まつたけ秘帖

徒然なるままmy daily & cinema,TV drama,カープ日記

神をも騙す男前

2018-07-04 | 韓国映画
 「MASTER マスター」
 投資会社のチン会長は、カリスマ的な魅力と巧言で客から巨額の金を集め、権力者に賄賂をばら撒いてビジネスを拡大させていた。知能犯罪捜査班の刑事キム・ジェミョンは、チン会長の部下でハッカーのパク・ジャングンを脅し、捜査への協力を強制するが…
 イ・ビョンホンとカン・ドンウォン、2大スター競演作。ビョン吉さんが悪役、ということも話題に。これまで「グッド、バッド、ウィアード」や「メモリーズ 追憶の剣」など、何度か悪役も演じてるビョン吉さんですが、いずれもイカレ男とか悲しい宿命ゆえにとかで、真の悪人役はこの映画が初かも?貧乏人や国から金を騙しとるだけでなく、裏切者や邪魔者を容赦なく始末する悪魔のような男を、いつものビョン吉らしくカッコよくオチャメに、かつ狂気じみたヤバさで演じてました。

 実はいい人とか、悲しい事情があって、みたいなヌルさはなし、とことんワルなビョン吉さんが、潔く小気味よかったです。とにかく彼、ほんとカッコいいわ~。狡猾で残虐な、早く退治されて!な邪悪野郎役でも、いい男フェロモンとオーラが強烈。強力な磁石みたいな魅力が相変わらずで、ただ見た目がいい、ただ演技が巧い、な俳優にはないカリスマ、スター性に圧倒されます。小柄だけど、すごく大きく見える力強さ、存在感の濃厚さは、まさに韓流随一です。

 低い美声で、口汚く罵ったり脅したりな台詞も、たまらんわ~。やさぐれた役が得意なビョン吉さんですが、こんなにゲスいこと言うビョン吉さんは初かも。冷酷非情だけど、どこかトボけたオチャメな魅力もあって、何か笑えるシーンも多々ありました。金がほしいというより、スケールとリスクの大きいゲームに勝つことを目的にしてるような詐欺師ビョン吉さんが、すごくカッコよかったです。彼を追いつめる警察のほうが、むしろ悪役に見えてしまったほど。銀髪も似合ってて、素敵なおじさまになったな~と惚れ直しました。若い頃より今のビョン吉さんのほうがチョア~年が近いキムタクと違って、年齢にふさわしい熟年の魅力を備えたビョン吉さんです。

 熟年だけどおっさん臭はなく、現役男の色気ダダ漏れ、俊敏で颯爽とした身のこなしなど、ただもう見とれるしかないです。スーツ姿だけでなく、リゾート風アジアンファッションもイケてました。セクシー熟年のビョン吉さん、次は色仕掛けで女を騙す詐欺師を演じてほしいです。カッコいいビョン吉、ヤバいビョン吉よりも、ラストのみじめすぎるビョン吉が衝撃的でインパクトあり。韓流きっての大スターであるビョン吉さんが、まさかあんな末路を迎えるとは。キムタクは絶対やらないでしょう。でも、カッコいい悲劇的な最期なんて陳腐、あのカッコ悪さはまさに役者の腕の見せ所で、主役は俺!最後の最後までおいしいところ全部いただき!なビョン吉さんは、やはり稀有な千両役者!

 キム刑事役のカン・ドンウォンは、相変わらずスラっとスマートで、もう30半ばなのに若い頃と不変なルックスが驚異。あまりにも若く見えるので、捜査を仕切る辣腕エリート役には貫禄不足。若造がエラそうに命令すんじゃねーよ!と、私が部下なら反発するでしょう。劇中、ビョン吉さんとの一緒のシーンはほとんどなく、そのため撮影中に険悪とかライバル意識メラメラとかいった美味しい裏話は、全然ないようです。最近は大物スターの競演が多く、ファンには嬉しい楽しいけど…一枚看板ではなかなか成功しにくい現状なのかな。ジャングン役のキム・ウビンは、反町隆史とカープの九里亜蓮をブサイクにしたような顔。韓国ではイケメン扱いなの?不可解。キム刑事とジャングンの関係は、作りようによってはほのかなBLにできそうだったので、カンちゃんとキム・ウビンが私好みのイケメンでないことが残念。でも二人とも、長身小顔でスタイルは抜群!顔は???でも、韓流男優はほんとキレイな体つきしてますよね~。日本のチビで貧相な某事務所タレントを見慣れた目には、別生物に映る韓流男優の体の美しさです。

 この映画、実際に韓国で起きた事件をモチーフにしてるとか。男前天才詐欺師とイケメン天才捜査官の華麗なる騙し合いコンゲームとか(警察も詐欺師も、演技力がありすぎ!)、ド派手な銃撃戦とかカーチェイスなんて、かなり話を盛ってるとは思いますが、盛り方がエンターテインメントで巧み。日本でリメイクされるとしたら、ビョン吉⇒キムタク、ドンウォン⇒向井理、キム・ウビン⇒新田真剣佑、がmy理想妄想キャスト(^^♪キムタクもそろそろ大人の悪役に挑戦してもいいのでは?

