中小企業のための「社員が辞めない」会社作り

社員99人以下の会社の人材育成に役立つ情報を発信しています。

第1,034話 「習慣」とは考えて行うよりももっとうまくできる方法

2021年06月30日 | キャリア

「すべての社員がイキイキ働くようになる」仕組みと研修を提供する人材育成社です。

対面で行うミーティングであっても、オンラインで行うミーティングであっても、時間に余裕を持ってミーティングの開催場所にやってくる(参加する)人がいる一方で、ぎりぎりにやってくる人もいます。

これはミーティングに限った話ではありません。では、あなたは時間に余裕を持って対応するタイプでしょうか?それともギリギリ派タイプでしょうか?

もちろん、会議の集合時間までに余裕を持って開催場所に行きたいと考えている人であったとしても、その前にハードな仕事を行っていたりすると、少々遅れてしまうというようなことはあるかもしれません。

しかし、そういうことを含めて考えても、余裕を持って会場に来るタイプの人は毎回早めに会場にやってきます。反対に遅れてくるような人はいつも遅れてやってくることが多いように感じています。これはまさにその人のスタイル、つまり習慣なのではないかと私は考えています。

習慣とは、広辞苑によれば「日常の決まりきった行い、後天的に習得し、比較的固定して、少ない努力で反復できる行動様式」とされています。これで言えば、上述の話はまさに習慣と言えそうです。

良きにつけ悪しきにつけ「日常の決まりきった行いであり、固定していて、反復する行動様式」と言えると思います。そのように考えると、良き習慣はともかく悪しき習慣については、その行動を改めることは簡単なことではないようです。

この習慣に関して、以前(2015年9月10日付 朝日新聞 折々の言葉:鷲田清一)フランスの哲学者のアランの言葉が紹介されていました。

それによると、アランは習慣を「習慣。考えずに行動するすべ。しかも考えてやるよりも、もっとうまく行動するすべ。」と定義しています。(アラン 定義集(神谷幹夫訳)

 この記事では、「車に乗るとき、運転操作に集中しつつ、音楽を聴いたり助手席の人とおしゃべりに興じたりできるのは、習慣が私たちの活動を最小限の筋肉の動きにまとめてくれるから。一つの行動の型を訓練によって身体に住みつかせることで、別の行動を並行してできるようになる。身体は賢い。」と解説されています。このように考えると、せっかく一つの行動の型を体に住みつかせるのであれば、せっかくならプラス(前述の例では余裕を持った行動)の型を習慣にしたいと思うのです。

一つの行動の型を体に住みつかせるための訓練は、場合によっては努力や時間が必要かもしれません。しかし、あなたが悪しき習慣を改めたいと考えつつも、なかなか改善できないと思っているのなら、ぜひ、アランのこの言葉を思い出していただき、少しずつで構いませんので、着実にトライしていただきたいです。そうすることで、「考えずに行動するすべ、しかも考えてやるよりももっとうまく行動するすべ。」を獲得できるのだと思います。

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第1,033話 テレワークで社内の一体感が崩壊する

2021年06月27日 | 研修

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あなたの会社ではテレワークの実施率はどのくらいでしょうか。私の知る限り、ほとんどテレワークで出社は週イチというところもあれば、ほぼ毎日出社しているというところもあります。

具体的に言えば、IT系や非対面のサービス業などはほぼテレワークが主流のようです。一方、製造業や建設業など現場でモノを扱う業種や対面が必須の業種では、実施率が低くなっています。

業態によって変わってくるのは当然ですが、それ以外の会社では、テレワークの実施で職場の雰囲気が変化しているように感じています

テレワークにはコストや効率の面から見て、大きなメリットがある一方、コミュニケーションの量と質が低下することにより、仕事がうまく進まなくなることもあります。そのため、社員の中には不満を感じる人も少なからず出てきます。新聞やネットの記事で「テレワークで生産性が低下した」という調査結果をご覧になった方も多いと思います。

今まで同じオフィスで同じ空気を共有してきた社員同士がいきなり画面上の存在になってしまうのですから、不便が高じて不満となり、ギスギスした雰囲気になってしまうこともあるでしょう。

「こちらの言ったことがきちんと伝わっているのだろうか」「本当に家でちゃんと仕事しているのだろうか」「出社して働いている社員は残業して頑張っているのに、テレワークの連中は6時になるとさっさと通信を切ってしまう」

