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第1,210話 新人を希望する部署に配属することは離職防止に有効か

2024年04月03日 | 研修

「社員がイキイキ働くようになる」仕組みと研修を提供する人材育成社です。

新年度が始まり、各地で企業等の入社式が行われました。私は毎年それぞれのトップが訓示の中でどのような話をするのかを楽しみにしているのですが、今回報道されたトップの言葉は「チャレンジ・挑戦してほしい」、「失敗や変化を恐れずに」、「明るく前向きに」などが多かったと感じています。これらの言葉は取り立てて目新しさはないものの、とても大切なことでありますので、しっかり新入社員に届いて今後の指針の一つとなるとよいと考えています。

また、今年は久しぶりに入社式を対面で行った企業が多かったようですが、これまでとは違い様々な部分で変化が見られたところもありました。たとえば、入社式に臨む新入社員の服装について、それぞれの個性を表現できるようにとスーツやネクタイの着用が義務でなくなり、カジュアルな服装を認める企業がこれまで以上に見られました。

また、労働人口の減少が始まり採用活動に苦労している企業が多くなってきているためか、新入社員の定着を重要視してこれまで以上に様々な配慮をしようとする企業が増えたことも、大きく異なるところだと思います。実際、企業新卒内定状況調査によると、今春卒業の採用充足率は75.8%であり、これは2016年卒以降で初めて8割を下回り過去最低になったとのことです。そのように考えると、せっかく採用した人が退職してしまうことがないように様々な工夫をすることは大切です。具体的には、初任給を上げる、全員を希望する部署に配属する、直属の上司に申告せずに今後希望する部署へ異動希望を出すことができる等々の対応を新たに始めているとのことです。

しかし、このような企業の対応については否定するものではもちろんありませんが、一方で全員を希望する部署に配属するということは、必ずしもその新入社員の成長を促すものにはならないとも考えます。入社前には想像すらしていなかった仕事を担当したり、本人が希望していなかった部署に配属されるなどしたことで、思いがけず本人も気づいていなかった能力が発揮されたり、結果的に新たなスキルを身に付けることができたなど、当人の成長につながるといった例も少なくないと思います。

また、仮に希望した部署に配属されたとしても、そこで上司や先輩社員が新人を丁寧に育成しようとしなければ、目に見える成長にはつながらないことが考えられますし、最悪は離職につながってしまうこともあり得ます。

今後、新入社員が定着し、しっかり成長していってもらうためにも、企業全体としても、また受け入れる側の部署でも、長期視点でじっくりと新入社員の育成に向き合ってほしいと思います。

また、新入社員にとっては希望しない部署に配属されるということは、ある意味で挑戦的な状況だと思うことがあるかもしれません。しかし、そんな状況の中でも前向きな姿勢と柔軟性を持って仕事に取り組むことで、必ず成長の機会につなげることができます。

今後私も新入社員への研修をとおして、そのことを丁寧にお伝えしていきたいと考えています。

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