まつたけ秘帖

徒然なるままmy daily & cinema,TV drama,カープ日記

悪魔を受胎した若妻!

2019-03-28 | 北米映画 60s~70s
 すっかり春めいてきましたね(^^♪もう眠くて気怠くて、24時間春眠していたい季節の始まりです
 我が家の庭や職場のプランターにも、春の慎ましい到来が。

 芽キャベツ!知らん間にチョコチョコっとできてた!シチューに使いました。すごく美味しかったです!こないだ職場でスナックエンドウの苗を植えました。夏は頑張ってトマトとキュウリに挑戦したと思ってます

 ほったらかしでも毎年元気に咲いてくれる、ユニークで可愛いラケナリア。

 大好きなギボウシが地中から芽を出すと、春の訪れを実感します。

 裏庭のトリカブトも、やっと姿を現してくれました。根っこは猛毒、でも花はきれい。

 ホームセンターで衝動買いしてしまったミニバラ🌹
 皆さまのもとには、どんな春の使者がやって来てますでしょうか🌸

 「ローズマリーの赤ちゃん」
 売れない俳優のガイとその妻ローズマリーは、マンハッタンにある古いアパートに引っ越す。そこには不吉な噂がまつわっていた。住人のカスタベット夫妻の養女が投身自殺する事件が起き、それがきっかけとなりガイは老夫婦と親しくなる。ローズマリーは親切だが過干渉気味のカスタベット夫妻に苛立ちや不安を覚え始める。そんな中、悪魔に犯される夢を見たローズマリーは妊娠するが…
 名匠ロマン・ポランスキー監督の初アメリカ映画。近年もそこそこ面白い作品を発表してるポランスキー監督ですが、まさに神がかってた60・70年代の傑作に比べると、やはり衰えは否めません。オカルト映画の名作としても有名なこの作品も、神ってた時代のポランスキー監督の代表作のひとつです。
 オカルト映画といっても、いかにもな恐怖シーンもスーパーナチュラルなシーンもなく、霊やモンスターなどもいっさい登場しません。不安と恐怖、そして疑心暗鬼に陥ったヒロインが、狂気的な言動や妄想に墜ちていく姿を描いた、オカルトというよりもどちらかと言えば「反撥」や「テナント 恐怖を借りた男」と同じニューロティックな映画。わけありなアパート(外観で使用されたのは、ジョン・レノンとオノ・ノーコが住んでいたことで有名なダコタ・ハウス)、怪しい隣人、不可解な出来事、悪夢かうつつかなシーン、じわじわとコワレていく主人公…監督自身が主演した「テナント」とちょっとカブります。

 ヒロインの心を蝕む不安や疑念は、漏れたガスのようにはじめはうっすらと、しだいに濃ゆく強烈になっていくのですが、ラストで大爆発はせず、充満したガスの臭いに慣れてむしろ苦しさよりも心地よさを覚えてしまう、という危険で奇妙な感覚もまた、凡百なオカルト映画と一線を画しています。異臭がするペンダント、怪しい飲み物、タンスで隠されていたクローゼットetc.小道具や伏線の張り方など、脚本の秀逸さもオカルト映画の域を超えています。でも、いくらすぐれた脚本でも、あの独特な雰囲気を生み出せる鬼才ポランスキー監督の演出がなければ、フツーに面白い映画で終わっていたかもしれません。ラスト、赤ちゃんの姿を見せなかったのも、ミステリアスで不気味な印象を残す好演出。

 悪魔崇拝や呪殺といったオカルト要素は、高階良子先生や松本洋子先生の漫画を思い出させる懐かしのテイスト。オカルトよりも怖いのは、自分自身のみならず周囲との生活や人間関係までも壊してしまう精神の不安定、錯乱です。鬱の時代に生きる私たちにとっては、異常をきたす精神こそが恐るべき悪魔です。それと、お人よしで優柔不断なローズマリーが、隣人ばばあの親切ごかしの怪しい助言や誘い、差し入れを断れず、胡乱な連中の言いなりになって社会から孤立してしまい、いつしか自分がとんでもない状況にあることに気づくも時すでに遅し…なのを見てると、オレオレ詐欺や新興宗教による洗脳などを想起せずにはいられませんでした。まるで現代の社会問題を予言しているかのような映画です。

