マリヤンカ mariyanka

日常のつれづれ、身の回りの自然や風景写真。音楽や映画や読書日記。手づくり作品の展示など。

名残惜しいもの

2018-06-01 | Weblog
まだ京都に住んで居ますが、
もしかしてこの秋こそは、
三重の田舎で栗拾いをしているかもしれません。


市電もとっくに無くなったことだし、
京都の街中ならではの、
老舗の和菓子屋さんや、
おしゃれなカフェやギャラリーや本屋さん、などなどと、
さよならすることを寂しいとは思いませんが、
「うどん屋さん」だけは名残惜しい気持ちです。
独りで出かけて、お昼を過ぎてお腹がすいたら、
うどん屋さんの看板を探します。
うどん屋さんといっても、
「大力餅」とか「千成餅」とか書いた暖簾がかかった大衆食堂です。

丼ものや定食もありますが、
私は、真夏以外は、大抵「たぬきそば」を食べます。
たっぷり出汁を吸った刻み揚げがのった、
あんかけ蕎麦で、
「揚げ」の上に「擦りショウガ」が、これまた、どかっとのっています。
だいたい500円前後です。
少し喉が痛い、風邪ひきかけ、という時は、
「たぬき」を食べれば治ります。

神棚の狐とか、
五大力さんのお札とか、
日めくりの格言とか、
ビールのポスターとか眺めながら、
アツアツのおそばを食べるのです。
うんとお腹がすいていたら、
入り口のガラス戸の中の「おはぎ」とか、
「おいなりさん」とかも皿に入れてもらって。

気取りのない食器や、
「お品書き」の墨の文字がいいのです。
近所のおばあさんたちの京なまりの強いおしゃべりが時々耳に入ってきます。
作業着のお兄さんたちは静かに素早く食べます。


三条四条辺りの繁華街にはなくなってしまいましたが、
裏通りにはそんな食堂がまだまだあります。

京都の町に溶け込んだ、そんな食堂に行けなくなることが
ちょっと名残惜しいです。
コメント
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