やがて社内にあった一体感、チームワークのようなものが崩れ始めます。当然、管理職や経営者はこの兆候を敏感に察知し、手を打とうとします。

「きっちりとしたルールを改めて作り、社内の意識改革を行いましょう!」研修講師やコンサルタントはこう言います。

・・・申し訳ありませんが、意識改革など不可能です。

そもそも会社の「意識」なるものがどのようなものか、具体的に説明できるものではありません。前にこのブログで書いた「企業文化」のようなものです。

さらに、上司が部下に向かって「意識を変えろ」などと命じても、言われた方は「はぁ?」と思うだけです。「はい、わかりました」と、逆らわないように口だけで受け流すのがせいぜいでしょう。

人が働く動機は第一に経済的なものです。「意識」とはその動機の上に乗っています。たとえ愛社精神に溢れた社員でも「会社の業績が芳しくないので、来月から給料を半分にする」と言われたら、大半の人は転職活動を始めるでしょう。(マズローの説を持ち出すまでもありません)

会社として意識改革をしたいなら、テレワーク組か出社組、どちらか一方を選ばなければなりません。給料と同じ額を「テレワーク手当」にするか「出社手当」にするか決めることです。

それくらい思い切った施策を打ち出してはじめて、社内の一体感やチームワークが生まれます。おそらくコロナ以前の状態をはるかに上回る良好な結果が得られます。

しかしそこまで思い切った手を打てる会社はそう多くないでしょう。テレワーク組と出社組を抱えて職場の不満が高まっているならば、管理職が率先して両者のパイプとなるように努めることです。

全ての社員の意思を尊重し、徹底的に話を聞き、できることはすぐに行う、それを繰り返し行うしかありません。

テレワーク時代の管理職手当はそれに対して支払われる・・・というくらいの気持ちが必要です。

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第1,032話 「積極的に発言しない」という同調圧力

2021年06月23日 | 研修

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弊社が研修を担当させていただく際に、テーマにかかわらず研修の冒頭で受講者の方々に、受け身の姿勢でなく主体的に研修に取り組んでいただくことの意義や効果をお話させていただいています。そうすると、たとえ自ら参加を希望していなかった研修であっても、またオンライン研修であっても、多くの場合、受講者は質問に対して積極的に答えてくれたり、グループ討議にも積極的に参加をしてくれます。

その結果、研修が講師から受講者への一方通行の情報伝達にならずに、双方向でやり取りをして進めることができますので、研修が活気づくとともに、受講者自身にとっても得られるものが多いと感じています。

しかし、先日私が担当させていただいたある研修は、同じ企業グループ内の3社からそれぞれの社員が参加されていたのですが、前述のように主体的に参加する意味等を冒頭でお話しても、その後自ら積極的に手を挙げる人もおらず、受け身の姿勢が見受けられました。そこで、研修の途中で、挙手を募るのではなくこちらから受講者を指名して答えてもらうように変更しました。そうしたところ、それにはきちんと答えていただけましたので、特に研修内容が難し過ぎたり、話を聞いていなかったりいうことではなかったようでした。

では、なぜこの研修では主体的に参加する人がいなかったのでしょうか?いろいろな理由が考えられると思いますが、一つには同じ企業グループとはいえ、他社の社員のことを意識し過ぎてしまったということがあったのかもしれないと思っています。

あくまで想像ですが、「発言してもしその答えが違っていたら、○社の社員はだめだなと思われてしまうのではないか」などということを気にしていたのかもしれません。

研修担当者がおっしゃるには、このグループ会社では研修に限らず会議などでも、自ら積極的に発言する人は普段から少ないのだそうです。それには何らかの背景があったことが想像されますが、確かに発言することが難しい関係だったり、発言すると何か厄介なことに巻き込まれて損をしてしまうようなことがあったりすると、発言を控えるようになってしまいます。

そして、そうした状態が続いた結果、徐々に「積極的に発言しない」という同調圧力が働いて、それがある種の企業風土となってしまっているのかもしれません。同調圧力とは、集団の中で多数意見が暗黙のうちに少数意見を従わせるよう強制する圧力のことです。もしかするとこれが研修にまで尾を引いて、積極的に参加しようとする姿勢を控えるように働いたのかもしれません。

