人材育成社のブログ

 人粒を実らす人材育成の日々
(一粒=ひとつぶ)

売上の波に乗るか、呑まれるか

2016年10月30日 | コンサルティング

売上の波は業種によって大小様々ですが、必ずあります。扱っている商品が季節や天候によって左右される場合はもちろんのこと、展示会の期間中やキャンペーンを打った後などに売上が集中します。それは小売業に限らず、設備投資や公共関連といった高額案件でも同様です。ちなみに、当社が提供する企業研修にもハイシーズン繁忙期)があります(今がまさにその時期なのですが)。

売上の波がやってくると、営業担当者の仕事は一気に増え、商品在庫のコントロールが難しくなります。そのせいで、会社全体がストレスを抱えた状態になります。そして波が去ると、しばらくは営業活動も停滞し、倉庫の棚には空きが目立ちます。

非効率な「波」をなくすこと、すなわち受注・売上の平準化は、多くの企業が求めて止まないものです。

「いやー、前期の売上は例年に比べて著しく期末集中型だったな。」
「いつも最後の月は冷や冷やしますが、前期は特にひどかったです。」
「毎年思うけど、なんとかならないものか・・・」
「そりゃあ無理でしょう。お客さんの都合ですから。」
「お客さんだって本当は毎月コンスタントに買いたいはずだけどなあ。」
・・・こんな会話が毎回繰り返されているのではないでしょうか。

しかし、売上の波に呑まれることなく、上手く乗りこなしている営業担当者もいます。

たとえば、顧客への早めのアプローチです。前述の例で言えば、例年通り期末に集中することがわかっていますから、「なるべく早く見込発注量を教えてください。ラフな数字でもいいですからお願いします」というような依頼を、営業担当者なら誰でもするはずです。

そのとき、優秀な営業担当者は単に依頼するだけではなく、過去の数字(発注データ)を上手く使っています。

「例年、このタイミングでこれくらいの発注量がありますが、今年も同じレベルと考えて良いでしょうか?」、「昨年は11月の上旬には御社内で数字が固まっていました。今年も同じようでしたら、11月16日にまたお邪魔したいと思いますがいかがでしょうか。」といったようにお客様に対して積極的に先手を仕掛けています。

「お客様の都合も考えずに、そんなにずけずけと踏み込むなんて失礼じゃないか。」
そうお考えの方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、それは全くの誤解です。お客様自身が多忙なときは、営業担当者からのちょっとした働きかけがとても役に立つものです。しかも、数字を添えてあると「ありがたい」と思ってもらえる確率はぐんと上がります。

「お客さんの都合だから無理」という考え方を一度止めて、お役に立てそうなアクションを起こしてみてはいかがでしょうか。

営業に波があるならそれを読んで上手く乗ってしまう。優秀な営業担当者はほとんど例外なくそうしています。

(人材育成社)

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くまモン営業部長は究極のプレイングマネージャー

2016年10月26日 | コンサルティング

本番を前に舞台裏で一所懸命に打合せをするのは、かの「くまモン」。今、日本で最も名前の知られた「営業部長」の一人?ではないかと思うのですが、真剣な面持ちで打合せをしています。

その後、打合せを終え舞台に上がるまでの間は、一人段取りをイメージしているかのように佇んでいましたが、その間もくまモンのそばに来た子どもにはしっかり手を振っています。さらに、周囲に人が集まっていることに気がつくと恥ずかしそうなポーズをして見せたりして、早くも本番さながらの営業活動ぶりでした。

これは、去る10月23日、東京都の大田市場のお祭りに、くまモン営業部長が熊本みかんのPRにやってきたときのお話しです。

くまモンは2年前にもこのイベントに訪れていますが、営業部長の人気はますます上がったようで、今年の人出はそのときをはるかに上回っていました。まさに多くの老若男女が、くまモンに会いに集まっていたようです。

いざ本番が始まると、くまモンは舞台上を縦横無尽に駆け回り、あちこち愛想を振りまいていました。くまモン体操をするときには、舞台から降りて子どもたちとハイタッチするなど、営業部長は実に忙しそうでした。ステージに同行していたくまモン隊の男性スタッフは、くまモンが舞台下に降りて子どもたちとハイタッチを始めてしまったので、一人舞台上で体操を続けることになり、少々おかしな光景になっていました。

