中小企業のための「社員が辞めない」会社作り

社員99人以下の会社の人材育成に役立つ情報を発信しています。

第845話 あなたの会社の労働生産性を計算してみよう

2019年09月29日 | 研修

「99人以下の中小企業の社員が辞めずにイキイキ働くようになる」を実現する人材育成社です。 

OECD(経済協力開発機構)のデータに基づく日本の時間当たり労働生産性は 47.5 ドルで、OECD 加盟 36 カ国中 20 位でした。主要先進 7 カ国でみると、データが取得可能な 1970 年以降、最下位の状況が続いています。(公益財団法人 日本生産性本部2018年12月19日のプレスリリースより)

ああ、また日本の生産性が低いっていう話か・・・そう思われたかもしれません。

いえ、そうではなく、あなたの会社の労働生産性を国際比較してみようという話です。

以下、かなり「えいや!」のオンパレードですので、どうぞ気軽にお読みください。

まず、計算式です。

生産性の公式は、生産性=産出量(output)÷ 投入量(input)です。

労働生産性の場合、outputが「付加価値」、inputが「労働量」ですから、労働生産性=付加価値 ÷ 労働量 です。

付加価値とは売上高から外部調達(原材料費・仕入原価・外注加工費・燃料動力費・・)を差し引いたものですが、粗利(あらり)すなわち売上総利益と考えて良いでしょう。労働量は授業員(パートアルバイト含む)の年間労働時間です。

では、計算してみましょう。実際の会社の数字を使わないとわからないと思いますので、横河電機という会社を例にとります。理由は(私・平野が)昔働いていた会社なので「いい加減な計算するな!」と言われたときに、謝れば許してもらえそうな気がするからです。

以下の数字は、EDINET(金融庁:有価証券報告書等の開示書類を開示するサイト)、労働政策研究・研修機構、公益財団法人 日本生産性本部、Yahoo!ファイナンスから引用いたしました。すべて公開されているデータです。

横河電機の付加価値(売上総利益)=173,070(百万円)
年間労働時間=従業員数×年平均労働時間(日本の平均値)とすると、17,979人×1,713時間=30,798,027(時間)・・・桁を揃えて、約30.8(百万時間)

なので、173,070÷30.8≒5,619 となり、1時間で約5,619円の付加価値を生んでいることがわかります。

次にドル円の為替レートを108円とすると・・・5,619÷108=52.0ドル となります。

これ(52.0ドル)は日本平均よりもやや高いですが、19位の英国の53.5ドルよりは低いので、ほぼ日本の平均的な労働生産性ということになります。

ただし、年平均労働時間はサービス業も含む日本の平均値ですから、製造業は相対的に少ないため、付加価値はこれよりも高くなります。また、ドル円レートは為替取引ベースであり、OECDの計算で使われる購買力平価換算レートではありません。念のため。

とはいえ、そう難しく考えずにみなさんの会社の労働生産性を計算してみてはいかがでしょう。「トルコより下だった、残念・・・」とか「もう少しでスウェーデンに追い付けるぞ!」とか、社長さんの朝礼のネタにでも使ってもらえれば良いと思います。

その結果「生産性を上げるには粗利を増やして、残業をしないようにすることだ」という認識が社員に広まれば大成功だと思います。

来年度の目標は「イギリスに勝つ!」あたりにしてはいかがでしょう。

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第844話 話が長い人の心理

2019年09月25日 | 研修

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「自己紹介の時間は1分です」

弊社が研修を担当させていただく際、冒頭にグループ内で自己紹介の時間を設けています。

たとえば1人1分間で自己紹介をする際には、こちらで時間を1分ずつ区切り、1人ずつ順番に行っていただくようにしています。なぜかというと、時間を区切らずにまとめて人数分の時間を提供すると、中には1人でたくさんの時間を使ってしまう人がいるからです。そうすると時間内に全員の自己紹介ができないことがよくあるからなのです。