 ローズマリー役のミア・ファローの神経症演技が、悪魔よりも怖い!ほとんどまばたきしない大きなギョロ目は視線がさだまっておらず、彼女だけにしか見えない魔を見つめているかのよう。か細い声と少女のような華奢な身体はいつもプルプルと震えていて、どう見ても産婦人科の前に心療内科で診てもらったほうがいい女。すべて彼女の妄想なのでは?と惑わされてしまいます。ミニスカートやワンピース、ベリショートカットなど、彼女の60年代NYファッションが可愛くてオシャレでした。ガイ役は、監督としても名高かったジョン・カサヴェテス。いい役者ですが、もうちょっとイケメンな俳優だったらなと思わないでもなかった。もっとも強烈だったのは、隣のお節介ババア役のルース・ゴートン。めっちゃ怪しい!ウザい!でも何か笑える!彼女はこの作品でアカデミー賞助演女優賞を受賞。不気味さの中にも滑稽さがあるところも、ポランスキー監督の持ち味です。
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春🌸鯉人たちの予感

2019-03-24 | カープ
 今年初、そして平成最後のズムスタ観戦!オープン戦、カープホークスに行ってまいりました〜
 お供は今回もダミアン。相変わらず夜遊びばかりして、この日も朝帰り。ほとんど寝てないまま運転する眠そうなダミアンに、助手席のわしはハラハラ。無事に着いたズムスタは、すでにお客さんでごった返し。コンコース、前に進むのにひと苦労。他の球場も同じなんかのお?腹ペコだけどどの店も長蛇の列で、飲み食いもままなりません。ガラガラだった市民球場を知るファンはきっと、隔世の念なしでは過ごせない今のズムスタです。
 
 ↑ ズムスタのmy 定番食である鶏皮餃子は、さすがに食い飽きたのかもう美味しくなくなった…たこ焼きも値段のわりにはビミョー。カープうどんならぬカープラーメンは、ズムスタの外でなら平均以下の味、でも超寒かったせいか美味しかったです

 ↑ この日のお目当ては💛 
 去年の初ズムスタも、ホークスとのオープン戦でした。あの試合はカープが勝利したけど、今年はどうかな?リーグ三連覇しながら、一度も日本一にはなれなかったなんて、今でも信じがたい現実。去年カープが日本シリーズで、ホークスにボコボコにされた苦すぎる記憶がよみがえります。前日のヤフードームでも、悔しすぎる敗退を喫してしまったし、ホークスには勝てない…という意識が強まるばかり。いや!そんな負け犬根性、ダメよダメダメ!日本一になるためには、絶対に越えなければならぬ高い壁、ホークスを今日は倒す!

 ↑ 可愛かったダミアンも、もうアラサー。おっさんになったけど、いい男にもなってますよ~
 この日は冬に戻ったかのような寒さ!晴れてたので春の陽気かなと油断し、薄着で行ったのが大失敗でした。凍えそうなカモメならぬタカを見つめ泣いてしまいそうな寒さに、ガチガチ震えて応援に熱が入らない。それはそうと。ホークスはGの次にいけ好かないチームですが、Gと違って好きな選手が多いんですよね〜。今いちばん気になる若鷹、上林誠知の生姿がこの日の大きな楽しみの一つ。
 
 ↑ ホークスの先発、高橋礼のアンダースローが好き!魔球!高橋、めっちゃ足細くて長い!スタイルいい!
 プレイボール!カープ選手そっちのけでライトの守備についた上林くんを双眼鏡でガン見。レフト側の席にいたので、上林くん遠い~隠れキリシタンのように上林くん頑張れ~!と心の中で声援を送っていたのですが、ゲーム序盤2回の表で突然の予期せぬ事態が。上林くんに回ってきた打順、出てきたのは違う選手!え!どーいうこと?!謎の降板に、胸がザワつく。真相は、帰宅して知りました。背中に痛みを覚え、大事をとったとのことです。痛みは軽いようで安心しつつ、負傷っていくらなんでも早くない?!と呆れもしました。