企業の風土や空気というものは、長い時間の積み重ねで形作られることが多いことから、これを変えていくのは簡単ではないことが多いのです。

しかし、たとえばこうした同調圧力が働いてしまうと、何か問題が起きた場合であっても発言が難しい雰囲気になってしまいかねません。それを避けるためにも、まずは全社で発言すべき時にはきちんと発言することの大切さを共有できると良いと思います。そのためには先ず経営者自身がそれを認識することから始める必要がありそうです。わが社の社員はおとなしい、あまり話さないなと感じている経営者の皆さん、道のりは長いかもしれませんが、先ずは自らが一歩を踏み出していただきたいと思うのです。

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第1,031話 今こそ企業文化を考えるとき

2021年06月20日 | 研修

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企業文化(corporate culture)という言葉を聞いたことがあると思います。文化という言い方はちょっと大げさな気もしますが、その会社特有の価値観や仕事の進め方だと考えて良いでしょう。それは取って付けたものではなく、長い時間かかって暗黙のうちに徐々に出来上がったものです。

例えるなら、老舗のうなぎ屋が創業以来つぎ足しながら守り続けてきた「たれ」の味のようなものです。味ですから、当然ながら創業者が作り出したものが基本になりますが、会社の成長や経営方針の追加、変更などによって徐々に変わっていくこともあります。

企業文化は、社員が仕事をする上で価値判断の基準(・・・まあ、そこまで確固たるものではありませんが)になっています。会社の利益に影響を与えるような意思決定において、保守的な判断を下すか、思い切った手を打つか、その会社の企業文化が影響していると考えられます。

また、企業文化は日常の仕事の進め方にも(それとなく)影響を与えます。上司と部下の関係、社外とのやりとり、会議の進め方等々、「その会社らしい」様子が外部から見るとなんとなく分かるものです。

ただし、自社の企業文化そのものは社内からはよく見えません。一方、よその会社から見ると意外とはっきり見えます。

自社の企業文化を知ることは、ある意味自社の強みと弱みを知ることでもあります。経営者や管理職はそれを知った上で意思決定を行うべきでしょう。自社の強みを意識すれば、困難な状況においても自信を持って進むことができます。仮に失敗したとしても素早く立ち直ることができるかもしれません。

では、どうすれば自社の企業文化をしっかりと認識することができるのでしょうか?明文化された経営理念や創業者の言葉が残っていれば、それを読めばわかるのでしょうか?

残念ながらそれは不可能です。

その理由は「理念」や「言葉」はあくまでも抽象的なシンボルだからです。文化とは暗黙のうちに形成された「共同意識」のようなものであり形式知に置き換えることは難しいのです。

それを知ろうとするならば方法はひとつです。それは、徹底的なコミュニケーションです。

今、テレワークが多くなって企業文化のようなあいまいなものが、従来よりもぼやけてきています。テレワークの時代こそコミュニケーションの量を増やさなければなりません。コミュニケーションの質ではなく量が必要なのです。

無駄話や社内の噂話で結構です。差し支えない範囲で話しまくりましょう。それも社内のいろいろな立場や職種の人と。その量が多ければ多いほど自社の企業文化が見えてきます。

そこから会社の強みもきっと見えてきます。

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第1,030話 営業部、開発部、製造部など部門の連携を図るためには

2021年06月16日 | コンサルティング

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製造業において営業部、開発部、製造部などの部門間の連携が図りにくいというのは、古くて新しい議論です。

弊社は製造業のコンサルティングや研修を担当させていただくことが多く、これまでに様々な企業の関連部署の人から話を聴く機会がありました。話を聴くと、自部署の前工程や後工程への要望や不満もあり、企業全体として最適の視点を持つことは必ずしも簡単な話ではないと感じています。

これまで伺った内容としては、たとえば営業部門から開発部門への不満として「顧客は値段のことを最重要視しているのに、その点をわかっていない。コストを度外視して高機能なものばかりを作っている」といったものがあります。一方、開発部門は営業部門に対し「顧客は高機能なものの方が良いと考えているに決まっているではないか。営業が顧客に製品の良さを伝えられないところに問題がある」といような不満を持っていることが多いように感じています。

こうした話は営業部門と開発部門の間だけでなく、場合によっては製造部門と営業部門の間でもあるようです。製造部門から営業部門へ対しては、「営業はコストのことを考えずに、受注を獲得することばかり考えている。売上が上がっても、利益が出なければ意味がないではないか」と感じているのです。一方で、営業部門は「売れるから受注しているのに、製造部門は自部署の視点だけで考えて会社の売上アップのことを考えていないじゃないか」といった不満を持っている例もあるようです。

では、このような部署間の溝を埋めるためにはどうすればよいのでしょうか?

