天声人碁

剣正28号が「囲碁」を中心に雑感、独り言を随時書き込みしていきます。
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第58回NHK杯/小林光一・趙治勲戦

2010-08-31 20:16:00 | テレビ番組

「治勲 宿敵に勝ち越し」
二十五世本因坊治勲と小林光一九段の対戦が久しぶりに実現した。両者の対戦成績はここまで63勝63敗とまったくの五分。結果は小林の一瞬の緩みに乗じて、趙が64勝目をあげた。(8月22日放送)

     (週刊碁より抜粋)

    ◇   ◇   ◇

黒番、小林九段の堅実な着手に対し趙二十五世本因坊も堅実路線で地味なスタート、50手くらいまではアマの模範となるような石の運びでした。
黒模様の右下隅に様子見した白石が取られ黒優勢との評判でしたが、趙さんの目一杯の頑張りが功を奏し、白3目半勝ちの結果となりました。
一歩一歩着実な小林九段に対し、勝負手連発の趙さん、両者の持ち味が出た一局だと思います。

小林九段は「楷書の碁」と云われ、どの局面でも最善手を求めて積み上げていく棋風のようです。学校でいえば学級委員のような真面目さが伝わってきます。

趙二十五世本因坊は小林九段とは対照的に、「型のある生き方は性に合わない」勝負師タイプでしょうか。

個人的には趙さんのような奔放なタイプに共感しますが、女性からみるとカッチリとした小林タイプに好感も持つ人が多いかもしれませんね。

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第35期碁聖戦第5局/坂井七段、新碁聖に

2010-08-29 17:15:50 | プロ棋士

第35期碁聖戦5番勝負の第5局は8月27日、東京の日本棋院会館で行われ、坂井七段が白番2目半勝ちし、通算3勝2敗として七大タイトル初挑戦で碁聖位を奪取した。

<坂井新碁聖の話>
今日の碁は最初大変でしたが、ちょっといいかと思った。無我夢中だったので、今は何も考えられません。

<張前碁聖の話>
きょうは判断しにくい、難しい碁でした。5番勝負はいろいろ反省がありますが、一生懸命やった結果なので仕方ありません。

    (共同通信HPより抜粋)

「坂井新碁聖、張栩の5連覇を阻止」、「張 勝負所で後悔の一手」

    (週刊碁見出しより)

    ◇  ◇  ◇

坂井新碁聖の誕生。医師からの転身棋士、関西棋院所属など話題が多いですね。
本シリーズの3勝はすべて白番で、2目半、3目半、2目半の僅差での勝利、持久戦に強いのでしょう。現在37歳だそうですが、今後の活躍が試されます。
「名誉碁聖(5連覇)」を逃した張棋聖。今回は坂井新碁聖の機略に、戸惑うところがあったのかも知れません。
これで7大タイトルは張3冠(棋聖・十段・王座)、山下2冠(本因坊・天元)、井山名人、坂井碁聖となりましたが、坂井碁聖の存在が新鮮な感じです。

    ◇  ◇  ◇

関西棋院での7大タイトル奪取は、29年振り(1981年、橋本昌二・王座)ということで盛り上がっていることでしょう。

★1981年(昭和56年)のタイトル保持者
 ・棋聖: 藤沢秀行
 ・名人: 趙治勲
 ・本因坊:趙治勲
 ・十段: 大竹英雄
 ・天元: 加藤正夫
 ・王座: 橋本昌二
 ・碁聖: 大竹英雄

関西以外の地区ではあまり関西棋院の情報は入ってきませんが、今年は創立60周年、理事長は元財務大臣の塩川正十郎さん、所属棋士は117人ですので結構な規模ですね。

日本棋院との統合がときどき話題になりますが、組織の統合は市町村合併、企業の合併などがあります。
組織が大きくなることによる得失を、適正に判断するのは難問ですね。

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第35期囲碁名人戦七番勝負予想

2010-08-27 20:59:08 | プロ棋士

 第35期囲碁名人戦七番勝負が9月1日、大阪府吹田市で開幕する。
昨年、20歳の史上最年少名人となった井山裕太名人(21)と、4年前に遅咲きの30歳で名人となった挑戦者・高尾紳路九段(33)の激突。対照的な両者には、手厚く、碁盤全体を見ながら戦うという共通点がある。
互いの感覚をぶつけ合っての結末は、「若き井山名人の初防衛か」、「高尾挑戦者の返り咲きか」。

