中小企業のための「社員が辞めない」会社作り

社員99人以下の会社の人材育成に役立つ情報を発信しています。

第819話 撤退も優れた戦略

2019年06月30日 | コンサルティング

「99人以下の中小企業の社員が辞めずにイキイキ働くようになる」を実現する人材育成社です。

中小企業の経営者には豪快なタイプ、大人しいタイプ、明るいタイプ、根暗なタイプなど様々な方がいらっしゃいます。多種多様でとても一括りにはできないように見えます。

しかしほとんどのタイプに共通するものがあります。それは「自分がお山の大将であるという自我をお持ちだということです。

考えてみれば組織のトップはすべて「お山の大将」です。そうでなければトップは務まらないでしょう。

そして「お山の大将」にとって一番苦手なことが「撤退」です。

仮に、あなたが心血を注いできた画期的な製品の完成まであと一歩というときに、競合他社が同じような製品を先に発売してしまったとします。

あなたはどうしますか?

もし本当に勝ち目が無いとおもったら、すぐさま撤退するべきです。間違っても「一矢報いよう」などと思ってはいけません。何事もなかったかのようにそれまでに費やしたコストをすぐに「損失」として処理しましょう。

お山の頂上にいるからこそ、そうした果敢な決断できるのです。

「高い授業料だった」などと思う必要はありません。そんな暇があったら競合他社の新製品を買ってきて分解して徹底的に調べまくりましょう。「ははあ、なるほど!」とか「ここはうちの方が良いな!」とか、皆で話し合ってください。

それでこそ次のチャンスが見えてきます。

もちろんこれは「製品」に限ったことではありません。「商品」や「サービス」だって同じことです。

「最も優れた将軍は撤退が上手い将軍である」

・・・あなたはどう思いますか?

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第818話 パワハラの予防・解決には、部下にもパワハラの知識を

2019年06月26日 | 仕事

「99人以下の中小企業の社員が辞めずにイキイキ働くようになる」を実現する人材育成社です。

最近では、新聞やテレビなどでパワーハラスメント(以下パワハラ)に関する話題が取り上げられない日はないのではないかと思えるくらい、パワハラの問題がクローズアップされています。(このブログでもこれまでに何度もパワハラについて言及しています。)

それにともない、官民問わず様々な組織でパワハラの予防・解決に向けた様々な取り組みが行われています。

実際に、弊社でも昨年からパワハラに関する研修を担当させていただく機会がうなぎのぼりに増えています。

この研修の対象者は圧倒的に管理職が多いのですが、弊社では管理職以外に部下となる社員・職員も一緒に受講していただくことをお勧めしています。

その理由は、「パワハラに対する知識は、管理職だけが持てば良いからではない」からです。

ここで、改めてパワハラの定義を確認してみましょう。厚生労働省では、次のように定義しています。

「同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係などの職場内の優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与える又は職場環境を悪化させる行為」

この定義では、「職場内の優位性を背景に・・・」とありますが、多くの場合優位にあるのは管理職の方ですから、一般的にはパワハラは圧倒的に上司側から部下に対して行われてしまうことが多いのです。

とはいえ、中には下位者から上位者へ対してパワハラが行われてしまうこともあります。弊社が過去に相談を受けた事例では、異動してきた上司が気に入らないとのことで、部下が結託して上司に嫌がらせを行い、上司を心の病に追い込んでしまったという話もあります。

このようにパワハラは管理職、部下の双方の側で行われてしまう可能性があります。問題なのは管理職にも部下にも「パワハラであるかどうかの判断は、受けた側ができる」と間違った解釈をしてしまっている人がいることです。

厚生省では「パワーハラスメントの6類型」を次のように示しています。

(1)身体的な攻撃

(2)精神的な攻撃

(3)人間関係からの切り離し 

(4)過大な要求 

(5)過小な要求 

(6)個の侵害 私的なことに過度に立ち入ること

実際に、冒頭の例のような誤解を放置してしまったある企業で、上司が仕事のやる気が少々落ちていると思われる部下に「頑張れよ!」と穏やかな口調で肩をポンとたたいたことに対して、部下がそれをパワハラととらえ「パワハラを受けたので、退職します」と人事部に駆け込んだという話も聞きました。

この例は言うまでもなく、パワハラとは明らかに異なります。しかし、同時にパワハラと指導との線引きの判断に悩んでいる、部下にパワハラと受け取られてしまうことを必要以上に恐れて、本来必要な指導を控えてしまう管理職の話も本当によく聞きます。

