まつたけ秘帖

徒然なるままmy daily & cinema,TV drama,カープ日記

闇落ちZ世代

2023-09-06 | 中国・台湾・香港映画
 「青春弑恋」
 大学にも行かずゲームばかりしているミンリャンは、ネットでエロティックな動画を配信していたミッシーに恋をしている。コスプレイヤーの女子高生キキは、ミンリャンの彼女になりたいと思っている。劇団員のユーファンは、同じく女優を志しているモニカと親密になる。外国船のコックだったシャオジャンは、喫茶店でバイトしているユーファンに想いを寄せている。恋人同士となったユーファンとシャオジャンに、思いもよらぬ凶事が…

 ずっと気になってた台湾映画を、やっと観ることができました(^^♪予告編が怖くて、かつ美しくて、すごくソソられてたんですよね~。キレイカワイイ女子とカッコいいイケメンの漫画ちっくな軽い恋愛ものも悪くないけど、そんなの嘘っぱちなファンタジー。人間関係も恋愛も構築できない保てない、努力や忍耐をしてまで家族や社会に適応しようとはせず、自分ルールで生きようとするので当然生じる軋轢や齟齬、そこから逃げるか他人を巻き込んで破壊するか…今の若者たちのリアルが、静かな不穏さと不気味さ、そしてメランコリックな情感で描かれていました。

 今の若い子たちって、悪い人間じゃないけど、相手の気持ちや立場をあまり大切にしてくれませんよね~。もちろん、わしのような年寄り世代にもそんな人たくさんいますが、それとは何か質が違うような…この映画の若者たちの、自分のこと以外は無感動で無関心、自分の想いや欲望を相手にわかってほしい、受け入れてほしい、相手も自分と同じはず、という願望や思い込みが、私には不可解で恐ろしかったです。

 若者たちが本人たちの気づかない形でつながっていて、物語が進むにつれ意外な事実も浮かび上がってきて、破局へと向かう展開と構成が巧みでした。Z世代と呼ばれている若者たち、ネット依存ゲーム依存って怖い!と、あらためて痛感。ゲームのしすぎでもう現実世界と折り合えなくなってるミンリャン、殺戮VRゲームを現実に持ち込む彼の暴走に戦慄!ゲーム脳ってほんと危険。とにかくミンリャンがイカレすぎてて、ほとんどホラーでした。甥のジミーや、わしの周囲にいる若い子の多くも、おかしなゲームやyoutubeの動画に心と脳を蝕まれてるのが心配…


 エロ動画の女に恋をして、正体も住所も突きとめて尾行、のぞき、部屋に侵入するなどストーカー化し、ついには本人に結婚を迫って大暴れ。モニカにとっては誰こいつ?な見知らぬ赤の他人。そんなのが電車の中でいきなり。き〇がい!精神病院に強制入院レベルですが、事件を起こすまで誰も気づかないところも現代社会の闇です。ミンリャン役を怪演したのは、台湾の人気俳優リン・ボーホン。

 「僕と幽霊が家族になった件」を観たばかりだったので、おバカコメディと今回とのギャップに驚嘆。ミンリャンみたいなヤバすぎる役、人気スターはフツーなら引き受けませんよ。異常に鋭い目つきが狂気的。ユーファンとモニカが求め合ってる姿を、ドアの隙間からのぞいている目とか怖すぎ!ゲームを真似た戦闘服と日本刀でキメて、衆人環視の台北駅でユーファンを襲撃するシーンもトラウマ級。私、通り魔がこの世でいちばん怖いので、もしあんなのが駅とか路上でこっちに向かって走ってきたら、と想像しただけで失禁しそうに。

 幽霊とかモンスターなんかよりも、はるかに怖いボーホンのリアルなコワレ人っぷりでした。怖いけど、不思議と気持ち悪くないんですよ。フツーにしてたら、ちょっと不愛想で内気な金持ちの青年って感じで、キキが彼氏になってと迫るのも理解できるイケメン。ボーホン、やっぱ岸優太くんに似てますね。岸くんをスタイルのいい長身にしてシャープにしたらボーホン、みたいな。台北駅での襲撃コスチュームも、ヤバいシーンなのに妙にカッコよく見えたし。マッサージシーンで上半身裸に。引きこもりゲーマーらしからぬ肉体美でした。エロ動画を見ながらの自慰行為シーンも、何か可愛かったです。

