切れ切れ爺さんの徒然撮影&日記

主に寺院や神社等を中心に、文化財の撮影と紹介。
時に世の中の不条理への思いを発言していく。

松尾三宮神社 京都市右京区・・・松尾大社境外末社

2020-12-31 23:28:42 | 撮影


 川勝寺三ノ宮神社とも言う。場所は分かりにくく阪急京都線西京極駅の南東方面になる。目印は西京極中学校。その向かい側にある。
 神社は川勝寺地区の産土神として敬われてきたが、元々は玉依姫命を祭神として奈良時代前の大宝年間に創基されたと言う。ちょうど大和王権により大宝律令が施行された頃の話だ。その後祭神として大山祇神及び酒解神を祀り、この三神を祀ることによって三宮社と名乗るに至った。

   

 これらの祭神は近くにある松尾大社の祭神とも重なり、松尾大社の境外末社との扱いになっている。本来の神は農耕作や様々な産業の守護神であったが、新たに加えられた酒造りの神が一緒になったことで松尾大社との関係ができたということになる。古くから地域の産土神ではあったものの、松尾大社との関係が強いということで境外末社になったのは第二次世界対戦後のことだ。
  神社の横に小さなコインパークがあり、そこから正面の第一鳥居に回る。長い参道の奥に拝殿及び本殿が見える。すぐ隣に幼稚園があり、近所の園児を迎えに来た母親と子供達が数組拝殿のところで楽しげに雑談していた。もちろん子供達は本殿の周りを走り回ったりして楽しそうにしていた。撮影はしにくい状況だが長引きそうだったので、なるべく写り込まないように気をつけたがなかなか難しいものだ。
 本殿は思ってた以上に立派なもので、地域の神社としては堂々たる構えをしている。最近の神社の屋根は銅板葺が多いものの、こちらは茅葺きの屋根を維持しており、非常に神社らしい様相を呈している。
 名前の松尾三宮神社というのは当然、松尾大社との関わりから来るものであり、また別名川勝寺三ノ宮神社というのは、かつて渡来系の秦氏がこの地域を開拓し、農業や様々な産業を開いたということから、秦氏の有力者であった秦川勝の名前に由来するものだと考えられている。千数百年にわたりそのような名前が残されているというのもやはり、考えてみれば歴史的な重みが感じられるものだ。
 また松尾大社の松尾祭りの際には神社が船渡御の御旅所となり、周辺に存在する境外末社と共に大いに賑わうと言う。

     
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阿弥陀寺~安楽寺 京都府相楽郡精華町・・・地域のお寺

2020-12-30 23:19:19 | 撮影
阿弥陀寺

  

 阿弥陀寺は精華町の新祝園駅から北の方へ予約1 km 余り。山の麓なので少し坂を登ることになる。周りは古くからの住宅街となっている。近鉄京都線及び JR 学研都市線が通じているので非常に便利な場所だ。
 精華町では町内の様々な文化財に対して積極的に紹介しており、ホームページに簡単ながらもその紹介がある。それ以外にも若干の情報があったので合わせて阿弥陀寺について紹介しておく。
 開かれた時期は不明。文書記録に登場するのは江戸時代の終わり頃の火災で焼けた件がある。また境内には「煤谷山功労碑」という石碑が立っていて、これは江戸時代を通して周辺の各村々が境界線を巡って権利争いをした。その後解決したことを記念して立てられたものだという。このようなことは当時日本各地であったと言う。基本的に農業中心の村々であり、肥沃な土地や水脈に恵まれた土地などをめぐって、それぞれの思惑と権利が交錯し争いごとが絶えなかったという。しかし江戸時代も末期になってくると西洋文化が少しずつ導入され、各藩においては奉行或いは庄屋などが中心となり、それぞれの境界線が確定されるように説得しあって、江戸時代の終わりから明治初期頃にはその多くが確定されたようだ。
 境内は非常に綺麗に整備されており、ある程度風化した石造十三重塔が目立つ。また比較的多くの小さめの五輪塔が並んでいた。本堂は比較的新しく見える。この中に安置されている阿弥陀如来坐像は平安時代後期のものだと言われる。とすれば文化財に指定されていてもよさそうなものだが、何らかの理由で無指定である。他にも江戸時代に作られた仏像があり名前の通り、地域に根ざした阿弥陀信仰に基づくお寺となる。法然が唱えた南無阿弥陀仏の精神がそのままお寺の名前にも表れていると言える。
     


