中小企業のための「社員が辞めない」会社作り

社員99人以下の会社の人材育成に役立つ情報を発信しています。

第960話 育てる、教えるという関係は一方通行ではない

2020年09月30日 | 研修

「すべての社員がイキイキ働くようになる」仕組みと研修を提供する人材育成社です。

先日、弊社が担当させていただいたある公開セミナーでの出来事です。

午前中の時間がそろそろ終了しようかというタイミングで、私は受講者に「この課題について、どなたか発表してくださる方はいらっしゃいますか?」と声をかけました。

そのセミナーの受講者は40代が中心だったのですが、30名の受講者の中で、それに対して手を挙げてくれたのは1人の女性でした。彼女は立ちあがり、持参した資料を他の受講者に示しながら、自身の考えを丁寧に説明してくれました。他の受講者は、当初は挙手をした彼女にそれほどの関心を示していなかったのです。しかし、いざ彼女が説明を始めると、その説得力のある説明にくぎ付けになり、最後には会場一同が「すばらしい!」という感嘆の声を挙げていました。

彼女は説明の中で入社2年目であること、先輩からアドバイスをもらって仕事の進め方をいろいろ改善したことなどを紹介してくれました。

40代が中心の中で、入社2年目の彼女が大勢の前で発表するのはかなり勇気が要ることだったのではないかと思いました。彼女の姿勢がとても真摯だったこともあり、聞いている他の受講者もいつの間にか頷きながら前のめりで話を聴いていたのが印象的でした。

このときの様子を見ていて感じたのは、「育てる、教えるということは、決して一方通行で行われるものではない」ということです。通常、私たちは部下や後輩を指導する際には「育てたり、教えたりする側」が、「育てられる、教えられる側」を一方的に指導するというように考えがちです。

しかし、その行為は必ずしも一方通行で行われるものではなく、その逆も起こりえるものなのです。「育てたり、教えたり」する側が、同時に「育てられたり、教えられたり、気づかされたりする」ことがあるということであり、「育てたり、教えたり」という行為は、実は「双方向の関係」であるということです。

このような関係性は職場の中だけで起こることではなく、どのような場所や間柄であっても起こりえることだと思います。親子の間柄であってもそうですし、また実際に私が研修やセミナーを担当する中でも、同様のことが頻繁に起こっているのを目にしています。

受講者の反応を見たり発言や感想を聞く中で、私自身に新たな気づきがあったり、新たな視点が持てたりということが実際にあるのです。

このように考えると、上司や先輩の皆さんは日々部下や後輩を「育てる、教える」ことは大変だと考えられている方も少なくないことと思います。しかし、それは決して一方的なものではなく、自身も同時に「育てられる機会でもある」ことを再認識していただく必要があると考えています。

そしてそのように考えると、部下や後輩の育成も大変なだけでなく、楽しいことでもあるのだと感じられるのではないでしょうか。

どうか、上司や先輩の皆さん、自分も育てられている、一緒に育っているのだと思い、楽しく積極的に部下や後輩に話しかけてみてはいかがでしょうか。

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第959話 経営者は今こそ「言葉」を磨きましょう

2020年09月27日 | 研修

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五感とは人間が持つ5つの感覚機能である視覚、聴覚、触覚、味覚、嗅覚のことです。私たちは見る、聞く、触る、味わう、嗅ぐ、ことで世界を理解します。他者とのコミュニケーションにおいても、五感は意識せずともフルに使われています。

このブログで過去に何度も登場した「メラビアンの法則」においても、対人コミュニケーションは「言葉という作られた記号」よりも視覚や聴覚に頼るところが大きいと主張しています。たしかに話し相手から言葉と裏腹な表情を見せられたら、ほとんどの人は表情の方を信じます。

昨今のコロナ禍は、コミュニケーションにおける視覚の役割を大きく阻害しています。顔を覆うマスクやパソコンのモニター越しの会話がそうした状況を生み出しています。それは、最も大きなインパクト与える視覚の力に頼ることができないということを意味しています。