しかし、弊社が行う管理職を対象にしたパワーハラスメント防止研修のなかで受講者から受ける質問の99%は、「それのいったいどこがパワハラなのか?どう考えても指導ではないのか」と言わざるを得ないようなものばかりです。つまり、管理職と部下双方がパワハラの正しい知識や線引きの事例などをきちんと理解していないが故に、特に管理職の側で不必要にパワハラを恐れてしまっている人が多いということです。

こうしたことを防ぎ、必要な指導がきちんとなされるためにも、双方がパワハラに関する正しい認識を持ち、共有することはとても重要なことです。

パワハラは絶対に許されない、してはいけない行為です。しかし、それを恐れるあまり、するべきことをしない管理職が少なからずいるという問題も、同じように放置してはならない大きな問題だと考えています。

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第817話 中小企業こそドラッカーを学ぼう

2019年06月23日 | コンサルティング

 「99人以下の中小企業の社員が辞めずにイキイキ働くようになる」を実現する人材育成社です。

最近は渋沢栄一の「論語と算盤」がよく話題になっています。当社も商工会議所のセミナーなどで取り上げたり、企業研修でもサブテキストとして使ったりしています。

経営者ではなくても、D・カーネギーの「人を動かす」、フランク・ベトガーの「私はどうして販売外交に成功したか」はマネージャークラスになったら読むべき良書だと思います。

さて、ビジネス書の中でも最も根強い人気を誇るのが「ドラッカー」ではないでしょうか。もしドラ(もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら)※をご存知の方も多いでしょう。

ドラッカーの読書会、勉強会はたくさんあります。そこでは、経営者に限らずいろいろな立場の人たちが定期的に集まって議論を重ねたり、研究したことを発表したりしています。

中小企業の経営者の皆さんには、こうした集まりに参加しドラッカーの経営哲学を学ぶことをお勧めします。

ひとつ注意する点があるとすれば、訓詁学(くんこがく)の匂いのする勉強会は避けることです。

訓詁学とは中国の「漢」代以前の古書を研究する学問ですが、 一般には「文章解釈の枝葉にこだわって全体像をかえりみない空虚な学問」という意味で使われます。

「ドラッカーはこう言っている」、「XXにはこういうことが書いてある」・・・こうした言葉しか聞けないような「古典好きの読書会」に参加するのは時間の無駄です。

世の中には「ドラッカーの本は難しい」という人は多いのですが、「教養としての」ドラッカーを求め過ぎないようにしましょう。

「砂漠では、教養など何の役にも立たない。生きる技術を持っているかどうかが生き残れるかどうかを分ける。厳しいビジネスの世界も同じである。」ドラッカーはこう言っています(笑)。

とってもわかりやすいですね。経営者同士が語り合う「ネタ」として大いにドラッカーを活用してください。

※岩崎夏海(著)、2009年、ダイヤモンド社

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No.816 キャリアアップとは転職することではない

2019年06月19日 | キャリア

「99人以下の中小企業の社員が辞めずにイキイキ働くようになる」を実現する人材育成社です。 

「46.9%」、これは、この春に入社した新入社員のうち「今の会社に何年働くと思うか」との質問に対して、「10年位まで」と答えた人の割合です。

また、今の会社で長く働きたくと思わない理由としては「キャリアアップしたい」が29.7%であり、「ライフステージに合わせて働き方を変えたい」の44.4%に次いで多かったとのことです。(マイナビによる調査結果)

実際、弊社が新入社員や新入社員フォロー研修、また若手社員を対象にした研修を担当させていただくと、この調査結果のように受講者の「キャリアアップしたい」という言葉をよく耳にします。

こうした話を聴くたびに、「キャリアアップをするとは、具体的にどういう状態になることを想定しているのだろう?」と思っていましたので、実際に何度かそのように質問したことがあります。

そうすると、大体は「転職して様々なスキルを身に着けること」、「専門性を身に着けること」、「今の給料よりも高い給料をもらえる会社に移ること」、「権限を与えられるような仕事に就くこと」などの答えが返ってきます。

しかし、これらは本当に「キャリアップ」することなのでしょうか。

「キャリアアップ」という言葉にはいろいろな定義がなされているようですが、私は主に「業務遂行能力を向上させることによって経歴を高めること。また、それによって高い地位や高給職に就くこと」だと考えています。

ですから、仕事そのものは変わらなくても、その質を上げること自体はキャリアアップの一つだと考えています。仮に雇用形態が正社員からフリーランスになったとしても、その結果として仕事の質やレベルを上げたり、自身がやりたい仕事ができたりするのであれば、それはキャリアアップと言えます。

