中小企業のための「社員が辞めない」会社作り

社員99人以下の会社の人材育成に役立つ情報を発信しています。

第1,184話 研修中に顧客から入ったトラブルは誰が対応するのか

2023年09月27日 | 研修

「社員がイキイキ働くようになる」仕組みと研修を提供する人材育成社です。

「すみません。トラブル対応しなければならないので、ちょっと失礼します」

先日、弊社が担当させていただいた、ある企業の中堅社員を対象にした研修の最中に、受講者のAさんがトラブル対応のために、このように私に声をかけて度々席を外していました。

その研修は2日間のプログラムでしたが、1日目の午前中に顧客からクレームの連絡が入り、その後Aさんは研修時だけでなく、夜に行われた懇親会の時間まで、たびたび対応に追われることになってしまったのでした。

それでは、Aさんはどのようなトラブルに対応しなければならなかったのでしょうか?Aさんおよび研修のご担当者から話を聞いたところ、今回のトラブルはこちら側に非があるというより、顧客の勘違いと考えられることが原因により生じたものであったため対応が難しく、Aさんは上司への報告や相談に加え、関係各位へも連絡や相談をしなければならなくなったのだそうです。

私がAさんには会うのは、2か月前に続き今回で2回目でしたが、Aさんの研修への取組み姿勢は非常に前向きであり、熱心な姿勢だと感じていました。そのようなAさんがトラブル対応をせざるを得ず、その結果何度も席を外して対応しなければならないことで、結果的に研修に集中することができなかったことは、本人もとても残念だったのではないかと感じました。そして同時に思ったのは、階層別研修を受講する機会は数年に一回程度と限られたものであるため、万が一トラブルが生じた際の対応は研修受講者本人ではなく別の人がすることができないものなのだろうかということです。

これについては、様々な考え方があると思いますし、必ずしも正解があるものでもないと思います。しかし、これまで私が様々な企業の研修を担当させていただいてきてあらためて思うのは、研修は仕事の一環として行われるものであり、多くの場合、階層別研修は年度初めには実施されることが決定しています。そうであるならば、受講者が集中して研修に取り組むことができるように、上司は周囲のメンバーとともに受講者の仕事のフォローができるように体制を整えておくことが大切なのではないかということです。

そして、このことは何も研修に限った話ではありません。現在、企業などでは社員に一定以上の有給休暇を取得させることが義務付けられていますし、男性の育休の取得にも目標が掲げられるなど、社員が仕事を離れることはたくさんあるわけです。そのようなときに、何らかのトラブルが発生した場合に主担当である人が全て対応をしなければならないとなると、おちおち有給休暇や育児休暇をとることができなくなってしまいかねませんし、研修にも参加しづらくなってしまいます。

もちろん、組織によっては主担当と副担当をあらかじめ決めてあり、主担当が対応できないときには副担当が対応するということになっています。しかし、私の経験から考えても実際には大半の組織ではそれぞれが自分の仕事で手一杯で、他者が担当している仕事の状況を詳しく把握できているというケースはあまりないようです。ある程度の余裕をもった社員配置ができるのであれば、こうした問題は生じないと思いますが、そこまでの余裕があるところは多くないというのが実際のところではないでしょうか。

そうした中で社員が安心して休暇を取得できるようにしていくためには、まずは主担当がいないときに周囲がどのように対応するかについて改めて確認し、メンバーそれぞれがきちんと認識しておくことからはじめることが必要なのではないかと考えています。そうすれば少なくともいざ事が起こった時にも慌てず、全ての対応を不在の人間がしなければならなくなるような事態を少しでも避けることができるのではないかと考えています。

皆さんの組織では、そのような体制は整っていますか?

お問い合わせ【株式会社人材育成社】 

人材育成のホームページ


第1,183話 精神のリソースを使用しすぎると、自我消耗する

2023年09月20日 | キャリア

「社員がイキイキ働くようになる」仕組みと研修を提供する人材育成社です。

私たちは仕事や作業を丁寧に行ったつもりであっても、ある一定の割合でミスをしてしまうことがあります。その理由は、集中力の低下であったり疲労であるなどいろいろありますが、一番の理由として「自我消耗」を起こしてしまっていることが考えられます。

自我消耗(Ego depletion)とは、認知バイアスの一つであり「精神のリソースは有限であり、使用しすぎるとスタミナ切れを起こしてしまう」というものです。要するに、「何かについ夢中になっていたりすると、他のことに気がまわらなくなる」という脳の癖のようなものと言えそうです。

先日、東大薬学部の池谷裕二教授がTBSの番組「情報7days」の中で、この自我消耗のことを話題にしていました。旅行サイトの詐欺が増加しているとの紹介があったのですが、旅行の予約サイトに実際に予約するという行為は非日常のことであるため、それに頭が一杯になっていて、ちょっとしたことを見落としてしまうことが原因で、詐欺に引っかかってしまうようなことがあるのだそうです。

教授によれば、セルフコントロールをしたり意志を働かせたりするような力は使用すると徐々に減っていってしまい、その力は段々と弱くなっていってしまうとのことです。そのため、自我消耗に陥りやすいのは午前よりも午後が多く、さらには午後の方が疲労がたまってきているため、冷静に対応しにくいのだそうです。

そのように考えると、仕事のみならず娯楽であったとしても、休憩も取らずに無我夢中でやり続けてしまうとスタミナ切れを起こしてしまい、判断を誤ってしまったりミスを連発してしまったりするなど、マイナスな状態を引き起こしてしまう可能性が高いということが分かります。特に初めての経験をする場合などでは、非日常の行為に臨むことから普段以上の注意を心がける結果、自我消耗もより激しくなると考えられます。

それでは自我消耗に陥らないようにするためには、どうすればよいのでしょうか。それには様々な考え方があるかと思いますが、まずは精神のリソースを温存するためにしっかりと睡眠時間を確保すること、そして1日の中で定期的に休憩を取って積極的にリフレッシュすることです。また、特に初めての経験をする際には事前に十分な余裕をもって準備をし、取り組むことが必要だと考えます。

しかしながら私は最も大切なことは、私たちの精神的リソースには限界があり、使用しすぎるとスタミナ切れを起こしてしまうということをきちんと認識して、それを踏まえて物事に臨むという心構えを常に持っておくということではないかと思っているのです。

最近、ミスをしたり判断を誤ってしまうことが増えたと感じている人は、まずは自身の精神的なリソースの量を想像し、もしかして自分は自我消耗を起こしてしまっていないだろうかと気にしてみることから始めてみてはいかがでしょうか。

お問い合わせ【株式会社人材育成社】 

人材育成のホームページ


第1,182話「百聞は一見に如かず」に続く言葉

2023年09月13日 | 研修

「社員がイキイキ働くようになる」仕組みと研修を提供する人材育成社です。

今年9月1日は関東大震災が発生して100年ということで、テレビをはじめ多くの特集などを目にした方も多かったと思います。また、南海トラフ地震や首都直下地震についても、今後30年以内に60~70%の確率で発生すると言われるようになって久しいです。

多くの人が今後経験せざるを得ないのではないかと考えられるような非常に高い確率ですが、一方でそのための防災対策をしている人の割合は低く、僅か4割弱とのことです。内閣府の調査によると、家具や冷蔵庫を固定していない人の理由は「面倒くさいから」(26%)であり、また「転倒しても危険ではないと思うから」(14%)、「お金がかかるから」(12%)といった回答も多くあげられています。

これらの数字からは、災害による被害を防ぐための手間や費用をかけることを惜しむ傾向が見て取れます。リスクが非常に高いにもかかわらず、リスク管理をしている人は少ないわけですが、その根底には自分に限ってそのような危険な目には遭わないと思う心理が潜んでいることが推測されるとのことです。

このことからも、どんなに大切な情報を提供しても、それを受け取った一人一人が自分事として実際に行動に移してもらうことは難しく、改めてハードルの高さを感じざるを得ません。 

実は、このことは私が日々担当させていただいている企業研修においても同様のことが言えるのです。研修の中で、講義で提供した話や演習を通して練習していただいたことは、実務で活用してこそはじめて意味があるわけですが、実行に移す人がいる一方で行動に全く移さない人が一定の割合でいることも事実です。

「百聞は一見に如かず」という言葉があります。「人の話を何度も耳で聞くよりも、現実に自分の目で見て確かめる方が、はるかによく理解できる」という意味ですが、つまりは「聞いただけでわかった気にならず、実際に自分の足で現地に出向き自分の目で見て確かめることが大切である」ということです。ところで、皆さんはこの言葉に続きがあることをご存知でしょうか。「百聞は一見に如かず」に「百見は一考に如かず」 、「百考は一行に如かず」、そして「百行は一果に如かず」と続きます。

それぞれ、「聞くだけでなく実際に見てみないとわからない」、「見るだけでなく考えないと意味がない」、さらに「考えるだけでなく行動に移さなければいけない」、「行動したら成果を出さなければならない」という意味です。思い描いた成果を出すためには、よく聞いて、事実を見て、自分の頭で考えて、実行してみなければよい成果にはつながらないということであり、聞いただけでやったつもりになることなく、能動的に行動することが大切だということを示しているのではないでしょうか。

誰でも日々目の前の忙しさに追われてしまい、研修で学んだ内容をいつか時間ができたらやろうと考えながら、ついつい先延ばしにしてしまうようなことが少なからずあるかと思います。しかし、研修の成果を期待するのであれば、まずは一歩を踏み出してみる、実際に行動に移してみることが大切なのです。先述の防災の話と同様に「あのときにやっておけばよかった」と後悔しないためにも、先延ばしにすることなく取り組むことが大切だと考えています。

お問い合わせ【株式会社人材育成社】 

人材育成のホームページ


第1,181話 若くして管理職になった人の年上部下への言葉遣い

2023年09月06日 | キャリア

「社員がイキイキ働くようになる」仕組みと研修を提供する人材育成社です。

近年、年功序列からの脱却や若手社員の意欲の向上、そして組織の活性化などを目的に、20代を管理職に登用する企業の報道を目にすることが増えています。

諸外国と比べ、管理職を希望する人の割合が相対的に低い日本の組織にとって、若手を早い段階で管理職にすることによって、若手自身のモチベーションを上げることができたり、組織の活性化につながったりするのであれば、さまざまなプラスの効果が期待できるという意味で、良い制度なのではないかと思います。

私自身、過去に20代後半と思われる若手の上司と、40代半ばくらいの部下の組み合わせの方々と打ち合わせをした経験がありますし、20代で管理職になった人が、はるかに年上と見受けられる部下と打ち合わせをしているところをテレビで見たこともあります。いずれのケースでも、若くして管理職になった人がその責務を担うために、一生懸命に取り組もうとしている様子が伝わってきました。

年下の上司と年上の部下という組み合わせ自体は今に始まったことではありませんので、珍しいものではないのですが、最近の大きく年齢ギャップのある年下管理職と年上部下の組み合わせを見ていると、気なることがあります。それは、若手管理職による年上の部下に対しての言葉遣いなのです。具体的には、年下管理職が、「○○はその後どうなっているの?」、「△さんは、そういうことはとても得意だよね~」など、まるで友達と話しているときのように、とても「フレンドリー」な言葉遣いをしているのです。

年下管理職からそのような言葉遣いをされている当の年上の部下自身に違和感がないのであれば、特段の問題はないとも言えます。しかし、私は年下管理職のこうした馴れ馴れしい言葉遣いには、上から目線の物言いのようなものも感じられて、どうしても違和感を覚えてしまうのです。

では、こうした点を踏まえて、今後年下管理職はどのように年上部下に接していけばよいのでしょうか?私は最低限のビジネスマナーとして、まずは日常の会話の中で「です」、「ます」の丁寧語を使うことをお勧めしたいと思います。もちろん注意や指示をする必要があるときには、たとえ相手が年上であっても上司として言うべきことをきちんと言わなければなりません。しかしその場合であっても、言葉遣いは丁寧語を用いることが重要だと考えています。年長者として人生の先輩、組織においては自分よりも経験が長い先輩として貴ぶべき存在として年上の部下に一定の敬意を持って接するということが、年下の人間として地位にかかわらず心がけるべきものであり、チームのまとめ役である管理職の役割としても重要なことなのではないでしょうか。

若くして管理職になるということは、その能力が認められて評価されたことの裏付けであり、素晴らしいことです。だからこそ、決しておごることなく、あせらず地道に管理職としての職務を担っていただき、さらなる成長を遂げてやがては組織を担うような存在になっていただきたいと思っています。

お問い合わせ【株式会社人材育成社】 

人材育成のホームページ