    (朝日新聞より抜粋)

    ◇  ◇  ◇

今期の名人戦リーグは最終戦を前に張栩棋聖と高尾九段が6勝1敗でトップタイ。
両者勝てばプレーオフでしたが、張棋聖が小県九段に敗退、高尾九段が結城九段に勝ったため、高尾九段が挑戦者に名乗りをあげました。

後半の挑戦者争いのキーマンは小県九段。6連敗でリーグ陥落が決まった後、1敗で優勝戦線にいた結城九段を引きずり降ろし、最終戦でも張棋聖に逆転勝ちと台風の眼になりました。
NHK杯などで見る小県九段は、「しかめっ面」で近寄り難い雰囲気がありますね。
今は愛想のよい棋士が多くなりましたが、以前は小県九段のような渋いタイプが多かったように思います。

    ◇  ◇  ◇

朝日新聞の予想記事で小説「天地明察」の著者である冲方丁(うぶかた・とう)さんのコメントが載っていました。
その中で「僕は負けない戦いをしなければならない側に、つい肩入れをしてしまう。負けられない人の姿を見るのが、実はたのしいんです」と。
ナルホド、そういう見方もあるんですね。

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月刊・碁ワールド/女流プロ交流会・第6戦

2010-08-25 21:35:14 | プロ棋士

Go_world1009 韓国棋院/ゼイ廼偉(ぜい・のい、ルイ・ナイウェイ)・九段と、日本の女流プロ6人が対戦する「グリーン碁石・女流プロ交流会」の最終戦が月刊「碁ワールド/9月号」載っていました。
6人目に登場するのは謝依旻・女流本因坊、結果はゼイ九段の錯覚(緩着)で謝さんが千金の白星をあげました。
ゼイ九段はここまで5連勝、公式戦ではないので気の緩みがあったのかもしれませんね。

第1戦1~第6戦の結果
鈴木 歩・五段
奥田あや・二段
万波佳奈・四段
向井千瑛・四段
梅沢由香里・五段
謝依旻・女流本因坊

ゼイ九段の突出した強さが光るシリーズでしたが、日本勢が中韓の後塵を拝しているのは事実。日本棋士にとって難しい環境下にあると思いますが、頑張ってほしいですね。

    ◇   ◇

本シリーズの観戦記は5名の小説家(夏樹静子、竹本健治、眉村卓、内田康夫、三好徹)と小川誠子六段。
以前は著名な小説家などの観戦記が結構ありましたが、昨今は珍しくなりました。
文人の視点から表現する観戦記は、独特の香りがあります。今後はこのような観戦記が増えればと思っています。

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第35期碁聖戦第4局/坂井が勝ってタイ!

2010-08-23 21:30:33 | プロ棋士

 第35期碁聖戦五番勝負第4局が8月19日(木)に大阪市の関西棋院で行われ、白番の坂井が張栩碁聖に3目半勝ちをおさめて通算成績を2勝2敗のタイとした。
 序盤は張碁聖が先行したが、中盤での緩着を坂井七段が見逃さず、追い上げられながらも振り切った。最終第5局は8月27日、東京・日本棋院で打たれる。

<坂井七段の話>
 派手な碁ではなかったが、下辺がうまく治まり面白くなった。ヨセは微差だが良いと思った。最終局は無心で戦う。

<張栩碁聖の話>
 下辺での打ち方がまずく、甘くなってしまいました。大きく荒らされ、地合いの差が大変になった。

    (共同通信HPより抜粋)

「精密坂井、磐石の打ち回し」、「張 流れ掴めず タイに」

    (週刊碁見出しより)

    ◇  ◇  ◇

坂井・挑戦者がきめ細かい打ち回しで、2勝2敗のタイに持ち込みました。棋風はブルドーザーというより、「精密マシン」のイメージですね。
敗れた張栩四冠。名人戦リーグでは最終局を落とし、快速・張栩にブレーキがかかった状態でしょうか。

本局は坂井七段のホームと関西棋院で打たれました。ホームでは関係者も多くプレッシャーも感じるところです。坂井七段、関西のド根性を見せました。

注目の最終局は今週の金曜日(8/27)。名誉碁聖の称号がかかる張碁聖が防衛するか、長年の悲願である関西棋院に坂井がタイトルをもたらすか、注目の一番です。

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こども囲碁教室と町内定例碁会(2010/08/21)