リアルの場で話すときに、上司が部下に「マスクを取りなさい」とはなかなか言えません。オンラインで会議のときに「ビデオ(画像)は常にオンにしておけ」と命令すると、なんとなく話づらくなってしまうかもしれません。

「オンラインでは表情や態度のみならず口調や声の調子も伝わりにくい」という現実を受け入れるしかありません。

そのことをしっかりと理解し「言葉」を十分に使ってコミュニケーションの「量」を増やし、「質」を回復することが必要です。・・・とはいえ、それはわかってはいてもなかなか難しいものです。特に経営者は、部下に対する「言葉」の使い方があまり上手くない方が多いようです。

しかしご心配なく。そこはトレーニングで補うことができます。当社も経営者、管理者の方々に対する「オンライン・コミュニケーション・トレーニング(略してOCT)」を始めています(10月、Octoberは強化月間ですので、ご希望の方はご一報ください)。

コロナ禍の今、あらためて自分の口から発せられる「言葉」を見つめ直し、良好なコミュニケーションを築いていきましょう。

さて、五感についてつい先日とあるウェビナーを視聴していて大変役に立つお話を伺いました。

オンライン会議では途中に休憩を入れて、参加者全員で同じスイーツを食べるのが良いとのことでした。たしかに、コンビニ・スイーツなら全員が同じものを入手可能でしょう。全員で同じスイーツを見て、手で触って、においを嗅いで、味わい、「美味しい」と声に出して言う。五感をフルに使うコミュニケーションができそうです。

オンライン会議では是非「もぐもぐタイム」を試してみてください。

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第958話 在宅勤務時の部下へのフィードバックはどうするのか

2020年09月23日 | 仕事

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「書類を提出しても何の反応もありません。せめて『受け取った』という連絡くらいはほしいのですが・・・」

これは先日、弊社が担当させていただいたある企業の中堅社員研修の際に、受講者のMさんをはじめとして数人から聞いた話です。この企業では、現在週に3日間の在宅勤務を取り入れているとのことですが、在宅勤務の開始直後から日報をはじめ、様々な資料の提出を求められるようになったとのことです。

Mさんは続けて、「せっかく時間をかけて作った書類なのに、受信しましたという連絡すらないのです。そもそもちゃんと届いたのか、きちんと見てもらえているのか、そして書類の内容は良かったのか、それとも改善点があるのか等、何もわからないので不安になります。上司から何らかの反応がほしいというのが、正直な気持ちです」と話していました。

弊社では、この企業で中堅社員研修以外に監督者研修も担当させていただいているのですが、その際に先の受講者の声を紹介したところ、監督者の実に4人が部下から提出された書類に対して、特にフィードバックをしていないということを正直に話してくれました。

過去にこのブログでも何度か取り上げていますが、フィードバックとは「事実を伝えることであり、行動のプロセスや成果についての情報を提供する」ことです。

たとえば、部下ができなかったことができるようになったり、改善した際にはそのことをきちんと伝えほめることもそうです。また、部下が達成したい目標に対して現況を伝えたり、部下が周囲にどのような影響を与えているのかを伝えたりすることも、フィードバックなのです。

監督者に「部下から送られてきたものに反応されていないのはなぜですか?」と聞いたところ、「10数人の部下から届いたものに対して、1回ごとに反応するのが大変だと感じています。対面であれば、ささっとその場でコメントしていたのですが、コメントを文章にするのは結構骨が折れます。それでつい先延ばしにしてしまっていました」とのことでした。

実はこれと同様の話は、この企業以外でも悩みの一つとして最近顕在化されてきているようです。提出する側の部下も、それを確認する側の上司の方も、今までであれば言葉だけで済んでいたことを、その都度文章化しなければならないため、その分のエネルギーがかかってしまうということです。

こうして在宅勤務による手間が増えた分、確かに要領良く行っていかないと、下手をすると本来業務に支障が出てきてしまうということにもなりかねません。

では、どうすれば良いのでしょうか。

お勧めしたいのが、まず受信確認の連絡に関してはあらかじめ決まったフォーマットを作っておき、それを使うようにする。具体的なフィードバックについては、オンライン会議や対面時に必ず行うようにするなど、ある程度ルール化して行うことです。このように、ある意味で機械的に行うようにしてしまうことで手間が省けるだけでなく、お互いに機会を逸することなくコミュニケーションをとるようになるのです。