このようなことから、私は「キャリアップ=転職」ではないと考えています。

一つの組織の中で業務遂行能力を高めること。また、それによって専門性を高めることもキャリアップです。そのため、入社間もない新人社員が「キャリアップは転職すること」だと考えて、短期間で退職するということになってしまうとしたら、それは本人のみならず採用している企業にとっても非常に大きな損失になってしまいます。

そのようなことにならないためにも、経営者の皆さんにお伝えしたいことは、「転職されてしまったらどうしよう」と心配するのではなく、近年の若手の志向の特性を踏まえ、社内で着実にキャリアップできる仕組みを整えていただきたいということです。

具体的には、若手社員が今の仕事で経験を積み重ねることによって、今後どのようなスキルアップが可能なのかを具体的に示すことが、まず必要です。

その前提としては、規模が小さい中小企業であっても定期的なジョブローテーションや異動の仕組みを整えること。また、人事評価制度を明らかにし、評価結果を的確に本人にフィードバックすることなどの仕組みを構築することが必要になります。

もちろん、これらの仕組みを構築することは一度にできることではないと思います。

しかし、社長が「今後、時間はかかってもキャリアップのための仕組みを作っていく」ということを声に出して社員に伝えること、まずは、そこから行っていただきたいと考えています。

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No.815 経営者が知っておくべき会計

2019年06月16日 | 仕事

「99人以下の中小企業の社員が辞めずにイキイキ働くようになる」を実現する人材育成社です。 

中小企業の社長さんの中には、会社の数字に弱いことを隠さない人が意外に多くいます。「営業一筋できたからね」、「技術的な計算は得意なんだが」、「経理がしっかりしているから大丈夫」・・・そうおっしゃいます。しかし、話を聞いているうちに「経理なんて数字を計算してるだけだろう?社長はそんなみみっちことを気にしている暇なんてないよ」といった、ちょっと見下したような本音が透けてきます。

ある社長さんはこう言いました。「決算数字なんて結果だろ?通知表が悪かったら次の年に頑張る、それだけだよ」・・・確かに非常に前向きではあります。

しかし、来年は今年の延長線上にはありません。学校の勉強のようにレールが敷かれているわけではないからです。

社長さんが言うところの「経理の数字」というのは、ほぼ決算書の損益計算書のことを指しているようです。しかし、会計は決算書だけではありません。管理会計という経営に直結するものもあります。

管理会計は、未来に向かって意思決定をするために必要な情報を提供します。新しく販路を開拓するにはどれくらいコストがかかるのか、新製品の原価はいくらくらいで何個売れば黒字になるのか、投資先が複数あるときはどちらを選ぶべきか、等々。

会社の経営が航海だとすれば、管理会計は羅針盤のような働きをします。管理会計を知らずして経営することは羅針盤なしで荒海を進むようなものです。

当社では随時「経営者のための管理会計セミナー」を開いています。

一度真剣に管理会計を学んでみませんか。

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No.814 研修は即効薬なのか

2019年06月12日 | 研修

「99人以下の中小企業の社員が辞めずにイキイキ働くようになる」実現する人材育成社です。 

「解決策を教えてもらえると思っていたので、正直ちょっと残念でした」

弊社ではこれまで規模の大小を問わず、様々な研修を担当させていただいているのですが、特に問題発見・課題解決研修の場合、終了後の受講者アンケートでこうした感想をいただくことがあります。

また、昨今では中小企業の経営者とお話をする際に、「厳しい競争環境の中で、早く社員を育てる即効薬はないか」と聞かれることも多々あります。

冒頭の感想はどんな研修にもついて回る可能性はありますが、研修講師としては受講者から「せっかく研修を受けたのにこちらの期待に添えていなかった」との感想をいただくと、率直に申し訳ないとの気持ちになります。

しかし、現実問題として日々様々な職場でビジネスパーソンが直面している問題課題は千差万別です。当然、そのすべてに解決策を示すことは困難です。

研修の中でそうした問題・課題を類型化して、ケーススタディの事例として解決策を示して、それを参考にしていただくことはできます。しかし、当然それですべてのケースを網羅できるものではありません。

ここで、冒頭の感想および中小企業の経営者の質問に対する答えとして、特に人材育成に係る研修の場合、今ある問題への答えを示すことも大事です。しかし、それ以上に大切なのは問題を発見し、課題を解決する力を身に着けていただくことです。研修はそのきっかけとなるものである、弊社ではそこに重点を置いています。

もちろん、直面している問題・課題についてはきちんと対応し解決することが大事です。先ずはそれを乗り越えなければなければならないのは当然です。

しかし同時に、問題の本質を捉えることなく、いつまでたっても対処療法的に目先の対応を繰り返していては、解決力が身につきません。その結果、絶えず問題の対処に追われるという事態が続いてしまうことが危惧されます。

その意味でタイトルの例で言えば、研修は必ずしも即効薬(もちろんそのケースもあります)にはなりにくいです。しかし、たとえば基礎となる体力をつけて病気になりにくくする、病気になっても早く快復できるようになることが目的であり、そのためのきっかけとするものです。

今後、人材不足をはじめ経営環境がますます厳しくなることが予想される中で、研修に社員を派遣することは一見遠回りのように思えるかもしれません。

しかし、生産性を向上させ業績のアップにつなげるためにも、研修を通じて個々の社員の「基礎体力」を向上させ、それによって職場の、最終的には会社全体の業績の向上をめざすというステップは欠かせないものであると考えています。

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No.813 「変なパワハラ理論」が会社をつぶす!

2019年06月09日 | コンサルティング

「99人以下の中小企業の社員が辞めずにイキイキ働くようになる」を実現する人材育成社です。 

「部下がパワハラだと思ったら、それはパワハラになります。管理職の皆さん、気をつけましょう!」ある研修講師がこう言ったそうです。私はこの「珍解釈」に思わず吹き出してしまいました。

なぜなら「パワハラであるかどうかの判断は受けた側ができる」ということになってしまうからです。

ここで、厚生労働省のホームページから「パワーハラスメントの6類型」について引用してみましょう。

(1)身体的な攻撃
暴行・傷害
(2)精神的な攻撃
脅迫・名誉毀損・侮辱・ひどい暴言
(3)人間関係からの切り離し
隔離・仲間外し・無視
(4)過大な要求
業務上明らかに不要なことや遂行不可能なことの強制、仕事の妨害
(5)過小な要求
業務上の合理性なく、能力や経験とかけ離れた程度の低い仕事を命じることや仕事を与えないこと
(6)個の侵害
私的なことに過度に立ち入ること

さて、「部下がパワハラだと思ったら、それはパワハラになります」理論?から言えば、次のようになることもあり得ます。

(1)工場などで部下が危険な場所に立ち入ろうとしたので、後ろから背中を軽くたたいて「危ないから入っちゃだめだよ!」と声をかけた。
→部下「いま、背中をたたきましたね!暴行だ!パワハラだ!」

(2)部下と一緒に客先に営業に行った際、お客様に大変失礼な言葉を使ったので、後で「失礼だぞ!お客様にあんな言葉を使うなよ!」と言った。
→部下「なんですって!?ひどい暴言だ!名誉棄損だ!パワハラだ!」

(3)昨日、部下を何人か連れて飲みに行ったら、そのときたまたまいなかった部下が翌日こう言ってきた。
→部下「昨日、私が帰ったのを見計らってみんなと飲みにいきましたね!仲間外し、人間関係からの切り離しだ!パワハラだ!」

(4)入社5年目にもなったので、成長してほしいと思ってちょっと難しい仕事を任せてみた。
→部下「なぜ遂行不可能な仕事を強制するんですか!パワハラだ!」

(5)(4)があったので、仕方なく簡単な仕事を頼んだ。
→部下「能力や経験とかけ離れた程度の低い仕事を命じましたね!パワハラだ!」

(6)正月は故郷(くに)へ帰るの?と聞いた。
→部下「私的なことに過度に立ち入ってます!パワハラだ!」

いや、いや、笑い事ではありません。理屈から言えばそうなります。

「そんな変な部下なんて、うちの会社にはいないよ」と思ったあなた、人の心の中は見えませんよ。一見まともな部下でも何かの拍子に恨みでも買ったら、あるいは完全に部下の方が誤解をしていたとしても、「今の言動、パワハラ扱いにしてやろう!」と思えばできてしまうことになります。

「その行為がパワハラであるかどうかの判断は受けた側ができる」などという戯言(たわごと)を本気で信じている管理職は、実はあまり多くはいません。まともな大人はそこまで無能ではないからです。

ただし、その戯言を隠れ蓑にして職場のマネジメントを放棄している「手抜き管理職」はたくさんいます。こちらの方が厄介です。

大企業なら業績低下で済みますが、中小企業の場合、「無能」も「手抜き」も会社をつぶします。

社長さん、くれぐれもご注意ください。

(参考)

職場のパワーハラスメントについて(厚生労働省)

注意するとパワハラだなどと言って,上司の指導を聞こうとしない。(四谷麹町法律事務所)

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No.812 ビジネス交流会は即、顧客を見つける場ではない

2019年06月05日 | コンサルティング

 「99人以下の中小企業の社員が辞めずにイキイキ働くようになる」実現する人材育成社です。 

「すぐにお客さんを見つけられる交流会はありますか?」

中小企業の社長にお会いすると、時々こうした質問をいただくことがあります。

このようなときには、反対にこちらから「顧客になってくれる人を見つけにビジネス交流会(以下、交流会)に行かれるのですか?」と伺うと、多くの方が「もちろんです。交流会の参加目的は顧客を探すことですよね?」とおっしゃるのです。

では、皆さんにとって交流会に参加する目的は何でしょうか?

