まつたけ秘帖

徒然なるままmy daily & cinema,TV drama,カープ日記

BLの宿殺人事件!

2021-11-29 | イギリス、アイルランド映画
 「B&B」
 同性婚をしているマークとフレッドは以前、ゲイのカップルであることを理由に宿泊を拒んだB&Bの経営者ジョシュを訴え勝訴。二人は再びB&Bを訪れ、苦々しげに受け入れるジョシュに溜飲を下げる。ジョシュの息子ポールもゲイだったが、敬虔なクリスチャンでゲイ嫌いの父親には隠し通していた。マークとフレッド、ポールはそれぞれ、ロシア人の客アレクシに不審と好奇心を抱くが…
 イギリスとアイルランドでは、B&Bに泊まりました。当地の家庭の様子や雰囲気を楽しめ、美味しい朝食がいただけるB&Bでの滞在は、何よりの旅の思い出になります。この映画のB&Bも、こじんまりと簡素だけど内装などにイギリスらしい落ち着きと風雅さがあり、海外旅行者が来そうにないポツンと静かな環境も素敵でした。そんなB&Bで、男たちが繰り広げる愛憎と欲望、そして殺意のサスペンス!お話はほぼB&Bだけで進行、登場人物も5人だけ。ちょっと舞台劇っぽかったです。怪しく不穏な人物、予期せぬ凶事と展開、そして結末など、面白くなりそうな要素はいくつもあったのですが、うう~ん、何か足りないというか…

 ゲイとB&B、イギリス映画好きには美味しい組み合わせなんですが、いまいちその魅力的な設定やキャラが活かされてなかったような。ゲイ映画としては、ゲイ濃度がフツーというか。ゲイならではの葛藤とか苦悩があまり描かれてなかったのが惜しい。マークとフレッドはラブラブのカップルで、ゲイであることを何ら恥じてなく堂々としていて、すごく幸せそうなんです。素敵な関係性だけど、幸せで満ち足りてるゲイって面白くないゲイはやっぱ不幸で悲痛でいてほしい、なんて腐の身勝手な妄願。マークとフレッドはキスはするけど、それ以上のシーンはなし。あまりにもゲイ映画に狎れたせいで、ドキドキするような男同士の性愛シーンは最近とんと出会えてません。

 5人にあまり魅力がなかったのも残念でした。マークとフレッド、B&Bに来た理由も性格悪いし、英語が喋れないロシア人のアレクシを見た目だけで勝手にゲイのネオナチだと思い込んで、彼の部屋に侵入して所持品をチェックしたり、外出した彼を尾行したり、余計なことをして事態を悪くしたり、その迷惑なヒマ人ぶりに呆れた。隠れゲイのポールは、父親への憎悪や抑圧した欲望のせいで暴走するんだけど、ただもう迷惑なだけでイラっとしました。ブサイクじゃないけど非イケメンだったのも減点ポイント。アレクシはマッチョなイケメンでした。アレクシの正体に苦笑。軍が使うような赤外線カメラをいったい何のために?と思ってたら、そんなことに使ってたのかよとトホホ!

 マーク役は新「オリエント急行殺人事件」でポアロの友人役、来年公開のシリーズ第2作「ナイル殺人事件」にも出てるトム・ベイトマン。コリン・ファースにちょっと似た感じがする風貌で、英国人らしく自信たっぷりでシニカルな役が似合う俳優。フレッド役のショーン・ティールはTVシリーズの「クイーン・メアリー」に出てた、ちょっと濃い目の中東系イケメン。「ブリジャートン家」のフィービー・ディネヴァーの元カレだって!決して女っぽくはないけど、何げなく奥さん側(ゲイのウケ側)な感じを上手に出してました。もう一つの事件現場、教会がある夜の森は、男たちが相手を求めて集い蠢くハッテン場。昼とはまったく違う世界となる暗い森が、隠微に神秘的で妖しかったです。
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冬が来る前に…

2021-11-26 | 映画雑記
 秋も深まり、冬の足音さえ聞こえてくる冷たい昨今の朝晩ですが、皆さまComment allez-vous ?  
 早いものでもうすぐ師走。今年もあっという間に終わろうとしています。やり残したこと、やらなかったことが今年もたくさんあります。観たかったけど観られなかった映画も。来年こそは100本以上観たいです(^^♪年明けに日本で公開される作品の中から、my must moviesをピックアップしてみたわいや!
 
