まつたけ秘帖

徒然なるままmy daily & cinema,TV drama,カープ日記

パリのイケメン掏摸

2019-11-28 | イギリス、アイルランド映画
 「フレンチ・ラン」
 パリで逃亡生活を送っていたスリのマイケルは、盗んで捨てたカバンの中に仕掛けられていた時限爆弾が爆発し死傷者が出たため、テロリストとしてCIA捜査官のブライアーに身柄を確保される。無実を訴えるマイケルにブライアーは、事件の捜査協力を強制するが…
 「ボディガード 守るべきもの」でMY イケメンレーダーを激しくビビビとさせたリチャード・マッデン出演作、ということで観ました~。リチャマ、やっぱいい男ほどよく濃ゆい男くささがいいですね~。カッコいいんだけどカッコつけてなくて、男前で有能なのに全然イケイケじゃないところが「ボディガード」と同じ。すごく悲しそうな不幸顔。クールにスマートなヒーローよりも、よってたかって非道い目に遭って満身創痍な男の役が似合います。

 今回もリチャマ、テロ事件の犯人にされたり、怖い捜査官に追っかけられたりボコられたり、さんざんな目に遭いまくってます。でもすごいイケメン!あんなイケメン、どこにいても目立つのでお尋ね者生活は無理!カフェで煙草吸ってるだけなのに、周囲とは違う雰囲気を醸してるもん。容姿と才能をひけらかしていいとこどりしてる幸せな男よりも、美点が災いになってるような不器用で不幸な男のほうに、私は興味をかき立てられ魅力を感じます。

 不幸イケメンなリチャマ。大人の男っぽいけど、よく見ると若い。肌とかツヤツヤ。大学生の役もまだできそう。子どもっぽいけどよく見たら老けてる嵐とは真逆ですね。リチャマと嵐が同世代ってのが驚きです。可哀想でカッコカワいいリチャマですが、激しいアクションとか死闘などは主役のイドリス・エルバが担当しており、わりとおとなしいのがちょっと物足りません。でも、パワフルで俺様なイドリスに守られながら、おどおどしたり素直に従ったりするリチャマが可愛い!巨漢のイドリスと並ぶと、すごく小柄に見えるリチャマもキュートでした。何でも手際よく頂戴するマイケルのスリの技、まさに神業!褒められたものではないにも関わらず、すごい才能だと感嘆。

 ♂フェロモンむんむんなリチャマなので、性的なシーンが全然ないのはかなり残念。女がダメなら男と!なんて腐の期待も、熟年マッチョのイドリスともBLの気配は微塵もなしで裏切られます。見た目からして親分と子分な二人だったので、もうちょっと年が近い違うタイプのイケメン同士だったらな~。でもまあ、相手が魁夷なコワモテおじさんだから従ったけど、同世代のイケメンだったらマイケルは絶対言いなりにはならなかったでしょうから、必然性のある組み合わせではありました。

 ブライアー役は「ワイルド・スピード スーパーコンボ」の悪役も記憶に新しいイドリス・エルバ。彼もカッコいい!ほんと強そうで頼りになる漢(おとこ)。ぜったい大丈夫、負けるわけがないな無敵感、安心感がハンパなくて、ピンチシーンになっても全然ハラハラもドキドキもしませんでしたゴツい風貌、荒っぽい演技の中にも、ハリウッドのアクションスターにはないスマートで洗練されたものが感じられるイドルス、さすがブリティッシュ俳優。英国俳優のイドリスとリチャマをアメリカ人役で起用、というのが謎です。テロに利用される女の役は、「イヴ・サンローラン」などのフランス女優シャルロット・ルボン。いしだあゆみ+ウィノナ・ライダー、みたいな顔です。凱旋門やエッフェル塔など有名な観光地だけでなく、移民が多いゴミゴミした区域など、パリの風景も目に楽しかったです。

 すっかりmy heartthrobになったリチャマ。いい男!不幸そうな顔がたまらん!

