天声人碁

剣正28号が「囲碁」を中心に雑感、独り言を随時書き込みしていきます。
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囲碁書籍/プロ棋士の思考術

2008-07-31 14:07:09 | 囲碁

Book_yoda1 ◆書籍紹介
 ・書籍名:プロ棋士の思考術 大局観と判断力
 ・発行所:PHP研究所   ・著者:依田紀基
 ・発売日:2008年6月13日
■内容紹介
 ・優れた大局観をもつと評される名人位4連覇の囲碁棋士が、囲碁の打ち方、日々の生活を通して、ものの見方・考え方を具体的に語る。
 ・物事の本質を見抜く勝負師の言葉は、ビジネスにも人生にも通じる普遍性をもつ。

    ◇   ◇   ◇

本書は囲碁関連のブログなどで紹介されており、興味をもって大型書店に行きました。
趣味の「囲碁コーナー」の棚にはなかったので、PHP出版の新書コーナーの棚を探したところ下段の目立たないところにありました。
発売されて間もない新刊なのに、あまり期待されていないのでしょうか。

内容は「現在までの生い立ち」や「碁に向かう姿勢」などいろいろです。
依田九段はまだ40代前半、いろいろ波乱はあったようですが人生論じみた内容はまだ早いように思います。
破天荒な時代があった面は藤沢秀行名誉棋聖と重なる部分がありますが、こちらは「天下の秀行」説得力があります。

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第63期本因坊戦第7局/羽根が本因坊奪取

2008-07-28 21:45:07 | プロ棋戦

 新潟県妙高市で7月22日から行われた第63期本因坊決定戦七番勝負の第7局は挑戦者の羽根直樹九段が本因坊秀紳に黒番中押し勝ちし、4勝3敗で奪取した。
 初挑戦の羽根は3連敗後に4連勝し、実力制のもとで15人目の本因坊になった。
 本因坊戦での3連敗4連勝の大逆転勝ちは、第38期に林海峯名誉天元(相手は二十五世本因坊治勲)、第47期に治勲(相手は小林光一九段)が果たしたのに続く16年ぶり3回目の快挙だ。

<羽根新本因坊の話>
 第3局まで布石がひどすぎたので、第4局からは、時間を使っても布石をしっかり打とうと。多くの人に応援してもらって、あきらめなかったのがよかったと思います。

<本因坊秀紳の話>
 3連勝はうまくいきすぎで、あとはほとんど力負けでした。第4局で負けたとき、ひょっとしたら大逆転もあるかと思いました。シリーズを通じて力不足を感じました。

            (毎日新聞より抜粋)

      ◇   ◇   ◇

羽根新本因坊、3連敗の窮地から奇跡とも思われる4連勝で本因坊位の奪取。4連勝の碁はいずれも戦いの碁を競り勝った内容で迫力ありました。冷静な一面、内に秘めた闘志が高尾前本因坊を上回ったように思います。

一方、失冠した高尾十段、3連勝の勢いはどこにいったのでしょう。技術面より精神面で羽根さんに粘り負けた印象です。捲土重来を期待しましょう。

      ◇   ◇   ◇

今回の対局地は新潟県妙高市の赤倉観光ホテル。このホテルの設立は1937年で昨年(2007年)創業70周年を迎えたそうです。そしてこのホテルの創業者、大倉喜七郎は日本棋院設立の立役者ということで本シリーズの最終局にふさわしい舞台となったようです。

妙高市は2005年、新井市に中頸城郡妙高高原町ならびに妙高村を編入、「妙高市」へと改称したそうです。

もう30年近く前のことでしょうか、本対局地近くの「妙高杉ノ原スキー場」に行ったことがあります。
その頃のスキーの腕前は囲碁に例えれば3、4級程度だったと思います。その後しばらくして所帯を構えてスキーとは縁遠くなってしまいましたが、続けていれば初段近くにはなったでしょうね。(タラレバ談義)

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映画/クライマーズ・ハイ

2008-07-26 20:58:28 | 映画

Climer 先日、日航機墜落事故(1985年8月)をテーマにした映画「クライマーズ・ハイ」を見てきました。
舞台が群馬県の地方新聞社ということもあり、興味を持っていました。

