まつたけ秘帖

徒然なるままmy daily & cinema,TV drama,カープ日記

デスパレートな外道ども

2021-02-28 | 韓国映画
 お松の韓流いい男映画祭⑥
 「藁にもすがる獣たち」
 事業に失敗しホテルのサウナで清掃のアルバイトをして生計を立てているジュンマンは、大金の入ったバッグをロッカーの中で発見する。やがてそれをめぐって、欲望にかられた男女が血みどろの争奪戦を繰り広げることに…
 おもろかったです!こういう非ポリコレな野蛮でゲスい映画、大好きです。韓流映画はやっぱこうでなきゃ。今の邦画ではもう望むべくもない内容と役者たちの演技を堪能。原作は日本の犯罪小説だとか。何で日本で映像化しないの。もったいない。原作は未読ですが、おそらく映画には韓国ならではの残虐さと下劣さが加味されて、パワーアップされたものになっていると思います。善人が誰一人出てこず、優しい甘い情などいっさい排除された、悪と負の濁流のような映画です。こういう映画を観るたびに、つくづく思い知ります。いい人のいい話よりも、悪い奴の悪い話のほうが断然おもしろい!と。

 とにかく出てくる連中、悪のレベルの違いはあるにせよ、どいつもこいつも外道なんですよ。金は人を狂わせるというけど、ここまで人の道を踏み外せるものなのか、と呆れるほどに鬼畜と化してます。金と保身のために、躊躇なく容赦なく邪魔者を惨殺しまくる血まみれ血みどろの地獄絵図なのですが、あまりにも必死すぎたり平然としずぎたりな外道っぷりは、どことなく滑稽で笑えるんですよ。笑いもかなり狙ってる作りになってます。ブラックバイオレンスコメディ、とでも言いましょうか。ワケアリの悪党どもが入り乱れて阿鼻叫喚、無残かつ意外な結末を迎えるという、クエンティン・タランティーノ監督が好きそうな題材。

 コメディ要素があるとはいえ、やはり韓国のバイオレンス描写はエグい。韓国のヤーさんって、ほんと怖いよ。邦画の「孤狼の血」とか、甘い甘い。イケメンや男前俳優がイキってスゴんでる邦画のヤクザとは、風貌も蛮行もヤバさの度合いが違います。この映画の街金社長とその子分とか、ヤバすぎてほぼホラー。脅す手法とか凶器とかも、身体の前にメンタルを潰すに十分な残酷さ非道さ。銃とかじゃなくて、刺身包丁とかナタ、トンカチとか、すぐには殺さず地獄の恐怖と苦痛を与えるための凶器なのが怖すぎます。韓国人はとにかくメッタ刺しとバラバラ解体が好きみたいで、この映画でも多用されてます。かなりキツいエグい残酷シーンがあるので、気の弱い人は要注意です。

 冒頭、何者かがロッカーに大金が入ったヴィトンのバッグを入れるシーンから始まるのですが、誰が入れたのか、誰の金なのかが次第に判明する展開、そして最終的に誰が金を手中に収めるのか、怒涛の修羅場の中で伏線も回収しながら結末に至る脚本も巧妙で、そういうことか、そうきたか、と膝を叩かせ最後まで飽きさせません。
 この映画の素晴らしいところは、非情で下劣な外道役を人気スターたちが演じてるところ。入国管理局の役人テヨン役のチョン・ウソンが絶妙な好演!

 最近は悪役や脇役も積極的にこなして脱2枚目に成功し、いい性格俳優に成長したウソン。この作品の彼も、若い頃の彼を知ってる韓流ファンが見たら、あのウソンがこんな役を!と目を丸くするに違いありません。女に騙されて借金を背負わされたダメ男、かつズルくてセコい小悪党なウソン、そのオドオドした卑屈な表情やアタフタした動き、必死すぎるけどトボけた味わいもあって笑える。小市民なクズ役でかつてのイケメンっぷりは見る影もない、というわけではなく、やっぱカッコいいです。長身でスマート。ヨレた服装でもだらしなく見えない。男前は何しても男前ですが、日本の男前俳優は絶対やらない役を楽しそうに演じてたウソン、その役者魂には感服するのみです。劇中、ちょっとだけ脱いでます。