 ↑ キット・ハリントンとゲーム・オブ・スローンズに続いて共演したアメコミ映画“Eternals”の日本公開が待ち遠しい!
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痴情小説家

2019-11-24 | 日本映画
 「火宅の人」
 作家の桂一雄は、妻子をよそに若い愛人との情事に溺れ、私生活を題材にした小説を書いて糊口をしのいでいた。いつしか女たちとの相克に疲れ、放浪の旅に出る桂だったが…
 やっぱり昭和に作った昭和の映画はいいですね~。とにかく内容も脚本も演出も演技も、すべてにおいて濃ゆいです。最近の邦画は薄すぎて味気ない。そんな物足りなさを抱いてる若い人たちにも観てほしい昭和映画のひとつです。実在の作家、檀一雄をモデルにした主人公、桂の生き方や女性関係なんて、令和のポリコレ的には完全にアウトです。でもポリコレ的な人の話なんか全然面白くありません。他人と深く関わることが苦手な私なんかからすると、眉をひそめるどころか憧れさえする桂の激しく自由な人生です。とにかく桂先生、元気すぎる。創作と情痴に東奔西走するバイタリティには驚嘆するばかりです。

 妻、愛人、行きずりの女。おっさんの三股なんてフツーなら醜悪で気持ち悪く、卑劣で許せないはずなのですが、桂先生ってばいつもドタバタ、アタフタと忙しく大真面目に一生懸命なので、薄汚いゲス不倫おやじには見えないんですよね~。ドロドロした情念の修羅場というよりも、どちらかといえばコミカルな喜劇っぽかったのが意外でした。笑えるシーンが多いです。「仁義なき戦い」もそうでしたが、深作欣二監督の作品ってテンションが高く激しすぎて、何だか滑稽でもあるんですよね~。かなりすっとぼけてる桂だけでなく、女たちもみんなちょっと変わってるというか、泥沼不倫でありがちな陰惨さや深刻さが希薄で、みんな元気でマイペース。桂に翻弄されつつも彼に人生を左右されない強さが、珍妙かつ魅力的でした。男はズルくて可愛い、女は愚かで強い。無気力な今の男女は少し見習ってもいい、元気な男ざかり女ざかり情痴話でした。

 恋多き作家役を、緒形拳が情熱的かつ愛嬌たっぷりに演じてます。こういう役、こういう演技ができる俳優、今いないよな~と、あらためて緒形拳の偉大さ、貴重さを思い知りました。無責任で自分勝手だけど、何か憎めない、つい許してしまう情けなさ、優しさがまさに女殺し。とぼけてるけど男の欲望でギラギラと脂ぎって、ぜんぜん乾いてないぬめりがエロい。この映画でも濡れ場たっぷり。キスというより口吸い、全裸の体の重ね方や絡め方とか、緒形拳が得意だった濡れ場には、今の邦画ではもう見ることができない生臭い官能であふれています。子どもたちには優しく面白い父で、女たちには常に優しく言葉遣いが丁寧なところが可愛かったです。

 緒形拳をめぐる3人の女たちを演じた女優たちも、すごくチャーミングな好演。今の女優たちにはない独特な個性と美しさ。妻役のいしだあゆみが、なかなか強烈です。尽くす妻、耐える妻なんだけど、桂に対してすごいつっけんどんで冷淡な言動が笑えた。感情を押し殺した無表情で、家事に介護に夫の仕事の手伝いにテキパキ動く姿や、ダメ亭主を結局は手のひらの上で転がしてる貞女の余裕など、昭和の良妻賢母って感じをよく出してました。新興宗教にハマって変なお祈りをする奇態もクレイジーで笑えました。いしだあゆみは当時、大ヒットドラマ「金曜日の妻たちへ」など女優として絶頂期。顔も体もガイコツみたいに細いけど、ドスのきいた低い声と喋り方なので、ぜんぜん弱々しく見えません。緒形拳とは「野獣刑事」でも共演してましたね。
 桂の愛人役の原田美枝子が、若々しく大胆!緒形拳との濡れ場では、豊満な美巨乳を惜しげもなくさらし、もまれ吸われまくってヨガる顔も声もエロい!けど、隠微さはなくとにかく明るく元気。桂と旅を共にする行きずりの女役は、深作監督の恋人だった松坂慶子。彼女も当時、美貌といいキャリアといい絶頂期。ほんと美人!「事件」や「鎌田行進曲」など、美しいけど人が善すぎる男運の悪い場末の女、といえば彼女の十八番。彼女も濡れ場では美裸体を披露してます。昔はトップ女優といえどバンバン脱いでました。今はもうそんな果敢な女優もいないし、それを必要とする映画も作られなくなりました…
 昭和に作った昭和の映画ならではの昭和感、昭和臭も、全編に沁みわたっているのも魅力。桂一家の家とか暮らしぶりには、ノスタルジーを覚えずにはいられません。あと、桂の日本脳炎で寝たきりになってしまった息子が入院する病院。今のポリコレ邦画では絶対ありえない障害児描写です。
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アカい恋人