テーマは新聞社内の派閥、出世、自己顕示、嫉妬、人間関係などサラリーマン社会にありがちな日常を描いていました。
確かに現在のサラリーマンに比べると、当時の方がエネルギッシュな企業戦士というイメージが強かったように思います。
現在、社内で熱い論争のようなシーンはあまり見かけなくなりました。善悪は云えませんが企業や社会の活性化という面では、あの頃の方が活気があったと思います。

   ◇  ◇  ◇

事故の犠牲者に歌手の坂本九さんがいました。
「上を向いてあるこう」、「見上げてごらん夜の星を」など、独特の歌い方で人気がありました。
あの頃の平和な時代の庶民派スターでしたが、現代のスピーディな時代では受け入れられないかも知れませんね。

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第33期碁聖戦第1局/山下棋聖が先勝

2008-07-24 14:54:23 | プロ棋戦

 囲碁の張栩碁聖(名人)に山下敬吾棋聖・王座が挑戦する第33期碁聖戦5番勝負の第1局は、7月11日、石川県野々市町で行われ、黒番の山下が中押し勝ちし、碁聖位奪回に向けて好スタートを切った。第2局は27日に新潟県長岡市の長岡グランドホテルで打たれる。

              (共同通信より抜粋)

        ◇  ◇  ◇  ◇

山下棋聖が持前のパワーで張栩碁聖の大石を捕らえ、快勝のようでした。山下棋聖の本領発揮というところでしょうか。

一方の張碁聖、大石の死活に誤算があったようです。昨年の名人位奪回からそこそこの勝率は挙げているものの、勢いはイマイチのようです。

「週刊碁」のタイトルには「"山張"激突」とあります。タイトル者は高尾、羽根、河野もおり二大巨頭ではないのになぜ"山張"だけがと思いますが、"山張(ヤマチョウ)"という語呂の響きがいいからでしょうか。

Chikurin 過去、大竹名誉碁聖、林名誉天元を"竹林"と呼んだ時期がありましたが、シャレたネーミングだと思います。

相撲界ではかつて横綱の柏戸、大鵬の両雄が活躍していた頃、"柏鵬時代"と呼んで全国を沸かせていました。
勝負は安定感のある大鵬の方が大幅に勝ち越していたと思いますが、豪快な柏戸ファンも多かったようです。

        ◇  ◇  ◇  ◇

今回の開催地は石川県野々市町の「文化会館フォルテ」。定期的にこの碁聖戦が開催されています。
通常のタイトル戦はホテルや旅館の和室で行われるのが定番のようですが、ここは公民館の和室で宿泊先のホテルからバスで移動するそうです。

野々市町は金沢市に隣接した5万人弱の町だそうですが、全国的にアピールするような特長も少ないように思います。
囲碁のタイトル戦開催が町民の囲碁普及に役立てばハッピーだと思います。

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県民囲碁大会2008

2008-07-22 21:43:38 | アマ棋戦

Mitani2008 昨日(7/21)は群馬県の「第8回県民囲碁大会」が行なわれ、私も運営スタッフとして大会の準備・進行をしてきました。参加者は約150名と昨年なみの盛況でした。
また、伊勢崎市出身の三谷プロの指導碁もあり、多くの囲碁ファンが楽しまれたことと思われます。
ただ運営スタッフも高齢化が進み、盤石の運搬・会場設営・後片付けなど力仕事も多く疲れましたね。

     ◇  ◇  ◇

対局の進行していて、後味のわるい場面もありました。
私はあるリーグ(16名)の組合せ、成績記入をしていたのですが、1局当り1時間半を超えそうになったので、対局時計を使用することにしました。ところが優勢に進めているA氏は対局時計に馴れていないのか、着手後時計を押さないため持ち時間が無くなってきました。
そこで「時計を押していないですよ」2、3度助言したところ、相手のB氏から「何で教えるんだ」と怒鳴られ、険悪な雰囲気になりました。
結局はB氏が不満をあらわにしながらの投了となりましたが、私の不用意な助言が不快な一局にさせてしまいました。
公平なジャッジというのはは難しいものだと、つくづく思い知らされました。