日頃から、お互いが置かれている立場や自部署としての問題点などの情報を共有する機会が定期的に設けられるとよいはずです。しかしそのためには「音頭」をとる人が必要ですし、なかなかお互いの時間が合わなかったり、ましてや今のようにテレワークが導入されていたりとすると顔を合わせる機会自体がめっきり減ってしまっています。製造部門は出社していても開発や営業はテレワークという企業も多く、部署間が連携することは思っているよりも簡単ではないようです。

しかし、部署間どころか、異なる会社同士が連携して成功している事例があることを皆さんはご存知でしょうか?それは、大田区の町工場が連携する「仲間まわし」です。

大田区には町工場が、2016年現在4,229企業(ピーク時の1983年には9,190)あるそうです。しかし、高齢化などによる廃業で多くの職人が引退し、技術力が低下してしまった企業も多く、自社のみでは顧客の要望になかなか応えられなくなってしまった企業が少なくないそうです。そこで、自社でできないことを他社に回して行ってもらう「仲間回し」の仕組みができあがったということです。

たとえば、自社では「切削」作業しかできなくても、「穴あけの技術」や「研磨の技術」など自社ではできない技術を持っている近隣の工場にその工程を回すことで、顧客から発注された製品を納品できるネットワークを構築しているのです。

このネットワークが完成した背景には、顧客の要望をまとめる企業(仮にA社)があり、そのA社が顧客へ直接営業活動をし、ネットワークによって製品を完成させるという仕組みを作ったのです。そして、このネットワークを維持継続させるために企業間のコミュニケーションを図る工夫をしたり、受注に関しては契約書を作成したり、支払いのルールを徹底するなどの仕組みを作ったとのことです。やはり「音頭取り」が肝になっているようです。

このように、企業を超えて連携し「仲間まわし」を行うことができるのですから、自社内において営業部、開発部、製造部などの部門の連携が図れないことはないはずです。

ぜひ、大田区の仲間まわしを維持継続しているA社のような音頭取り(幹事)を自社内に設けて、連携が図れる仕組みの構築に向けて積極的に取り組んでいただきたいと考えています。

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第1,029話 4つの「じんざい」の使い方

2021年06月13日 | 研修

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私は、人材という言葉をどう定義するかいつも考えています。よくあるのは「じんざい」には4つある、というやつです。会社にとって「人財」は一番優れていて「人材」はその次。「人在」は役に立たず「人罪」はむしろ害悪である、といったところでしょうか。

「会社にとって」という視点から考えれば4つの「じんざい」は分かりやすい定義かもしれません。分けることは分かること、と言う人もいます。

とはいえ、私から言わせれば単なる4段階評価に過ぎません。むしろ5段階評価や偏差値の方がはるかに有用です。

「いやいや、評価じゃなくてもっと意味が深いものだよ」ある中小企業の経営者の方から言われたことがあります。そこで「どう深いのですか?」と聞いたのですが、やはり4段階評価にしか思えませんでした。

私は「4つのじんざい論」を否定するものではありません。「ほうれんそう」(報告・連絡・相談)のように覚えやすい言い方だと思います。ただし、4つに振り分けられる立場、つまり従業員のことをよく考えなければなりません。

上司に「人財」と言われた社員は悪い気はしませんが、「人在」とか「人罪」といったレッテルを貼られたらどう思うでしょう。

この4つに社員を振り分けるとすれば、具体的かつ客観的な判断基準が不可欠です。そうなるとやはり定量的な物差しを作る必要があります。結局は4段階評価になります。

「なにもそこまで厳密に言っているわけじゃない。単純に4つの見方があるということを社員に知っておいて欲しいだけだよ」先ほどの経営者の方の言葉です。つまり、あくまでも主観的な表現方法だというわけです。

それならそれで結構ですが、社員にとっては「おもしろいなあ」というだけで終わりです。すぐに忘れてしまうことでしょう。

たまに人事部門の組織で「人財」を使う会社があります。「社員を大切にしているよ」という経営者からのメッセージとしては良いのですが、社員にとっては「どうでもいいこと」です。

それを勘違いして「4つのじんざい」に入れ込んで「社員は人財になれ」とか「人罪は不要だ」とか言ったりするのは危険です。

まして、悪質な研修会社に大事な社員教育をやらせて「お前は人罪だ!」などと言わせるとしたら、経営者の方が人罪です。

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第1,028話 オンライン研修で顔を出さない人の心理とは?