くまモン体操が終わると、スタッフはすかさず「くまモンがいきなり舞台から降りたので、びっくりしちゃったよ」と声をかけていましたので、どうやら本番前の打合せとは異なる動きをくまモンがしたようです。

このように、くまモン営業部長の人気は言わずもがなですが、今や日本のみならず世界を股にかける人気のようです。先日の朝日新聞の記事「くまモミクス」よると、くまモンの海外出張は4~9月の半年間に28回、国内の出演依頼は9月だけで427件あったそうです。

「瞬間移動」はできても同時に2か所に現れることはできないため、一月の出動回数は260回が限界で、身体がいくつあっても足りない忙しさだと書かれていました。

まさに、くまモンは「プレイングマネージャー」を地でいっているのだと思います。

さて、くまモンと比較するのは酷ですが、現実の企業において営業部長はここまで先頭に立って、営業活動を行っているでしょうか?

一昔前とは異なり、現在は机の前に座って数字の管理だけをしているような営業部長は、ほとんどいないと思います。大半の営業部長がプレイヤーとして数字を持ちながら、かつ、マネージャーとして全体の数字の管理もするというハードワークをこなしているのだと思います。今回のくまモン営業部長の働きぶりを見ていると、なかなかに見事でヒントになるところが沢山あるように感じました。

くまモンはサービス精神が旺盛だけでなく、状況対応力も非常に高いようで、周囲の期待に応え即座にハイタッチを始めたり、ポーズをとったりすることができるようです。

同行している職員に「くまモン、次の仕事の時間が迫っているから、もう行かないとね」と声をかけられるまで、トレイを持ってみかんの試食を配ったり、シールを配ったり、握手をしたり、サービス活動に余念がありません。

実際、企業の営業部長がここまですることはなかなかできないでしょうが、部長自らが営業の先頭に立って、ここまでやれば、部下はその後ろ姿を必ずや目標とするでしょうし、それにともなって営業数字も上がってくるだろうと思います。

最後まで営業活動に余念のないくまモン、大きな笑顔?をふりまき、市場のカートに乗って手を振りながら、颯爽と次の営業先に向かっていきました。

さて、今回のくまモンの使命である熊本みかんの販売は、部長の営業の結果、あっという間に完売していました。さすが! くまモンの営業力!

(人材育成社)

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営業は科学である

2016年10月23日 | コンサルティング

「セールス・イズ・サイエンス(営業は科学だ)」は1970~80年代にキヤノン販売(現・キヤノンマーケティングジャパン)の社長であった滝川清一氏の言葉です。サイエンス(科学)というと物理や化学を連想しがちですが、営業という仕事を進める際の考え方、方法論が科学的であるべきだという意味です。

自然科学の分野においては、仮説を立て、実験を繰り返して理論を実証するという方法をとります。そうすることで、勘や経験ではわからなかった事実が明らかになり、その事実を利用することでさらに科学は発展してきました。

しかし、営業という仕事においてはKKD(勘と経験と度胸)がすべてという考え方が今なお根強く残っています。自然科学の考え方を利用しようとすれば、「営業は人間関係がすべてだ。理屈じゃないんだ!」と一喝されてしまうこともあります。

たしかに実績のあるベテラン営業パーソンに「営業は経験だよ・・・」などとしみじみと言われてしまうと、正直、反論できません。

ところが、実績のあるベテラン営業パーソンの行動こそ、よく見れば科学的です。ベテランは今までの経験を頭の中にデータベースとしてしまい込んであります。たとえば顧客からクレームが来たときは、その内容を分析して、「こういうときには、こういう行動をとれば上手くいく確率が高い」という仮説を導き出します。そして、それを実行します。その後、修正が必要になったら再度データを検索して検討を加え、新たな仮説に基づいた行動をとります。

実績のあるベテランほどこうしたデータの蓄積が多く、状況に応じた仮説構築が上手で、顧客対応(実証実験)をとても効率良くやってのけます。

ただし惜しむらくは、そうしたプロセスをほとんど意識せずに「実践できてしまう」ことが玉に瑕(きず)です。ですから、若手から「どうすれば先輩みたいに営業が上手くなるのですか?」と質問されても、「経験だよ、経験。お前もそのうちわかる日が来るよ」としか言えないわけです。