2019-11-21 | 北米映画 80s~90s
 「レッズ」
フリーライターのルイーズは、ジャーナリストのジョン・リードと恋に落ち、夫を捨ててジョンと同棲を始める。反戦を唱え社会主義運動にのめりこむジョンは、ロシア革命に立ち会うためルイーズを伴いソ連へと渡るが…
 老化による気力・体力・集中力の衰えゆえに、どんなに面白い映画、すぐれた映画でも、長い映画はとてつもなく苦痛。上映時間が2時間を超える映画は、映画館で観ることを躊躇するように。最近の映画は、やたらと不必要なまでに長いので、本当にキツいです。DVDレンタルや録画した長時間映画は、最初から最後まで一気に観ることはほとんどなく、連続ドラマのようにチビチビと1時間ずつ観てます。この1981年の3時間を超える大作も、3日かけて完観しました
 レッズ、といっても、もちろんサッカーチームのことでもメジャーリーグの球団のことでもなく、共産主義者のことです。ロシア革命を現地で見聞したアメリカのジャーナリスト、ジョン・リードの半生を描いた映画です。私の苦手な小難しくお堅い社会派映画なのかなと思いきや、どちらかと言えばジョンとその妻ルイーズとの恋愛ドラマっぽかったです。

 アメリカの政府を糾弾し続け、反戦を叫び、社会主義運動に激しく身を投じ、ソ連で客死した男…と聞けば、筋金入りのガチガチなアカい人をイメージしますが、ジョンにはそんな思いつめた重苦しさはなく、むしろ明るく朗らかに自由闊達で、インテリらしからぬ情熱的でタフな行動派、という典型的アメリカンいい男って感じでした。特にルイーズに対してのヘタレっぷりが可愛かったです。魅力的な人間に描かれてはいたけど、決して理想の夫、恋人ではない類の男でもありました。そばにいても離れていても、一瞬も安らげないもん。ああいう夢追い人を愛して支えるには、超人的な精神力が必要です。

 ジョンはチャーミングでしたが、ルイーズは私の苦手なガチガチのフェミニストでした。自己主張が強く自信過剰、過小評価されるとブチギレし、悪いのは自分ではなく自分を認めない周囲、な言動や考え方がなんだかな~。相手の話を素直に冷静に聞けず、感情的で支離滅裂なあー言えばこー言うをヒステリックにぶつけてくるルイーズは、ちょっと田島○子センセイとカブりました。八つ当たりされるジョンが可哀想だった。ジョンが不在の時に彼の親友と浮気したくせに、ジョンの女遊びは許さないとか、自分勝手すぎる。キレた時のギャーギャーしたわめき声と鬼の形相、私がジョンなら百年の恋も醒めます。

 激動の時代、アメリカとロシアを舞台に、ジョンとルイーズが別れとヨリ戻しを繰り返す、壮大なバカップル映画です。ロシア革命についてはほとんど無知な私なので、当時のソ連について勉強になりました。カオスな革命、恋人の関係性など、大好きな映画「存在の耐えられない軽さ」のプラハの春と、自由奔放で優しいトマシュ&情熱的なテレーザをちょっとだけ彷彿とさせました。レーニンを演じてた俳優が本物とそっくり!それにしても。ジョンもルイーズも、全然ロシア語が喋れない、喋ろうともほとんどしないところが、ほんとアメリカ人だな~と悪い意味で感嘆。英語が上手なロシア人がいっぱいたのが、不思議かつ都合よすぎ。実際にはどうだったんだろう。