安楽寺

 
 同じく精華町にあり上記、阿弥陀寺の少し南側となる。参拝する際には両者ともに寄るのがいいだろう。
 安楽寺については創建の時期が分かっていて、天文5年というから、室町時代の終わり、同時に戦国時代の途中だった。一時衰退するも江戸時代には再興され今に至っている。こちらも地域のお寺として信仰を集めており、境内もよく整備されている。阿弥陀寺と同様石造十三重塔があったが、こちらの方は随分新しい。おそらくずっと昔からあったものが風化その他によって廃棄され、新たに作られたものだと思われる。本堂も非常に綺麗で境内と合わせて典型的なお寺の様式を見せている。この点は阿弥陀寺も同様だ。
 こちらには精華町の指定有形文化財になっている阿弥陀如来坐像があり、これは平安時代の終わり頃に作られたものだと言われる。いわゆる定朝様式であり、そのことも併せて貴重なものとして文化財に指定されたものだろう。本来ならば京都府の指定文化財でも良さそうなものだ。なお定朝様式と言われる「定朝」というのは日本の平安時代の仏師であり、中国韓国から入ってきた仏像を日本の様式に変えていったと言われる人物。彼の作品は後の仏師たちに多大な影響を与えた。その系列から後に快慶及び運慶が登場する。

  (精華町HPより)
 また文化財指定にはなっていないが、鎌倉時代作の阿弥陀如来立像があり、江戸時代初期作の梵鐘があるとのことだ。
 地域のお寺というのはいわゆる観光寺院ではないので、見ず知らずの者が行って自由に御本尊である仏像が見られるわけではない。しかしこのような地方にあるようなお寺の仏像なども時々、特別公開という時期があってそういった時を狙っていくのがいいだろう。

   
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《NHKスペシャル「アウシュビッツ 死者たちの告白」・・・ゾンダーコマンドとは》 (2)

2020-12-29 23:11:00 | 社会


  「ゾンダーコマンド」とは何なのか?

 生き残った人の証言や遺書に記された語句。そんな中埋められた土の中からビンに入った分厚いメモが見つかる。70年以上の時を経ているので、かなり文章は判読しにくくなっていた。しかし最近のデジタル技術によってそれらの文章はついに明確な状態で判読できるようになったのだ。

 そのメモはポーランドのユダヤ人が捉えられアウシュビッツに送られた後、健康状態がいいので労働従事の方へ回された。メモはそこからの過程が記されていた。彼が命じられた労働は単純に製造すると言うものではなく、「判別」業務だった。これは各地から貨物列車で送られてきたユダヤ人の中から体つきの良い健康そうな者を抽出し、実際の労働に回す。そして選ばれなかった者は即ガス室行きとなる。無論断れば彼自身が家族とともに殺害される。おそらく彼が任務に就いている間に妻や子供はガス室に送られたものと思われた。こうした彼は特殊な業務と言うことで「ゾンダーコマンド」と呼ばれたのだ。

 次第に捉えられ移送されてきたユダヤ人たちも、このゾンダーコマンドが同じユダヤ人であることを知るようになり、彼は「裏切り者」として扱われるようになる。いくらナチスの命令とはいえども仲間を仕分けするなどと言うのは、同胞への裏切り行為とされても仕方ないだろう。彼自身の残したメモの中に、自分自身がゾンダーコマンドとして任務についたことが克明に記されていたのだ。そしてこれを瓶に詰めて地中深く埋めて、自分たちが亡くなった後いつの日かこれが発見され解読されて、強制収容所の中での実態解明の1つになることを覚悟して実行したと言う事だ。無論彼は後世においても、同じポーランド人のユダヤ人を裏切った者として扱われることになるのは、充分承知の上の事だろう。ちなみにゾンダーコマンドの存在については、ナチスが全ての証拠になるものを処分し、正式記録は何も残っていない。またゾンダーコマンドに指名されたユダヤ人たちもほぼ全員が殺害されたと言う。