先日、あるセミナーに私が受講者として出席した際にも、自己紹介の時間を1人1分間でと講師から告げられていました。

講師からは「特に経営者は話が長いです。1分間を厳守してください」と釘をさされていたのにもかかわらず、1人で全体の半分上の時間を使って自己紹介をした人がいて、結局ようやく3人目に移ったところで時間オーバーとなってしまいました。

このようなことは自己紹介の時間のみならず、プレゼンテーションの研修を担当させていただく際にも起こります。事前に「1人のプレゼンテーション時間は10分間です。10分間の前提で準備をしてください」とアナウンスしていても時間切れになってしまい、途中で話を終わらせざるを得ない人も少なくありません。

では、予め決められている時間内に話を終えられない人がいるのは、どうしてなのでしょうか?

その理由としては、たとえば、話をしたいことがたくさんある、聞き手に理解してもらいたい、自分の存在意義を伝えたい、話がまとめられていない等々複数考えられます。

しかし、私はどうも理由はこれだけではないように感じるのです。こうした人はそもそも「時間に関するコスト意識」が低いのではないかと考えています。

ビジネスパーソンが仕事の一環で研修に参加しているのであれば、当然そこには相応のコストが発生しているわけで、決められた時間を守らずに進行が遅れる結果、当の本人にとってだけでなく、そのグループ全体、さらにはその研修全体の進行も遅れることになります。結果としてプログラムへの影響などが発生し、参加者全員にとって、余計なコストが発生することにもつながります。

このため、仮に研修でプレゼンテーションの練習を10分間で行っていただく場合には、終了3分前に1度チャイムで時間を知らせるなどの対策はしているのですが、時間をオーバーしてしまう人にはあまり効果がないようで、対応に苦慮しています。

言うまでもなく、時間は大切な経営資源であり、何も生み出さないことに時間を使うような事態は極力避けなければなりません。

自己紹介にしろ、プレゼンテーションにしろ、貴重な経営資源である時間をしっかり意識して、与えられた時間内にきちんと話をまとめること、これはビジネスパーソンにとって必須の能力だと考えているのですが、皆さんはいかがでしょうか。

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第843話 会議を効率化する簡単な方法

2019年09月22日 | コンサルティング

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会議の効率的な進め方は概ね次のようなものです。

1.主催者は会議の目的をはっきりさせておく
2.事前資料を配布し、しっかり読んできてもらう
3.開始時間と終了時間を決め、厳守する
4.最後に結論を確認し、誰が何をいつまでに行うかを決める
5.終了後速やかに議事録を配布する

ある会社の社長さんに、こうしたルールがあるかどうか聞いたところ、こう答えました。
「当たり前じゃないか。私がいつも言っていることだよ。」

そこで、私はいくつか質問してみました。
「それは素晴らしいですね。ということは、毎週月曜の朝から行う営業会議もこのルール通りなんですね?」
「営業会議は定例会議だから目的ははっきりしている。」
「事前資料は配るのですか?」
「前の週の売上だから当日、その場で営業部員たちに言わせる。」
「時間厳守で進めていますか?」
「私はいつも1時間で終わらせるつもりなんだが、営業の連中の報告があいまいなので、しっかりと聴き出そうとするとどうしても昼になってしまうな。」
「結論は決めていますか?」
「来週こそしっかりやれ!というのがいつもの結論だ。やれやれだよ、まったく。」
「議事録は作っていますか?」
「そんなもの必要ないだろう。」

もうおわかりのように、これは会議ではなく報告会です。
「定例営業報告会」と名前を決めてはどうかと社長さんに提案したところ次のような答えが返ってきました。
「いや、報告会じゃない。皆で売上をどうやって増やすかを話し合う会議だよ。」

私は「会議」と「報告会」は名称からしっかりと分けておくべきだと考えます。
「報告会」は報告だけとし、もし途中から話し合いが始まったら司会役の人が「ここからは会議です!」と宣言します。「会議」に変更され瞬間から上記のルール3、4、5を自動的に適用します。