 スケールが大きく美しいロマンあふれる映画に仕上げるために、いろいろ話を盛ってるんだろうな~。ジョンを探すため、ルイーズが密航してロシアに渡る危険で過酷な冒険とか、駅での再会シーンとか、事実だったら出来すぎなドラマティックさです。でも映画なので、そういう演出は大事だとも思う。悪質な捏造、ヤラセでなければ無問題!風景や建造物までCGにしてしまう最近の映画と違い、労力をかけたロケ撮影も、CGと違ってリアルで物語に説得力を与えていました。
 この映画、キャストがなかなか豪華&シブいです。当時ハリウッドきっての才人スター、そして希代のプレイボーイとして名をはせていたウォーレン・ビーティーと、ファッションや生き方など時代の最先端をいく女優として人気だったダイアン・キートンが主演。二人は当時、恋人同士だったとか。この映画の監督も兼ねたビーティー氏は、オスカーの監督賞を受賞。演出は硬派で手堅いけど、演技と見た目は柔和で明るい。すごく若々しく、同じ世代の俳優で同じ80年代の映画「愛と哀しみの果て」のロバート・レッドフォードとかに比べたら、加齢臭や老人的なカサカサ感は皆無。恋愛映画も違和感なし、いや、返って彼から色恋要素を抜くほうが間違ってます。見た目も手伝って、常に何となくコミカル。ルイーズの誕生日に料理をしているシーンとか、かなり笑えました。映画人として最盛期にあった頃の彼ですが、今は“ラララの誤発表爺さん”としてのほうが有名になってしまったという、トホホな老後生活が切ない。

 ダイアン・キートンは、美女ではないけど男にモテる、しかも頭のいい男、才能ある男がホレる魅力の持ち主なんだろうな~。同じ進歩的なインテリ女性といっても、ルイーズと違いキートン女史はギスギスヒステリックなフェミニストではなく、軽やかでしなやかな才媛。そんなイメージがルイーズへの反感や不快感を薄めてくれました。作家のユージン・オニール役でジャック・ニコルソン、編集者の役でジーン・ハックマンといった大物名優が脇役出演してます。二人とも好演してますが、彼らほどの名優にはもったいないような役でした。女性活動家エマ・ゴールドマン役の名女優モーリン・ステイプルトンが、この映画でオスカーの助演女優賞を受賞してます。名撮影監督ヴィットリオ・ストラーロによる独特な光具合の映像美も印象的です。
 それにしても。やっぱ私、アカい人たちには共感も理解もできないわ~。若い頃に右翼男にされた洗脳がまだ解けてないせいでもあるんだけど、過激すぎてドン引きしちゃうんですよね。ジョンたちも一歩間違えれば連合赤軍、みたいな危うさがあったし。右も左も、暴力は辞さない!なのは承服しがたいです。
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行儀よく真面目なんて出来やしなかった

2019-11-17 | 日本映画
 「君が君で君だ」
 親切にしてくれた韓国人女性に好意を抱いた青年二人は、女性の元恋人も加えて女性が好きな尾崎豊、ブラッド・ピット、坂本龍馬に成りきってアパートに同居し、そこから女性の生活を観察し始めるが…
 うう~ん…何とも意味不明で気持ち悪い映画でした。狂気の恋は私の大好きなテーマなのですが、この映画のそれは全然怖くも美しくもなくて、ただもう幼稚で騒々しいだけ。ストーカー行為の内容が、もう不愉快極まりない。日がな一日、向かいの部屋から被害者の一挙手一投足をのぞき見、盗撮、盗聴してワーワーヒーヒー騒いでる姿は、もう見るに耐えない醜さ。被害者に直接は何もしないところが、返って卑劣なんですよ。脳みそがイタんでるわりにはコワレ人の怖さも面白さもなく、まるで中学生のオナニーを延々と見せられてるような気色悪さでした。見守ってる!と言いながら、彼女が体を売るのも自殺しようとするのも止めず、彼女の苦境に興奮してるだけなのも本当に気持ち悪かった。あんなおぞましいストーカー行為を長い間犯しながら、大したしっぺがえしも罰も受けず、純愛を貫いたみたいな展開には失笑。フツーは刑務所か精神病院でしょ。正気に戻ったら、真っ先に自分たちがやってたことを慙愧、後悔、反省すべきなのに。こんな形の純愛もあるんだ、みたいなノリが片腹痛いです。

 内容も演出も台詞も俳優たちの演技も、作り手側は楽しんでるのがすごく分かる。でも観客を置き去りにし過ぎ。それもまた私の苦手な、自分たちが楽しければいい的な内輪受けっぽくて不快でした。いちばん許せないのは、大好きな俳優をそんな内輪で狎れ合い映画に引きずりこんで無駄づかいしたこと。この映画を観たのは言うまでもなく、大好きな池松壮亮が主演だからです。池松くんも昔から出演作に、かなり当たり外れがある俳優。最近はハズレのほうが多くて、ほんと残念です。もうちょっと出演作を選んでほしいわ~。