 ↑ 上林くんよ、敵ながらあっぱれな勇姿を見たかったぞ…
 カープの先発は岡田。カープの投手はみんな頼りない。岡ちゃんで大丈夫なんかのお、ポカスカ打たれるじゃろうのお、なんて期待より不安のほうがはるかに大きい。松山が早々とエラーし、他の野手たちも絶好のチャンスを何度も作りながらも結局得点につながらず、のパターン。あげくには岡ちゃん、やってくれましたよ思った通り。何と今宮、柳田と二人続けてフォアボールで押し出しの2点をホークスに献上ですよ。ホームラン打たれるよりキツいわ。岡田ではなく岡駄になっとるやんけ!

 ↑ 野間っちガンバレ!あの人が抜けた穴を埋めるのは今年もキミ!
 あれよあれよとカープ無得点のままホークス5点。トホホすぎる~ダメだこりゃ!と諦めかけてたら、中盤になってカープが一気呵成の逆襲!コースケ、リョーマがタイムリーを放ち2点。久々の1軍スタメンの野間が、犠牲フライで3点目。オープン戦でまったく打てなくなっただけでなく、ちょっと前の試合でホームを踏み忘れたという信じられないポカをやらかし、緒方監督の逆鱗に触れて2軍落ちしてた野間が、ようやく輝きを取り戻し始めた(と信じたい)。
 この日いちばんの大声援を受けたのは、代打で登場した長野。スタジアムに渦巻く熱いチョーノコール!まさかあの長野に声援を送ることになるなんて、彼が巨人にいた頃いったい誰が予想できたでしょうか…熱烈な声援にもかかわらず、長野はあっさりノックアウト。長野さん、ひょっとしたら思ってた以上にポンコツかもしれない…
 セイヤとコースケが、あの甲斐キャノンを潜り抜けて盗塁成功!これは嬉しかったわ~。去年の日本シリーズ、ことごとく盗塁を甲斐に阻止された屈辱を今年晴らす!エラーやらかした松山もタイムリーで挽回。そして、この日最大の事件が起こる!

 ホークスの投手甲斐野が、會澤にとんでもないデッドボール!顔面に殺人玉をくらい、倒れる會澤。騒然となるスタジアム。ゲームがストップし、動かない會澤に不安と緊張が募る。ヤバい雰囲気。アツのデッドボール被害率、高すぎ!しかも頭部ばっか。忘れもしない、私が初めてズムスタ観戦した日も、若かりしアツが頭部に死球を受け、救急車で搬送されたあのショッキングな光景。野球って命がけのスポーツ。でもアツはあの時も、そしてこの日も死なずに復活!まさに鉄人!甲斐野は当然、危険球で退場。前回の試合でカープも、九里がデスパイネにデッドボール食らわしたし、ワザとじゃないんだろうけど、ほんと気をつけてほしいものですね。

 ↑ 野間っち、活躍できて良かった良かった!双眼鏡でガン見した彼、ユニフォームがはち切れんばかりにムキムキムチムチになってた!鍛えてますよあれは相当! 
 アツのデッドボールで押し出しの1点追加、まさかの同点に追いつく!ダメだと思い込んでたのに、どうよどうよ。逆転、あるんじゃね?と期待が落胆に取って代わる。野間がフォアボールを選んでまたまた押し出しの1点でついに逆転!おお!逆転のカープ健在!これだから野球は面白い!でも結局は、ホークスに1点取られて同点に。ゲームはドローで終了…うう~ん。追いついて、いったんは逆転したのはお見事!だったんだけど…勝ちきれなかったのはやっぱ悔しいです。オープン戦はこの日が最終日。カープは20数年ぶりにオープン戦優勝!うう~ん、でも素直に喜べんわ~。だって、3連覇した年はすべてオープン戦は最下位に近かったもんね。ちょっと不吉…

 さあ、金曜日からはいよいよ公式戦がスタートよ!またカープに一喜一憂する日々が始まるんですね。しんどい…けど楽しみ(^^♪初戦はGと!去年以上にボコボコのケチョンケチョンにしてほしい!カープをナメきってる原たつのり監督の発言に腹立つのり!赤い戦士たちよ、黒い巨悪を斃せ!