言うまでもなく、部下にも上司にもコミュニケーションを密にして情報を共有していくことは、ビジネスにおいて欠くことのできない最重要事項です。在宅勤務が進められている今だからこそ、それが滞ることのないように双方があまり負担に感じることなく取り組める方法を、あなたの職場でも話し合って作ってみてはいかがでしょうか。

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第957話 ワーケーションから考える会社のリスク

2020年09月20日 | 研修

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ワーケーションとは、ワーク(労働)とバケーション(休暇)を組み合わせた造語です。都会を離れ、リゾート地に滞在してテレワークを活用しながら働いたり、休暇をとったりして過ごします。「3密」を避け、しっかり仕事をしたら遊びを楽しむという、まさに政府が推奨する「新しい日常」にぴったりの働き方です。

今年は「新型コロナウイルス感染症」と「働き方改革」という歴史的なインパクトに見舞われた年です。政府はこうした事態を踏まえて、国土交通省(観光庁)が「休暇の分散、ワーケーションの推進に向けた取り組み」を、環境省が「国立・国定公園、温泉地でのワーケーションの推進」という資料を作成しました。

いわばワーケーションは国の「お墨付き」となったわけです。

もちろん、バラ色の話ばかりではありません。マイナス面もあります。まずテレワークに十分対応できていない状態で、いきなりリゾート地で仕事を100%こなすというのは無理でしょう。しかも、有給休暇が取りにくい(と言われている)我が国では「仕事と遊びをごちゃ混ぜにしている」というイメージがどうしてもぬぐえません。

では、日本でワーケーションが定着することはないのでしょうか。

私は定着すると考えています。ただし、二分化した形で。

「新しい日常」は大きく2つに分かれていくと思います。1つはワーケーションのような分散型、もう1つは大規模集中型の働き方です。

テレワークは多少の前進、後退を繰り返しながら徐々に定着していくでしょう。今は「やむを得ず」、でも「だんだん慣れてきて」、そのうち「これでも良いんじゃないか」となる企業が必ず一定の割合を占めると思います。

一方で、やはり社員が一か所に集まって、面と向かって仕事をしないと効率が悪いという企業も少なからずあります。そうした企業は都会を離れて安全、安心な環境を保つことができる場所に大規模な集中型オフィスを持つことになるでしょう。パソナが淡路島に本社機能を移した例がそれにあたると思います。

どちらのタイプも、今は称賛よりも批判が多いようです。それぞれ一長一短、メリットもデメリットもあります。

しかし、毎日満員電車に乗って都心の狭いオフィスに集まって仕事を続けているのが「現状」だとしたら、それがいちばんリスクが大きいといえます。なぜなら、新型コロナ禍のような事態はこの先も必ず起こりますし、大地震のリスクも低下することはないでしょう。

経営者ならワーケーションにしても会社の移転にしても、あるいは今の状態を維持するにしても、近い将来のリスクについて真剣に考えておく必要があります。

会社にとって最大のリスクは、経営者がリスクから目をそらすことです。

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 有給は取りにくい、まとまった休みも取りにくい。そのうえ、リモートワークの定着さえままならないのが日本企業の実情だ。ましてや旅先でのテレワークはハードルが高すぎる。


第956話 オンライン会議の回数が多くて、長い

2020年09月16日 | 仕事

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「何でもかんでもオンライン会議をやりましょうと言われることが多くて、困っています」

これは、先日ある企業に勤める知り合いのA氏から聞いた言葉です。A氏の会社では、緊急事態宣言の解除後も週に2~3日は在宅勤務が続いているとのことですが、在宅勤務になってからもオンラインでの会議を頻繁に行っているとのことです。

