まつたけ秘帖

徒然なるままmy daily & cinema,TV drama,カープ日記

華麗なる鬼嫁!

2022-01-30 | 北米映画 15~21
 「ハウス・オブ・グッチ」
 トラック会社社長の娘パトリツィアは、弁護士志望の青年マウリツィオと恋に落ち結婚する。マウリツィオは世界的ブランド、グッチの創立一族の御曹司で、会社の経営権は父のロドルフォとその兄アルドが握っていた。パトリツィアはしだいに、グッチを自分たち夫婦のものにしようという野心を抱くようになるが…
 今年初の映画館鑑賞作(^^♪
 王室や財閥一族のお家騒動もの、大好きです。庶民のセコいミミっちいイザコザやゴタゴタと違い、巨万の富と強大な権力をめぐる争いは、ドラマティックでエンターテインメント!血生臭ささえ華やかになります。日本でも、セレブやエリートの隠された醜い実態をのぞいて暴く「家政婦は見た!」が人気でしたが、この映画も観客が市原悦子になって楽しめる内容になってます。ブランド一族のお家騒動といえば、ひと昔前にワイドショーを沸かせた君島ファミリーが思い出されます。君島家の人たち、今どうしてるのかしらん?君島家と違いグッチ家のほうは、世界的な人気と知名度なので騒動も桁違いのスケールとド派手さ。俗悪だけどヨーロッパを舞台にしてるおかげか、まるで時代劇の貴族のような優雅で華麗な生活やファッション、邸宅などが目に楽しいです。

 あまりにも庶民とは乖離した世界を描いてるので、現実逃避にはぴったりな映画です。でも、グッチの製品は買いたくなくなります(買えないけど)。お客の使った金で贅沢三昧なグッチ家を見ていて、ちょっとだけK室夫妻のことを思い出しました。税金を納めるのが口惜しくなるのと近しい気持ち。もちろん、グッチ家の人たちは働いて稼いでるので、K室夫妻よりはマシですが。

 ゴージャスになった家政婦は見た!なこの映画、かなりコミカルタッチだったのが想定外でした。パトリツィアをはじめ主要人物がみんなキャラ立ちし過ぎていて、ほとんどギャクな人たちなんですよ。序盤の、マウリツィオにロックオンして猛アタックするパトリツィア、二人のやりとりはほとんどラブコメだったし。マウリツィオの伯父アルドとその息子パオロなど、見た目も言動も凝ったコントです。特にパオロ、滑稽すぎて可哀想になるほど。とんだピエロで、ご本人はきっと草葉の陰で泣いてますよ。

 パトリツィアは、悪女というより鬼嫁?グッチ家を乗っ取ろうとか支配しようとか、そんな邪悪で強欲な女ではなく、とにかく夫に天下をとらせたい!自分を認めさせたい!と猪突猛進する、バイタリティあふれる頑張り屋さんって感じでした。ある意味けなげなんですけど、あんまり有能ではなく激情的すぎて乱暴なのが致命的でした。彼女がもし冷静に狡猾に陰謀や策謀をめぐらすクールな悪女だったら、グッチ家は崩壊しなかったでしょうし。冷酷で悪賢い美貌の女狐なんて、レディー・ガガにそぐわないヒロイン。愚かなほどに気性が激しく自分に正直なモーレツ女は、ユニークな風貌と強烈な個性の持ち主であるガガに合ってました。女優として高く評価された「アリー スター誕生」より、こっちのガガのほうがチャーミングで女優としての資質や魅力を感じました。

 顔も体も迫力ありますよね~。ガガって元々イタリア系なのかな?ムチムチした上半身、デカいケツなどまさにイタリア女。誰にどう思われようと自分の意思を貫くヒロイン像も、ぶっとびアーティストであるガガとカブります。グッチの衣装をとっかえひっかえな彼女のファッションも目に楽しいのですが、泉ピン子のシャネルと同じであまり趣味がいいとは言えない下品さが、これまた愉快ではあります。終盤のガガは、衣装といい見た目と言い言動といい、大阪の派手なおばはんみたいでした。
 パトリツィアの夫であるグッチ家の御曹司マウリツィオ役は、「最後の決闘裁判」に続いてのリドリー・スコット監督作出演となったアダム・ドライバー。