 ↑ 背番号51、年齢、プレースタイル、内川の弟分、など何かと共通点があるセイヤと上林くんは、とっても仲良し。今年も内川先生のもとで仲良く自主トレ。楽しそうな水中トレーニングでは、肉体美も競い合いました♡

 ↑ 見るからにゴリマッチョなセイヤはさておき、ほっそりして見える上林くんも脱ぐと驚きのマッチョ!
 
 ↑ さらにファンサービス脱ぎ!

 ↑ セイヤといえばの変顔。子どもの頃から、カメラを向けると変顔してたそうです。可愛いですね。今年もどんな変顔、そして活躍で魅せてくれるでしょうか

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ご長寿犯罪!

2019-03-15 | 北米映画 15~21
 「運び屋」
 ないがしろにした妻子とは絶縁状態、事業にも失敗して何もかも失った老人アールは、荷物を運ぶだけの仕事を持ち掛けられ引き受ける。運んでいるものがマフィアの麻薬であることを知ったアールは…
 詐欺の被害や生活苦などで追いつめられた高齢者が、心ならずも犯罪に手を染めてしまうシリアスな社会派ドラマ、かと思いきや。お年寄りはやっぱりエラい!お年寄りも頑張る!な敬老コメディだったので、観ていて戸惑ってしまいましたアメリカ人ってほんとノーテンキだよな~と、主人公とマフィアの連中とのやりとりに呆れるやら笑えるやら。とにかくアール爺さん、調子ぶっこきすぎ!一回だけにしときゃいいものを、楽に大金を稼げることに味をしめて、だんだん自主的に楽しそうに仕事に励むようになるアール爺さんには、躊躇や苦悩、罪悪感などほとんどなく、それどころか若いマフィアの連中からチヤホヤされたり頼りにされたりで上機嫌、稼いだ大金で家や新車、貴金属など買ったり、友人の店を援助したり、女遊び!したりと、とんだリア充老人なんですよ。それがちょっとコメディタッチで描かれていて笑える反面、調子に乗るなジジイ!早く捕まれ!とイラっともしました。

 世のため人のためになることをしているのなら応援、尊敬もしますが、やってることは反社会的勢力の手先、犯罪行為。アールが頑張れば頑張るほど、麻薬が多くの人の手に渡ることになるんですから、彼を老境や逆境の中で挫けずたくましく闘うヒーローと見なすことはできません。お気楽な犯罪行為のみならず、家族との関係からもアールの人間性が疑われます。家族とヨリを戻すのも金で、な考えと行動に反感。家族もせっかく許してあげたのに、マフィアの運び屋をして逮捕・裁判とか、どこまで迷惑、恥をかかせれば気がすむの。アールの妻も娘も、人が善すぎる。孤独な老人がいきなり羽振りがよくなって、景気よく散財しているのに誰も不審がらないのも、私には不思議で仕方がありませんでした。

 年寄りであることがハンデではなく、かなりの武器になってたのも笑えたけど、違和感も覚えました。アールが何をしても言っても、年寄りだからとみんな許してくれたり油断してくれるんですよ。マフィアも警察も、年寄りにはとても優しいんです。年寄りに甘い社会、そしてそれにつけ込む年寄り、という私の周囲でもよく見かける構図が何かイヤでした。でもまあ、高齢者が非道い目に遭う姿は見たくないので、爺さんと若者たちのジェネレーションギャップやふれあいを明るくほのぼのと描いていた点は評価したいです。