A氏の話を具体的に聞いてみると、話し合う必要性を検討することもせずに、何でもかんでも即「オンライン会議をやろう」ということになってしまうのだそうです。

A氏は続けて「在宅勤務になってはじめの頃は、まだオンライン会議に慣れていなかったため、そんなに頻繁に会議をすることはなかったのです。しかし、その後皆がオンラインの使い方にも慣れて6月ころからは少々安易に会議をすることになってしまっています。まるで、子どもが新しいおもちゃを使いこなせるようになったことが嬉しくて、使いたくて仕方がないというような感じがします」とのことでした。

私自身もこの数ヶ月、様々なオンライン会議に出席しましたが、確かにリアル(対面)の会議のときと比べると、たとえば会議室の予約などの手間が必要ないため、開催するための敷居が下がっているように感じます。

また、リアルの会議であれば、予定時間を過ぎると次に予約している人が会議室を訪れたりすることがあり、その時点で会議を終了せざるを得ないときがあります。しかしオンラインではそのような制約はないため、会議時間が予定時刻を過ぎてしまうこともままあるように感じています。

日本の企業においては、オンライン会議が普及する前から会議の多さや、時間が長引いたりすることが問題になっていました。新聞の報道(朝日新聞2019年4月21日)によると、1万人規模の企業では年間に67万時間、15億円も無駄な会議に使っているとの記事がありました。オンラインになってもA氏の会社だけでなく、実は多くの企業でも同様の問題が起きているのかもしれません。

コロナ禍の影響により、オンラインによる会議が日本の企業に一気に普及して、はや半年になろうとしています。この間、メリットともに様々な課題もはっきり見えてきたのではないでしょうか。まさに、今こそがオンライン会議を効率的に進めるためのルールを考えるちょうど良いタイミングだと感じます。

オンライン会議で何を行うのか、報告なのか、意思決定なのか、その会議には誰が出席すべきなのか、時間はどの程度なのか、などなど考えてみる必要がありそうです。何も生み出さない会議は、製造業で言えば何も生産していないのと同じことです。

これを機に、自分の企業でのオンライン会議はどうか、あらためて見直してみませんか。

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第955話 研修を止めることは「植物の水やりを止めること」

2020年09月13日 | 研修

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当社は先週、ある会社の2日間にわたるオンライン研修を担当いたしました。対象は監督職昇格者の方々です。監督者は、実務の責任者としてメンバーの力を引き出し、チームに課せられた目標を達成することを求められています。したがって、この研修は会社の「エンジン」とも言うべき人たちのスキルを上げる非常に重要な役割を担っています。

コロナ禍の現在、残念ながら研修を「不要不急」と考えて実施を見送る企業も少なくありません。国語辞典によれば「不要は不必要、無くてもよいこと、またそのさまを表す語で、不急は差し迫っていないこと、またそのさまを表す語」とあります。

つまり、会社にとって研修および人材育成は「無くてもよい」あるいは「差し迫ってはいない」と考えている経営者が少なからずいるということです。

確かに、研修を行わなかったら明日から売上が激減するとか、せっかく採用した若手社員が辞めてしまうといったことは起こらないでしょう。しかし、今、研修を行わなければ来期、来年さらに将来、より大きなダメージが生じることになります。

それはちょうど、育てている植物に水を与えないのと同じことです。水やりを忘れたからといって、瞬時に枯れてしまうことはありません。それでも何日か過ぎてから水を与えても手遅れになることがあります。

研修は会社という大きな植物に水や肥料を与えること、すなわち育てることです。「不要」でもなければ「不急」でもありません。会社にとって重要かつすぐに行うべきことです。

冒頭の監督者研修を実施した企業は、十分にそのことを理解されていました。昨年度に決定していた研修実施日を変えず、集合研修からオンライン研修に切り替えたのです。

私は「中止か延期をお考えにはなりませんでしたか?」と担当部署の方にお聞きすると、不思議そうな顔をして「いいえ。当たり前ですが、人材育成を遅らせたり中止にしたりするなど絶対にあり得ません。」とお答えになりました。