たったこれだけで「会議」の効率が驚くほどアップします。「報告会」は切り離された形で残るかもしれませんが、少なくとも「報告だけで結論の出ない会議」はなくなります。

社長さん、いかがでしょうか。あなたの会社でこのようなルールを決めた場合、あなたはそれを守ることが出来るでしょうか。

一度お試しください。

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第842話 自己啓発をしている人は、仕事も熱心に取り組んでいるのか

2019年09月18日 | 研修

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「自己啓発に努め、学習しているか」

弊社が管理監督職の研修を担当させていただく際に、マネージャーの役割を診断テストを使って確認していただくことがあります。具体的には、15の質問に5段階評価で答えていただいているのですが、そのうちの一つが冒頭の質問なのです。

この診断テストは、これまでに1,800人以上の方に受けていただいていますので、たくさんのデータが蓄積されています。

データを分析するためにも、定期的に質問項目別の標準偏差をとっているのですが、その中で回答にばらつきが出る質問が3問あり、そのうちの一つがこの質問なのです。

回答では、大変熱心に自己啓発に取り組んでいる人がいる一方で、全く行っていないという人もいます。この傾向は業種に業態や規模に関係なく、同様の傾向が出ています。

それでは、自己啓発を熱心に行っている人とそうでない人には、どういう違いがあるのでしょうか。

研修を担当させていただいている者として感じるのは、自己啓発を熱心に行っている人には、研修を前向きに受講し、仕事でもきちんと成果を発揮している人であるという共通点があるようなのです。

もちろん、私は外部講師として研修を担当させていただいていますので、実際に仕事をしているところを見ることはできないのですが、研修の人事担当者から伺う話によると、総じて前述のように仕事のパフォーマンスも高いとのことです。

厚生労働省が毎年実施している「能力開発基本調査」(平成30年)によると、自己啓発を行った人の理由を見ると、正社員では「現在の仕事に必要な知識・能力を身につけるため」(87.4%)が最も多く、以下「将来の仕事やキャリアアップに備えて」(58.9%)、「資格取得のため」(32.2%)、「昇進、昇格に備えて」(20.7%)と続いています。

このデータから言えるのは、仕事で成果を発揮できている人は、そのために必要な知識やスキルを身に付ける努力を自発的にしており、それが結果として表れているということなのではないでしょうか。

もちろん、努力しなくても仕事で成果を出せるという人や、あまり積極的にではなく努力したという人もいなくはないです。しかし、多くの場合、仕事で顕著な成果が出せている裏側には、多かれ少なかれ自らすすんで行った努力の跡があるはずです。

つまりは、同じ努力をするにしてもいやいやではなく、自ら進んで行うという点がポイントなのだと考えています。

以前から、自己啓発と仕事の成果には因果関係があるのではないかという仮説を持っていましたが、改めて本格的に調査していきたいと考えています。

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第841話 チームビルディング研修は楽しいけれど

2019年09月15日 | 研修

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研修の参加者が輪になってフラフープのようなリングを指で支えています。誰の指もフラフープから離さず、制限時間以内に床に置くことができたら終了です。これは「ヘリウムリング」と呼ばれるチームビルディング(チーム作り)研修の1コマです。

とても簡単そうに見えますが、実は結構難しいのです。

全員が同じ速度でゆっくりと下していけば済むのですが、途中で誰かの指が離れたら元の高さまで戻らなければなりません。メンバー全員の息がぴったり合わないと成功できないのです。

ヘリウムリング研修の目的は、チームワークの大切さに気付いてもらうことです。この研修を通じて仕事でもチームワークを発揮してもらうようになれば成功です。

そう、「・・・なれば成功」ですが、なりません。

こうしたチームビルディング研修は、堅苦しさを無くすための遊びとしての効果はありますが、研修としてはほとんど無意味です。つまり役に立たない研修です。

理由は簡単です。「私たちが普段取り組んでいる実際の仕事」の要素が無いからです。

まあ、講師が意図して「研修は楽しかった」という印象を残すためにやるものだと思ってください。

当社もゲームの要素を取り入れている研修やロールプレイングを行いますが、あくまでも仕事上の知識やスキルの獲得が目的です。

たとえば、ゲームの要素を取り入れた「質問の技法」や「原価計算の理解」といった研修を行いますが、それは「私たちが普段取り組んでいる実際の仕事」のなかで具体的にそれを使うことができるようにするためです。