交流会に参加する目的は、たとえば単純に新しい出会いや人脈が欲しい、経営者としての悩みや想いを共有することで今後の仕事や人生のヒントを得たい、さらに新たなビジネスにつながる「きっかけ」を作りたいなど、人それぞれだと思います。

私自身も過去には交流会に数回出席したことがありますが、冒頭の話のように顧客を探すためだけに交流会に出席されている方に少なからずお会いしています。

そういう方と名刺交換をすると、一方的に売り込みをされて、ただただ話を聞くだけの時間になってしまい、正直、徒労感すら感じてしまうようなこともありました。

さて、それでは交流会とは一体何をするものなのでしょうか?

交流会とは、簡単に言ってしまえば文字どおり「人の交流を目的として催される会合」です。ですから、交流会はすぐにお客様になる人を見つけることが目的の会ではないわけです。

とは言っても、普段縁のない人と出会うことで、新たなビジネスチャンスや連携のきっかけが生まれる可能性があるのも事実です。

つまり、交流会とはそこで出会い、その後に交流を続けることによってお互いにどういうビジネスをしているのか、どういう人柄なのかなどが徐々にわかります。そうした時間を積み重ねることよって、お互いの間に信頼関係が築かれていく最初の、そして大切なステップと言えるのではないでしょうか。

そして、ご縁があれば、やがてはビジネスに発展していく可能性があるというものだと考えています。

ですので、そういう積み重ねなしに、一足飛びに顧客になってもらおうと考えるのは、少々虫がいい話とも言えるのではないでしょうか。

今後、交流会への出席を考えている方にとって、交流会を意味のあるものにするためには、次の3点から始めてみてはいかがでしょうか。

まず、自分の会社のセールスポイントを端的に伝えられるようにすること。

次に、すぐには「出会い=ビジネス」にならないものの、出会いを「ご縁」にするために、引き続き「関係」を育てること。

最後に、「関係」を育てるためには、(takeの前に)まずgiveをすること。(giveとは必ずしも金銭やモノではなく、相手にとって有益な情報を提供したり、人脈を紹介したりすることです。)

そして、大前提として名刺交換後にはこちらからお礼の連絡を入れること、これが鉄則だと考えています。

交流会が貴重な出会いの機会であることは言うまでもありません。そこで得たせっかくのチャンスの種を大きく育てられるよう、ぜひ上記のポイントに心掛けをお願いいたします。

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No.811 中小企業の社長は落語に学べ!

2019年06月02日 | コンサルティング

落語にあまり興味のない方も、寿限無(じゅげむ)や時そば、まんじゅうこわいなどは聞いたことがあると思います。「寿限無は小学校で習った」という人もいるくらいですから、古典落語というのは「誰もが知っているはなし」です。

落語を学べといっても「中小企業の社長は落語をおぼえて社員を集めて一席演じなさい」ということではありません。それじゃ「寝床」になってしまいます。

さて、社長が学ぶべきものは何かというと、落語家のテクニックではなく考え方や姿勢といったものです。

なぜなら、会社という組織をマネジメントする上で必要な考え方や理論は落語のようなものだからです。

しかし最近は、X理論はダメだからY理論で行け、いやZ理論だ。PDCAでは変化の激しい時代に付いていけないからOODAにしなさい。いままでの組織形態ではまずいからティール組織にするべきetc・・・話を聞いていると、普遍的なものは何ひとつ無いように思えます。

こうした新作落語・・・いや、新マネジメント理論についてどうのこうの言うつもりはありません。

私は、ドラッカーのような古典落語・・・いや、現代にも生き残っているマネジメント理論は貴重だと思います。目新しさはありませんが、時代が変わっても語り手が変わっても通用するからです。

中小企業の社長は組織運営において、古典落語を語るように「誰もが知っている理論」を実践することが大事です。

とはいえ、それが簡単にはいかないところが落語と似ています。

精進するしかありませんね。

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