「では、研修自体の内容や効果はオンラインになって変化しましたか?」とお聞きすると、「いいえ。集合型研修とまったく変わりませんでした。」とのこと。

もちろん、オンライン化に伴う運営方法の変化については、いろいろご苦労があったと思います。それでも、最も大事な「研修の目的」が達成できたことに安堵を覚えていらっしゃいました。

経営者のみなさん、「3密」の研修が無理ならオンライン研修に切り替えましょう。

将来会社が枯れてしまわないよう、今すぐに。

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第954話 講師だけがノリノリのオンライン研修になってはいけない

2020年09月09日 | 研修

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「対面型研修では考えられないくらいに、質問が多いですね。まるでラジオのディスクジョッキーになったような気持にさえなってきます。対面型よりもオンラインの方がずっと良いですね」

これは、先日私が受講したオンラインでの公開型セミナーの際の講師の発言です。

7月15日のこのブログでも取り上げたように、対面型研修と比べるとオンライン研修の方が感想を述べたり、質問をしたりする人が多いのです。ご存じの通り、対面型研修では他の受講者の目の前で挙手をして質問をしなければなりませんが、オンライン研修ではチャット機能を使用すれば、こっそりと質問することが可能だということが大きな理由だと考えられます。

冒頭のオンラインでのセミナーでは他の受講者の顔は見えず、さらに質問や感想はすべて非公開で投稿することがルールになっていました。そのため各受講者がどのよう表情で受講しているのか、また、どのような感想や質問をアップしているのが確認できない状況でした。

したがって、画面に見えているのはスライドと講師の顔だけでしたが、どうやら受講者から寄せられる感想や質問が想定していたよりも多かったらしく、どんどん気持ちが乗ってきたようでした。

そして「オンラインの方が対面型よりも良い。コロナ禍が過ぎてもオンラインにすべて変更した方がよいと感じてきた」と何度も繰り返していました。

ところが、受講者である私は講師の盛り上がりに反して、何だか置いてきぼりにされているような気持になり、セミナー自体にどんどん冷めていってしまったのです。

前述のように、私には他の受講者の様子がわかりませんので、もしかしたら他の受講者は講師と同様なテンションになっている人もいたのかもしれませんが、それを確認するすべはありませんでした。しかし、同じような気持ちになった人もいたのではないかと思います。

もちろん、講師だけが盛り上がってしまい受講者がそれについていけないというようなことは対面型研修であってもありうるわけです。しかしオンラインで視覚の情報が限定されている状態では、それがより顕著になってしまうことが懸念されるわけです。

コロナ禍の中、半ば強制的に導入されたオンライン研修ですがメリットも多いことから、今後コロナ禍が収束したとしても一定の割合で導入され続けるだろうと推測されます。

しかし、言うまでもなく研修の主役は受講者であり、講師だけが盛り上がって受講者が置いてきぼりにされてしまうような事態は避けなければなりません。

冒頭のセミナーの講師の様子を見ながら、同じ研修に携わる者として、あらためて自戒の念とともに強く認識した次第です。

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第953話 今こそ経営者は学ぶべき

2020年09月06日 | 仕事

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コロナ関連の倒産が徐々に目立ってきました。やはり「飲食、旅館、雑貨小売り」など、対面で行う商売への打撃が大きくなっています(詳しくは日経や帝国データバンク等が報じています)。

さて、今回のコロナ禍のような経済構造の根底を揺るがすような大きな厄災は、中小企業を直撃します。悲観的になり過ぎてはいけないと思いますが、逆に「このピンチをチャンスに変えよう!」とばかりにポジティブ宣言をしまくる評論家や似非コンサルタントの言動はもっと問題です。

環境の大きな変化に対して生き残る施策は2つあります。1つは思い切った縮小策です。出費をとことん切り詰め、低利で借りられる融資で食いつなぎ、経済環境が徐々に改善するのを待つ戦略です。言うまでもなく、これが一番正しいやり方です。

約6,500万年前に隕石の衝突で地球環境が激変した時に、環境に適応し過ぎて巨大化していた恐竜は絶滅し、小さくてエネルギー消費の少ない哺乳類はなんとか生き残りました。ちょっと大げさなようですが、ビジネスにも通じる教訓になっていると思います。