 ぬおおお~っとした巨体なので、一緒だと小柄なガガが子どもに見える!おっとり気の優しいお坊ちゃんな言動が可愛かった。アダムなのでもっと得体の知れない感じも出せたはずですが、そういうのは極力抑えてた感じだった。あまり個性を炸裂させず、苦労知らず苦労嫌いのお坊ちゃんの凡庸さを巧く出していたのでは。パトリツィアやマウリツィオを見ていて思ったけど、バカと凡人は金と権力をもつべきではありませんね。ろくなことにならん。アダムにはいつか、ロス疑惑の三浦和義役を演じてほしいです。
 大物オスカー俳優を配した脇役の豪華さも話題に。マウリツィオの父アドルフォ役のジェレミー・アイアンズが、優雅な美老人!慇懃で底意地が悪いところなど、イギリスの貴族みたいでした。アドルフォの兄でマウリツィオの伯父アルド役のアル・パチーノは、まるでゴッドファーザーのセルフパロディみたいなマフィアの親分風で笑えた。そのバカ息子パオロ役のジャレッド・レトは、原型とどめてないじゃん!誰?!な化けっぷりで、大仰なアホ演技といいちょっとやりすぎ感が否めないけど、目立つことにかけてはガガ以上でした。

 目立ってたといえば、ちょこちょこ出てくる弁護士のドメニコ。なかなかの男前だし、敵か味方かわからない、うっすら怪しげなところが妙に気なって仕方なかった。案の定、お家騒動に乗じて下剋上するドメニコですが、乗っ取ったって感じはしなかったな~。あれは仕方ないというか、グッチ家の連中がバカすぎて、俺がやんなきゃみたいな流れだったような。私ブランドに無知なので、グッチの新人デザイナーとして若きトム・フォードが登場した時には驚きました。無名のトム・フォードを起用するよう、さりげなくも熱心にマウリツィオにプッシュするドメニコ。抜擢されたトム・フォードと目くばせし優しく微笑む様子など、ちょっとMY BLセンサーが感知。この二人、恋人同士だったの?ドメニコ役のジャック・ヒューストンは、巨匠ジョン・ヒューストン監督のお孫さんだとか。本物のトム・フォードのこの映画を観た感想が、なかなか手厳しく皮肉で笑えました。
コメント (4)
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

岡マの硝子メナジェリィ①

2022-01-24 | 演劇
 鎮静するどころかますます跳梁跋扈するコロナ、その脅威が渦巻く中またもやコソっと大阪へ遠征してしまいました大好きな岡田将生主演の舞台「ガラスの動物園」を観劇するためです。
 藤ヶ谷太輔の「ドン・ジュアン」で、すっかり舞台に魅せられてしまった私。岡マも舞台!と知るなり躊躇なくチケットGETだぜ(^^♪でも、吉沢亮主演の「マーキュリー・ファー」はチケット争奪戦に敗れてトホホ。コロナコロナと騒いでますが、そんなの関係ねぇ!な人、けっこう多いんですね!って、私もその一人ですが
 去年の秋以来の大阪・梅田は、相変わらず人・人・人!コロナ恐るるに足らず、緊迫感ゼロでした。ちょっと遅めのランチは、ヨドバシカメラにある韓国料理店チャンチで。おひとりサムゲタン定食。サムゲタン、チョア~

 あっさりさっぱり、コラーゲンもたっぷりそうでマシッソヨ~。カクテキも美味しかったです。私はオナカイッパイになりましたが、男性や食いしん坊女子には物足りない量かも。食後はあまり街中をウロウロしたくないので、いつものホワイティうめだにあるパン屋さん、クックハウスでゆっくり時間つぶしのカフェタイム。
 開演17時前に、梅田芸術劇場へ到着。ドン・ジュアンの時と違い、某事務所タレントのコンサートな雰囲気ではなく、男性も多かったです。チケットすぐに取れたので、ひょっとしてガラガラなのかなと思ったけど、ほぼ満席でした。ついに開演、暗くなる会場。ワクワク!ステージには階段とアパートの部屋が。階段に岡田将生登場!