2021年06月09日 | 研修

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打ち合わせや研修を行うときのツールとして、オンラインが使われるようになってから既に1年以上が経過し、だいぶ身近にとなったという方も多いと思います。

当初はおっかなびっくりで始まったオンラインですが、コロナ禍もあり今ではなくてはならないものになってきていると感じています。

研修やセミナーにおいても、当初は短時間のプログラムを中心に取り入れられることの多かったオンラインですが、現在では終日のプログラムや連続で複数回行うような研修でも一般的になってきています。

オンラインの使用については、一長一短はあるものの多くのビジネスパーソンにとって既に身近なものになっているのは前述のとおりですが、最近少し気になることがあります。それは、特に公開型のセミナーにおいて、受講者の一部にビデオをオフにして顔を出さないで受講する人がいらっしゃるのです。

先日私が担当させていただいた公開型のセミナーでは、主催者が再三「顔を出して受講してください」と伝えていましたが、呼びかけに応じる人はほとんどいませんでした。

公開型のセミナーの場合、企業内研修などと比べ受講者は顧客であることが多いせいか、主催者としてもあまり強く言えないという実情もあるようです。そのセミナーでは受講者の半数の15名の顔を見ることができないまま進めざるを得ませんでした。

講師の側からすると、オンラインのセミナーでは顔を出していたとしても、集合型のセミナーと比べ受講者の反応がつかみにくいと感じることが多いのです。それに加えて顔が全く見えない受講者が多いと、まるで壁に向って話をしているようで非常に進めにくいと感じました。

それでは、どうしてオンラインのセミナーで顔を出すことをためらう人がいるのでしょうか?想像するに「自分の顔を人に見られたくない、見られると緊張してしまう、テレワークで自宅で受講するので部屋着である、あくびができる」などの理由が考えられそうです。

しかし、講師の立場から言うと、こうしたセミナーは受講者の反応にかかわらず一方的に進めるような形をあえてとるのでない限り、受講者の反応を確認しながら双方向で進めるものです。

講師の側では受講者の反応を見ながら、事例を挙げたり繰り返して説明したり、受講者を指名したり適宜休憩を入れるといった工夫をしながら進めているのです。しかしそこで受講者の顔が見えずに反応が確認できないと、単に講師から受講者へ情報提供のみをするような、一方通行で進める事態になってしまいます。それに、もし情報提供のみでよいのであれば、わざわざセミナーの形を取らずにオンデマンドでことは足りてしまうというになってしまいます。

思い起こせば、これまでの集合型の研修では、覆面をして受講していた人はまずいなかったはずで、この点はオンラインセミナーでも同様のはずです。

もし、あなたが今後オンラインのセミナーに出席する機会があるのでしたら、ぜひ、ライブの双方向のコミュニケーションの重要性を理解したうえで、ぜひとも顔をしっかり出して臨んでいただくようにお願いいたします。

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第1,027話 「大船に乗ったつもりで」働きましょう!

2021年06月06日 | 研修

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新入社員の皆さんも入社して2ヶ月が経ち、会社の雰囲気にはだいぶ慣れてきた頃だと思います。コロナの最中にあっても(特に大企業に就職された皆さんは)安心感を得ていることでしょう。

先日発表された「新卒社員が辞めない会社ランキングTOP300(東洋経済)」によれば(※1)、ランキング300位の企業ですら新卒社員の3年後定着率は91.3%です。もっとも1位から300位まで、ほとんど大企業が占めているのですが。

一方、中小企業では3年以内に新卒の3人に1人が辞めているという厚労省の調査がありますから(※2)、両者には非常に大きな開きがあります。

ある大企業に勤務する知人(執行役員クラス)が、職場に配属されてきた新入社員にこう言ったそうです。「今はコロナのせいで何かと不安なこともあると思う。でも、うちの会社はこれだけ大きいのだからそう簡単にはつぶれない。大船に乗ったつもりで安心して働いてくれ。」それを聞いた新人は、ほっとした表情になったそうです(真偽のほどは定かではありません)。

