尾形修一の紫陽花(あじさい)通信

教員免許更新制に反対して2011年3月、都立高教員を退職。教育や政治、映画や本を中心に思うことを発信していきます。

三遊亭天どんオール新作大進撃ー上野鈴本5月中席夜を聴く

2023年05月17日 22時58分17秒 | 落語(講談・浪曲)
 上野鈴本演芸場で「三遊亭天どんオール新作大進撃」というのを聴いてきた。三遊亭天どんは円丈門下で、古典もやるけど新作をいっぱい作ってきた。10年前に真打に昇進して、時々は聴いてきたけど久しぶり。師匠の円丈没後はなかなか聴く機会がなかった。夜の部だけど、上野なら近いからいいやと思って行くことにした。しかし、場内はかなり空いてた。3分の1は埋まってなかった。
(三遊亭天どん)
 他の日に比べても少ないと言ってたが、天どん師匠推測するにその最大の理由は「天寿々」が定休日だったことらしい。天寿々は鈴本近くの天ぷら屋で、普段2200円の「天どん弁当」をこの期間は1800円で演芸場まで届けるという。天寿々店主は高校時代の同級生で、時々利用したこともある。美味しいですよ。まあ、僕は他にも聴きたい人がいるので今日にしたけど。

 「新作大進撃」ということで、演目が下記ラインナップのように発表されているけど、新作だからどの話が面白いのかは判らない。今日は「おわびの品」という噺で、つけ麺店の客と店主のやり取りがおかしい。後から注文した人の料理が先に出て来て、ちょっと首をかしげたら、店主が今何か不満を持ったでしょ、それをネットに書き込むんでしょ、クレーマーの方ですかなどと絡んでくる。あっちは大盛だったのでと店主は弁明して、では「おわび」にあなたも大盛にするという。いや、ここの大盛は若い学生でもないと食べきれない量だからと遠慮すると、今度は大盛を頼んでいた女性客が自分は若い学生に見えないだろう、私は傷つけられたと言い出す。店主は何かというと、あ、やっぱり書くんだと絡んでくるのがおかしい。このネタは面白かった。
(新作ラインナップ)
 そのちょっと前に三遊亭わん丈。来春に(林家つる子とともに)一之輔以来の抜てき真打になることが発表されたので、一度聴いておきたかった。今日は古典の「お見立て」という噺で、吉原の太夫が嫌いな客を断りたくて若い衆に何とかしろという。ついには死んだことにするところまで行くが、田舎者のお大尽は墓参りに行くと言い出して…。よくやる噺で、何回か別の人で聴いてるがエネルギッシュに疾走するスピードは確かに面白い。今後楽しみな若手に違いない。
(三遊亭わん丈)
 名前を知ってるけど初めて聴いたのが古今亭駒治。鉄道ファンで知られ、鉄道が出て来る新作をいっぱい作ってる。今日は山手線の車両が地方の鉄道で再利用されることになり、「最新鋭車両」と宣伝する。鉄道ファンの子どもが学校でチラシを見せると、最近東京から来た転校生がこれは山手線車両だよと言って、言い合いになる。この転校生は鶯谷に住んでたのを、どうせ知らないと思って東京の高級住宅地と言っている。芸能人に会ったことあるかと聞かれて、林家三平と答えるなどのクスグリを入れながら、軽快に進行して飽きさせない。 

 久しぶりに聴いた古今亭文菊は「猫の皿」という噺で、何度も聴いてるけどおかしい。この人が聴きたくて今日にした。最近めきめき上手くなってると思う柳亭こみちは「姫君羊羹」という講談から落語にした噺。まあ、それは今検索して知ったんだけど、大した噺じゃないのにすごく面白かった。羊羹をどう分けるかで姉妹が相争うので、父は姉が切って妹が選ぶという解決案を決めたが、それでもいさかいが続いて…。声の演じ分けも面白く、題材も興味深い。注目だと思う。
(いなせ家半七)
 ところで、2月と4月に聴いたばかりのいなせ家半七の訃報が伝えられた。2月に浅草で初めて聴いたのだが、それが春風亭柳朝の追善興行だった。半七は柳朝の弟子だったが、真打になる前に亡くなったので、小朝門下に移っていた。4月の鈴本が最後になったが、それは聴きに行っていた。何を聴いたかと思って、自分のブログを検索してみたら「ウトウトした」と書いてあって残念。ただその時から声が少し小さかった気がする。何だかいい感じの落語家だっただけに残念だ。僕より若いのである。
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