 アール役は、監督も兼ねている大御所クリント・イーストウッド。久しぶりの俳優業。御年90歳!すっかり爺さんになりましたね~。まさに枯れ木のような風貌で、ヨボヨボしい動きにハラハラしてしまいましたが、90歳で演技も監督もできるなんて、ほんと驚異的な非老いぼれ!仕事に熱心で女好きで、自分勝手だけど憎めない愉快な人柄で、マッチョな思考とマッチョなプライドの塊なアールは、まさにクリント御大そのものなキャラ?劇中、ニグロだのタコス野郎だのと黒人やメキシコ人を差別用語で呼んだりするのですが。悪意や邪気は全然なく、親しみのこもった愛称みたいに使ってるのが、アメリカの人種差別のカジュアルな根深さを表しているようで、ちょっと怖かったです。人種差別だけでなく、男尊女卑で女性蔑視な価値観もアール=クリント御大からは感じられました。ちょっとトランプ大統領とカブるわ。

 セクシーねえちゃんたちを相手に裸になってハッスルする、クリント御大のバイアグラ不要っぷりも笑えた。ヨボヨボ爺のアールに、コワモテのマフィアも警察もほとんど手を出さず、気圧されたり一目置いたり大事にしたりするのも、演じてるのが超大物であるクリント御大の威光ゆえでしょうか。この若造どもが!という捨て台詞が、クリント御大ほど似合う爺はいません。フツーの爺さんならショック死する危機でも平然としてる姿は、かつてマカロニウエスタンやダーティハリーで壮絶な修羅場をくぐってきたクリント御大ならではでした。
 運び屋を追跡するFBI特別捜査官役で、大好きなブラッドリー・クーパーが出演してます。

 ブラパ、今回もめっちゃカッコよかった風貌は男性的だけど雰囲気がスマートで優しく、スターのオーラがダダ漏れしてるので、もうフツーの市井の男性役は無理かも。いい男ぶりにときめきましたが、別にブラパでなくてもいい役で、同じクリント御大の監督作「アメリカン・スナイパー」での熱演に比べると、特筆するような演技はしてません。師匠であるクリント御大に頼まれたから喜んで無条件で出た、みたいな感じ。そーいやブラパの初監督作「アリー スター誕生」は、クリント御大から引き継いだ作品でしたね。

 ブラパの相方捜査官役のマイケル・ペーニャは、最近ちょっと風貌も役柄もマーク・ラファロ路線になってきてるような気が。いい男!と思ったのが、アールの見張り役になるマフィア役のイグナシオ・セリッチオ。はじめはクソジジイが!とカリカリプンプンだったのに、いつしか気を許して親しみを抱くようになる様子が、何か犬が懐くみたいで微笑ましかったです。マフィアのボス役がアンディ・ガルシアだったとは!ぜんぜん気づかなかった!アールに運び屋の仕事を紹介する若い男もイケメンだった。それにしても。情にもろいマフィアだったな~。極悪冷酷なはずの男も、アールは奥さん亡くしたばかりだから、と同情して殺すのためらったりしてたし。そのせいで、ラストのアールのピンチも緊張感が薄まってしまった。ちょっとホロ苦いハッピーエンドも、麻薬の運び屋なんてダメ!ぜったい!という教訓にならなかったので残念。

 ↑派手な女性関係の結果、たくさん子どもがいるクリント御大ですが。寝たきりになって介護を引き受けるのは、実子たちじゃなくてひょっとしたらブラパかもしれません…

 ↑ ラテン系男前イグナシオ・セリッチオは、主にTVで活動してるみたいです。映画にももっと出て!

