書籍之海 漂流記

看板に掲げているのは「書籍」だけですが、実際は人間の精神の営みすべての海を航海しています。

中島岑夫 『幕臣 福沢諭吉』 

2005年07月04日 | 日本史
 第4章第2節で「長州再征に関する建白書」(→今年5月20日西川俊作/松崎欣一編『福澤諭吉論の百年』欄)の原文が引用されていなかったら、「今週のコメントしない本」の④に載せるところだった。

(TBSブリタニカ 1991年7月)

史学会編 『2004年の歴史学界 回顧と展望』

2005年07月04日 | その他
 やっと出た。
 井田進也『歴史とテクスト 西鶴から諭吉まで』(→今年5月31日欄)の末尾で書いたとおり、「日本 近現代」部分を確認。

“一昨年『福澤諭吉書簡集』(慶應義塾編、岩波書店)が完成し四八〇通もの新書簡を加えた。西澤直子「書簡にみる福沢諭吉の男女論と男女観」にあるように、著作偏重の研究や『時事新報』論説における福沢自筆稿の少なさへの補完が期待される。昨年はこの書簡集を活用した研究がめだった。金原左門「「近代」づくりを地域の水脈に求めて」は報徳思想への共感を背景にした地方教育への取組みなどを、佐藤能丸「海から陸への飛躍」は三菱の高島炭鉱買収における福沢の関与を扱った(以上『近代日本研究』二〇)。また山口種臣「愛息の徴兵に立ち向かう福沢諭吉」(『史淵』一四一)は息子の徴兵逃れを企てた書簡から福沢の国民皆兵論を再検討し、兵役税を構想の核に据え、個々人の意志を基点としたが故の行動とするとともに、従来の徴兵制研究へ疑問を提示した” (横山尊/山口輝臣「六 思想・文化 1」、同書176頁)  

 福沢関連研究・著作に関する言及はこれがすべてである。
 本当に、これだけである。
 怠惰、卑怯、臆病、横着!!

(『史学雑誌』第114編第5号 山川出版社 2005年5月)