2010-08-21 21:00:55 | 囲碁
今日の午前中は囲碁教室「伊勢崎こども囲碁アカデミー」の指導スタッフです。
子供たちは夏休みですが、宿題の追い込みで忙しそうですね。

前々回から、手空きの生徒に「棋譜」を取ってもらうようにしました。

以前のように、手書きで番号を記入する方法では難しかったでしょうが、今はパソコンで容易に入力できますので子供でも大丈夫です。
次回にこの棋譜の内容について解説するようにしていますが、なかなか理解するのは大変のようです。


石倉昇九段の著書の中で「上達のための5つのK」というのがありました。
①感動、②好奇心、③形、④考え方、⑤繰り返し


教室での活動が即棋力アップとはいきませんが、「繰り返し」行うことで少しずつでも階段を上がって行くことを期待しています。

    ◇   ◇

午後は玉村町囲碁会の定例碁会。暑さのせいか、やや少なめのようでした。
会場は空調もそれなりに利いていますが、会場までの往復に躊躇してしまう人も多いのでしょうね。
暑さにもめげず、対局を楽しみに来場するメンバー諸氏、ご苦労さまです。
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月刊「NHK囲碁講座」の表紙

2010-08-18 20:40:31 | プロ棋士

月刊「NHK囲碁講座」の表紙は今期(4月)から模様替し、4月号~8月号は下記の女流棋士でした。

・4月号:梅沢由香里・五段、矢内理絵子・女王(将棋)
・5月号:万波佳奈・四段
・6月号:潘坤鈺・初段
・7月号:万波奈穂・二段
・8月号:謝依旻・女流本因坊

8月号は謝さんが薄紫の浴衣姿で、涼やかな感じです。
9月号は渋い茶系の浴衣姿ですが、男物で溝上知親・八段でした。

Sya_imin_2 Mizokami_2

意表をつかれましたね。
溝上八段、男性棋士の中ではクールなイメージですが、艶やかな流れがストップしたのは残念です。
次号は誰になるか興味が湧くところです。

     ◇   ◇

囲碁ファンで女性の割合は1割くらいでしょうか。
いろいろな碁のシーンで女性は目立ち、チヤホヤされています。

では女性が多いサークル(コーラス、ダンス等)で、少数派の男性はいい思いをするのでしょうか。
私の想像では場違いな雰囲気に、浮いているような感じがします。
男女平等が唱えられて久しいですが、今や立場は逆転しているのでは・・・、と思われる今日この頃です。

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第5期アマ名人戦/常石さん防衛

2010-08-16 21:29:36 | アマ棋戦

 第5期朝日アマチュア囲碁名人戦三番勝負が7月24、25日に神奈川県湯河原町で打たれ、アマ名人の常石隆志さん(19)が河成奉(ハ・ソンボン)さん(28)の挑戦を退けて、初防衛を果たした。第1局で敗れた後の2連勝。後がない状況に「思いきり打とう」と開き直り、全国大会を席巻した「韓流」の強豪に競り勝った。

 初防衛を決めた常石さんは「河さんは実績があるので正直勝てるとは思っていなかった。うれしいです」と喜び、「8月からプロ試験が始まるので、気持ちを切り替えて頑張りたい。去年は失敗したので今年は受かりたい」。
一方の河さんは「私の形勢判断が正確ではなく、甘い手も多かった」と振り返り、「常石さんは戦闘力があって強かった」とたたえた。

       ◇

第5回朝日アマ名人戦全国大会/東京の河選手が初優勝
第5回朝日アマチュア囲碁名人戦全国大会は7月18、19日に東京・市ヶ谷の日本棋院会館で行われ、決勝で東京都代表の河成奉(ハ・ソンボン)選手(28)が大阪府代表の金成進(キム・ソンジン)選手(20)に白番中押し勝ちし、初出場で優勝を果たした。

       ◇

群馬代表の奈良さん、1回戦敗退
群馬県代表の奈良昌利さん(桐生市)は1回戦で中学1年の広島・坂倉健太さん(13)に敗れた。

   (朝日新聞HPより抜粋)