 このようにしてまた1つ強制収容所の中の実態が明らかにされた。戦後何回にもわたってドイツやその他の国は強制収容所の実態を解明するために、様々な角度から調査を行っている。そのたびに表沙汰になっていなかった真実が明らかになってきた。今回もゾンダーコマンドと言う存在が明らかになった。強制収容所を生き延び今となっては年老いた高齢のユダヤ人も、1部はゾンダーコマンドの存在を知っていたようだ。中には思い出したくない人もいるだろうし、絶対に許すことができないと言うことで、積極的に明らかにしてきた人もいるだろう。ただ当人たちの証言だけでは記憶違いなどの問題もあって、確信を得るには弱い面があったのかもしれないが、このようにして、ゾンダーコマンドとして従事した本人のメモが解明された事は極めて意義ぶかいことなのだ。

 アウシュビッツなどの強制収容所においては、このようなゾンダーコマンドと言う存在があったわけだが、具体的に他にも様々な任務につかされたユダヤ人もいるわけで、どこまでがゾンダーコマンドに該当するのかはまだわからない面もある。ゾンダーコマンドとはまた別の意味で、収容所のナチス将校に気に入られた女性ユダヤ人が仕分けされて、将校のもとに送られ性の相手として扱われたと言う事実も判明している。これがゾンダーコマンドに該当するのかどうかはわからない。多数の証言と具体的な文字記録を下にして、少しずつ収容所内での実態が明らかにされ、旧ナチスドイツの行った非人間的な行為がさらに非難を浴びることになる。ドイツでは戦後の教育の中で、自国が過去に行ったこのような事実を子供たちの教育に生かす形で、二度と同じことが繰り返されないように教育を続けている。しかし21世紀に入り世界の状況は少しずつ変わってきた。

  ネオナチの台頭、ナチスドイツへの評価について

 戦後間もない頃の世界は改めて国際連合を組織し、世界の様々な課題に対して話し合いを持って取り組むことになった。しかし世界各地での様々な紛争は、単なる話し合いでは解決できず、国際連合の中にも国連軍と呼ばれるいくつかの国の合同の連合軍が組織されるようになり、実際に戦闘行為にも参加するようになる。また経済大国であるアメリカを中心とした世界の産業や資源に対して様々な形で、いわゆる先進国による収奪が始まる。国連の中心を組織する国が、自ら背景に巨大企業を抱えながらコングロマリットとして世界の資源を手に入れていくことになるのだ。

 そんな最中にそれまではあまり世界の表に舞台に立ってこなかった、東南アジア諸国やアフリカ諸国、中南米諸国が自主独立を求め、ときにそれは紛争を伴い多くの難民を生むような形で激しさを増していく。それまでの世界秩序は、アメリカを中心とする欧米の資本主義国による世界支配が当然の世界であり、新たな勢力の進出は世界秩序を乱すものとして考えられるようにもなっていく。こうして世界各地で独立に名を借りた様々な紛争が勃発する。中東戦争においても、ベトナム戦争においても、またアフリカ諸国の局地戦においても、その背後にはアメリカやソ連といった強国の思惑が透けて見えるような形になってきた。このような混沌とした時代背景を下にして、いわゆる先進諸国の中でも若者を中心に様々な価値観が台頭し、それは極右の考え方、あるいは極左の考え方といった形でさらに対立が鮮明になる。そこに加えて宗教上の対立も含まれてくるようになる。

 そんな中ドイツにおいても、ネオナチと呼ばれる極右勢力が進出し、1部にはユダヤ人大量虐殺はなかったなどと言う主張まで現れるようになる。無論それはごく少数意見ではあるものの、このような動き自体が危険性を持っているのだ。100年経ち150年経ち200年経っていくと、ひょっとしてこれらの出来事はきちっとした形で残されているのか、あるいは風化していくのか、あるいは時の政権によってなかったものにされていくのか。様々なケースがあり得ると言っても良いだろう。そのような状況においても、少なくとも現政権が過去の政権に引き続いて旧ナチスドイツが行った非人道行為に対して調査を続け、新たな事実を明らかにし続けている。もちろんアウシュビッツ収容所に関する展示館も整備されている。ドイツは少なくとも今の段階では、自ら犯した過ちを積極的に発信していると言えるのだ。無論これは当然のことであり、今後も良識ある人々によってずっと続けていかなければならない。もうあと230年もすれば、アウシュビッツから奇跡的に助かった人々も全て人生を全うすることになるだろう。それでも教科書にこの事実が掲載され、小学生から大学生までがこの過去の事実をしっかりと学習する責任がドイツと言う国にはあるのだ。


