中小企業のための「社員が辞めない」会社作り

社員99人以下の会社の人材育成に役立つ情報を発信しています。

第1,148話 リバウンドしない片付けの方法とは

2022年12月28日 | コンサルティング

「社員がイキイキ働くようになる」仕組みと研修を提供する人材育成社です。

178.4㎏。これは、あるものの日本人一人あたりの年間消費量なのですが、何の消費量なのかわかりますでしょうか?

答えは、紙・板紙の消費量です。(出典:日本製紙連合会)紙・板紙の消費量の世界平均は52.3㎏で先進国が高い傾向にあるとのことですが、その中でも178.4㎏はかなり高い数字です。その中でコピー用紙の割合がどれくらいなのかは不明ですが、ペーパーレスの時代と言われて久しいにも関わらず、私たちは相変わらずたくさんの紙を使用していることがわかります。

私はこれまで仕事で様々な組織にお邪魔していますが、事務所がきれいに整理整頓されている組織がある一方で、書類が山のように積まれている光景が日常的になっているところもあります。どちらかというと、書類に囲まれてしまっている組織の方が多いようにも思えます。

さて、いよいよ2022年も終わりが近づいています。昨日、今日は職場の大掃除をしたという人も多いのではないかと思います。日本トレンドリサーチが2022年12月4日~12月8日に行った「オフィスの年末大掃除に関するアンケート調査」によると、42.1%が勤めているオフィスで年末の大掃除をしていると答えたそうです。先述のように、たくさんの紙を使用している私たちですから、オフィスに紙類が溢れてしまって必然的に大掃除の必要性が生じている組織も多いのでしょう。

しかし、資料の整理をしてきれいにした後、皆さんはその状態を維持できているでしょうか。せっかくあれだけの資料を捨ててきれいにしたはずなのに、時間の経過とともにまた元の状態に戻ってしまうという人は少なくないはずです。片づけるのは大変ですが、元の状態に戻るのはあっという間です。では、一体なぜきれいにした状態を維持継続することができないのでしょうか?

理由は様々あるかと思いますが、私は多くの場合きれいにすることだけが片付けの目的になっていて、仕事の流れを考えてモノの置き場所を決めていなかったり、書類の要不要の判断に基準がなかったりするなど、仕事の全体像が描けていないことが理由だと考えています。

それでは、これをどう解決すればよいのでしょうか?お勧めは、いきなり片づけを始めるのではなく、その前に仕事の流れを図にするなどにより「見える化」し整理してから始めることです。流れが明確になったら、次に仕事の流れに応じた書類の置き場所を決めたり、業務別に細かく分類したりファイルに入れるなどの整頓をすれば、その後はスムーズに仕事を進めることができますし、リバウンドを防ぐこともできるはずです。

毎年この時期になると雑誌やテレビなどで片付けに関する方法が様々紹介されるため、全体像を描く前にファイルやボックスなどの道具を購入することから始めてしまいがちですが、まずは仕事の流れをきちんと整理して、その上で取り掛かることがお勧めです。リバウンドを生じないための年末の片付けや大掃除のポイント、参考になれば幸いです。

さて、2022年のこのブログも今回が最終回になります。今年も一年間お読みいただき、ありがとうございました。来年も引き続きいろいろな情報を発信していきたいと考えていますので、どうぞよろしくお願いいたします。

それでは皆さま、良いお年をお迎えください。

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第1,147話 立場は人をマイナスの方向へ変えたり、立場が人を育てたりする

2022年12月21日 | 仕事

「社員がイキイキ働くようになる」仕組みと研修を提供する人材育成社です。

「お前変わったもんだな!昔は誰彼構わず頼みを聞いてやっていた。立場は人を変えるな」

これは、先日最終回を迎えたNHKの大河ドラマ「鎌倉殿の13人」で主人公 北条義時の幼馴染で従弟の三浦義村が、民からの頼みごとを跳ねのけた義時へ向けて言った言葉です。

ドラマでは、伊豆の地方豪族 北條氏の次男として生まれた義時が、やがて鎌倉幕府の執権となり権威を振るうまでを描いていましたが、ドラマの前半と後半で義時の人となりが大きく変化していました。これはまさに、三浦義村の言葉のとおり「立場が(義時の)人を変えた」のではないかと思います。

そして、このことはドラマで描かれた鎌倉時代だけの話ではなく、現在の組織においても同じく「立場は人に大きな影響を与える」ものであると思います。立場を得たことで成長する人もいれば、反対に権威を笠に着て自分勝手な言動を繰り返す人もいます。