もうひとつの方法は変身策です。今までのビジネスをすべて中止して、まったく新しい仕事に切り替えることです。飲食店を止めてソフトウェアの開発を行う、旅館を廃業して物流倉庫にするなど、これから可能性のありそうな業態に変化する戦略です。言うまでもなく非常にリスキーですが、実際に新しいビジネスに挑戦しようとしている中小企業もあります。

どのような戦略を選択するにしても、トップである経営者の意思決定が全てです。だからこそ今、経営者は学ぶべきです。

「いやいや、こんな状況で学ぶ余裕なんてない」と思われた方は生き残れないでしょう。他者の失敗や、自分が経験したことがないことを学んでヒントを得る、そしてすぐに実践してみる。生き残るにはそれしかありません。

私たちは古代生物とは違って知識を利用することができる、それはとても有難いことだと思いませんか。

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第952話 新入社員に帰属意識を持たせるには

2020年09月02日 | 研修

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「今春の新入社員を一言で表現するとしたら、どのようになるのでしょうか?」

これは先日、ある企業の人事部門の研修担当者との打ち合わせの際に聞いた言葉です。日本生産性本部では、2017年まで毎年その年ごとの新入社員の特徴とタイプを公表していました。

現在では行っていないようですが、仮に今年の新入社員を一言で表現するならば、「在宅勤務型」や「オンライン型」というようになるのかもしれません。

今年の新入社員は入社後数日で緊急事態宣言が発令されたことにより、新入社員研修が半ばで中止になり、そのまま在宅勤務になったという人も少なくないことでしょう。

あれから半年近くが経過しますが、ここ数ヶ月で新入社員へのフォロー研修を検討する企業が増えてきているようです。現に弊社でも、新入社員のフォロー研修の依頼をいただくことがだんだんと増えてきています。

新入社員フォロー研修ではお互いの近況を伝え合う時間を設けているのですが、それらを聞いていて感じるのは、今年は多くの新入社員が共通して会社への帰属意識を持てていないということです。

帰属意識とは、組織の一員として会社に所属していると感じる気持ちです。帰属意識はもちろんすぐに芽生えるようなものではなく、時間をかけて醸成されていくものだと思います。しかし、新入社員からは「この会社(A社)に入ったと認識できるような瞬間が全然ない。これでは同業他社のB社でもよかったのではないか。いつかA社に入ったんだと思えるときがくるのだろうか?」というような言葉を聞くことが多いのです。

確かに新入社員研修が途中で中断されたことにより、今年の新入社員は会社の理念をじっくり聞いたり、各部署の役割を紹介されたり、今後の中長期のキャリアをイメージするような場を持つことができなったわけです。

企業によっては、オンラインで新入社員研修を継続したところもあるとは思いますが、いずれにしろ現在も在宅勤務が中心となれば、愛社精神どころかA社に入社したという実感すらなかなか持てないのも無理のないことだと思います。

では、このように帰属意識が持てないまま仕事を続けると、今後どういうことが起きてしまうのでしょうか?帰属意識が持てないと、会社の中での自分の立ち位置をはっきりと認識しづらく、その結果入社した意義も感じられにくいのではないでしょうか。

そうなると仕事へのモチベーションも上がらず、当然会社への貢献意欲もなかなか湧いてきません。そして、先の展望が見えないまま目の前の「作業」だけをこなす状態が続くと、モチベーションも下がってしまい、やがては早期退職につながってしまう恐れすらあると思います。

それでは、今後一体どうすればよいのでしょうか。

当然、新入社員フォロー研修を行うのも有効な手段ですが、それだけではなく上司や先輩とのつながり、他部署とのつながり、そして何より同期のつながりが大切です。ぜひ人事部門にはつながりを持てるオフィシャルな場を積極的に設けていただきたいと思います。

そして、このような場は一回だけでは不十分であり、継続的に設けていくことが大切です。今年の新入社員が帰属意識をもつことができるようになるためにも、ぜひここはじっくり取り組んでいただきたいと思います。

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