 尾崎豊になりきってる男役の池松くん。何でこんな映画に出たのとトホホになりつつ、やはり若手随一の魅力と実力はギラリと光らせてはいるんですよ。焦点が定まってない瞳のヤバさ、そして美しさは、やはりイザベル・アジャーニっぽくて、こんなふざけた映画ではなく真面目に本格的に狂気を活かせる映画に出てほしい。女の下着姿になって踊ったりお祈りしたり、女の髪の毛をムシャムシャ食べる壮亮くん、キモいけど笑えます。無精ひげのない顔での映画は久々?やっぱすごい童顔!肌が浅黒く少し荒れてるところも、某事務所のメイクバッチリ顔が苦手な私のとっては、生々しい男の魅力が。

 女の下着に着替える時の上半身裸とか、尾崎豊に扮してる時のTシャツ姿で見える腋毛とか、可愛いコドモ顔だけど相変わらず性的フェロモンが濃厚。壮亮くんじゃなくてブサメンやフツメン俳優だったら、確実に観るのリタイア、いや、始めっから観てなかった。壮亮くんの暗いエロ可愛さの前では私、まるで甘い樹汁に吸い寄せられるカブトムシになってしまいます。そして壮亮くんだけでなく、もう一人私の大好きな俳優もこの映画には出演してます。ワタシ的には夢の共演!それがなぜこんな映画でと、ますますトホホ!

 ストーカーされてる韓国人女性の彼氏の借金を取り立てにくるチンピラ役で、向井理が登場。「ザ・ファブル」でのヤーさん役も割とイケてたムカイリー。今回も乱暴でヤサグレたコワいお兄さん役を好演してます。ムカイリーって善人役よりもイケズな役のほうが似合うと思う。気持ち悪いストーカーどもにビシっと手も口も出すムカイリーがカッコよかったです。薄い眉毛もチンピラファッションも、何やったってオシャレに見えるところもムカイリーらしい。超小顔で長身で、スラっとしたスタイルのよさにも毎度ホレボレ。壮亮くんとのツーショットは、ほんと私の妄想が成就したかのようだった。次は本格的にW主演で競演を!高村薫の「冷血」がもし映画化されるとしたら、二人にぴったりだと思うの!

 韓国人女性のクズ彼氏が、可愛いイケメン!アホなチャラい演技も良かったし、誰?と思って調べたら、高杉真宙という子でした。他の出演作の彼も見てみたいものです。ブラッド・ピット男役の満島真之介もイケメンなのですが、オーバーすぎる演技がかなりウザかったです。イケメン俳優たちには、大したことないのに俺ってスゲー演技してるだろ?と自己満足してるだけの学芸会ではなく、下手でもいいので大胆さとか衝撃がある演技や役に挑戦してほしいものです。
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さすらいの殺人鬼

2019-11-12 | 日本映画
 「復讐するは我にあり」 
 昭和38年の福岡。現金強奪のため男性二人を殺害し逃亡した榎津巌は、大学教授を騙って潜伏した浜松の旅館の女将ハルとねんごろになるが…
 昭和40・50年代の邦画が大好きな私。中でもこの映画はmyベスト3には確実に入る傑作!うっすい軽い今の邦画と違い、昭和の重さと暗さが映画を観た!という満腹感、満足感を与えてくれます。人間関係も社会も空気さえも、どよよ~んと淀んでいた昭和という時代。同じ狂気的な凶悪犯罪でも、現代と違って濃密な情念や愛憎によって引き起こされていたものが多かった。おどろおどろしくも活力に満ちていた昭和がよく描けた映画といえば、まっさきにこの映画が思い浮かぶ私です。当たり障りのないポリコレなんか蔓延してなかった、本当に良き時代でした…

 警察の捜査網をかいくぐって日本各地で殺人&詐欺行脚、世間を震撼とさせた西口彰事件をモチーフにして佐木隆三が書いた直木賞受賞作小説を映画化したもの。凶暴な殺人と知能犯罪である詐欺を両立させた事件の特異性で、血塗られた日本凶悪犯罪史に黒い名を刻んだ西口彰をモデルにした榎津巌、その神出鬼没ぶり、被害者たちのと庶民的で人情あふれる?ふれあい、まさに殺人鬼となった寅さんです。寅さんは殺人も詐欺もセックスもしませんが、自由な風来坊で自分ルールな思考回路、調子がよくて口達者、図々しいけど人好きのするところなど、寅さんを彷彿とさせる巌。あの口のうまさ、演技力、コミュ力など、有効に活かしてまっとうに生きてたら、さぞや成功した人生を送れたことだろうに。騙してるという意識が薄く、弁護士や教授になりすましてるうちに現実と虚実の区別がつかなくなってる、みたいな様子も病的。殺さなくても?と思うような殺人ばかりなのなのは、どうしようもない殺人衝動?まさに生まれてきてはいけなかったかのような害悪人間。ロンブローゾの性悪説を、巌を見てると信じたくなるほどです。