 今回はオペラグラスを忘れず持参。現れた岡マをガン見!モノトーンのシンプルな装いの岡マ、キレイな顔~!やっぱ美人ですね~。色、白っ!鈴木その子も真っ青な美白肌だけど、メイク感はほとんどなく透明感ハンパないです。顔、小さっ!スラ~っと長身スレンダーで、手足が長っ!映画やドラマ以上に、その美しい風貌は目を奪うものがあります。髪型が可愛い。冒頭から膨大な台詞を淀みなく操る岡マ、役者さんってスゴいな~と心の底から感嘆。映画やドラマと違う、ちょっとハイトーンな岡マの発声が新鮮でした。狂言回しのモノローグの声と喋り方が、何だか古畑任三郎のモノマネしてる妻夫木聡みたいだったけど。

 人気劇作家テネシー・ウィリアムズの戯曲は、ヴィヴィアン・リーのイタすぎるブッコワレ演技が強烈な「欲望という名の電車」など映画化もされ、日本でもファンは多い。私もいくつか映画を観ましたが、どの作品も家族の軋轢や性的な苦悩で心が病んだ人たちが、ヒステリックに激情をぶつけ合うという鬱なイカレ話ばかり。このガラスの動物園も、4人の登場人物がギャーギャーと大騒ぎよ!岡マは作家になる夢があるけど、家族を養うために倉庫で働いてる青年トム役。不満や鬱屈でイライラしてるけど、暗い重い感じはなくて子どもっぽいキャラ、喋り方がとにかく可愛かったです。岡マだけでなく、他の3人も今にも歌い出しそうなミュージカル調なので、深刻なはずの場面も何か笑ってしまった。岡マのトムをはじめ、ママも姉のローラも、第2幕から登場するトムの友人ジミーも、身近にいそうな&自分ともカブるイタい人たちで、イヤな共感を覚えつつ舞台の上で展開される愛憎劇に惹き込まれ…
 to be continued
コメント (3)
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

スパイボーイ、スパイジェントルマン ビギニング

2022-01-17 | イギリス、アイルランド映画
 「キングスマン ファースト・エージェント」
 謎の組織の暗躍により、イギリスとドイツ、ロシアが反目し第一次世界大戦が勃発しようとしていた。イギリスの名門貴族オックスフォード卿は、国家に頼らない諜報網で世界の混乱を防ごうとする。オックスフォード卿の息子コンラッドは、愛国心から戦争に従軍しようとするが…
 待望のシリーズ最新作。延期を繰り返し、ようやく日本でも公開されました。楽しみにしてたとはいえ、第3弾は続編ではなく前日譚。キングスマン誕生秘話ということなので、もちろんエグジーもハリーも出てきません。二人がいないキングスマンなんて!大好きなタロン・エガートンとコリン・ファースあってのキングスマンって感じなので、正直がっかり。前2作ほどには楽しめないかも…と一抹の不安を抱きながら観に行ったのですが、面白かった!けど、やはり何というか、物足りなさは否めず。キングスマンの魅力であるスタイリッシュアクションのハチャメチャ感も、ちょっとトーンダウンしてたような気が。シリアスで悲しい戦争ドラマが盛り込まれていたのが想定外でした。コンラッドが第一次世界大戦の戦場で戦うパートは、ほとんど「1941」で既視感ハンパなかったわ。それにしても。多くの若い命が無残に散らされた事実には、あらためて暗澹となります。悲痛な反戦メッセージには胸を衝かれますが、違ーう!違うだろー!by 豊田まゆこ と叫びたくなりました。そんなの期待して観に来たんじゃないの!ゴキゲンなブリティッシュスパイコメディを観に来たの!