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第63期本因坊戦第6局/羽根、3連勝でタイに

2008-07-20 22:56:04 | プロ棋戦

 静岡県伊豆市で7月16日から行われた第63期本因坊決定戦七番勝負の第6局は挑戦者の羽根直樹九段が本因坊秀紳に黒番番中押し勝ちし、対戦成績を3勝3敗とした。第7局は22、23の両日、新潟県妙高市の赤倉観光ホテルで行われる。
 羽根が第5局に続き、秀紳の大石を仕留めて快勝。持ち前の粘り腰で3連敗後に3連勝と巻き返し、決着を最終局に持ち込んだ。

<羽根九段の話>
 封じ手のあと、黒59以下を打つ気になりました。黒97(8四)のノゾキから白一子を取れて、やれるかなと。最後の攻め合いは大丈夫だろうと信じていました。

<本因坊秀紳の話>
 封じ手以下の手順には感心しましたが、形勢はいい勝負だと。でも、黒97を許して急に苦しくなりました。この手を打たせないように工夫すべきでした。

            (毎日新聞より抜粋)

       ◇   ◇   ◇

羽根九段が高尾本因坊のお株を奪うような、厚みからの攻めで快勝。充実の一局でしょうか。

一方の高尾本因坊、元気がありません。TVで見る表情も迷いがあるような感じでした。

これで3勝3敗のタイとなり最終第7局を迎えることになりました。激闘続く本シリーズですが、両者の熱闘譜を期待しましょう。

       ◇   ◇   ◇

今回の対局地は静岡県伊豆市の玉樟園新井。近くには江戸末期の本因坊秀和の生家や顕彰碑、資料館などがあります。
昨年の5月に訪れましたが田舎の質素なお寺(最福寺)で、案内板も小さく、場所を探すのも苦労しました。
日本人の囲碁への関心度はこの程度かと、やや残念な気持でした。

第7局は新潟県妙高市の赤倉観光ホテル。週刊碁の「規三生(山田規三生九段)の目」というコーナーで、第7局に際し
「両者とも目の前の一局に集中し、天命を待つしかありません。妙高の山々に打ち上がる花火のように、二人の闘志がアカクラんらんと燃え輝いて、最高の夏の夜の夢を見せてください。」
と書いています。妙高、赤倉をかけたシャレでしょうが、イマイチでしょうか。

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初心、忘るべからず

2008-07-18 22:11:22 | 囲碁

「月刊・碁ワールド」最新号の連載漫画「日々碁席」のストーリー。

碁会所に本の忘れ物があり、その中に仕事に熱意を燃やしている青年の写真。
それは忘れた人の35年前の写真で、忘れ物を取りにきた主人公は「この写真を持ち歩くようにして、仕事に対する情熱を見失わないようにしています」とのセリフ。

なるほど、これは妙着かもしれません。仕事はともかく囲碁はまだ上昇志向の小生。
しかし囲碁上達に熱意をもっていたころの、若い時の写真があるかどうか・・・。
見つからなかった場合は、故加藤剣正プロの写真でどうかと考えています。

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第21回富士通杯/中国の古力九段が初優勝

2008-07-15 21:01:58 | プロ棋戦

第21回世界囲碁選手権富士通杯の決勝戦と3位決定戦が、7月7日に東京・市ヶ谷の日本棋院会館で行われ、中国代表の古力九段(25)が韓国の李昌鎬九段(32)を下し初優勝した。
韓国勢11連覇がかかっていた決勝戦だったが、古力の攻めが李昌鎬の反撃を封じ込めた。
中国勢では95年の第8回大会で馬暁春九段が優勝して以来二度目の優勝となる。
また、中国勢同士の組み合わせとなった3位決定戦は、常昊九段(31)が劉星七段(23)を下して3位に入り、来期のシード権を得た。
日本勢は依田紀基九段のベスト8が最高だった。

     (日本棋院HPより抜粋)