リングを皆で協力して床に置いたその時は、達成感や高揚感はあるかもしれませんが、「私たちが普段取り組んでいる実際の仕事」でそのことを思い出してチームワークが生まれることはありません。

いや、思い出すこともないでしょう。

チームビルディング研修をお考えの皆さんへ。「それは研修ではなくレクリエーションです」と申し上げておきます。

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第840話 目標の立て方を習ったことがない

2019年09月11日 | 研修

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部下にモチベーションを上げてもらうためには、どうすれば良いのか?これは、古くて新しい議論です。

一つには、部下に有能感を感じてもらうことがあります。有能感とは目標を達成することによって、部下に「やればできるんだ」という満足感を得てもらうことです。

そのためには、部下に適切な目標を与えることが大切です。目標が高すぎると達成できず、やる気が出てきません。一方で、目標が低すぎると達成は当然のこととなって、達成感、そして有能感はあまり得られません。

「何とか努力すれば達成可能な目標」を与えることが必要なのですが、部下にそうした目標を立てさせることは簡単なことではないようです。

先日弊社が担当させていただいた管理職研修では、はじめに部下が目標を立て、その後管理者が承認した目標を持参してもらいました。

その一例を挙げると、「ツールによる効率化をはかる」、「積極的にコミュニケーションをとり、進捗管理ができるようになる」といった目標が立てられていましたが、実はこの目標には具体的な中身がありません。

ためしに、これを記入した管理者に「効率化をはかるとは、具体的にはどのような状態を指していますか?具体的に時間をどれ位削減するのですか?」や、「コミュニケーションを積極的にとるとのことですが、進捗管理をするために具体的にどのようなコミュニケーションをとればよいのですか?」などの質問をしましたが、明確な答えは得られませんでした。

もちろん、具体的な行動計画を落とし込んだ目標を立てることは簡単なことでありません。その結果、精神論的な目標になったり、あいまいな表現を使用してしまったりし、結局はお茶を濁すような目標になってしまうことはよくあることです。

そもそもそ、私たちは子どもの頃から目標を立てることを促される経験はあっても、具体的な立て方を習ったことがある人は少ないのではないでしょうか?

それ故に、日常生活の中でも「食べるのを減らして痩せる」、「毎日早起きをする」などのあいまいな目標を立ててしまうようになるのかもしれません。

しかし、例えば「痩せる」という目標を立てるとして、それだけで本当に痩せることはできるのでしょうか?

実際には、まず「何時までに(納期)、何キロ減らす(定量化)。そのために食べる量を減らすのか、食べるものの種類を変更するのか、食べる時間を変えるのか、または食べる量は変えずに運動をしてエネルギーの消費量を増やすのか」など、目標を明確にすることが必要です。次にそれに向けてどのように行動するのかを具体的に決め、それを実行することではじめて目標達成が可能になるわけです。

さらには、具体的に目標を立て行動することで、後々に評価をする際に「どこが達成できたのか、どこが未達なのか」を一目瞭然で確認できますし、未達の場合にはその理由も明確になるので、今後の改善に向けた目標を立てる際の課題にできるのです。

このように目標を立てる場合、それが仕事での目標であればなおさら、定量化するなど数字ではっきりさせること。そして、それをどう実現するかを一緒に決めておかないと、達成はなかなか難しいのです。

部下のモチベーションがなかなか上がらない、目標が達成できないとお悩みの管理職の方には、まずは部下に目標はあいまいではなく具体的な数値にすることを教えるとともに、自らもそれをきちんと意識することからはじめることをお勧めいたします。

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第839話 「モチベーション」を正しく理解しよう

2019年09月08日 | コンサルティング

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先日、ある公開セミナーで社員のモチベーションに関して1時間ほど話をする機会がありました。終了後、受講していた1人の男性がやって来きました。その男性が勤務する会社は、誰もが名前を知っている大企業でした。

