うさぎとかえるの里

鳥獣戯画をこよなく愛する自分の日本文化や日常に関する想いをつづります。

旅のたのしみ

2009-08-19 00:39:43 | 読書
島内景二さんの 「光源氏の人間関係」 。

先週の京都で買ってきた本です(^^)

最近の私のひとり旅は、ガイドブックすら持たず、
できるだけ身軽で出かけ、帰りに地元の本屋で帰りの電車用の本を買ってきます。

…このところめっきり京都ばかりなので、
毎回京都の駅内の本屋に行くのですが、
観光客用というか、いかにも「京都的」な本がたくさん平積みになっているのが
たまらなく嬉しかったりします(^^)

ガイド本や写真集などの類は東京でも比較的探しやすいですが、
ちょっとマニアックなものとか、マニアじゃなくても最新刊でないものは、
大きい本屋でもふつうに棚に収まってしまっていると存在すら知らないことが
多い…

というわけで今回は源氏本をゲットしました。

これは内容についての源氏研究本ですね。
タイトルどおり、源氏のまわりの人々の関係、心情描写、本文ではさらりと
読み流してしまう部分の真の意味、意図するもの…
正直、今までの読み方では私は何も分かっていなかったんだ…と思いました。

それにしても、誰もが、光源氏までもが幸せになることなく、
思い悩んで悩んで悩みぬいている物語だなぁ…としんみりし、

そして自然描写や人間心理をこんなに綺麗に表現できるなんて…
と改めて文学史的評価を実感。

いろんな古典文学から近代文学に至る、源氏物語との類似点や
54帖という長いストーリーに組み込まれた文学の分類上のパターンなど、
久々に文学部魂を呼び覚まされました。

島内さんは、源氏物語は宇治十帖に至るまですべて紫式部単独作の観点から
研究していらっしゃるんですね。

私はどちらかというと多作者論賛成派なので、
一人の作者として完成させたとしたとき、ここでこういうことをしたから
次はこう書いてみた…というような作家としての試行錯誤が紫式部にあったのか…という発想は新鮮でした。

歴史と同じで誰がどれだけ研究しても真実は分からないと思いますが、
作家としての紫式部なら1人で書き上げた…というのも可能かもしれませんが、
当時の宮廷生活の現実、女房達のサロンを考えると私はどうしても多作者論寄り
です。

コメント
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