 最も強烈なのは、韓国きっての名女優チョン・ドヨンの毒婦っぷり。とにかく毒々しく禍々しい!まだ生きてる女を電動ノコギリでバラバラにするなど、劇中ではNo.1のケダモノを怪演してます。人としての心など一片もない、生まれながらの悪!ヤバい瘴気を巻き散らしてるのですが、クール&コケティッシュで人を蕩かすような魅力にもふれていて、こういう邪悪な女役は女優ならやってみたい、けどなかなか挑戦しづらい役なのでは。日本の女優にはまず無理。
 
 ジュンマン役のペ・スンウは「ザ・キング」で、極道社長役のチョン・マンシクは「アシュラ」で(どっちにもチョン・ウソンが出てましたね)もインパクトありましたが、今回もかなりのものでした。人妻にそそのかされて保険金殺人に手を貸す若者役は、「詩人の恋」が好評だったチョン・ガラム。彼も劇中、ちょっとだけ脱いでます。出番は少ないながらもチョン・ドヨンに劣らぬ強烈さだったのが、「ミナリ」で韓国俳優初のオスカー候補が期待されてる売れっ子ばばあ女優ユン・ヨジョン。因業な痴呆症ばあさん、その言動もまた怖くて笑えます。
 ラストは、めぐりめぐって結局…みたいな感じになるのですが、またネコババ?!いくら金に困っているとはいえ、他人の金、しかもどう考えても胡散臭いヤバい金を。韓国の国民性や底辺社会の厳しさに戦慄せずにはいられません。
 この映画、日本の小説が元なのでぜひ日本でも映画化してほしい!イルボン版の理想妄想キャストはこうだ!
 
 ヨンヒ ・・・ 深津絵里
 テヨン ・・・ 向井理
 ジュンマン ・・・ 大森南朋
 ジュンマンの妻 ・・・ 江口のりこ 
 社長 ・・・ 六角精児
 人妻 ・・・ 本仮屋ユイカ
 その愛人 ・・・ 岡田健史
 ジュンマンの母 ・・・ 倍賞千恵子

 こんなん出ましたけどぉ~?
 チョン・ドヨンと深津絵里って何となくカブるんですよね~。クズでゲスなムカイリーが見たい。

 ↑チョン・ドヨンとチョン・ウソンは1973年生まれの同い年だって!いい役者たちですよね~
コメント (4)
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男は狼なのよ気をつけなさい

2021-02-23 | 韓国映画
 お松の韓流いい男映画祭⑤
 「人狼」
 2029年の韓国。警察の特機隊員イムの目の前で、テロ組織セクトのメンバーである少女が自爆する。イムは少女の姉ユニに妹の遺品を届けるが、ユニは特機隊を手中に収めようとしている公安部に脅され、イムを陥れようとしていた…
 日本の有名なアニメ映画の韓国実写版。ブレードランナーみたいなSFに近い近未来アクションものかと思ってたのですが、そんなに遠い未来の話ではなく、そんなに荒唐無稽な話でもなかったように思えて意外でした。韓国ならありえる、みたいな未来の世界でした。テロやデモ、政治の不安定さなどで殺伐と混沌としてる世界が今の韓国とも十分カブって、決して非現実的ではありませんでした。ゆえに、ビジュアル的にもストーリー的にも目に珍しい楽しい近未来感が薄く、どこかで見たことがあるような、ありふれたフツーの映画な印象は否めませんでした。銃撃戦やカーアクションも、激しいのですがかなりとってつけたような感じ。ソウルタワーの展望台から窓を割って飛び降り脱出とか、大真面目にやってるのが返って滑稽で笑えた。

 終始シリアス調で展開するのですが、絶体絶命なサバイバルの緊張感もないんですよね~。激しいわりには全体的にユルいというか。特機隊も公安もテロ組織も、どこか抜けてるというか甘いというか。組織の容赦のない非道さ冷酷さ、残酷さが韓流の魅力なのに。イムとユニの淡い哀しいロマンスとか、こういう映画では話を甘くするだけで不必要だった。いかにも韓流な純愛よりも、任務のために敵を迷いなく殺戮する人狼がどのようにして人間性を失ったのかのプロセスや、人間性を取り戻す愛の描写をもっと丁寧にしてほしかったかも。
 お話はイマイチでしたが、キャストは豪華。韓流ファンにはおなじみの主演級スターが競演しています。