しかし現代は、どれほどの大企業であっても「わかる日が来るまで」待ってはいられません。営業部員の人数は減り、扱う商品は複雑化し、顧客の目はますます鋭くなっています。

今こそ営業を科学的に捉え直し、営業記録の書き方から面談時の対応、クロージングの方法までを「見える化」して、すべての営業部員が利用できるようにしなければなりません。それを実行しない企業は次々と販売競争から脱落していくでしょう。

もし、あなたの会社が営業を部門を強化して利益を増やしたいならば、コンサルタントに依頼するのが最も効果的なやりかたです。ただし、KKDの臭いがするコンサルタントは要注意です。

コンサルタントの提供するサービスが科学的な方法論に裏打ちされたものかどうかをしっかりと確かめてください。

まさに「セールス・イズ・サイエンス」です。

(人材育成社)

 

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何でもかんでも営業の仕事にしていないか

2016年10月19日 | コンサルティング

社長「営業が新規の数字を上げられない」、 「そもそも新規の会社に訪問できていない」

これは業種業態にかかわらず、経営者が抱えている問題の一つです。様々な業種の経営者にお会いする中で、必ずと言っていいほどこうした悩みを伺いますので、ほとんどの経営者に共通する悩みのベスト3に入るのではないかとさえ感じています。

しかし、経営者の悩みの種になっている当の営業パーソンからは、反対に

営業:「社長から、新規の数字を上げろ上げろと言われるけれど、どうすればいいのか・・・」

「新規の電話をかけないからアポがとれないんだと言わるけれど、そもそも新規の顧客を簡単に見つけることができないし・・・」

「いったいどこに電話をかければいいんだ? アポがとれそうな会社のリストでも与えてくれたら、せっせと電話をするけれど、そういう名簿も与えられていないし・・・」

という嘆きが聞こえてきます。つまり、営業にとってみれば新規の数字を上げるための方針や手法が示されていないということになるわけです。

 一般的に、営業のプロセスには顧客の発見からアフターフォローに至るまで、いくつかのステップがあります。業種業態によって異なるところはあるかと思いますが、概ね 顧客の発見→アプローチ→信頼構築→企画提案→クロージング→フォロー の流れになります。

ところが、冒頭の事例のように、このステップのすべてを営業パーソンに委ねてしまっている社長が少なからずいるようです。そうすると、社長からは「営業が思うように動かない」と嘆きの声が発せられますし、営業パーソンの方からも「営業の使命としての新規開拓の重要性や必要性は理解できていても、どこに電話をかけたらよいものか」となってしまいます。

このような場合に、弊社が経営者の方にお話しをさせていただいているのは、「営業のステップにおいて、社長がやることと、営業パーソンがやることをきっちり分けましょう」ということです。

 通常、新たな事業展開を進めようとする場合、「どこの市場を開拓するのか、その市場をどのように構築するのか、どの商品やサービスをどういう形で売るのか、そのための販売促進にいくらかけるのか、アプローチまでの手段は従来通りの電話にするのか、ダイレクトメールするのか、インターネット広告するのか、ポスティングするのか、展示会を開くのか」などなど様々な事柄を決定する必要がありますが、顧客の発見、つまりマーケットをどのように捉えて、どのように開拓をするのかの一連のステップを熟慮の上、決定をするのは経営者の役目です。

一方で、それ以降の具体的なアプローチからのステップについては営業の役目であり、ここをきちんと切り分けて考える必要があるのです。

しかし、すべてのステップを営業に任せてしまっている。つまり、すべて丸投げして結果の数字だけを見て営業パーソンを叱咤激励するだけでは、はじめから経営者としての責務を放棄してしまっているとも言えるわけです。

前述のように、大局的にマーケットを捉え、具体的な攻略方法を考えることは経営者の責務です。競争がますます厳しくなる一方の経営環境の中では、コンサルティングなど外部の力も積極的に活用しながら、広い視野と細かな気配りを持ちつつ、責めの姿勢がこれまで以上に求められていくと考えています。