 LGBTも現代の若者を描く上では今やマスト。でもやっぱ私、骨の髄まで腐。Lは苦手Gのラブシーンにはワクワクするけど、Lのそれには居心地の悪さしか感じなくて…ユーファンとモニカのラブシーンがキスどまりだったので、何だかホっとしました。好きな女が女と、男が憎悪する恋敵が女、というシチュエーションはなかなか新鮮でしたが。
 いちばん可哀想だったのは、平岳大似のシャオジャン。ユーファンをかばって斬られて重傷を負うわ、ユーファンの過去にガーンだわと散々。でも、ユーファンを一途に愛し信じる彼の存在は、暗くて狂った物語の中で希望と救いになってました。ユーファンの愛に飢えた境遇も悲痛だった。病んだ現代社会に生きる若者の孤独や虚無を表すような、台湾の陰鬱な曇り空や雨も印象的でした。台湾って雨が多いんですね。劇中に流れるショパンの夜想曲が美しかったです。こういう映画を日本でも作ってほしいわ。ミンリャン役は岸優太で(^^♪アイドル卒業のためにぜひ!
 
コメント (2)
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最強の童貞DK

2023-09-03 | 日本映画
 「Gメン」
 女子に人気の男子校武華高校に転校してきた門松勝太は、他の生徒たちから隔離された不良や問題児ばかりの1年G組に配されるが、すぐに仲間もできて楽しく過ごすようになる。そんな中、伝説のグループであるGメンによって壊滅されたはずの極悪組織、天王会が再び動き始めて…
 大好きな岸優太くんが初主演した映画、観に行ってきました~(^^♪岸くん、いいですよね~猿みたいな可愛い顔、小柄だけど筋肉質な体、男らしい雰囲気、すべてがMYどストライクなんよね~。バラエティや歌番組でしか見たことがなかったので、俳優としての岸くんがとても楽しみでした。彼の天然アホの子キャラは、演技力もかなり高いのでは?と思わせるものがありましたし。

 加えて、原作漫画も好きなんです。大昔に男の部屋にあった小沢としお先生の初期の作品「フジケン」にハマったことが。フジケンに比べると、Gメンは格段に絵が上手になってる!フジケンもGメンも、笑いのセンスと主人公や男の子のキャラが魅力的。好きな漫画の実写化は不安と不満が付き物ですが、この作品は悪くなかったと思います。よくない点も多々ありましたが。岸くんをカッコカワイく撮る!という至上命題は、どうにか果たせてはいました。

 現在26歳の岸くんですが、高校生役にあまり違和感はなかったです。もっと老けた現役高校生、実際にいるもんね。漫画の勝太に比べると、さすがに大人っぽい落ち着きがあって、目つきがシャープでしたが。童貞にも見えなかったし(笑)。周囲に比べると、岸くんas勝太はあまりバカやったりはせず、戸惑ったり引いたりしてる様子が可愛かったです。岸くんといえば肉体美、でも残念ながらサービス脱ぎはいっさいなし。可愛い演技、おバカ演技よりも、仲間のために満身創痍で戦う男気演技のほうの比重が高かったかも。ケンカシーンは鋭く、かつダンスのように美しかったです。ただ、ちょっと甲高い声が私の苦手なN居の声と似ていて

 普段はアホ&ピュアな子だけど、実はワケアリ男子で、怒ったらケンカ無双になる勝太の二面性が、何だか岸くんご自身とカブります。テレビで一生懸命可愛くアホな子を演じてるけど、そんな仮面の下に実力と懊悩も秘めてる岸くん。某事務所を辞めて新たな道を進もうとしてる彼もまた、勝太のように仲間に愛されながら、いろんなことと闘いながら、さらなる飛躍を遂げてくれることでしょう。でも、平野くんもだけど、岸くんがこの先いったい何を目指しているのか、よくわからないのが心配。いい俳優になってほしいけど…
 勝太の仲間たちも、アラサーやアラフォーの俳優やタレントが演じてます。ほとんどおじさんのDKコスプレですが、学芸会な10代20代の子たちにやらせるよりも、ある程度キャリアも演技力もある彼らで返ってよかったと思います。でも、はしゃぎすぎな悪ノリ演技はかなりサムいし鬱陶しいです。田中圭も出てるし、ノリがなんか「おっさんずラブ」っぽいなと思ったら、同じ監督だった。納得。
 原作でいちばん好きなキャラである伊達先輩役が、高良健吾だったのがちょっと…高良くんはイケメンだしいい役者ですが、伊達先輩じゃないよな~。

 クールで硬派な男前、そしてゲイである伊達先輩。彼の勝太への切ない愛、少年漫画を読んでこれほど胸キュンしたことない。映画でも、私が大好きな二人のデートと告白シーンがあったので嬉しかったです。勝太にフラれても、いつも彼を見守ってピンチの時は必ず助けてくれて、勝太が他の男と仲良くしてたらモヤモヤもする伊達先輩と、先輩をフっても可愛く甘えてますます惚れさせる天然魔性の男子な勝太。この二人だけの物語だけでよかったかも
 勝太と仲良くなる超絶イケメン拓美役、竜星涼もカッコカワイかったです。