 ハウス・オブ・グッチ

 レディー・ガガがグッチ一族を崩壊させる悪女を熱演。アダム・ドライバーは「最後の決闘裁判」に続いてリドリー・スコット監督作に出演。アル・パチーノ、ジェレミー・アイアンズ、ジャレッド・レトと脇役が豪華!

 スティルウォーター

 マット・デーモンがフランスで行方不明になった娘を探すお父さん役。「スポットライト 世紀のスクープ」でオスカーを受賞したトーマス・マッカーシー監督作です。

 MONSOON モンスーン

 シンガポール出身でハリウッド映画でも活躍中のヘンリー・ゴールディングが、自分のルーツを探すためにベトナムを訪れるゲイの役。佳作「追憶と、踊りながら」のホン・カウ監督作です。

 声もなく

 ユ・アインが闇社会で死体処理を行う声の出せない青年役。共演は梨泰院クラスのチャンガ会長。

 ブラックボックス 音声分析捜査

 ピエール・ニネが天才的な音声分析捜査官に扮し、巨悪に挑むサスペンス。ニネっち主演の「パーフェクトマン」の監督作です。

 シラノ

 何度も映像化された人気戯曲「シラノ・ド・ベルジュラック」の最新版。バイプレイヤーのドワーフ俳優、ピーター・ディンクレイジの名演が話題。注目のイケメン黒人俳優、ケルヴィン・ハリソン・Jrが共演というのも楽しみ!

 皆さまが楽しみにしていらっしゃる作品も、ぜひ教えてくれやす~(^^♪
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ちょっと一杯のつもりで飲んで

2021-11-21 | その他のヨーロッパ映画
 「アナザーラウンド」
 仕事も家庭生活もうまくいっていない高校教師マーティンは、親友である同僚たちと“血中アルコール濃度を常に0.05%に保つと仕事もプライベートもうまくいく”という仮説の実践を開始する。授業も活気づき生徒たちとの関係も良好となり、妻子との幸せも取り戻したマーティンだったが…
 今年のアカデミー賞国際長編映画賞(外国語映画賞)受賞、監督賞にもノミネートされたデンマーク映画です。酒を飲んで仕事したり運転したりするおっさん4人にまず驚愕。明らかに酩酊状態なのに、誰も何も言わない、気づかない?のが不思議でした。アルコールに対して法律も意識もユルすぎ低すぎ。お酒に厳しい日本で暮らしてるからそう思うのでしょうか。高校生もフツーに飲んでるし。デンマークだけでなく、ヨーロッパはどこもそうなのでしょうか。

 お酒、強くはないけど私も好きです。毎晩寝る前に必ずチビチビ飲んでます。適量なら、確かに心身によい効果があると思います。でもでも。飲みすぎはダメ!私の身近にアル中が何人かいるので、ほんと酒って怖いと痛感してます。酒の失敗による醜態ほど不快なものはありません。イタい目に遭うのは飲んだ人だけじゃないもんね。迷惑、そして事故や事件に至る危険もある。飲酒運転で通行人を轢き殺すとか、ほんと許しがたい。本人の破滅ですむならいいけど、社会や家族、他人も引きずり込む罪深さが恐ろしいのです。マーティンたちも、はじめは仕事も家庭生活もうまくいってたけど、だんだんタガが外れて目も当てられぬ醜態、そしてすべてを失う寸前にまで陥ってしまう。薬物と同じで、お酒への依存も怖いと戦慄しました。超えてはいけない一線手前で踏みとどまれた者、踏みとどまれなかった者、軽い気持ちで始めた実験の結果が苦く悲しかったです。