  ドイツだけの問題なのか
 このおぞましい600万人の大量虐殺はただ単にドイツの問題だけで済まされるものだろうか。戦後も戦争による大量殺人は各地で起きている。戦時中の日本への原爆投下もそれに該当すると言うだろう。あるいはベトナム戦争におけるアメリカ軍のジェノサイド、いわゆる皆殺し作戦もそうなのではないか、あるいはアフリカ諸国における民族間の争いによる数十万人に達する虐殺問題も該当するだろう。中国においても表沙汰にはなりにくいが、ウイグル族に対する虐殺問題が報じられているし、チベット族への弾圧問題もある。また戦時中の問題としては、日本軍による南京大虐殺の件もあるだろう。30万人を虐殺したと言うことに対して、戦後著名人たちが虐殺は捏造だとか中国側の嘘だとか、全く認めようとしない人々も極めて多い。人数はともかくとして虐殺事件があったことだけは、当時南京にいたアメリカ人宣教師の目撃談からも明らかだといえよう。この辺ドイツ人と日本人の受け止め方の余りもの違いに愕然とする。教科書においても南京大虐殺の件は次第に取り扱いが意図的に小さくされている。今も南京大虐殺と言う言葉が使われているのかどうか私にはわからない。ひょっとしたら南京事件位なものなのかもしれない。教科書によってはあえてこれは捏造された事件だと言うものもあるのかもしれない。日本だけでなく、世界各地の近年の動きについては非常に懸念すべきところが大きい。このままいけば真実が潰され嘘が真実にすり替えられてしまう恐れも十分にあり得る。少なくとも言える事は、日本と言う国が過去に犯した戦争中の誤りが消し去られてしまう可能性が強いと言うことだ。反対に2発の原爆によって何十万人も殺されたと言う事ばかり強調される。これはこれで確かに核兵器の恐ろしさを示しており絶対に使用してはならない。そして核兵器廃絶を日本が先頭に立って訴えなければならないが、なんとも日本はアメリカの動きを下から見ながら、アメリカのしっぽにつかまったままだ。つまり核兵器廃絶を日本は認めていないのだ。こんな国が世界から信頼されるわけがない。一方のドイツはネオナチの動きがあろうと、国としては過去の大いなる過ちに対して自ら今も調査を続けている。これらの違いは一体どこから来るのか。日本は果たして現在の中国の少数民族弾圧に対して批判する資格があるのかとさえ思う。


 残念ながら日本は反省すべきことをきちっと反省すると言うことをしない国になってしまっているのだ。もちろん一般国民の多くは、問われればきっと理解するだろう。しかし1部の著名人、ジャーナリスト、右派の人々の影響力は我々が思う以上にこのところ強まっている。書店に行っても右翼右派の人々の小説や著作物は棚積みされてベストセラーにもなっている。しかしリベラル派、左派の人々の著作物はどこを探しても見つけられないと言う状態だ。嘘だと思うならば書店に行ってみると良い。目立つところにずらっと並ぶのは右翼系の雑誌や著作物ばかり。つまり書店に行って今の政治問題や世界情勢を学ぼうにも、大半が右翼系の著作者によるものなので、そういうことを知らずに大半の人はそういう本を読み影響を受け、自らも右派思想に取り込まれてしまうようになるのだ。1970年代80年代はまだそうではなかった。日本と言う国はずいぶん変わってしまった。「歴史的真実」と言うものが否定され嘘呼ばわりされ、逆に日本にとって都合の良いように嘘がまかり通る実態がそこにはある。「歴史修正主義」などと言われたりするが、もはやすでにこんなことを言っている場合ではないのだ。我々日本人は様々な問題を抱えているかも知れないが、ヨーロッパの民主主義、アメリカの民主主義から学ぶべきものはしっかりと学ぶ必要があると思う。そうでない限り日本と言う国はただ単なるご都合主義の国になってしまうのは明らかだろう。私などもうあと1020年であの世へ行くが、それ以降の日本と言う国は果たしてどうなっていくのか、心配しても始まらないと言われればそうだが、せめてこんなブログでも何かの役に立てるのならばと期待したいところだ。