   ◇   ◇

ベスト4に残ったのは中国3、韓国1でしたが、韓国世界戦の帝王・李昌鎬(イ・チャンホ)九段は準決勝で劉星七段を破り、古力九段との対決。決勝戦では古力九段が中盤から力強く攻めて、世界戦を制覇しました。

NHK-BS2「囲碁・将棋ジャーナル」で優勝者・古力九段へのインタビュー、「この喜びを最初に誰に伝えますか?」という質問に「昨年亡くなった父親・・・」と声を詰まらせていました。いまどきめずらしく純朴で爽やかな印象でした。

また、「週刊碁」の記事では日本の碁界について「日本がどうして世界戦で勝てないのか、不思議に思っています。日本はゆっくりした本格派の碁で、布石や形が美しくて素晴らしいと感じています。ただ、時間のない世界戦では激しい碁が多く中盤に問題にあると思います」とありました。
多少のリップサービスはあるとしても、誠実で好感が持てる棋士だと思いました。

   ◇   ◇

いままで国際棋戦といえば日・中・韓の3強といわれてきましたが、この数年の勢力図は中・韓の2強時代、そして本シリーズでは「中国の時代」到来を予感させます。
戦績で日本は苦境に立たされていますが、文化的な側面や精神性でアピールできればと思っています。

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2008/RT夏期囲碁合宿

2008-07-13 21:36:54 | ルネサス/囲碁部

昨日/今日(7/12~7/13)と勤務先の夏期囲碁合宿が開催されました。
参加者は13名、場所はいつもの埼玉県小鹿野町の「越後屋旅館」です。
今回は他の囲碁グループが隣りの部屋で合宿をしており、接客が大変そうでした。

指導棋士も昨年と同じ田原靖史六段。一時間ほどの上達講座では田原プロの自戦解説をしてもらいましたが、疲れて居眠りをする人もいてこのような企画もマンネリ気味かもしれません。

   ◇   ◇   ◇

リーグ戦では一人あたり7~8局対戦しますが、長丁場では若い人に分があるようです。
私自身の成績はここ数年では最悪の結果、惨敗でしたね。
反省してみますと、短時間のネット対局(持ち時間20分/人)が身についてしまい、じっくりと考えて打つ相手にヨミ負けしているのが大きな原因のようです。

あと持久力でしょうか。前半はそこそこの形勢ながら、中盤から終盤にかけて乱れて負けるケースも多かったように思います。

今回の反省を胸に心機一転、研鑽しようと思っていますが意気込みだけはダメです。問題は実行力なのですが・・・。

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第20回TV囲碁アジア選手権/李世ドル連覇

2008-07-12 09:10:07 | プロ棋戦

 日中韓のテレビ棋戦優勝者らによって争われる第20回テレビ囲碁アジア選手権は6月1~4日に北京で開催され、李世ドル九段(韓国)が決勝で趙漢乗九段(同)を破って2連覇を果たした。
 前回優勝の李と、NHK杯、CCTV杯(中国)、KBS杯(韓国)の優勝、準優勝者の計7人が出場するトーナメント。
 NHK杯優勝の張栩名人は中国の謝赫七段に、準優勝の趙治勲二十五世本因坊は韓国の李昌鎬九段に、それぞれ1回戦で敗退した。なお、韓国勢は日中の棋士に無敗。韓国の完全優勝だった。

          (「asahi囲碁Web」より抜粋)

   ◇   ◇   ◇

本シリーズは7/7~7/9の3日間、NHK/BS2で放映されていましたが、1ヶ月以上も後になって放映とはあまりに時間差があるように思います。
放送日程などの事情はあると思いますが、古新聞では価値が半減してしまうでしょう。
解説は関西の結城九段。丁寧で分かり易く、アマチュア囲碁ファンの評価も上々かと思います。

それにしても優勝した李世ドル九段は、本棋戦で2連覇と抜群の強さです。
そして韓国勢の無敗、中国勢の追い上げが迫っている中で、まだまだ勢いを感じさせます。

日本勢は残念な結果に終わりましが、技術的にはそれほどの差はないように思います。あとは精神的な問題でしょうか。
中韓に遅れ気味な日本碁界ですが、地道に囲碁ファンが支え続けていくことで未来が開けるのでは・・・。

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