 うだつの上がらないおっさん4人が調子に乗ってる姿は、なかなかコミカルで愉快なのですが、決してドタバタ調ではありません。ホロリとさせる人情話でもない。そこがハリウッド映画との違いかも。不安や虚しさが滓のように沈殿してるような人生模様はシビアでホロ苦く、いい歳をした私のような者には刺さるものがありました。でも暗く重い悲劇ではなく、失望や絶望であふれてるけど愛や希望もあるという人生賛歌でもあって、やはりいい年な私に感動ももたらしてくれました。男同士の友情っていいな、と羨ましくもなりました。でも、仲がよすぎるのも考えものです。親友に頼り過ぎたり思いやりすぎたり、友情もまるで依存症みたいでした。
 マーティン役は、デンマークが生んだ国際スター、マッツ・ミケルセン。最近はもっぱら英語圏で活躍してるマッツ、母国語を喋る彼を見たのは久しぶり。

 いや~マッツ、やっぱいい役者!オスカーにノミネートされてもおかしくない名演でした。ごくフツーの中年男役で、これといって奇抜なことをするわけではない、渾身の大熱演!というわけでもないのですが、なにげない表情や動き、雰囲気で中年男の悲哀や痛みが切なく伝わってくるきめ細かい演技。こんな演技できるアラフィフ俳優、日本にいません。優しそう、だけどどこか危うい魅力も理想的な熟年。顔のシワも素敵。同じおじさんでも、キムタクだと弛んでるな~とかホウレイ線すごいな~とかしか思わないのに。重ねた年齢を魅力に、武器にできてる俳優との違いですね。

 冴えないおっさん役だけど、いい男であることは隠せないマッツ。おっさんフレンズとはルックスが違いすぎる。長身で立派な体格もマッツをカッコよく見せてます。ラスト、まるでミュージカルのように踊り始めるマッツも素晴らしかった。軽やかでダイナミックなダンス!聞けばマッツって、俳優になる前はダンサーだったとか。道理で!踊って歌って、老いも若きも人生を祝福するような歓喜に満ちたラストは、「ラ・ラ・ランド」とかより私にはエモかったです。あと、デンマークって美形が多いんですね!マーティンのクラスの生徒たちの中にも、目を惹く美人やイケメンが何人もいました。「偽りなき者」でもマッツと組んだトマス・ヴィンターベア監督の、非凡な演出センスと深い洞察にも感嘆。マーティンたちがあまりにも美味しそうにお酒を飲むので、私も映画後に酒を買って帰りました(^^♪🍷

 ↑ マッツの新作は何と!インディ・ジョーンズ!もちろんインディ役ではなく、たぶん悪役。ハリウッド映画ではお約束。金のためと割り切って稼いでるマッツです
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強姦魔より愛をこめて

2021-11-14 | イタリア映画
 「スタンダール・シンドローム」
 連続強姦殺人事件を捜査するローマの女性刑事アンナは、情報提供を受け訪れたフィレンツェの美術館で気を失い、親切な男に助けられる。その男アルフレードこそが、警察が追う連続殺人鬼だった。アルフレードはアンナをレイプし、彼女の目の前で娼婦を惨殺する。心身に深い傷を負い、休職して実家に戻ったアンナの前に、再びアルフレードが現れ…
 「サスペリア」のダリオ・アルジェント監督作。大昔にレンタルビデオ(VHSの時代!)で観て、ずっと忘れがたかった変態ホラー映画です。強烈インパクトだったのは内容ではなく、ヒロインを襲う変態強姦魔役の男優。カ、カッコいい!誰?!と、若かりし頃のMYイケメンレーダーをビビビとさせたのでした。その俳優、この映画で初めて知ったトーマス・クレッチマン、当時34歳ぐらい?当然ですが、わ、若い!そしてイケメン!

