太陽光発電シニア

太陽光発電一筋、40年をはるかに過ぎたが何時までも興味のつきない厄介なものに関わってしまった。

事業統合

2016-09-30 08:17:22 | 仕事に関すること

核燃料事業会社3社の統合の動きが報じられた。原発用の核燃料を供給する会社であるが、赤字が続いている。エネルギー、特に原発政策に関わることであり、当然何らかの国の指導が働いているものと思われる。しかし、問題は事業統合が何を目的に行われるかということである。簡単に言えば、民間の判断だけで一斉に事業廃止をされては国策として困るのは目に見えている。何とか事業を整理してでも続けなければならないから統合して1社だけでも残す、そのためには無用な競争よりも重複する部分の排除やそれに伴うリストラも辞さない、と言う事だろう。しかし、市場が大きくならない(どんどん原発が再稼働して燃料を使う)ようにならない限り、死なぬよう生かすに過ぎない。恐らくこの事業統合案を起点として次々と原発事業には新たな対策が講じられることだろう。原発を所有して民間だけで発電事業会社をするという形は無いと思う。色々な政策を総動員して国が支援しなければエネルギー政策が揺らいでしまう。

太陽光発電を見た場合、同じ様に事業統合の話が出て来ても不思議ではない。ところが、海外勢に負けてもそれは競争の結果であり、安いものが手に入る日本はそれでも良いではないかという極論さえ聞こえる。エネルギーや環境問題は市場に委ねるだけでは済まない。それは現在の結果から明らかである。かといって国が丸抱えすることがベストかというとそうでもない。そこには役割分担があるはず。以前ブログにも書いたが太陽光発電については九州の出力抑制問題はもし送電網が整備されて中国地方を通って大消費地である関西圏に電力を送れれば、地産地消ではなく関西の人は産地直送の電気を使う事が出来る。これは再エネに限ったことではない。原発だって送電網を利用して関西に供給するとことになる。全国にこのような高速道路並みの送電ネットワークができれば発電場所を問わない供給が可能となる。送電網の整備には時間と金が掛るため全てを市場が担えるわけではない。社会インフラとして国による予算措置、利用の仕組みづくりなど国がやるべきことはある。

事業統合がリストラと言ったマイナス要素ばかりが目立つ前に市場(ニーズ)パイを拡げることがまずありきである。結果として競争による淘汰が起こることは止むを得ない。今太陽光発電の状況は国内産業が一斉にもう止めたと言っても不思議ではない。FITの最大の効果を無視して制度終期の問題だけ上げつらい、代替案も無く、費用負担を抑えるため制度そのものを悪と捉える風潮、出力抑制については根本問題を解決せずして対策のみを求めるやり方、どれをとっても経営者は未来ある市場とは思わない。それでも2030年ベストミックスでは原発以上の発電量を掲げる。もし、再エネ(太陽光発電)がエネルギー政策に関わるなら、全員がもう止めたと言わないように反面教師であるが、事業統合してでも生き残れという人がでてきてもおかしくない。エネルギー政策では一人前扱いされていない証拠かも知れない。

(7)・・・

工業用ダイアモンドは金属の研磨剤として用いられるが大変高価なものである。天然の屑ダイアの不足から人工で作ろうとする試みはある程度成功していた。砥粒事業部は会社創業の元にもなった事業である。会長は学生の頃人工のダイアモンドの合成を研究していたが就職は溶鉱炉の炉材などに使われる耐火煉瓦を作る会社であった。高温で焼結するというのは人造宝石を作る工程にも通じるところはあるが、ダイアのような高価な材料には縁が無かった。就職難の時代であったが、製鉄所がドンドン設備を増強する時代であり、それなりに将来性があると思っていた。そう大きくもない会社であったため社長自ら社員に接する機会も多かった。ある日その社長から呼び出され、

「君はダイアモンドの研究をしていたのかね。実は鉄鋼業界は裾野が広く工作機械の会社とか工場との付き合いも結構ある。先日、あるところからダイアモンドの砥粒は高価だが将来はもっと用途が広がり、量も増えると言う話を聞いた。我が社も炉材だけでは景気に左右される。今は良いが将来のことを考えると新しい事業を立ち上げる必要がある。フレッシュな頭で一つ考えて見てくれないか。」と言われた。小さな会社で社長の思いつきは部厚い企画書より遥かに力がある。1週間後、人工のダイアモンドを研究するという目的で3名が指名された。



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