  (画像は他HPより) 
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《NHKスペシャル「アウシュビッツ 死者たちの告白」・・・ゾンダーコマンドとは》 (1)

2020-12-28 23:28:00 | 社会



 昨夜ブログを書いてアップした後、NHKテレビを見たときにちょうど表題のドキュメンタリーが始まるところだった。8月に放映された作品の再放送。前編後編に分かれ終わったのは深夜を過ぎていて最後まで見てしまった。


  「アウシュビッツ」とは?

 もちろんアウシュビッツについては様々な本を読んだりテレビのドキュメンタリーを見たり、映画でも見ていてずっと以前から知っている。ましてや中学校社会科の教員をした者として知らないはずがない。中でも世界が戦慄した記録がフランクルによる著作の「夜と霧」だ。その後この作品は映画化されて同じ題名で世界中で公開され、私自身も見た。事前に知っていたとはいえども、そこには衝撃的な映像がずっと続く。感性豊かな人ならばとても見る事はできないだろう。私など冷徹な部分があるのでどんな映像でも見てしまう。

 さてアウシュビッツとは何か。もちろんこれは第二次世界大戦中、ドイツ軍が総統であるヒトラーの命令によって作られた施設であり、ここではヒトラーが言うところの劣等民族である、と決めつけられたユダヤ人を根こそぎ各地に設けられた収容所に送り、そこに閉じ込めた施設だ。そのうち最大級の施設がこのアウシュビッツ。ここでは男も女も老人も子供も関係なく、ただ単にユダヤ人であることを理由に捕らえられ収容所に監禁され、1部の者は戦争遂行に必要な物品製造に携わり、また別の1部の者は何らかの理由で収容所内で利用されることになる。

 しかしドイツ国内及びドイツが占領したポーランドに大勢いたユダヤ人が、貨物列車に乗せられてぎゅうぎゅう詰めの状態でひっきりなしに送られてくる。当然収容所は満杯となり、ここでドイツ軍が命令を下したのはユダヤ人全員を皆殺しにすると言う事だ。こうしてユダヤ人たちは誰彼関係なく大量虐殺の犠牲者となる。

 虐殺専用の細長い建物が建設され、そこにいちどに数百名が押し込められる。もちろんその前に全員裸にされシャワーを浴びせると言う名目のもとに入れるのだ。しかしすでにユダヤ人たちのほとんどが、この中で殺されると言うことをわかっていたと思われる。建物に押し込められたユダヤ人たちは、天井から突然シャワーではなく、霧のようなものが吹きかけられた。その正体はチクロンと言う猛毒の薬品だ。これを約20分近く浴びせ続けられユダヤ人たちは、あまりもの苦しさに断末魔の叫び声をあげながら次々に死んでいった。アウシュビッツに限らず各地の収容所におけるユダヤ人虐殺の人数は約600万人とも言われる凄まじい数字だ。折り重なるように死んでいったユダヤ人の死体は外へ引きずり出される。そして女性の毛髪は切り取られ、ベッドや枕、ソファー等の材料になったと言われる。また男女にかかわらず金歯の金の部分が回収され溶かされインゴットになったと言う。またメガネや指輪など貴重品あるいは溶かせば武器の材料になるようなものは全て回収され集められた。

 死体は細長く掘られた地面の穴にに数十人をまとめて埋める。いずれの死体も収容された段階から食べ物はほとんど与えられず極端に痩せ細り、1つの穴に大量の死体が入るようになっている。

 こうした大量虐殺はドイツが占領していた地域にソ連軍が反撃し、突入してくるまで続いた。そしてようやくソ連後によって収容所が解放されることになる。虐殺寸前で助かった者も多いと言われる。

