中小企業のための「社員が辞めない」会社作り

社員99人以下の会社の人材育成に役立つ情報を発信しています。

第933話 テレコミュニケーションは質より量

2020年06月28日 | コミュニケーション

「すべての社員がイキイキ働くようになる」仕組みと研修を提供する人材育成社です。

最近、いくつかの調査で、テレワークに移行したことによる生産性の低下が指摘されています。

それは、至極当然のことです。段階的にではなく「いきなりテレワーク」が始まったわけですから、むしろ低下しない方がおかしいのです。もし、生産性がほとんど低下しなかったとしたら、「オフィスに出勤する」形態がいかに無駄なコストとエネルギーを費やしていたかという証になります。

さて、テレワークが組織の生産性向上を妨げる原因はなんでしょうか。IT環境の整備ができていないとか、コンピュータが苦手といった些末な問題(失礼しまた!)は無視して、やはり最も大きな障害は「コミュニケーションの取り辛さ」でしょう。

人と人とのコミュニケーションは、言葉以外にも様々なシグナルのやり取りによってなされます。対面して話し合うことで、なんとなく「場の空気」を実感できます。よく「空気を読め!」などと言ったりもしますね。

もちろん誰だって「空気」なるものが幻想だということはわかっています。お互いが同じ「空気」のなかにいるという感覚、つまり「幻想の共有」こそが対面コミュニケーションの実態なのです。

テレワークになると途端に「空気」を生成できなくなります。そのため「相手の様子がわからない」、「自分の真意が伝わらない」、「モニター越しでは何を考えているのかわからない」といった不満が生まれます。

不満を抱えたまま仕事を進めることはストレスを生じ、その結果生産性を下げてしまうことになります。特に管理職にとっては「部下の様子」が伝わってこないことが最大のストレス要因になります。

組織とは、チームで仕事をこなすことで、単なる個人の力の足し算を超えた大きなパワーを生み出す仕組みです。組織の生産性を上げるためには、メンバー同士の理解や意思疎通を円滑にすることが必要です。

テレワークでは幻想の共有はできません。むしろ「できない」ことを利用することが大事なのです。つまり、メンバー全員が「空気」が幻想であるということを明示的に認めてしまうのです。

その上で、通信によって伝わる言葉や画像、文章の「量」を思い切って増やし、幻想ではない実態の伴ったコミュニケーションを作り上げる努力することです。意思疎通は、質より量であると信じましょう。

テレワーク成功の秘訣は「職場にいる時よりもたくさん話す!」これに尽きます。

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第932話 今こそ新たな企業風土を作る

2020年06月24日 | コンサルティング

「すべての社員がイキイキ働くようになる」仕組みと研修を提供する人材育成社です。

「緊急事態宣言以降はテレワークを導入したため、朝礼はオンラインでやっています。これまで朝礼では毎日理念を唱和していたんです。それを止めてしまうのは残念な気がしたので、朝礼は続けることにしたんです。朝礼に賛否があるのはわかっていますが、うちの会社は朝礼によって一致団結している気がするし、それが良い風土につながっていると思うからです」

これは先日、ある中小企業の経営者から聞いた言葉です。この会社では10年、毎日理念を唱和してきたことによって、「品質を最優先する」という企業風土が醸成されつつあるとのことです。

「風土」とは、人の価値観の形成などに影響を及ぼす精神的な環境であり、「組織風土」とは従業員に暗黙のうちに共有される特有の考え方や行動パターンです。

弊社ではこれまでに様々な企業の研修を担当させていただいてきましたが、それぞれの企業には、ある意味外部の者だからこそ認識できる様々な独自の風土があるように感じています。

弊社が行う研修ではグループ演習に取り組んでいただくことが頻繁にありますが、受講者の取り組み方にも「風土」が顕著に表れるように感じています。たとえばメンバーが自由に積極的に発言したり、間違えた発言をしても周囲が明るく受け止める雰囲気の会社がある一方で、発言する順番を最初に決めたり、発言に慎重なメンバーが多い会社もあります。

こうした傾向は、同じ会社であればどの階層の研修を担当させていただいても共通して感じられるものですし、複数年にわたって研修を担当させていただいても、毎年のように「この会社らしい雰囲気だな」と感じることも少なくありません。また、同じ業界であってもA社とB社では随分と異なると感じることもあります。

それでは、このような企業風土はどのようにして形成されていくものなのでしょうか。

様々な要因があると思いますが、一般的に企業風土は外部から新たな刺激が入りにくい環境下で、長期間にわたり一緒に働いているメンバーの中で少しずつ形成されていくものです。

そして、企業風土が顕著に表れるのは問題に直面した時です。起きてしまった問題に対して前向きにとらえ対応する組織がある一方で、原因追及に終始し後ろ向きにしかとらえられず、対応も後手に回ってしまう組織もあります。こうなると単に「風土」と片付けられずに、最悪は組織の在り方や存在そのものにもかかわることになってきます。

さて、冒頭で紹介した企業の社長ですが、社員に同じ方向を向いて欲しい、そしてテレワークによって対面が減ってしまったとしても、企業風土を維持したいと考えた結果、社員全員がオンラインで企業理念の唱和を続けているとのことです。 

新型コロナウイルスは、企業にとって予期していなかった大きな問題です。しかしこのような外部環境の大変化の時こそ、企業の底力が問われるとともに、新たな企業風土を作る良いチャンスであるとも言えます。

これまで企業風土が作られる場面は社員が対面していることが前提でしたが、オンラインであっても工夫次第で風土の醸成はできるものです。

コロナ禍をきっかけにテレワークの導入が進んでいる今、新しい時代の企業風土をどう作っていくか考えてみませんか。

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第931話 「たかがメール」では済まされない

2020年06月21日 | 研修

「すべての社員がイキイキ働くようになる」仕組みと研修を提供する人材育成社です。

さて、10年ほど前からパソコンが使えない新入社員が増えてきました。コミュニケーションのほとんどをスマホに依存している世代ですから、パソコンのような「古い機械」による情報のやり取りに慣れていないのです。

スマホとパソコンは、単にハードとソフトが違うだけで、電子機器としては基本的な構造に大きな違いはありません。PCであってもスマホと同じようにLINEやTwitterショートメッセージなどを使うことができます。

ただし、ビジネスにおけるコミュニケーションは、パソコンのメールで行われるのが一般的です。はっきり言い切ってしまえば、スマホはビジネス・コミュニケーションには使えない、ということです。

もちろん、一部の有名人やIT系企業の経営者中には「メールなんて古い。仕事の依頼はLINEかショートメッセージでしか受けない。」と言い切る方もいます。たしかに、スマホという機動性の高いデバイスでのコミュニケーションとしては、必要にして十分でしょう。

とはいえ、現時点では会社と会社とのコミュニケーションは、パソコンによるメールが基本です。ほとんどの商談(受注、発注、契約など)はメールを通じて行われています。つまり、言い換えればメールは企業同士で交わされる「公式な文書」ということになります。

新入社員に限らず、会社の中でこの「公式性」が十分に理解されていないと、企業同士のトラブルやコンプライアンス違反が起こる可能性があります。

多くのセミナーや研修で扱われるメールのトラブルと言えば、誤送信やエラー、迷惑メールや不審なメールなどといったシステムや使い方に関するものがほとんどです。実際、そうした事例が多くあることは確かですが、それは大した問題ではありません(お叱りを受けるかもしれませんが・・・)。

それよりも、ちょっとした社外秘の情報を書いてしまった、自分の主観だけで判断したことを伝えてしまった、といった「内容」に関わるトラブルの方が重大かつ深刻です。

もしあなたの会社で、きちんとしたビジネスメールを書けない社員がいるとしたら、一種の爆弾を抱えているようなものです。

メールが原因で生じた重大な問題は、外部にはほとんど出てきません。そのため、新人研修でもメールの内容にまで踏み込んだ講義をする講師はほとんどいません。

そこで当社は、こうした点に不安をお持ちの方のために短い「補講」動画を作りました。是非ご覧ください※。

そう、「たかがメール」では済まされないのです。

※基本講座・ビジネスメール

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第930話 テレワークで重要度が高まるビジネススキルとは

2020年06月17日 | コミュニケーション

「すべての社員がイキイキ働くようになる」仕組みと研修を提供する人材育成社です。

「コロナウイルス対策でシフト勤務が続いているため、職場の情報共有はラインを使っています。全員が一度に顔を合わせることが少なくなったため情報共有を懸念していましたが、想像していたよりも部下がまめに書き込みをしてくれるので、管理職としては助かっています」

これは先日、ある知り合いの管理職から聞いた言葉です。緊急事態宣言によって急遽在宅勤務が中心となり、全メンバーが揃うことがかなわなくなりました。しかしこうした状況の中、逆に個々のメンバーが情報共有の重要性を再認識したそうで、自分が出社しないときに他のメンバーが困らないように、主体的・積極的に情報発信するようになったとのことです。

しかし、この管理職の話によると「ここに来て新たな問題が発生した」とのことで、次のように話してくれました。

「積極的にラインに書き込みをしてくれるのは良いのですが、メッセージの意味がわからないときがあるんですよ。たとえば、読み終えたときに報告なのか相談されているのかがよくわからなかったり、事実を言っているのか感想を言っているのかがわからなかったりするんです。結局、こちらから事態を把握するために何度もメッセージを送らなければならなくなったりするので、それが結構手間です」とのことでした。

ラインに限らずメールやチャットなどテキストコミュニケーションは、情報を共有するのに非常に有効なツールです。今後、テレワークやシフト勤務においてますますニーズが高まることと思いますが、そこで大切なことは読み手に誤解されることがないように適切な文章を書くことです。

組織行動研究所が2020年3月末に行った「テレワークに関する実態調査」では、「テレワーク環境下で必要度が高まると思うスキル、またそれを自分ができていると思うかどうか」を尋ねています。その結果、最も必要度が高まると考えられているのは「文章を通じたコミュニケーションのスキル」で79.0%でした。また、「自分ができている」とした人は43%だったとのことです。

この調査からは、今後もますます文章を通じたコミュニケーションが重要になってくること、また自己の文章に問題意識を持っている人が多いということがわかります。

端的に相手に伝わる文章を書けるようになることは、一朝一夕に簡単にできるものではありません。しかし、そのための文章力が身につくのを待っていると、今の情報共有に支障が出てしまうことにもなりかねません。

そこでお勧めしたいのは、文章力を個々の能力に任せるのではなく、フォーマット化してしまうことです。情報を発信する際には、たとえば5W1Hを明確にすることをルールにする。もし5W1Hでは負担が大きいということであれば、2W1Hくらいに簡略化したりしてしまうのです。

こうすることで情報がきちんと整理されて伝えることができるので、読み手側の負担を減らしたり、誤解されたりすることを減らすことができるのです。

今後、働き方が大きく変わっていく中で、これまで想像していなかった課題がいろいろと出てくることでしょう。

その際にはぜひ、前述のように一つずつより良い方法を探って、試してみることをお勧めします。それを粘り強く繰り返すことが、生産性の向上につながる一歩なのです。

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第929話 テレワークは管理職選別の場

2020年06月14日 | 研修

「すべての社員がイキイキ働くようになる」仕組みと研修を提供する人材育成社です。

緊急事態宣言が解除されて、徐々にオフィスに人が戻りはじめています。中には、今まで在宅勤務を強いられていたせか、晴れ晴れとした表情の人たちがいます。それは特に管理職に多いようです。

ところが、今回の在宅勤務の期間が「管理職選別の場」となっているようです。

次は、ある中堅商社の若手社員の話です。「うちの部の上司は、会社が在宅勤務に移行してからやたら細かい指示を四六時中出すようになってきました。」「それも、どうでもいいようなものが多かったです。」「どうやら自分の目の届かないところで何をやっているのか、不安に思ったのでしょう。」

私が問題だと思ったのは、次の言葉です。「その上司は細かいことを言ってくるのに、自分は何もしないのです。それがすごくイヤです。」

聞いてみると、どうやらこの上司はテレワークが苦手なようで、ZoomやTeamsのような遠隔会議も上手く仕切れず、役員に提出する報告書も要領を得ない内容になっていたようです。

それでもこの上司、オフィスで仕事をしているときは書類に目を通したり、部下を呼びつけて指示を出したり、会議を仕切ったりと、とても忙しそうにしていたそうです。それがテレワークに移行したとたん、空回りをはじめたわけです。しかも、テレワークでこの部の仕事の生産性が下がることはありませんでした。

つまり、この上司は「不要不急の管理職」だったということが、はっきりしたわけです。

テレワークを通じて、ほとんどの部下がそのことを認識しました。当然経営者層もそのことに気づきました。

この会社は、先週あたりから徐々に出勤体制に戻りはじめました。この上司も晴れ晴れとした表情で出勤してきました。しかし、上司を見る周囲の目は明らかに変化していました。

「不要不急の○○部長」そんなレッテルが貼られてしまったようです。

今回のコロナ禍をうけて、役員たちは早急に会社の運営構造を変えるべく検討に入りました。いずれまた同じような事態が生じることは十分考えられるからです。それもごく近いうちに。

新体制下で、この○○部長は今のポジションから外されることが決まりました。それも事実上の降格です。

こうした話は他の会社でも、ちらほら聞こえてきます。

「選別」されてしまった管理職の方々には申し訳ないのですが、コロナ禍を通じて会社の強靭化が一歩前進したようです。

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第928話 テレワークでも「上司の背中」を見せる

2020年06月10日 | コミュニケーション

「すべての社員がイキイキ働くようになる」仕組みと研修を提供する人材育成社です。

Aさん 「課長はどういうときでも、とても冷静です。他部署から難題を持ちかけられたり、部長から突発的な仕事の依頼をされたりしても、的確に対応しています。依頼されたことのすべてをそのまま引き受けたりせずに、できないことはできないときちんと伝えています。どういう状況であっても、イライラしたり、引き受けておいて後から本人がいないところで文句を言ったりせずに、冷静に対応しているところがすごいなって思います」

Bさん 「先輩の新規顧客への電話対応が、とても勉強になります。断られた際の対応がとても感じが良いので。私もあのような対応ができるようになりたいです」

これは、弊社が中堅社員研修を担当した際に、「上司や先輩から学びたいと感じている事柄」として受講者から聞いた言葉です。

新型コロナウイルスの影響もあり、ここ数か月でテレワークの導入が一気に進むとともに、そのメリットが強調されています。具体的には、通勤ラッシュから解放されたことや何といっても感染のリスクが軽減されたことなどが挙げられています。

一方、デメリットもさまざま挙げられているのですが、その一つが上司や先輩の言動や姿勢などから学ぶこと、いわゆる「背中を見て学ぶ」機会が減ったということです。もちろん、テレワークであってもオンラインで仕事の打ち合わせやミーティング、上司からの指示や部下からの報告・連絡・相談をすることはできます。

しかし、オンライン上のやりとりは特定の目的に基づいて限られた時間の中で行うことがほとんどで、どうしても限定的なものにならざるを得ません。したがって、そこからは上司や先輩の仕事に対する姿勢や、直接自分に向けられたものではない上司や先輩のコミュニケーションの取り方などを見聞きすることはなかなかできません。

近年、上司の側からは「上司の背中」を部下に見せても、それで部下が育つ時代ではなくなったとよく言われますが、実は部下は上司自身の一挙手一投足を思いのほかしっかりと見ているものなのです。部下の電話応対を聞けば上司が誰だかわかると言われるくらいに、いつの間にかものの言い方さえも似てくるという話はよく聞きます。

また、上司が窮地に立たされた際の対応は、部下にとっては特に印象的なものとして記憶されることが多いようです。おそらく、そうした大変な状況のときにこそ、人間としての本質が表に出やすいということなのでしょう。

このように、部下や新入社員の育成にあたっては上司や先輩社員の言動は大きな影響力を持っており、「背中を見せる」ことは変らず大きな意味を持っているのです。

テレワークの普及により、前述のとおり日常の上司や先輩の言動を部下や新入社員に見聞させる機会は減少傾向にあります。それがマイナスの影響として出てくるまでには少々時間がかかるかもしれませんが、いずれは顕在化されるのではないかと考えています。

それを避けるためにも、今後のテレワークのさらなる進展に合わせ、上司や先輩が「背中を見せる」ことで部下へ有形無形の刺激を提供できるような仕組みの構築が急がれていると考えています。その鍵の一つはオンラインでのコミュニケーションの取り方にありますので、どのようなモデルが作れるか、弊社でも検討を進めています。

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第927話 オンライン授業と研修の違い

2020年06月07日 | 研修

「すべての社員がイキイキ働くようになる」仕組みと研修を提供する人材育成社です。

研修といえば、会場となる1つの部屋に数十名の受講者が集まって、講義を聴いたり、グループディスカッションをしたり、ロールプレイングをしたりという光景が頭に浮かぶと思います。しかし、今や会社が3密を避けるためテレワークに移行しています。当然、研修も集合型からオンラインへとシフトしています。

多くの研修会社は一斉に「オンライン研修」を前面に打ち出しています(当社も然りですが)。オンライン研修のメリット・デメリット、集合型との比較や注意点など、検索をすればたくさん出てきます。どのサイトもほぼ同じようなことが載っているので、内容は大差ありません。

今回お話ししたいのは「オンライン研修は、いったいどのくらい効果があるの?」という疑問に対する回答です。

ずばり「かなりあります」というのがその答えです。

テレビ番組「林先生の初耳学」(2020年6月7日22時、放送)では、絵がまったく描けない、ギターがまったく弾けない2人の女芸人が、2週間のオンライン授業でどのくらい上達するかのを放送していました。ご覧になった方もいらっしゃると思いますが、その結果は2人とも「驚くべき上達ぶり」を見せていました。

ご覧になった方は、なんだオンラインで十分じゃないか、いや、むしろ対面型よりもはるかに早く上達している気がする。そう思われたと思います。もちろん「もともと下手ではなかったのでは?」、「やらせでしょ?」という疑問は残ります。

しかし、私はこれは事実だと思います。なぜなら、短期間でスキルアップを成し遂げるための条件が2つ揃っていたからです。

その2つとは、(1)明確な目的と(2)モチベーションを維持する仕組みです。

(1)は目標ではなく、目的であることに注意してください。目的とはゴールであり、目標は通過点です。目的は抽象的であってもよいのですが、目標は具体的な数値などで明確に示されなければなりません。この番組では「2週間訓練したら格段に上手くなった」と視聴者に思ってもらうことが目的です。それは、(第三者の)絵画や音楽の先生に客観的に採点してもらって「60点以上の評価を得る」などといった目標ではありません。

(2)は周囲の期待値の大きさです。一種のプレッシャーといってもよいでしょう。番組を成立させるためには「2週間後には上達していなければならない」わけです。当然、芸人としての評価やギャラなどモチベーションを維持させる誘因もあります。私は、ちょっと文脈は異なりますが「ホーソン実験」※のことを思い出してしまいました。

さて、このようにオンライン学習の効果が現われる条件が示されたわけです。

オンライン研修を提供する研修会社はたくさんあります。ご注意いただきたいのは「どれも同じようなやり方で、講師も似たようなものだから、結果は変わらないだろう」と考えるのは間違いであるということです。

さらに大事なのは、オンライン研修においては「企業とはチームプレイで大きな成果を生み出すための組織である」という単純にして明確な事実を見失わないことです。「チームプレイの要素」が単なる個人のスキルアップを目指した「オンライン授業」とは異なる点です。

オンライン研修をお考え、あるいはすでに導入済みの経営者のみなさん、研修会社に次の2つの質問をしてみてください。

「オンライン」で効果を上げるための条件は何か? 「オンライン授業」と「オンライン研修」の違いはなにか?

納得できる答えが得られなければ、早々に打ち切ることをお勧めします。(そして当社にご連絡ください)

※ホーソン実験: https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9B%E3%83%BC%E3%82%BD%E3%83%B3%E5%AE%9F%E9%A8%93

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第926話 対面せずに新規顧客を獲得するには

2020年06月03日 | コンサルティング

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「新規の営業活動がしにくくなりました」

これは先日、知り合いの営業パーソンから聞いた言葉です。彼は続けて、「既存の顧客に対しては、ZOOMなどのオンラインで打ち合わせができていますが、新規の顧客の開拓が難しい。テレワークでない会社も結構あるので、電話はある程度はつながりますが、その後の訪問ができないですから。対面せずに顧客にできるのでしょうかね?」とも話してくれました。

「営業は足で稼ぐ」と表現されることがあることからもわかるように、これまでは飛び込みにしろ、アポをとってから訪問するにしろ、営業では直接対面することに重きが置かれていました。そうしたこともあり、顧客への訪問件数を営業会議で発表させたり、件数自体を評価の対象にしたりしている会社も少なくないようです。

今後、コロナウイルスの流行はいずれ終息するにしても、働き方においてはテレワークの割合が高まっていくことは明らかです。こうした流れの中では、営業活動の方法も大きく変わることになるでしょう。

しかし、冒頭の営業パーソンの言葉のように、訪問せずに新規顧客を獲得することは簡単なことではありません。

事実、2019年にHubspot Japan社が経営者や社員を対象に行った調査(「日本の営業に関す

る意識・実態調査」)では、営業担当者の訪問を希望する人が60.7%と高い割合を示しています。その理由は「顔を見ずの商談には誠意を感じない」(35%)がトップで、営業担当者の顔を見ると安心感がある(24.8%)が続いています。

自分自身に置き換えて考えてみても、初対面がオンラインの場合に、その営業パーソンから商品を購入するかどうかを考えると、確かに難しいかなと感じます。もちろん、オンラインであっても複数回話をする機会があれば、信頼感も徐々に高まり購入につながることもあるのでしょうが、それにはある程度は時間がかかりそうです。

また、既存の顧客の場合には、時々「ここだけの話」を聞かせてもらうことがありますが、これもたとえ信頼関係ができている相手であっても、対面でない場合にはそういう非公式の話はあまりしないだろうなと感じます。(そもそも、「ここだけの話」をする際には体を寄せて小声で耳打ちしたりしますが、オンラインではそういう場面は想像しにくいですね)

さらに、新規、継続顧客のどちらであっても、値引きの交渉を受けることがありますが、これも今のところは直接対面する形でないと「腹を割った交渉」は難しいように思えます。

今後、冒頭の話のようにテレワークをはじめとして働き方、営業方法は変わっていかざるを得ないのは確実でしょう。対面せずに新規の顧客を得るための、また既存の顧客との関係をさらに深めるための営業活動をどのように進めていくか、今後の大きな課題になりそうです。

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