尾形修一の紫陽花(あじさい)通信

教員免許更新制に反対して2011年3月、都立高教員を退職。教育や政治、映画や本を中心に思うことを発信していきます。

芦川いづみの映画を見る①

2015年09月13日 23時36分58秒 |  〃  (旧作日本映画)
 僕の好きな女優、芦川いづみの特集上映が東京・神保町シアターで行われている。全15作品のうち、見ているのは6作品しかなく、かなりレアな作品も多い。前に「芦川いづみを見つめて」という記事を書いたところ、今も時々読まれているようなので、続報的意味で紹介。
   
 今回の目玉は、映画というより、本人自筆の手紙(あいさつ)である。藤竜也と結婚以後、一切映画やテレビなどに出ていないが、新聞のインタビューなどには応じている。だから、今回の企画にお礼の手紙があっても不思議ではないが、本人の自筆が会場に展示されているのはとても貴重である。まず、それを掲げておく。印刷したものは、チラシの映画紹介欄に出ている。


 芦川いづみ(1935~)は、SKDだからデビューは松竹である。川島雄三の「東京マダムと大阪夫人」というシャレたコメディ。その後、1955年に川島監督の日活移籍後に日活に入った。日活が生んだ大スターと言えば、まず思い浮かぶのは石原裕次郎吉永小百合だろう。芦川いづみも両者との共演がたくさんある。映画史的には、特に裕次郎の青春映画に欠かせないヒロインだったことが一番重要なのではないかと思う。僕が最初に見たのは、たぶん文芸坐のオールナイト上映の石坂洋次郎原作特集。「陽のあたる坂道」「あいつと私」「あじさいの歌」の3本だった。「あいつと私」「あじさいの歌」は芦川いづみが非常に印象的なヒロインを演じていて、魅せられてしまった。また、その頃僕が好きで何回か見ている熊井啓監督の「日本列島」の女性教師役も忘れがたい。

 「陽のあたる坂道」や今回上映の「風船」では、芦川より北原三枝(1933~)が姉的な存在で出ている。1960年に北原三枝と裕次郎が結婚すると、年下の浅丘ルリ子(1940~)が成長してきて、裕次郎の「ムードアクション」の相手役は大体ルリ子になっていく。吉永小百合(1945~)はさらに若く、「あいつと私」では芦川いづみの妹役で出ている。1963年には浦山桐郎「非行少女」で認められた和泉雅子(1947~)の人気も出てくる。他にも、松原智恵子(1945~)など「清純派スター」をたくさん輩出した。男優の裕次郎、小林旭、宍戸錠、二谷英明など、芦川いづみの相手役を務めた代表的スターを思い浮かべても、性別を問わず気持ちのいい役柄を持ち味にする人が多い。それが日活の持ち味だろう。

 その女優たちが4人も姉妹役で出ているのが、「若草物語」(1964、森永健次郎監督)。日活の女優、特に和泉雅子などが楽しそうに回想していて、姉役の芦川いづみと目を合わせるたびにドキドキしたと言う。一体、どんな映画だろうと思っていたのだが、今回初めて見た。長女が芦川いづみ、次女が浅丘ルリ子、三女が吉永小百合、四女が和泉雅子という日活映画女優史に残る豪華編である。名前はアメリカの小説と同じだが、長女が東京に嫁いでいて、残りの三人が大阪から家出して東京へ出てきてしまう。設定は「細雪」に近いが、みな若くて元気で恋に憧れている。浅丘と吉永はデパートで働き始めて、物語の中心はこの二人になる。一番上の芦川は相談役で、一番下の和泉は中心的な恋物語の外にある。浅丘ルリ子を浜田光夫と和田浩治が争い、小百合は浜田に憧れている。まあ大した映画ではないんだけど、当時の東京風景が楽しめる。芦川いづみを見るという観点からは、主要な映画ではないけれど、日活の女優を考える時には面白い。なお、浅丘ルリコと和田浩治がヨーロッパに飛び立つ飛行機が一瞬映るが、「よど」と書いてあった気がする。
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