人材育成社のブログ

 人粒を実らす人材育成の日々
(一粒=ひとつぶ)

教える技術が世界を変える

2013年09月30日 | コンサルティング

「『最高の授業』を、 世界の果てまで届けよう (税所篤快、飛鳥新社、2013年)」、久々に一気読みをした本です。

著者は24歳の早大生で、開発途上国に優れた教師の授業をDVDにして届ける活動をしています。バングラデシュ、ルワンダ、ヨルダン、パレスチナ・ガザ地区などその活動範囲の広さは驚くばかりです。

著者の行動はまさに「思いつき」、「思い立ったが吉日」というパターンです。自腹を切って現地に飛び、安宿に泊まってはキーマン(グラミン銀行の総裁にまで)会いに行きます。それでも彼の行動は周りの人を巻き込み、現実を動かしてしまいます。周囲の大人たちも「仕方ないな」と言いながら彼を支援をしてくれます。

24歳の若者が書いた本なので(?)「落ち着きがない」感じがしますが、おもしろさは保証します。ぜひご一読を。

さて、私が最も感銘を受けたのは、教育は確実に人を変えることができるということです。

彼が届けるDVDに登場するのは、その国でも一流の教師です(薄謝で出演しているのでボランティアのようなものです)。貧困地域の子供たちがそのDVDを一所懸命見ながら学んで、今まで受験すらできなかったその国のトップクラスの大学に次々と合格していきます。

ここで言う一流の教師とは権威のある人ではなく、「教える技術」が優れている人のことです。当たり前のことですが、教育の力とは教師の力だということです。

研修講師にとっても自己研鑽がいかに大切であるかを、あらためて思い知らされた本でした。

(人材育成社)

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ティーチングなくしてコーチングなし!

2013年09月29日 | コンサルティング

ビジネスコーチの方は、ティーチング(教えること)の限界についてよく言及します。

「ティーチャーが持っているスキルや技術以上のレベルアップはなかなか望めません。ティーチングの手法だけを使っていると、クライアントは受け身(指示待ち)になってしまい、模範解答を欲しがる(依存する)ようになります。」

私は、この意見は間違っていると思います。

なぜなら、コーチングであっても相手(クライアント)は模範解答を求めるからです。

もしクライアントの求めをはぐらかすなら無責任ですし、クライアントの解答が明らかに間違っているときに何も指摘しなければビジネスパーソンとして失格です。

ティーチングは答えを与えますが、「傾聴と質問で正しい答えに導く」過程も重視します。この点ではコーチングの手法と基本的に同じです。

「コーチングはクライアントの中にある様々なリソース(資源)を引き出していきます。クライアントが自ら考えて行動するようになるためには、コーチングスキルが効果的です。」

全くその通りなのですが、コンテクストについての理解が欠けています。

クライアントは本当にコーチから何かを引き出して欲しいと思っているのでしょうか。

クライアント個人がコーチにお金を払ってコーチングを受ける場合は問題ありません。お互いのコンテクストを分かろうとするところから始めるからです。

昨日のブログにも書きましたが、職場では上司と部下はお互いのコンテクストを理解すること(分かり合えること)は難しいと思います。部下は上司を「コーチ」とは思わないでしょう。

お互いに分かり合えない、ということを前提にするならば、ティーチングこそ最も重要なスキルといえるのではないでしょうか。

(人材育成社)

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コーチングは上司の自己満足?

2013年09月28日 | コンサルティング

コーチング(coaching)とは、人材開発の技法の1つ。対話によって相手の自己実現や目標達成を図る技術である。相手の話をよく聴き(傾聴)、感じたことを伝えて承認し、質問することで、自発的な行動を促す。(Wikipediaより引用)

コーチングは人材育成、特に部下指導に有効な手法と言われています。

コーチングの特徴は相手(クライアント)が持っている潜在的なやる気を引き出すことです。コーチは答えを教えるのではなく、あくまでも自発的に相手が答えにたどり着くようにガイドします。