 (人材育成社)

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御用聞き営業の効果

2016年10月16日 | コンサルティング

産業機器メーカーA社は売上高3,000億円、従業員2,000人の技術力が売り物の企業です。例年技術系を中心に、20名ほどの新卒を採用しています。ほとんどが電子、機械系の院卒ですが、文系出身者も3〜4名採っています。昨年、A社に入社したS君は社会学部出身で、企画、マーケティング部門を希望していました。ところが配属先は特殊機器営業部というところでした。

特殊機器営業部は大手自動車メーカーが主な顧客で、売上の9割を占めています。この営業部はA社の中でも専門性が高く、30名の営業部員のほとんどは理系出身です。「第1志望は企画室、第2志望は宣伝課」だったS君は、なぜ自分が配属されたのか疑問を感じていました。

配属されて1か月経ち、製品の基本的な名前と機能をようやく覚えたある日、上司のY課長に「会議室に来るように」と言われました。会議室に入るとY課長が先に席に座っていて、ニコニコしていました。

S君が席に着くとY課長は「これは商談で使う営業メモだよ」と言ってA4サイズのレポート用紙を差し出しました。レポート用紙をめくると、すべてのページに「ニーズ、概算予算、発注時期、決定権者、競合他社」と書かれていました。

Y課長 「これから半年、毎日お客さんのところへ行ってその項目を質問してきなさい。お客さんの言っていることがわからなければ、その場で正直に質問するんだ。」
S君  「はい・・・わかりました。」
Y課長 「しっかり聞いてきてくれ。」
S君  「でもこれじゃ、まるっきり御用聞きですね。」
Y課長 「そう!御用聞きだよ。」
S君  「お客さんとの応酬話法とか、提案の仕方とかはやらないんですか?」
Y課長 「それは自然にできるようになる。それに、うちの連中は全員が御用聞きだという自覚がある。」
S君  「え!そうなんですか?今は提案型営業が主流だと聞きましたが。」
Y課長 「誤解しないでほしい。御用聞きができてはじめて提案ができる。」
S君  「でもこのメモ、お客さんの前に出しても良いんでしょうか?」
Y課長 「もちろん!堂々と出して、端から順に聞くんだ。」
S君  「・・・はい、やってみます。」

3か月ほど経った頃、S君は「御用聞きメモ用紙」の効果に驚いていました。何しろお客さんがこのメモを見た瞬間、「おお、良いね!」と言ってくれることが多かったからです。中には、それを見て「ニーズ、概算予算、発注時期、決定権者、競合他社」を順番に教えてくれるお客さんもいました。

Y課長はS君にこう言いました。
「大手自動車会社のエンジニアは、とにかくあいまいなことが嫌いなんだ。特に応酬話法のような、ああ言われたらこう言い返せとか、こういう発言のときは裏があるから注意しろとか、そんなセールステクニックをとても嫌う。だから営業はシンプルに聞きたいことを聞く、お客さんも必要なことは必ず話す、それを繰り返すことで信頼関係が生まれるんだ。」

S君は、「はい、今では私もよくわかります。昨日、会うのが2回目のお客さんがいたのですが、”1回目のときは君の質問に全部答えられなかったので、今日はうちのニーズをまとめた表を作ってきた。持ち帰って検討してみてくれ”って言われたんです。」と答えました。

Y課長 「いいね!さっそく成果につながりそうな話だ。」
S君  「御用を聞くって、逆に言えば用のないことを聞かないってことですね。」
Y課長 「そうだよ。だから御用聞きは大事なんだ。」

翌年の自己申告で、S君は引き続き営業部にいることを希望したそうです。

(人材育成社)

 

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店員の案内が速すぎて、ついていけない

2016年10月12日 | コンサルティング

私 「S字フックの売り場はどこでしょうか」

店員 「(店舗案内図を確認しながら)ご案内いたします」

これは先日、私が訪れたあるホームセンターでのやりとりです。このやりとりの後、男性店員は売り場に案内するために、私の前を歩き始めました。

ところが、その男性店員は歩くのが非常に速く、何度か通路を折れた段階で姿を見失いそうになってしまいました。

直線の通路になると、30メートルくらい先を歩いているのが見えます。彼は何度かこちらを振り返りましたので、私がはるか遠く遅れているのは確認できたはずです。しかし、歩調を緩めようとはしません。