 猟奇的な強姦殺人鬼役なのですが、すごく爽やかで清潔感がある風貌!白い開襟シャツが似合う!さっぱりとした短髪も涼しげ。まさにクールビズな男前なんです。イタリア人役には違和感あり。イタリアでイタリア人に囲まれてると、薄くて硬質なドイツ人な感じがよく出ていました。劇中に出てくる濃ゆいイタリアの俳優たちに比べると清々しさが際立っていて、返って異彩を放ち異質な存在にしていました。

 元水泳選手のトーマス、まだその名残があるスポーツマンらしい引き締まった肉体美も披露してます。大胆な全裸姿にもちょっとだけなってましたが、多かったのはタンクトップ姿。筋肉質さがよく判り、すごくセクシーでした。でも薄いせいかあまり色気はなく、何してもエロくないです。女たちに近づき、強姦しては惨殺するサイコパスな猟奇殺人鬼役のトーマス、被害者たちやヒロインをいたぶるシーンの彼は不気味で怖いです。笑顔や口調は優しいのですが、さすがナチスドイツ役をオハコにしてただけあって、冷酷で残忍な雰囲気を妖気のように放ってました。薄く冷たい感じが無情なサイコ役にぴったりでした。まだほとんど無名時代、駆け出しの俳優がいかにもやりそうなヨゴレ役ですが、ヨゴレた感じがまったくなかったのが驚異です。出演作の中でいちばん好きなトーマスは?と訊かれたら、今でもこの変態ホラーの強姦殺人魔なトーマス、と私は答えるでしょう。

 主演はアルジェント監督の娘アーシア・アルジェント。まだ若くて、そして美人。ちょっとウィノナ・ライダー似?美人なのに、とんでもないイカレ女役を怪演してます。よくこんな役、娘にやらせたな~。やるほうもやるほうだけど。ぶっ飛びすぎなアルジェント父娘です。ヒロインは刑事なのですが、刑事らしい仕事はほとんどせず、ただもう現実とも妄想ともつかぬ異常な事態の中でどんどん狂っていく、その狂態が常人の理解の範疇を超えていて、早く精神病院に強制入院させて!と思わずにはいられませんでした。強姦魔より危険。彼女に関わる男たちは、みんな血みどろ血まみれの屍と化していきます。ラスト近くの狂乱は、ほとんどカオスでした。心を病んだ女ほど怖いものはない…ダリオ&アーシア父娘とトーマスは、後年「ダリオ・アルジェントのドラキュラ」で再結集してますね。

 独特の視覚効果や色彩感覚、音楽など、一世を風靡したサスペリアを彷彿とさせます。ヒロインが絵の中に入り込んだり、絵の中の世界が動いたりするシーンがユニークで不気味です。そういったグロテスクなファンタジーシーンや、本当は強姦殺人魔は存在しないのでは?ヒロインの妄想なのでは?と思わせる演出など、連続サイコキラーを追うサスペンス、ミステリーを期待して観ると目がテンになってしまうのでご注意を。アルジェント監督独自の美学で構築されたヴィヴィッドな変態ホラー、私は嫌いじゃないです
 ちなみにスタンダール・シンドロームとは、美しい絵画や建造物などに強い感銘を受けて突然めまいや動揺に襲われる症状のことだとか。アンナとアルフレードが出会うフィレンツェのウフィツィ美術館、有名なヴィーナスの誕生とかメデューサとかがあるんですね!行ってみたい!

 ↑ 若い頃のトーマス、可愛い!
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秋深し少年の恋

2021-11-10 | イギリス、アイルランド映画
 「Departure」
 イギリス人の母子、ベアトリスと15歳のエリオットは、南フランスの田舎に所有しているサマーハウスにやって来る。ベアトリスは夫との破綻した結婚生活に疲れ、サマーハウスを売却しようとしていた。エリオットはフランス人の青年クレモンと親しくなるが…
 掘り出しものな佳作でした!家族関係や性の目覚め、初恋に悩みながら成長する少年の思春期、というテーマはありきたりなのですが、恋は恋でも少年の恋の相手は青年というBL思春期が、心が洗われるような美しい風景の中、瑞々しく清らかな愁いで描かれているところが出色でした。

 ご存知の通り、わしは三度のメシよりBLが好きな筋金入りの腐ですが、年齢が低くて見た目が幼いBL、いわゆるショタ系は苦手。この映画のエリオットもあどけない顔の可愛い少年なのですが、メンタルが不安定なママへの優しさと冷ややかさに、あまりコドモコドモしてない大人じみた落ち着きがありつつ、決して大人ぶってるわけではなく、おっとり上品で感受性と想像力が豊かで、静かにふわふわしてるところが可愛い子でした。詩人であるエリオットの空想世界も、静かに幻想的で印象的でした。