 このような大量虐殺の背景にはゲルマン民族の優位性と言うものを、19世紀末からドイツの医学者たちが研究しそれを「優生思想」と言うものにまとめた論文がある。ゲルマン民族は血統の上でもいわば雑種扱いされるものではなく、長い歴史の中で1つの血統を守ってきた結果、肉体的にも精神的にも優秀なものとして自ら認識するようになっていった。しかし第一次世界大戦でドイツは敗北している。その結果戦勝国からかなり厳しい経済的な制裁を受けることになる。ありえないほどの超インフレの中でドイツ国民は生活が困窮し、餓死する者も現れる。そんな中第一次世界大戦に一兵卒として参加したヒトラーは戦後捉えられ、牢獄の中で「わが闘争」を書き上げる。そこにはゲルマン民族の将来のあるべき方向性を示しつつ、自らが思い描く新たなドイツ帝国の建設を予想している。こうしてドイツは少しずつ復興していく。もちろん表向きは戦争の反省からワイマール条約を結び、当時世界最高の憲法と言われた、いわゆるワイマール憲法を制定し、民主国家としての地位を築く。しかしそのことが逆に戦争で虐げられたゲルマン民族と言う考え方が、ヒトラーの扇動によって先鋭化し、ドイツを再び侵略国家に導いていくことになる。そしてドイツ人であること、つまりゲルマン民族が優秀であることを証明するかのように、対比的に劣等民族と位置づけたユダヤ人を抹殺することによって、さらにゲルマンの誇りを高める役割を果たされる結果となっていく。リーダーの地位についたヒトラーは当然のごとく、妄信的に従う国民のヒーローになったわけだ。



  ドキュメンタリーの内容は

 ナチスドイツによるユダヤ人虐殺の件については、多くの著作多くの研究がなされ、様々な角度から今も研究もされている。また戦後75年以上経った今でもドイツおよびポーランドでは、アウシュビッツ収容所の実態解明を継続中だ。これだけの年数が経ったら全てが明らかになったのではないかと思われそうだが、いまだにわかっていないこともあるらしい。生き残った1部の人々の証言から、虐殺される前に多くのユダヤ人たちが遺書を書いて、壁の下に埋めたと言う話があるのだ。あるいはまた建物のレンガ造りの塀には上から特殊な硬い塗料が塗られており、これまではただの壁として扱われていた。しかしその壁の上塗り塗料を特殊な方法で少しずつ剥がしていくと、レンガに掘られた文字が浮かび上がってきた。名前と何らかの日付。一体これは何を意味するのか。そして床のレンガもはがし掘っていくと様々な缶や瓶の中に大量の遺書が見つかった。

 自分たちは殺されても将来誰かがこれを発見し、自分たち自身がこの世に存在したことをわかってほしいといった思いも込められていたんだろう。それら様々の遺書、あるいはレンガに掘られた名前などを調べ追求していく。その結果様々なことがわかってきた。生き残った人たちの証言の1部にはあったと言われていたが、実際に文書として残されていたものが見つかったのだ。そこには注目すべき言葉があった。

 「ゾンダーコマンド」と言う語句。意味としては「特殊な仕事」「特別な要件」といったものになる。一体何が特殊なのか。そしてレンガの名前は誰が何のために刻んだのか。それらが遺書の解析及び生き残った人々の証言から少しずつ明らかになってくる。その過程をドキュメンタリーは追っていく。生き延びてきた人々人々も年齢は80代後半から90歳代だ。しかしインタビューに答えるその目つきと口調は、極めて明瞭であり厳しいものがあった。逆に言えば彼ら彼女たちが体験してきた事は筆舌に耐え難く、何があっても許すことができないと言う、極めて強い感情が今もっても抑えることができないほどのものがある、と言うことを意味している。

 実は「ゾンダーコマンド」と言う存在については、私も見た映画の「ソフィーの選択」の中に1部登場していた。この映画はやはりナチスによるユダヤ人迫害及び虐殺を描いた、ある意味凄まじい映画である。私は1人の映画ファンとして二千本もの映画を見てきたが、その中でも最高作に匹敵するほどのものといえる。主演の女性をメリル・ストリープが演じていた。今でもストーリーはほぼ全部覚えている。おそらくこの映画を見た方もおられるかもしれない。

 では、「ゾンダーコマンド」とは一体何なのか。


  (画像は他HPより) 

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《コロナ感染者の急拡大、そんな中政治家たちは税金で会食したり忘年会。ゴートゥーキャンペーン制限など関係なし。根底から国民を馬鹿にした張本人たちだ。》