私は学生時代は短距離走が比較的得意でしたが、この時は重い荷物を持っていたせいか、思うように走ることができませんでした。それでも、何とかフック売り場にたどり着き、男性店員は案内を終了し、私の元を離れました。

道中、私は店員の背中を必死に追うことになったわけですが、追いかけながら内心思いました。「急ぎの用でどこかに行こうとしているところに、私に売り場を尋ねられてしまったのかな?急いでいたのなら、売り場は何番の柱のところですと案内してくれれば、それでよかったのに」と。

このように大変な思いをして、ようやくS字フック売り場にたどり着いた私ですが、残念ながら希望の品物がないことが確認できたので、すぐにその場を離れたところ、先ほどの店員が同僚と前を歩いているのです。忙しいところに私に声を掛けられてしまったので、大急ぎで私を案内したのかなと想像していたのですが、何と同僚とのんびり歩きながら談笑しているのです。

つまり、彼は別に急いでいたわけでもなく、また私の歩くペースに気づきながらも、どういうわけか自分のペースで歩き続けたわけです。

営業のコンサルティングを行う中で、営業パーソンが顧客の希望を確認せずに、一方的に商品の説明をするような場面を目にすることがありますが、まさに私自身が同じような場面に遭遇したわけです。

営業の場合は、顧客の状況を無視して一方的に説明をしたり、案内したりすることは、顧客を無視した対応と言えるわけです。この店員の場合は別に急いでいたわけでもないのに、この対応は一体どういうことなのだろうと思ったのでした。

私は、このホームセンターには何度も訪れていますが、これまでの印象は店員教育が行き届いていて、満足度が高い店だと感じていました。今回、たまたま対応が悪い店員に遭遇したわけですが、ほんの1回のこの出来事によって、店舗全体の印象が一気に悪くなってしまったような気がします。

よく顧客の営業パーソン(店員)に対する印象は、良いことは個人評価、悪いことは全体評価をされるといいます。これは良い印象に対しては、「あの営業(店員)の対応はよいね」と個人を評価します。反対にたった一人の営業(店員)に対してのマイナスの印象であっても、「あの営業(店員)の対応はよくないね」とはならず、「あの会社(店)のサービスは悪い」と全体で評価されてしまうという例えです。

たった1人のちょっとした気遣いに欠けた行動が、お店全体の印象を悪くしてしまったという意味で、今回の私の体験は、まさにこの話に該当する事例そのものだと思います。

それにしても、彼は一体なぜ走るような速さで私を案内したのでしょうか?

もしや、競歩で東京オリンピックへの出場を目指しているのかな?などと冗談で思いましたが、何しろ理由を聞こうにもなかなか追いつくことができないでしょうから、当分は謎のままになりそうです。

(人材育成社)

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営業心理学は役に立つ

2016年10月09日 | コンサルティング

「返報性」「一貫性」「社会的証明」「好意」「権威」「希少性」・・・セールスの研修を受けたことがある人なら一度は聞いたことがあると思います。これは「影響力の武器」(ロバート・チャルディーニ著)という、営業心理学としては古典の地位を獲得している本で紹介されている言葉です。

それぞれの意味を知りたい方は、チャルディーニ先生の本読むなり「営業心理学」といったキーワードで検索するなりしてください。

さて、こうした営業心理学(セールスサイコロジー?)は実戦で使えるのでしょうか。

私は使えると思っています。たとえば「返報性の原理」です。それは、「人は他人から何らかの施しや好意を受けた場合に、お返しをしなければならないという感情を抱く」というものです。