 ヘンに真面目な部分の増加には戸惑いましたが、もちろんキングスマンの魅力である過激なアクションや、英国風味のコメディも健在で安心。特にロシアでの怪僧ラスプーチンとの死闘が楽しかったです。胡乱で面妖な見た目といいいい凶暴で下品なキャラといい、キャラが立ち過ぎたラスプーチンがとにかく強烈。美男子好きのラスプーチンに、イケメンのコンラッドがハニートラップを仕掛ける計画だったのに、ラスプーチンご本人はコンラッドよりもシブい熟年のオックスフォード卿のほうがタイプだった、のが笑えた。ラスプーチンをはじめ、各国の実在した歴史上悪名高い人物たちが謎の組織に属していて、ラスボスの命令で王室や政府を牛耳って暗躍するという設定が奇想天外で面白かったです。

 前2作から一新、でも今回も英国の秀でた俳優や国際的な俳優を集めているキャスト。オックスフォード卿役は、名優レイフ・ファインズ。若い頃は翳りや狂気を感じさせる二枚目だった彼も、すっかり枯れたおじさんに。ちょっとフツーのおじさん風で、貴族っぽくないというか。コリン・ファースみたいに、おおこれぞ英国紳士!な感じが希薄というか。たまに小日向文世に見えたり。老体にムチ打つような終盤の怒涛のアクション、ムチャブリしよんな監督。レイフが可哀想になった。お年寄りいじめみたいで、大暴れ!な愉快痛快さに欠けてました。

 オックスフォード卿の愛息コンラッド役に抜擢されたのは、注目のイギリス若手俳優ハリス・ディキンソン。ちょっとカープの森下くん似?同じ童顔でも、エグジー役のタロン・エガートンとは別種な童顔。タロンは下町のやんちゃ坊主系ですが、ハリスは良家のおっとり系おぼっちゃん系。イケメンなんだけど、すごい薄口。きょとんとした顔が可愛い。小顔で長身でスタイル抜群!何着ても似合って、グラビアのモデルみたいに品よくファッショナブル。細マッチョな肉体美も披露してます。

 執事役のジャイモン・フンスーもカッコいい。ラスプーチン役は怪優リス・エヴァンズ。バイプレイヤーのトム・ホランダーが、イギリス王、ロシア皇帝、ドイツ皇帝(この3人、いとこ同士だったんですね!)を驚異の&遊び心あふれる1人3役。軍人役でアーロン・テイラー・ジョンソンとマシュー・グードも登場。ドイツからは、ハヌッセン役でダニエル・ブリュール、レーニン役でアウグスト・ディールが。この二人って懐かしの「青い棘」じゃん!あの歴史上最悪な人物が、ラストに若かりし頃の姿で登場するのですが、その役を演じてたのが「愛を読むひと」のデヴィッド・クロスで驚きました。しばらく見ない間に成長したね~。
 イギリス、やっぱいいですね~。イギリスといえばの貴族の邸宅やインテリア、調度品、紅茶セットやウィスキーグラスなど、ほんと素敵で憧れる。それにしてもイギリス人って、ほんとアメリカを小ばかにしたネタが好きですね。アメリカ大統領がなかなか大戦参戦にGOサインを出さなかった理由が笑えます。