 エリオットが外出時に着るジャケットが、イギリスの男の子って感じでおしゃれ!簡素だけどトラッドな服装は、田舎でも悪目立ちしないセンスのよさでした。ファッションセンスも、ゲイであるエリオットをどこか周囲とは違う存在にしていたように思われました。
 おとなしそう、内気そうなエリオットですが、クレモンを初めて会った瞬間にロックオン、尾行したり偶然を装って近づいて友だちになったり、なかなかやり手なところが微笑ましかったです。クレモンも、そっけなくてぶっきらぼうだけど、エリオットが期待しちゃうような親密な振る舞いをしたり、二人が友だち以上恋人未満な関係になるプロセスが微笑ましく、かつもどかしくホロ苦くもありました。

 エリオットとクレモンの会話は、英語とフランス語のちゃんぽん。どっちも日常会話は問題なく相手の母国語を喋れるところがスゴいと思った。わしなんか長いこと勉強しても英語ぜんぜん喋れんもんね。エリオットの想いを拒みはしないけど、受け入れることもないクレモン。彼のイライラした様子は、ノンケの葛藤だったのでしょうか。湖に浮かばせたボートの上での二人の行為は、甘い痛みと悲しみ、虚しさに包まれていました。

 エリオットのママも主役なのですが、ぶっちゃけ彼女の話は不要と思った。ママはどーでもいいので、もっとエリオットとクレモンのBLを深く濃ゆく描いてほしかったです。両親がなぜうまくいかなくなったのか、その理由は興味深かったけど。パパもかよ!と、ちょっと笑ってしまったが。ママにとっては笑いごとではなく、確かに神経も傷んで衰弱もするよな~と同情。人間関係や愛情に安心、安定なんてありえないんだよな~…
 エリオット役のアレックス・ロウザーが、可愛い!

 美少年ではなく、フツーっぽいけど優しそう聡明そうな可愛い優等生って感じの風貌。決してキャマキャマしくはないけど、なにげない仕草とか表情、目つきが男の子のものではない、そんな細やかなニュアンスを上手に表現してました。橋の上から川に飛び込むシーンでは、大胆な全裸も披露。プロフィールをチェキってみたら、ビツクリ!「イミテーション・ゲーム」で主人公の少年時代、そしてこないだ観た「最後の決闘裁判」では王さま役を演じてた!ぜんぜん気づかんかったわ。今後もいい作品に出て、いい役者に成長してほしい!クレモン役の俳優が、もうちょっとイケメンだったらな~。伊藤英明をチョイブサにした感じの顔?無骨でちょっと屈折した、つかみどころのないミステリアスなクレモンのキャラは、すごく魅力的でした。

 BL以上に感銘を受けたのは、サマーハウス周辺の美しい自然!深まる秋に色づく森、川の流れのささめき、静かな湖の水面、時おり姿を現す野性動物ののどかさ…清明で神秘的な空気感をよく出していた映像も秀逸でした。サマーハウスも居心地がよさそうだった。あんなところに住んでみたいな~。
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汚れたくない僕たち

2021-11-07 | 中国・台湾・香港映画
 「恋の病 潔癖なふたりのビフォーアフター」
 重度の潔癖症と強迫性障害のため、決まった日に買い物に出かける以外は引きこもり生活を送っている青年ボーチンは、地下鉄で自分と同じく防菌服を着たジンと出会う。交際をスタートさせた二人だったが…
 気になってた台湾映画。日本で公開されると聞いた時は驚喜!広島でも思ってた以上に早く観ることができました。潔癖症や強迫性障害をネタにしたおバカなコメディかと思ってたのですが、なかなか奥の深い深刻なテーマを扱った映画でもありました。前半は、オリジナルタイトル(怪胎=変人)通り、二人の潔癖症と強迫性障害による行動やこだわりをコミカルに描いています。私も不潔はイヤだし、雑然としてるよりは整然とした環境のほうが好きですが、あそこまで徹底的にはなれません。自分以外すべてが汚くて危険なバイ菌に見えてしまうとか、何て生きづらいんだろうと同情を禁じ得ません。奇異!理解できない!と異常者扱いされてしまうことも多いんだろうな。おもしろおかしく描いてたけど、実際に障害に苦しんでる人たちの困難を思うと、心の底からは笑えませんでした。