↑ 「孤狼の血」が韓国でリメイクされるとしたら、役所広司の役はビョン吉さんにお願いしたいわ。松坂桃李の役は、キム・スヒョンかイ・ジェフンあたりになるかな?公開中の時代劇「天命の城」に続く新作「それだけが、僕の世界」が、来春イルボン公開決定。久々のTVドラマ「ミスター・サンシャイン」も待機中で、バリバリ働いてる働き盛り、男盛りのビョン吉さんです(^^♪
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天国にいちばん近い部屋

2018-07-01 | 北米映画 20s~50s
 「第七天国」
 第一次世界大戦前のパリのスラム街。下水清掃員の若者シコは、アル中の姉に虐待されていたディアーヌを助け、彼女を“第七天国”と名付けた自分の屋根裏部屋に匿うが…
 広島市映像文化ライブラリーで上映された1927年の無声映画。記念すべき第1回アカデミー賞の監督賞、主演女優賞、脚本賞を受賞した伝説の作品です。
 初めてのサイレント映画鑑賞!危惧してたような違和感とか退屈とか、まったくありませんでした。古~い映画なのに、返って何もかもが目新しく新鮮でした。上映中のピアノの生演奏も素敵で、サイレント映画も悪くないな~と思いました。映画も時代とともに進化し、映像も音響も驚異的な技術で、映画ファンもそれにもう狎れきってますが…この映画を観て、進化には余計なもの、不要なものも多いよな~と、最近のCGだらけ映画や映像に凝りすぎ映画や奇をてらい過ぎな設定映画を思い出したりしました。最近の映画は、美味しいけど脂肪分も添加物も着色料もたっぷりなコンビニ弁当みたい。その点、この無声映画はおかしなものは何も入ってないけど、ほのかな甘みのあるオーガニックお菓子みたいでした。シンプルイズベスト、だけど、笑いや感動といった心の栄養分はちゃんと含まれてました。

 声や音はなく、たまに字幕が挿入される、というサイレント映画のスタイルは、慣れるとなかなか面白く、なおかつ余計なものを削いで物語に集中できる効果もありました。いい台詞だけが字幕にされてたのも良かった。シコの口癖である『いつも上を向いて生きる』には、永六輔があの名曲「上を向いて歩こう」を作詞する際にインスパイアされたのだとか。つらく悲しい境遇、孤独な夜でも、幸せを信じ希望を抱いて優しく強く生きる、という「上を向いて歩こう」のテーマそのものな内容でした。貧困や戦争といった暗い影にすっぽり覆われたりしない、ハートウォーミングでロマンティックでスウィートなシーンは、かなりアメリカ的。シコやディアーヌみたいなフランス人、あんましフランス映画では見ないですし。ムチで打たれるヒロインとか、大時代すぎる設定がいかにも古~い映画。そういうところも、現代の映画では味わえない珍味ではありました。

 行き場を失い、警察に連行されそうになったディアーヌを、しょーがねーな~と仕方なく自分の部屋に匿うシコが、ディアーヌを迷惑な居候扱いしつつもナンダカンダで親切に紳士的に振る舞って同居を続け、しだいに彼女との間に親愛を培っていく、という筋書きは、現代でも少女漫画の定番中の定番である“イケメンとヒロインのワケありルームシェア”もので、この映画は胸キュンよりもほのぼの重視でした。シコのツンデレっぷりが可愛く微笑ましかったです。ちょっと荒っぽく口が悪いけど、強く明るくウルトラポジティヴで善良なイケメンのシコに、ディアーヌが心惹かれるのは当然のことですが、シコがディアーヌに惚れるには、もうちょっとディアーヌの魅力の掘り下げが必要だったかも。父性本能が強い男は、ああいう可憐で可哀想な女の子が好きなんだろうな~。俺が守ってやらねば!と思わせる弱さこそ、ディアーヌの魅力なのかな。ただもうビクビクした臆病者だったディアーヌが、シコに影響されて強くたくましい女に成長する姿も、なかなか感動的でした。

 ロマンティックで心温まる前半から一転、戦争が勃発してからの後半は、かなりドラマティックで哀切な展開に。出兵したシコは生きてディアーヌのもとに戻れるのか、それとも…けなげなディアーヌとともに、祈るような気持ちにかられてしまいました。ベタともいえる引き裂かれた運命物語ながら、これも無声映画のおかげか、フツーならお涙ちょうだい狙いに鼻白む私も、つい涙腺を緩ませてしまいました。神さまを信じれば…な、ちょっと宗教色のある内容が気になったけど。最も尊い幸せを得るためには、大きな代償を払わねばならないのですね。ラストシーンは、神々しくも峻厳でした。

 ↑ 窓辺のシーンがロマンティックですごく好き
 ディアーヌ役を演じ、オスカーの主演女優賞受賞者第1号となったジャネット・ゲイナーの、可憐さ、けなげさも今の女優にはない魅力。今の女優ってみんな、男以上に強いじゃないですか。セクハラ問題に激怒し、女性の権利を鼻息荒く鬼の形相で訴える女優たちは、立派だけど何かもう優しさとか愛らしさなど微塵もない。映画の役も、男に守られ愛されるかよわい女なんて愚の骨頂!な風潮だし。男に守られる、男に影響されるヒロインなんて、もう絶滅種。今もてはやされてる、性格もキツそうで見た目も態度もデカい女優とは別生物のような、見るからに乙女といった風情の小柄で愛らしいジャネット・ゲイナーの、尊厳と愛に目覚めて強くなっていく演技には、今の女優が軽蔑してる、失っている女性の魅力について考えさせられました。シコ役のチャールズ・ファレルは、ちょっとマシュー・マコナヒーっぽいイケメンで、いかにもアメリカ男な(フランス人役だけど)タフでノーテンキでお人よしな感じがワタシ好みでした。

 ↑ジャネット・ゲイナーが可愛かった!他の出演作も観たいです
コメント (5)
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