 顔、小さっ!背、高っ!手足、長っ!スタイルよすぎでしょ!美男子というより、ぽわわんとしたユルい可愛い童顔。イケメンで誰にでも優しくケンカも強いのは原作と同じだけど、拓美ってあんな大ボケかましまくるキャラだったっけ?岸くんと竜星くんとの身長差カップルも、なかなか萌え~。イチャイチャ仲良くしてるシーンや、お互いの秘密を打ち明け合うシーンで見つめ合う二人とか、かなりBLテイストを狙った演出だと思いました。勝太の伊達先輩や拓美とのBL(?)がいい感じだったので、勝太と拓美の女との恋愛パートがすごい邪魔!要らん!と思えてほんと腐りきってますね私
 岸くんと竜星くんがなかなかハマってたので、続編が製作されるといいな。でも岸くんがあまり俳優業に意欲的ではなさそうだから、やっぱ無理そう?

↑ この肉体を活かした役を演じてほしいものです
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人形の国から来た女

2023-09-01 | 北米映画22~
 「バービー」
 バービーランドで幸せに暮らしていたバービーは、ある日突然起きた体の異変に戸惑う。自分の持ち主である人間に会えば原因がわかることを知ったバービーは、ボーイフレンドのケンと共に現実世界のロサンゼルスへとやって来るが…
 「ストーリー・オブ・マイライフ わたしの若草物語」のグレタ・ガーウィグ監督の新作。大ヒット(アメリカでは)中の作品そのものよりも、原爆を茶化したネタ画像が日本では物議をかもしましたね。広島県民としては、とても残念で悲しい。でもまあ、一般的なアメリカ人の原爆に対する意識って、そんなもんなんだろうな~とも。悪意や敵意よりも、無知で無神経であることのほうが怖い、危険だとあらためて思いました。
 閑話休題。おかしな話題に日本では水を差されてしまったけど、映画じたいはド派手でハチャメチャカオスなコテコテアメリカンコメディで、そのパワフルでノーテンキなノリは私の好きなアメリカ人の素敵な特性。でもそっち系のコメディって、日本人の繊細な胃には受けつけない料理みたいな濃ゆさや大雑把さが。笑いの感性がやっぱ、日本人とアメリカ人って違いますよね~。英語やアメリカ文化に精通してたら、きっと大笑いできたかも…と思うようなシーンが多かったです。ベテランコメディアンのウィル・フェレルも出演してるのですが、彼の映画が日本ではまったく受けない理由が今回よくわかりました。

 バービーランドやバービーの衣装など、目が痛くなるようなピンクワールドも、可愛いというより私にはグロテスクでした。私、ピンクが苦手なのでカワイイの感覚も、アメリカ人と日本人では乖離があるのでは。元ネタであるバービー人形も、私には馴染みがなくあまり可愛く見えないんですよね~。何か顔が怖い。日本人にはやっぱリカちゃん人形ですよね。

 最初から最後まで、ハイテンションにツッコミ上等!な強引&意味不明な設定と展開なのですが。永遠の命、永遠にハッピーな毎日を繰り返していたバービーが、人間の世界に飛び込んで人間として、女性としての自我に目覚める、といったガチフェミ映画でもあります。バービー人形でこんなフェミニズム映画を作ってしまう発想、創作力には驚嘆。フェミ映画は苦手なのですが、男社会を断罪したり男の愚かさを揶揄したりが、あくまでノーテンキなおふざけ調なので、現実的な女の生きづらさを見せつけられて気持ちが重くなったり、苦くなったりすることのないフェミ映画になってます。

 バービー役のマーゴット・ロビーは、今やハリウッドの新女王といってもいいスター女優。私と同じ人間とは思えぬスタイルと派手な美貌ですが、それに驕ってるようなイヤな感じは全然なくて、すごく人が善さそうなところに好感。バービー人形みたいに、たまに顔が怖く見える時があったけど。バービーランドのパーティーで踊るシーンが特にチャーミングでした。
 バービーのボーイフレンド、ケン役はライアン・ゴスリング。なかなか強烈な見た目と演技でした。こんなにアホ、おバカなライアンってかつてなかったのでは。すごくノリノリで楽しそうでした。顔はさすがにおじさんで、ボーイフレンド役にはちょっと無理があったけど、カラダは非おじさん。すごい肉体美で、人形にしてはセクシーすぎるほど。歌もお上手で、本職の歌手も真っ青のエモーショナルな熱唱でした。

コメント (5)
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