 ボーチンもジンも障害のせいで普通の社会生活ができなかったけど、経済的には余裕があったおかげで私には何だか羨ましい引きこもり生活だった。簡素だけど小じゃれた家に住んで、付き合い始めてからはあちこち楽しそうにデートしてたり。お金がなく外で働く必要がある障害者のことを思うと、複雑な気持ちになりました。潔癖症と強迫性障害への理解と支援は必要だけど、そんな余裕がまだまだない社会を憂います。

 潔癖症と強迫性障害の人たちにとって、この世は秩序もなく汚濁まみれ。ただでさえ汚なくて混沌としてるのに、コロナなんてものにまでまみれて、もう一歩も外へは出られないことでしょうか。世界一清潔な日本でさえ辛いなら、東南アジアなんて生き地獄でしょ。潔癖症でも強迫性障害でもない私でさえ、ミャンマーでは暮らせないと思ったし。台湾もかなりキツそう。屋台のシーンとか、かなりデフォルメしてるとはいえ、あんなの日本ではありえんし。完全武装な二人の防菌服が奇異、だけど可愛くてオシャレにも見えました。あんな恰好で街を出歩いても、誰も気にしないのが不思議だった。

 後半になると、愛の試練が二人に襲いかかり、怒涛の急展開に。突然ボーチンだけ奇跡のように障害がきれいさっぱり消えて、今までできなかった社会生活をエンジョイし始めてジンとの間に深い溝ができてしまうのですが。離れていく心、壊れていく愛がシビアで残酷。不幸も二人なら幸せなのに。障害がなくなった途端に幸せが崩れてしまうなんて、何て皮肉なのでしょう。ボーチンのことを裏切り者!と責めることもできません。私だって同じ道を選ぶでしょうし。愛があれば大丈夫とか、愛する人のために自分を犠牲にして…なんて甘い夢物語。ばい菌のように汚いのが人間の本当の姿。悲しいけどこれが現実です。最後の最後に、え?!なドンデン返しもあり、なかなか予測不可能な映画でした。
 主演の二人がすごく魅力的でした。ボーチン役のリン・ボーホンは、誰かに似てるんだよな~とずっと思ってたら、あ!わかった!キンプリの岸優太だ!

 岸くんの顔を端正なイケメンにしたら、ボーホンって感じ?某事務所随一の肉体美を誇る岸くんですが、ボーホンのカラダもすごい!何度かあるシャワーシーンで、見事な筋肉ボディを披露してます。でも、引きこもりであのカラダはないわ(笑)。韓流男優の肉体美もすごいけど、華流男優も負けてませんね~。日本には眼福の肉体美を持つ俳優がいないので残念。なので、岸くんには今後も頑張ってほしいものですヘンな髪型も可愛かったです。

 ジン役のニッキー・シエもチャーミングでした。ちょっと濃い目の派手な顔立ちの美人なのが、日本や韓国の女優と違います。はっきり年齢については言及してなかったけど、どう見ても女のほうが年上で、グイグイとテキパキと男をリードしたり、かいがいしく家事をこなしたり、不思議ちゃん風ながらも年上女房的いい女キャラにも好感。それにしても。二人とも結構いい歳した大人なのですが、無邪気なコドモみたいなのが可愛くも不気味でした。社会に毒されてないピュアな人って、美しいけど共感はしづらいです。防菌服だけでなく、二人のファッションや室内の色彩、インテリアなどもカラフルにポップ&キッチュで目に楽しいです。台湾の温暖な雰囲気も好きです。日本でリメイクするなら、ボーチン役はもちろん岸優太で、ジン役は上野樹里とかがいいと思います。
 邦題が、ちょっと???恋の病…潔癖症、強迫性障害は病気じゃなくて障害なので、何だか違和感を覚えます。病気は治るけど、障害は治らない…

 ↑ 林柏宏、いいですね~。キレイカワイイ男子よりも、こっち系のほうが断然好きです美男子やイケメンがわんさかいる華流映画、かつてのようにまた盛り上がってほしいものです
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妖しい罠の美女!