 
コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

バックシートに、いい男

2022-01-14 | 日本映画
 「ドライブ・マイ・カー」
 俳優兼演出家の家福は、脚本家である妻の音と深く愛し合っていたが、音が夫以外の男に抱かれていることを知っていた。音はくも膜下出血で急死し、その数年後家福は演劇祭の舞台を演出するため、開催地の広島に滞在することに。製作者側から渡利という若い女の専属ドライバーをつけられ不満に思う家福だったが、しだいに彼女の運転技術と寡黙さに安らぎを覚える。舞台のオーディションを受けるため人気俳優の高槻が現れ、家福は動揺する。高槻は音の情交相手だった…
 昨年のカンヌ映画祭で絶賛され、現在アメリカの賞レースも席巻中。アカデミー賞ノミネート、いや外国語映画賞の受賞は確実と目されるなど、久々に海外で邦画が高く評価されて、日本人としては誇らしいかぎりです。近年の邦画の凋落、質の低下は目を覆うばかり。韓国映画には完全に追い抜かれ、オスカー受賞の「パラサイト」や「ミナリ」でその差は広がるばかりな嘆かわしい現状。なので、邦画はまだ死に絶えてない、邦画も捨てたもんじゃない、という希望の光のような作品にやっと出会えたような気持ちです。村上春樹の短編小説を映画化したものなのですが、恥ずかしながら私、春樹センセイの小説って読んだことがない💦私のような下等人間には、ちょっと敷居が高いイメージなんですよね~。春樹センセイの愛読者って、すごく意識高い系って感じ。映画化された作品の「ノルウェイの森」も「バーニング」も、面白く思えなかった自分のほうが悪いのかしらん?と軽い自己嫌悪に陥ってしまい、以来ますます敬遠するようになった春樹センセイなので、この作品もまた…と不安を抱きながら観たのですが、それは杞憂に終わりました。評判にたがわぬ秀作でした!

 何年か前にアカデミー賞の外国映画賞を受賞したモックン主演の邦画は、これがオスカー受賞?!と観ながらキツネにつままれるような思いに襲われましたが、こちらは高評価に納得。面白かったとか、感動したとかとか、ユニークなとか、映画を褒める時に使う常套句はちょっとそぐわない不思議な映画。決してワケワカメな難解映画ではないのですが、男と女の心の機微や襞、性の深淵の不可解さを観る者に突きつけ、そして考察させる大人の映画でした。地味に静かに物語は紡がれているのですが、時々え?!な驚きと衝撃を投下してきたり、その時は意味不明だったことが後でそういうことだったかと腑に落ちたり、設定にもキャラにも映像にも奇をてらわずに惹き込む脚本が、まずもって秀逸と言えるでしょう。3時間近くの上映時間が、ぜんぜん苦じゃなかったのがその証でしょうか。

 登場人物たちの、まるで文学を朗読しているかのような台詞も印象的です。家福夫妻が交わす、JKが好きな男の子の部屋に空き巣するという創作話とか、続きが気になる使われ方をしていて、その衝撃的な結末にも脚本うまいな~と感嘆させられました。夫を深く愛しながらも他の男との情交を止めない妻、それを苦悩しながら黙認している夫。心の空漠とセックス、そして創作の関係性も興味深く描かれていました。演劇関係者の高尚な心理や葛藤が、私のような凡人にはほとんどファンタジー、ゆえに魅力的でした。舞台が製作される過程、オーディションとか稽古とか舞台裏の描写とか、ガラスの仮面みたいで面白かったです。

 出演者もみんな、大熱演とか肉体改造とか派手なものではなく、地味で静か、だけど抱えている痛みや闇が観る者の胸を衝く演技で素晴らしいです。主人公の家福役の西島秀俊、顔のシワも弛みもいい感じに年齢を重ねた大人の男、いい役者になりましたね~。懐かしの「あすなろ白書」世代には隔世の念ではなかろうか。もともと好きな俳優さんですが、なかなか観たいと思える作品に出てくれないんですよね~。俺って演技が巧いだろ?的な俳優と違って、どこか不器用な感じが返って魅力的。何より、いい男!シブくて色気ある熟年になったけど、どこかまだ何となく可愛い。舞台の上でワーニャ伯父さんを演じてる時の彼、あどけない少年みたいに見える表情があったり。