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ひとりゲリラ 悲しみの皆殺し

2019-03-10 | フランス、ベルギー映画
 「追想」
 ナチス占領下のフランス。医師のジュリアンは、愛する妻のクララと一人娘のフロランスを田舎に所有する城に疎開させる。数日後、妻子のもとへ向かったジュリアンを待ち受けていたのは、ナチス親衛隊によって虐殺された村人のむごたらしい姿だった。クララとフロランスは…
 戦争に翻弄された男女の悲しくも美しいラブストーリー…かと思いきや。フランス映画とは思えぬ過激で残虐な暴力シーンてんこ盛りで、観ていて目がテンに、お口もポッカンとなりましたとにかくナチスドイツの鬼畜な蛮行と、ジュリアンの壮絶な復讐劇が、目を背けたくなるほどのエゲツない、エグいヴァイオレンスで描かれています。輪姦した女を火炎放射器で焼き殺したり、いたいけな子どもも容赦なく射殺したり、残忍な殺戮がこれでもか!と。ここまでしなくても、と思わずにはいられない非道さなのですが、特に火炎放射器の禍々しさ!恐怖効果は絶大。小心な人が観たらトラウマになるので要注意です。

 村の教会での惨劇を目の当たりにし、ショックと怒りで錯乱したジュリアンがキリスト像やマリア像を破壊するシーンがあるのですが。クララのような優しい女性が、フロランスのような何の罪もない子どもが、どうしてあのような無残な目に遭わねばならないのでしょう。まさに神も仏もない、神仏を呪いたくなる戦争の悲劇です。ドイツ人にとっては、これも観るのが辛い映画だろうなあ。鬼畜ナチスを演じたドイツ人俳優たちも、仕事とはいえさぞや苦痛だったことでしょう。
 聞けばこの映画、あのクエンティン・タランティーノ監督に多大なる影響を与えたとか。ナチスどもを問答無用に殺しまくるジュリアンは、タラ監督の「イングロリアス・バスターズ」のナチスハンターとカブります。一見フツーのおじさんであるジュリアンが、復讐の鬼と化してゴルゴ13も真っ青な凄腕の殺し屋になって大活躍?する姿が、悲壮なんだけど痛快でもあります。悪人を始末する必殺仕事人を見ているようなカタルシスを得ることができます。

 ナチスを殺しまくる壮絶ヴァイオレンスの中、ジュリアンの回想シーンが挿入されるのですが。クララとのロマンスがあまりにも優しく幸福で、すさまじい血まつりとは真逆でギャップありすぎ。そのコントラストで、戦争と復讐の惨さ悲しさ、幸せの美しさ尊さを互いに引き立たせる構成となっています。「冒険者たち」や「若草の萌える頃」など、瑞々しく叙情的な作品で知られる名匠ロベール・アンリコ監督作品らしく、映像に音楽にも最近の映画にはない詩情の豊かさと甘美さがあふれてます。とても戦争中とは、ナチスの虐殺があったとは思えぬほどの美しく牧歌的な田舎の風景も目に、胸に沁みます。ジュリアンが必殺仕事人となって神出鬼没、縦横無尽に駆け巡る古城も美しく、かつ隠し部屋やマジックミラー、地下迷路など忍者屋敷みたいで面白かったです。

 ジュリアン役は、「ニュー・シネマ・パラダイス」などで知られるフランスの名優フィリップ・ノワレ。美男やイケメンではなく、彼のような親しみやすい風貌のおじさんが演じたからこそ、悲しみもより深まったように思われます。おじさんとは言っても、さすがフランス男。ポケットに手を入れて立ってる姿とか、煙草を吸ってる姿、クララへのキスや抱擁も、サマになってるというか大人の男って感じでカッコいい!
 この映画最大の魅力、見どころは、やはりクララ役のロミー・シュナイダーでしょうか。

 ロミーほど、悲しみが似合う女優、悲しみを美しくする女優はいないかも。代表作のひとつであるこの作品でも、ロミーの美しさは圧倒的かつ切ないです。当時37歳、女としても女優としても最盛期の頃で、今の女優にはない香り高い情感にあふれています。美しいけど、なよなよと儚げな手弱女ではなく、見た目も精神も力強い生命力にあふれていているところがロミーの魅力。この映画のロミーも、悲劇的な運命に翻弄されるヒロインというイメージそのものな役を演じているのですが、自分らしくしなやかにたくましく生きて恋した女としても、神々しいまでの輝きを放っています。
 
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宮廷の三人奸女!