 主役のイム役はカン・ドンウォン。彼ももう40歳!さすがにかつての少年っぽさとかヒョロっと感はもうないのですが、おっさん感も全然ないです。年齢不詳な見た目。若い頃から私にとっては非イケメンだけど、似たような男がいない個性的な顔。韓流男優のほとんどは筋肉自慢で、やたらと脱ぐのがお約束のお家芸なのですが、カンちゃんは長身だけど非モムチャンでほとんど裸は見せない俳優。その彼が、珍しく上半身裸を披露してたので驚きました。ジムでトレーニングしてるシーンなのですが、軍人役ということで増量したのか、どっしりと骨太な肉体になってました。でも横からチラっとしか見せないところが非ファンサービス。せっかく男らしくなったし年も年なので、そろそろ漫画な映画や役は卒業してほしいものです。

 特機隊の隊長役はチョン・ウソン。最近は主演にこだわらず助演にも積極的なウソンですが、それが功を奏して脱二枚目、味のある性格俳優へと進化。任務や掟に厳しいけど情もある役を好演してましたが、ウソンじゃなくてもいい役ではあったような。やっぱ彼、何やってもカッコいいんですよね~。なのでまだカッコよさを捨てなくていいのでは、とも。主役オーラがまだ十分あるので。
 元特機隊員の公安部員ハン役のキム・ムヨルは、今や若手随一の性格俳優なのでは。どんな役もソツなくこなしてます。ワタシ的には「イルジメ」のバカお坊ちゃん役が最高なのですが、この映画では憎々しく卑劣な、どんどん狂気的になってゆくエリート役で、なかなか鬼気迫ってました。

 イムの後輩特機隊員役で、アイドルグループSHINeeのメンバーであるミンホも出演してます。シャイニーの中で私が一番好きなのがミンホ。ソロで俳優もしてる彼の演技、初めて見ました。ポニャっとした童顔が可愛く、東洋人離れしたスタイルのよさがカッコいい格闘シーンで駆使する手足の長さときたら。ハンに捕まって拷問されるシーンでのフテブテしさも男っぽくて素敵でした。押しピンを脚や胸に刺されて悶絶する表情と声がセクシーでした。少ない出番と無残な末路が、ファンとしては残念でしたが。

 ユニ役は、こないだ観た「ただ君だけ」でもヒロインだったハン・ヒョジュ。今回は翳りのあるワケアリ女役。若い頃の大塚寧々を優しそうにした感じ?イムにハニートラップを仕掛けるのですが、童話の赤ずきんちゃんと重なるキャラなので純真な乙女なアプローチなのが、いかにも韓流女優でつまんない。そういえば彼女とキム・ムヨルって「イルジメ」では兄妹役でしたね。
 主なバトルフィールドとなる迷宮のような地下道のセットと、ちょっと近未来的なソウルタワーが印象的でした。ソウルタワーやロープウェーから臨む夜景が美しかったです。ソウルタワー、登りたかった。私が韓国に行った時、工事中だったんですよ!何というタイミングの悪さ!

 
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公爵さまと中出しNG婚

2021-02-19 | 欧米のドラマ
 Netflixの人気ドラマ「ブリジャートン家」を観ました~(^^♪全8話。
 19世紀初頭のイギリス。名門ブリジャートン家の長女ダフネは、ふさわしい結婚相手と出会うべく華やかな社交活動に勤しんでいた。そんな中、ダフネの前に裕福な独身の公爵サイモンが現れ…
 イギリスの時代劇が大好きなのですが、このドラマ、かなり従来のものとは毛色が違ってます。いちおう19世紀初頭、摂政時代のイギリスを舞台にしてるみたいなのですが、ほとんどパラレルワールド。史実にとらわれない自由な設定になっていて驚かされます。時代考証を重要視する、意識高い正統派時代劇ファンが観たら、かなり困惑したりバカらしく思えたりするかもしれません。黒人やアジア系など有色人種の王族や貴族が、当たり前のようにいるのです。非イギリス的なのは、人種うんぬんスルー設定だけではなく、ストーリーの進み方とかキャラの言動とか、かなりアメリカのドラマっぽいところ。「高慢と偏見」を「ゴシップガール」風にアレンジ、とても言いましょうか。華やかで軽やかだけど、優雅とか高貴といった感じはないです。