 冒頭、初登場シーンは妻との営み後と思しきベッドで裸!だったのも驚喜でした。ほどよく脂ののった裸体は、妻とのセックスシーンでも披露。お尻まで出して絡んでた。これって最近の邦画、日本の人気俳優には稀有。西島さんの濡れ場だけでも一見の価値あり。すごいエロい!大胆!ではありませんが。家福が名声も才能もあるのにエキセントリックにギョーカイ人ぶっておらず、すごく優しくて紳士的だったのも西島さんに合っていて好感。たまには極悪人とかクズ男ゲス男な西島さんも見たいけど。

 高槻役の岡田将生も、これまで見た中でベストかもしれない好演でした。岡マ、ほんまキレイな顔。イケメンじゃない、美男、ていうか、美人?一緒のシーンのある女優さんが可哀想になるほど。透明感があって優しそうだけど、たまに怖い、不気味なほど酷薄で冷酷な顔に見える、そういうところも彼の個性と魅力。普段着、稽古の時の衣装も、すごく都会的でおしゃれ!美貌だけでなく、まとう雰囲気も一般人にはない清らかな華があります。美貌と才能に恵まれて、人柄もいいのに、ヤリチンで喧嘩っ早いせいでトラブルが絶えない高槻を無邪気に爽やかに、かつ何か底の知れない闇を感じさせる目つきや表情で薄気味悪く演じた岡マ。終盤、車の中で家福に音のことを話すシーンでは圧巻の長台詞!俳優としてステップアップしたな~と感嘆しました。もうキレイなだけの俳優ではないことは確かです。それにしても。高槻を見ていて思ったけど、役者さんってほんと業の深い生き物なんですね~。

 西島さんと岡マに勝るとも劣らない好演だったのが、ドライバーの渡利役の三浦透子。この映画で初めて彼女を知ったのですが、ちょっと田畑智子似?最近の日本の映画、ドラマはいつも同じようなメンツの、キレイカワイイだけ女優ばかりなので、透子ちゃんがすごく新鮮に思えました。見た目や演技にもヘンなアピールがなく控えめな、感情を表に出さない無表情さ、余計なことは言わない寡黙さなどニヒルでクール、卓越したドライビングテクニックなど、渡利のキャラは若い女の子ではなくほとんど男でカッコよかった。家福とは男と女ではなく、ゆっくりと信頼関係を培い、ラストには父と娘のような思いやりを寄せ合う関係になるのが静かに感動的でした。
 この映画、やはり何と言っても広島ロケ!私、まったく予備知識なして観に行ったので驚きました。「仁義なき戦い」や「孤狼の血」シリーズとはまた違う、文化的で美しい広島の風景、雰囲気が嬉しかったです。広島県民には馴染みある平和公園周辺や流川、新天地公園、高速4号線etc.特に印象的だったのは、ゴミ処理場の中工場。なかなかシュールな映えスポット!今度わしも行ってみようかのお。瀬戸内海も美しく撮影されているのですが、家福が広島滞在中に宿泊する家があったのは、安芸灘大橋を渡ってたから大崎下島?広島から車で1時間ぐらいで行けるの?!
 家福が演出する舞台のワーニャおじさんが、日本人だけでなく韓国人や台湾人など多国籍多言語、手話も使われてたのが独特でした。特に韓国色が色濃かった。ラスト、ある人物が韓国にいたのはどういうこと?これにもあれこれ想像、考察させられます。

 ↑ 劇中劇のワーニャおじさん、ぜひこの二人で実際にも舞台化してほしいものです。舞台にも積極的な岡マ、「ガラスの動物園」もうすぐ観に行くけんね~!

コメント (6)
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

神の島

2022-01-11 | 旅行、トレッキング
 遅ればせながら、あけましておめでとうございます!お正月ももう遠い昔のことのよう、皆さまもつつがなく普段通りの生活を送られていることでしょうか。コロナがまた跋扈し始めて、不安や苛立ちは今年も続きそうですが、心が腐らないよう楽しいこと、やりたいことは諦めずに追求したいですね!
 お正月休みは例年、家に引きこもってる私ですが、今年は世の平安を神さまに祈願すべく、宮島の厳島神社に参拝しました!そのついでに、弥山でトレッキングも楽しみました!