2020-12-27 23:04:00 | 社会


 もう1週間以上前になるが菅総理大臣が参加する8名の会食会が豪華ホテルで、豪華料理ステーキを食べていい思いをしたことが、マスコミにすっぱ抜かれて大きな問題となった。確か経産大臣が会食は4名までと国民にアピールした直後だ。データによると5名以上の会食で一気にコロナ感染が広がるというのがあるらしい。にもかかわらず国のトップが8人の会食。しかも政治家ばかりではなく、何故か芸能人やスポーツ界、芸能界、ジャーナリストらの大物を呼び、このことが報道されて大きな問題になった。

 会食は4名までと国民に支持した経産大臣が菅首相をかばうために、「場合にもよるが4名以下が望ましい」と言う趣旨の発言をすると言う不様な言い訳。菅総理本人は「真摯に反省します」だって。しかもその後になったから「会食には顔を出しただけで、すぐに失礼しようと思っていたが、話の内容からついつい伸びてしまって40分ほど・・・」とさらに言い訳を付け加えた。

 こんなニュース聞いてる方がアホらしくなってくる。菅内閣の支持率はこの一件で急下降。当然だろう。調査の中には不支持が支持を上回ったものも出てきている。

 しかし問題はこれだけではない。菅首相以外にも自民党各会派がわかっていながら各数十名と言う参加者の忘年会を予定していたと言う。菅首相の件で批判されてからは次々にキャンセルになったらしい。本当に全部やめたんだろうか。にわかには信じられない。多分いろんな形でわからないようにやっているところはあるだろう。

 昨日、自民党の国会議員が富山の方で漁業関係者の集まる、忘年会とは名乗らなかったが、40名以上のお酒の席に参加している。首相が批判されたのに、これも充分わかっててやっている。まさしく確信犯だ。国レベルだけではない。

 地方議会でも同じだ。おそらく巧妙な方法でやってるんだろうが、マスコミにばれたのが愛知県西尾市の市議会の忘年会。おそらく自民会派の議員ばかりだろうが、もちろんこれもコロナだからダメだと言うのをあえて破ってやっているのだ。ところがこの西尾市議会、少し後になって分かったことだが、宴会の場に女性コンパニオン3人を呼んでいたと言う。正しく誰が見てもドンチャン騒ぎの忘年会をやろうとしていたわけだというか、やったのだ。そして宴会の責任者の言い訳がこれまたビックリ。「コンパニオンを呼んだのは、議員同士がお互いに酒をつぎ合うと感染のリスクが高くなる。酒を注いで回るのがコンパニオンの役割なんだ」と言う。つまりコンパニオンは市議会議員を守るために呼んだのだと言うのだ。呆れるを通し通り越したとんでもない言い訳。つまり呼ばれたコンパニオンはコロナにかかろうがどうしようが構わないと言う、この姿勢。こんな愚劣なのが市議会議員として、普段から偉そうに「先生」と呼ばれていい気になっているのだ。

 国民には国の方からゴートゥートラベル、ゴートゥーイート等キャンペーンが実施されたが、大方の予想通りこれは完全に失敗で、感染者はこのキャンペーンを通して全国的に大きく増えた。私が住んでいる京都府でも先日1日あたりの感染者が100人を突破し、その後も右肩上がり。隣に大阪や兵庫があるのであまり目立たないが、京都も実は結構多いのだ。そしてどんどん増えているのだ。

 国会の先生方も言う。キャンペーンのために感染がなかなか収まらないので、期限を区切って一旦中止する。しかしキャンペーンの間もマスクの着用や三密を避けることを、あるいは大勢の会合はやめてもらいたいと。にもかかわらずこれを率先して破っているのが国会の、そして地方自治体の先生方なのだ。馬鹿馬鹿しくて「御先生方」の言うことなんてあてにならないし、信用もならない。ヨーロッパなどでも似たようなキャンペーンをやっている国があるようだが、日本とは桁違いに感染者死亡者の数が増加中。日本では幸いにして昔から風邪などの防止のためにマスクをする習慣があったと言う文化的な背景もあったんだろうが、これから先飛沫を飛ばさないマスクだけでは収まらないようになってくるだろう。もう既に新型コロナの変異体が出現しているのだ。