 アメドラっぽいので、まどろっこしさとかかったるさといった、途中リタイアさせる要因が見事なまでになく、次から次へと面白おかしく事態が動くスピーディな展開、ワケアリで個性的な登場人物たち、ロマンティックでシャレオツ(死語?)な会話や恋の駆け引き、華やかでリッチな衣装や貴族生活、そして大胆すぎるラブシーンetc.退屈させない製作者の手腕、出演者の魅力にはただ感服。とにかく面白いのですが、イギリスの時代劇らしさがないのはやはり、イギリス好きにはちょっと残念でもありました。衣装とか、女性は淡く優しいカラフルさでカワイイ、男性はスタイリッシュで目に楽しいけど、実際にはあんな服は着てなかったはず。とにかくイギリスをモデルにした仮想世界、と割り切って観る必要があるドラマです。こんなこと当時のイギリスでありえない!なんて間違い探しや粗探しは、野暮な時間の無駄です。

 それにしても。婚活のために新しいドレスの仕立てやパーティーに明け暮れる貴族たち、まさに命がけな必死さなのが滑稽なのですが、庶民からしたらひたすらバカらしく、もっと有意義なことに時間をお金をかけたらいいのに、なんてイラっともしました。働かずしてあんな生活ができるなんて、ほんと羨ましい、けど無為すぎてもったいない。同じイギリス時代劇でも、血で血を洗う権力争いものは大好きですが、恋愛や結婚のことしか頭にないような話は何だかな~です。こんなことに王族や貴族が血道をあげてる一方で、庶民は塗炭の苦しみにあえいでいる、そんな格差社会の厳しさなどもスルーされています。人種の分け隔てはなくなってたのに、身分差は不変なのです。

 アメドラ、ハーレクイン小説なドラマなので、登場人物のキャラや人生の描写には深い掘り下げなどはないのですが、みんな個性的でチャーミングでした。ヒロインのダフネも、高慢と偏見の女たちほど鼻につかず、優しくて聡明で気高く、それでいてしたたかな策士でもあるところに好感。あんなに賢い彼女なのに、セックスについては無知だったのが不思議。当時の貴族の子女ってみんなあんなだったの?ダフネと恋に落ちる公爵さまのサイモンも、いかにもロマンス小説好きの妄想が生んだ理想の男なのですが、しょーもないことでウジウジしてるのでイラっとしました。

 私がいちばん好きなのは、ダフネの妹エロイーズです。婚活とかバカらしい、男に頼らす自立して生きたい!と願う彼女の言動は、かなり今日的で共感。女たちはみんな男たちに盲従せず、男社会の理不尽さにも耐え忍ばず、声高に自己主張もするところも時代劇っぽくないです。そういったフェミニズムや有色人種への扱いなど、時代に配慮というか忖度した作りになってるのが印象的です。
 出演者はみんな誰?な人たちばかりで有名スター皆無なのですが、すごく魅力的でフレッシュでした。ダフネ&サイモン役のフィービー・ディネヴァーとレジ・ジーン・ペイジが美男美女!どんなツーショットも絵になるカップルでした。フィービーはすごく清楚で柔らかい優しい可愛さだけど、女子女子した媚びやブリッコさは全然なく、凛と颯爽としてるところに好感。彼女も新鮮でしたが、レジは結構センセーショナル!
 
 黒人のイケメン、男前俳優はあまたいますが、ここまでのハイレベルな美男は稀。ぶっちゃけ、私が知ってる黒人俳優の中では、ルックスだけだと最強かも。スタイル完璧すぎ、でもお人形的なものではなく、野性的で生々しい♂のフェロモンも濃厚。これでもか!と色気をまき散らし、必要以上に脱ぎまくってます。神々しいまでの肉体美です。このドラマ最大の見どころは、二人の熱く濃密なラブシーン。結ばれた後は、タガが外れたかのように盛り狂って所かまわずヤリまくり濡れ場なんてもう死語になってるポリコレ時代に、ここまでやるとは!と感嘆感激。特にレジの脱ぎっぷりはお見事。惜しげもなく美尻を出して激動させてますし。大胆だけどイヤらしさはないです。スカっとした運動みたいです。ある事情で子どもを作りたくないサイモンが、絶頂と同時に慌てて外出しするのが、悲壮なはずなのに何か笑えたわ。

 ダフネの兄、ブリジャートン家の嫡男アンソニー役のジョナサン・ヘイリーも、なかなか男前でした。次男と三男はブサイクではないけど、もうちょっとイケメンにしてほしかったかも。3兄弟の恋愛話はかなり陳腐で余計。次男が仲良くなる画家が男色家、という設定も全然活かされてなかったし。女性と人種だけでなく、LGBTにも忖度、ていうか、腐受け狙いなBLエピソードやシーンがほしかった。ダフネを見初めるプロシアの王子さまがカッコカワいかった。サイモンや3兄弟は衣装とっかえひっかえだったのに、王子さまだけいつもどこでも同じ格好なのが可哀想で笑えた。