       ◇   ◇   ◇

三番勝負では常石さんが2勝1敗でアマ名人位防衛。韓国勢の挑戦によくがんばりました。

全国大会は韓国出身同士の決勝、過去の大会でも尹春浩(ユン・チュンホ)さん、洪(ホン)マルグンセムさんがアマ名人位を獲得しており、韓流の波は今後も続きそうです。
そして、この大会もプロ棋士挑戦の前哨戦のような様相になっており、アマチュア色が薄らいでいるのが気になりますね。

群馬代表の奈良さんは、1回戦で中学1年の坂倉健太さんに敗れてしまいました。40歳以上も違う中学生との対戦はやりづらかったでしょうね。

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日中韓名人戦/古力(中国)が優勝

2010-08-14 21:55:04 | プロ棋戦

中国・湖南省常徳市で行われていた「日中韓名人戦(2010『中国・常徳杯』世界囲碁名人争覇戦)」は7月27日の決勝戦で李昌鎬名人(韓国)と古力名人(中国)が対戦し古力名人が黒番1目半勝ちをおさめ優勝を決めた。
古力名人は1回戦で李昌鎬名人に敗れたが、2回戦で日本の井山裕太名人を下し決勝戦に進出していた。

<対局日程>
7月24日(土)1回戦 李昌鎬名人(韓国)黒中押し勝ち 古力名人(中国)
7月25日(日)2回戦 古力名人(中国) 白4目半勝ち 井山裕太名人(日本) 
7月27日(火)決勝戦 古力名人(中国) 黒1目半勝ち 李昌鎬名人(韓国)

    (日本棋院HPより抜粋)

「井山、古力とがっぷり四つ」、「井山 紙一重、古力 辛抱実り逆転勝利」

    (週刊碁見出しより)

    ◇  ◇  ◇

中国主催の新しい国際棋戦ですが、日本ではあまり注目されていなかったようです。
結果は主催国の意地を見せて、古力名人(中国)が優勝、李昌鎬名人(韓国)は準優勝、日本の井山名人は2回戦で古力九段に惜しくも敗れてしまいました。

最近の国際棋戦の結果を見ると、中国、韓国、日本の順位がほぼ定位置になった様相です。
中韓の低学年児童への熾烈な英才教育、日本の棋士養成レベルの低さを考えると、この成績も納得せざるを得ません。しばらくは、この勢力図が続きそうですね。

成績面では中韓に後塵を拝する日本ですが、文化・伝統の面で独自の存在感を示せたらと思っています。
頭脳スポーツと位置づける中韓とは違い、芸道・精神性などで欧米諸国から支持されたら新しい道も開けるのでは・・・。

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少年少女囲碁全国大会2010

2010-08-12 10:52:01 | アマ棋戦

第31回文部科学大臣杯少年少女囲碁大会(主催:日本棋院)が8月3日、4日に東京・市ヶ谷の日本棋院会館で行われ、小学生の部は重田一就くん(神奈川・藤沢市立富士見台小6年)、中学生の部は大表拓都くん(富山・富山市立月岡中2年)が優勝した。

■小学生の部
 優勝 重田 一就(神奈川)
 2位 水精 次元(兵庫)
 3位 奈須 春樹(宮崎)
 4位 松本 直太(熊本)

■中学生の部
 優勝 大表 拓都(富山)
 2位 佐野 飛鳥(神奈川)
 3位 杉田俊太朗(愛知)
 4位 癸生川 聡(栃木)

    ◇   ◇   ◇

■群馬県勢の成績
▽小学生の部
 惣蔵 夕輝(伊勢崎・広瀬小)1勝2敗で決勝T進出ならず
 栗原 貴大(伊勢崎・広瀬小)1勝2敗で決勝T進出ならず

▽中学生の部
 宮崎 裕貴(前橋・第五中)1勝2敗で決勝T進出ならず
 北爪 裕幸(沼田・南 中)2勝1敗で決勝T進出ならず

             (日本棋院HPより抜粋)

    ◇   ◇   ◇

団体戦では女子選手もがんばっていましたが、この個人戦で上位に進出した女子選手はいなかったようです。
一つの分野での集中力・探求力は男子の方が優っているにかもしれませんね。
それでも女子の活躍がないと、囲碁界としては盛り上がりせん。がんばれ女流棋士。

群馬県勢は残念ながら決勝トーナメント進出はなりませんでした。
全国レベルの選手育成には、指導者・保護者など支援組織の強化がポイントだと思います。

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