2021-11-03 | イタリア映画
 「甘く危険な女」
 実業家のジャンと、その妻ダニエルとの夫婦関係は冷めきっていた。そんな中、夫妻の住むフラットの上階に、ニコールという美女が越してくる。愛人から暴力を受けているニコールと、ジャンは深い関係になるが…
 1969年のイタリア映画です。不倫、痴情のもつれ、ストーカー、殺人、レズビアン、SMなどなど、ゲスい三面記事的ネタてんこ盛りで、お高くとまった優等生映画や毒にも薬にもならないポリコレ映画にウンザリしてる私には、返って新鮮で美味しい作品でした。こういう映画やドラマ、昔はいっぱいあったのに、すっかり廃れてしまって寂しいです。妖しいブルジョア美女たちが、華やかにエロティックに野望と欲望に突き動かされ犯罪に手を染めるという設定や、レトロだけどモダンでキッチュなファッション、面妖な雰囲気と展開、サイケなファンタジーみたいなシーンなど、土ワイの明智小五郎の美女シリーズを思い出させました。

 やってること起きてることは隠微で背徳ですが、全体的に明るく開放的なのは、やはりイタリア映画だからでしょうか。舞台はフランスのパリなのですが、ブロンドやブルネットの美女たちがエッチ(死語)な服を着たりポーズをしたり、60・70年代に流行ったイタリアのセクシー映画のテイストが濃厚で、そのエッチさはノスタルジーを覚えるほど古典的です。美女たちがチラっとおっぱいやお尻を見せる程度、ラブシーンもがっつり絡むものではなくライトで、エロが大したことないところがご愛敬。

 情痴の果てに殺人が起きるのですが、なかなか読めない展開、予想外の真相など、荒っぽく雑に感じられつつもミステリー、スリラーとしては上出来な脚本だと思いました。どうせあの人は死んでなくて、この人とグルになってるんだろ、チープな設定だなと思ってたら、え?結局そういうことなの?と、一周回った結末に一本とられた感じ。でもかなり強引ではあります。殺人後に判明するダニエルとニコールの百合関係とか、何のにおわせもなく唐突すぎる。真犯人の目的はいったい何だったのか、何がしたかったのかも謎。金?異常な殺人ゲーム?
 ジャン役は、当時39歳のジャン・ルイ・トランティニャン。わ、若い!

 妻がいながら女たちとアバンチュールを楽しむ下半身ユル男役でも、見た目がすごいクールで知的でストイックなので、チャラくもゲスにも見えないジャン・ルイ。とにかくシブいです。冷酷そうで苦み走った男前だけど、ラブシーンが絵になってて上手なところはさすがフランス男優。私生活でも超絶モテ男だったらしいジャン・ルイですが、女優たちとの絡みを見ればそうだろうな~と納得。すごい小柄だけど、ガッチリと引き締まった体つきもセクシー。60年代のスーツやカジュアルなファッションも、パリジャンらしい小粋さと洗練。日本の30代後半から40代の俳優にも、いい歳してカッコいいだけな役や好感度が高い役、共感されたい役ばかりではなく、情痴に身を滅ぼすような色っぽい役やってほしいものです。

 危険なファムファタール、ニコール役のキャロル・ベイカーは、美人というより素朴な顔立ちで可愛い感じ。アメリカ人らしく明るく健康的なエッチさ。ダニエル役のエリカ・ブランともども、熟女の色香を惜しげもなく振りまいていました。二人のブルジョアファッションが目に楽しいです。二人の関係や、追いつめられるダニエルの姿などは、スリラー映画の名作「悪魔のような女」とカブります。
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