 エロイーズと親友のペネロピが、見た目もキャラも味があって、二人の友情もいい感じに描かれていました。上流社会の人々を翻弄する謎のゴシップ記者レディ・ホイッスルダウンの声が、名女優のジュリー・アンドリュース!ホイッスルダウンの正体が最終回に明かされるのですが、そんなに意外でもなかったような。
 続編の製作が決定したみたいで、喜ばしいかぎり。楽しみですね(^^♪今度はどんなイケメンが登場することでしょうかレジとフィービーは映画界でも活躍してほしいものです。
 
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地獄めぐり

2021-02-14 | 韓国映画
 お松の韓流いい男映画祭④
 「神と共に 罪と罰」「神と共に 因と縁」
 殉職した消防士のジャホンの前に、冥界からの使者カンニム、ヘウォンメク、ドクチュンが現れる。3人はジャホンに生まれ変わるための裁判を受けさせるため、彼を地獄へと連行する。一方、ジャホンの弟スホンも、軍務中に誤射で命を落としてしまい…
 豪華キャストが話題になったファンタジー大作2部作。最近はもう当たり前になってる、無理やり引っ張って観客に2本観させて稼ぐ方式は、正直あまり好きではないし、ファンタジーも苦手なので、通常ならスルーする系統の映画なのですが、いい男が出てるなら話は別です。韓流ファンにはおなじみのスターがキラ星のごとく出演しているのですが、好きな男優が奇抜な衣装やメイクで地獄の住人や怨霊に扮してるのが目に楽しく、そんなに好きではなかった男優の好演に感銘を受けたり、なかなか収穫の多い映画でした。キャストの中で最も好きなのは、閻魔大王役のイ・ジョンジェです。

 ジョンジェ、やっぱカッコいいですね~ザンバラ長髪も束ねた髪も、どっちも素敵。ワイルドで威風堂々とした大魔王っぷり、ハスキーだけど朗々とした声にも惚れ惚れ。威厳がありつつもどこか優しさ、情の深さも感じさせる器の大きさも、ジョンジェらしかったです。特別出演、友情出演にしては出番も見せ場も多く、重要な役でもありました。出演者の中で最も大物扱いされているのは一目瞭然だし当然。ラストに判明する正体には驚かされますが、あれ必要だったのかな~とも思った。

 次に好きなのは、スホン役のキム・ドンウク。「コーヒープリンス1号店」も今や懐かしのドラマ、可愛かったドンウクくんも月日を経て味のある個性派俳優に。「後宮の秘密」の全裸ズコバコ王さま役にはお口あんぐりでしたが、ほとんどの若い俳優にはない気概とチャレンジ精神には感嘆。この映画の彼は、彼らしいちょっとトボけてるけど抜け目のない若者役。無念の死を遂げて怨霊になるのですが、ひょうひょうと愛嬌たっぷりで可愛いです。アホ顔だけどドンウクくんもガタイがいいので、軍服がよく似合ってました。軍隊のダメ後輩への男らしい優しさも、弟キャラだった彼の成長が感じられました。

 次は、スホンのダメ後輩、要注意兵ウォン一等兵役のド・ギョンス。アイドルグループのメンバーで、ドラマ「100日の郎君様」ではツンデレなイケメン王子さまだった彼が、結構ヤバい役、演技で驚きました。要注意って、素行不良系ではなくオツム系、情緒系?キョドった言動といい目つきといい、かなりスレスレ系。アイドル俳優らしからぬメンヘラっぷりに瞠目。田舎くさいイモっぽさも可愛かったです。スホンの友人で中尉役のイ・ジュニョクもイケメン!閉鎖的で窮屈な軍隊生活こそ、私には現世の地獄に思えた。