実際に、社長という権威を得たことで周囲を納得させる努力をしようともせずに、ことあるごとに「社長の俺が決めたことだ!」と大声で繰り返す人を私も見たことがあります。これは残念ながら立場が人をマイナスに変えてしまった例と言えるでしょう。

一方、立場を得たことがプラスに働き、大きく成長する人もいます。経営者や管理職になる前は、この人にその役職が務まるのだろうか?と周囲が少々頼りなく感じていたような人が立場を得たことによって、その後大いに信頼される経営者や管理職に大きく成長する人もいます。まさに「立場が人を育てる」という状態になったのです。

このように、時によって「立場」は人をマイナスの方向に変えたり育てたりすることがあるわけですが、では「立場が人を育てる」ようになるためには、どうすればよいのでしょうか?

立場をプラスにできるかマイナスにしてしまうかは、もともとの本人の人間性やその立場のロールモデルの有無、さらには本人の意識の問題などが影響するものだと思います。長年かけて形作られた人間性を変えるのはなかなか難しいものでしょうし、ロールモデルの有無を問うたところで、それはいたしかたないことでしょう。

一方で未来志向で考えるならば、立場に対する明確な意識の醸成こそが必要ではないかと私は考えます。そして、その立場に求められるしっかりした意識を醸成するためには、必要な知識やスキルを確認した上で、身に付いていないものは目指すべき目標として設定し、一歩ずつ身に着けていくことが必要なのだと思います。地味な取組みではありますが、立場を得たことによる影響は良くも悪くもその配下の人達にも及ぶのです。その人達がやる気をもって働けるようにするためにも、避けては通れない道のりなのだと思います。

ドラマでは、義時は源頼朝や自分の父 北条時政、時には上皇様や周囲の御家人たちの振る舞いをも見ながら、自分なりの意識を作りあげていき、そして最後には「闇落ち」してしまったように思えました。

せっかく得た立場をプラスの方向に使うのか、マイナスの方向に使うのか。ぜひ「立場が人を育てる」結果となるように使っていただきたいと考えています。

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第1,146話 森保監督の3つのリーダーシップ

2022年12月14日 | 仕事

「社員がイキイキ働くようになる」仕組みと研修を提供する人材育成社です。(冒頭の写真はWikipediaより)

「今後、ヨーロッパに監督の勉強に行きたい」

これは、FIFA ワールドカップサッカー 日本代表チームの森保一監督がインタビューで何度も語っている言葉です。

ワールドカップでは悲願のベスト8にこそ残れなかったものの、十分な実績を残した監督として、この言葉は非常に謙虚だと感じます。監督としてさらなる上を目指していこうとされている森保監督とはいったいどういう人なのか?メディアでもたびたび取り上げられていますが、私自身も非常に興味深く感じていますので、森保監督のリーダーシップを3つの視点から考えてみました。

私が思う森保監督のリーダーシップの1点目は、選手をはじめ他者を尊重(リスペクト)する、2点目はいつも安定感がありフラットである、3点目は試合中こまめにメモをとるです。

1点目について、日本テレビの「スイッチ」(12月12日)に出演していたゴールキーパーの権田選手が次のように語っています。

「森保監督は本当に選手一人一人とのコミュニケーションを取り、リスペクトを持って接してくれる。それと試合に出ている選手だけじゃなくて出ていない選手、今回の大会では出られなかった選手が4人いるんですけど、その4人の選手に対しても常にリスペクトしていて、そういう姿勢っていうのは、僕は森保ジャパンの立ち上げから入れてもらってますけど、ずっとその感じは変わらない。それはチームにとってプラスだったなと思っています」

森保監督が選手をリスペクトしていることは、様々な選手からも異口同音に発せられていますし、代表メンバーを選出する前にも様々な選手に会いにヨーロッパを回ったという話もたくさん報道されていますので、本当に他者を大切にする人なのだと想像します。

2点目の安定感があると感じるのは、ゲーム中に追い詰められているとき、負けてしまったとき、試合後にインタビューを受けているとき、そして帰国後の会見など、どういうときであっても、興奮していることがなく安定している、フラットな人だという印象を持っています。ドイツ戦に勝利した後、選手に「一喜一憂するな」と大きな声を出して語り掛けていましたが、監督自身がそれを地で行っていますので、非常に説得力があると感じました。いつもフラットでいられるのは元々の性格なのか、それとも監督として采配を振るう中で獲得したものなのかはわかりませんが、選手にとっては監督への大きな信頼感につながるものではないかと思います。