 とんでもない戦慄の殺人鬼だけど、何か憎めない愛嬌がある巌。よせばいいのに深く関わってしまう被害者たちの気持ちは、まったく理解できないものではありません。昭和の繁栄に取り残された者たちが、肩寄せあうように巌と親しくなる姿が、微笑ましくも切なくて。巌とハル母娘とのやりとりは、絶望の中の刹那のぬくもりやユーモアがありました。巌の正体が殺人鬼と気づいた後のハル母娘の態度は、本当に孤独な人、絶望した人にしか理解できない悲しい人情なのではないでしょうか。

 巌役は、私にとって今なお日本最高の名優である緒形拳。この映画の彼、もう最高で~す!こんな演技、そしてこんな俳優、もう二度とお目にはかかかれないでしょう。まさに不世出の役者。今の人気俳優なんて、緒形拳に比べたら水道水やティッシュみたいに薄くて軽い。緒形拳のファンなら、今の邦画やドラマにはとても満足できないはず。この映画の緒形拳も、とにかくギラギラしてます。鬼気迫るって言葉は、彼のためにあるといっても過言ではない。目つきとか鋭すぎてヤバい。怖いけど、同時に女を濡らす色気もハンパない。低音の美声がセクシー。残虐な殺人シーンではまさに悪鬼ですが、それ以外はひょうひょうとトボけた感じが可愛いんですよ。福岡弁?『にゃにゃ』とか方言が可愛かった。緒形拳といえば昭和の濡れ場王ですが、この映画でもエロかった。緒形拳は当時42歳ぐらい。あたらめてキムタクとか嵐とか、いい年して幼稚な無難タレントだなと失笑。

 緒形拳以外の出演者も、むせそうになるほどの昭和な名演。巌の父役の三國連太郎は、晩年のスーさんとは別人。息子の佐藤浩市にはないイヤらしさ、妖気が強烈。巌の妻役の倍賞美津子の生々しい色香!湯煙の中で義父を誘惑するシーンでの、熟れた巨乳ポロンがエロすぎ。ハル役の小川真由美も、可愛くて哀れな熟女を好演。彼女も濡れ場では熟れたおっぱいを披露。彼女たちのように女の業を妖艶に演じることができる女優も、今はもういなくなってしましたね。エロ熟女といえば、かつてロマンポルノで男たちのリビドーを刺激しまくった白川和子や絵沢萌子も顔を出してます。ハルの母役の清川虹子、巌の母役のミヤコ蝶々など、ばあさん女優たちも強烈な存在感。ハルの旅館に派遣されて巌の相手をするデリヘル嬢役の根岸季衣も、なにげに印象的でした。
 昭和に撮影したからこその昭和な雰囲気も、この映画の魅力です。当時の駅とか汽車の中、ダイヤル電話、古い連れ込み旅館やボロいアパートなど、平成になってセットやCGで作ったものではないリアルさに、昭和を生きた者は郷愁を覚えることでしょう。
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野良娘

2019-11-08 | フランス、ベルギー映画
 インフルエンザが早くも猛威をふるってますね!私の職場でもバタバタとインフル欠勤者続出。私も微熱が!キター!!病院に駆け込みましたが、インフルではないと診断され安堵。でもでも、ものすごく体がダルいわ頭痛がするわ息苦しいわ、フラフラな状態で仕事どころじゃないんですよ何度測っても平熱だし、鼻水も咳もクシャミもほとんど出ないので、いったい何なんだろうと不安です。週末はじっと引きこもって養生します…皆さま、どうぞ御身おいといくださいませ~
 
