった危機には、なりふり構わず冷酷、狡猾になる翔も、これぞ女優!なキャラでした。静香に役を与えるため、娘役を好演してた新人女優にイチャモンをつけ始め、無理やり降板させるとか非道すぎて笑えたわ。劇団関係者の前での静香擁護シーンなんか、まさに舞台での熱演みたいでした。どんな犠牲も厭わず、他人を蹴落とすことなど朝飯前になってしまうほど、舞台に立つこと、喝采を浴びることには魔力のような魅力があるのですね。

 静香役の薬師丸ひろ子は、すごく可愛いです。今のみんな同じに見える、いくらでも替えがきくアイドルたちと違って、何もかもが独特で個性的。やっぱ声が好きです。アイドル全開の可愛いコぶりっコ演技なんだけど、静香のしたたかで豪胆なキャラのおかげで、気持ち悪くないです。銭湯に浴衣姿で行くのが、不自然すぎる可愛さ演出で笑えた。翔役の三田佳子は、もう一人のヒロインといっていいほど。生活感など微塵もないオーラ、華やかな美熟女ぶりは、まさにザ・女優。翔は、女優なら演じてみたい美味しい役なのでは。数々の助演女優賞を受賞し、ひろ子以上に絶賛された三田さんにとっても、この映画は代表作となりました。

 静香と翔に役を奪われる新人女優役は、今は何だかエラソーなコメンテイターおばさんになってる高木美保。すごい美人で、意地悪そう。舞台から引きずり降ろされてもを同情できないヤな女役、適役でした。静香に恋する青年役の世良公則が、ちょっとミスキャスト。世良さんカッコいいんだけど、あんなアホみたいなピュア男役、似合わんわ~。あと、静香の記者会見シーンで、本物の芸能レポーターが出演してます。故梨本さんとか、福島翼さんとか、懐かしい顔ぶれ。舞台演出家役の故蜷川幸雄が、セルフパロディ演技。物語とシンクロする舞台の演出は、蜷川氏が担当したとか。 
 この作品といえば、映画史に残る名台詞の数々。特に静香の『顔はぶたないで!私、女優なんだから!』は、ギャグして今なお愛用されています。翔の『女優、女優、女優!』も、言ってみたい台詞のひとつです。主題歌の「WOMAN ~Wの悲劇より~」だけでなく、ひろ子が歌う映画主題歌はどれも名曲なので、未見の「探偵物語」や「メイン・テーマ」、「紳士同盟」とかも観たくなってきました♫
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サメっ子メグちゃん

2018-09-18 | 北米映画 15~21
 「MEG ザ・モンスター」
 レスキューダイバーのジョナスは、深海で謎の生物に襲われた調査船から乗組員を救出するが、それは絶滅したはずの巨大サメ・メガロドンを解き放つことになり…
 久々の映画館鑑賞(^^♪やっぱ映画は映画館で観るのがいちばんですね!
 凶暴な巨大生物、怪生物映画の中でも、鉄板中の鉄板ネタといえば、やはりサメですよね~。スピルバーグ監督の大ヒット作「ジョーズ」以降、人類は数え切れないほど映画の中でサメに襲われてきましたが、そのほとんどがB級トンデモ映画。最近では、ビーチの土中から飛び出してきたり、空から降ってきたり、ロボットになったり宇宙に現れたりと、手を変え品を変えなナンデモアリさが加速してます。そんなサメ映画なんて、意識高い系の映画ファンには映画扱いされていませんが、私は大好きなんです。人間が食いちぎられる映画なのに、怖がらせる意図なんか全然なくて、思いっきりウケ狙いなお笑い映画ばかりなのが好ましい。この最新サメ映画も、そんなおバカ映画でした。