 ジャホン役は、懐かしの大ヒット作「猟奇的な彼女」のチャ・テヒョン。久々に見たけど、あまり変わってないですね。超絶お人好し役も不変。主役である冥界の使者カンニムとヘウォンメク役、ハ・ジョンウとチュ・ジフンは、見た目がタイプじゃないのですが、いい役者だなとこの映画を観て思いました。特にヘウォンメク役のチュ・ジフンは、冷酷そうな爬虫類顔とギャップのあるコミカルな演技で、いちばん目立ってました。おじいさんにビンタを2回もされるシーンのリアクションが面白すぎ。コメディ演技、巧いですね。前世での悲しい運命の戦士役との演じ分けもお見事でした。スラっとした長身にスマートな冥界服が似合っててカッコよかった。人間界で暮らしている屋敷神の役で、マ・ドンソクが第2部で登場。極悪レスラーみたいなコワモテ&マッチョだけど優しい役。彼もおじいさんにビンタされてオロオロ。おじいさん、ヨボヨボなのに最強キャラでしたね(笑)。地獄の裁判官や検察官役で、オ・ダルスやキム・ハヌル、キム・ヘスクなども顔を見せていました。

 いろんな地獄めぐりも楽しかったです。セットよりもCGで固めていたので、ちょっとチープな感じがしないでもなかったけど。地獄のイメージや生死観が日本と近しいところにも共感。第1部は ジャホン一家の不幸がかなりお涙ちょうだい。ろうあ、極貧、そして息子二人がそろって不慮の死とか、お母さんの人生が悲惨すぎる。韓国の社会底辺者の生活も、まさに地獄。いまだにこんな場所や住居があるの?!くず鉄拾いとかやってる人いるの?!と目を疑う底辺描写も韓流ならでは。コメディ要素が濃い第2部のほうが好きです。カンニムとヘウォンメクの前世での因縁が衝撃的。あんな悲劇的な関係だったのに、1000年も前のことだからまいっか、みたいなハッピーエンドがちょっとノーテンキすぎ。何だかジャンプの漫画にありそうな内容だなと思たら、ウェブ漫画が元だとか。ジャンプの漫画が好きな人はすごく楽しめると存じます。
 この映画、日本でリメイクされるとしたら、理想妄想イルボン版はこうだ!
 
 カンニム ・・・ 妻夫木聡
 ヘウォンメク ・・・ 岡田将生
 ドクチュン ・・・ 平手友梨奈
 ジャホン ・・・ 田中圭
 スホン ・・・ 仲野太賀
 ウォン一等兵 ・・・ 赤楚衛二 
 中尉 ・・・ 町田圭太
 屋敷神 ・・・ 青柳翔   
 閻魔大王 ・・・ 竹野内豊 
  
 こんなん出ましたけどお~?
 ブッキーと岡マのツーショットは、ビジュアル的にはかなり美味しいと思います。チュ・ジフン似の長谷川博己がヘウォンメクに最適だとは思うけど、もうちょっと若いほうがベターだとも思うので岡マに。閻魔大王役は井浦新でもよさげ。
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人を呪わばイケメンふたり

2021-02-11 | 日本映画
 韓流映画祭、まだまだ続くのですが、ちょっと休憩(^^♪
 若い頃のように貪欲な読書はできなくなったのですが、あまり長くないライトな小説なら楽しんでます。最近はBL小説ばかり読んでます木原音瀬の「箱の中」面白かったです。今は「赤と白とロイヤルブルー」読んでます。アメリカ大統領の息子とイギリスの王子が恋に落ちるというトンデモ設定なのですが、映画化されたら誰がいいかな~と妄想しながら読むのが楽しいです。巣ごもりで配信映画鑑賞や読書もいいけど、安心して映画を観に行ったり旅行できる日が早く来るといいですね!


 「さんかく窓の外側は夜」
 幼い頃から霊が見えることに悩んでいた三角康介の前に、除霊師の冷川理人が現れる。冷川に誘われ彼の助手となる三角だったが…
 最近の邦画には、内容といいキャストといい、ほとほと絶望している私なのですが、それは狭量な偏見と先入観のせいなのかもしれません。くだらない、つまんなそうと端っから拒否するような食わず嫌いは矯めたいです。この映画は、そうしてよかったと思えた作品でした。想定外に面白かったです。私、ファンタジーは苦手だけど、オカルトは好き。そしてご存じの通り、私は筋金入りの腐。オカルト+BLという、美味しい組み合わせな映画でした。ただし、どっちの要素もライトで薄いので、コアなオカルト好きや腐にはちょっと物足りないかもしれません。