そして、彼は私に次のような質問をしました。

「今年、新しい職場に異動したのですが、職場全体のモチベーションが上がらず困っています。どうしたらモチベーションを上げることが出来るのでしょうか。」

「部下の方を1人1人をじっくり観察して、今日のセミナーで話したことを実践してみてください。」と私は言いました。

すると彼は「いや、いや。そういうことを聞いているのではなく、職場全体のモチベーションをどうしたら上げられるかを知りたいのです。私は以前○○という業務を担当する部署にいました。職場全体が活気に満ちていました。でも、今度のXX業務を行う職場はひどくモチベーションが低いのです。」と言うのです。

私は「では、職場のモチベーションが低いのは何に原因があるとお考えですか?」と聞くと、彼は次のように答えました。

「XX業務は裏方の仕事なんです。上流工程と現場との板挟みで、上手く行って当たり前、失敗したら大きな損失に繋がるんです。それなのに社内ではあまり評価されない。モチベーションはどうしたって下がります。なんとか上げるにはどうしたら良いでしょう。

私は次のように答えました。

「どうしようもありません。」

すると彼は「そうですよね。やっぱり!」と満足そうに微笑んで去って行きました。どうやら講師に難しい質問をして「1本」取りたかったらしいです。

私はモチベーションの「在り方」にはいろいろな種類があると思います。

たとえば、営業部員は競合他社に勝ったり、顧客から直接感謝されたりするとモチベーションが上がると思います。では、営業部で活躍していた人が経理部へ異動してきたらどうやってモチベーションを維持すれば良いのでしょう。

経理部では「勝ったり、感謝されたり」することはほとんどありません。では経理部という職場にはモチベーションが存在しないのでしょうか。

そんなことはありません。

経理部は会社という「生き物」の命を維持するための「血液」にあたる資金を循環させる「心臓」のような役割を担っています。

できる人は経理に異動したことをチャンスと考え、積極的に財務の知識を付けて営業部に戻るなり、マーケティング部に異動するなりを考えればよいのです。もちろん経理の仕事の面白さにはまって、そのまま居続ける選択肢もあります(実際、現代の経理部はとてもクリエイティブです!)。

プロスポーツのチームでもない限り、ごく普通の会社では「全体の」モチベーションを上げることは(不可能とは言いませんが)難しいのです。その反面、個人のモチベーションというのは意外にあっけなく上がったり下がったりします。

繰り返しになりますが、経営者、管理職、監督職など「上司」の立場にある方々に申し上げます。

「職場の」、「部門の」、「全社の」モチベーションを考える暇があったら、今あなたの目の前にいる部下のことを考えましょう。

部下1人1人のモチベーションを上げるのは、上司としてのあなたの責任です。

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第838話 研修アンケートだけに頼りすぎてしまうのはもったいない

2019年09月04日 | 研修

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「アンケートをとっているから大丈夫です。平均も出していますから」

弊社が担当させていただく研修において、研修の様子を熱心にご覧になる担当者がいらっしゃる一方、全くご覧にならない担当者も時々いらっしゃいます。こうした方は研修の冒頭の時間だけ会場にいて、その後すぐにその場を離れてしまうのです。

以前、こうした方にお会いしたときに、「研修をご覧にならないのは、お忙しいからですか?」とやんわりと聞いたことがあるのです。その際に担当者がおっしゃったのが冒頭の言葉だったのです。

また、お話を伺っている中で、研修の評価としてどうやら平均値だけで見ているらしいことも分かりました。

確かに、研修終了後の受講者の満足度を測る方法として、アンケートはとても有効なツールです。

しかし、(先日の朝日新聞にも記事が出ていましたが)平均値だけを追ってしまうと大切なところを見逃してしまうこともあるのです。

アンケートの結果は、当然受講者によって評価の高い低いがありますし、また、同じ人でも項目によって高い低いがあります。

さらには、受講人数が少ない研修であれば、たった一人が極端なプラスやマイナスの評価をしただけでも平均値に大きな影響が出てしまいますが、それが本当に研修全体の様子を反映していると言えるのかといった問題もあります。