2019-03-03 | イギリス、アイルランド映画
 「女王陛下のお気に入り」
 18世紀初頭、フランスと戦争中のイギリス。病弱なアン女王に代わって、女王の幼なじみであるレディ・サラが政治を牛耳っていた。そんな中、レディ・サラの前に零落した従妹のアビゲイルが現れる。アビゲイルは貴族の身分に返り咲くため、女王に近づこうとするが…
 ハマる人はハマる、ダメな人にはダメ。「ロブスター」や「聖なる鹿殺し」など、その独特さ、クセの強さで好き嫌いがはっきりと別れるヨルゴス・ランティモス監督の新作は、何と!18世紀のイギリス王室が舞台の時代劇!いったいどんな時代劇?!想像のつかなさにワクワク。加えて、アカデミー賞ではまさかの最多ノミネーション!否が応でも期待の拍車がかかります。そんな待望のヨルゴス風コスチュームプレイ、どうだったかというと…

 うう~ん…私の拙い文章力では、感想を書きあぐねてしまいますが…確実に言えるのは、今回もなかなか珍奇でシュールで斬新!ということ。こんな時代劇、初体験です。これまでのヨルゴス作品に比べると、え???な不可解&不条理設定やシーンがなく、かなりわかりやすくなってます。でも、権力や女王の寵愛をめぐって詐術陰謀に狂奔する宮廷の魑魅魍魎たちの描き方や醸すムードは、かなり特異で独創的。ヨルゴス節炸裂なシーン満載で、ヨルゴスファンはニヤリ、非ファンは当惑することでしょう。

 演出、映像、脚本、空気感、演技、すべてにおいて異色の時代劇。いつもの淡々と静かなヨルゴス作品に比べ、スピーディでドラマティックな展開ですが、何これ?何か変!と、戸惑いと笑いを誘う作風は、従来通りのヨルゴステイスト。珍妙なシーン満載ですが、私がいちばん笑えたのは、舞踏会でのレディ・サラとマシャム大佐とのダンス。すごい変な踊り!ほんとに当時、こんな踊りあったの?!おそらく、時代考証にはあまり拘泥してなくて、かなり自由な設定、描写になってるのでは。歴史オタクの方々が観たら噴飯ものかもしれません。

 変な踊りもですが、王族や貴族とは思えぬほど下品で下劣で俗悪な人間関係と会話の内容、華やかさを排したモノトーンのファッションや調度品、美術などは、かなり現代的で時代劇の掟破り的な面白さが。女たちが薄化粧でシンプルな衣装なのに対して、男たちは厚化粧でデコレートされた衣装、という逆転もユニークでした。人工的な照明ではなく自然光や蝋燭の灯りを使用、下から覗くようなカメラなど撮影方法も独特で、他の映画では味わえない奇妙さ、オリジナリティです。

 三人の女のキャラ、彼女たちが繰り広げる女の闘いと、それを激演した女優たちの演技合戦は、本当に強烈で激烈!惹きこまれたりドン引きしたりで、一瞬も退屈しません。稀に見る女優映画の傑作と言えるかも。女王をめぐって、サラとアビゲイルのあの手この手な讒言や甘言、奸計、ごかまし、遠まわしな当てこすりや脅し、罠が、卑劣で卑怯なんだけど必死すぎて笑えるんですよ。二人とも大真面目、まさに命がけの攻防、相手を押しのけよう、陥れようと心も体も張ってる姿が、醜くも滑稽。それに翻弄されてるように見えて実は、気づかないふり騙されてるふりをして二人の対抗心や憎しみを煽り、それを楽しんでるかのようなアン女王の、天然すぎる魔性のおばさんぶりが、最凶で最笑でした。