コーチングにおいては、コーチとクライアントは対等な立場でなければなりません。

しかし、職場の中には上司-部下というはっきりとした上下関係があります。それが、コーチングが上手く機能しない原因となります。

たとえば、仕事が進んでいない部下を指導する必要があるとします。

コーチングでは部下を問い詰めるのではなく、「あの案件は今どんな段階?」「何か困っていることはある?」という質問をします。

こうした質問をすることで、コーチ(上司)はクライアント(部下)がいろいろなことに気付いてくれるだろうと期待します。

しかし実際は「問い詰める」こととあまり変わらなかったりします。

「いや、そんなはずはない。コーチングの技術を使ったのだから、部下も分かってくれるはず」という反論があるかもしれません。

残念ながらコーチングの技術を身につけただけではコーチにはなれません。部下から見ればコーチではなく、あくまでも「上司」だからです。

ほとんどの場合、「課長がまたセミナーでおかしなことを勉強してきたらしいな。まあ適当に調子を合わせておこう」というのが部下の本音です。

もしも「うちの職場は信頼関係がしっかりとできているから大丈夫!」と言う上司がいたら、かなり危険です。

私の経験から言えば、「部下が何を考えているかときどき分からなくなるんだよね。どうしたものか・・・」と悩んでいる上司の方が、部下からの信頼が厚いものです。

コーチングを学ばれる際はくれぐれもご注意を。

(人材育成社)

 

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当たりやすい”組”を買え!

2013年09月27日 | コンサルティング

この画像は、新橋の駅前にある宝くじ売り場です。「当たりやすい売り場」として有名なのでいつも買う人が絶えません。

さて、以前このブログでも書いた宝くじの話※を読んだある方から「でも、宝くじには当たりやすい”組”ってありますよね?」と言われたことがあります。

結論から言います。「いいえ、ありません。」

もちろん、宝くじの「組」ごとの枚数が異なっていれば、当然当たりやすい組とそうでない組があってもおかしくありません。たとえば、全部で100枚のくじがあったとして、そのうち「A組」のくじが99枚で残りの1枚がB組だったら・・・・。

しかし、すべての組に含まれるくじの数が同じで、抽選がインチキでなければ「当たりやすい組」は存在しません。

なぜなら、当たりやすい「組」というのは、当たりやすい「番号の集まり」だからです。

下の図をご覧ください。いま、C組が「当たりやすい組」とします。ここで、1枚1枚のくじに順番に番号をふると7、8、9番のくじが当たりやすいということになります。

全部で12枚のくじのうちの「7、8、9」の3枚を当たりやすくするためには、なんらかの「仕掛け」が必要になります。それって、インチキですよね。

 

ビジネスの現場でも迷信や都市伝説のたぐいはありますが、確率や統計に関するものについては少し考えれば間違いだと分かるはずです。

全てのビジネスパーソンにとって、確率や統計に関するリテラシーは絶対に必要ですね。 

※「147円の価値しかない紙を300円で買うこと」

http://blog.goo.ne.jp/jinzaiikuseisha/e/0dc8cda7cb835c9290896ccb221ee47c

(人材育成社)

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たった3つのステップで!明日から研修講師になる方法

2013年09月26日 | コンサルティング

このブログをお読みいただいている皆さん、今のお仕事に不満をお持ちでしたら研修講師に転身されることをお勧めします。

では、研修講師になるための3つのステップを順を追ってご説明します。

まず、第一に名刺です。屋号にはこだわる必要はありません。カタカナの格好良いもの、ちょっとアカデミックにXX研究所、奇をてらって英語表記でも結構です。ただし、肩書きだけは「研修講師」と書いてください。なによりも大事なのは自己暗示だからです。

次に研修を行う分野を決めます。自分が得意とする分野を選ぶべきですが、資格が物を言う法律や会計などは注意が必要です。○○士のような資格がないと相手にされません。でも、ご心配なく。公的な資格が無いあなたでも「コミュニケーション」分野なら堂々と研修講師と名乗れます。

そして、最後は講師経歴書です。「何者なのか分からない人」を講師として採用する勇気のある会社はありません。経歴書はクライアントに自分を売り込む際の説明書として使います。経歴については「盛って」ください。営業部でそこそこの成績を上げたことがあれば「常にトップセールスを争う」、市場規模を調べた経験が一度でもあれば「マーケティングの専門家」、倉庫で働いていたら「サプライチェーンのプロセスに精通」等など。

さて、以上で終了です。

明日から研修講師としてクライアントになりそうな企業や研修会社に自分を売り込んでください。もちろん、結果は保証できませんけれど。

(人材育成社)

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インターネットに生きている「アロハ」の仕組み

2013年09月25日 | コンサルティング

ALOHA(アロハ)ネットワークは、1970年にハワイ大学で生まれたコンピュータネットワークです。ハワイ大学はキャンパスが島々に分散していたので、複数のコンピュータをアマチュア無線のような安価な通信手段を使って接続しようというものでした。

ALOHAの通信方法は非常にシンプルです。(1)パケットデータを送信する、(2)別の転送データと衝突した場合、「後で」再送する・・・これだけです。

しかしこのアイデアの革新性は、イーサネットに採用されて現在のインタ-ネットの土台になっていることからも分かります。

つまり、ALOHAは私たちが日常的に使っているインターネットの遠いご先祖様(の一部)だったわけです。1970年のハワイの青い空を飛び交う無線データがインターネットの始まりだったなんて、ちょっと良い気分になりますね。