「冬の旅」
 真冬の南フランス。農村の畑で行き倒れとなった少女モナの死体が発見される。モナの流浪生活が、彼女と関わった人々の証言によって明らかにされる…
 今年亡くなったアニエス・ヴァルダ監督作品。ドキュメンタリータッチのロードムービーです。
 現代人の多くが、いろんなものにがんじがらめとなり、窒息しそうな毎日を送っています。私もその一人です。わずらわしい社会生活、人間関係のしがらみをスッパリ断ち切って、いっそモナのように自由な浮浪者になりたい、と思いつつ、やっぱ無理かな、とも。モナのようなホームレス生活、いくら何でもハードすぎるわ。飢え、寒さ、不衛生、病気、孤独と危険、どれか一つ耐えるだけでも心身共に超人的な強さが必要ですし。私なら2日ともたんわ。完全に自由になるための代償は、あまりにも大きい。少々息苦しくても、健康で文化的な最低限度の生活のほうがいいです。

 それにしても。なぜモナなあんな過酷な浮浪生活を選んだのでしょうか。その理由や彼女の素性など、映画の中ではまったく説明されていません。あのド根性、忍耐力、社会で有益に活かせただろうにな~。でも、私たちが重要だと信じてることは、モナにとって取るに足らないこと、捨て去ってもいい無益なもの。まるで修行僧のようなモナでしたが、宗教的なストイックさ、決死の覚悟でやってるみたいな悲壮感とかは全然なし。淡々と気楽そうな様子。助けてもらっても施しを受けても、そんなん当然!と言わんばかりな厚かましさ、ふてぶてしさ。何だか小気味いいまでの野放図な不良娘なんですよ。なので悲惨さとか哀れさを感じない。食べ物や寝る場所のためにズルいこともしたり不道徳なこともするモナは、ちょっと家なき子の安達祐実を思い出させました。同情するならタバコくれ!みたいな。

 流浪中にモナが出会うのは、悪い奴もいたけど、おおむね親切な人たちばかり。でも、未成年の少女ホームレスに対してみんな無関心すぎる。私ならすぐに警察か児相に通報するけどな~。でも、助けてあげて!なんて思わせないモナ。むしろ保護されそうになると捕まる!逃げて!と思ってしまう。人情も愛情も拒んで独りで生きることって、モナのようにホームレスにならなくても、寒く険しい真冬の旅。モナがさすらう冬の荒涼とした景色が、その厳しさをよくあらわしていました。行き倒れ、野垂れ死になんて壮絶すぎる最期ですが、モナのことを愚かとか不幸とかとは思えなかったのはなぜ。不本意なことだらけな人生を、黙々と長々と生きるよりもむしろ…?
 モナ役のサンドリーヌ・ボネールは、この映画でセザール賞の主演女優賞を史上最年少で受賞しました。とにかく彼女、ほんとリアルで生々しいです。とても女優の演技とは思えません。ナチュラル演技なんてキレイキレイなものではない。きれいに見せたい、可愛く見られないなんて気配や意図などいっさいなし。少女なのにニヒル。スパスパとかったるげにタバコを吸う姿など、堂に入りすぎ。日本のNHK朝ドラとかに出てる女優なんか、絶対に出せないヤサグレ感と野生です。ちょっとトンがった複雑な女の子役が多かったサンドリーヌですが、キャリアを重ねるうちに角がとれ、素敵なマドモアゼルやマダム役が似合う女優に。その理想的な年齢の重ね方は、フランス女優ならではです。
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カメラを止めるな

2019-11-04 | 北米映画 15~21
 「ディザスター・アーティスト」
 俳優志望の青年グレッグは、演劇クラスでトミーという奇妙な男と出会い親しくなる。俳優として成功する夢を抱いてロスに移り住む二人だったが、チャンスはめぐって来ずくすぶった生活を余儀なくされる。トミーは自ら監督と主演を務める映画を製作しようとするが…
 ジェームズ・フランコ監督&主演作です。公開当時アメリカでは好評を博し、フランコ氏はゴールデングローブ賞の主演男優賞を受賞。オスカー候補も確実視され、まさに絶好調のアゲアゲ状態だったのが一転、過去のセクハラモラハラを蒸し返され、フランコ氏はゲス野郎として糾弾され窮地に陥ってしまったのでした。「よこがお」のヒロインも真っ青な、まさに絵に描いたような一寸先は闇、好事魔多し。フランコ氏の場合は身から出た錆なのですが、あまりにも悲惨な転落ぶりには同情も禁じ得ません。大好きな俳優なので、本当に残念です。報道されたことが本当なら責められても仕方ないけど、最近の厳格すぎるポリコレは映画も世の中もつまらなくしてるな~とも思います。スターやセレブなら何をしても許される時代はとっくに終わったことに、フランコ氏はもっと早く気づいて自重すべきでした。ユルいところも彼の魅力ではあったけど。残念なことになってしまったけど、この作品でもフランコ氏は俳優として、そして監督としての才能を感じさせる仕事をしてます。彼の初監督作「ジェームズ・フランコVSエイプ」も、なかなか才気が光る珍作でした。