 まずはオカルト部分。ぶっちゃけ、ぜんぜん怖くないです。私はホラー不感症なので、怖いはずのシーンも笑ってしまうんですよね~。怨霊とかより、殺人鬼が死体をバラバラにしてるシーンのほうがウゲゲでした。こういう映画を観るにつけ、霊感とかある人ってホント大変だな~と同情を禁じ得ません。呪い殺す能力は、ちょっと羨ましいかもと思ってしまいましたが話と構成が、ちょっと複雑?それとも脚本と演出が粗かっただけ?よくわからない、ん?え?どういうこと?なシーンや展開が多々あって、そういうのが今ドキな手法みたいだけど、それこそが映画をライトで薄いものにしてしまう要因なのかな、とも思いました。

 それにしても。冷川って除霊師どころじゃないよ。人間じゃない。能力はほとんど悪魔に近い。三角との契約書とか、ほとんど魔力。でもそんなに能力を活かして大活躍はしてなかったような。彼が少年の頃に教祖さまをしていた邪教が、また悪さをしているという設定みたいでしたが、その教団のやろうとしてたことも説明不足。謎の女子高生エリカが、なぜ教団の言いなりになって呪殺を続けていたのかも不明。冷川もエリカも、あんなに人を殺しまくったのに、ほとんど罪悪感もなく、刑事の奥さん救っただけで世界平和のために死力を尽くした、みたいな英雄然だったのが腑に落ちなかった。それにしても冷川さん、いったいどんな経緯で心霊探偵になったんだろう。社会から隔絶されて教団内で育った子、と言えば。オ〇ム真理教のアーチャ〇ーを思い出しました。やたらと焼き肉を食ってる冷川ですが、その理由がちょっと切なくて可愛かったです。

 次に、BL部分。BLではなく、いま流行りのブロマンスなコンビ設定ですが、ブロマンスって恋愛感情や性的な雰囲気はない、友情と信頼で固く結ばれた、仲間にしては熱すぎる仲が良すぎるノンケ同士の関係、と私は定義しているのですが、冷川と三角はそんな感じではありません。ブロマンスな男たちは、今にもキスしそうに近づいたり、バックハグしたり、手をつないだりなんかしませんし。BL的な台詞やシーン満載ながら、イマイチ萌えなかったのはなぜ。こうすりゃ女どもは喜ぶだろ的な安易なあざとさと、二人があまりにもキレイな中性的風貌なので、男が男と!な禁断の匂いがしないということが、萌えを阻んだのでしょうか。

 冷川役の岡田将生が、やっぱ美男子!ゴロゴロいるちょっとイケメンレベルとは雲泥の差な美貌。さすがにちょっと老けたけど、ぜんぜん劣化はしてません。きれいな顔!優しそうだけど、笑顔が酷薄で不気味なのが役に合ってたかも。長身でスタイルいい。女よりほっそりな体型。そんなに儲かってない探偵にしては高価そうで上品な服も、似合っててカッコよかったです。三角(サンカク、ではなくミカド)役の志尊淳も、思ってたほどキャマキャマしくなくて安心。女より可愛い顔してますね~。それをよく自覚してるような演技が、「劇場版おっさんずラブ」とかでは鼻についたけど、今回は地味で暗い役だったおかげで不快感はなかったです。意外と小柄?長身な岡マとかなり身長差があったような。二人ともふとキャマっぽくなる瞬間があり、演技では隠せない地が出たようで微笑ましかったです。

 呪いの女子高生エリカ役は、欅坂を卒業?脱退?直後の平手友梨奈。初めて演技してるところを見ましたが、うう~ん。ヘタだけど独特の雰囲気と個性はありますね。ぶりっこじゃないところが最大の魅力。A村とかY岡とか、もうCM見ただけで不快になる頭痛がする気色悪いブリっこ女優には辟易してるので、平手ちゃんみたいな誰にも媚びないニヒルな一匹狼女子って稀有で魅力的です。漫画みたいなオカルト顔も役に合ってました。血ヘド吐いたり目ひんむいて奇声あげたり、非アイドルな仕事っぷりには拍手。いろいろ中途半端にやらず、演技に専念していい女優になってほしいです。
 怪奇現象や怨霊よりもショックだったのは、脇役の顔ぶれ。三角の母役は和久井映見、邪教の新教祖役は筒井道隆。はじめ誰だか判んなかった。人気絶頂だった若い頃の二人、すごく好きだったんですよね~。かつてはいろんな映画、ドラマで主役を張ってた彼らが今は…隔世すぎて、わし世代にとっては結構せつない現在の二人でした。北川景子が、エリカに呪い殺される弁護士役で友情出演してました。チョイ役でしたが、彼女も老けたな~。平手ちゃんや景子さんよりも、岡マと志尊くんのほうが美人