ですから、アンケートの結果だけで判断しようとするのであれば、平均値のみでなく書かれている内容を詳しく見ることが必要です。

しかし、組織として研修を開催するからには、そもそもの目的や必要性があったはずです。たとえば、課長や係長などの階層に応じて求められる能力を学ばせたい、あるいは職務に必要な知識やスキルを身に付けさせたいなどで、それらは確かに研修直後のアンケートや、その後の効果測定などで成果をある程度は測ることはできます。

しかし、アンケートの結果だけでは受講者が前向きに研修を受講していたのか、どのような姿勢で受講していたのかを知るのは難しいです。また、講師が目的にかなう研修を提供できていたのかどうかを含め、研修の全体像がどうであったのかを判断するのも紙面だけでは伝わりません。

そのためには、やはり担当者にその目で見て確認していただくのが一番です。それにアンケートの結果をあわせて、はじめてきちんとした研修の全体像が見えてくるのではないでしょうか。

「百聞は一見に如かず」です。研修では仕事のときとは違った受講者の姿を発見できたり、いろいろな情報を収集できたりする場でもあるわけです。冒頭の例のようにそれを放棄されてしまうのは、非常にもったいないことです。

研修担当者には何とか時間を作っていただき、ちょっとでも研修に顔を出してみることをお勧めいたします。

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第837話 社長はわくわくする未来を語ろう!

2019年09月01日 | コンサルティング

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 若手社員が辞めていく・・・いま経営者を悩ませている最も大きな問題ではないでしょうか。

企業が従業員を辞めさせないために行う一連の施策を「リテンション・マネジメント(retention management)」と言います。わかりやすく言えば「従業員の引き留め」策により、会社と社員との間に「良好な関係」を作り維持することです。

では、良好な関係とは何でしょうか。それは、会社(経営者)が「この会社で長く働いほしい」と思うと同時に、社員が「この会社で長く働いていたい」と思うことです。

なんだ、当たり前じゃないか。そう思われたことでしょう。

会社は、そうした「思い」を具体的に示すために、高い給与、充実した福利厚生といった経済的な報酬のほかに、公正な評価制度、人事異動や新しい仕事へのチャレンジといった制度的な仕組みを提供します。

しかし、中小企業でそれらを全て実現することは、ほぼ無理でしょう。

「全部どころか、せいぜい1つ実現できるかどうかだな」ある中小企業の社長さんはそう言いました。それが現実です。

しかし、たった1つだけ全く違った方法で社員を引き留める方法があります。

それは「未来傾斜原理」です。(具体的な内容は書籍をご参照ください)

理論的なことはこの本をお読みいただくしかないのですが、思い切り端折って言ってしまえば、「社員は未来(将来)に価値を求めている」ということです。

中小企業が大企業に勝てる可能性があるとすれば「未来」です。社員が「この会社で長く働いていたい」と思うのは、未来に「わくわく」したものがあると感じるからです。

今から30年ほど前ですが、地下鉄の泉岳寺駅の近くで、何度が孫正義氏を見かけたことがありました。当時私は大きな会社に勤めていました。「ソフトバンク」という小さくて不安定で何をやっているのかよくわからない会社に、何人もの社員がよく勤めていられるなあと、私は半ば感心、半ばあきれていました。

後に、当時のソフトバンクに勤めていた人と話すことがあったのですが、その時に「わくわく」という言葉を聞くことができました。

「この会社の未来がどうなっていくかを考えると、なんかわくわくしたよ。」

中小企業の社長さんは「未来」を語って社員をわくわくさせてください。ただし「会社を大きくすること」を語るのではなく、「当社が○○を実現したらお客さんが笑顔になること」です。

あなたの会社にとってそれはなんでしょうか。

それが聞けたら、私もわくわくしそうな気がします。

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※「未来傾斜原理: 協調的な経営行動の進化」(高橋伸夫 編著,1996,白桃書房)