 後にカルト映画なったトンデモ駄作「ルーム」が、いかにして作られたかを描いているのですが、とにかく主人公のトミーが見た目もキャラも変で笑えます。エキセントリックとか不思議ちゃんといったありがちな変人ではなく、かなり痛々しいというか、笑っちゃいけないような電波系の変人なんです。言動から察するに、ちょっと発達障害のある人なのかな、とも。他人の意見はほとんど耳に入れず、ほぼ自分のことだけ。空気を読まないというか読めないアスペルガーの典型。映画監督なんて、わがまま、独りよがり、自己中心的な人ばかりだと思うけど、その暴君さをパワハラだモラハラだと騒ぎ立てることもできますが、支離滅裂すぎる演出や言動を繰り返すトミーにはそれが何となくできない、というグレッグやスタッフの困惑や狼狽が、気まずい笑いを誘う。初監督作もそうでしたが、フランコ氏はイタい電波系コメディが好きみたいですね。私も好きです。ラストのプレミア上映、失笑と嘲笑が巻き起こる「ルーム」の全貌もイタすぎ、でもそれがしだいに喝采に変わっていく展開。本人は必死なのに、はたから見ると滑稽になってしまうことって、すごく皮肉。それが爽快な笑いになってるところが秀逸でした。

 天才とき◯がいは紙一重と言われてますが、純真とおバカも紙一重。トミーやグレッグ、そして「ルーム」のスタッフ&キャスト全員、何かが抜け落ちてるようなピュアな人たちばかりで、大丈夫?!と心配になりつつもほのぼのと温かい気持ちにさせてくれます。フツーならすぐに時間と労力の無駄と気づくはずなのに、傑作になると信じて悪条件にも悪環境にもめげず、一生懸命に真面目に明るく仕事に励む彼らが、見ていてとても羨ましくなりました。ひとつのことに無心に命を賭けるって、すごく崇高だな~と。ハリウッドでは、コネも実力もない凡人はまさに底辺人間扱い。それでも一寸の虫にも五分の魂とばかりの奮闘は、あきらめ人生を送ってる私の心に刺さりました。
 トミーとグレッグの友情も、イタいけど微笑ましく心温まるものでした。見た目といいキャラといい、フツーなら絶対関わりたくないと思うトミーに、常に優しく明るく忍耐強く、無茶ぶりされても怒ったり逆らったりもしない、底抜けに善人なグレッグってまさに天使だった。トミーはそんなグレッグに明らかに友だち以上の感情を抱いてるのが、笑えないほど痛々しかったです。BL映画としても面白かったです。

 まるで宅八郎な髪型といい、電波な言動といい、ジェームズ・フランコがトミー役をキモさ炸裂で珍演してるのですが、ふとした瞬間に見せる愁いに満ちた表情とか、やっぱ男前であることは隠せてませんでした。すごいゴリマッチョなフルチン姿も披露。喋り方と声も珍妙で、イタい奇人をキモ可愛く演じてます。グレッグ役は、ジェームズ・フランコの実弟デイヴ・フランコ。何となく似てるけど、そっくり兄弟!でなない。知らない人が見たら、兄弟とは気づかないかも。デイヴは兄ちゃんに比べると、すごく明るく健康的な感じ。ヒゲ顔が可愛くてカッコよかった。
 スタッフの一人で、フランコ氏の盟友セス・グリーンも出演してます。その他、シャロン・ストーン、メラニー・グリフィス、ザック・エフロン、「ウェディングバトル アウトな男たち」で共演したブライアン・クランストンなど、チョイ役のゲスト出演者が豪華でした。それにしても。トミーっていったい何者だったのでしょうか。素性といい謎の大金持ちぶりといい、正体を謎のままにして終わったのも巧い演出だったけど、やっぱ気になります。

 ↑業界から抹殺されたのかと思いきや、以前と変わらずじゃんじゃか働いてるみたいで安堵!
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