 そして小池都知事も言った。今年の年末年始は家でおとなしくしていて下さい。なるべく外に出ないでください。・・・・キャンペーンの失敗をこのような形でつぎはぎしていくようなやり方を一体いつまで続けていくのか。ロックダウンにはいろんな意味で大きな傷が伴うだろうが、資金援助なども含めてもう少し違ったやり方があるだろうし、やるときには大胆にやらなければ収まりようがない。今のようにどっちつかずにふらふらやってる限りは、来年1年間でも収まらないだろうし、再来年も続く可能性は充分あるだろう。

 トップが頼りない国は一般国民がしっかりして、それを補う。そうなればいいんだが、どうも小泉首相のあたりから少しずつ日本人は精神的に骨抜きにされ、闘争心に欠けるようになり、「お上の言うこと聞いてれば何とかなる」と言うような体たらくに落ち込んでしまった。そりゃそうだ。働き方改革の名のもとに様々な規制を緩めて「非正規雇用」の枠をかなり自由化し、そこには外国からの「技能実習生の受け入れ」と言う名を借りて不足する労働力を、労基法違反の低賃金でやとい、具合が悪くなれば真っ先に切り捨てる。こうして人々を不安に陥れ無抵抗状態にしていった年月だったのだ。

 安倍総理の政治はさらにそれに輪をかけた。1部を除き圧倒的多数の無気力な国民が背景にいるので、悪いことしようが嘘つこうが、ごまかそうが適当な言い訳で何でもかんでもごまかしが効いてすり抜けられた。やっとこさ安倍元総理は退任。待ちに待った東京地検特捜部が動き出して、桜を見る会の問題について捜査を開始。でも私から見れば結論は分かっていた。安倍元総理は必ず不起訴になり、部下の誰か多分秘書が起訴されて責任を押し付けられるだろう。果たして予想通りになった。検察曰く、安倍元総理については嫌疑不十分で云々。1番汚い奴が得をする世の中だ。そして少し弱い立場の部下がその責任を背負わされる。虚偽答弁、証拠隠滅の文書改ざんを指示された下級官僚の自殺事件についても、官僚上層部や政権にとってみれば、どこかの誰かが自分で勝手に死んだ、で終わりだ。自殺と言うことから立件不可能と言うことで誰も裁かれる事は無い。こんなの昔からよくあった話で、松本清張の小説にも同じような場面がよく出てくる。

 おまけに検事総長の首をすげ替えたご都合主義の出来事。首相に有利だったはずなのにこの新しい検事総長が、なんと賭け麻雀。どいつもこいつもみんな堕落しきって国民のために働くなんてどこにもない。やりたい放題。そして賭け麻雀の元検事総長も不起訴処分。さすがにこれでは示しがつかないので、検察審査会が審査のやり直しを命じたが、仮に立件されてもせいぜい書類送検位ではい終わりだろう。


 国の上層部が腐りきって、自分たちのためにだけしか仕事をせず、ゴートゥーキャンペーンも一旦中止したりふらついて、そのたんびに国民は右往左往。一番ひどかったのは安倍元総理が突然全国の小中高校を一斉休校にしたと言う出来事。どのレベルでどれだけ論議したのか。我々にはさっぱりわからん。単なる思いつきでは無いのか。私自身もブログを書くにあたって表現や言葉遣いに気をつけなければならないと以前反省したが、このあまりにものひどさに怒りが爆発寸前状態だ。

 指導力があるとはとても思えない税金で会食ばっかりやっている菅総理なんていうのは、さっさと辞めてもらい政権そのものをもう少し若い世代にして、老害でしかない者はクビにしてもらいたいと思う。70何歳80何歳がでかいツラしてああだこうだ言って、誰も批判できないなんて言うこと自体が、政治家の世界ではあってはならないことなのだ。もちろん2020年に問題となった様々な件については、政権は新年を迎えてもう終わったことになった、と思うだろうが、追求はしてもらいたい。そして新年には若手の政治家による政権が誕生するべきだ、とおそらく多くの国民は思っているだろうし、私もそう思っている。ただし若手といっても今の与党政権である限りは、保守化右傾化がかなり深刻な状態になっているので、さほど変わらないかもしれない。まだまだ言いたいことあるが、とりあえず今日はここまで。

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