 朝早く、宮島口からフェリーで宮島へと渡ります。船上から宮島のシンボル、海の鳥居が見えるはずなのですが、あれ?ない?!消えた?!探してるうちに宮島に到着。久々の宮島、10年ぶりぐらいでしょうか。いつもは年中観光客でゴッタ返してる宮島ですが、コロナの影響もあってか休日でも閑散としてました。静かな宮島が新鮮、かつ寂しい。厳島神社にお参りした後、弥山を登ります。あ。そうそう。海の鳥居は、現在修復中でした。

 弥山に登るのは初めて。ほとんどの観光客はロープウェイで山頂に向かうのですが、弥山はトレッキングでも人気。私も老体にムチを打って、歩いて山頂を目指します。最近トレッキング(といっても、ハイキングレベルですが)に目覚めた私。人生初のアウトドアな趣味!もともとトコトコ見知らぬ土地を歩くのが好きで、海外旅行もそれが楽しみで行ってたようなもの。初心者向けの山でのトレッキングは、無茶や無理はしなくていい程度のそこそこなしんどさが気持ちいい。登頂した時の達成感とか、ふだん味わえない爽快感も得られます。何より、独りでできるのが私に合ってます。サークルに入っておおぜいと登るのも楽しそうですが、登山の間に気をつかうことを考えただけでドっと疲れが。ほんと、骨の髄までぼっち体質な私です(^^♪

 その日は晴天に恵まれ、冬らしからぬ陽気。登山には幾つかコースがあって、私は今回もみじ谷コースを選びました。秋はさぞや美しいことだろう、でも冬の幽寂と森閑とした風情もまた心に沁みます。そんな風景の中、マイペースに山道を進みます人っ子ひとりいない、延々と続くほとんど無音の世界は、怖いほど神秘的。確かに神さまがみそなわすことを信じられるような、清澄で厳かな静けさです。マイナスイオンな清涼な空気で森林浴、確かに心身の浄化作用がありそう。もみじ谷コースはほとんど石段で、けっこうキツかった。でも小一時間ほどで弥山の本堂に到着、そして山頂にゴール!グリコ!

 穏やかに晴れた、のどかな冬の瀬戸内海を見おろしながら、ちょっと早めの昼食。心地よい疲労感まじりの達成感と満足感。そんな一年になるといいな。自己満足ですが、それでいいんです。帰りは違うコースでゆっくり下山しました。大元公園に到着すると、あまり見かけなかった鹿が群で草を食んだり水を飲んだりしていました。宮島といえば、やはり鹿さん。ベンチに座って水筒をリュックから取り出そうとすると、今まで知らんぷりしてた鹿さんたちが、いっせいにハっと私に注目。わらわらと寄ってきました。何か食べ物をもらえると思ったのでしょう。神の御使とは思えぬほど、意地汚い連中です。

 近い!近すぎる!密です!ゾンビのように私に群がる鹿さんたち、可愛いんだけど怖い!私を食わんばかりな必死さです。私が食べ物を持ってないと気づいたのか、しばらくするとス~っと散り散りに引いていきました。

 お昼過ぎの宮島は、いつの間にか観光客でにぎわってました。朝早くだったから人が少なかったのかな。なら、宮島は朝がおすすめ。お土産屋が並ぶ通りを歩く。宮島に来たら必ず食べるのが、揚げもみじ。カリっと甘くて美味しいんよ~。

 桟橋に戻ってフェリーに乗って、日が暮れる前にはもう帰宅してました。参拝とトレッキングで、気持ちいい年の始めになりました。今年こそ生きててよかった、生きていたいと思える年になりますように!皆さまにとっても、楽しく幸せな一年になりますように!今年もよろしくお願いいたします(^^♪
コメント (5)
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする