中小企業のための「社員が辞めない」会社作り

社員99人以下の会社の人材育成に役立つ情報を発信しています。

第1,018話 自分の感情の責任者は自分

2021年04月28日 | 研修

「すべての社員がイキイキ働くようになる」仕組みと研修を提供する人材育成社です。

弊社がセミナーや研修を担当させていただくと、終了後に受講者から個別の相談を受けることがあります。相談内容で最も多いのは上司や同僚に関する悩みで、具体的には上司や同僚と仕事の進め方の違いに関するものが多いと感じています。話を詳しく聞いてみると、「指示の仕方が不明瞭な結果、行き違いが生じてしまう」、「重箱の隅をつつくような細かいことを言われる」などが多く見受けられます。悩みの内容自体は、特にパワーハラスメントに該当するものではないと考えられますので、人事担当に相談したり外部機関に相談したりする必要性はないものと思います。

しかし、当人にとっては大きな問題であり、相手が横にいると何か言われるのではないかと落ち着かなかったり、嫌な気持ちになってしまったり、その人に対してマイナスの感情を持ってしまったりと相当なストレスを感じているようです。

さらに深刻な例では、目の前に相手がいない休みの日であっても言われたことが頭から離れなくて、気持ちが沈んでしまうという人もいました。そして、真剣に悩んでいる人ほど「自分にとって決して望ましいとは言えない相手と、どうすればうまくコミュニケーションがとれるのか」という質問をされることが多いのです。

それでは、こうした悩みを抱えている人は、どのようにすればそれを解決することができるのでしょうか?これに関して私がコメントしていることは、2点あります。

まず、「『コミュニケーションをとる』とは、どういう状態をさしていますか?」と確認しています。この質問に「仕事以外の話をしたり、冗談を言い合ったりできるようになる」というように返答する人がいますが、このような状況下で果たしてそのようなコミュニケーションは必要なのでしょうか?残念ながら一緒に仕事をすることになった人とどうしても合わないという場合には、無理に仕事以外の話をしなくてもよいのではないでしょうか。仕事をうまく進めるためにどのようにすればよいか相手に確認するなど、仕事に問題が生じることがないように最低限のやりとりをすればよいのだと割り切ることです。そして無理をしてまで関係を作ろうと悩む必要はないとあえて考えるのも一つの手ではないでしょうか。

もう1点は、「感情を引きずるのは自分の責任だ」と考えることです。ときどき、自分にとって好ましくないことが起きてしまうと、気持ち全体がネガティブな感情で占領されてしまう人がいます。相手が正しいか正しくないか、自分は正しいか正しくないかということのみに翻弄されてしまうと埒が明かくなってしまいます。そのためそう言う気持ちから離れることが必要です。

「悲観主義は気分によるもの 楽観主義は意思によるもの」とはフランスの哲学者アランの言葉です。アランは幸福論の中で、「人間は気分に左右される生き物だ。気分がよければ何でも良く見えるし、悪ければ何でも悪く見えてくる。その日の気分で見える世界がガラッと変わることもある」ということを言っています。要するに、自分の感情の責任者は自分ということです。

たとえ、周囲に自分にとって好ましくない存在の人がいたとしても、マイナス感情を長引かせることのないように、自分の意思で楽観的な気持ちになるようにすることが大切だということです。

 コロナ禍の現在、私自身も以前とは全く異なる日々が続いていますが、改めて「悲観主義は気分によるもの 楽観主義は意思によるもの」を自分自身の指針としていきたいと思います。

※本ブログはゴールデンウィーク中はお休みし、5月9日から再開いたします。

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第1,017話 経営者は「3K」を学べ:(1)会計

2021年04月25日 | 研修

「すべての社員がイキイキ働くようになる」仕組みと研修を提供する人材育成社です。

「3K」と言えば「きつい・汚い・危険」の略で、主に肉体労働を指した用語と言われています。しかし、現代の経営者が学ぶべき3つのKは「会計(かいK)、統計(とうK)、経済(Kざい)」です。なぜ学ばなければいけないのか、3回にわたってお話しします。今回はその(1)会計です。

「会計なんて知ってるよ。毎月の売上と粗利はちゃんと見てるし、コスト削減は徹底的にやっている」中小企業の経営者の多くはそう答えます。たしかに損益計算書(P/L)はきっちり見ている方が多いことは確かです。今月の売上金額はどうだったかた、仕入価格の変動はどうだったか、取引先からの入金は大丈夫か・・・そういったことは経営者ならまず100%押さえているはずです。

では、貸借対照表(B/S)はいかがでしょう。「ああ、決算の時に作るあれね」くらいではありませんか? 言うまでもなく貸借対照表(B/S)は左側に「資産」、右側の上に「負債」、その下に「純資産」の部があります。もしも毎月B/Sを作っていて、それを見て自社の「財政状態」を把握されているとしたらとても素晴らしいことです。

日々の取引で商品が売れたり、給与を払ったりすれば「その都度」会社の数字は上下します。リアルタイムに変動する売上や利益を把握しておきたいので日次(毎日)でP/Lを見ることができるようにしている会社もあります。しかし、P/Lは「仮定法」の世界の数字だということをおわかりでしょうか。くだいて言えば「たられば」の数字です。

たとえば、1千万円の売上があったとします。原価は800万円だったとすれが粗利は200万円です。もちろん、売れたらその場でお客さんが1千万円をあなたの会社の銀行口座に振り込んでくれるならば何も問題はありません。しかし、そんなことはまずありません。1千万円は「売掛金」つまり「ツケ」です。ツケは振込まれるまでは「たられば」です。確率は低いかもしれませんが、お客さんが倒産してしまったら消えてなくなります。

B/Sには「現金・預金(今現在の現金と口座の残高)」が資産の部の一番上にあります。その下に売掛金の残高が記載されています。つまり現実と「たられば」がはっきりとわかる形で示されているのです。負債の部を見れば「借入金(借金)」の残高や「買掛金(ツケで買った分の残高)」があり、これから出ていくお金の額もわかります。

純資産の部では資本金が目立ちますが、「利益剰余金」のように会社がため込んだ利益(内部留保とも言います)が記載されています。あなた会社の内部留保はどれくらいありますか?

このようにB/Sには会社の「現時点」での財政状態が一覧になっているのです。決算の時に「ちらっ」と見るだけではもったいないではありませんか? 経理部長に頼んで、少なくとも月次で貸借対照表(B/S)を作ってもらってはいかがでしょう。経理担当者が「プロ」ならば必ず作成してくれます。

さて、貸借対照表(B/S)以外にもキャッシュフロー計算(C/S)があります。P/L、B/S 、C/Sを合わせて財務3表と言います。財務3表についてはまた別の機会にお話ししたいと思いますが、とりあえずB/S(バランス・シート)は積極的に見るようにしてください。

B/Sを見ればあなたの会社の「健康状態」が一目でわかります。

※ちなみに上記画像は商用のストック画像ですが、間違っています。どこがどう違うか、調べてみてください。

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第1,016話 部下が思い通りに動かないと悩んでいる上司へ

2021年04月21日 | コンサルティング

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「社員に会社の理念やビジョンがなかなか浸透しない」、「部下に部や課の方針を何度説明しても、行動に結びつかない」、「指示をしてもイメージした通りに動いてくれない」

これは経営者や管理職の方々とお打ち合わせをする際に、「定期的」と言っていいほどにお聞きする言葉です。とはいえ、これらは私が人材育成の仕事に就いた30年ほど前から継続して聞いていますので、上司から部下に対しての普遍的な悩みの一つだと感じています。

このような話を聞くたびに思い出すのは、「大阪城の火事」の話です。出典はわかりませんが、例えとしてよく使われる話で、皆さんはお聞きになったことはありますでしょうか?

戦国時代の武将、豊臣秀吉が冬の強風の夜に家老を集めて「今夜は風が強いから火事に気を付けるように」と指示をしたそうです。それを聞いた家老は自ら行動することなく、そっくりそのまま奉行に対して同様の指示をしたのです。そうしたところ奉行もまた自身では何もせずに、足軽に同様の指示をだしたのです。結局、誰も具体的に動くことがないまま、その夜に大きな火事が起きてしまったという逸話です。

この逸話からは様々な教訓が得られそうですが、大きく分けて3つのことが考えられます。 

1つ目は、それぞれの役割を明確にする必要性です。この例で言えば、秀吉からはじめに指示を受けた家老が奉行へ指示を出す際に、ただ「火事に気を付けろ」で済ますのではなく、「見張りの人数を増やせ」、「今夜は自宅には帰るな。城につめていろ」、「水をたくさん用意しておけ」、「見回りの回数を増やせ」などの具体的な指示をすれば火事を防げたかもしれません。足軽に対する奉行にしても同じことです。

2つ目としては、誰もが主体的な動きをしなかったということです。家老も奉行も上司の言葉をそっくりそのまま部下へ伝言をしているだけだったのです。自分では何もせず伝書鳩のように伝えるだけでは、所詮は他人事の対応にすぎないとも言えます。誰もが他責(他人の責任)や受け身の姿勢でなく、能動的・主体的に動けば火事は防げたかもしれません。

3つ目としては報告・連絡・相談が徹底できていなかったということです。各々の立場で指示した後に、上司に対してきちんと報告をする体制ができていれば、(この場合は指示が足りないので)上司が再確認をして火事は防げたかもしれないのです。

経営者や上司の皆さん、冒頭の例のように「社員や部下が思うように動かない」などと考えられているようであれば、何らかの動かない原因があるはずですので、それを探る必要があります。まずは「大阪城の火事」の教訓を参考に、ぜひ一度自分の「指示」をチェックしてみてください。

指示は具体的にしているか、自分や部下が主体的に動くようにしているか、事後の報連相を徹底させているかなどの観点から問題がないかをチェックすることです。そして必要であれば自分の指示の仕方や表現の仕方を変更するなど、積極的に取り組んでみていただきたいと思います。(冒頭の写真はWikipediaより)

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第1,015話 OJTでやってはいけない3つのパターン

2021年04月18日 | 研修

「すべての社員がイキイキ働くようになる」仕組みと研修を提供する人材育成社です。

このブログでは度々OJTについて書いています。今回もOJTに関する話です。そして、同じ話を繰り返します。OJTは「先輩が後輩に仕事のやり方を教えること」といった単純な行為ではありません。OJTとは、仕事に必要な知識・技術・技能・態度などを合目的・計画的・継続的そして組織的に指導し、修得させることで社員を育成する活動です。それを未だにわかっていない人が多いことに愕然とします。そこで、今回は実際に当社が見聞した「ダメパターン」を多少アレンジして「新人と先輩の掛け合い」のかたちお見せします。

ダメパターン1:「余計なことは知らなくていい」
新人「先輩、いま教えていただいた加工作業の後、この製品は仕上げの工程に運ばれますよね。そこではどういう作業をするんですか?」
先輩「目の前にある仕事もロクにできないうちは、そんな余計なことは知らなくていいんだよ!」
(なぜダメか)
新人が後工程や前工程に興味を持つのは、会社の製品について強い関心を持っているからです。新人にとって大切な知識とは、目先のことだけではありません。それは長い目で見れば製品の品質を維持することにつながります。この先輩の発言は、将来、製品の品質低下をもたらす可能性があります。

ダメパターン2:「えーと、とりあえず」
新人「先輩、次は何をやればいいですか?」
先輩「えーと、とりあえずこれをやっといて。」
新人「それは先週やりましたけど。」
先輩「あ、そう。じゃ、このマニュアルを読んでおいて。」
新人「は、はい。でもこの内容は難し過ぎてわかりませんけど。」
先輩「え?どれどれ・・・あ、間違えた。こっちの方だった。」
(なぜダメか)
OJTには「目的」があります。それは、新人の知識とスキルを「OJT期間内に、このレベルまで到達させる」という明確なゴールが示されているものでなければなりません。それがないと、この先輩のようのに「とりあえず適当に教えとけばいい」という態度になります。これでは、時間の無駄というだけではなく、新人に不信感を与えることになります。

ダメパターン3:「OJT担当じゃないから」
新人「課長、今日はOJT担当の先輩がお休みなので、代わりに私の作った書類をチェックしていただけますか?」
課長「えー!俺、今忙しいんだよ。」
新人「昨日先輩から課長に見てもらえって言われたんです。」
課長「新人の教育はOJT担当の仕事なんだよ。だから明日、先輩に聞いてくれよ。」
新人「わかりました。お忙しいところ、すみませんでした。」
(なぜダメか)
OJTは「OJT担当者専任」の仕事でありません。職場のメンバーや上司どころか他部署の人間も含めて「全社員」がOJT担当です。なぜなら、会社は単なる人の集まりではなく「チーム」だからです。忙しくて教える暇がないなら他の人に頼んでください。頼まれた人は、極力受けるようにしてください。頼まれたあなたがたとえ社長だとしても。

上記以外にも様々なバリエーションがありますが、まずはこの3つの「ダメパターン」を徹底的に排除するようにしてください。それができなければ、会社の製品やサービスの品質が低下し、社員同士がお互いを信頼できなくなり、最終的には会社の存続さえ危ぶまれることになります。決して大げさなことではありません。

今こそ新人のOJTを「利用」して、会社をより良く変えていこうではありませんか。

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第1,014話 新入社員の素顔を知るためには

2021年04月14日 | コンサルティング

「すべての社員がイキイキ働くようになる」仕組みと研修を提供する人材育成社です。

多くの企業では新入社員(以下新人)の研修を終え、今週からそれぞれの職場へ配属しているタイミングだと思います。毎年、新人の配属後数週間~数か月が経過すると、OJTを担う先輩社員や上司から様々な声が聞こえてくるようになります。

たとえば「新人に仕事を教え始めたが、指示したことが伝わらない。その結果、とんでもないことになった」、また、「2人の新人が配属されたが、1人は優秀だと感じるが、もう1人は全く話が通じない」などです。いわゆる「打てば響く」人がいる一方で大器晩成型の人もいます。短期間でレッテルを貼ってしまうようなことはしないでいただきたいと思うのですが、このような話を聞くと現場で苦労されている様子が伝わってきます。

また、コロナ禍の今、新人が配属されてもすぐにテレワークとなってしまい、仕事の指示もオンラインで行うことも多いです。そのため一人一人がどういうタイプなのかを見極めるのも難しいことでしょう。

これに関して、先日以前コンサルティングを担当させていただいていた企業のA社長から、参考になる素敵な話を伺いました。

A社長の会社は社員数が200名強の規模ですが、社員数は毎年少しずつ増えていて5年前からは定期的に新人を採用しています。新人教育はOJTが中心なのですが、特筆すべきはA社長自ら新人を対象に1週間に1回、勉強会を実施しているとのことです。そしてその時間は、仕事上のスキルや知識を伝えるのではなく、ともに論語(孔子)や韓非子、荘子、老子などの書物を読み解くことにあてていて、少しずつ読み進めていらっしゃるのだそうです。

そうした時間を新人と共にすると、仕事ではすぐには表れない一人一人の素顔が見えてくるのだそうです。たとえば、1人ずつ順番で音読したときに、読めない字に行き当たることがあります。そうすると、読み方を質問する人がいたり、一生懸命考えたりする人がいる一方で、読めないことをごまかしたり、適当にすっ飛ばして読んだりする人もいるのだそうです。

そういう時間を毎週重ねていると、各々がどういう人なのか、何を大切にしているのかなどの本質的なところが見えてくるとのお話でした。

これを聞いて感じたのが、仕事を教える側からすると、目の前の仕事をミスなく効率よく進めることのみに重きをおいて新人を評価しがちです。しかしそれだけで判断するのはやはり早急だということです。

今後社員として一緒に仕事をしていく上では、仕事を少し離れた一人一人の人間としての本質的な部分を知ることはとても大切です。それを知るためにはこの会社のように仕事にはすぐに直接つながらなくても、このような時間を共有することが大切だということです。

昨年の春に入社した新人からは、入社直後に緊急事態宣言が発令されて即テレワークになってしまい、この1年間で出社した日数は一月にも満たないという話を少なからず聞くことがあります。また、現在もコロナ禍が続いていることから、会社によっては今年も同じような状況になるケースが少なくないと思いますが、オンラインでのやりとりのみでは、仕事上の要件のみに終始してしまいがちです。

ぜひ、経営者や上司、先輩社員の皆さんには新人の人となりを理解するためにも、先に紹介したA社長のような仕事から少し離れてやり取りを行う機会を設けるように心がけていただきたいと思います。

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第1,013話 あなたの得意技はなんですか?

2021年04月11日 | 研修

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4月の第2週になると、集合研修を終えた新入社員が職場にやって来る会社も多いと思います。さて、あなたの(仕事における)得意技は何ですか?いえ、新人に聞いているのではなく、先輩社員であるあなたに聞いているのです。もちろん上司と言われる方々も含めてです。

最近の新人はとても勉強熱心です。何よりも「成長したい」という意欲が大変強い。それは、外部の講師として新人研修を担当する私たち自身が強く感じているところです。どんな仕事も言われたことはしっかりやり遂げる、そこから「学び」が始まります。分からないことは質問し、自分なりに考え、それでもわからなくなったらまた質問をする。この繰り返しを通じて仕事のスキルを上げていくのです。

「近頃の新入社員は消極的だし、大人しい。コミュニケーション能力が低いんじゃないのか?」などといった言葉を「職場の先輩」にあたる人から聞くことがあります。いやいや、当社の知る限り、積極的でコミュニケーション能力は十分に高い新人が多いです。では、なぜこのようなズレがあるのでしょうか。

先ほどの「職場の先輩」の方々には言いにくいのですが・・・聞いても得るものがないから新人たちは質問してこないのです。成長意欲が強いということは、仕事に必要な知識や技を一刻も早く、効率的に身に付けたいわけです。「残念な先輩」に付き合っている暇はないのです。これはクールとかドライということではなく、彼等彼女等の一途な真面目さなのです。

そこで当初の質問に戻ります。あなたの(仕事における)得意技は何ですか?それを普段の仕事で積極的に使っていますか?(手抜きをしていませんか?)新人はまだ未熟なので、仕事における「技」がよく見えていません。あなたに得意技があるなら、とりあえずこの3か月くらいは、それをちょっと目立つように見せてあげてください。きっと食いついてきますよ。

「仕事の得意技ってなんのこと?」と思われた皆さん、もしあなたが入社3年目以上ならな「残念な先輩」に分類されることを覚悟した方が良いでしょう。

さて、あなたの得意技はなんですか?

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第1,012話 「了解しました」はどうしてビジネスでは不適切なのか

2021年04月07日 | 研修

「すべての社員がイキイキ働くようになる」仕組みと研修を提供する人材育成社です。

弊社が新入社員研修を担当させていただく際に、受講者から受けることの多い質問の一つとして「なぜ「了解しました」という言い方ではいけないのですか?」があります。

一般的に、上司やお客様などの目上の人から指示や命令また依頼を受けたときは、「承

知しました」、「畏(かしこ)まりました」という表現が適切であり、「了解しました」はビジネスでは使わないようにという説明をされることが多いです。

それでは、なぜビジネスにおいて「了解しました」は不適切なのでしょうか?皆さんが新入社員をはじめ部下からこのような質問を受けたら、どのように答えますか?

私自身もこれまで「承知しました、畏まりましたと比べると了解しましたはカジュアルな言葉であるから」、「了解しましたは、軍事用語であるから」などと説明をしてきましたが、同時にこのような説明では今一つ説得力に欠けるようにも感じていました。事実、今年も質問をした受講者の表情を見ても、今一つ納得していないように見受けられることも少なくありませんでした。

そこで、この度改めて調べてみたところ、言語資源活用ワークショップ発表論文集(高橋圭子, 東泉裕子, 佐藤万里 2018)に行き当たりました。そこには、「了解しました」については「失礼にあたるとする意見がある一方、失礼な言い方ではないとする意見もある」とされていました。

調査ではマナー本において319冊の書籍で「了解」に関する記述を確認しているようですが、「了解は失礼」説には以下のような理由があげられています。

  1. 相手への尊敬の意がない、丁寧さが不足など敬語として不適切だから:22 冊
  2. 上から目線の言葉だから:12 冊
  3. 理解し承認するという意味だから:7 冊
  4. 軍隊・警察のイメージ:3 冊
  5. 事務的だから:3 冊
  6. 簡略で軽い感じだから:3 冊
  7. カジュアル・くだけた表現だから:2 冊
  8. メール語だから:2 冊

「了解しました」を不適切とする理由はこのように様々ですが、実は「了解は失礼」説が多くなってきたのは2011年以降だそうで、意外にも最近のことなのですね。

「了解しました」に限ったことではありませんが、言葉はこのように時代の流れに応じて変化していくものです。変化する言葉について、研修の受講者をはじめ他者にどのように的確に伝えるのか、これは簡単なようで難しい部分もあります。

年度替わりの今、新しく社会人になる人はもちろんのこと、他者と新しくコミュニケーションを取る機会が増えるタイミングです。他者とのコミュニケーションにあたっては、まず自分自身がそれらの言葉に向き合い、きちんと納得した上で伝えるようにすることが大切であるということを改めて感じているところです。

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第1,011話 合理性を捨て、口に出して言ってみよう

2021年04月04日 | 研修

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「不況またよし。不況は改善、発展への好機である。 景気の悪い年はものを考えさせられる年。だから、心の革新が行われ、将来の発展の基礎になる。(松下幸之助)」 この言葉は大変有名なので、ほとんどの方がご存知かと思います。まさに今は「コロナ不況」とでも言える経済の一大停滞期です。

一般的に景気の波というのは人々のマインド(気持ち)から生じるものです。バブル期に土地への投機が加熱したのも、バブルが弾けて失業者が増加したのも、結局は社会を構成している人々のマインドが強気になったり弱気になったりすることが原因です。

ところが、今の状況が一般的な意味での「不況」とは異なる点がひとつあります。それは感染症という「外的要因」の存在です。波が上下にうねっているところを、強い力で押さえつけられているような状態です。それが景気の波を作る人々のマインドに影を落としています。

松下幸之助の言葉は、いずれは好景気がやってることを前提としているように思えます。不況のときは改善を行って将来に備えておけば、(人々のマインドが変わって)景気が良くなった時に発展できる、という考え方です。

では、今のように景気の波が「押さえつけられた」状態でも同じことが言えるのでしょうか。

私は今こそ経営者が「不況またよし。不況は改善、発展への好機である。」と言い切ってしまうことが必要だと思います。言霊(ことだま)とまでは言いませんが、口に出した言葉は多少なりと行動に影響を与えます。モノやサービスが売れなくなったときこそ「考え、革新する」ときです。

先が見えない状態で将来に備えるのは大変です。合理的に考えれば、余裕がない時に革新など無理だと思う経営者もいるでしょう。しかし、人間は必ずしも合理的に動くものではありません。それは学者が理論的に説明する以前に、人間である経営者自身が一番よく分かっていることではないでしょうか。

コロナで「押さえつけられた」波のどん底にあっても「不況またよし。」です。

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