では、ALOHAのスループット(伝送効率)はどの程度だったかといえば・・・18.4%でした。つまり81.6%はパケットの衝突によって無駄になっていました。とはいえ、私たちが今使っている無線LANのスループットもせいぜい30~40%程度ですから、飛躍的に進歩したとは言えません。

さて、データを送って失敗したら「後で」再送するという考え方は、なかなか優れていると私は思います。それは、仕事の進め方にも(ある程度)使えるのではないかと思います。

たとえば、提案したプランが通らないとすぐに他のアイデアでプランを作り直そうとすることが多いと思います。A案がダメならB案を作れ!というわけです。

しかし、練りに練ったA案にはおそらく良いところもたくさんあるはずです。

そこで、ちょっと待ってから(ほとぼりが冷めた頃?)、同じ案をもう一度出してみるのも手かもしれません。もっとも、ハワイのような(?)企業文化をもつ会社でなければ、難しいかもしれませんが。

スピードを優先するあまり、せっかくの良いアイデアを捨ててしまうのはとてももったいない気がします。そう考えてしまうのは、私がのんびり屋のせいだからでしょうか・・・。

(人材育成社)

 

 

 

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石の上にも10年でエキスパート

2013年09月24日 | コンサルティング

「努力」か?「天才」か?ある分野でエキスパートになるために必要な要素はどちらでしょうか。一流のスポーツ選手やチェス・プレイヤー、芸術家などを見るにつけ、やはり「天才=天賦の才能」がすべてと思ってしまいます。

これに対して、様々な分野での「熟達過程」を研究しているアンダース・エリクソン教授(フロリダ州立大学)は、「10年修行の法則」を提唱しています※

エリクソン教授によると、スポーツ選手や芸術家、チェス・プレイヤーなど、様々な分野で一流と言われる人たちの共通点は、子供時代に10年以上にわたって(1)熱心な指導者に師事し、(2)的を絞って繰り返し練習してるという2点に尽きると述べています。

結論を言えば、一流と凡人との差は、反復練習の量、質、時間にあるというのです。

たとえばモーツアルトの天才ぶりを示すのに「わずか4歳の時に作曲をした」というエピソードがあります。

しかし一般に傑作と呼ばれているモーツアルトの作品は、10代後半以降のものに限られています。つまり「10年修行の法則」の成果だというわけです。

そういえばイチロー選手も、幼少期から毎日欠かさず反復練習を行っていることがよく知られています。

もちろん、(子供にとっては)辛くてつまらない反復練習を毎日欠かさずやり続けること、それ自体が才能であることは間違いありませんが。

ところで、モーツアルトやイチローのような「超」がつく天才は別として、誰もが認める「エキスパート」になるためには「10年修行の法則」に従うべきなのでしょうか。

私の知る限り、企業の中でも経理、法務、研究開発、製造など様々な職場でエキスパートと呼ばれる人たちの多くは「10年修行の法則」を経験しています。(もちろん、例外はあります)

どのような業務であっても「反復」することはつきものです。社会人は子供ではありませんから、「手を抜く」「上手くできたように見せかける」こともできます。

しかし、手抜きをせず真面目に10年続けることで誰でもエキスパートに、もっと続ければ一流になれると私は信じています。

人材育成の王道はまさにそこにあります。

だからこそ、企業は人を雇ったら最低10年は働いてもらうことが必要です。そして、その次の10年で一流になってもらいましょう!

※ http://www.skillteam.se/wp-content/uploads/2011/12/Ericsson_delib_pract.pdf#search='Ericsson+1996+10+years'

(人材育成社)

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不確実性という名の弁明

2013年09月23日 | コンサルティング

ここ数年、大きな災害や事故が起こると「想定外」という言葉をよく聞きます。大きなトラブルを起こした組織のトップが好んで使っています。また、組織が大きいほど「想定外」が使われることが多いように思います。

国や大企業は、組織を船に例えるならば巨大タンカーのようなものです。急に方向を変えたり止まったりすることはできません。大きな事故や不祥事につながるリスクが見つかっても、すぐには改善できないというわけです。

では、想定外という言葉は「想定すべきことはきちんと想定していたので、そこまで責任は負えない」という言い訳として使えるのでしょうか。

「ナイト流の不確実性」という言葉をはじめて聞いたとき、面白い言い方だなあと思いました。

フランク・ナイト(1885年- 1972年)はアメリカの経済学者です。ナイトは、確率によって予測できる「リスク」と、それができない「不確実性」とを区別しました。リスクは確率的・統計的にその大きさが推測できます。したがって、その大きさに見合った保険(損害保険)をかけることができます。しかし、「不確実性」はそれができません。