さて、「大船に乗ったつもり」を英語に訳すとどうなるのでしょう。ネットで調べると、You can count on me とか Relax, just leave it to me と出てきます。そのまま訳せばそのとおりでしょう。しかし、先の知人が言った「大船」とは会社のことです。me(私)ではありません。そう、日本人にとっては会社は船なのです。船から出ることは海に落ちること、つまり生死にかかわることというイメージです。

だから必死で船にしがみついていれば安心できます。多少イヤなことがあっても海に落ちて溺れてしまうよりはマシです。一方、海外(特にアメリカ)では「会社の外」は地面であり、歩いて行って他の会社のドアを叩けば良いという感じではないでしょうか。

テレワークの常態化が進み、船に乗っている感覚をあまり感じることができなくても、やはり日本の会社は船です。新入社員の皆さんはそのことを忘れないでください。また、職場の上司や経営者の皆さんも、新入社員に安心するようにそのことを何度も口に出して伝えてください。それは会社の規模に関わらず大事なことです。中小企業であっても、経営者の皆さんは「安心」を伝えるようにしましょう。

今は個室に閉じ込められているような感じでも、やがて船を共にする仲間と同じ場所で働ける日が必ず来ます。

だから今は、大船に乗ったつもりで働いてください!

※1 https://toyokeizai.net/articles/-/431703

※2 https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000177553_00003.html

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第1,026話 雰囲気は直接に「空気」を共有してこそ感じられる

2021年06月02日 | 研修

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研修やコンサルティングを担当させていただくと、様々な企業にその後も継続的にお邪魔する機会をいただくことになります。そうして訪問を重ねていくと、それぞれの企業が持つ独自の雰囲気や風土、文化、習慣といった「目には見えない空気のようなもの」を徐々に感じられるようになっていくことがあります。

 こうした中で、時々担当者から「うちの会社の雰囲気を一言で表現するとどうなりますか?」と質問されることがあります。一言でとなると「明るい雰囲気」、「元気よく挨拶をしてくれる人が多くて、風通しが良さそうな雰囲気」、「朴訥な人が多い」、「まじめで寡黙な人が多いけれど、芯が強い雰囲気」、「周囲の反応を気にせず発言する人が多くて自由な感じ」などと表現することができると思います。しかし実際には一言で表すことはなかなか難しい場合がほとんどというのが正直なところです。

 この「雰囲気」は、企業の内部にいる人にとっては意外と感じにくいものなのではないかと思います。外部から見る場合には相対的に別の会社と比較することができるため、内部にいるよりもかえって特徴をつかみやすいのではないかと考えています。

 そして、これらの「雰囲気」は昨日今日で完成したものではなく、企業がその歴史を重ねる中で少しずつ醸成され形作られてきたものです。逆に言えば一朝一夕でできたものではないゆえに、長所でも短所であっても簡単には変えることができないものであるとも考えています。

 さて、2022年採用予定の大学新卒採用については今後面接が本格化していきます。既に内定を得ている人が6割近くいるとのことです。その中の半数ほどはオンラインで面接を受けたために、一度も企業の担当者と直接会うことなく内定を得ているそうです。

 コロナ禍において、オンラインでの面接は非常にメリットが大きいですが、学生の方からは「社員の方々の雰囲気がわからないため不安に感じる」という声も上がっているようです。

 これに対して、企業の側もただ手をこまねいているわけではなく、何とか学生に会社の雰囲気をわかってもらおうとライブ配信を行ったり、社内を巡回して撮影した動画を紹介した

 りするなどの工夫はしていているとのことです。もちろん、これらの工夫によってある程度は企業の雰囲気をつかめるとは思います。一方で雰囲気は直接に「空気」を共有してこそ感じられるものでもあります。オンラインでは伝わりきれない部分が当然あるはずです。

 来年就職した際に、自分がイメージしていた会社の雰囲気ではなく、「こんなはずではなかった」というようなミスマッチがないようにと願わずにはいられません。

コロナ禍が収束するまでは致し方ないこととは言え、企業の側もすべてをオンラインで済ますのではなく、せめて最終面接のときには企業に足を運べるような、雰囲気を直接感じることができる機会をぜひ設けていただきたいと思っています。

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