営業 「今日は、前回お会いしたときに話題になりましたシステムのセキュリティについて、最新の情報をお持ちしました。
顧客 「ああ、ちょっと気になっていたやつね。調べてくれたんだ。」
営業 「はい、データを集めてこのような資料にまとめてみました(と言いながら100ページほどある書類をカバンから出す)。」
顧客 「ちょっと見せてもらえる?・・・おお、見やすいね。まあ、知っている情報も多いけど・・・これだけの内容を整理してあると便利だね。」
営業 「そう言っていただけるとうれしいです。苦労した甲斐がありました。」
顧客 「たしかに、ここまでまとめるのは大変だったでしょう。」
営業 「はい。お役に立てればと思って作りました。どうぞ、お使いください。」
顧客 「え!いいの?これ貰っちゃって。いやあ、助かるなあ。」
営業 「それで、前回ご紹介いたしました当社の新しいシステムの具体的な提案をさせていただきたいと思うのですがいかがでしょうか。」
顧客 「ああ、良いですよ。お願いします。せっかくだから上司も呼んできますね。ちょっと待っていてください。」
営業 「はい!ありがとうございます。」

営業経験のある方は「そんなに簡単にはいかないよ」と思われたかもしれません。それでも、お客様は営業担当者の努力に対して好意を持ち、なんらかの「お返し」をしたいと思うことは間違いないと思います。このように営業心理学をしっかり学んで実戦で使えば、営業成績が大きくアップすることでしょう。

ただし、1つだけ営業心理学が役に立たない場合があります。それはお客様に悪意があるときです。たとえば、前述の例で言えば、はじめから買う気が全くないのに営業担当者に無理難題を押し付けて、貰うものだけ貰ったらあとは無視するというやり方です。

しかも、貰った資料を競合他社に流して恩を売ったり、無理な値引きを迫ったりする人もいないわけではありません。

営業心理学は「あくどい客」には効果がありません。営業担当者は、まずお客様という人間をしっかり見抜く目を持たなければなりません。

そのためには人に興味を持ち、常日頃人間観察を心がけることが必要ではないでしょうか。

(人材育成社)

 

 

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訪問件数を増やせば、売り上げは伸びるのか

2016年10月05日 | コンサルティング

Aさん 「先月の訪問件数は38件です」

Bさん 「私は先月は45件訪問しました」

Cさん 「○○件です」

Dさん 「○件です」

経営者 「先月の訪問件数のトップはBさんだね。Bさん頑張ったね。Bさんに皆で拍手!」

全員 「パチパチパチパチ」

これはX社の以前の月例会議の光景です。コンサルティングで弊社がお邪魔するようになるまで、X社の経営者は営業の訪問件数に価値を置かれていました。

「目標の数字を達成している営業パーソンは、総じて訪問件数が多い。全営業パーソンが訪問件数を増やせば、全員が数字を達成できるようになるはずだ」ということで、月例会議では「各営業パーソンに訪問件数を発表させて、件数が少ない人への刺激にしよう、そうすれば件数を増やす努力をするはずだ」と考えられたとのことでした。

それから2年間、ひたすら訪問件数を重視して、毎日の朝礼でもその日の訪問予定件数を発表させるようになったということです。

しかし、2年前と比べると訪問件数自体は格段に増えたものの、営業数字は一向に伸びず、あろうことか営業成績の良かった営業パーソンの数字までもが伸び悩むようになってしまったということでした。

業種業態に関わらず、営業にかかわる問題として頻繁に挙げられるものの一つが、「営業の訪問件数」です。一般的には、訪問件数は多い方が良いというように考えられていますので、大抵の経営者は訪問件数に重きを置いています。

しかし、実際のところ訪問件数と営業成績には何らかの関係性はあるのでしょうか。

これは当然、販売する商品やサービスによって事情が異なりますので、一概に「これとこれの関連性がある」とは言い切れないです。それでも実際の数値で調べてみると、必ずしも「訪問件数が増えると売り上げも伸びる」という訳ではないようです。

X社に関しても、ある程度までは訪問件数を増やした方が売上げが伸びるのですが、それを超えると数字が横ばいになってしまったのです。

これは一体なぜなのか、弊社で調査、分析を行いました。X社が提供しているサービスは画一的な内容ではなく、顧客のニーズに応じその都度サービスを構築して提供しています。そのため、営業パーソンは訪問前に顧客の置かれた状況や周辺知識を念入りに調べ上げ、それに加え何度も訪問することを経て、最終的に顧客ごとに企画書や提案書を作成するのです。