良い例を思いつかないのですが、たとえば・・・日本の遊園地でバンジージャンプをするときは、料金に保険料が含まれています(リスク)。しかし、私が手作りで完成させたバンジージャンプに保険を付けてくれる会社はないでしょう(不確実性)。

組織のトップが「想定外」と言ったのは、まさに保険がかけられないほどの異常事態が生じたという弁明だったのです。

しかしそれでは「組織のトップは保険が効く範囲で責任を取れば良い」ということになります。

大企業ならばそうした「弁明」がまかり通るのかもしれませんが、中小企業ではそうはいきません。中小企業の経営者は、「リスク」であろうが「不確実性」であろうが、すべての責任を負うことになります。

組織の大小にかかわらず、経営者はリスクだけではなく不確実性も考慮すべきではないでしょうか。

(人材育成社)

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優秀なエンジニアは攻める

2013年09月22日 | コンサルティング

今から4年ほど前、ある大手機械メーカの工場長と話していたときのことです。その工場の二酸化炭素(CO2)の排出量の話題になりました。

以下はかなり端折った話ですが・・・。

ちょうどその頃、当時の鳩山首相が2020年までにCO2排出量を1990年比で25%削減するという政策を打ち出しており、A氏の工場でもCO2排出量の削減の目標値が与えられていました。

「Aさんも大変ですね。かなり厳しい削減目標が設定されたんでしょうね。」と私。
「そうなんですよ。来年度中に10%削減しろという要求が上から降りてきましてね・・・」とAさん。
Aさんの工場は効率化が行き着くところまで行っているように見えました。

「それは無理だ。絶対無理だ。ひどいもんですねー!」私は同情して少し大げさに言いました。

 すると、彼は少しムッとして言いました。
「いや、無理ってことはないんですよ。やろうと思えばできなくはないです。」

「えー本当ですか?技術的に無理でしょう。」
「たとえばラインの改良と、空調機の運転を効率化すればできます。」

「どんなやり方ですか?お金がかかりそうですね。やっぱり無理だ。」
 彼は、ちょっと待ってと言ってカバンからノートを取出し、簡単な工場の見取り図を描くと、空調と照明の配置図を描き加え、なにやら数字を記入し始めました。2~3分考えてから私に向って言いました。

「できますよ。問題ない。」
「えー、10%も削減できるんですか?」

 彼は勝ち誇ったようにこう言いました。
「10%?冗談じゃない。25%はできますね。」

優れたエンジニアは難問が与えられると最初はちょっと引きます。そしてあらゆる方向から問題を眺めて、弱点を見つけると一気にそこを突きます。問題がクリアできても、追及を止めずにさらに徹底的につぶします。

大げさかもしれませんが、日本のものづくりにおいて、こうした攻めの姿勢が素晴らしい結果を生み出してきたのだと思います。

言うまでもなくA氏は1年後には目標を大きく超える結果を出していました。

(人材育成社)

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クローズアップ現代「あなたもハーバード大へ 」を見て思ったこと

2013年09月21日 | コンサルティング
9月17日放送のNHK・クローズアップ現代では「あなたもハーバード大へ ~広がる無料オンライン講座~」と題して、急速に広がりつつあるインターネットによる教育の現状をリポートしていました※。
番組のなかで特に印象に残ったのは、パキスタンの12歳の少女がオンライン講座の掲示板に力学の質問を書き込んでいたことです。
世界中からたくさんの答えが、掲示板に書き込まれてきました。手書きの図や動画まで使って、とても分かりやすく説明されていました。もちろん、全て英語でのやりとりです。
今や地球規模で、しかも無料でたくさんのことを誰もが学べるようになりました。
日本の小学生がオンラインのゲームで費やす時間の一部だけでもオンラインの学びに使えば、日本の教育水準は今よりも確実に上がるはずです。
しかし、オンライン講座の標準語は英語です。英語が分からなければ学ぶことができません。
もちろん「まず、自国の言葉である国語をしっかり学びましょう。外国語は中学からでも遅くない」という意見も十分わかりますが、これだけ豊かな学びの機会を目の当たりにすると、ただただ「もったいない!」と思ってしまいます。
平成23年度より、小学校において新学習指導要領が全面実施され、5、6年生で年間35単位時間の「外国語活動」が必修化されました。今後どのような結果が生まれるかは分かりませんが、私は歓迎したいと思います。
※ http://www.nhk.or.jp/gendai/kiroku/detail_3402.html
(人材育成社)
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