 女の争いは、ともすると陰湿・陰険、ドロドロとイヤらしくなりがちですが、この映画のそれはそんな感じは不思議と薄い。三人ともどちらかといえば男っぽいキャラで、男など眼中にもなく男を完全に見下し、男なんかのことで苦悩したり傷つくことなく、困難やピンチにも挫けずヘコたれず、欲望や信念を忠実に懸命に貫き、昂然と男よりも高みに立つ姿が、豪快痛快でカッコいい。女性の権利があらためて見直され、声高に叫ばれている昨今の風潮にピッタリな、女性の強さを賛歌したフェミニスト映画、そしてLGBT映画になってます。私は重度の腐なので、薔薇には興奮しても百合には居心地の悪さを感じる…これも性差別なのかな男同士の性愛は切なく美しくなるのに、女同士のそれはなぜかそうはならず、いびつで不気味になってしまうのはなぜ。

 女豚!女猫!女豹!まさに女獣の宮廷!これぞ女優映画!この映画を堪能してしまうと、日本のCM演技女優などますます見るに堪えなくなります。アン女王役のオリヴィア・コールマン、そのアカデミー賞主演女優賞受賞も納得な大怪演、大珍演に瞠目!こんなに醜悪かつ滑稽で哀れな女王さま、映画の中で初めてお目にかかりました。英国王室はこのアン女王についてクレームなしなの?こんな女王さまに支配されてるイギリス国民が可哀想!もう見た目だけで出オチなインパクトなのですが、観る者の神経を逆なでしつつも笑いを誘うオリヴィアの、迫力満点かつ繊細な狂態!見た目もだけど、中身もほとんどおっさんで、めんどくさいことこの上ないながらも何だか憎めない無邪気さや、胸が痛くなるような心身のグロテスクな病みっぷりなど、観客までも躁鬱な気分になってしまう演技です。

 アビゲイル役を、ハリウッド最高の人気女優であるエマ・ストーンが演じているという意外性も、この映画の注目度と質を高めています。オスカーを受賞した「ラ・ラ・ランド」よりも、この映画の絵馬石のほうが女優としての力量や根性を発揮してると思う。とにかく絵馬石の、守りに入ってない女優魂があっぱれ。いい年してきれいに可愛く見せたいと必死な日本の女優に、絵馬石の爪の垢を煎じて飲ませたいです。泥どころか糞まみれになり、おっぱいまで見せて(ちょっとだけですが)る絵馬石を、大いに見直しました。獲物を狙う猫のように、好機をうかがってギラギラギョロギョロしてるデカい目が怖い。アシャム大佐のチ◯コをよそ見しながら手コキしてる時の虚ろな顔も秀逸でした。

 レディ・サラ役のレイチェル・ワイズも、オスカー級の名演。颯爽と毅然とした女丈夫っぷりは、かなり男前です。ズバリ言うわよ!な毒舌が笑えた。乗馬服などマニッシュな男装ファッションが多いのも、彼女を男らしいキャラにしていました。男っぽいけど、優しそうで聡明な女性の魅力にもあふれていて、ある意味理想の女性なサラに適役なレイチェルさんもまた、理想的に卓越した名女優と言えます。
 アビゲイルに近づく男たちを、英国の若手イケメン俳優ニコラス・ホルトとジョー・アルウィンが好演。元子役のニコラスは、すっかり大人の役者になりましたね~。イケメンなだけでなく性格俳優として成長中で、今後の活躍もますます期待できます。テイラー・スウィフトの恋人として有名になったジョーも、可愛いだけでなくヨゴレ役や捨て身の演技も厭わない役者魂がありそう。「ふたりの女王 メアリーとエリザベス」や「ある少年の告白」など、話題作に出演してる彼からも目が離せません。
 本筋には全然関係ないのですが、下っ端女中時代のアビゲイルに意地悪をするデブなメイドが、やってることは鬼のような陰険さなのに、見た目も声も可愛いくて好き。出世しても仕返ししないアビゲイルの度量に感嘆。あと、いつも女王の近辺に用意されてるケーキやお菓子が美味しそうだった。腹減ってる時に観たら苦痛かも。

 ↑まさに女獣使い!ヨルゴス・ランティモス監督の手腕に拍手!監督、イケメン

 ↑ 私も女王さまになって、こんなイケメンたち侍らせたい~
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