 ↑ 終わり方からして、続編あり?ぜひ実現してほしいものです。同じ岡田主演でも、准一のザ・ファブルと違って将生のほうの続編は観たいです
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スターは落ち目が大事

2021-02-03 | 韓国映画
 お松の韓流いい男映画祭③
 「チャ・インピョはどこへ消えたのか?」
 かつては2枚目俳優として人気を博したが今は落ち目なチャ・インピョは、そんな現実を受け入れずプライドと仕事への情熱はトップスタ―級で、マネージャーのアラムを振り回す毎日を送っていた。愛犬と散歩中、アクシデントに遭い泥まみれになったインピョは、仕方なく通りかかった休校中の女子高のシャワー室を利用するが…
 チャ・インピョが本人役で、よく引き受けたな~と呆れるほど自虐的な設定と演技でした。彼の出演作は「木浦は港だ」とドラマの「レディプレジデント」しか観たことがないのですが、それらの彼は確かに二枚目でカッコよかった。キザな金持ちの役が似合う俳優ですね。おっさんにはなったけど、今でも十分イケてますよ。若いだけのイケメン俳優より好きです。作品と役しだいで、シブい熟年男性の魅力を発揮できるはず。韓国には魅力的で実力ある熟年俳優、日本より多くいると思うし。この映画の中では、韓国の4大スターとしてソン・ガンホ、チェ・ミンシク、イ・ビョンホン、ソル・ギョングの名前があがっていて、やっぱその4人だよね~と納得しました。その4人と同列扱いされたがるインピョ氏ですが、心の底ではやっぱ自分は格下と知ってる感じが何だか哀れでした。そんな風に、いまだにスター気取り、スターと思い込んでるようだけど、実は自分が落ち目であることは痛感してる、でもそれを認めて諦めという楽な道を選ばず、必死になって輝きを取り戻そうとしている姿はひたすら滑稽なのですが、老いを言い訳にしてアレもできないコレもやらないな人たちは見習うべき前向きさだと思いました。

 でもそういうピュアな前向きさよりも、とことん勘違い、現実が見えない、昔の自分に執着、他のスターに嫉妬・憎悪、といった老いた男の生々しい醜悪さを嗤う内容にしたほうが、インパクト強烈で面白くなったはず。自虐的なんだけど、純真で真面目で善い人な面も強かったので、徹底的な自虐にはなってなかったのが惜しい。日本でいえばビートたけしのコマネチやシュウペイのポーズみたいに、インピョ氏は人差し指を振るのがトレードマークみたいで、それも自虐ネタになってるのですが、韓国における彼のパブリックイメージを知ってたらもっと笑えたかも、なシーンも多かったです。
 徹底的な自虐ではなかったとはいえ、よくやるな~ここまでする?という珍妙で恥ずかしい姿は、驚異的で賞賛に値します。いくら何でも、阿部寛や反町隆史とかは絶対にやらないでしょうし。とにかくコケにされまくるインピョ氏が、笑えるというよりイタいです。カッコつけてるのがイタいキムタクとは、また違ったイタさです。キムタクより全然カッコいいのに、あえて2枚目路線からの脱線を試みたインピョ氏の果敢さ、そして焦りがめでたく新境地に、とは結果的にならなかったのがイタい映画です。

 女子高のシャワー室を使用中、学校が崩落して全裸で生き埋めになってしまうインピョ氏、劇中ほとんど裸です。50過ぎてあの肉体美はスゴいわ。あの胸板の厚さ、腕の太さ、まるで北斗の拳のリアルバージョン。アラムに説得されても、絶対に救助を要請させないインピョ氏。いくらアソコ丸出しでマスコミの前で救出されたくないとはいえ、そんなこと言ってる場合じゃないだろ!頭おかしいんじゃないの?!と、笑えずイラっとするだけでした。女子高生のパンティをはいた姿もイタすぎる。愛犬と散歩中のインピョ氏に気づいて絡んでくるおばさん連中が、ありえないほど失礼で傍若無人。私がインピョ氏なら殴るわ。あんな人たちいるわけない、けど韓国にはいるかもと思ってしまう、映画やドラマでよく見る韓国人のものすごい下卑てて利己的な人柄って、決してオーバーな描写じゃないんだろうな。日本人のように人の目や心を気にしない国民性なのでしょうか。
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