 とにかく極上のアホらしさ、チープさで、名作や傑作ばかり追いかけて疲れてしまった心には、優しく安らぐ映画でした。伝説の古代巨大サメ、メガロドンが暴虐のかぎりを尽くす内容なのですが、確信犯的にツッコミ待ちなシーンと展開だけで成り立ってるんですよ。私が特にプっと吹いたのは、まるでお約束ギャグのように、メガロドンに追突された船からみんなが何度も海にドボン、の繰り返し。まるで吉本新喜劇みたいだった。ラスト近くの海水浴場をメガロドンが襲うパニックシーンは、往年のコテコテ香港コメディ調で笑いとともにノスタルジー。船上結婚式での花嫁のペット犬、ピピンちゃんVSメガロドンも笑えた。

 ↑ サメに襲われても緊張感が希薄で、何だか終始楽しそうだった皆さん。ジェイソン・ステイサムの笑顔が素敵♡
 この笑いのテイストって、何だか懐かしい感じがする…と思ったら、納得!この映画、「グレート・ウォール」みたいに表向きはハリウッド映画、実は中国マネーでできてる映画なんですよ。西洋人のほとんどがバカでセコくて無残に食い殺され、中国人のほとんどが賢く勇敢という登場人物設定といい、中国人科学者が仕切る海洋研究所、中国のリゾート地、という舞台設定といい、中国色が濃厚です。中国への忖度が甚だしいです。サメ撃退チームに女性メンバーが多く、人種も白人だけでなく黒人もアジア人も万遍なく配され、おまけに愛らしい子どもも活躍(全然いなくてもOK、むしろ何でいるの?な不自然な存在だった)したり、人食いサメ映画なのに残虐なシーンがほとんどなかったり、いろんな方面への忖度だらけな映画でした。
 主人公のジョナス役、ジェイソン・ステイサムがカッコよかったです。

 今やヴィン・ディーゼル、ドウェイン・ジョンソンと並ぶスキンヘッドアクションスターBIG3の一人。今回も無双のイケハゲっぷりでした。サメなんかに彼が負けるわけがない、という安心感がハンパないせいで、危機一髪のスリルがほとんどない超人的に強く、ニヒルで俺様な野郎だけど、実は情にもろいといういつもの役。子役との微笑ましいからみは、「ワイルド・スピード ICE BREAK」の彼を思い出させます。そのうちきっと、本格的に子役を相手にしたコメディとかに出ますよ。海に飛び込む時のフォームがすごく美しい!それもそのはず、ステイサムって元飛び込み選手だったんですね!

 本当に強そうで、やくざやヤンキー役なんかしてスゴんでも全然怖くない日本の人気俳優なんか、指先ひとつでダウンですよ。でも笑顔がすごくきれいで、きっと実際の彼も善い人に違いないと思わせます。女科学者に風呂上がりの上半身裸を見られる、という無駄脱ぎサービスシーンもあり。50過ぎであのカラダはお見事の一言です。
 その他のキャストは、日本人役のマシ・オカ以外は知らない人ばかりで、ギャラも安くすんでました。ジョナスといい感じになる中国人の女科学者役の女優は、美人でしたがどんな時もメイク、ヘアスタイルがバッチリで崩れないところが失笑ものでした。
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おやじの海

2018-09-16 | フランス、ベルギー映画
 お松のフランス映画祭⑥
「海へのオデッセイ ジャック・クストー物語」
 海軍を退役したジャック・クストーは、調査船カリプソ号による海洋調査で世界的な名声を得る。しかし、事業の拡大で会社運営の資金繰りに困るようになり、妻のシモーヌや息子のフィリップとの間にも溝が生じ始め…
 引き続きピエール・ニネ出演作。WOWWOWで放送されました。期待してたほどラインナップが充実してなくて(名探偵コナンの映画を、全シリーズ毎月垂れ流しとか)ガッカリすることが多いWOWWOWですが、たまに観たかった日本未公開作品が放送され、この映画もそのひとつ。日本で観られるニネっち出演作の中では、これが今のところ最新作かも。

 可愛くてスマートなイケメン路線から、最近のニネっちは脱却を試みてるみたいで、この映画はその皮切りになっています。この作品以降、軍人や消防士など役も見た目もマッチョ化しており、たくましく頼もしい大人の男へと変貌しているニネっちです。男らしいニネっちもトレビアンですが、焦ってイメチェンしなくてもいいと思うんだけどな~。カッコカワイい彼が好きだから。でも、おじさんになってもアイドルしてる気持ち悪いタレントと違って、ニネっちは骨の髄まで役者。常に進化と挑戦をしてるのです。

 ニネっちの“漢(おとこ)”宣言となったこの作品、見た目も役もかつてないほど男らしいニネっちに会えます。危険をものともしない勇敢で大胆な姿や、仲間との取っ組み合いのケンカなど、熱いタフガイを演じてるニネっちが新鮮。字幕で“俺”になってたのも初。もじゃもじゃヒゲ面、日焼けした筋肉質な上半身裸もワイルドで精悍で、これまでのキレイな優男というイメージを覆す風貌も、ファンには驚喜です。

 男らしいニネっちですが、やっぱどこか優美で洗練されてて、むさい野郎っぽさなどは微塵もありません。ダイバー姿もパイロット姿も、惚れ惚れするほどスマートでエレガント。恋人とのラブシーンでの優しさ甘さなどは、まさに詩的な雰囲気。パリにいる時の50年代ファッションも小粋で、やっぱハリウッドや日本のイケメン俳優とは違う、フランスの香り高いニネっちです。両親思いの優しい息子、高い志をもったエコロジー活動家のフィリップ。美男で善人だなんて、悪いところがひとつもない役が、これまた似合うんですよね~。どんなに美形でも、どんなに演技が巧くても、性格が悪くて根性が汚い俳優がフィリップみたいな役を演じると、絶対インチキくさい、作り物っぽさが滲み出るんですよ。その点、ニネっちは本当に人柄の善さが役にマッチしてるんですよね~。逆に、悪役やセコい役ができないというデメリットも抱えてるニネっちですが。

 主人公のジャック・クストーを演じたランベール・ウィルソンも、これまた素敵な美熟年!まさに男性の理想的な年齢の重ね方をしてるのでは。おじさん、いや、もうおじいさんなのに、爺くささが全然ない。今でもカッコよくて色っぽい。60過ぎとは思えぬ引き締まった肉体にも驚嘆。明るく天衣無縫、一緒にいたら苦労はするが楽しいだろうな、なクストーを軽やかにチャーミングに演じてました。若かりし頃の美青年な彼も麗しかったけど、現在のエレガントに成熟したおじさまな彼もイケてます。女にモテモテなクストー船長ですが、モテないわけがないカッコよさですもん。ランベールおじさまとニネっちとの美しすぎる父子を見てたら、親子どんぶりしたくなること必至

 クストーの妻シモーヌ役はオドレイ・トトゥ。「アメリ」など可愛い不思議ちゃんを得意としてた彼女も、すっかりおばさんになりました。日本の女優だったら、けなげな妻、耐える妻、みたいなキャラになってしまうだろうシモーヌですが、オドレイは気風のいい、ほとんど男なおばちゃんになってて好感。見た目がちょっとサリー・フィールド化してたような。それにしても、オドレイがニネっちのママ役って、ちょっと可哀想。そこまで年の差あったっけ?

 俳優たちは魅力的でしたが、お話的にはちょっと凡庸かも。NHKの再現ドラマ風というか、ありきたりで無難な伝記映画でした。もうちょっとクストーと妻子との確執や愛憎を掘り下げて描いてほしかったかも。妻子を振り回すクストーですが、ろくでなしというよりマイペースすぎるおじさんといった感じで、あれぐらいなら全然許容できます。意地悪でセコい私の親父のほうが、よっぽど耐えがたいですし。終盤近くになってクストーが、フィリップに洗脳?されてエコロジストになるのも、何だか唐突な感じだった。海中シーンは、すごく美しく撮られていました。サメがうようよ寄ってきて危機一髪、のシーンは結構ハラハラさせられました。カリプソ号での航海生活、大変そうだけど楽しそうでもあって、3日ぐらいなら体験してみたいわ。スキューバダイビングって、すごい体力が必要ですよね~。沖縄で一度だけ挑戦しましたが、おそらくあれが最初で最後

 ↑美父子!親子丼ぶりしたい!ランベールおじさまの美青年時代の旧作、観たいな~。ブルック・シールズ主演の「サハラ」とか

 ↑“La promesse de l'aube”では元軍人の有名作家役、“Sauver ou périr”では消防士役を演じてるニネっちに早く会いたい
 フランス映画祭、お目汚しメルシイボクウ(^^♪
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男三人センチメンタルジャーニー

2018-09-10 | フランス、ベルギー映画
 お松のフランス映画祭⑤
 「Comme des frères」
 ボリス、エリ、マキシムの3人は、世代も違い共通点もないが、魅力的な女性シャルリを中心にして強い絆で結ばれていた。しかし、シャルリは闘病の末にガンで亡くなってしまう。シャルリの遺言通りに、3人は彼女の別荘があるコルシカ島へと、パリから着の身着のまま車で旅立つが…
 大好きなボーギャルソン、ピエール・ニネの日本未公開作のひとつ。フランス語のタイトルは、“兄弟みたいに”と訳せるでしょうか。

 あいや~!ニネっち、めっちゃ可愛かった~当時23歳、可愛い男の子盛り。ほっそりしなやかな長身、超小顔、ぱっちりキラキラな瞳、マッチ棒が置けそうな長いまつげ、ふわふわ天パー、美白肌etc.まさに少女漫画から抜け出してきたかのような男の子なんですよ。でも、作り物っぽい人工的なところは皆無で、すごくナチュラルで温かさと優しさあふれる人間味が。そして、すごく洗練されてるんですよね~。何の変哲もないシャツやジーパンしか着てないのに、めちゃくちゃオサレに見えるんですよ。しかも、まったく気取りもナルシズムもない。ここんとこが、ハリウッドや日本のイケメン俳優との違いです。

 類まれな美男なんだけど、どこかアニメっぽいファニーフェイスなので、親しみやすいところもニネっちの魅力。アヒル口が好き!劇中、彼が見せる数々の顔芸が可愛くて笑えます。最近のニネっちは悲しい運命の男役ばかりですが、悲劇より喜劇の彼ほうがチャーミングで輝いてます。今回のマキシム役は、すごいイケメンなのにその自覚がほとんどなく、のんきでのほほんとした、末っ子としてみんなに愛され守られてぬくぬくしてる、甘えん坊な弟キャラ。表情や言動が、いちいち可愛い!すごいヘタレなところが笑えます。

 車の中で食べ過ぎてゲーゲー吐いたり、ハチに刺された自分の顔を見て突然白目むいてバタリ、ユダヤ儀式で赤ちゃんが割礼されるのを見て突然白目むいてバタリ。トンマな演技の巧さで、コメディの才能を遺憾なく発揮してます。クラブでのシャルリとのダンスシーンや、遊園地での着ぐるみ姿、パーティでのチャップリンコスプレなど、あざといほどに可愛いニネッちのオンパレード。ピクニックで生野菜(なすび!とか)をバリバリ美味そうに食ってるニネっちもインパクトあったわ。

 日本の大根なイケメン俳優だと、気持ち悪い男ブリッコになる危険性があるマキシム役ですが、そこは高い演技力を誇るニネッちなので、こんな弟、年下の彼氏がいたらいいな~とキュンキュンさせることに成功してます。ヘタレでトンマだけど、ふとした瞬間に見せる寂しさや後悔の表情の繊細さは、「イヴ・サンローラン」や「婚約者の友人」の彼を彷彿とさせます。

 とまあ、ニネっち可愛さハンパない映画で、彼のファンなら満足満足♪それほどファンではない人でも、3人の男のドタバタ愉快な珍道中に笑えて、ひとりの女性へのそれぞれの愛の形に共感したりしんみりできる佳作になってます。ボリス、エリ、マキシムの、ほんとの兄弟でもここまで仲良くないよ!な友情が、素敵かつ驚異でした。40代、30代、20代の男たちが、あそこまで気が合うなんて。友だちがほとんどいない、独りが好きな私なんかからすると、いつも一緒な4人が羨ましいと同時に、めんどくさいな~とか、ちょっと気持ち悪いかも、なんて思ってしまったりベタベタしないドライなイメージのあるフランス人でも、ああいう友情関係を構築するんですね。

 男3人と一人の女性の友情、というのもなかなか特異でした。3人ともシャルリのことが大好きなのに、性的な恋愛感情は抱かないところは、友情というよりまさに血のつながった兄弟みたいでした。欠陥だらけな男3人を時に優しく慰め、時に厳しく叱咤するシャルリは、まるで3人の姉みたいでした。男に姉のように慕われるのは、カッコいいけど疲れそう…とシャルリを見てて思いました。

 男3人とシャルリは、いったいどういう経緯で親しくなったのかが、挿入される過去のシーンで少しずつ判明するのですが、その時系列が逆になってるところが(ラストシーンで出会いのエピソード)ちょっとしたミステリーっぽくて面白かったです。コルシカ島への道中の、美しい田舎風景にも心洗われます。
 常識的で保守的な長男キャラのボリス役のフランソワ・グザヴィエ・ドゥメゾンは、一見フツーのおっさんですが(でもキムタクより年下)、よく見ると男前です。ボリスだけは、シャルリのことを女性として愛してたのかな。マドンナのシャルリ役は、またあんたか!なメラニー・ティアリー。もしシャルリをエロい美女が演じてたら、4人の友情がウソ臭くなってたことでしょう。美人じゃないしエロくもない、ちょっと男性っぽく気丈そうな、クールでドライなメラニーの個性のおかげで、シャルリが“女”ではなく“姉さん”に見えました。
 マイペースで冷静な次男キャラのエリ役は、これまたお気にのボーギャルソン、ニコラ・デュヴォシェル。

 暗いドキュン役が多いニコラなので、今回の明るい可愛いコメディ演技、すごく新鮮でした。バカやったり言ったりしてるニコラもチャーミングでしたが、やっぱ何かヤバいことやらかしそうな目つきとか雰囲気があるところがニコラらしかったです。カラオケでド下手な歌を絶唱するシーンが、笑えてキュートでした。この映画でも、頭髪がかなり薄くなってるニコラ。将来、ぜったいハゲますねイケハゲになりそう(^^♪ニネっちとのイケメンツーショットは、イチャイチャ仲良しシーンといい、取っ組み合い寸前のケンカシーンといい、腐的にはかなり萌えます。

 ↑ お松のフランス映画祭、次回で最終回!トリもニネっち出演作です

 ↑ ニコラの出演作は、日本では今年「ダリダ あまい囁き」が公開されました。フランソワ・グザヴィエ・ドゥメゾンと再共演してるコメディ「妻とカノジョのウェディング」がNetflixで観られるようです。美しきドキュン役は、もう卒業?
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ミャンマー祈りの旅⑨ 涅槃で待つ

2018-09-07 | 旅行、トレッキング
 ついに今さら感ハンパない最終回!
 絵葉書のことでウダウダしたやりとりをしてた私と受付くんの間に、西洋人の青年が突然割って入ってきました。何だその対応は?みたいなことを、受付くんに言ってる青年。オロオロする私に、彼は僕が代わりに絵葉書を出してあげると提案してきました。思わぬ事態に戸惑いながらも、え、ほんまでっか?助かります、おおきに、とオロオロしながら切手代を彼に渡す私。まあ、騙しとられても大した金額じゃないしね。さっさと自室に戻りたかったけど、いちおう礼儀としてちょっとだけ彼と会話。彼はドイツ人で、ちょっとフランスのマクロン大統領似のイケメンでした。異国での親切は、本当に心に沁みます。後日、絵葉書は無事に日本に到着。ダンケ!

 ↑ミャンマーのパトカーと消防車
 翌朝、手配していたタクシーに乗って空港へ。可愛いホテルオーナー&受付くんに見送られて、ホテルを後にしました。タクシーの運ちゃんは、これまたおしゃべり好きの人懐っこいおじさんで、私が日本のどこから来たかだけでなく、私の職業まで知ってる!な、なぜ?!恐怖に固まる私。でもしだいに、彼がチャイティーヨーに行く日の朝に利用した、バスセンターまでのタクシーの運ちゃんと同一人物であることが判明。ぜんぜん気づかんかった。びっくらこいたわ~。話しているうちに、何と彼、私より年下だったことも判明!おじさんなんて言って、すんません💦ワイルドスピードで空港に到着すると、see you ! と気持ちよくお別れ。

 いよいよミャンマーともお別れ。おおむねミャンマーの人たちは親切で愛想が良かったのですが、最後の最後になって、出国審査での職員のおばはんが、めちゃくちゃ失礼な態度で腹立ったわ~。不愉快な思いはやはり、避けて通れない海外旅行です。出国ゲートの売店のお土産が、ぼったくり過ぎる高値で驚き。余ったミャンマーチャットを使い果たしたいので、カフェに入ってカフェラテを注文し、のんびりと時間潰し。
 午前10時45分に、搭乗した飛行機は無事ミャンマーから飛び立ちました。私の隣は空席でラッキー!でも、周囲を中国人団体観光客に囲まれてしまい、その騒々しさに頭痛が…中国人さん、なぜそんなに傍若無人なのですか?ここはあなたたちの部屋じゃないんよ。

 午後16時頃、クアラルンプールに到着。23時40分までの待ち時間、また街に出ようかと思ったけど、もう身も心もくたびれ果てていたため、もう空港内でじっとしてることにしました。マレーシアの貨幣リンギットも残ってたので、空港内にあるカフェ、オールドタウンホワイトコーヒーで使い果たすことに。
 マレーシアのスタバ、みたいなカフェ。定番らしいホワイトコーヒーを買って(注文してお金を払って、番号札をもらって呼びだしを待つ形式)、時間はたっぷりあるし、席についてゆっくり旅行記でも書くことに。ホワイトコーヒーとはいうものの白くはなく、フツーの甘めのコーヒー牛乳でした。のんびりしていると、いつしか夜のとばりがおりて、ガラス張りの空港も明るい彩光を失っていました。コーヒー一杯で長時間粘るのは申し訳ないので、レモンジュースとマレーシア料理のラクサを注文しました。ラクサはマレーシア版ラーメン?美味しかったです。

 さあ、そろそろ搭乗時間も近くなった、と思って念のため出発の掲示板をチェックすると、ん?23時40分関西空港行きが、大幅の遅延?って、ええええ?!??!!朝の4時40分に変更!?う、うそやろ!?8時間も待って、またさらに待てと言うのか?!そんな殺生な~にわかには信じがたい事態に、気が遠くなってその場にへたりこみそうになる。最悪…ああ、どうしよう。もうカフェで時間つぶしも限界。朝までどうすりゃいいの。ていうか、何でそんなに遅れるのよ?!日本で何かあったのかと不安に。もう思考回路も麻痺するほど疲れ果てていたので、出発ゲート前の椅子で寝ようと重い足を引きずって歩いてると、通りかかったインフォメーションに置いてあったものに目がとまる。有料の休憩ルームのチラシ。どんなのか、とりあえずそこまで行ってみる。

 受付にいた女性はとても感じが良く、可哀想な私に同情して親切に接してくれました。5時間コースが120リンギット。ちょっと高いが、椅子で野宿はやっぱ抵抗がある。ので、利用することにしました。部屋は狭いがこぎれい。やっと寝転がれたのに、疲れすぎて眠れん!眠り込んで寝坊してまう恐怖も手伝って、結局一睡もせず、読書などして過ごしました。3時過ぎに部屋を後にして出発ゲート前へ。ゲート前では、たくさんの日本人が椅子で寝ていました。4時40分、やっとのことで関空行きの飛行機に乗ることができました。ガラガラ空席が目立ち、冷蔵庫の中にいるような寒さ。凍え死にそうでしたが、これで日本へ帰れるという安堵が勝って、すぐに爆睡。気が付くと、間もなく関空到着との知らせでした。
 とまあ、いろいろありましたが今回も生還できました。今にして思うと、なんでミャンマー?と、自分でも不思議になりますビルマのどこかに、私を待ってる人はいませんでした。仏縁のような出来事も出会いもなかったけど、特異で楽しい体験となりました。そしてあらためて思った。日本に生まれてよかった、と。もしまたどこかに行けるのなら、なるべく行き当たりばったりはせずに、計画的に行動したいです。まったく参考にならない、チンタラ自己満足旅日記にお目汚しいただき、ကျေးဇူးတင်ပါတယ်
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毒女にご用心

2018-09-02 | フランス、ベルギー映画
 お松のフランス映画祭④
 「エヴァの匂い」
 新進の作家ティヴィアンは、ヴェネツィアでエヴァという魅惑的な女と出会う。男たちを破滅に導く魔性の女エヴァに、ティヴィアンはのめりこんでいくが…
 昨年亡くなったフランスの大女優ジャンヌ・モロー主演作。男たちを虜にして破滅させるファムファタールを演じてるジャンヌですが、悪女というより毒女という感じです。妖しい香水ではなく、ヤバい毒ガスを噴出してるみたいな。見るからにドギツくて、私が男なら一歩も近づきません。どんなに理不尽な目に遭っても、どんなに非道いことを言われても、犬のようにエヴァにつきまとい盲従するタヴィアン、どんだけドMなんだよ。Mっけのある男なら、たまらん女なのでしょうか。哀れというか滑稽というか、あそこまで骨抜きにされたら、男としては本望なのでしょうか。

 目を奪うような美女ではなく、若くもなく色気ムンムンなわけでもないエヴァに、男たちが何であそこまで溺れるのか理解はできなかったけど、カッコいい女ではあったエヴァです。媚びたり泣いたり愚痴ったりな女のいやらしさが全然なく、どちらかといえばサバサバした男っぽいキャラで、常に威風堂々と颯爽としてる風情や、男を軽蔑しきった冷笑、軽やかに自由奔放なライフスタイルなど、女性が憧れる女性、カッコいいヒロインでした。男もセックスも嫌いな冷感症っぽいところも、女のベタベタしさが苦手な私の好きなタイプのヒロイン。私もあんな風に、他人なんかどーでもいいと冷たく無関心に生きてみたいです。エヴァ、刹那的に生きてるように見えて、老後のことはちゃんと考えて貯蓄とかも怠ってなさそう。バカ女とは真逆な悪賢さも、エヴァの魅力でした。

 とにかく毒々しくカッコいいジャンヌ・モロー。最近はみんなに好かれたい系女優ばかりなので、今ジャンヌのような誰にも忖度しない女優を見ると、強烈かつ新鮮なインパクト。ジャンヌがとっかえひっかえ着こなすピエール・カルダンの衣装も、エレガントでシックでした。毒気、冷たさ、貫禄、知性、洗練。悪女を演じるために生まれたかのようなジャンヌ・モローの前では、得意げに悪女女優を気どってる菜々緒など、赤子同然です。煙草を吸う姿、風情がカッコいい女優が好きなのですが、ジャンヌはとりわけ煙草が絵になる女優です。

 ティヴィアン役のスタンリー・ベイカーが、あまり私好みの男じゃなかったのが残念。ティヴィアンの婚約者を演じてた美女は、後年「王妃マルゴ」で悪名高い母后カトリーヌ・ド・メディシスを怪演し、カンヌ女優賞を受賞したヴィルナ・リージ。モノクロで撮られたヴェネツィアの街やゴンドラが往きかう水路なども、どこかアンニュイな趣が。ジャズが好きな人なら、劇中で使用されてる音楽も楽しめるのではないでしょうか。アメリカ人ながら主にヨーロッパで活動した名匠ジョゼフ・ロージー監督作品。
 イザベル・ユペールとギャスパー・ウリエルの共演でリメイクされた「エヴァ」も、早く観たいものです。
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