そして、3点目はメモをよくとるということです。テレビのワイドショーによると、多いときは20回以上とっていたそうです。様々なメディアからの「試合中、何を書いているのですか?」という質問に対して、監督は次のように答えています。「試合中はシュートを打った、ディフェンスはやられたなどと書き、その内容がコーチと合致すればハーフタイムで伝える。さらに試合後はロッカールームでも記入し、勇気や勇敢に戦ってくれてありがとう、この成長が大切だと選手に要望することを書いている」とのことです。このように細かく記録をとっているからこそ、根拠に基づいた説得力のあるアドバイスや指導ができているのではないでしょうか。

これらが、私が思う森保監督ならではのリーダーシップです。この3点をやり続けることは決して簡単なことではないと思いますが、森保監督は成し遂げ続けているのです。

スポーツの監督のみならず企業においても、管理監督職をはじめとしてリーダーシップの発揮が様々な場面で求められるわけですが、森保監督の言動を通してリーダーシップを身に付けるためには、地道な努力が必要なのではないかと改めて考えています。

森保監督のリーダーシップに大いに期待したいと考えている私は、今後も監督の一挙手一投足に目が離せません。

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第1,145話 「ブラボー! 自分の武器になるリーダーシップとは」

2022年12月07日 | 仕事

「社員がイキイキ働くようになる」仕組みと研修を提供する人材育成社です。(冒頭の写真はYahoo!ニュース  Yahoo! JAPANより)

今年の流行語大賞にこそならなかったですが、FIFAワールドカップ カタール大会に出場した長友佑都選手が発した「ブラボー」は、日本チームのみならず、応援する我々にも大変大きな影響力を発揮した言葉であることは多くの人が頷くところでしょう。

インターネットに公開されている動画によると、1次リーグの最終戦のスペインとの激闘の後のロッカールームで、長友選手が他のメンバーを指しながら「ブラボー、ブラボー、ブラボー、ブラボー、ブラボー!」を連発しながら、次々にメンバーをハグしていました。また、同点ゴールを決めた堂安選手には、ハグをしながら「おまえ、すげえな。次もがんばれ」と声をかけていました。

長友選手は、これまでワールドカップに4回出場しています。この間、キャプテンにこそなってはいませんが、毎回長友選手ならではのリーダーシップを発揮してきています。「リーダーシップ」の定義は様々ありますが、私は長友選手は「明るさ」によってプラスの影響力を発揮したと考えています。あのハイテンションで「ブラボー!」を注入されたら、自然と周囲は前を向いて頑張ろうという気持ちになるのではないかと思うのです。

実際、長友選手もインタビューで次のように語っています。「今の選手1人1人のキャラクターを考えたとき、自分はどういうキャラでチームにいれば良いんだろうと。どんどん熱を出していかないといけない、使命的なものを感じた。熱を出すことで確実にチームにプラスになると思った」まさに「ブラボー」でチームに熱を込めたのだと思います。

加えて、長友選手は後輩を気遣う言葉もたくさん発しています。インタビューでは、「批判は自分がすべて受け止める」、「後輩を讃えてほしい」、「勇気を持ってPKを蹴った選手たちを讃えてほしい」。さらにクロアチア戦のPKでゴールを決められず、試合終了後に動けなくなった選手たちに真っ先にベンチから駆け寄り、声をかけ背中をさすって回っている姿も見ることができました。こうした言動を通じ、明るいだけでなく後進を育てようとする長友選手の姿勢も強く感じられます。

長友選手はワールドカップで自分らしいリーダーシップを発揮したわけですが、それでは企業において長友選手のように「ブラボー」を連呼すれば、良い影響を与えることができるのかと考えると、それだけではやはり難しいと思います。今回の長友選手のようなテンションで四六時中「ブラボー」を連呼されたら、周囲は鬱陶しく感じるようになってしまうはずです。ワールドカップという限られた期間だからこそ、長友選手はプラスの影響力を発揮できたのではないかと思います。

実際、長友選手もインタビューで「耐え忍んで耐え忍んで、輝く時間は一瞬だけど、そのために夢見て、苦しいことを乗り越えて、頑張り続ける。サッカー選手は桜の木のようだなと感じている」と発言しています。短期間だからこそ、輝くほどの良い影響力を発揮できたということなのではないでしょうか。

そのように考えると、ビジネスパーソンの組織においても、ここぞというときに瞬発力を発揮し、自身の武器によって周囲にプラスの影響力を発揮できるようになるのが大切なのではないかと思うのです。そして、ここぞというときにリーダーシップを発揮できるようになるためには、準備が必要です。まず、自身にとっての武器は何なのか、を探すことから始めてみることが大切なのではないでしょうか。さて、あなたにとってブラボーに匹敵するような武器とはどのようなものでしょうか。

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