したがって、訪問社数や件数が多くなればなるほど仕事量も増えるわけですが、そうなると1つの顧客にかけられる時間は減ってしまいます。結果として調査や企画書の質が自ずと落ちてしまっていたのです。

調査の結果、これが「訪問件数は増えているのに受注率が落ちてしまう」理由であることが判明したのです。

そこで、経営者といろいろ相談し、営業パーソンには一定の件数までは訪問数にこだわってもらい、それ以上は件数を追いかけることは止め、その分の時間を営業準備にあててもらうようにすることをアドバイスいたしました。

さて、それから数か月間が経過したところで受注率が徐々に上がり、明らかに売上げの数字が回復しました。そして、営業パーソンも以前と比べて時間に余裕ができたことで、表情も生き生きしてきたことが印象的でした。

そして、経営者もこの結果には大喜びで、営業パーソンに訪問件数について叱咤激励してきたことを詫びていました。

もちろん、これは先述のとおりすべての業種業態に当てはまる訳ではありません。

最後に、現在X社では朝礼でも月例会議でも訪問件数の発表は取りやめていることをお伝えしておきます。

(人材育成社)

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営業は広い

2016年10月02日 | コンサルティング

今から10年ほど前のことです。私の知り合いの転職エージェントSさんから1通のメールが来ました。そこにはこんなことが書いてありました。

「転職を希望しているT君という27歳の営業マンがいるのですが、彼と一度会ってもらえませんか。彼は現在大手食品会社で量販店担当の営業をやっているのですが、どうしてもコンピュータ会社でマーケティングをやりたいと言っています。それも貴君が勤務していた外資系のH社を強く希望しています。H社のことなら何でもよいので彼に色々と教えてあげて欲しいのです。」

Sさんにはかつてお世話になったことがあったので、T君の件は快く引き受けました。1週間後、T君と新宿の喫茶店で会うことになりました。

当日、T君は喫茶店に約束の時間よりも早く来たようで、すでにコーヒーを半分以上飲んでいました。私はあいさつをし、しばらく世間話をした後、ストレートに質問をしてみました。

「なぜ辞めたいの?XX食品と言えば業界最大手で財務体質も良いじゃないか」
「会社が嫌なのではなく、いまの営業という仕事が嫌いなんです」
「だったら異動の希望を出し続ければ、企画部門に行けるかもしれないよ」
「はい。入社以来ずっと異動希望を出し続けたのですが、駄目だったんです」
「それで転職を?」
「そうです、若いうちにマーケティングをやりたいんです」

普通なら、ここで彼に思いとどまるように言うところなのですが、実は私は彼に転職を進めました。それも、彼が希望するH社の知り合いに連絡しても良いとまで言いました。

それから1か月ほどして、転職エージェントのSさんからメールが来ました。

「T君ですが、新しい会社に転職が決まりました。お力添えいただき、ありがとうございました。それにしても独立系システム販売会社の、それも営業とは意外でした。」

私にとっては意外ではありませんでした。あの日、T君と喫茶店で3時間以上話し合ったのですが、私は彼の知識量に驚いたのです。自社製品はもとより、競合製品やお客さんである大手スーパーに関する知識、物流システムに関する情報など、群を抜いていました。

そこで、思い切って「君ならコンピュータ会社で働ける」と伝えたのです。

「ただし、H社は止めた方が良いよ。外資は意外と自由が利かないんだ。それよりも君の業界知識なら、国内のシステムインテグレータの流通営業あたりなら喜んで受け入れてくれると思うよ。」

営業と聞いてT君は一瞬がっかりしたような顔をしました。それでも私が「一度きちんと調べてみては?それでも外資でマーケティングをしたいならH社に連絡してあげるから。」

T君と話をしてみてわかったのは、製品そのものよりも、顧客に提供するシステム(仕組み)に興味があったということです。もしもH社のマーケティングに行っていたら、H社の製品だけをいかにして売るかということばかり考えさせられて、結局は失望することになったでしょう。

T君は営業が嫌だったのではなく、違う種類の営業がやりたかったのです。彼は現在、システム販売会社の営業課長として大いに活躍しています。

もしも「営業が嫌だ」という人がいたらこう言ってあげてください。

「営業は広い!」

(人材育成社)

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