対話とモノローグ

        弁証法のゆくえ

「虚空の点」

2017-06-22 | 楕円幻想
ケストラーはエカントを「虚空の点」とよんでいる。「虚空」をどのように英語で表現しているかを確かめてみたいと思った。ケストラーは「虚空の点」にpunctum equansを併記していた(エカントにaのあるpunctum aequansではない)。これをキーワードに検索するとありがたいことに、Kepler — Eight Minutes of Arc という記事が出てきた。これは邦訳『ヨハネス・ケプラー』第6章最初の25ページほどにあたる(節「8分の弧」の前後)原文である。ホワイトヘッドも引用されている(irreducible and stubborn facts)。
さて、「虚空の点」は、次のようにあった。エカントの説明もいっしょに。
according to Ptolemy, a planet did not move at uniform speed around the centre of its orbit, but only around a point at some distance from the centre. This point was called the punctum equans — the point in space, from which the planet gave the illusion of “equal motion.”
PtolemyトレミーはPtolemaiosプトレマイオスの英語読みである(トレミーとは俺のことかとプトレマイオスいい)。虚空の点はthe point in spaceの訳である。虚空はspaceだった。
(邦訳の確認)
プトレマイオスによれば惑星は「その軌道の中心のまわりを一様な速さで運動するのではなく、中心からある距離だけ離れたある点のまわりにのみ一様な速さで運動する。このある点は「虚空の点(punctum equans)」と呼ばれ、これから惑星の「等速(equal)運動」という錯覚が生じた。
(確認おわり)
spaceは期待外れだったが、少し後に、邦訳では次のような個所がある。——この仮想の点「虚空の点」を導入することで得られる利点は、——
ここは次のようになっている。
The advantage gained by the introduction of this imaginary punctum equans is that——
imaginaryと形容されている。これが期待していたものである。虚数のimaginaryである。
「虚空の点」、the imaginary point in space。

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